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「---ふふ」

雫(紀子)は入れ替わり薬を飲んで笑みを浮かべたー


”これで、いつでもまた入れ替われるー”


紀子は、既に入れ替わり薬を飲んでいるがー

一定期間で効果は切れるようだし、

何より、今は雫の身体だから、

もう一度入れ替わるためには、雫の身体で

入れ替わり薬を飲む必要があったー


雫(紀子)は怒りの形相で学校に登校するー。


いつの間にかー

雫になった紀子の周りには、

クラスメイトが集まらなくなっていたー。


それどころかー

紀子(雫)の周りに、いじめをしていたはずの

平八や千代まで、集まるようになっていたー。


紀子(雫)は、申し訳なさそうに、雫(紀子)の方を見ているー。


”---お願いだから、気づいて”

紀子になった雫は、雫になった紀子の方を見ながら

そう思っていたー


いじめは、許されることではない。

だからこそ、雫も、紀子を助けようと、

千代や平八たちに口を酸っぱくして、注意を続けてきた。


しかしー

いじめのきっかけは、何だったにせよ、

今の紀子は”歪んで”いるー。


何度入れ替わろうとー

紀子の振る舞いでは、

周囲から人は、離れてしまうー。


”紀子ちゃんの振る舞いはー

 あなたの振る舞いは、間違ってるー”


紀子(雫)はそう思いながら、雫(紀子)の方を見つめるー


紀子の身体のままであろうとー

雫の身体になろうとー

いや、他の誰になろうと、

今の紀子の態度ではー

絶対に孤立してしまうー。


「---あれぇ~~??

 みんな、ゾンビとしゃべってるとか、マジで笑えるんですけどぉ~!」

雫(紀子)が、紀子(雫)の方に近づいてくるー。


千代や平八、他のクラスメイト数名が

雫(紀子)の方を見るー


紀子(雫)は、「---……もう、やめて」と、悲しそうに呟くー


あくまでも”入れ替わり”のことは、周囲には言わずにいる

紀子(雫)-

これもまた、紀子のためにと、思ってのことだった。


「---はぁ?うっさいわね!ブス!」

雫(紀子)はそう吐き捨てるー


周囲のクラスメイトたちは、

雫(紀子)の方を見て、冷たい目線を送っているー。


ここ最近の雫の豹変ー

あまりにも”横暴な態度”に、

千代や平八までもが、引いているー。

自分たちが、いじめをしていたことを棚に上げて考えてしまうほどにー

今の雫(紀子)の態度は酷かったー。


「なにその目?」

雫(紀子)が不満そうに言う。


「-----あんた!ゾンビゾンビっていつもその女をいじめてたじゃない!」

雫(紀子)が平八を睨みながら叫ぶー。


「-ほら!もっといじめなさいよ!もっとやりなよ!ほら!やれよ!」

雫(紀子)が鬼婆のような表情で叫ぶー。


「---…か、、、上梨さん…最近…ちょっとさ…変だよ…」

平八は困り果てた様子で言うー。


「--あんたも!」

雫(紀子)は、わがままお嬢様の千代の方を見るー


「---……」

千代は、雫(紀子)の方を、引いた目で見ているー。


「---っ、何その目!?

 あ~~そっかそっか。

 あんたよりわたしの方が可愛いから、嫉妬してるんでしょ?」

雫(紀子)がクスクス笑いながら言うー。


「は?」

千代が不満そうに、雫(紀子)を睨むー


紀子(雫)はたまらず「みんな!やめて!」と叫ぶー


平八も、千代も、雫になった紀子も、不満そうに

座席に戻っていくー


雫(紀子)は座席に戻ると、爪をガリガリかじり始めたー


”許せないー”

”許せない許せない許せない許せないー”


昼休みー

鬼のような形相で、トイレに入った雫(紀子)は

鏡を見つめるー


雫の綺麗だった顔が、歪んでいるー

まるで、悪鬼のようにー


まるで、”ゾンビ”のようにー


「うあああああああああああああああっ!!!!」

雫(紀子)は、一人、鏡を何度も何度も殴り続けるー。


「--ゾンビ!ゾンビ!ゾンビ!!

 わたしはゾンビじゃないぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

手から血が流れだすー


「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ」

雫(紀子)が、髪をボサボサにしながら笑いだすー。


「--はぁぁ……偽善者の身体なんて、ぜんぜんダメじゃん…

 人気も、可愛さも、ぜーんぶ偽物!

 こんなゴミみたいな身体いらない!

