<MC>お前の彼女は俺たちのパシリだ③~対立~ (Pixiv Fanbox)
Content
文哉は、不安を感じながら学校に登校したー。
最近、彼女の穂乃香の様子がおかしいー。
三人組の不良
龍一郎、卓、達平に何か脅されているのではないか。
そんな風に、文哉は考えているー。
「----どうにか…どうにかしないと…」
もし、あの3人に脅されているのであれば、
早くどうにかしないといけないー
実際に、穂乃香は”喫煙”させられていたー。
穂乃香が自分の意思で煙草を吸うなんてありえないー
あいつらが、絶対何かーー
「---最近、何かあったの…?」
一人、悩んでいると背後から
クラスメイトで演劇部部長の順子が声を掛けてきたー
順子も、穂乃香の異変に気付いているようだー。
「--……俺にもわからないんだー」
文哉は、最近のことを隠さず話したー
穂乃香の、喫煙のこともー。
順子は、穂乃香の親友だー。
信頼も出来るー
だからこそ、相談したー
「-----」
順子が深刻な表情で、文哉の方を見るー
「---穂乃香が、脅されてるってこと?」
順子の言葉に、文哉は
「--それしか考えられない」
と、答えたー
「---…」
順子が口を開こうとしたその時だったーー
「---!!!」
教室に入ってきた穂乃香の姿を見てー
唖然としたー
明らかに化粧の濃くなった穂乃香ー
髪型も少し派手になっているー
耳にはピアスのようなものが光っているー
「--!」
順子も穂乃香に気づいて唖然とするー
「--ちょっと」
穂乃香が低い声で順子を睨むー
「え…?」
順子が困惑していると、
穂乃香は、「わたしの彼氏、取らないでくれる?」と
敵意むき出しで順子を睨みつけたー
「--え、、ち、、違うよ、、、」
順子は、必死に弁明しようとしたー
文哉を取る気なんて、全くないー
「---どいて。わたしの方が可愛いんだから」
そう言うと、穂乃香は順子を突き飛ばして、
文哉の前に座った。
「おはよ♡」
穂乃香が文哉の方を見て、嬉しそうに言う。
「お、、、おはよう…
あ、、あのな?穂乃香…
金崎さんとは、ただ話してただけで…」
順子と話していたことを弁明する文哉。
当然、文哉も順子に異性としての好意はないし、
そもそも、穂乃香と順子は親友の間柄であり、
文哉を交えていつも話していたー。
当然、文哉と順子が話していても、穂乃香は
「わたしの”彼氏”と”親友”が話しているー」ぐらいの考えで
何か言ってくることはなかったー
「--あんなブスより、わたしでしょ?」
穂乃香が可愛らしい仕草を交えながら言うー
「--ほ、穂乃香…?本気で言ってるのか?」
文哉は戸惑いを隠せないー
順子は、少し離れて様子をうかがっているー
「--当たり前でしょ?わたし、誰よりもかわいいんだから!」
穂乃香の表情は”本気”だー
”言わされている”感じではないー
「---…ほ、、穂乃香…」
文哉は困り果ててしまうー。
「----…」
穂乃香が勝ち誇った表情で順子の方を見るー
そして、文哉に視線を戻すと少しだけ表情を暗くしたー
「---…そ、そんな顔しないで…
ごめんね…?」
とー。
その様子を教室の外からB組の不良三人が見つめていたー
龍一郎と眼鏡をかけた卓、ロン毛の達平の三人だー。
「---…へへへ…」
リーダー格の龍一郎が笑うー
「---お前は悪い子だ
先生は敵だ。反抗しろ」
「---俺たち、読みたい漫画があってさぁ…
ちょっと万引きしてきてくれよー」
「--お前は可愛いー
他の女子たちはブスだー。
徹底的に見下してやれ-。
わたしは可愛いって思いこめー」
達平が施した”洗脳”が聞いているー
今まで、自分の容姿を自慢するような、鼻につく
振舞いは絶対にしなかった穂乃香が、
自分の容姿を自慢して、周囲を見下しているー
洗脳されている証拠だー
「すげぇだろ?」
ロン毛の達平が笑うー。
「--すげぇ力だよ。そんなもん、どうやって覚えたんだ?」
龍一郎が言うと、
「お前にもそのうちやるよ」
と達平は答えたー
眼鏡をかけた卓は、少し引き気味だー
”洗脳”して、真面目な子を変えてしまうー
”非・人道的”であると、卓は思っていたー
「---”アイツ”への、感情だけそのままー
ゾクゾクするだろ?」
達平が笑うー
達平はあえてー
穂乃香に対して”彼氏の文哉”に関係する洗脳はしていないー
文哉に対する好意はそのままだし、
仲良しなのも、そのままー
だからー
悪いことをしておきながら、
文哉に対しては謝ったりするー
そんな穂乃香と
困惑する文哉を見てー
達平たちは、不気味な笑みを浮かべていたー
「--よぉ」
少し前を置いてから達平が、C組の教室に入っていくー。
「--あ!おはよ~!」
穂乃香が嬉しそうに笑うー
戸惑う文哉ー
そしてー
”回収”の時間だー
「---俺たち、読みたい漫画があってさぁ…
ちょっと万引きしてきてくれよー」
昨日の放課後に”洗脳”して、やらせた”犯罪”-
「盗って来たか?」
達平が聞くと、
穂乃香は「うん!」と鞄から、漫画本を取り出したー
「--へへ、どうだ?人生初の万引きは?」
達平が言うと、
穂乃香は「ふふ、スリルがあって最高!」と
笑みを浮かべたー
「ま…万引き!?!?」
文哉が声を荒げるー
周囲のクラスメイト達が一瞬、振り向くー
順子も、気にしているー
「----」
”穂乃香のために”文哉は小声に変えて
龍一郎たちの方を見るー
「--お前ら…穂乃香に万引きさせたのか?」
文哉が拳を震わせながら言うー
「--文哉、違うよ!
