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「円香…野上くんに乗っ取られちゃった♡」

義彦は、彼女の円香から、信じられない言葉を聞いたー。


目の前にいる円香はー

数週間前に自殺した”野上健介”に憑依されていたー。


死んだのではなくー

憑依するための儀式を行ったのだとー。


円香が服をかじりながら笑うー

制服をかじっている円香の姿は、とても異様で、

イヤらしい雰囲気だー。


「僕は…僕はさぁ…君に侮辱されたんだ…

 だから、、僕は、君の彼女を奪って

 滅茶苦茶にしてやろうと決めたんだー」

自分の制服をかじりながらそう呟く円香ー


「ぶ、、侮辱…?」

義彦が戸惑う。

野上健介との関りはそれほどなかったし、

侮辱した覚えもない。

恨まれる覚えもない。


「-い、、いったい、俺が何をしたって言うんだー」

義彦が戸惑いながら言うと、

円香は笑みを浮かべたー。


「---お前は、みさきちゃんを侮辱した」

円香が言うー。


「--は?」

義彦は、さらに戸惑ったー。


みさきちゃん、とは、健介が好きなアニメキャラの一人だ。

よく、その名前を健介が口にしていたのを覚えているし、

義彦の友人である重三郎も、みさきちゃんの話題を

何度か出していたー。


「--ぶ、侮辱なんて…してないし!」

義彦が言うと、

円香は鼻で笑ったー


「---お前は、みさきちゃんより、この女の方が

 可愛いって言った!」

円香が声を荒げるー

自分のことを”この女”と表現しながらー


「--は????」

義彦は、首をかしげるー

傾げざるを得なかったー。


”そんなこと言ったか?”とー。


「--お前は、他のやつから

 ”みさきちゃんってかわいいよなぁ~”って言われたとき、

 ”この女のほうがかわいい”って答えてた!」

円香の怒りの形相ー。


その言葉に、義彦は少しだけ思い出すー。

そういえば、友人の重三郎から、”みさきちゃんかわいいよなぁ~”と

言われた際に

「俺には円香の方が可愛く見えるな」と言った気がするー。


「--そ、、そんなことで?」

義彦は思わず戸惑ってしまうー


”それだけの理由で円香を乗っ取った”のだとすれば、

常軌を逸している。


「--こんな女より、みさきちゃんの方が絶対かわいいんだよ!」

円香が声を荒げるー


自分のことを”こんな女”などと言いながら

円香は、”みさきちゃん”のことをペラペラと話し始める。

顔を真っ赤にして、ものすごい早口で”みさきちゃん”の魅力を

語り続ける円香。


第8話のあのシーンが、だとか、

守ってあげたい優しさの中にも強さが、だとか

べらべらと喋っているー


「あ~~~~!もういい!」

義彦は思わず叫ぶー。


「--とにかく、、とにかく、円香の身体を返してくれよ!」

義彦が頼み込むようにして言うー


謝る道理などない。

”みさきちゃんより、円香の方がカワイイ”と本人に対して

言い放ったのなら、確かに嫌味にはなるかもしれない。

だが、そもそも義彦が会話していたのは、友人の重三郎だ。

重三郎から恨まれるならともかく、

会話の部外者である健介から恨まれるなんて、あり得ないー。


しかも、仮に健介に言ったのだとしても、

円香を乗っ取って、オタク趣味に走らせる、なんて

明らかにおかしいー


「---返すわけないでしょ」

円香の口調を真似る健介ー。


「--わたしは、ど~んどん、オタクになるの!

 ふふふふふふっ!お前が嫌いなオタクにね!!!」

円香の言葉に、

「--俺は別にオタクを嫌ってなんかいない!」

と、義彦は声を荒げるー


友人の重三郎は、”オタク”だー。

でも、オタク趣味のない義彦は仲良くしているし、

重三郎も、義彦と仲良くしているー


「俺が嫌いなのは、お前みたいな、”迷惑をかけるやつ”だ」

義彦が言うと、

円香は「ふ~ん」と、怒りの形相で頷いたー。


「それともう一つ!」

円香が、義彦に顔を近づけて、義彦を睨むー


「お前、彼女は”オタクじゃないほうがいい”って言ったよなぁ~?

 オタクを馬鹿にした!