 クーリングオフしてやる…!」

支離滅裂な言葉を吐き出す雫(紀子)ー。


「--ブス!!」

鏡の雫に向かって叫ぶー


雫(紀子)の顔が、

陰険そうな表情を浮かべているー

中身の紀子の性格が、雫の綺麗な顔を

ここまで歪めてしまっているー


「ブス!ブス!!ブス!!!

 ブスはわたしじゃない、お前だ!!!!」

鏡に指を突き立てて叫ぶ雫(紀子)-


決めたー

また”入れ替わって”やるー。


入れ替わればー

”今のわたし”は、もういじめを受けないー


「ふふ、、、ふふふふ…あははははははは!」


そうー

今の”紀子”は、平八からも、千代からも

いじめを受けなくなっているー


そして、

今の”雫”は孤立気味だー


だったら、”わたしの身体”を返してもらえばいいー


もう一度、入れ替わればいいー。


・・・・・・・・・・・・


放課後ー


雫(紀子)は、紀子(雫)を呼び出したー。


「-----…紀子ちゃん」

紀子(雫)は空き教室に入って来ると、

雫(紀子)の方を見た。


雫(紀子)は、目を充血させながら笑うー。


「ーーーーあんた、どこまでわたしを見下そうとするの!?」

雫(紀子)の言葉に、

紀子(雫)は、悲しそうな目をするー


「わたしの邪魔ばっかして…!

 可愛くなったわたしに嫉妬して、

 わたしから友達を奪ってー

 あんたはわたしを孤立させようとしている!

 あんたはわたしをブスにしようとしてる!」


雫(紀子)が、顔をぐしゃぐしゃに歪めたような

凶悪な表情で言うー。


「--わたしを助けたい???

 偽善者!!あんたはわたしを見下してるだけよ!」


雫(紀子)が、支離滅裂なことを叫ぶー

紀子(雫)は悲しそうに、雫(紀子)を見つめているー。


「---紀子ちゃん。お願いだからー落ち着いて」

紀子(雫)が言うー。


「--自分の思い通りになってたのしい???

 入れ替わったわたしを孤立させて、

 見下してるんでしょ!?


 でもね、

 あんたの思い通りになると思ったら大間違いー」

雫(紀子)が叫ぶー。


「--これ以上、わたしを見下すな!」

雫(紀子)は、そう言うと、紀子(雫)に近づいてー

キスをしようとしたー


”もう一度、入れ替わろうと”しているー。


「---紀子ちゃん!」

紀子(雫)が叫んだー


「こんなことしたって、何も変わらないよ!!!

 お願いだから、もうやめて!」


今の紀子じゃー

何度入れ替わったってー

結果は同じー

紀子の望むような結末は、訪れないー

”外見”は手に入ってもー

”相手の立場”を奪ったとしてもー

今の紀子ではー

それを”積み木”のように、簡単に崩してしまうー


「--変わるよ!わたしよりバカなあんたには分からないから!」

雫(紀子)は、紀子(雫)を強引に抱きしめてー

そして、キスをしたーーー


倒れるふたりー


しばらくして、紀子が起き上がるー


「--ふふふふふ……上梨さん…わたしを見下した罰…!」

紀子は、雫が意識を取り戻す前に、空き教室から立ち去るー。


”二度とわたしを見下すことができないように

 滅茶苦茶にしてから、もう一度入れ替わるー”


紀子は凶悪な笑みを浮かべるー


ゾンビ??

ゾンビ????

ゾンビ?????


誰がゾンビだ!!!

ゾンビはあんたたちよ!


紀子はー

一度自分の身体に戻り、

滅茶苦茶な行動を繰り返して、

”地獄のような状況”にしたあと、

3度目の入れ替わりを起こそうとしていたー。


”あんたには絶対に邪魔させないー”


・・・・・・・・・・


”元の身体”に戻って目を覚ました雫は、

「紀子ちゃん…」と呟いたー


見下してなんかいないー

そんなこと、考えたこともないー

雫は、本気で、紀子のことを助けたいと思っているし、

心配しているー


「----」

雫は腕を見るー。


リストカットのような小さな傷跡があるー。


「----……」

紀子が、雫の身体で勝手にやったことだー。


「--紀子ちゃん…

 あなたは…」

雫はそう呟くと、寂しそうに歩きだしたー


・・・・・・・・・・・・


翌日ー


紀子のせいで、雫は、周囲から距離を置かれていたー。

雫は、辛い気持ちになりながらも、

いつものようにふるまうことでー

周囲も、不思議に思いながらも、雫に接してくれたー。


しかしー


「--ぎゃははははははははぁぁぁぁぁ~~~!」


”紀子ちゃんのこと、どうすればー”

