<女体化>異世界の星空⑭~黒き感情~ (Pixiv Fanbox)
Content
「---俺は、お前たちを応援するぜ」
応援など、していないー。
俺はー
初めて”親友”に嘘をついたー
”俺、亜優美と付き合うことになったんだー”
和哉ー
お前から、亜優美ちゃんと付き合うと聞いた日ー
俺の心は、凍り付いたー。
俺とー
和哉とー
亜優美ちゃんはーー
”小さいころから仲良し”な、
幼馴染三人組だったー。
でもー
でもさ、
分かるんだよ。
俺は、所詮、”邪魔者”だってー。
亜優美ちゃんは、和哉を見てるー
和哉は、亜優美ちゃんを見てるー
俺がどんなに亜優美ちゃんのことを想ってもー
亜優美ちゃんは、俺のほうなんか、見てくれやしないー
そうー
生き地獄だ。
”仲良し三人組の3番手”
この上ない、生き地獄ー。
「あ~あ、亜優美ちゃんは和哉を選んだか~」
凍り付いた心を無理やり溶かしー
俺は、そう答えたー
俺がこの時、拳を握りしめていたことに、
和哉は気づかなかっただろうー。
あいつはー
俺のことなんて、何とも思っちゃいないのだからー
「和哉ーー
どんな時でもーー
亜優美ちゃんが困っていたらー
ちゃんと、助けてやれよ?」
俺は、和哉にそう言ったー。
「--はは、言われなくても、そうするさ。
でもー
約束するー
亜優美が困っていたらー
俺は、どこでも駆けつけるー」
和哉のやつは、そう答えていたー
「--約束破ったら、俺が亜優美ちゃんを貰うからな~?」
そうだー
俺がーー
”亜優美ちゃんを貰う”んだー…。
この、異世界でー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
★主要登場人物★
藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫
異世界に転生後、女体化。行方不明のアリシア姫と間違えられてしまうことに…。
高梨 亜優美(たかなし あゆみ)/ヒルダ
和哉の恋人。異世界ではヒルダと名乗り、敵対している。
神埼 省吾(かんざき しょうご)/ダーク将軍
和哉・亜優美の共通の友人。事故直前、亜優美と会話していた。
ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア
王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。
ラナ
アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。
エックス
自らを死神と語る謎の生命体
グール伯爵
皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。ミリアの実の父。
皇帝ゼロ
闇の帝国の皇帝。強大なエナジーを持つ。その正体は不明。
※登場人物詳細
(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に
プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、
お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)
fanbox post: creator/29593080/post/1260447
・・・・・・・・・・・・・・
黒い霧に包まれたガラム海岸ではー
激戦が繰り広げられていたー。
「---何故だ!?何故、王国を裏切った!?」
騎士団長・ユーリスは、炎の剣を振るいながらー
闇の帝国のNo2・グール伯爵と激しい対決を繰り広げていたー
ユーリスの剣に切裂かれるグール伯爵ー
だが、それは”幻影ー”
”幻影のグール”-
彼は”エナジー”の力により、自らの幻影を作り出し、
さらには、”ワープ”能力を駆使して、
変幻自在の戦いを繰り広げるー。
「---ミリアが、どんな思いをしてきたかー…
お前は知っているのか?!」
現騎士団長の一人・ミリアの実の父親である
グール伯爵は、15年前、アクア王国を裏切り
闇の帝国についたー。
