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アニメショップにやってきた

円香は興奮した様子で、アニメグッズを見つめているー


「あぁぁ~みさとちゃんはやっぱかわいい~」

円香がうっとりとした表情で呟くー


完全に欲情しているのが分かる表情ー


元々の円香は、アニメにはあまり興味がなく、

自然や生き物、景色、そういうものを好むタイプだったー


だが、今の円香は違う。

野上健介に乗っ取られた円香は、

アニメキャラのコスプレのような格好で、

アニメグッズを、目を輝かせながら見つめているー。


そしてー

今日の円香のお目当ては…


「あったあった!」

円香がほほ笑むー


円香がー

いや、円香を支配している健介が大好きなアニメの

カードの最新弾が今日発売なのだー。


円香は興奮しながら、レジにそれを持っていくー。


当然、箱買いー。

数十パック入りのBOXを購入して、

円香は店内のスペースで、

カードのパックを次々と開けていくー


パックを開けるたびにブツブツと呟く円香ー


”アニメオタク”にはとても見えない雰囲気の円香の様子に

店内の客は少し驚いている様子だったー


「あ!!!!リーシャちゃん!」

円香のお目当てのキャラのカードが出たようだー


円香は「よっしゃ!」と、小声で呟いて

ガッツポーズする。


続けて、円香はニヤニヤしながらカードのパックを

次々と開けていくー。


「よっしゃああああああああ!」

可愛い声で叫ぶ円香ー。

何か良いカードが出たようだー。


見た目と中身の”ギャップ”に周囲の客が驚いた様子で

円香を見つめるー


全てのパックを開け終えると、

円香は「くっそ~!アイランちゃんは出なかったかぁ~」と、

髪をボサボサに掻きむしりながら呟くー


”お目当て”のカードの一部が出なかったことを

とても悔しそうにしながら、ブツブツと呟き続けるー


それを見ていた、中学生ぐらいの男子が

「あ、お姉ちゃん!そのカード、俺、出たよ!」と声を上げるー


「-えっ!?どれどれ、見せて見せて!」

円香が激しく興奮した様子で、男子にくっつくー。

円香の胸が当たって、男子が顔を真っ赤にしているー、

が、乗っ取られいる円香はそんなことお構いなしで、

「うぁぁぁぁ、スゲ~!アイランちゃんのSレア!」と

目を輝かせながら見ているー


興奮した様子のまま、男子中学生の肩に手をまわして

円香は呟くー


「ねぇねぇ、僕、いや、わたしさぁ、アイランちゃんが

 一番好きなんだよね~~~

 そのカード、交換しない?」

円香がニヤニヤしながら言う。


「え、、交換、は、、ちょっと」

男子中学生が戸惑っていると

円香は「アイランちゃんは僕の嫁だ!」と、叫んだー。


戸惑う周囲の客たちー。


やがてー

円香は、脅すようにして、”アイランちゃん”のカードを入手すると、

ブツブツ早口で、アイランちゃんの魅力を語りだしたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


義彦は、円香の様子に戸惑いを隠せないー


円香が、鞄にアニメキャラのシールやらキーホルダーやら、

大量につけた状態で登校したのだー


そして、クラスの他のアニメ好きの生徒と、

物凄く興奮した様子で話をしているー。


彼氏である、義彦に目もくれずにー


だがー

”楽しそうに話していた”円香が表情を歪めるー。


「は?アイランちゃんでしょ普通?バカじゃないの?」

アニメ好きの生徒と意見が分かれたようだー。


円香が顔を真っ赤にして、

”アイランちゃん”とやらの魅力を異様な早口で

喋り続けているー。


”他のキャラが好き”などということは

”認めない”

そんな口調だー。


円香に死んだ、”野上健介”の姿がだぶって見えた気がしたー


”他人のことを全く考えない”

