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「酷いよ・・・」

少女が涙を流しているー

本当に、悲しそうに、

ボタボタと、涙を流している。


そんな少女のことを、彼は戸惑いながら見つめていた。

言葉を掛けるでもなく、どうしていいかもわからずにー。


瀬島 博之(せじま ひろゆき)は、戸惑っていたー

まさか、こんなことになるなんてー、と。

しかし、どんなに後悔しても、もう時間を撒き戻すことはできない。

起きてしまったことは”事実”ー。

もう、どうすることもできないー


博之の前で泣いているのはー

幼馴染の女子高生、

峰村 梓(みねむら あずさ)。


その梓が、涙ぐんだ表情でこちらを見る。

本当に、辛そうで、悲しそうな表情ー


大好きな梓をそんな表情にしてしまったのは、

博之自身だー。


「---ご、、、ごめん」

博之は、やっとの思いで口を開いた。


博之はーー

彼女のことが好きだった。

心から。


どんどん可愛くなっていく彼女がー。


幼馴染の梓とは、小さいころから

よく一緒に遊んだりする間柄だった。

小学生、中学生、そしてー高校生になっても。


一方で、成長するにつれて、”異性”としても

相手のことを見るようになり、

どんどん可愛くなっていく梓のことを、

博之は強く意識するようになったー


そして、博之はー”禁忌”に手を染めた。

幽体離脱して人間に憑依できる注射器を

とあるサイトで手に入れたのだ。


だがーその薬には欠点があった。

2時間ごとに、注射しないと、憑依がとけてしまうのだ。


そして、博之は今日の朝、梓に憑依した。

後先考えず、梓の身体を乗っ取ってしまったー

梓の気持ちを考えず、己の欲求を満たすためにー。


そして、梓を乗っ取った博之は、学校で好き放題やった。

真面目な梓とは思えない悪態をついたり、

不良生徒を誘惑して、淫らな行為をしたり、

女子トイレで自分の体を弄繰り回したり…


あまりの興奮に、梓の身体でイってしまったー

梓が絶対に人前では見せないような表情ー

梓が絶対に人前では出さないような甘い声を吐き出すように、

出しながらー。


そして、ちょうど両親が旅行で不在の今日、

梓の体のまま、博之は、自分の家に帰り、

存分に梓の身体で、遊ぼうと思っていた。


調子にのって、

梓の恥ずかしい姿をカメラに収めて、

帰りに梓のお金で買った服で

ファッションショーを楽しんだりもした。


本当に、夢のような時間だったー。


だがー

”誤算”がそこにはあったー。


調子にのるあまり忘れてしまったのだ。

2時間ごとの憑依薬の注射を。


そして、今に至るー。


「---…わたし、どうすればいいの…

 ひどい…ひどいよ……」


梓は大粒の涙を流している。


「博之がわたしの体で何してたかーー

 みんな分かってるんだからねーー。」


涙ぐんだ目で梓は博之を見た。


博之はドキッとするー。

乗っ取っている間の梓の意識はないー。

そう、思い込んでいたー。


だがー

梓のセリフー。


ーーあの憑依薬、、

憑依されてる間の記憶も残るのかーーー。


ミニスカートに網タイツ姿の梓が博之を睨むー。


梓を乗っ取った博之が、自ら梓に着せた服だー。

とても、色っぽくて、

エッチな服装の梓は、ボタボタと涙を流しながら続けたー


「最低ーーー

 本当に最低ーーー!

 ずっと大切な幼馴染だと思ってたのにーーー。」


彼女は泣き止むことなく、泣き続けているー。


「ごめんーーそんなつもりじゃ」

博之は、、どうしていいか分からなくなった。


梓に、どうあやまれば良いのかーーー


梓のことは、大切な幼馴染でー

そして、初恋の人だー。

その梓を傷つけるつもりはなかったー


ただ、ほんのちょっとだけー

今日だけ、

今日、1日だけ、身体を借りて

楽しみたかったー


「近寄らないで!触らないで!」

梓が穢らわしいものを見る目で博之を見た。


「---ごめん。何でもするから!