わたしが自分でやったの。
みんなが、読みたい漫画があるって言ってたから!
わたし、優しいでしょ?」
穂乃香が、”何の罪の意識もなく”ほほ笑むー
「--ほ、、穂乃香…やらされてるのか…?こいつらに!」
文哉が言うと、
穂乃香は首を振ったー
「--ごめんね!でも、自分の意思でやってるの!ほんとだよ!
脅されたりなんかしてないから!」
”嘘だー”
そう思いつつも、
穂乃香の表情に”曇り”はないー
脅されていればーこんな笑顔で淡々と言えるはずがないー
「--おい」
龍一郎が、文哉の肩に手を置くー
「--”彼女”が”万引き”したんだぞ?
先生に言わないのかよ?
万引きは”犯罪”だぜ?」
龍一郎の言葉に、文哉は「く…」と表情を歪めるー
「--正義の生徒会副会長さんよ?
お前の彼女が、俺たちのパシリになって
万引きしたんだぜ???
それも、自分の意思で。
どうするよ?あ????」
龍一郎が文哉を睨むー
「--何とか言えよ、偽善者野郎!!!
自分の彼女だと、目を瞑るのか!」
机をたたく龍一郎ー
文哉は、涙ぐんだ目で龍一郎を睨み返したー
「--お前らが…やらせてるんだ」
とー。
自分に言い聞かせるように、そう言い放ったー
泣いているのは、怖いからじゃないー
脅されているにせよ、穂乃香に裏切られた悲しみー
穂乃香を救ってやれないー、
相談もしてもらえない悔しさー
そして、穂乃香に万引きまでさせた龍一郎らに対する怒りー
その、涙だー
「はん」
龍一郎は鼻で笑ったー
「-もっともっと、パシッてやるから、覚悟しとけ」
そう言うと、龍一郎たちは立ち去って行ったー
「----」
立ち去り際に、眼鏡をかけた卓が、文哉の方を振り返ったー
文哉のあらゆる感情が込められた強い目を見てー
卓はため息をついたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後ー
穂乃香は、空き教室で龍一郎・達平と共に
煙草を吸っていたー
「へへ、すっかり悪い女になっちゃってなぁ」
龍一郎が穂乃香の胸を触りながら言うー
穂乃香はそれを気にする様子も見せずに、
「ふふふ、わたしはかわいいもん。
ルールとかさ、そういうもの、うざいだけでしょ?」と
笑いながら答えたー
・・・・・・・・
校舎裏ー
文哉は、不良の一人・卓に呼び出されていたー
「--話ってなんだ?」
文哉が怒りの形相でやってくると、
卓は、気まずそうに眼鏡をいじったー。
「--お前の彼女…」
卓が口を開くー
周囲を気にしながらー
「---”洗脳”されてるー」
「--!?」
文哉が表情を歪めた。
空気が凍り付くー
一瞬、世界の音が何もなくなったかのようにー
何も、感じられなくなってしまうほどの衝撃を、
文哉は受けた。
「--俺のダチのロン毛のやつ…
達平が、人を洗脳する力を身に着けていてさ…
あいつが、お前の彼女を洗脳したんだー」
卓が早口で言う。
「--ふ、、ふざけるな!」
文哉は卓の胸倉をつかんだー
「--お、、お、、俺だって、
こんなことになるとは思わなかったんだ!
俺は止めた!やりすぎだって!!
