<女体化>異世界の星空⑮~光~ (Pixiv Fanbox)
Content
最愛の彼女の笑顔が、脳裏に浮かぶー
亜優美の存在は、和哉にとって”支え”だったー。
けれどー
その亜優美は、もういないー。
皇帝・ゼロに洗脳された亜優美は、
ヒルダと名乗り、姿が同じでもー
まるで別人のような、冷徹な悪女になってしまったー。
親友の省吾の姿が、脳裏に浮かぶー
小さいころから、一緒に、時には真面目にー
時には馬鹿馬鹿しいこともしながらー
共に歩んできたー
だが、その省吾は、和哉への嫉妬に囚われてー
いつの間にか、和哉たちの仲を引き裂こうとしていたー。
そしてー
異世界にやってきた今ー
闇の帝国の”ダーク将軍”として、和哉の前に立ちはだかっているー
彼女も
親友もー
自分の身体でさえも、和哉は失ってしまったー
「--俺に」
和哉はつぶやくー
「今の俺にはー
何が残っているのかー」
・・・・・・・・・・・・・・・・
★主要登場人物★
藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫
異世界に転生後、女体化。行方不明のアリシア姫と間違えられてしまうことに…。
高梨 亜優美(たかなし あゆみ)/ヒルダ
和哉の恋人。異世界ではヒルダと名乗り、敵対している。
神埼 省吾(かんざき しょうご)/ダーク将軍
和哉・亜優美の共通の友人。歪んだ嫉妬心から、敵対する。
ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア
王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。
ラナ
アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。
エックス
自らを死神と語る謎の生命体
グール伯爵
皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。ミリアの実の父。
皇帝ゼロ
闇の帝国の皇帝。強大なエナジーを持つ。その正体は不明。
※登場人物詳細
(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に
プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、
お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)
fanbox post: creator/29593080/post/1260447
・・・・・・・・・・・・・・
ダーク将軍=神崎省吾が放った黒い霧がー
辺りを包み込むガラム海岸ー。
その霧はー
今の和哉の心を表しているかのようだったー
「----省吾…」
剣を握りしめる和哉ー
「ははっ!俺に勝てるつもりか?
元の世界ではいつもいつもいつも、お前の方が上だったけどよ…
ここじゃ、そうはいかねぇ」
馬に乗った省吾が、斧を手に、闇のオーラのようなものを放つー。
「--俺は…この世界のエネルギー”エナジー”も使えるんだぜ?
お前はどうだ?
使えるのか?
エナジーを。」
馬鹿にした様子で、省吾が言うー
「---くっ」
和哉が表情を歪めるー
和哉は、この世界のエネルギー”エナジー”を使った戦闘を
行うことができないー。
「--ははっ!はははははっ!無理すんなよ和哉!」
省吾が、和哉の方を指さすー
「--エナジーなしで、俺に勝とうって言ったって
そうはいかねぇ。
死にたくなけりゃ、そこで、俺に命乞いしろよ。
親友のよしみで、命ぐらいは助けてやるぜ」
省吾の言葉に、
和哉は動じないー
「省吾……俺は、、俺は、、お前をずっとずっと、親友だと思ってたのに…!」
和哉が悔しそうに剣を握りしめるー。
「---ほら、さっさと俺に命乞いしろよ。
そしたら、俺の女にしてやってもいいんだぜ?
か・ず・や・ひ・め」
挑発的に女体化した和哉をあざ笑う省吾ー
「-ーー親友だと思ってたのに、、なんでだぁああああ!」
和哉が取り乱しながら、省吾に向かっていくー
和哉の剣を、その斧で軽く捌くと、
省吾は、斧から、闇の衝撃波を放ち、和哉を吹き飛ばしたー
「--無様だなぁ和哉…
さっき言っただろ?
”仲良し三人組の3番手”の気持ちはお前には分からないってー。
俺はずっとずっと、お前たちに嫉妬してたんだ。
俺を仲間外れにして、二人で脳内お花畑になってるお前たちをな!」
省吾の嫉妬ー
それを理解したうえで、和哉は叫ぶー
「そう思ってるんだったら、俺に、、俺に言ってくれればよかったのに!
小さいころから、俺たち、なんでも話し合える仲だっただろ!?
