<憑依>ポゼッションストーカー①~視線~ (Pixiv Fanbox)
Content
女子高生・上杉 純玲(うえすぎ すみれ)は、
どこにでもいるようなごく普通の女子高生ー
可愛らしい容姿と明るい性格から
友達も多く
素行も良いために、先生たちからの評判も良い。
家族とも仲良しで、
母・留美子(るみこ)、父・太一(たいち)、姉・海美(うみみ)とも
とても仲良しだー。
だがー
「-----」
純玲は、最近、悩んでいたー
”ある男”に”ストーカー”されているのだー。
ストーカー男の素性は分からないー。
だがー、”ストーカーされている”のは
間違いないー。
「---へへへ」
男が笑うー
純玲は、親友の和枝(かずえ)と共に
高校の中に入っていくー
”とにかく、一人にならないように”
”人通りの少ない場所を歩かないように”
”ストーカー”の存在に気づき、純玲は
そうして、自分の身を守っていたー
先生や家族にも相談はしてあるものの、
先生や家族に出来ることにも限界があったー
ストーカー男が、直接的な行動に出ないからだー。
純玲は”確実にストーカー”だと判断しているものの、
距離も保っているしー
声を掛けて来るわけでもなければー
何らかのリアクションを起こすわけでもないー
だから、手を出せなかったのだー。
もちろん、両親と一緒に警察にも相談した。
だが、”現時点でその男に対して何かするのは難しい”というのが
警察の判断だった。
「----大丈夫?」
親友の和枝が心配そうに言うー。
学校でも、家でも、必要以上に悩むことはしないー
彼女は、何事もポジティブに考えるタイプだからだー。
しかしー
それでも、やはり、気になってしまうー
一体何が目的なのかー
とー。
もう数か月は続いているー
でもー
”何も”してこないー
声をかけてくるわけでもないし
近づいてくるわけでもないー
盗撮などをしている様子もないー。
それでもー
確実に”純玲”についてきているのだけは、
間違いなかったー。
・・・・・・・・・・・・
「----へへっ」
男は笑みを浮かべたー
汚らしい身なりの男ー
湯河原 譲治(ゆがわら じょうじ)は
笑みを浮かべるー
”今日も、ご馳走様”
とー。
彼は、ホームレスだったー。
数か月前に、彼が住処にしている場所の前を
下校中に通りがかった純玲を見て、
彼は”一目ぼれ”をしたー。
それからの譲治の楽しみはー
”純玲を見ること”になった。
毎日極限状態で生き、何の楽しみもないような
生活の中、”純玲を見ること”だけが
唯一の楽しみだったー
「---あぁ、純玲ちゃんは目の保養になるなぁ」
譲治が、拾った空き缶をビニール袋に入れながら呟くー
”何もする気はないー”
ただー
純玲を見ていることができれば、それで満足だー。
譲治はー
純玲を襲うつもりなんてなかったし、
純玲を盗撮するつもりもなければ
個人情報目的でも、なんでもなかったー
”ただ、純玲を見れればそれで幸せ”
それ以外に、何もなかったー
とは言え、やっていることは
ストーカーと同じー
純玲からすれば”恐怖”でしかないー。
下校時間になると、譲治は再び学校の近く潜みー
純玲がやって来るのを待ったー
“来た!”
