<女体化>異世界の星空⑧~亜優美~ (Pixiv Fanbox)
Content
「--初デートが、プラネタリウム…ねぇ」
和哉の親友・神崎 省吾が笑うー。
「---悪いかよ?」
和哉が苦笑いしながら答えると、
省吾は首を振ったー。
「いいや。亜優美ちゃん、星空眺めるの好きだもんな。
俺がお前の立場でも、たぶん、同じことをするさ」
省吾の言葉に、和哉は
「ま…普通に星空眺めればいいだけかもしれないけどさ…
なんかこう、せっかく付き合いだしたんだし、
どこかに行きたいなぁ…ってさ」
と、少し恥ずかしそうに答えたー
亜優美は、小さいころから”星空”を眺めるのが好きだー。
”寂しい時でも、空の向こうにはみんながいるからー”
と、いつも言っていたー。
だからー
初デートの場所は、プラネタリウムにしたー。
「----お前が、羨ましいよー」
省吾がボソッと呟いたー
「え?」
和哉が、省吾の方を見ると、
「なんでもねぇよ」
と、和哉の方を見ながら呟いたー
そして、穏やかな笑みを浮かべてー
「亜優美ちゃんを、大事にしろよ」
と、呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
★主要登場人物★
藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫
異世界に転生後、女体化。行方不明のアリシア姫と間違えられてしまうことに…。
高梨 亜優美(たかなし あゆみ)
和哉の恋人。自ら命を絶とうとしていたところを、和哉が救い…?
神埼 省吾(かんざき しょうご)
和哉・亜優美の共通の友人。事故直前、亜優美と会話していた。
ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア
王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。
ラナ
アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。
エックス
自らを死神と語る謎の生命体
皇帝ゼロ
闇の帝国の皇帝
グール伯爵
皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。回りくどい表現を好む。
※登場人物詳細
(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に
プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、
お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)
fanbox post: creator/29593080/post/1260447
・・・・・・・・・・・・・・
レイン村ー
穏やかな星空が広がる中ー
地上では、王宮騎士団と闇の帝国軍の激闘が繰り広げられていたー。
闇のオーラを纏う巨大な斧が、騎士団長のユーリスを襲うー。
漆黒の鎧を身に纏った謎の騎士ー。
「エナジー…か」
ユーリスが呟く。
普通の斧ではない。
”エナジー”の力により、斧に闇の瘴気のようなものを纏わせ、
その威力を倍増させているー。
「--だが」
ユーリスは、”当たらなければ意味はない”と、
剣を着火させて、漆黒の鎧を身に纏った騎士に斬りかかるー。
斧を振るう漆黒の鎧の騎士ー。
ユーリスは馬上で跳躍して、それを避けると、
漆黒の鎧の騎士に、剣から噴き出す炎を叩きつけたー
「-!」
ユーリスは直感的に感じたー
”効いていないー”
すぐに反撃が来るー
そう思ったユーリスは、乗っていた馬の周囲に炎の竜巻のようなものを
起こし、その衝撃で、漆黒の鎧の騎士の”間合い”から離れたー
ユーリスの予想通りー
すぐに反撃が行われていたー
闇の”刃”のようなものが、漆黒の鎧の騎士の周囲に渦巻いているー。
「--ユーリス殿!」
スライムを全滅させた騎士団長・フェルナンデスが、
ユーリスの援護に入るー。
ユーリスとフェルナンデスがお互い頷くと、
