<入れ替わり>あなたはわたしを見下している④~奈落~ (Pixiv Fanbox)
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「---ふふ」
雫(紀子)は入れ替わり薬を飲んで笑みを浮かべたー
”これで、いつでもまた入れ替われるー”
紀子は、既に入れ替わり薬を飲んでいるがー
一定期間で効果は切れるようだし、
何より、今は雫の身体だから、
もう一度入れ替わるためには、雫の身体で
入れ替わり薬を飲む必要があったー
雫(紀子)は怒りの形相で学校に登校するー。
いつの間にかー
雫になった紀子の周りには、
クラスメイトが集まらなくなっていたー。
それどころかー
紀子(雫)の周りに、いじめをしていたはずの
平八や千代まで、集まるようになっていたー。
紀子(雫)は、申し訳なさそうに、雫(紀子)の方を見ているー。
”---お願いだから、気づいて”
紀子になった雫は、雫になった紀子の方を見ながら
そう思っていたー
いじめは、許されることではない。
だからこそ、雫も、紀子を助けようと、
千代や平八たちに口を酸っぱくして、注意を続けてきた。
しかしー
いじめのきっかけは、何だったにせよ、
今の紀子は”歪んで”いるー。
何度入れ替わろうとー
紀子の振る舞いでは、
周囲から人は、離れてしまうー。
”紀子ちゃんの振る舞いはー
あなたの振る舞いは、間違ってるー”
紀子(雫)はそう思いながら、雫(紀子)の方を見つめるー
紀子の身体のままであろうとー
雫の身体になろうとー
いや、他の誰になろうと、
今の紀子の態度ではー
絶対に孤立してしまうー。
「---あれぇ~~??
みんな、ゾンビとしゃべってるとか、マジで笑えるんですけどぉ~!」
雫(紀子)が、紀子(雫)の方に近づいてくるー。
千代や平八、他のクラスメイト数名が
雫(紀子)の方を見るー
紀子(雫)は、「---……もう、やめて」と、悲しそうに呟くー
あくまでも”入れ替わり”のことは、周囲には言わずにいる
紀子(雫)-
これもまた、紀子のためにと、思ってのことだった。
「---はぁ?うっさいわね!ブス!」
雫(紀子)はそう吐き捨てるー
周囲のクラスメイトたちは、
雫(紀子)の方を見て、冷たい目線を送っているー。
ここ最近の雫の豹変ー
あまりにも”横暴な態度”に、
千代や平八までもが、引いているー。
自分たちが、いじめをしていたことを棚に上げて考えてしまうほどにー
今の雫(紀子)の態度は酷かったー。
「なにその目?」
雫(紀子)が不満そうに言う。
「-----あんた!ゾンビゾンビっていつもその女をいじめてたじゃない!」
雫(紀子)が平八を睨みながら叫ぶー。
「-ほら!もっといじめなさいよ!もっとやりなよ!ほら!やれよ!」
雫(紀子)が鬼婆のような表情で叫ぶー。
「---…か、、、上梨さん…最近…ちょっとさ…変だよ…」
平八は困り果てた様子で言うー。
「--あんたも!」
雫(紀子)は、わがままお嬢様の千代の方を見るー
「---……」
千代は、雫(紀子)の方を、引いた目で見ているー。
「---っ、何その目!?
あ~~そっかそっか。
あんたよりわたしの方が可愛いから、嫉妬してるんでしょ?」
雫(紀子)がクスクス笑いながら言うー。
「は?」
千代が不満そうに、雫(紀子)を睨むー
紀子(雫)はたまらず「みんな!やめて!」と叫ぶー
平八も、千代も、雫になった紀子も、不満そうに
座席に戻っていくー
雫(紀子)は座席に戻ると、爪をガリガリかじり始めたー
”許せないー”
”許せない許せない許せない許せないー”
昼休みー
鬼のような形相で、トイレに入った雫(紀子)は
鏡を見つめるー
雫の綺麗だった顔が、歪んでいるー
まるで、悪鬼のようにー
まるで、”ゾンビ”のようにー
「うあああああああああああああああっ!!!!」
雫(紀子)は、一人、鏡を何度も何度も殴り続けるー。
「--ゾンビ!ゾンビ!ゾンビ!!
わたしはゾンビじゃないぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
手から血が流れだすー
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ」
雫(紀子)が、髪をボサボサにしながら笑いだすー。
「--はぁぁ……偽善者の身体なんて、ぜんぜんダメじゃん…
人気も、可愛さも、ぜーんぶ偽物!
こんなゴミみたいな身体いらない!
