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「--初デートが、プラネタリウム…ねぇ」

和哉の親友・神崎 省吾が笑うー。


「---悪いかよ?」

和哉が苦笑いしながら答えると、

省吾は首を振ったー。


「いいや。亜優美ちゃん、星空眺めるの好きだもんな。

 俺がお前の立場でも、たぶん、同じことをするさ」


省吾の言葉に、和哉は

「ま…普通に星空眺めればいいだけかもしれないけどさ…

 なんかこう、せっかく付き合いだしたんだし、

 どこかに行きたいなぁ…ってさ」

と、少し恥ずかしそうに答えたー


亜優美は、小さいころから”星空”を眺めるのが好きだー。

”寂しい時でも、空の向こうにはみんながいるからー”

と、いつも言っていたー。


だからー

初デートの場所は、プラネタリウムにしたー。


「----お前が、羨ましいよー」

省吾がボソッと呟いたー


「え?」

和哉が、省吾の方を見ると、


「なんでもねぇよ」

と、和哉の方を見ながら呟いたー


そして、穏やかな笑みを浮かべてー


「亜優美ちゃんを、大事にしろよ」

と、呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


★主要登場人物★


藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫

異世界に転生後、女体化。行方不明のアリシア姫と間違えられてしまうことに…。


高梨 亜優美(たかなし あゆみ)

和哉の恋人。自ら命を絶とうとしていたところを、和哉が救い…?


神埼 省吾(かんざき しょうご)

和哉・亜優美の共通の友人。事故直前、亜優美と会話していた。


ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア

王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。


ラナ

アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。


エックス

自らを死神と語る謎の生命体


皇帝ゼロ

闇の帝国の皇帝


グール伯爵

皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。回りくどい表現を好む。


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

fanbox post: creator/29593080/post/1260447

・・・・・・・・・・・・・・


レイン村ー


穏やかな星空が広がる中ー

地上では、王宮騎士団と闇の帝国軍の激闘が繰り広げられていたー。


闇のオーラを纏う巨大な斧が、騎士団長のユーリスを襲うー。

漆黒の鎧を身に纏った謎の騎士ー。


「エナジー…か」

ユーリスが呟く。

普通の斧ではない。

”エナジー”の力により、斧に闇の瘴気のようなものを纏わせ、

その威力を倍増させているー。


「--だが」

ユーリスは、”当たらなければ意味はない”と、

剣を着火させて、漆黒の鎧を身に纏った騎士に斬りかかるー。


斧を振るう漆黒の鎧の騎士ー。

ユーリスは馬上で跳躍して、それを避けると、

漆黒の鎧の騎士に、剣から噴き出す炎を叩きつけたー


「-!」

ユーリスは直感的に感じたー

”効いていないー”


すぐに反撃が来るー

そう思ったユーリスは、乗っていた馬の周囲に炎の竜巻のようなものを

起こし、その衝撃で、漆黒の鎧の騎士の”間合い”から離れたー


ユーリスの予想通りー

すぐに反撃が行われていたー

闇の”刃”のようなものが、漆黒の鎧の騎士の周囲に渦巻いているー。


「--ユーリス殿!」

スライムを全滅させた騎士団長・フェルナンデスが、

ユーリスの援護に入るー。


ユーリスとフェルナンデスがお互い頷くと、

フェルナンデスが、大量の花びらのようなものを周囲に発生させたー

”薔薇の貴公子”の異名を持つフェルナンデスの”エナジー”を使った技ー


「---」

すかさず、ユーリスが何かエネルギーを放出すると、

フェルナンデスが発生させた、花びら全てに炎が上がるー。


「--!」

漆黒の鎧の騎士がわずかに身構えるー。


フェルナンデスの薔薇と

ユーリスの炎による連携攻撃ー


「-ファイアー・ローズ!」

ユーリスとフェルナンデスの合図で、大量の炎の花びらが

漆黒の鎧の騎士に命中するー


「---ユーリス殿は、姫様を!」

フェルナンデスが叫ぶー

ユーリスは「すまない」と頷くと、

漆黒の鎧の騎士をフェルナンデスに任せ、アリシア姫の姿をした和哉と、

闇の帝国軍の女剣士・ヒルダが向かった

村の奥へと急いだー


・・・・・・・・・・・・


「---あゆみー?」


異世界の星空の下ー

和哉は、最愛の彼女・高梨 亜優美と再会したー。


この世界にやってきたのもー

道路に飛び出して車に轢かれそうになった

亜優美を助けた直後のことだったー


”亜優美は無事なのだろうか”