フェルナンデスが、大量の花びらのようなものを周囲に発生させたー
”薔薇の貴公子”の異名を持つフェルナンデスの”エナジー”を使った技ー
「---」
すかさず、ユーリスが何かエネルギーを放出すると、
フェルナンデスが発生させた、花びら全てに炎が上がるー。
「--!」
漆黒の鎧の騎士がわずかに身構えるー。
フェルナンデスの薔薇と
ユーリスの炎による連携攻撃ー
「-ファイアー・ローズ!」
ユーリスとフェルナンデスの合図で、大量の炎の花びらが
漆黒の鎧の騎士に命中するー
「---ユーリス殿は、姫様を!」
フェルナンデスが叫ぶー
ユーリスは「すまない」と頷くと、
漆黒の鎧の騎士をフェルナンデスに任せ、アリシア姫の姿をした和哉と、
闇の帝国軍の女剣士・ヒルダが向かった
村の奥へと急いだー
・・・・・・・・・・・・
「---あゆみー?」
異世界の星空の下ー
和哉は、最愛の彼女・高梨 亜優美と再会したー。
この世界にやってきたのもー
道路に飛び出して車に轢かれそうになった
亜優美を助けた直後のことだったー
”亜優美は無事なのだろうか”
ずっと、気になっていたー
”女剣士”とも言えるような、
けれども少し身軽そうな装備の女が笑うー。
和哉は、女体化して、異世界の姫・アリシア姫の姿に、
亜優美は、武装した女剣士にー
姿も、世界も違うけれどー
和哉と亜優美は、こうして再会をー
「---ふふ…誰のことかしら?」
”亜優美”の姿をした女は笑ったー
亜優美が絶対に見せないような、狂気的な笑みを浮かべてー
「--あ、、亜優美…亜優美なんだろ!?」
和哉は叫ぶー。
どうして、亜優美までこの世界にいるのか。
あの時、車に轢かれそうになった亜優美を突き飛ばしたところまでは
覚えているー
亜優美もこの世界にいるということはー
もしかするとー
”間に合わなかった”のだろうかー。
「--わたしはヒルダ。
皇帝ゼロ様の忠実なしもべ…」
ヒルダと名乗る亜優美そっくりの女が剣を構えるー。
「---ち、、ちがっ」
和哉は慌てふためいて、ふと、自分の服装と胸を見つめるー。
”あ、そうか…”
亜優美もこの世界に飛ばされて、自分と同じように
”影武者”をやっているのかもしれないー
そもそも、和哉は今、アリシア姫の姿に女体化していて、
亜優美からしてみたら、”知らない人”だろうー
「--お、、俺だよ」
和哉が口を開くー
ヒルダと名乗る女は、表情を歪めたー
「--お、、俺、ほら!藤枝和哉!」
和哉が言う。
ヒルダと名乗る亜優美は、沈黙したー
そして、
少ししてから口を開くー
「--ふじえだ…かずや?」
とー。
亜優美の反応がおかしいー。
和哉の名前にも、まるで反応する様子がない。
「--ふふふっ、変な名前ね…
でもザンネン…
あなたは、アクア王国の王女・アリシア…
ちゃんと、知ってるのよ?」
ヒルダが歩き回りながら笑うー
”亜優美じゃないのか?”
和哉は思うー
異世界に”亜優美”そっくりの人間がいても
別に不思議なことではないー
だがー
「ふふふふ、わたしが切り刻んであげる!」
この声ー
この声は、間違いなくーーー
「--や、、やめろっ!待ってくれ!」
和哉が、異世界で始めて剣を取り出すー
やらなきゃ、やられるー。
高校時代の剣道の経験とー
レイン村に来るまでの、ユーリスとの訓練の成果で、
和哉は、ヒルダの剣をなんとか、捌くー
「あはっ!やるじゃない!」
ヒルダがペロリと唇を舐めるー
”人殺しの目ー”
顔は亜優美と同じなのに、
このヒルダという女は、人を殺すことを楽しんでいる目をしているー
「くっ!ま、、待ってくれ!」
和哉がそう叫びながら、必死に、ヒルダの剣をはじくー。
”なんとか、やれる”
和哉はそう思ったー
自分の剣が、このヒルダという女にも通じているー
剣と剣がぶつかり合うー。
笑うヒルダー
”わたしは、あなたの血が見たいの!”
と、興奮した様子で叫ぶー
和哉はなんとか攻撃をかわし、
ヒルダを突き飛ばすー。
ヒルダが、地面に後をつけながら、
吹き飛ばされていくー。
少しした場所で、ヒルダが止まると、
ヒルダはにっこりとほほ笑んだー
「---はぁ…はぁ…」
和哉は、自分の身体が想像以上に疲れていることに気付くー
ーー!