クーリングオフしてやる…!」
支離滅裂な言葉を吐き出す雫(紀子)ー。
「--ブス!!」
鏡の雫に向かって叫ぶー
雫(紀子)の顔が、
陰険そうな表情を浮かべているー
中身の紀子の性格が、雫の綺麗な顔を
ここまで歪めてしまっているー
「ブス!ブス!!ブス!!!
ブスはわたしじゃない、お前だ!!!!」
鏡に指を突き立てて叫ぶ雫(紀子)-
決めたー
また”入れ替わって”やるー。
入れ替わればー
”今のわたし”は、もういじめを受けないー
「ふふ、、、ふふふふ…あははははははは!」
そうー
今の”紀子”は、平八からも、千代からも
いじめを受けなくなっているー
そして、
今の”雫”は孤立気味だー
だったら、”わたしの身体”を返してもらえばいいー
もう一度、入れ替わればいいー。
・・・・・・・・・・・・
放課後ー
雫(紀子)は、紀子(雫)を呼び出したー。
「-----…紀子ちゃん」
紀子(雫)は空き教室に入って来ると、
雫(紀子)の方を見た。
雫(紀子)は、目を充血させながら笑うー。
「ーーーーあんた、どこまでわたしを見下そうとするの!?」
雫(紀子)の言葉に、
紀子(雫)は、悲しそうな目をするー
「わたしの邪魔ばっかして…!
可愛くなったわたしに嫉妬して、
わたしから友達を奪ってー
あんたはわたしを孤立させようとしている!
あんたはわたしをブスにしようとしてる!」
雫(紀子)が、顔をぐしゃぐしゃに歪めたような
凶悪な表情で言うー。
「--わたしを助けたい???
偽善者!!あんたはわたしを見下してるだけよ!」
雫(紀子)が、支離滅裂なことを叫ぶー
紀子(雫)は悲しそうに、雫(紀子)を見つめているー。
「---紀子ちゃん。お願いだからー落ち着いて」
紀子(雫)が言うー。
「--自分の思い通りになってたのしい???
入れ替わったわたしを孤立させて、
見下してるんでしょ!?
でもね、
あんたの思い通りになると思ったら大間違いー」
雫(紀子)が叫ぶー。
「--これ以上、わたしを見下すな!」
雫(紀子)は、そう言うと、紀子(雫)に近づいてー
キスをしようとしたー
”もう一度、入れ替わろうと”しているー。
「---紀子ちゃん!」
紀子(雫)が叫んだー
「こんなことしたって、何も変わらないよ!!!
お願いだから、もうやめて!」
今の紀子じゃー
何度入れ替わったってー
結果は同じー
紀子の望むような結末は、訪れないー
”外見”は手に入ってもー
”相手の立場”を奪ったとしてもー
今の紀子ではー
それを”積み木”のように、簡単に崩してしまうー
「--変わるよ!わたしよりバカなあんたには分からないから!」
雫(紀子)は、紀子(雫)を強引に抱きしめてー
そして、キスをしたーーー
倒れるふたりー
しばらくして、紀子が起き上がるー
「--ふふふふふ……上梨さん…わたしを見下した罰…!」
紀子は、雫が意識を取り戻す前に、空き教室から立ち去るー。
”二度とわたしを見下すことができないように
滅茶苦茶にしてから、もう一度入れ替わるー”
紀子は凶悪な笑みを浮かべるー
ゾンビ??
ゾンビ????
ゾンビ?????
誰がゾンビだ!!!
ゾンビはあんたたちよ!