なんで!?なんで、俺と亜優美を引き裂こうとしたりー
なんで…なんでなんだ!」
和哉が叫びながら省吾の方に向かうー
「--ーーはははっ!華奢な身体だなぁ~?」
省吾が馬から飛び降りて、和哉の背後に回り、
和哉の髪を引っ張りながら笑うー
「--高校時代の剣道部でも、俺はお前に一度も勝てなかったー
でもさー、今は違う」
省吾がにやりと笑うー
「--そんな、立派な胸をぶら下げた身体じゃ、
俺には勝てないぜぇ!!」
省吾が、和哉を蹴り飛ばす。
吹き飛ばされた和哉が、受け身をとって、瞬間的に立ち上がるー
だがー
省吾は、すぐ目の前にいたー。
斧を振りかざす省吾ー
「おらおらおらぁ!」
省吾の激しい攻撃ー
和哉は、省吾の攻撃を防ぐのが、精一杯ー
剣で必死に攻撃を防ぐー
だが、闇のオーラで強化された斧によって、
和哉の剣が吹き飛ばされるー。
和哉がとっさに身体を回転させて、
省吾を蹴り飛ばそうとするも、それすらも衝撃波により
阻止されてー
和哉の身体は宙に舞ったー
「はははははははっ!
無力だなぁ!この世界のお前は!」
省吾が愉快そうに笑うー。
「う…」
和哉は、地面に這いつくばった状態で
拳を握りしめるー
身体にー
身体に、力が入らないー。
倒れた和哉を見つめながら
省吾は笑みを浮かべるー
ガラム海岸を照らす月明りに照らされながらー
黒い霧が周囲を壁のように覆う空間でー
省吾は、和哉を見下していたー
「---かわいいなぁ、和哉」
省吾の言葉に、和哉が顔だけ上げるー。
「--くくく、かわいいよ、ホント」
省吾は、和哉の方に近づいていくー
「---綺麗な髪だなぁ…へへへ」
省吾が、女体化した和哉の髪を
触りながら、和哉を見つめるー。
「アリシア姫…だったか?
姫様そっくりの姿になっちまうなんて…
へへへへ、その身体でエッチはしたのか?」
省吾が、倒れた和哉の前で、ヤンキー座りのような
態勢で笑うー。
「---そ、、そんなことするわけないだろ…!
それに、、この世界に来て、生きるのに必死だったんだ…!
そんなことする余裕なんてあるわけない」
和哉が真面目な答えをすると、
省吾が、両手を広げて、「いやいや、相変わらず真面目だねぇ」と、
笑みを浮かべるー。
「--だからこそ、亜優美ちゃんはお前を選んだ…か」
寂しそうに省吾が呟くー
和哉は苦しみながら、
「お、、、俺が女になった理由も…知ってるのか!?」と、
叫ぶー。
省吾は「知るかよそんなこと」と、即答したー。
省吾の表情から”和哉が女体化した理由”を省吾が知っているようには
見えなかったー。
「---さ~てと」
省吾はそう言うと、呪文のようなものを唱え始めるー。
黒い霧が消えていくー。
エナジーによる”黒い霧”を消しー
ガラム海岸が、再び見晴らしの良い景色を取り戻すー。
騎士団長のユーリスと闇の帝国No2のグール伯爵が
少し離れた場所で戦っているー。
大量のグール伯爵が、ルーレットのように、ユーリスを取り囲んでいるが、
ユーリスもまた、得意の炎を駆使して、
グール伯爵の幻影を次々と消し去り、
一進一退の攻防を続けているー。
海岸の反対側では、侍女のラナが、ヒルダを名乗る亜優美に
ちょうど、吹き飛ばされていたー
ラナの身体が地面に叩きつけられるー
「ラナ!!!亜優美!!!」
和哉が悲痛な声を上げるー
この世界にやってきてからー
何かと世話を焼いてくれる侍女のラナー
そして、元の世界の最愛の恋人・亜優美ー
その二人が殺しあっている最悪の光景ー。
「----ふふふふふ…今度こそ、あんたの血をー」
ヒルダ=亜優美が、笑みを浮かべながら、ラナにとどめを刺そうとするー。
しかし、ラナの頭上から、蛇がヒルダに襲い掛かり、
ヒルダは宙返りして、それを回避したー
「くそっ!邪魔な蛇ね!」
ヒルダが声を荒げるー
ラナは「--いい加減目を覚ましたらどうなの!?」と叫んでいるー
海岸の入口では、アクア王国兵士たちが魔物との戦いを続けているー
「---う…」
和哉は、立ち上がることが出来ず、海岸の砂を手に握りしめて
歯を食いしばるー
「--無様だなぁ、和哉」
省吾がケラケラと笑うー
「お前はただ、そこで這いつくばってみてることしかできないー
仲間が、死んでいく様を」
省吾が霧を晴らした理由はー
和哉に自分の無力さを思い知らせるためー。
「--どうする?和哉?
あのラナちゃんとか言う子を助けたいか?