人に迷惑をかけるタイプのオタクー


今の円香の姿は、まさにそれだったー


「--や、、やめろって!」

義彦が、たまらず止めに入ると、

円香は「こいつ、アイランちゃんの魅力、分かってないの!」と

声を荒げたー


義彦は、我慢できずに、円香の両肩を掴むと叫んだー


「最近、円香、変だぞ!」

とー。


円香が、表情を歪めるー。


「アニメを侮辱するの?」

とー。


”そんなこと一言も言っていない”と

思いながら、義彦はすかさず反論する。


「べ、別に、アニメが好きでも、ゲームが好きでも

 俺は全然いいと思う!」


義彦が叫ぶー

しかし、円香はまだ不機嫌そうにしているのを見て

義彦は付け加えた。


アニメやゲームが好きでも、

オタクと呼ばれるような生活を送っていても、

義彦はそこに偏見を一切持っていない。


その証拠に、

義彦の仲良しな友人のひとり・重三郎は

筋金入りのオタクだー。


義彦はアニメにもゲームにもあまり興味がないタイプだが、

重三郎とはとても仲良くしているし、

趣味を超えて、親友と呼べる間柄だー。

お互いに、自分の知らない世界を知ることができて

刺激になっている。


義彦は、重三郎のことを口にする。


「アニメも侮辱しないし、ゲームも侮辱しない」

とー。


だが、その上で義彦は、さらに言い放つ。


「でもーーーー

 最近の円香は、人に迷惑をかけてる!

 死んだ野上もそうだったけど、

 そういうのは良くないだろ!!!」


義彦の言葉に、

円香は鼻で笑ったー


「--オタクとは付き合えないってこと?」

とー。


「--は??だ、、だから、そうじゃなくて!」

義彦は、”話が通じていない”と困惑するー


義彦が言っているのは、

”オタクがどうこう”じゃないー

円香の”人に迷惑をかける行為”のことを言っているー


オタクだろうと、オタクでなかろうと、

最近の円香のような振る舞いは、良くない、とー。


「---ふふふ…嫌なら別れれば?

 わたし、どんどんオタクになってやるから!」

円香はクスッと笑うと、そのまま教室の外に出て行ってしまったー


「---円香…」


おかしいー

授業が始まってからも、義彦は円香のことばかり考えていたー


「--谷村」

先生が、義彦の名前を呼ぶー


義彦は、返事をしないー


”円香の様子がおかしくなったのはー

 野上健介が自殺した直後からー”


まさかとは思うー

だが、クラスメイトたちも円香のことを、

”まるで野上になったみたいだ”などと、噂しているー


そんなこと、あるはずがない。

だが、タイミングが一致しすぎているー


円香が、最近になって、アニメやゲームを急に

好きになった可能性もあるー。

だが、数週間でそんなに急に、ここまでのめり込むか??


義彦は、頭を抱えるー。


「谷村!!!」

先生が、声を大きくするー


それでも義彦は気づかないー。


あるとすればー

”円香が趣味を隠していた”かー


あるいはーーー


「谷村!!!!!!!!!!」

先生の声に、ようやく義彦は

「あ、す、すみません!」と返事をするー


「-どうしたんだ?大丈夫か?」

心配する先生ー。


今は数学の授業中ー

当てられた義彦は、黒板に向かい、問題を解いたー


そして、座席に戻ろうとするー


円香の方をふと見ると、

円香はニヤニヤしながら、教科書の裏でスマホをいじっていたー


(円香は…あんな子じゃなかった…絶対に)

義彦は戸惑うー


円香がーー

自分の制服の袖のあたりをかじったーーー。


「----!!!」

義彦が、表情を歪めるー


野上健介が、よくやっていた癖ー

野上は、興奮したり、自分の思い通りにいかないことがあったり、

”感情が高ぶる”と、

自分の服をかじる癖があったー。


それを今ー

円香がやっているー


”まさか…そんなはずは…”

