<入れ替わり>あなたはわたしを見下している①~光と闇~ (Pixiv Fanbox)
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”どうして、こんな目に遭うのか”
彼女は、いつもそう思っていたー。
高校2年生の風原 紀子(かざはら のりこ)は、
小さいころから、”いじめ”を受け続けてきた。
理由は、簡単だったー
”容姿”-
紀子の顔立ちは、特徴的で、
同級生たちから”ブス”と言われることが多かったー。
好きでこの顔に生まれたわけじゃないし、
容姿のことなんて、言われても、どうすることもできないー
背伸びして、おしゃれをしたりしようとすれば
”ゾンビがおしゃれしてる”などと笑われたりー、
何もしなければ”あんたさぁ、少しは自分を変えようと思わないの?”と
言われたりー。
世の中は、理不尽だ。
容姿を理由にした”いじめ”なんて、理不尽だ。
でもーーー
この世は、綺麗な世界じゃない。
ファンタジーの世界じゃない。
だからー
”そういういじめ”は、なくならないー。
紀子は、諦めていた。
”人間”という存在に対して
”諦め”を抱いていた。
どうせ人間なんて、こんなものだと、諦めていた。
「----うわっ!ゾンビが来た!」
男子生徒の久木野 平八(くぎの へいはち)が
笑いながら言うー。
生徒会書記、というポジションにいて、
先生からの評判も”優等生”-
「----」
紀子は、反応しない。
「--しっかし、あんた、ブスだよねぇ~!」
クラスのおしゃれ女子・坂田 千代(さかた ちよ)が
笑いながら近づいてくるー
「---そういうの、いいから」
紀子が冷めた様子で言うと、
千代は舌打ちをしたー。
「----ゾンビのくせに、口応えすんな!」
と、紀子の髪を引っ張りながらー。
”ほんと、きもい!”と捨て台詞を吐きながら
立ち去っていく千代ー。
男子もー
女子もー
味方なんていないー
小学校でも、
中学校でも、ずっとそうだったー。
男子からも、女子からもいじめられ、
先生は助けてくれないし、
両親も”きれいごと”を言うだけー。
誰も、何も、助けてくれないー
けれどーーー
この高校ではーー
”味方”が一人だけいたー
「---大丈夫?」
優しい笑顔を浮かべるその子はーーー
紀子に”唯一”手を差し伸べてくれる
”太陽”のような存在だったー。
上梨 雫(かみなし しずく)-
クラス一の美少女と言ってもいいほど、可愛く、
明るく、友達も多い生徒だー
成績もクラストップクラスで、生徒会副会長も
務めているー
まさにー
容姿に恵まれず、友達0で、成績はボロボロな
紀子とは全く”正反対”と言える、
キラキラした女子だったー
そんな雫がー
”なぜか”紀子に手を差し伸べてくれているー
いじめられていれば助けてくれるし、
心配もしてくれるー。
おしゃれ女子の千代に対しても
「あんまりそういうひどいことしちゃだめだよ!」と
繰り返し、注意してくれているー。
「--わたしなんかと関わってると…
上梨さんも、いじめられちゃうよー?」
ある時、自分のことを助けてくれる雫に対して
紀子が不安そうに言ったー。
「----そんな心配しなくていいの!」
雫がやさしく笑いながら、紀子の方を見つめるー
「--困ってる友達がいたら、助けるのは、当たり前でしょ?」
雫は、にっこりとほほ笑んだー
雫の笑顔はー
紀子には、まぶしすぎたー
光の中を堂々と歩む雫ー
男子からも、女子からも人気があってー
容姿にも恵まれていてー
学力も、スポーツも、なんでもそつなくこなすー。
とてもやさしい性格に、それでいて、容姿や自分が勉強できることを
自慢するような態度も見せないー
まさに”理想”のような子ー
まさに、紀子とは、正反対の子ー
「----元気出して…!ね!」
雫が、やさしく紀子に向って言う。
今日もー
紀子はいじめを受けていたー。
いつものように、雫が紀子を助けてくれてー
いじめは収まったー
しかしー
紀子は最近、”ある感情”を抱いていたー
「----ねぇ」
紀子が口を開くー
「----え?」
雫が紀子の方を見るー
「ずっとずっと、なんで上梨さんみたいな人が
わたしのことなんて助けてくれるんだろう…?って
そう思ってたんだけどー
最近、やっとわかったの」
紀子が、ゆがんだ笑みを浮かべるー。
元々特徴的な顔立ちが、さらに特徴的になるー。
「---わたしのこと、見下してるんだよね?」
紀子は、ひと思いに、そうつぶやいたー
「え???」
予期せぬ言葉に、雫は混乱したー。
「---こんなブスで、何にもできないゴミみたいなわたしを
助けて、優越感に浸ってるんでしょ?」
紀子は自虐的に笑いながらつぶやくー
雫のような”キラキラした人生”を歩む人間が、
自分を助けてくれるわけなんて、ないのだ。
きっと、雫は、”自分より遥か格下”の女子である
自分を助けることで、優越感に浸り、見下し、
楽しんでいるのだー
「---ふふ」
雫は、思わず笑ってしまったー
「---そんなわけ、ないでしょ」
雫がやさしく微笑むー
「わたしは、紀子ちゃんのこと、本当に友達だと思ってるし、
見下してなんかいない」
雫が言うー。
”優等生”のような回答ー