あの子じゃ、今の亜優美ちゃんには勝てないー
じきにぶっ殺されるだろうよー
あっちのイケメン騎士さんも、いつまでもつかねぇ?」
省吾の言葉に、和哉は「やめろ…」と、泣きそうになりながら言うー
「はははっ!泣け!喚け!命乞いしろ!ほら!」
省吾が笑いながら手を叩くー
「ほら!どうした!?俺に命乞いしろ!
そうだなぁ?俺にキス、あ、いや、一発ヤルか?
くくく、、、
ほら!!!俺に命乞いしてみろよ!」
省吾が挑発を続けるー。
「--きゃあっ!」
ラナが再び吹き飛ばされー
ヒルダ=亜優美が、ラナの手を踏みつけるー
「ふふふふふふっ…あははははははっ♡」
まるで魔女のように笑う亜優美ー。
亜優美はーー
亜優美は、あんな子じゃーー
「---やめろ…やめてくれぇぇ」
和哉が叫ぶー。
ラナと亜優美が戦っている位置までは、
その声も届かないー
「---か、、姫様!」
少し離れた場所でグール伯爵と戦っていたユーリスが
和哉に気づいて、一瞬”和哉”と叫びそうになったが、
すぐに言い直して叫ぶー
「--どこを見ている?」
グール伯爵が、和哉の方を一瞬見たユーリスの”隙”をついて
ユーリスに攻撃を加えるー
「--ぐっ!」
ユーリスは、とっさにそれを回避するもー
かすり傷を負うー。
「---ゲーム・オーバーァァァァァァァ!!!!」
省吾が大声で叫ぶー
狂気的な笑みを浮かべるー
「和哉、お前は終わりだよー。
何にもできやしねぇ。
女体化した身体じゃ、俺にはかてねぇー
しかも、エナジーも使えねぇ。
今のお前は、ゴミくずだー。
あそこのラナちゃんも
騎士団長様も、
みんなみんな、お前の目の前で死んでいくんだ!
お前が弱いから、
お前がくずだからー。
そして、最後は俺に殺されるんだ!和哉ー
はは、大丈夫だって、心配すんな!
亜優美ちゃんは
俺が、たーっぷり、可愛がってやるから、さ」
省吾の言葉に、和哉は
「やめてくれ…」と、言いながら、ぼろぼろの身体を
立ち上がらせるー。
「へへ、無理すんなって」
省吾が笑うー。
和哉が剣を構えるー
とても、戦える状態じゃないー
「やめてくれ…!」
和哉が泣きながら叫ぶー。
省吾は馬鹿にしたようにして笑うー。
「そんなにさっさと死にたいなら望み通りにしてやるぜ」
ダーク将軍こと省吾が、馬に乗って斧を構えるー。
斧に闇のオーラのようなものをまとわせて、
それを構えるー。
「-ーじゃあな和哉!」
省吾が和哉に向って馬を走らせたー
「---俺は…」
和哉は、よろめきながら、
馬に乗りながら走って来る省吾を見つめるー
亜優美の笑顔を思い出すー。
元の世界での大切な人たちを思い出すー。
この世界に来てからのことを思い出すー
王国の行く末を案じながら死んだ世話役のルベール。
それぞれ譲れぬ想いを抱いて戦う4人の騎士団長ー。
文句を言いながらも、何かと気遣いをしてくれるラナー。
「---俺は…俺は死ねないんだ!」
和哉が目に涙を浮かべながら叫ぶー
「---亜優美のことも、、この王国のこともーー
守りたいんだ…!」
和哉の言葉に、省吾は笑うー
「---はははっ!いいぜ和哉!悲劇のヒロインっぽくてさぁ!
でもーーー
お前は、守れねぇよ!
亜優美ちゃんのことも、この世界もー!」
省吾が、もう、目の前に迫っているー
「---俺は…」
一瞬にして、大切な人たちの笑顔が浮かんでくるー
そして、それが砕かれるイメージが浮かんでくるー
守りたいー
なのに、守れないー
”お前は、無力だ”
省吾が囁くー
守らないといけないのにー
俺がここで死んだらー?
亜優美はずっと、洗脳されて、ヒルダとして、
悪女として生きていくー?
俺がここで死んだらー?
元の世界にいる友達や、職場の人たちはー
なんて思うだろうかー?