義彦は着席しながらも

”円香豹変の最悪の理由”の可能性を考えてしまうー


自殺した野上健介がー

円香に乗り移って、乗っ取っているーーー


そんな、非・現実的な理由をー


・・・・・・・・・・・・・


放課後ー


「円香、話があるんだ」

帰りの学活が終わると、義彦は真っ先に

円香のところに向かった。


「--話?」

円香はそれだけ言うと、興味なさそうに、

「今日は帰りに、ことりちゃんのグッズ買うから」

”そんな暇ないの”と言いたげに立ち去ろうとする円香。


「--円香!どうしても聞きたいことがあるんだ!」

義彦が叫ぶと、

円香が立ち止る。


他のクラスメイトがいる場所で聞くわけにはいかないー

ただでさえ、最近の円香の行動には”おかしな噂”が

立っているー

これ以上、円香が悪く言われるのは、耐えられないー


「---だからぁ!!!あんたよりことりちゃんの方が大事なの!」

円香が声を荒げるー


「--彼氏と、ことりちゃん、どっちか選べって言われたら

 わたしは迷わずことりちゃんを選ぶから。


 あんたは、わたしの大好きなアニメの二の次!

 イヤだったら、別れれば?」


円香が挑発的な口調で言うー。


義彦は、円香の方を見つめながら

”切り札”の言葉を使うことにしたー。


”違ったら違った”でそれでいいー

反応だけでも、見れればー


義彦は円香の方に近づいていくー


「な、、なに?文句あんの!?」


そんな円香に近づくとー

義彦は耳打ちしたー


「---話があるんだー”野上”」とー。


円香に自殺した野上健介が憑依してるー

なんて、あまりにも非現実的であり得ない、と

義彦は思っているし、

そう思いたいー。


だがー

円香は、ニヤリと笑みを浮かべたー


「--少しなら、聞いてあげる」

とー。


「---」

円香が先に歩いていくー


義彦は、円香の後をついていきながら、

恐怖を感じていたー


円香を”野上”と呼んだのに、円香は否定するどころか

態度を変えたー


おかしいー

もしかして、本当にー


ほとんど使われていない空き教室の前で立ち止まると

円香は「ここでお話しようか」と、不気味な笑みを浮かべたー


「---……」

義彦は深呼吸してから、空き教室に入る。


空き教室の扉を閉めると、

円香は「話って?」とにっこり微笑んだー。


「---…」

義彦は、震えていたー


もしも、

もしもー

万が一、円香に、死んだ野上健介が

乗り移っていたらー?

いったい、どうすればー?


だがーー

聞くしかない。


例え返答が

”望まない返答”だったとしても。


「円香………いや…野上」


あり得ないー

そうは思いながらもー


”否定してくれることを願ってー”


でも、現実はーーー

無情だったー


クスッと笑う円香ー


「----ふふふふ、、ようやく気付いたの」

円香が呟くー


背筋が凍る思いをする義彦ー


円香は、不気味な笑みを浮かべながら答えたー


「円香…野上くんに乗っ取られちゃった♡」

とー。


「---そ、、、そんな…」

義彦は唖然としながら円香を見つめるー


「ばれたなら隠す必要もないか。

 僕はさぁ…、自殺したんじゃないんだよ」

円香が、野上の口調で話し始めるー。


「---君の彼女を乗っ取るために、儀式を行ったんだ!

 その結果が、これだよ!


 どうだい?自分の彼女が、君の嫌いなオタクになっていく様は!

 うっふふふふふふふふ」


円香が狂ったように笑うー


「--お、、、お、、俺に何の恨みがあるんだ!」

 円香を返せ!!」


「いやだね」

円香はそう呟くと、自分の制服の袖をかじり始めたー


野上のクセだー


「僕は…僕はさぁ…君に侮辱されたんだ…

 だから、、僕は、君の彼女を奪って

 滅茶苦茶にしてやろうと決めたんだー」


唾液が付着するぐらいにギリギリと自分の服を噛む円香ー


唖然とする義彦に対して、

野上に乗っ取られた円香は”恨み”を語り始めたー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


彼女が乗っ取られていることを確信した彼氏…!

果たしてどうなってしまうのでしょうか~?


続きはまた後日デス!

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