と思っていた雫は、唖然とするー


教室に、髪がぼさぼさで、パジャマ姿のような

紀子が入ってきたのだー。


そして、教室で暴れ始める紀子ー


「--!?」

平八や千代も驚いているー


紀子は、教室で滅茶苦茶に暴れるとー

机を放り投げたり、

ガラスを割ったりー

げらげら笑いながら、文字通り”暴走”したー


悲鳴を上げるクラスメイトたちー


雫と入れ替わっている間、

紀子は”いじめを受けない”状態にまで

周囲との関係を改善させていたー。


中身が”雫”だったからだー。


だがー

紀子はそれを”ぶち壊そう”としていたー。


暴れる紀子ー

狂ったように笑いながら、平八と千代に襲い掛かるー


「おい!マジで何やってんだよ!?」

平八が叫ぶー。


紀子はそれを無視してー

千代に机を投げつけたー


「えっ!?」

驚く千代ー


そしてー

千代に机が直撃して、千代は悲鳴を上げて倒れたー


雫が止めに入ろうとするー。


「紀子ちゃん!もうやめて!」

とー。


紀子は鬼の形相で叫ぶー。


「--わたしを二度と見下せないようにしてやる!!!!!」


狂ったように叫びながらー

紀子は、暴れ終えるとー

滅茶苦茶になった教室で、笑みを浮かべたー


「--上梨さん、これでもう、二度とわたしの邪魔はできないー」

紀子が凶悪な笑みを浮かべたー


「どういう…こと…?

 こんなことしたら…紀子ちゃん…」

雫は、泣きそうになりながら紀子を見るー


ここまで派手に暴れてしまったら

紀子は下手をすれば退学だー。

もう、後戻りすらできないー

いじめられるとか、そういう問題ですらないー

紀子の人生は、滅茶苦茶ーーー


「--自分の人生滅茶苦茶にして、紀子ちゃんはそれでいいの!?」

雫が涙を流しながら言うー。


もう、手遅れー

こんなに暴れてしまったら、紀子はーーー


「-------滅茶苦茶になるのは、あんた」

紀子はにやりと笑ったー


ーー!?!?


雫がハッとした時には遅かったー。

紀子が雫にキスをしてーー


再び”入れ替わった”


暴れたのは”わざとー”


今度こそ、邪魔させないー


紀子は、本気で、

雫の身体を奪ったのに、わたしの身体になった雫が、

可愛くなったわたしに嫉妬して、邪魔をして

友達を奪おうとしているーと、そう思っていたー


だから、2度と邪魔をされないように、

”紀子”の評判をズタボロにするためー

一度身体を元に戻しー

こうして、紀子として暴れてー

大惨事を引き起こしてー

”さらにもう一度入れ替わる”ことでー

”暴れた紀子”としての身体を、雫に与えるー。


それが、紀子の目的だったー


再び入れ替わって雫の身体を手に入れた紀子は、

暴れ終えた紀子の身体になってしまった雫に向かって微笑んだー


「--わたしを、見下した、罰!」

雫(紀子)が鬼のような形相で叫ぶー。


「----こんなことして…」

紀子(雫)は、泣きながら雫(紀子)の方を見るー


「----今の紀子ちゃんじゃ…誰の身体になっても…

 わたしの身体になっても、嫌われるだけ!!!

 自分で気づけないと、紀子ちゃんは、ずっとずっと、今のまま!」

紀子(雫)が泣きながら言うー。


周囲のクラスメイトたちは、紀子が暴れたことに

パニックを起こしていて、二人の話をまともに聞いているクラスメイトは

いなかったー。


「--ふふふふ、そんなことない。

 わたしはクラスの人気者の上梨 雫として生きていくの」

雫(紀子)は笑ったー。


先生たちが、駆け付けて来るー。


紀子(雫)が、連行されていくー


これで、紀子(雫)は退学ー

最低でも、停学ー

もう、誰もまともに”紀子”と接するコはいないだろうー。


これでーー

もう、”誰にも邪魔されない”


「--もう、わたし…誰にも見下されない…!」

”ゾンビ”がいなければー

もう、誰にも見下されないー


雫(紀子)は、その場で一人笑みを浮かべた


「--わたしは、可愛くて何でもできて

 クラスの人気者になるの…!


 ふふふ、、、やった…やったああああああああああ!」


荒れ果てた教室で、一人、げらげら笑いながら、

雫(紀子)は、狂気的な表情を浮かべて

ガッツポーズをしたー


⑤へ続く


・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!


救いの手をも、跳ねのけて

身体を奪って暴走する紀子ちゃんの運命は…!?


ぜひ見届けて下さいネ~!

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