 僕を馬鹿にした!」

円香は、そう言いながら椅子に座ると、

激しく貧乏ゆすりを始めたー


円香の貧乏ゆすりなんて見たくないー。

義彦はそんな風に思いながら

「--彼女はオタクじゃないほうがいい…って?」

と、首を傾げながら呟くー


意味が分からないー

そんなことを言った記憶はない。


「---言っただろ!!!」

円香は、スカートを乱しながら激しく貧乏ゆすりを続け、

制服の腕の当たりをかじっているー


どっちも死んだ野上健介の”癖”だー。


円香が指摘するー


友人の重三郎と会話していた時のことー


ある日ー

重三郎が、大好きなアニメの話を、義彦にしていたー。

義彦は、アニメに興味はないが、

重三郎の話を聞くのは好きだった。

理由は”自分の知らない世界に触れることができる”からだ。

重三郎自身も、アウトドアな趣味の多い義彦の話を

聞くのは好きで、同じ理由だった。


そして、ふと、重三郎が笑ったー


”もし、彼女にするなら、

 こっちの大人しそうな図書委員のクラスメイトと、

 オタク趣味の美少女、どっちがいい?”


とー。


そう聞かれた義彦は、答えたー


「こっちの子かなぁ…円香にもなんか似てる雰囲気だしー」

とー。


”大人しそうな図書委員のクラスメイト”のキャラを選ぶ義彦。


「オタク系の彼女だと、

 俺が話についていけなくて退屈させちゃうかもだし、

 彼女にするのは、パスかなぁ…

 相手もイヤだろうし」

と、笑いながら重三郎に向かって告げる義彦。


重三郎は、そんな義彦の返答に対して「はは、お前らしいな!」と

笑ったー


その会話をー

野上健介は聞いていたー

歯ぎしりをしながらー


・・・・・・・・・・


その時のことを話し終えると、


「--お前はオタクを侮辱した!!!!」

と、円香が叫んだー


「--は!?!?!?」

義彦は声を荒げるー


「どう考えても逆恨みだろ!?!?」

とー。


そもそも、会話の流れからして、

オタクの悪口を言ったつもりも義彦にはないー

会話相手の重三郎も、何も怒っていないー。


円香が貧乏ゆすりをしながら声を荒げるー


「お前は、みさきちゃんを侮辱した!

 オタクを侮辱した!

 だから、この女を乗っ取って、

 オタクにしてやるんだ!!

 彼女がオタクになったら、

 お前はどんな反応をするかなぁって…!」

円香がゲラゲラと笑うー


下品な笑い声で笑いながら、

さらに激しく貧乏ゆすりをする円香ー


やがて円香は立ち上がったー


「話はここまで」

円香が笑うー


「--おい…円香を返せ!」

義彦が円香を睨むー


野上健介の言い分は明らかに逆恨みだ。

謝る理由も何も見当たらない。

しかも、円香は完全に巻き込まれただけの被害者だ。


既に、クラスメイトたちからも、円香はおかしな目で

見られているー


「--明日はさぁ~、みさきちゃんの声優さんとの

 握手イベントに行くの~うふふふ♡」

円香が嬉しそうに笑うー


「は~~わたし、もう、手を洗えないかも!」

クスクスと笑う円香。


「おい!円香!目を覚ませ!おい!」

義彦が必死に叫ぶー


円香はクスッと笑うー


「わたし、オタク趣味に

 オタクの彼女は、嫌い?」

挑発的に義彦を睨む円香ー


「嫌いならさ」

円香が低い声で呟くー


「別れようよ」

とー。


邪悪な笑みを浮かべながらー


「----」

義彦が拳を握りしめるー


「--円香のふりをするんじゃねぇ!!!!!」

大声で怒鳴り声を上げる義彦ー


「ひっ!?」

円香は、びっくりして、その場に尻餅をついてしまうー。


野上健介は、迷惑行為を日々繰り返していたタイプの

”迷惑オタク”だが、

根は小心者だー。

義彦が”キレた”ことに、びっくりして

尻餅をついてしまったー


「--円香の身体を返せ!

 お前、自分が何をしてるのか、わかってるのか!」

義彦は、人生で一番の怒りを感じたー


円香がこんな風に好き勝手にされているー

絶対に、許せないー


「---俺はお前を…絶対に許さない!

 どんな手段を使ってでも…

 俺はお前を引きずりだして、ぶっ潰してやる!」

義彦が怒りの形相でー

今にも襲い掛かりそうな目で、円香を睨むー


「--ひ、、、ひ、、、ひぃぃ…」

円香を乗っ取っている健介は、あまりの恐怖に

その場に、お漏らしをしてしまうー


水たまりが、尻餅をついた円香の側に出来上がるー


「テメェ!!!!!!」

義彦は大声で怒鳴ったー

円香の身体で漏らすなんて、絶対に許せないー


「---ひ、、、か、、返すものか!!