譲治は笑うー
「--今度の文化祭だけど、一緒に回らない~?」
親友の和枝と一緒だー。
純玲が「うん!いいよ~!」と返事をするー
ストーカー男に恐怖を感じながらも、
それでも純玲は持ち前のポジティブさで、
友達や家族の前では、決して弱いところを見せなかったー
相談するべきところは、すぐに相談しー
自身も警戒しながら行動しー
それでいて、必要以上にふさぎ込んだりしないー
純玲の対処法にー
”ミス”は見当たらないー
何もしてこない以上、”最善”とも言える対応ー
「----」
純玲が、学校の影に譲治が潜んでいるのを
横目で確認したー
”人通りのある道”を歩きー
そして、”親友の和枝と一緒に下校している”
抜け目は、ないー
そう簡単に、手出しはできないー。
だがー
長い間付き纏われていることに
純玲の我慢は限界だった。
純玲は”ある行動”に出ることを決意していたー
もちろん、リスクは承知の上でー。
親友・和枝と別れてー
純玲は、大通りまでたどり着くと、立ち止まって振り返ったー
「あの!!!」
純玲の言葉に、ホームレスの譲治は驚いた表情を浮かべたー
今まで、純玲は、譲治に対し”無反応”を貫いていたー
その純玲が声をかけてきたという事実に、
譲治は驚いたのだ。
「----最近ずっと、わたしのこと、見てますけど、
何か御用ですか?」
純玲の言葉に、譲治は「え…」と言葉を詰まらせるー。
「---お、、お、、俺は、君を傷つける気はないんだ!」
譲治は、そう言ったー
これは、本心だー
目的は”純玲を見て癒されること”
もちろん、それだけでもおかしな行動だと言うのは
譲治も理解しているー
「---じゃあ、何の御用なんですか!?」
純玲が語気を強めるー
我慢の限界だったー
ずっとシカトしていれば、いつかはいなくなる、
そう信じていたけれど
数か月間ずっと、このままだー。
もう、耐えられない。
「--そ、、それは…」
譲治は言葉に詰まる
”ただ、君を遠くから見ていたいだけだ”
と、でも言えばよいのだろうかー。
譲治は、困り果てた表情で純玲の方を見つめるー
純玲は”やっぱり、この人ストーカーだ”と確信するー
「--警察にも、お父さんにも、お母さんにも、
学校にも、相談しますから!」
純玲が言い放ったー
既に相談はしているのだが、
譲治にストーカーをやめさせるため、
あえてそう口にしたー
「ーー変態!」
純玲が怒りの言葉を口にしたー
相手を余計に刺激するような発言は
控えるべきだと思いつつも、
ここ数か月の怒りが爆発したー。
「--へ、、へんた…」
譲治は唖然としているー
小さいころ、いじめっ子たちに
変態扱いされた過去と重なりー
譲治は、逆切れしそうになったー
「---」
純玲が交差点を渡っていくー
譲治はとっさに走ったー
「--俺は変態じゃない!俺は、、俺はーーーーー!」
次の瞬間ーーー
譲治は激しい衝撃を感じてー
気付いた時には、自分の身体が、
まるでボールのように、宙を飛んでいたー
そして、地面に叩きつけられるー
「--え……?」
譲治が唖然としているー
なんだか湿った感じがするー
驚いた譲治が地面に視線を落とすとー
そこには、真っ赤な血だまりが出来ていたー
目の前には、トラックー
「あ……」
譲治は、自分が”トラックにはねられた”ことを悟ったー
純玲に”変態”と言われて逆上した譲治は、
赤信号を無視して純玲を追いかけてしまいー
トラックにひかれたのだー
「---あ…あ……あ……」
”死にたくない”
譲治は震えるー
””こんなことになったのは、あいつのせいだー”
譲治の純玲に対する想いはー
憎悪に変わったー
”あいつのせいでーー
俺は死ぬー?”