今、和哉の身体は女体化しているー
”体力”が、元の和哉の身体より、落ちているー
「---仕方ないわねー」
ヒルダがほほ笑むー。
「--わたし、自分の”エナジー”を使った戦いは嫌いなのー」
ヒルダの剣に電撃のようなものが走り始めるー
和哉は表情を歪めるー
”エナジー”
この世界のエネルギー。
和哉は”それを使った戦い”ができないー
「---だってー」
ヒルダが空を見上げるー
空に黒い雲ー
黒雲が出現して、綺麗な星空を覆い隠していくー
「---わたしの大好きな、星空がー隠れてしまうからー」
ヒルダの不気味な笑みー
「ーーー遠く離れていても、この星空の向こうには、
みんながいるー」
星空を見るのが好きだった亜優美の笑顔を思い出すー
(やっぱり、、亜優美ーー)
和哉は確信したー
「---亜優美!俺だ!和哉だ!」
叫ぶ和哉ー
想いが通じると信じてー
ヒルダが笑うー
素早い動きで、和哉に接近すると、
電流の流れた剣で、和哉に襲い掛かるー
咄嗟にガードする和哉ー
しかし、電流が和哉を襲い、吹き飛ばされるー。
「--くっ!」
和哉が慌てて立ち上がるー
(どうして…亜優美…?)
和哉は戸惑うー
他人の空似ー?
いやーー
顔も、声もー
そして”星空”が好きな点もー
間違いなく、彼女は、亜優美だー
まさかー、
”誰かに操られているー?”
和哉は、そう思ったー
「---き、、君はヒルダなんかじゃない」
和哉がよろめきながら立ち上がるー
ヒルダは笑みを浮かべるー。
「---君は…君は亜優美なんだ!目を覚ましてくれ!」
和哉が叫ぶー。
「--あゆみ?」
ヒルダは笑うー。
「--わたしはヒルダ。
皇帝ゼロ様の、しもべ…」
ヒルダが、再び剣に電流を蓄え始めるー。
黒雲から放たれた稲妻を剣で吸収しー、
それを和哉に向けるー
「--違う!君は亜優美だ!」
「--わたしはヒルダよ!」
二人同時に叫びー
ヒルダと名乗る亜優美が襲い掛かってくるー
”殺られるー”
和哉は、そう思ったー
しかしーーー
雷鳴が響きー
女体化した和哉の腕に取り付けられたー
”亜優美からもらった可愛らしい柄の腕時計”がー
光を反射させたー。
「--もしも今後、仕事とかで離れることがあっても、
その腕時計を通じて、和哉のこと、見てるからね♪」
その光がー
ヒルダの瞳に入るー
「-----!」
ヒルダが手を止めるー
寸前のところでー
ヒルダが瞳を震わせているー
「--!?」
和哉は「亜優美…?」と不思議そうに呟くー
ヒルダが意味深な笑みを浮かべるー
そしてーーー
剣をしまうと、そのまま和哉に背を向けるー
「---あ、、亜優美!」
和哉がとっさに叫ぶと、
ヒルダと名乗る亜優美は、笑みを浮かべたー
「---わたしはヒルダ…
あゆみなんて名前じゃないー」
と、それだけ呟くと、そのまま夜の闇へと消えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
王宮騎士団長に同行していた隠密部隊長のカイルが、
手に手裏剣のようなものを出現させるー。
彼の”エナジー”により、作り出された手裏剣ー。
それを、アンデットたちに飛ばすー。
アンデットを退けたカイルが、見つめた先ではー
王宮騎士団長たちが、魔物を圧倒していたー。
「--消え去れ!」
王宮騎士団長の一人・ミリアが、
氷漬けになった骸骨の騎士たちを一斉に砕き、全滅させるー
「---片付いたな」
同じく騎士団長のジークが、全滅したゴブリンたちを見つめるー。
”我が”暗器”使うまでもなかったか”
ジークが笑みを浮かべるー。
「----死ね!」
漆黒の鎧を身に纏う騎士と、騎士団長フェルナンデスの戦いは続いていたー
花びらの渦のようなものを出現させているフェルナンデスは
受けと攻めをバランスよく両立させ、漆黒の鎧を身に纏う騎士と
互角の戦いを繰り広げていたー
そこに、ゴブリンを片付けたジークも参戦するー。
ジークが剣で襲い掛かるとー
漆黒の鎧の騎士は、それを受け流すー
すかさずジークが、振り返るー
”毒は、ここでは使えぬな…”
ジークは、周囲にフェルナンデスとミリアがいることを確認し、
味方を巻き込む毒は使えないと判断するー。
