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入れ替わってしまった翌日ー

二人は、いつもより早めに学校に登校したーー


”寝れば元に戻る”

そういう希望も抱いていたものの、

結局、朝、目が覚めても、そのままだったー


「---……あ~~~」

苦笑いする勇夫(智美)-。


登校した智美(勇夫)の状態が想像以上に

酷かったからだー。


髪の毛はボサボサー

顔はやつれていてー

制服も乱れているー

いつものように、香水とかも何もつけてなさそうだし、

ノーメイクで、まるで別人のような智美の姿がそこにはあったー


「あ~…ず、ずいぶん変わっちゃうんだね~」

勇夫(智美)は苦笑いするしかなかったー。


「---そ、、それは、、ぼ、僕のセリフだよ」

智美(勇夫)が恥ずかしそうに言うー


勇夫(智美)は、いつもぼさぼさな髪が

少し整えられていて、

小ぎれいな感じになっていたー

表情も、明るいー。


「---……って、一つ聞きたいんだけどさ」

勇夫(智美)が、智美(勇夫)を見つめながら言うー


「それ!!!昨日、着てたまんまでしょ!?制服!!!」

勇夫(智美)の言葉に、

智美(勇夫)は「ひぃっ!?ご、ごめんなさいごめんなさい!」と

必死に謝り始めたー


昨日ー

智美の身体で帰宅した勇夫は、

結局、智美の身体も、智美の部屋も、何もかも直視することができず、

制服を着替えることすらできなかったー


着替えようとしたのだが、

智美の素肌が見えた時点で、ギブアップしてしまったー

だから、着替えていないし、

お風呂にも入っていないー


「--ちょっと~~!さすがにそれはきついよ~!」

勇夫(智美)が、ぺしぺしと智美(勇夫)を叩きながら言うー


「で、、でも、、ぼ、僕、トイレにはいったよ!」

と、智美(勇夫)は必死に言い訳をしたー


「ーー当たり前でしょ!」

勇夫(智美)がもう一度、ぺしっ!と智美(勇夫)を叩いたー


「--も~~、今日は仕方ないけど、

 今日、帰るまでに元に戻れなかったら、

 今日こそ、ちゃんとお風呂と着替え、してよね!」


勇夫(智美)が言うと、

智美(勇夫)はもじもじしながら「無理だよ~~…

金崎さんの身体見るなんて…無理だよ~」と、呟くー


金崎さんが腐っちゃうー、だとか

エッチなことは僕、だめだから、だとか

ネガティブオーラ全開の智美(勇夫)が呟くー


”見た目おんなじでも、ここまで雰囲気変わるんだぁ…”と

苦笑いしながら勇夫(智美)は

智美(勇夫)の肩に手を触れたー


勇夫が智美の肩に手を触れているー

事情を知らない生徒が見たら、びっくりして

ひっくり返ってしまうかもしれないレベルの出来事だー。


「ーーー別に、エッチ目的で見るわけじゃないでしょ?」

勇夫(智美)はそう呟くと、

「わたしのため、って思ってくれてるなら

 ちゃんとお風呂に入って。


 お風呂に入ってくれないほうが、わたし、腐っちゃうよ~?」

と少しだけ笑いながら勇夫(智美)が言うー


「う、、うん…でもぉ…」

と、智美(勇夫)は、まだ、ネガティブオーラを全開にしているー


「--何日もお風呂に入らないで着替えないで~、じゃ

 さすがにみんなからも変な目で見られちゃうよ!


 わたしのために!ね!お願い、お風呂入って!」


勇夫(智美)が言うと、

智美(勇夫)は戸惑いながら、

ようやく頷いたー


学校での生活について、相談を終える二人ー


そして、他の生徒たちも登校してきたー


「え~~あ、、、あの…」

智美(勇夫)の周りには、

智美が仲良くしている女子たちが集まっているー


もじもじした様子で智美(勇夫)は

顔を真っ赤にしながら、

周囲の女子たちと喋っているー


いやー

ほとんど、まともに喋れていないー


女子と話せない状態の勇夫にとっては

ある意味地獄だったー


だがー

智美の親友でもある、穂乃(ほの)が、

強引な性格であるためか、

勢いでうまくしゃべらされていたー


「---も~…やっぱ、髪、ネタにされてるじゃん~」

勇夫(智美)は教室の隅から

智美(勇夫)の方を見つめながら笑うー。


ぼさぼさの髪の智美が、

友達から”どうしたの~?”と聞かれたり

ネタにされているー


そんな光景を見つめながら、勇夫(智美)は思うー


”それにしてもー

 なんだか、静か”