譲治の全身が激しい痛みを発しているー
譲治はぶるぶると震えながら、
やがてー力が抜けていく感触を覚えたー
”死ぬ…あいつの、、せいで…
ゆるせ…ない”
譲治はー
逆切れのような憎悪を抱いたままー
そのまま救急車が駆けつける前に、死亡したー
・・・・・・・・・・・・・
純玲は、ストーカー男がはねられて死んだことを
知らなかったー
交通事故が起きて死者が出たことは、
翌日のニュースで知っていたが、
まさか、あの男がはねられたとまでは思っていなかったー
ホームレス・譲治に「変態」と言い放って
足早に立ち去った純玲は、
その背後でトラックにはねられた譲治に気づかず、
そのまま移動していたー
だから、あの男が死んだことも知らなかったー
「-------」
純玲が背後を振り返るー
”ストーカー”の気配が消えたー。
「---ふぅ…」
純玲は安堵のため息をつくー
”わたしが、警察に言うって言ったから
やめてくれたのかな”
安心したような表情を浮かべると、
とたんに力が抜けるような感じがしてきたー
”まだ、油断はできない”
でもー、
この数か月間にわたるストーカー行為から、
純玲はようやく解放された。
それだけでも、
心がすぅっと、軽くなったような気がするー
「---は~~~、よかった」
これで、心おきなく文化祭を楽しむことができるー
そう、思っていたー
だがー
ズズズズ…
”男”は、成仏していなかったー
トラックにはねられて死んだホームレスの譲治はー
悪霊と化してー
この世に残っていたー
純玲の背後の地面から、譲治の霊が生えて来るー
”お前のせいで、俺は、死んだー”
譲治が憎しみの声で呟くー
だがー
憎悪と同時に、譲治はまだーー
”純玲”のことが好きだったー
純玲をずっとずっと、見ていたいー
生前よりも、歪んでしまったその想いー
それが、暴走するのは、時間の問題だったー
「おはよ~!」
教室に入ると、純玲はいつものように親友の和枝と
談笑し始めたー
クラスメイトの美由子(みゆこ)、比奈(ひな)も
混ぜて楽しそうに話をするー。
”------”
その様子を譲治の霊はじっと見つめていたー
譲治の霊には、
誰も気づかないー
しかしー
譲治は、”あること”を思いついたー
それはー
”純玲の身近な人間になればー
純玲のことをずっと見ていることができるのではないかー”
とー。
「--あ、ちょっとトイレに行って来る~」
純玲の友人の一人、比奈が、ツインテールを揺らしながらトイレに向かうー
譲治の悪霊は、笑みを浮かべたー
「---え~~~?でも、美由子は彼氏がいるでしょ~?」
「いいのいいの~!修三とはいつも一緒だし、たまにはね~」
「--修三君かわいそ~!」
純玲・和枝・美由子が教室で談笑を続けているー
「--あれ?そういえばさ~、比奈、遅くない?」
純玲の親友・和枝が言うと、
お調子者でショートヘアーな美由子は
「--お腹痛くなっちゃったんじゃないの~?」と
一人で笑っているー
純玲が「もう少しすれば戻ってくると思うよ~」と
口を開いた直後ー
比奈は戻ってきたー
自分のツインテールを触ってー
少しだけ口元を三日月のような形に
歪めると、
比奈はそのまま歩いてくるー。
「-----純玲」
比奈がにこっと笑うー
「--え?」
純玲が首をかしげると、
比奈は「ずっとずっとずっとずっと、見てるからね♡」と
不気味な笑みを浮かべたー
「え???ど、どういうこと?」
純玲は首を傾げたー
親友の和枝と友人の美由子も、不思議そうな顔をしているー
”ふふふふー”
比奈は、座席に戻ったあとも、純玲の方を見続けているー
純玲を見て、興奮しているー
「---俺を殺した女ーーー」
比奈が静かにそう呟いたー
・・・・・・・・・・
放課後ー
純玲は、親友の和枝と下校しているとー
ふと”気配”を感じたー
背後をとっさに振り返るー
”またあの男!?”
そう思って、周囲を見回すー
木の影に、ツインテールの友人・比奈が見えたー
純玲が「あ、比奈!」と手を振るがー
比奈は、木の影に身を隠して、反応しなかったー
「あれれ?」
純玲は不思議に思いながらも、周囲を見渡すー
”ストーカー男”はいないー。
純玲は、比奈に見られてたからかなぁ…と、首を傾げながら歩き出すー
純玲が歩き出したのを確認すると
比奈は、よだれを垂らしながら、純玲の後をついていくー
「すみれ…純玲…すみれ…ひひ、、ふひひひ♡」
よたよたと歩く比奈ー
比奈の表情はー
顔芸と、表現してしまうのが正しいぐらいに、
歪んでいたー
”ストーカー”は、死してー
”最悪のストーカー”へと変貌したー
純玲の更なる恐怖はーー
これからだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・
コメント
恐怖の憑依ストーカー…!
次回から恐ろしいことになりそうですネ…!
今日もありがとうございました!
暑いので、気を付けて過ごしてくださいネ~!