「--アイス・アロー!」
女性騎士団長・ミリアの手から、氷の矢のようなものが放出されるー
漆黒の鎧の騎士はそれを斧で弾き飛ばすー
その隙をついて、ジークが背後から斬りかかるー。
だが、素早い身のこなしで、漆黒の鎧の騎士はそれを躱すー
フェルナンデス、ジーク、ミリアが、身構えたその時ーー
「--お見事 お見事ー」
声が響いたー
闇の帝国No2の”グール伯爵”の声ー
「ーーグール…!」
フェルナンデスが、槍を構えるー
グール伯爵は笑みを浮かべたー
「--”ダーク将軍”と互角にやり合うとはー
さすがは王宮騎士団長ー」
”漆黒の鎧を身に纏う騎士”を
ダーク将軍と呼んだグール伯爵は、
芝居がかった拍手をしながら、呟くー
ダーク将軍は、戦闘態勢を解除して、グール伯爵の横に並ぶー。
身構える騎士団長たちー
「おっと!今は貴様らとやり合うつもりはない」
グール伯爵はそう呟くとー
「”目的”は達せられたー」
と、不気味な笑みを浮かべたー
「目的?」
ジークが聞き返すと、
グール伯爵は笑みを浮かべるー
「大いなる闇ー
貴様らを、闇が包み込む日は、近いー」
そう呟くグール伯爵に向かって、
女性騎士団長のミリアが、怒りの形相で、走っていくー
「---ミリア殿!」
一人飛び出したミリアを止めようとするフェルナンデスー
しかし、ミリアは止まらないー
グール伯爵目掛けて、槍を振るいー
グール伯爵の額を貫いたー
「---目に見えるものが、全てではないー」
背後から現れるグール伯爵ー。
ミリアに顔を近づけると、
グール伯爵は不気味な笑みを浮かべたー
「元気だったか?我が”娘”よー」
グール伯爵の言葉に、
ミリアが槍を振るうー。
「黙れ!貴様を”父”などと思ったことは一度もない!」
ミリアが叫ぶー。
「ーーそれはそれは残念だー
だがーー
”我が血が流れている”のは紛れもない事実ー」
挑発的な笑みを浮かべるグール伯爵ー
ミリアが「黙れぇ!」と叫びながら、再びグール伯爵を槍で貫くー
しかしー
グール伯爵は再び、別の方向から姿を現したー
「--この”幻影”のグールを、簡単に貫けると思うなー
我が娘よー」
グール伯爵はそれだけ言うと、
ジーク、フェルナンデスの方も見て、笑みを浮かべたー
「---滅びの時は、近いー」
グール伯爵とダーク将軍が、闇の瘴気に包まれー
そのまま姿を消すー
「くそっ!」
ミリアは不愉快そうに、舌打ちをしたー
”父”であるグール伯爵を許すことはできないー
”王国”を裏切った、重罪人の、父をー。
・・・・・・・・・・・・
「---大丈夫か!」
騎士団長・ユーリスは、星空の下に立ち尽くすアリシア姫ーー
和哉を見つけて、声を掛けたー。
「----」
和哉が振り返るー
その目には、涙が浮かんでいたー
「---亜優美が…
俺の大事な女性(ヒト)がー…
この世界に来てたんだー」
和哉は、涙を流しながらそう呟いたー
ユーリスは、複雑な表情を浮かべるー。
”やはり、あのヒルダという女はー
和哉の…”
城下町を巡っていた際に、和哉から見せられた
”亜優美”の写真ー
似ているとは思っていたが、やはりーー
「----亜優美ー」
和哉は寂しそうに星空を見つめたー
きっと、亜優美と、どこかで、繋がっていると信じてー
・・・・・・・・・・・
少し離れた場所ー
ヒルダは、星空を見つめながらほほ笑んだー
背後から、グール伯爵とダーク将軍もやってくるー。
グール伯爵は笑みを浮かべて、静かに呟いたー
「--あの”姫”は、
本物ではないー
やはり、”招かれざる者”-」
とー。
”消えたはず”の姫が、突如、姿を現したー。
その報告を聞いた、グール伯爵は、
今、王国にいるアリシア姫が”本当に姫なのか”を
確認したかったー
だから、
高梨亜優美ーー
いや、今はヒルダ…
彼女を接触させたー
そしてー
”俺は和哉だー”
と、アリシア姫の姿をしたものは言っていたー
間違いないー
今のアリシア姫は偽物ー
今のアリシア姫は、”招かれざる者”-
”目的”は達したー。
”滅びの時”は近いー。
⑨へ続く
・・・・・・・・・・・・
コメント
第8話でした~!
まだまだ激動の物語をぜひ楽しんでくださいネ~!
次回は日常回…かも?