とー。


いつも友達に囲まれている智美からしてみれば

誰も話しかけてこない勇夫の状態は、

ある意味貴重なーーー


いいやーーー

”昔”に戻った気がしたー


「ふふ…まぁ…簡単に”変わる”なんて…難しいよね」

勇夫(智美)は少しだけ寂しそうにそう呟いたー


自分は、変わったー

けれどー

”誰でも変われる”とは、思っていないー


智美が、勇夫のことを気に掛けるのはー

智美が、誰にでも優しく、常にポジティブなのはー


”過去”を乗り越えたからこそのものー。


やがてー授業が始まるー

授業中も、勇夫(智美)は堂々とした感じでー

逆に智美(勇夫)は、おどおどした感じー


先生の中にも「今日、調子でも悪いのか?」と

智美(勇夫)を心配する様子が見られたー


「--あ」

勇夫(智美)は戸惑うー。


時間割を見て、ふと”問題”を思い出したー


5時間目は体育ー

勇夫が智美の身体で着替えるなんて、

出来っこないー。


「---どうしようどうしようどうしよう」

案の定ー

昼休みになったとたん、智美(勇夫)が机に

顔を伏せながら、ブツブツと呟き始めたー


「お、、おちついて!船本くん!」

勇夫(智美)が必死に智美(勇夫)を落ち着かせようとしたがー

結局ー勇夫(智美)が”見学”するしかないね、と提案して、

智美(勇夫)は体調不良を理由に、体育の授業を”見学”したー。


そうこうしているうちに、

授業が終わるー


「--おつかれさま」

勇夫(智美)がそう言うと、

智美(勇夫)は、「もう…耐えられない…」と

泣きそうになりながら言うー。


そんな智美(勇夫)に、勇夫(智美)は、

”元に戻る方法、試してみようよ”と、昨日に続き、

提案するー


キスー

階段から転がり落ちるー


元に戻れそうな手段を、口にする勇夫(智美ー)


だが、昨日と同じように

智美(勇夫)は、それを拒んだー


キスは恥ずかしいし、

階段から転落するのは危険だ、

と、昨日と同じ返事だったー。


「---…今日も、帰るしかないね」

勇夫(智美)が言うー


勇夫(智美)はふと、”勇夫の家庭”のことを聞いてみようと思ったー


勇夫の家族はとても不仲でー

勇夫自身にも暴力を振るっているー


きっと、それがー

勇夫が、何に対しても怯え、自分に自信を持てない原因ー


智美は、そう思ったー


でもー

勇夫(智美)は、家族のことを聞くのをやめて、

そのまま智美(勇夫)に向かって呟いたー


「--お風呂と着替え!

 約束!」


と、指切りのポーズをするー。


「---で、、できるかなぁ…?」

智美(勇夫)が、自信のない顔で言うー


”わたしのその顔、久しぶりに見たなぁ…”

勇夫(智美)は内心でそう思うと、

「できるよ!できる!というか、入って!お願い!」

と、笑いながら、智美(勇夫)に対して、告げたー


・・・・・・・・・・・・・・・


「----ただいま~」

帰宅する勇夫(智美)


今日も両親が怒鳴り声をあげて

喧嘩をしているー


「---辛いよね…」

勇夫(智美)が呟くー。


両親に怒鳴られたりー

暴力を振るわれたりー

いつもいつも両親が喧嘩していたりー

そんな環境で、勇夫はずっと育ってきたのかもしれないー


だからこそー

何事にも怯え、

すぐに謝りー

何事もネガティブに考えるように、

そう、なってしまったのかも、しれないー。


「---…」

両親の怒鳴り声が響くー


勇夫(智美)は、”どうにかしてあげたい”とも思ったー


でもーー

どうすることも、できないー


智美は、勇夫の家庭環境を深くは知らないー

そんな自分が、安易に首を突っ込めばー

元に戻った後の勇夫が、さらに大変な目に遭うかもしれないー


”安直な優しさは、他人を傷つける”


智美はそれを、よく、知っているー


「---だめ。ノータッチ」

勇夫(智美)はそう呟くと、

勇夫の部屋へと入るー


鏡を見つめる勇夫(智美)


「--結構ーーー

 よ~く見ると、女の子から人気出そうな顔立ちしてるんだけどなぁ~」


そう呟くと、

智美になった勇夫を思い出すー


「--ネガティブパワーが、強すぎるのかな」

苦笑いすると”今のうちに、今しかできないこと、

せっかくだし、いろいろ試してみなくちゃ”とほほ笑むー


自分と背の違う勇夫の身体で、自分の身体じゃ

届かないであろう高い場所に手を伸ばしてみるー


勇夫の身体で、重いモノを持ってみるー


勇夫の身体で、着替えをしてみるー

”下心から”ではなく、純粋な好奇心だー。


勇夫の声を出してみるー


「--う~ん、あとは~…

 と、いうか、船本くんって、こう見えてわたしより

 力もあるんだね…」


勇夫(智美)は笑うー

思い物を持ってみた感じ、智美よりはるかに力があるー


”力があるってこんな感じなんだ”