紀子は、その答えにも腹が立ったー
「---……どうせ、、どうせ、他のみんなと組んで
わたしを笑ってるんでしょ!」
不貞腐れた様子で叫ぶ紀子。
雫だけが自分を助けてくれるー
なんて、おかしいー
本当は、いじめっ子の平八や千代らと組んでいるのではないか。
助けるふりをして、裏で笑っているのではないか。
そうじゃないとおかしいー。
雫がどんなに千代たちを止めても、いじめがやまないし、
”いじめられっ子”をかばっているのに、雫が
巻き添えを食らっていじめられる様子もないー。
「----…ちょ、ちょっと、そんなことあるわけ…」
雫は戸惑っているー
まさか”共犯”扱いされるなんて思ってもみなかったー
「-だって、あいつらとしゃべってるの、わたし、見たもん!」
紀子が叫ぶー
紀子をいじめている生徒と、雫がしゃべっているのを何度か見ているー。
その言葉に、雫は困り果てた様子で呟いたー
「あ、、あのね…なんて言ったらいいかな…?
用があるときは、話しかけるし、
話しかけられたら無視するわけにもいかないでしょ?」
雫が紀子を助けたいと思っている気持ちはー
”本当”だー。
紀子の言うように、平八や千代と組んでいたりすることはないし、
見下しているつもりもないー。
しかしー
いじめを受け続けて歪んでしまった紀子は、
そうは思わなかったー
「嘘!!わたしを見下してる!」
紀子が涙を浮かべながら叫ぶー
「---ちょ、、、おちついてよ…!」
雫が困り果てた様子で言うー
「-そうやって、ブスを見下して楽しい?
自分はキラキラした人生を歩んでるから、
わからないよね?」
紀子が涙目になりながら言うー。
「---み、、見下してなんかないってば!
わたしは、、わたしは、本当に紀子ちゃんを
助けたいし、心配してるの!」
雫が、少しだけ口調を強めて反論したー。
「---ふ~~~ん」
紀子は、不貞腐れた態度で頷くと
そのまま、雫の前から立ち去って行ったー
「---紀子ちゃん…」
雫は心配そうに、紀子の後ろ姿を見つめたー
・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
味方だと思っていた雫も敵だったー!
紀子はそんな風に思いながら、
スマホで何かを検索していたー
”復讐”
”復讐”
”復讐”
”復讐”
”復讐”
何度も何度もそのワードを検索して
血走った目で検索結果を見つめているー
そしてーーーー
”あの子の人生を奪える最新の復讐方法ー!”
そんな広告が目に入ったー
「---!!」
紀子は目を見開いたー
”入れ替わり薬”
自分と、相手の身体を入れ替える薬ー
それを見た紀子は、一人、クスクスと笑い出したー
「--困ってる友達がいたら、助けるのは、当たり前でしょ?」
綺麗ごとを言う雫のことを思い出すー
「--ーーーそんなにわたしのこと心配だって言うなら…
証明してみなよ」
そう呟くと、紀子はためらわず、入れ替わり薬を注文したー
・・・・・・・・・・・・・
1週間後ー
いじめは、相変わらず続いていたー
「--うわっ!風原菌を移すな!」
紀子に触れた男子の一人が、
いじめ男子のリーダー格・平八に触れて笑っているー
クラスでよくある光景ー。
”紀子に触れると、風原菌が移るー”
そんな、いじめが行われているのだー。
「--やめなよ。」
近くの座席にいた雫が言うと、
平八は「あ、、、う、、うん、ごめん、つい」と
顔を赤らめながら、すぐに言われた通りにしたー
生徒会書記の平八は、副会長である雫のことが好きだったー
雫に言われるといつも、すぐにいじめを止めるー。
そして、雫のいない場所で、紀子をいじめることが多かったー
”まるで、台本があるみたい”
紀子は、そう思ったー
実際にはー平八と雫が”組んでいる”なんてことはないのだが、
いじめを受け続けて疑心暗鬼になっている紀子は、
そう思わずにはいられなかったー
「----(でも、いいけど)」
紀子は、カバンの中を見つめるー
”入れ替わり薬”
昨夜ー
先週注文した入れ替わり薬が届いたのだー。
これでー
こんなブスな身体とは、お別れー
紀子は、雫の方を見つめるー
”あんたの身体、もらうからー”
とー。
・・・・・・・・・・・・・・
昼休みー
紀子は、雫を空き教室に呼び出していた。
空き教室にやってくる雫ー。
「ーーごめん!ちょっと遅れちゃった」
生徒会の打ち合わせがあって、
待ち合わせに遅れてしまった雫が、苦笑いしながら謝罪の言葉を口にするー
「---ねぇ」
紀子は口を開いたー
「--上梨さんは、わたしのこと、助けようとしてくれてるんだよね?」
紀子の言葉ー
雫は”何をいまさら”という感じで、
「友達だから」と、笑顔で即答したー
「--でも、ごめんね…。
わたしの力が足りなくて、みんななかなか…」
「--いいよ、そんなこと」
紀子が愛想なく言うー。
いじめは消えないー
そんなことは分かっている。
雫に謝られても、そんなの、何の意味もない。
「--じゃあさ、その身体をちょうだい」
紀子が、にっこりとほほ笑むー
いつもにこにこしている雫の表情からー
初めて笑顔が消えたー
「え…?どういうこと?」
雫が”気味の悪いもの”を見る目で、紀子を見るー
「---わたしを助けたいんでしょ?