そのせいで、ミリアは、激しい差別的な扱いを受け、
アリシア姫に助けられるまでは、”裏切り者の娘”として
激しい弾圧を受けていたー
「--ー娘には悪いことをしたー」
グール伯爵はそう呟くー
すかさず、グール伯爵を、ユーリスの炎の剣が貫くー
だが、グール伯爵は、流水のような動きで、
ユーリスの背後に出現するー。
ユーリスが、炎の竜巻のようなものを発生させー、
ユーリスを取り囲む、グール伯爵の姿を一掃するー。
しかしー
それすらも本体ではないー。
グール伯爵が、再びユーリスの正面に現れると、
ユーリスが叫ぶー
「--だったら、何故!」
グール伯爵が裏切ったのは、15年前ー
当時、ユーリスも幼く、あまり、王国に仕えていた時代の
グール伯爵のことは知らないー
「---贖罪ーー」
グール伯爵は、そう呟くー
「--なに?」
ユーリスは、意味が分からず聞き返すー
「--くくく、これは私なりの”贖罪”なのだー」
グール伯爵が、その手に、闇のエネルギーを蓄積し始めるー
すかさず、ユーリスの炎が、グール伯爵を引き裂くー
「--騎士団長ユーリスよ…
そのような炎では、私を貫くことは、できぬー」
・・・・・・・・・・・・
「あはははっ!ははははっ!はははははっ!」
”ヒルダ”と名乗る亜優美が、電撃を纏う剣で
アリシア姫の侍女・ラナを攻めているー。
「--あんた…あいつの彼女の
高梨亜優美…なんでしょ!?」
ラナが、ヒルダの攻撃を避けながら、
和哉から聞いた”高梨亜優美”の名を叫ぶー
ヒルダは、その名前に反応することもなく笑うー
「たかなしあゆみぃ~?あはははははっ!
わたしはヒルダ!
皇帝ゼロ様の忠実なしもべ!」
ヒルダが、エナジーの力で、さらに電流を発生させるー
周辺には、雨雲が発生しー
ヒルダとラナを濡らすー
「----あ~~~!もう!
目を覚ましなさいよ!」
ラナが叫ぶー
和哉とユーリスの会話から、
この”ヒルダ”と名乗る女は
皇帝ゼロに洗脳された、高梨 亜優美で間違いなさそうだー
ラナは、和哉のために、亜優美を説得したいー
そう考えながら、ヒルダ=亜優美の攻撃を避け続けるー。
「---ふふふ…
あんた、その和哉とかいう変な名前の男、好きなの?」
ヒルダが剣を止めて笑うー。
「--ぶふっ!」
予期せぬ質問に、ラナは思わず吹き出すー
「ち、、ちがっ!ちがっ!
あんな訳のわかんないやつ、好きになるわけないから!」
ラナは真っ赤になって、そう叫ぶー
ヒルダがニヤリと笑ったー
「--!」
ラナの動揺ー
「--ふふ…馬鹿な子ー」
その一瞬の隙をついて、ヒルダが、ラナの背後に回り込むとー
ラナが、ハッとしたその瞬間に、
強烈な電撃を叩きつけたー
「--きゃあああああああああああっ!」
ラナが吹き飛ばされるー。
「--あははははははっ!バカな小娘ちゃん」
ヒルダは笑いながら、倒れたラナに近づいてくるー
ヒルダはペロリと唇を舐めるとー
「あなたの血…見せてちょうだい…」と
不気味な笑みを浮かべーーー
倒れたラナに向かって、剣を向けーーー
「--!?!?」
ヒルダが気配を感じて、とっさに回避行動をとるー
「---わたし…嫌いだから」
ラナがそう呟きながら立ち上がるー
ラナの方を見つめるヒルダー。
「これが…あんたの”エナジー”…」
そう呟くヒルダに対し、ラナは叫ぶー
「わたし、自分の能力嫌いだから、使いたくないけど!!!」
いつの間にかー
ラナの手と足に”蛇”が巻き付いているー
「--女の子の能力が、蛇とか、ホントあり得ないんだけど!」
ラナは、不満そうにそう呟くー
ヒルダは、クスッと笑うとー
「ふふ…じゃあ、その蛇ごと、殺してあげるー
蛇女ちゃんーー」と、囁きながら、再び剣をラナの方に向けたー。
・・・・・・・・・・・・・・
「---はは、久しぶりだなぁ、和哉」
ダーク将軍こと、神崎省吾が、
軽い調子で、和哉に手を上げるー
”普段の日常”と同じようにー
だがー
和哉は震えていたー
「--ずいぶん、美人になっちゃって。
へへー
どうだ?その身体で、いろいろシたのか?」
省吾は笑いながら、近づいてくるー
兜以外の、漆黒の鎧を身に纏ったままー
「---…し、、省吾」
和哉は唖然としているー
何故ー?