ずっと、気になっていたー


”女剣士”とも言えるような、

けれども少し身軽そうな装備の女が笑うー。


和哉は、女体化して、異世界の姫・アリシア姫の姿に、

亜優美は、武装した女剣士にー


姿も、世界も違うけれどー

和哉と亜優美は、こうして再会をー


「---ふふ…誰のことかしら?」

”亜優美”の姿をした女は笑ったー


亜優美が絶対に見せないような、狂気的な笑みを浮かべてー


「--あ、、亜優美…亜優美なんだろ!?」

和哉は叫ぶー。

どうして、亜優美までこの世界にいるのか。

あの時、車に轢かれそうになった亜優美を突き飛ばしたところまでは

覚えているー

亜優美もこの世界にいるということはー

もしかするとー

”間に合わなかった”のだろうかー。


「--わたしはヒルダ。

 皇帝ゼロ様の忠実なしもべ…」

ヒルダと名乗る亜優美そっくりの女が剣を構えるー。


「---ち、、ちがっ」

和哉は慌てふためいて、ふと、自分の服装と胸を見つめるー。


”あ、そうか…”


亜優美もこの世界に飛ばされて、自分と同じように

”影武者”をやっているのかもしれないー


そもそも、和哉は今、アリシア姫の姿に女体化していて、

亜優美からしてみたら、”知らない人”だろうー


「--お、、俺だよ」

和哉が口を開くー


ヒルダと名乗る女は、表情を歪めたー


「--お、、俺、ほら!藤枝和哉!」

和哉が言う。


ヒルダと名乗る亜優美は、沈黙したー


そして、

少ししてから口を開くー


「--ふじえだ…かずや?」

とー。


亜優美の反応がおかしいー。

和哉の名前にも、まるで反応する様子がない。


「--ふふふっ、変な名前ね…

 でもザンネン…

 あなたは、アクア王国の王女・アリシア…

 ちゃんと、知ってるのよ?」

ヒルダが歩き回りながら笑うー


”亜優美じゃないのか?”

和哉は思うー


異世界に”亜優美”そっくりの人間がいても

別に不思議なことではないー


だがー


「ふふふふ、わたしが切り刻んであげる!」


この声ー


この声は、間違いなくーーー


「--や、、やめろっ!待ってくれ!」

和哉が、異世界で始めて剣を取り出すー


やらなきゃ、やられるー。


高校時代の剣道の経験とー

レイン村に来るまでの、ユーリスとの訓練の成果で、

和哉は、ヒルダの剣をなんとか、捌くー


「あはっ!やるじゃない!」

ヒルダがペロリと唇を舐めるー


”人殺しの目ー”


顔は亜優美と同じなのに、

このヒルダという女は、人を殺すことを楽しんでいる目をしているー


「くっ!ま、、待ってくれ!」

和哉がそう叫びながら、必死に、ヒルダの剣をはじくー。


”なんとか、やれる”

和哉はそう思ったー


自分の剣が、このヒルダという女にも通じているー


剣と剣がぶつかり合うー。

笑うヒルダー


”わたしは、あなたの血が見たいの!”

と、興奮した様子で叫ぶー


和哉はなんとか攻撃をかわし、

ヒルダを突き飛ばすー。


ヒルダが、地面に後をつけながら、

吹き飛ばされていくー。


少しした場所で、ヒルダが止まると、

ヒルダはにっこりとほほ笑んだー


「---はぁ…はぁ…」

和哉は、自分の身体が想像以上に疲れていることに気付くー


ーー!


今、和哉の身体は女体化しているー

”体力”が、元の和哉の身体より、落ちているー


「---仕方ないわねー」

ヒルダがほほ笑むー。


「--わたし、自分の”エナジー”を使った戦いは嫌いなのー」

ヒルダの剣に電撃のようなものが走り始めるー


和哉は表情を歪めるー


”エナジー”

この世界のエネルギー。

和哉は”それを使った戦い”ができないー


「---だってー」

ヒルダが空を見上げるー


空に黒い雲ー

黒雲が出現して、綺麗な星空を覆い隠していくー


「---わたしの大好きな、星空がー隠れてしまうからー」

ヒルダの不気味な笑みー


「ーーー遠く離れていても、この星空の向こうには、

 みんながいるー」


星空を見るのが好きだった亜優美の笑顔を思い出すー


(やっぱり、、亜優美ーー)


和哉は確信したー


「---亜優美!俺だ!和哉だ!」

叫ぶ和哉ー


想いが通じると信じてー


ヒルダが笑うー

素早い動きで、和哉に接近すると、

電流の流れた剣で、和哉に襲い掛かるー


咄嗟にガードする和哉ー

しかし、電流が和哉を襲い、吹き飛ばされるー。


「--くっ!」

和哉が慌てて立ち上がるー


(どうして…亜優美…?)