だったら、上梨さんのその、かわいい顔、わたしに頂戴」
紀子が言うと、
雫は、「な、、何を言ってるの…?」と、表情を歪めたー
「ほら!その顔!他のやつらと同じ!
”化け物”を見る顔!」
紀子が雫を指さすー。
既にーーー
入れ替わり薬は飲んであるー。
あとは、奪うだけー
「--ちょ、ちょっと待ってよ!?どういうこと!?
意味がわからないよ!?」
雫は、戸惑った様子で言うー
雫の反応は、ごく普通の反応と言えるだろうー。
しかし、極度の人間不信に陥っている紀子は
”これが雫の本性だ”と勘違いしたー
「---あんたにブスの気持ちなんてわからないもんね!」
紀子が叫ぶー
「--の、、紀子ちゃん、落ち着いて!」
雫が叫ぶー。
「--あんたがブスになって、わたしがクラスの人気者になるの!」
紀子はそう叫ぶと、雫に突然抱き着いて、キスをしたー
「むぐっ!?」
雫が目を見開くー
ぐちゅぐちゅと音を立てながら
無理やり激しいキスをする紀子ー
クラス一のブスといじめられている紀子と
クラス一の美少女と言われる雫がー
空き教室で、激しいキスをしているー
雫の目から涙があふれるー
「は、、放して…!」
と、苦しそうに呟く雫ー
そんな言葉も無視して、空き教室の壁にキスしたまま
雫を落ち着けると、紀子はさらに激しく雫にキスをするー
もがく雫ー
やがて、雫と紀子はそのまま、空き教室に倒れこんだー
雫が仰向けにー
紀子がその上に覆いかぶさるようにしてうつぶせにー
しばらくしてーー
「----……ふふ…ふふふふ…やった…」
雫が嬉しそうに呟くー
仰向けのまま自分の手を見つめて呟くー
「やったー…
わたしが、、わたしが 上梨 雫よ…!
やった…!やった!
もう、ブスじゃない!」
雫と紀子はーー
入れ替わったー
クラス一の美少女の身体を手にした紀子は、
雫の身体で笑うー
「-もう、わたしはブスでも豚でもない!」
雫(紀子)がケラケラ笑いながら叫ぶー
上に覆いかぶさったままの元・自分の身体ー
紀子(雫)を、「邪魔!」と、ごみのようにどかすと、
雫(紀子)は立ち上がったー
「やった!!!やった!!!!!あはははははっ♡」
嬉しそうに顔をべたべた触る雫(紀子)-
「---……う、、、うそ…」
紀子(雫)も意識を取り戻したー
入れ替わってしまったことに驚愕する紀子(雫)-
「---どう?自分が見下してたわたしになった気分は?」
雫(紀子)が勝ち誇った表情で言うー
いつものような、穏やかな笑みは、そこにはないー
紀子(雫)が、困り果てた様子で「これは…どういうことなの?」
と呟いているー
そんな紀子になった雫に対してー
雫になった紀子は、ほほ笑んだー
「--あんたがブスになってー
わたしが、可愛くて、なんでもできる、上梨雫になったの!!!」
雫(紀子)が狂気をはらんだ笑みを浮かべるー。
「そ、、そんな…!」
紀子(雫)の戸惑っている様子を見ながら、
雫(紀子)は叫んだー
「わたしをいじめから助けてくれてありがとうー!」
とー。
”人気者”の身体を奪ったー
これでもう、わたしは、誰にも見下されないー
”わたしは、もう、ゾンビじゃないー
かわいい女の子よー”
雫の身体を奪った紀子は、不気味な笑みを浮かべた-
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・
コメント
女子同士の入れ替わりデス~!
いつも男女の入れ替わりがほとんどなので、
たまには女子同士も、ということで考えてみました!
続きはまた近日中に!
今日もありがとうございました!!