とー新鮮な感覚を覚えるー


昨日もいろいろ試したが

”入れ替わって2日目”で、多少気持ちに余裕も出てきた

勇夫(智美)は、昨日以上に”今しかできないこと”を

色々体験して、その不思議な感覚を味わっていたー


「身体が違うだけで、なんか何もかもちがうなぁ…」

勇夫(智美)は呟くー


トイレに行きたくなり、

立ったままトイレを済ませるー

これも、智美にとってはとても新鮮な感覚ー


「う~ん、座ってないと落ち着かない…!」


男の身体でも座ってすることはできるのだが、

”せっかくだし”と、立ったまま、トイレを済ませるー


「ん~~…何とも言えない!」

勇夫(智美)が呟くー


両親の罵声はまだ続いているー


「--こんなんじゃ…ネガティブにもなるかもね」

勇夫(智美)は、苦笑いしながら、ふと、洗面所の鏡を見たー


「---俺、君のことを一生守って見せるー」


勇夫が絶対言わないであろうことを呟いてみるー


「な~んちゃってー」

別に勇夫が好きとか、そういうことではなく

単純に”こんなセリフも口から出せるんだ”と、

勇夫(智美)は、楽しそうにほほ笑んだー


・・・・・・・・・・・・


「---ああぁぁぁあああああ…」

目を瞑りながら必死に着替える智美(勇夫)-


しかし、上手くいかないー

目を瞑ったまま、慣れない女子の制服を脱ぐのは

困難だー


目を少し開けるー


下着が目に入るー


「うぁあああああああああああああ!」

悲鳴にも似た奇声を上げる智美(勇夫)


なんとか服を脱ぎ終えた智美(勇夫)は、

”ある問題”に気づいたー


それは…


”あ…”

下着姿になったまま、智美(勇夫)は凍り付いたー


”着替え…用意してない”

とー。


着替えを用意せずに制服を脱いでしまったー


”詰んだ”

智美(勇夫)は、そう思ったー


もう、目を開けるしかー


「---あああああああああああ…!」

顔を真っ赤にしながら慌てて、智美の洋服を探すー


智美のおしゃれな洋服の数々を見て

涙ぐみながら、

適当になんとか服を掴んでー

半分パニックになりながら服を着たー


「はぁ…はぁ…」

へなへなと座り込む智美(勇夫)


ぼくは、もうだめだー。

ドキドキが止まらずに、心臓発作を起こしてしまいそうー…


そんな風に思いながら


”お・ふ・ろ、入った!?”と

勇夫になった智美からLINEが届いたためー

智美(勇夫)は顔を真っ赤にして

心臓をバクバクさせながら、その場に蹲ったー


「ぼ、、ぼくが金崎さんのお風呂を覗くなんて

 だ、、だめだだめだだめだ…

 あぅぅぅぅぅぅぅ」

智美(勇夫)は、お風呂場の前で

行ったり来たりを繰り返すー


”お風呂に入らないといけない”のは、分かってるー


でも、

でもーー


「僕なんかが、金崎さんの身体を洗うなんて…

 だめだぁあああああ…」

智美(勇夫)はその場で、悲鳴に似た叫びを上げるー


「あれ?智美…」

姉が偶然通りかかったー


「そういえば、智美、昨日、お風呂入って無くない?」

姉が言うー


「え、、、あ、、、あ、、、そ…その」

智美(勇夫)は挙動不審な反応をするー


”初対面”

”女性”


勇夫にとって、超がつくほど緊張してしまう

組み合わせー


智美の姉とまともに話せるはずなどなかったー


「え、、あ、、あの、、お風呂、、お風呂、、無理、、むりぃ!」

意味の分からない返事をする智美(勇夫)を見て

何も知らない姉はほほ笑んだー


「無理???どうしたの?」

笑う姉ー


そして、姉は、何を思ったのか

とんでもないことを提案したー


「あ!一緒にはいろっか!お風呂!」

とー


「ふぇ!?」

智美(勇夫)は、その場で気絶しそうになったー


智美の裸を見るだけで限界ーー

というか、無理なのに、

智美のお姉さんのーー


しかもー

一緒にお風呂ーーー


「ぶほぉぉおおお#%$’#(#)」


もはやー

智美(勇夫)は、意味不明な言語を話すことしかできなかったー


その先のことは、

正直、勇夫自身もよく覚えていないー


気付いたら、部屋で鼻血を流しながら、

泣いていたー。


何があったのかも、あまり、覚えていないー


・・・・・・・・・・・・


ふたりは、元に戻れないままーー

文化祭当日を迎えたー


周囲は

”勇夫が明るくなって”

”智美が暗くなった”ことに気づき始め、

だんだん噂になってきているー


「ごめん…僕のせいで」

智美(勇夫)が暗い表情で言うー


「--別に。元に戻ったら、なんとかするから!」

勇夫(智美)が笑うー


そして、勇夫(智美)は智美(勇夫)に手を差し伸べたー


「ホラ、せっかくだし、文化祭、一緒にたのしも!」

とー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回(8/31に執筆します!!)デス~!


ネガティブな男子とポジティブな女子の入れ替わりの

結末を、ぜひ見届けて下さいネ~!


今日もありがとうございました!!

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