和哉は戸惑うー


他人の空似ー?

いやーー

顔も、声もー

そして”星空”が好きな点もー

間違いなく、彼女は、亜優美だー


まさかー、

”誰かに操られているー?”


和哉は、そう思ったー


「---き、、君はヒルダなんかじゃない」

和哉がよろめきながら立ち上がるー


ヒルダは笑みを浮かべるー。


「---君は…君は亜優美なんだ!目を覚ましてくれ!」

和哉が叫ぶー。


「--あゆみ?」

ヒルダは笑うー。


「--わたしはヒルダ。

 皇帝ゼロ様の、しもべ…」


ヒルダが、再び剣に電流を蓄え始めるー。


黒雲から放たれた稲妻を剣で吸収しー、

それを和哉に向けるー


「--違う!君は亜優美だ!」

「--わたしはヒルダよ!」


二人同時に叫びー

ヒルダと名乗る亜優美が襲い掛かってくるー


”殺られるー”


和哉は、そう思ったー


しかしーーー

雷鳴が響きー

女体化した和哉の腕に取り付けられたー

”亜優美からもらった可愛らしい柄の腕時計”がー

光を反射させたー。


「--もしも今後、仕事とかで離れることがあっても、

 その腕時計を通じて、和哉のこと、見てるからね♪」


その光がー

ヒルダの瞳に入るー


「-----!」

ヒルダが手を止めるー


寸前のところでー


ヒルダが瞳を震わせているー


「--!?」

和哉は「亜優美…?」と不思議そうに呟くー


ヒルダが意味深な笑みを浮かべるー

そしてーーー


剣をしまうと、そのまま和哉に背を向けるー


「---あ、、亜優美!」

和哉がとっさに叫ぶと、

ヒルダと名乗る亜優美は、笑みを浮かべたー


「---わたしはヒルダ…

 あゆみなんて名前じゃないー」


と、それだけ呟くと、そのまま夜の闇へと消えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


王宮騎士団長に同行していた隠密部隊長のカイルが、

手に手裏剣のようなものを出現させるー。

彼の”エナジー”により、作り出された手裏剣ー。

それを、アンデットたちに飛ばすー。


アンデットを退けたカイルが、見つめた先ではー

王宮騎士団長たちが、魔物を圧倒していたー。


「--消え去れ!」

王宮騎士団長の一人・ミリアが、

氷漬けになった骸骨の騎士たちを一斉に砕き、全滅させるー


「---片付いたな」

同じく騎士団長のジークが、全滅したゴブリンたちを見つめるー。


”我が”暗器”使うまでもなかったか”

ジークが笑みを浮かべるー。


「----死ね!」

漆黒の鎧を身に纏う騎士と、騎士団長フェルナンデスの戦いは続いていたー


花びらの渦のようなものを出現させているフェルナンデスは

受けと攻めをバランスよく両立させ、漆黒の鎧を身に纏う騎士と

互角の戦いを繰り広げていたー


そこに、ゴブリンを片付けたジークも参戦するー。


ジークが剣で襲い掛かるとー

漆黒の鎧の騎士は、それを受け流すー


すかさずジークが、振り返るー


”毒は、ここでは使えぬな…”