俺がここで死んだらー
ユーリスやラナは怒るだろうかー
死んだじいさんは、期待はずれだと、嘆くだろうかー
俺はーーー
亜優美の笑顔が、脳裏に浮かぶー
「俺は…死ねないんだぁああああああああ!」
和哉が叫ぶー
「死ぬんだよぉぉぉぉぉぉぉォぉ!!!!!!」
省吾が斧を振り下ろしたー
”あなたに、力をー”
声が聞こえたー
優しく、慈悲に満ち溢れた声がーー
「---!?!?!?!?!?!?」
省吾が表情を歪めるー
「-----うあああああああああああ!!!!」
和哉の身体から、強力な光があふれ出すー
夜のガラム海岸を、照らす、聖なる光ー
戦闘中のユーリスとグール伯爵がそれに気づくー
「あれは…!」
グール伯爵が表情を歪めるー。
「----あの光は……アリシアの?」
騎士団長のユーリスも、表情を歪めてそう呟くー
「---!」
同じく戦闘中だったヒルダとラナも、和哉たちの方を見たー
”これはーーーーー”
自称死神ー・エックスも、その様子を見つめていたー
和哉から放たれる光ー
「-----」
エックスは、静かに笑みを浮かべたー。
「---俺は…死ねないんだぁああああああああああああ!!!」
和哉が、剣にも光を纏わせながら、省吾の斧を吹き飛ばすー
「---バ…馬鹿な!なんで、、何でお前がエナジーを!?!?」
省吾がそう叫びながら、とっさに反撃をしようとするも、
和哉が、強烈な光を放ち、海岸の反対側まで盛大に吹き飛ばされるー
「ぐがぁぁっ…!なんで???どうして!?」
省吾が表情を歪めながら叫ぶー。
「---ああああああああ!」
もう、和哉が目前に迫っていたー
省吾が慌てて和哉の攻撃をガードするー
「--俺は…俺は亜優美も、、、この王国も、、守ってみせる!!」
和哉が叫ぶー
「---か、、、和哉ぁぁぁ!」
なおも反撃しようとする省吾ー
だが、圧倒的な光の前に、省吾は、ガードするのがやっとー。
海を背に、吹き飛ばされると省吾は、膝をついたー。
「---あはっ!調子に乗るのもそこまでよ!」
ラナと戦っていたヒルダ=亜優美が、和哉に剣をふるうー。
和哉が、剣でそれを防ぐー
剣と剣がぶつかり合う中、和哉と亜優美はにらみ合うー。
「---亜優美…俺は必ず君を救って見せるー」
洗脳されている亜優美に、こんな言葉は届かないー
それは分かっているー
でもーー
「--あゆみ???くくく、、わたしは、ヒルダだって
言ってるでしょ?」
剣と剣がギリギリ音を立てる中、亜優美はそう言ったー
「----今はーーーーー
助けられないーーー
ごめんーー
でも、、必ず、、、必ず、俺は君をーーー」
和哉がそう言うと、ヒルダ=亜優美は、表情を少しだけ歪めたー。
「---どこを見ている!!!!」
騎士団長・ユーリスが、和哉の方を見ていたグール伯爵に向かって叫ぶー
さっきの仕返しだー。
ユーリスの炎が、よそ見していたグール伯爵を貫くー。
軽く吹き飛ぶグール伯爵ー
「くっ」
舌打ちしながら、反撃に出ようとするグール伯爵ー
しかしー
和哉の光は、ヒルダ=亜優美を吹き飛ばし、
ヒルダも、省吾も、グール伯爵も押され始めているー。
明らかに形成不利ー。
「-----あの光ー」
呟くグール伯爵ー
グール伯爵、省吾、亜優美の3人が、一か所に集まるー
和哉が、息をゼェゼェさせながら、3人の方を見るー
ユーリスとラナも、和哉の傍に駆け寄るー
にらみ合う王国側の3人と帝国側の3人ー
グール伯爵が闇の渦を作り出すと、
「----”面白いもの”が見れたー」と呟き、その中に入っていくー。
「--くそっ!和哉!このままで済むと思うなよ!」
省吾が捨て台詞を叫びながらグール伯爵の後を追うー。
「亜優美!」
和哉が悲しそうに叫ぶー
その言葉に、最後に残っていた亜優美が
立ち止まって振り返るー。
「---わたしはヒルダ。
”あゆみ”なんて、知らないー」
優しい亜優美がー
別人のように、悪魔のような笑みを浮かべているー
それ以上、亜優美は何も言わず、グール伯爵が作り出した闇の渦の中に
入っていき、そのまま姿を消したー。
戦いは終わったー
魔物たちを一蹴し、ガラム海岸が平穏を取り戻すー。
「---------」
異世界の星空を見上げながらー
和哉は、悲しそうな表情を浮かべるー。
親友もー
恋人もー
自分の姿でさえもーーー
和哉は失ったー。
そしてー
和哉の光が消えてー
そのまま、和哉はその場で気を失ったー
⑯へ続く
・・・・・・・・・・・・
コメント
今月2話目の長編でした~!
今日もお読み下さりありがとうございました!
次は、早くて土曜日頃になると思います~!
(明日はリメイク、水曜日~金曜日は連載中の3本をそれぞれ進めます~)