どうして、省吾がここにいるー?
どうして、この異世界にー?
「--お~~お~~…
胸もこんなに膨らんじゃって」
省吾が笑いながら、女体化した和哉の胸に手を触れようとするー
和哉は「ばかっ!やめろ!」と、とっさに省吾の手を
振り払ったー
「--へへ、なんだよ、つれないなぁ…
別に元男なんだから、いいじゃねぇか」
と、苦笑いするー
「それともー
心まで、女になっちまったのか?」
省吾の言葉に、
和哉は「か、からかうなよ」と恥ずかしそうに返事をするー。
そして、和哉は真剣な表情に戻ると、
気になっていることを尋ねたー。
「--そ、、そ…そんなことより…何でここにいる?」
省吾は笑いながら「--お前や、亜優美ちゃんと会いたくてさ!」と、
冗談を口にしたー
「--お、、おい…省吾!真面目に答えてくれ!
ど、どうなってるんだ!?
あ、、亜優美は…亜優美はどうして、あんなー!?」
和哉の言葉に、
省吾は「お前はいつもそうだ」と呟くー
「亜優美、亜優美、亜優美、亜優美、亜優美ー」
省吾が茶化すような調子で言うー
「亜優美ちゃんもそうだー」
省吾はニヤァ…と笑うー
「和哉、和哉、和哉、和哉、和哉ー」
そしてー
続けるー
「俺は、どこにも、いないー」
省吾の目に”憎悪”が宿っているー
「---…し、、省吾…?!」
戸惑う和哉ー。
「--お、、お前も…お前も、操られてるのか?」
続けて、和哉がそう問いかけると、
省吾は笑いながら答えたー
「-ーーあ~~、ははっ、亜優美ちゃんはーー
”洗脳”されちゃったもんなぁ~?」
省吾がニヤリと笑いながら言うー
「---ど、、どういうことなんだ!?
教えてくれ!省吾!」
和哉が言うと、
省吾は「ま、親友だしな。教えてやるよ」と、
和哉の方を見つめるー
「---亜優美ちゃんはこの世界に”召喚”されたんだー
皇帝ゼロの能力でな…
皇帝ゼロの能力は”異世界から、魔物を召喚する能力”だー。
魔物の持つ負のオーラを媒介にして、
異世界から、魔物を召喚して、闇の帝国の戦力にしているー」
省吾の言葉に、
和哉は首を傾げるー
「亜優美は…魔物なんかじゃないぞ」
「--あぁ、分かってるさ。
でもさーー。
亜優美ちゃん、何をしようとしてた?」
省吾が言うー
「---え?」
和哉が戸惑うー
「お前も見ただろー?
だから、助けに入ったんだろ?」
省吾の言葉に、この世界に来る直前ー
亜優美が、車の前に歩いていき”自殺”しようとしていた
光景を思い出すー
「---!」
「--そうー。
”これから自殺しようとしている人間”には
負のオーラが生まれるのさ。
魔物の持つ負のオーラと同じような波長のものが、なー。
それを媒介にしてー
皇帝ゼロは、俺たちの世界からも、
時々”召喚”しているのさー」
省吾は言うー。
通常の人間をこの世界に召喚することは不可能だが、
絶望し、これから死のうとしている人間が持つ
”負のオーラ”を媒介にすることで、
和哉たちの世界の人間を、この世界に引きずりこむことが出来るー
とー。
「--亜優美が自殺しようとしてたから…
この世界に引きずり込まれたってのか?」
和哉が言うと、省吾は頷いたー
「--そしてー”洗脳”されたんだよー」
省吾は笑うー。
「-ー皇帝ゼロのもう一つの能力は”洗脳”だ。
その力で、異世界から召喚した魔物を操って、戦力にしてるー。
魔物の脳は、俺たち人間より、単純だからなー。
だが、皇帝ゼロの”洗脳”は、あくまで魔物専用ー
人間には、通用しないー」
省吾の言葉に、和哉は叫ぶー
「じゃ、、じゃあ…亜優美はなんで!?」
和哉が言うとー
省吾は笑ったー
「--自殺しようと考えるほどに、絶望している人間の心はさー…
空っぽ…”虚無”なんだよー。
”心が弱り切った状態”で”洗脳”されると、
人間と言えど、簡単に洗脳されちまう。
だからー自殺しようとしていた時にこの世界に召喚された
亜優美ちゃんは、何も分からないまま
皇帝ゼロに洗脳されて、ヒルダになっちまったのさ!