 本当に、本当に、悪かった」


博之は土下座したー

ただ、ひたすらにーーー


「わたしのことーー。

 そういう目でしか見てなかったんだよねーー。

 本当に最低…軽蔑する!


 酷いよ!どうしてくれるの!

 学校であんなことさせて!!


 みんなにわたし、なんていえばいいの!」


梓は泣き叫んだ。

ーーー返す言葉も無い。

心がえぐられるような思いだーーー。


本当にーーー

どうすればいいのかー


「ねぇ!どうすればいいの!!!

 教えてよ!博之!!


 皆の前でスカートめくったり、

 誘惑したりして…


 もうわたし、学校行けないよ・・・


 うぅぅ…ひどい・・・本当にひどい・・・」


梓はその場でうずくまって

声をあげて泣き出してしまった。


大事な梓をー

自分自身が、傷つけてしまったー。

梓には、笑っていて欲しいー

そう思っていたはずなのに、

その笑顔を、自分自身が”破壊”してしまった。


大事なものを、自分自身が”粉々に”打ち砕いてしまったー


博之の心が痛む。


違うんだーー

梓を傷つけたいんじゃなかったんだーーー


俺はーーー

俺はただ、、


いや…

自分の欲のために俺は梓を…


博之は、そう思いながら、手を震わせるー


「ごめん…

 ごめん…

 みんなにも俺が説明するから…」


そう言い、梓に触れようとすると、

梓が博之を乱暴に振り払った


「触らないで!この変態!

 わたしにこんな格好させて!!!

 

 何なの本当に!

 変態!変態!二度と近寄らないで!


 いやらしい目でわたしを見ないで!」


梓は普段は心優しい穏やかな子だー。

博之とも、仲良しだったー

梓が、声を荒げているのなんて見たことがないー

いつも、穏やかな笑みを浮かべているような梓がー

今、怒りの形相で、泣きながら博之の方を見ているー


「ごめん。俺は最低だ・・・

 本当に…本当に」


博之の目から涙が溢れた。


自分が悪いのは分かっている。。

軽い気持ちだった


「馬鹿!何でアンタが泣いてるの!?

 わたし、絶対アンタのこと許さないから!」


そう言うと梓は、博之から隠れて、

高校の制服に着替えなおして叫んだー。


「最低!2度とわたしに話しかけないで!


 本当に気持ち悪い!

 変態!


 絶対許さないから!」


そう言うと梓は泣きながら、

網タイツとミニスカート、エッチな衣装の数々を

放り投げて、扉を乱暴に閉めて立ち去って行ったー


「・・・ごめん」


部屋には、梓を乗っ取って購入させた服が

散乱していた。



ーーー翌日。


学校に梓の姿があった。

だが、彼女は、その日以降、塞ぎこむようになってしまった。


”俺のせいだ”

博之は思うー。


博之が梓を乗っ取っている間にした

”数々の奇行”はネタとなり、

梓は孤立し、男子からエッチなお願いをされたりー


梓は、廊下の影で、一人泣いていたー

声を掛ける博之ー


だがー

「話しかけないで!」

と、大声で怒鳴りつけられたー


どうすることもできないままー

数週間ほどして、梓は高校を辞めてしまった。


周囲からの白い目ーー

不良生徒たちからの行為強要ー


最後に彼女に会った日、

梓は博之を睨んだー。


「アンタに人生を壊された…

 わたし、絶対にアンタを許さないからーーー」


と。。


ーーーー梓の笑顔を思い出す。


博之は、、一時の欲望に負けて

本当に大切なものを失ってしまった。


もう、あの笑顔はーーー

永遠に取り戻せないーーー



おわり


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コメント


ずいぶん前に書いた”憑依の事後”を描いた

過去作品のリメイク版でした!!


憑依薬の利用には、ご注意下さいネ~!

今日もありがとうございましたー!


※原作が短いので、リメイクしてもいつもより短めに

 なっているため、この作品は100円プランでも

 読めるようにしてあります!

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