 僕は、、オタク女になるんだ!!ひひ、ひひひひひひっ!」

円香はスカートを濡らしたまま空き教室から

飛び出して、そのまま走り去っていったー


「くそっ!円香!俺はどうすれば!」

怒りの形相で壁を叩く義彦ー


人に対する迷惑行為をなんとも思わず

世間の一般常識からも、かけ離れてしまっている

野上健介に、円香が憑依されていたー


非常にまずい状況だー。

このままでは、円香が迷惑行為を繰り返して、

人生を台無しにされてしまう。


既に、クラスメイトたちは

円香のことを”野上になったみたいだ”などと

噂している。


このままでは、本当にまずいー


「----義彦」

ーー!


義彦が、空き教室の入り口の方を見ると、

そこには、友人であり、いわゆる”オタク”の

重三郎がいたー


「--重三郎…」

義彦は”どうしてお前がここに?”と首をかしげるー


すると、重三郎は答えたー


「--ふたりのことが気になってさ…

 後をつけてきてたんだ…悪いな」

とー。


重三郎は、義彦が円香を呼び出したのを見て、

最近の円香の様子がおかしいこともあり、

妙な不安と好奇心を覚えて、

二人についてきていた。


そして、空き教室の外からこっそりと、

二人の会話を聞いていたー


”円香が野上健介に支配されている”

そのことを、重三郎も知ってしまったー


「---俺に考えがあるんだ」

重三郎が言うー。


「---考え?」

義彦は、不安そうに重三郎の方を見ると、

重三郎は笑ったー


「同じ”オタク”だからこそー

 思いつく方法だ」

とー。


義彦は、その言葉に「聞かせてくれ」と

真剣な表情で、重三郎を見つめたー


・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した円香は、

シャワーを浴びると、

部屋に戻って、勝手に円香の貯金で購入して

人気キャラ”みさきちゃん”の衣装を着て、

部屋で過ごしていたー


鏡を見つめる円香ー

みさきちゃんの姿をした円香がそこにはいるー


「可愛くないー」

円香が呟くー


「わたしなんか、全然可愛くない!

 みさきちゃんの方が絶対にかわいい!」

怒りの形相で服をかじりだす円香ー


「こんな女が、みさきちゃんよりかわいいなんて

 あり得ないんだ!」

円香はそう叫ぶと、

自分の頬を、自分の手でビンタし始めたー


「ふざけやがって!ふざけやがって!」

円香は、自分をビンタしながらそう叫ぶー


「こんな女が!わたしが!みさきちゃんより

 可愛いなんて絶対にあり得ないんだ!

 あり得ないんだ!!!!」


円香はしばらく、怒りの形相でブツブツ

呟くと、

しばらくしてから笑みを浮かべたー


「わたしは、みさきちゃんと比べたら、ゴミみたいな女です」

とー。


「うふふっ!わたしはゴミ♡

 みさきちゃんはカワイイ!うふふふふふ」

円香はそう何度も何度も呟くと、

ようやく落ち着いたのか、

同じく円香のお金で勝手に購入した

アダルトゲームをプレイし始めるー


「ふひっ…ひひひっ♡」

鼻息を荒くしながら、円香は興奮しているー

興奮しながらゲームをプレイする円香ー

みさきちゃんの衣装を着た円香が、

はぁはぁ、と息を荒げているー


野上健介の意識に従って

円香の身体は強く興奮しているー


「---」

両親は、そんな円香を心配していたー

急に豹変した娘ー

部屋からも出てこなくなったー

まるで”別人”のようにー


ご飯の時間になっても、

円香は「部屋の前に置いておいて」とだけ言い、

家族と目を合わせようともしないー


「あ~~~~~~!、シコれねぇのはなんだか不便だなぁ」

円香は胡坐をかきながら、エロゲーのプレイを終えると、

そのまま、貧乏ゆすりをしながら笑みを浮かべたー


この女はー

もう、僕のものだー。


「---ふふふ…わたし、オタクだもん!」


円香はそう嬉しそうに呟くと、

立ち上がって、アニメソングを熱唱し始めたー



④へ続く


・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス!

乗っ取られてしまった彼女を救うことは

できるのでしょうか~?


今日もお読み下さりありがとうございました!!

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