はははははは!
ゾクゾクしたぜぇ?戸惑いながら怯える亜優美ちゃんが
洗脳されて、冷徹な悪女になっちまう様子はぁ!!」
省吾の言葉に、
拳を握りしめながら、
和哉は「だったらお前も洗脳されてるんじゃないか!」と、叫んだー。
省吾の話通りならー
省吾がここにいるのは、
省吾も自殺しようとして、その瞬間に、皇帝ゼロによって
この世界に引きずり込まれて、
さらに洗脳されたことになるはずだー。
省吾は「チッチッチッチ」と、人差し指を振ったー
「和哉、お前、人の話、聞いてたか?」
と、馬鹿にしたように笑うー
「あ?」
和哉が、可愛い声で、不満そうに返事をする。
「心が弱り切った状態で洗脳されたら、人間と言えど
洗脳されちまう…って言ったじゃねぇか」
そう呟くと、省吾は、にやりと笑いながら
「--俺は、自分からこの世界に来たんだよ…」と、口にしたー
「--なんだって?」
和哉が戸惑うー。
「---自分の意思で、この世界に来たー。
だから、俺の心は弱ってなんかいねぇ。
皇帝ゼロが、俺を洗脳しようとしたって、洗脳なんかできねぇんだよ」
省吾はそう言うと、
”この世界に来た理由”を話したー
あの時ー
亜優美が車の前に飛び出して、それに気づいた和哉が
亜優美を突き飛ばして助けようとした際ー
”皇帝ゼロ”の能力により、時空に歪みが生まれたー
それに吸い込まれて、亜優美は、この世界に引きずり込まれたー
しかしー
皇帝ゼロの”計算外”があったー
それは、和哉が、死のうとした亜優美を助けようとしたことー。
亜優美を”この世界”に引きずり込む際に、
巻き沿いを喰らう形で、和哉まで、この異世界に飛ばされてしまったー
和哉が”招かれざるもの”と呼ばれているのは、そのためだー。
そしてー
「-俺はあの時、お前らが”消える”のを見たんだ」
省吾が言うー。
「---」
和哉は、亜優美が自殺しようとする直前、
省吾が、亜優美と話していたのを思い出すー
その後、省吾は立ち去って行ったが、まだ近くにいたのだろうー。
「---だからさ…俺も”後を追った”んだー」
笑いながら言う省吾ー
省吾は、和哉と亜優美が消えた場所にすぐに駆けつけてー
そのまま、皇帝ゼロが発生させた時空のゆがみの”残り火”に
巻き込まれてー
この世界に来たのだと言う。
「--で、俺は亜優美ちゃんが洗脳されるのを、この目で見てー
俺もそのすぐあとに洗脳されそうになったけど、
別に心が弱ってなかった俺は、洗脳されなかったってわけさ」
省吾はそこまで言うと”俺は自分から、闇の帝国に協力を
申し出て、こうしてダーク将軍として、皇帝ゼロに力を貸してるんだ”と
説明したー
「---------」
どう答えていいか分からないー
和哉がそんな風に思っていると、
省吾が叫んだー
「この世界は最高だぜ!和哉!
こうして俺は力を手に入れたー
亜優美ちゃんも手に入れたーー!
下らねぇルールも何もねぇ!