ジークは、周囲にフェルナンデスとミリアがいることを確認し、

味方を巻き込む毒は使えないと判断するー。


「--アイス・アロー!」

女性騎士団長・ミリアの手から、氷の矢のようなものが放出されるー


漆黒の鎧の騎士はそれを斧で弾き飛ばすー


その隙をついて、ジークが背後から斬りかかるー。

だが、素早い身のこなしで、漆黒の鎧の騎士はそれを躱すー


フェルナンデス、ジーク、ミリアが、身構えたその時ーー


「--お見事 お見事ー」


声が響いたー


闇の帝国No2の”グール伯爵”の声ー


「ーーグール…!」

フェルナンデスが、槍を構えるー


グール伯爵は笑みを浮かべたー


「--”ダーク将軍”と互角にやり合うとはー

 さすがは王宮騎士団長ー」


”漆黒の鎧を身に纏う騎士”を

ダーク将軍と呼んだグール伯爵は、

芝居がかった拍手をしながら、呟くー


ダーク将軍は、戦闘態勢を解除して、グール伯爵の横に並ぶー。


身構える騎士団長たちー


「おっと!今は貴様らとやり合うつもりはない」

グール伯爵はそう呟くとー


「”目的”は達せられたー」

と、不気味な笑みを浮かべたー


「目的?」

ジークが聞き返すと、

グール伯爵は笑みを浮かべるー


「大いなる闇ー

 貴様らを、闇が包み込む日は、近いー」


そう呟くグール伯爵に向かって、

女性騎士団長のミリアが、怒りの形相で、走っていくー


「---ミリア殿!」

一人飛び出したミリアを止めようとするフェルナンデスー


しかし、ミリアは止まらないー

グール伯爵目掛けて、槍を振るいー

グール伯爵の額を貫いたー


「---目に見えるものが、全てではないー」

背後から現れるグール伯爵ー。


ミリアに顔を近づけると、

グール伯爵は不気味な笑みを浮かべたー


「元気だったか?我が”娘”よー」


グール伯爵の言葉に、

ミリアが槍を振るうー。


「黙れ!貴様を”父”などと思ったことは一度もない!」

ミリアが叫ぶー。


「ーーそれはそれは残念だー

 だがーー

 ”我が血が流れている”のは紛れもない事実ー」


挑発的な笑みを浮かべるグール伯爵ー


ミリアが「黙れぇ!」と叫びながら、再びグール伯爵を槍で貫くー


しかしー

グール伯爵は再び、別の方向から姿を現したー


「--この”幻影”のグールを、簡単に貫けると思うなー

 我が娘よー」


グール伯爵はそれだけ言うと、

ジーク、フェルナンデスの方も見て、笑みを浮かべたー


「---滅びの時は、近いー」

グール伯爵とダーク将軍が、闇の瘴気に包まれー

そのまま姿を消すー


「くそっ!」

ミリアは不愉快そうに、舌打ちをしたー


”父”であるグール伯爵を許すことはできないー

”王国”を裏切った、重罪人の、父をー。


・・・・・・・・・・・・


「---大丈夫か!」

騎士団長・ユーリスは、星空の下に立ち尽くすアリシア姫ーー

和哉を見つけて、声を掛けたー。


「----」

和哉が振り返るー


その目には、涙が浮かんでいたー


「---亜優美が…

 俺の大事な女性(ヒト)がー…

 この世界に来てたんだー」


和哉は、涙を流しながらそう呟いたー


ユーリスは、複雑な表情を浮かべるー。


”やはり、あのヒルダという女はー

 和哉の…”


城下町を巡っていた際に、和哉から見せられた

”亜優美”の写真ー

似ているとは思っていたが、やはりーー


「----亜優美ー」

和哉は寂しそうに星空を見つめたー


きっと、亜優美と、どこかで、繋がっていると信じてー


・・・・・・・・・・・


少し離れた場所ー

ヒルダは、星空を見つめながらほほ笑んだー


背後から、グール伯爵とダーク将軍もやってくるー。


グール伯爵は笑みを浮かべて、静かに呟いたー


「--あの”姫”は、

 本物ではないー

 やはり、”招かれざる者”-」


とー。


”消えたはず”の姫が、突如、姿を現したー。


その報告を聞いた、グール伯爵は、

今、王国にいるアリシア姫が”本当に姫なのか”を

確認したかったー


だから、

高梨亜優美ーー

いや、今はヒルダ…


彼女を接触させたー


そしてー

”俺は和哉だー”


と、アリシア姫の姿をしたものは言っていたー


間違いないー

今のアリシア姫は偽物ー

今のアリシア姫は、”招かれざる者”-


”目的”は達したー。

”滅びの時”は近いー。


⑨へ続く


・・・・・・・・・・・・


コメント


第8話でした~!

まだまだ激動の物語をぜひ楽しんでくださいネ~!


次回は日常回…かも?

(Fanbox)


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