紀子はー
一度自分の身体に戻り、
滅茶苦茶な行動を繰り返して、
”地獄のような状況”にしたあと、
3度目の入れ替わりを起こそうとしていたー。
”あんたには絶対に邪魔させないー”
・・・・・・・・・・
”元の身体”に戻って目を覚ました雫は、
「紀子ちゃん…」と呟いたー
見下してなんかいないー
そんなこと、考えたこともないー
雫は、本気で、紀子のことを助けたいと思っているし、
心配しているー
「----」
雫は腕を見るー。
リストカットのような小さな傷跡があるー。
「----……」
紀子が、雫の身体で勝手にやったことだー。
「--紀子ちゃん…
あなたは…」
雫はそう呟くと、寂しそうに歩きだしたー
・・・・・・・・・・・・
翌日ー
紀子のせいで、雫は、周囲から距離を置かれていたー。
雫は、辛い気持ちになりながらも、
いつものようにふるまうことでー
周囲も、不思議に思いながらも、雫に接してくれたー。
しかしー
「--ぎゃははははははははぁぁぁぁぁ~~~!」
”紀子ちゃんのこと、どうすればー”
と思っていた雫は、唖然とするー
教室に、髪がぼさぼさで、パジャマ姿のような
紀子が入ってきたのだー。
そして、教室で暴れ始める紀子ー
「--!?」
平八や千代も驚いているー
紀子は、教室で滅茶苦茶に暴れるとー
机を放り投げたり、
ガラスを割ったりー
げらげら笑いながら、文字通り”暴走”したー
悲鳴を上げるクラスメイトたちー
雫と入れ替わっている間、
紀子は”いじめを受けない”状態にまで
周囲との関係を改善させていたー。
中身が”雫”だったからだー。
だがー
紀子はそれを”ぶち壊そう”としていたー。
暴れる紀子ー
狂ったように笑いながら、平八と千代に襲い掛かるー
「おい!マジで何やってんだよ!?」
平八が叫ぶー。
紀子はそれを無視してー
千代に机を投げつけたー
「えっ!?」
驚く千代ー
そしてー
千代に机が直撃して、千代は悲鳴を上げて倒れたー
雫が止めに入ろうとするー。
「紀子ちゃん!もうやめて!」
とー。
紀子は鬼の形相で叫ぶー。
「--わたしを二度と見下せないようにしてやる!!!!!」
狂ったように叫びながらー
紀子は、暴れ終えるとー
滅茶苦茶になった教室で、笑みを浮かべたー
「--上梨さん、これでもう、二度とわたしの邪魔はできないー」
紀子が凶悪な笑みを浮かべたー
「どういう…こと…?
こんなことしたら…紀子ちゃん…」
雫は、泣きそうになりながら紀子を見るー
ここまで派手に暴れてしまったら
紀子は下手をすれば退学だー。
もう、後戻りすらできないー
いじめられるとか、そういう問題ですらないー
紀子の人生は、滅茶苦茶ーーー
「--自分の人生滅茶苦茶にして、紀子ちゃんはそれでいいの!?」
雫が涙を流しながら言うー。
もう、手遅れー
こんなに暴れてしまったら、紀子はーーー
「-------滅茶苦茶になるのは、あんた」
紀子はにやりと笑ったー
ーー!?!?
雫がハッとした時には遅かったー。
紀子が雫にキスをしてーー
再び”入れ替わった”
暴れたのは”わざとー”
今度こそ、邪魔させないー
紀子は、本気で、
雫の身体を奪ったのに、わたしの身体になった雫が、
可愛くなったわたしに嫉妬して、邪魔をして
友達を奪おうとしているーと、そう思っていたー
だから、2度と邪魔をされないように、
”紀子”の評判をズタボロにするためー
一度身体を元に戻しー
こうして、紀子として暴れてー
大惨事を引き起こしてー
”さらにもう一度入れ替わる”ことでー
”暴れた紀子”としての身体を、雫に与えるー。
それが、紀子の目的だったー
再び入れ替わって雫の身体を手に入れた紀子は、
暴れ終えた紀子の身体になってしまった雫に向かって微笑んだー
「--わたしを、見下した、罰!」
雫(紀子)が鬼のような形相で叫ぶー。
「----こんなことして…」
紀子(雫)は、泣きながら雫(紀子)の方を見るー
「----今の紀子ちゃんじゃ…誰の身体になっても…
わたしの身体になっても、嫌われるだけ!!!
自分で気づけないと、紀子ちゃんは、ずっとずっと、今のまま!」
紀子(雫)が泣きながら言うー。
周囲のクラスメイトたちは、紀子が暴れたことに
パニックを起こしていて、二人の話をまともに聞いているクラスメイトは
いなかったー。
「--ふふふふ、そんなことない。
わたしはクラスの人気者の上梨 雫として生きていくの」
雫(紀子)は笑ったー。
先生たちが、駆け付けて来るー。
紀子(雫)が、連行されていくー
これで、紀子(雫)は退学ー
最低でも、停学ー
もう、誰もまともに”紀子”と接するコはいないだろうー。
これでーー
もう、”誰にも邪魔されない”
「--もう、わたし…誰にも見下されない…!」
”ゾンビ”がいなければー
もう、誰にも見下されないー
雫(紀子)は、その場で一人笑みを浮かべた
「--わたしは、可愛くて何でもできて
クラスの人気者になるの…!
ふふふ、、、やった…やったああああああああああ!」
荒れ果てた教室で、一人、げらげら笑いながら、
雫(紀子)は、狂気的な表情を浮かべて
ガッツポーズをしたー
⑤へ続く
・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~!
救いの手をも、跳ねのけて
身体を奪って暴走する紀子ちゃんの運命は…!?
ぜひ見届けて下さいネ~!