力が全てを決める最高の世界だ!
知ってるか?
今の亜優美ちゃんー…いや、ヒルダは
俺の女だ!!
皇帝ゼロに頼み込んでなぁ…
俺の女になるように洗脳してもらったのさ」
省吾の言葉に、和哉は唖然として叫ぶー
「---な、、なんだって!?」
「--俺はさぁ、ずっと亜優美ちゃんが好きだったんだよー
お前なんかより、ずっと、ずっと、ずーっと、
亜優美ちゃんを愛してた。
でも、お前も、亜優美ちゃんも、俺のことなんか
見てなかったもんな?
俺は、仲良し三人組の”余りモノ”だったもんな?
でも、この世界じゃ違うー
余り物はー”お前”だー
あ~~~~…ぁ、
気持ちよかったなぁ~…亜優美ちゃんとのキスはー…
亜優美ちゃんと抱き合うのはーー
亜優美ちゃんとーーー」
「---黙れ!!!!!!!!!!」
和哉が大声で叫んだー
「お??どうした和哉?嫉妬か?」
省吾が笑うー
「--そうだなぁ~?
今のお前は十分エロそうだし、
セフレにぐらいならしてやってもいいぜ?」
省吾が挑発的に言うー
和哉は拳を握りしめて叫ぶー
「省吾!!どうしてだ!?
どうして!?!?」
信じられないー
親友の省吾が、亜優美を奪おうとするなんてー
「--ははは…お前はさぁ…お人好しすぎだろ。
俺はずっとずっとずっと、
お前のこと…憎んでたー
お前と、亜優美ちゃんのこと、憎んでた。
あ、でも気づかないよなぁ?
お前たちは、お互いのことしか見てないんだから。
俺はいっつも、”おまけ”だったもんなぁ」
省吾が、不貞腐れた様子で言うー
「--そ、、そんなこと…」
和哉は、困り果てた様子で言うー
「--俺はさ、ずっと…お前と亜優美ちゃんを
引き裂いてやろうって…
お前をめちゃめちゃにしてやろうって、
思ってたんだぜー
…いやー、思ってただけじゃない」
省吾は、間を置いてから呟くー。
「---亜優美ちゃんが自殺しようとしたのは何故だと思うー?
亜優美ちゃんが転勤になって、お前の元を離れる羽目になったのは何故だと思うー?」
省吾が、ニヤニヤと笑みを浮かべながら言うー
「--あの時、亜優美ちゃんが自殺する直前、俺は亜優美ちゃんに
なんて言ったと思う?」
省吾の容赦ない言葉ー
「--亜優美ちゃんが入社した職場さぁ…
俺の叔父さんの会社だったんだよなぁ~
だからさ、俺が叔父さんに頼み込んで
亜優美ちゃんを”飛ばして”貰ったんだー
地元にいられないようにー
”お前の側”にいられないようにー」
省吾の言葉に、和哉は「そんな…」と、呟くー
省吾はさらに追い打ちをかけるー
省吾は言うー
”俺さ、亜優美ちゃんに何度も何度も告白してたんだよ”
とー。
その都度、亜優美は、省吾の告白を断っていたー
”わたしには、和哉がいるからー”と、困り果てた様子でー。
だが
亜優美は、和哉にそのことを相談しなかったー
省吾は、亜優美と和哉にとって大切な親友だからー
そして、和哉に心配をかけたくなかったからー。
しかしー
省吾は次第にエスカレートしたー。
和哉と亜優美を、一方的に憎みー
そして、
あの日ー
亜優美が自殺しようとした日ー
「あの日…亜優美ちゃんと俺が喋ってるの、お前、見たんだろ?」
省吾が笑うー
和哉がこの世界に来る直前ー
亜優美と省吾が会話していて、省吾が立ち去っていくのを、
和哉は偶然目撃していたー
そして、亜優美が涙目で、車の方に飛び出していくのを見てー
和哉は咄嗟に亜優美を助けー
この世界に来てしまったー
「---あの日ー」
省吾が言うー。
・・・・・・・・・・
あの日ー
「--偶然だなぁ、亜優美ちゃん」
省吾が、亜優美に近づいてくるー
仕事帰りの亜優美ー
省吾は”偶然を装い”近づいてきたー
「あ、神崎くん」
亜優美がほほ笑むと、
省吾は笑ったー
「東京に行くんだってな?」
とー。
「--うん」
亜優美がうなずくー
「---…でも、半年ぐらいで戻って来れるからー」
亜優美がほほ笑むー
省吾もにっこりとほほ笑んだー
「--戻ってこれないよ」
とー。
「--え?」
亜優美が、不思議そうに聞き返すー
「--半年で戻って来れる?