でも、達平と龍一郎は、やめる気なんて全くねぇ…
既にお前の彼女は、かなり洗脳されてる…
早くどうにかしないと、手遅れになるぞ!」
卓が叫ぶー。
「--…せ、、洗脳って…いったい何をしたんだ!!!」
文哉が叫ぶと、
卓は今まで達平が命令していたことを思い出しながら
全てを伝えたー
「--このことは誰にも言うなよ!」
それだけ言うと、卓は足早に立ち去って行ったー
”洗脳”
「そんな……
穂乃香……」
文哉は膝を折るー。
穂乃香が、アイツらに洗脳されているなんてー
でもー
それなら、穂乃香の豹変の説明もつくー
穂乃香は、アイツらに、洗脳されているー
「---穂乃香…必ず…
必ず、、、助けるから…」
そう呟いて、決意の眼差しで立ち上がった文哉ー
そんな文哉が
学校の正門から出ていくのをー
体育の教師・穂塚(ほづか)が、見つめていたー
・・・・・・・・・・・・
翌日ー
文哉は穂乃香を呼び出したー
「なぁに、話って?」
ネイルされた爪をいじりながら、
穂乃香が近づいてくるー。
朝早くー
登校時間の前に、話をつけたいー
文哉は、口を開いたー
「---……あいつらに、洗脳されたのか?」
とー。
単刀直入に聞いた。
穂乃香が「え?」と、半分笑いながら返事をするー
「---穂乃香……
あいつらに、洗脳されてるのか?」
文哉が言うと、穂乃香は笑い出したー
「あははははっ!文哉~!
急に呼び出して、洗脳って、、どうしたの?」
穂乃香には”洗脳されている自覚”が全くないー。
自覚ないまま、変えられているー
「--穂乃香……最近、自分で自分をおかしいと思わないか?」
文哉が言うー
穂乃香は、文哉の話を真剣に聞くー
”文哉が好きな感情”は
”あえて”そのままにされているからだー。
「---自分を可愛いと言い始めたり…
金崎さんに、乱暴なことしたり…
不良たちと付き合いだしたり、
万引きしたり…
そんなこと今まで一度もなかったじゃないか!!」
文哉が言うー
穂乃香は鞄から煙草を取り出すと、
屋上の端で煙草を吸い始めたー
「---……う~ん……」
穂乃香が考えるー。
確かに、そういうことは今までなかったー
「---なんでかな~?
ほら、わたしも年ごろだし、いろいろ変わる時期だから!」
穂乃香が、無理やり頭の中で理由を作って笑みを浮かべるー
「--万引きは犯罪だろ!穂乃香!しっかりしろ!」
穂乃香に向かって叫ぶー
「--ふふ、ルールなんてくだらないって思わない?
文哉も一緒に、もっと楽しもうよ!
真面目にやるなんて、馬鹿みたいでしょ?」
穂乃香が煙草の煙を吹かしながら言うー。
「--穂乃香!煙草だって、、どうしてそんな急に吸い始めたんだ!
……洗脳されてるからだろ!!」
文哉が言うー
なんとか、正気に戻ってほしいと願いを込めながらー
「----…美味しいんだもん」
穂乃香はそう言うと、煙草をポイ捨てして、それを踏みにじるー。
「--穂乃香!頼む!…穂乃香はアイツらに洗脳されてるんだ…
気づいてくれ…頼む…」
文哉が言うと、
穂乃香が近づいてきたー
そしてーー
「---ねぇ…さすがにちょっと…うざいよ?」
穂乃香が舌打ちするー
「--穂乃香…」
文哉が穂乃香を見るー
文哉に対する感情は、何も洗脳されていないー
しかしー
”朝早く、彼氏に呼び出されて、急に洗脳されている!などと
言われて、まるで自分が悪いかのように言われた”
ことで、穂乃香は純粋に腹を立てていたー
「----急に朝早く呼び出して、
いきなり洗脳とか、あり得ないでしょ!?!?
いくら文哉だからって、わたし、怒るよ!?」
穂乃香が声を荒げるー
「--違うんだ!穂乃香!本当に…!」
文哉が必死に叫ぶー
「-ーもういいよ。文哉なんて知らない!」
穂乃香は不貞腐れた様子で、そのまま屋上から
立ち去ってしまったー
「穂乃香…」
文哉が唖然とするー
”ククク”
廊下で穂乃香と合流した達平は笑うー
龍一郎・達平・卓を見て
穂乃香は嬉しそうにほほ笑んだー
”洗脳して、”彼氏を嫌い”にするのは簡単だー”
だがー
こうしてー
自然と絆が壊れてくれた方がー
さらに、面白いー
壊れろー
崩れろー
絶望がー、
物語をフィナーレへと向かわせるのだからー。
④へ続く
・・・・・・・・・・・・・
コメント
どんどん状況は悪化…
続きはまた後日デスー!
今日もありがとうございました!!