はは、無理無理。
亜優美ちゃんさぁ、なんで転勤になったか、知ってる?」
省吾の言葉に、
亜優美は、違和感を感じながら「ど、、どういうこと?」と
聞き返すー
省吾は口元を歪めたー
”--亜優美ちゃんの勤務先の会社さぁ…
俺の叔父さんの会社なんだぜ?
知ってた?”
耳打ちする省吾ー
”亜優美ちゃんが転勤になったのは
俺が叔父さんに頼み込んだからさ。”
「--な、、なにを言ってるの…?」
亜優美が、怯えながら聞き返すと、
省吾はさらにニヤリと笑ったー
「---もう、和哉とは一緒にいられないなぁ?
どうだ?俺なら、一緒に東京に行ってあげることもできる。
和哉なんかやめて、俺と付き合おうぜ?な?」
そう呟く省吾ー
だが、亜優美の意思は変わらなかったー
「わたしには、和哉がいるからー
何度告白されても、…ごめんね…返事は変わらないの」
亜優美の言葉に、省吾は「チッ」と舌打ちしたー
「いつもいつもいつもいつもいつもそうやって
俺を仲間外れにする!」
省吾の表情から笑みが消えるー
「--”仲良し三人組”余り物だもんな、俺はー」
省吾の自虐的な言葉に、
亜優美は”そんなことない”と言おうとするー
しかしー
省吾は間を開けずに続けたー
”亜優美ちゃんは、もう北海道には戻ってこれないー
半年で戻れる?笑わせるな。
二度と和哉のやつと一緒にはさせねぇよ。
東京で足りねぇなら、関西、いいや、九州…
沖縄にだって飛ばしてやるぜ”
とー。
「そ、、、そんな…」
亜優美は目から涙をあふれさせながら震えるー
「どうして…?神崎くん…どうしてそんなこと…」
亜優美の言葉に、省吾は呟くー
”亜優美ちゃんには、分からねぇよ…
逆さ三角形の底辺の気持ちはよ”
そしてー
省吾は、亜優美に耳打ちしたー
”亜優美ちゃんが、俺と付き合ってくれないから、
和哉のやつ、どんどん不幸になってるー
和哉の両親、前に事故で二人まとめて死んだよな?
あれはなんでだと思う?
和哉のアパートの隣人が、中毒死したよな?
あれはなんでだと思う??”
省吾の狂気的な発言に、
亜優美は震えるー
「ま、、まさか…」
亜優美の言葉を、省吾は否定も肯定もせずに続けたー
「--亜優美ちゃんが、俺を拒むたびにー
和哉はこれからもどんどん不幸になるー
俺だけ不幸なんてずるいじゃねぇか。
だからー俺が、和哉を同じ目に遭わせてやるー
これからも、ずっと、ずっと、ずっとだー。
亜優美ちゃんの選択肢はふたつに一つー
”俺をこのまま仲間外れにし続けてー
和哉を選ぶかー”
それともー
”俺を選んで、幸せに暮らすかー”
だー。」
省吾は口元も歪めたー
「--でも、亜優美ちゃんが和哉を選ぶなら
俺は、この先、容赦はしないーーーー
亜優美ちゃんのせいで、
和哉は、どんどん不幸になるー
何もかも、失うー」
省吾はそれだけ言うと
「いい返事を待ってるよ」と呟いて、
亜優美の元から立ち去って行ったー
”転勤は省吾が仕組んだことー”
”半年で転勤から戻れるのは嘘”
そしてー
”わたしがいる限り、和哉はどんどん不幸にーー?”
既に転勤の件で心が弱っていた亜優美は、
激しく動揺したー
目から涙が溢れるー
呼吸が乱れるー
そしてー
”来週ー
和哉のアパート、燃えちゃうかもな?
そんな予感がするんだ”
と、省吾からLINEが届いたー
”俺を受け入れなければ、和哉の家を燃やす”
そういうー
話ー。
「----」
亜優美の心は砕けたー
”わたしが、和哉を不幸にしちゃうー
ううん…わたしのせいで、神崎くんも
おかしくなってー”
そう思って、放心状態になってしまった亜優美はー
そのまま車道の方に飛び出してー
・・・・・・・・・・・
”あの日のこと”を語り終えた省吾は笑ったー
「”親友”なのにさー、
俺だけ仲間外れなんて、ずるいよな?
俺たちは「逆さ三角形」の関係だ。
和哉…お前と亜優美ちゃんは
逆さ三角形の上の2辺だー
俺だけが…逆さ三角形の先端ー
下を向いているー。
お前たちは俺を仲間外れにしたー
ずっとー
ずっとずっとずっと!
亜優美ちゃんを転勤に追い込んだのは俺だー」
省吾の言葉に、和哉は「嘘だろ…」と唖然としているー
「--お前の両親が事故で死んだとき、
最初にお前に知らせたのは誰だったかな?
お前のアパートの隣人が死んだとき、
真っ先にお前の部屋に駆け付けてやったのは誰だったかな?
お前のーーー」
「--もういい!!!!!」
和哉は大声で叫んだー
「--クク」
省吾は、満足そうに再び馬に乗り込むと、呟いたー
「この世界ならー
俺は、お前に負けないー
この世界ならー
俺は、”力”でも、”名誉”でもー
何もかも、お前に勝つことができるー」
省吾は”ダーク将軍”として馬に乗ると、
和哉の方を見つめたー
「--省吾…俺は…俺は、お前のこと
仲間はずれにしたことなんて一度もない…!
お前のこと、ずっと、親友だって…」
和哉が戸惑いながら言うと、
省吾は、「---お前には”底辺”のきもちなんて分からないもんな」と
自虐的に笑ったー
「--さぁ、和哉ー
亜優美ちゃんは、俺が抱いてやるー
俺が愛してやるー
俺がその唇を奪ってやるー
俺がー
亜優美ちゃんと子供を作ってやるー
だから、もう、
お疲れさんー」
省吾が、斧を持ち、
エナジーを込めるー
「---」
身構える和哉ー
「--この世界なら、俺はお前に負けないー
いや、全てを手にすることができるー。
”仲良し三人組”の、仲間外れはお前になるんだよ!!!和哉!
さぁ、話はここまでだー
俺の本音、話せて最高だったよー、和哉」
省吾=ダーク将軍は、笑みを浮かべたー
「---亜優美ちゃんは、俺が幸せにしてやるからさ。
安心して、死になー
和哉ー、いやー」
省吾は、女体化した和哉を見て
バカにするような笑みを浮かべたー
「かずやひめ! くはははははは!」
和哉を姫と呼び、挑発する省吾ー
「省吾…」
和哉は、省吾の”憎しみ”知り、困惑するー
亜優美が洗脳されていることを知り、困惑するー
しかし、震えながらもー
「俺は、ここで死ぬわけにはいかないー」
と叫ぶー。
黒い霧に包まれたガラム海岸でーー
”親友”との対決が、始まろうとしていたー
⑮へ続く
・・・・・・・・・・・・・
コメント
10月最初の女体化X異世界転生長編でした~!
今回はお話が長かったですが、次回はバトルとドキドキ要素が多いと思います~☆
今日もお読み下さり、ありがとうございました!