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ふと、彼は立ち止った。


男子大学生の畑中 聡也(はたなか さとや)は、

大学帰りに偶然通りかかった銭湯の前で立ち止まっているー


銭湯ー。

今ではほとんど見かけなくなった。


小さいころを思い出す聡也ー。

小さいころ、祖父が住んでいる田舎に、

昔ながらの銭湯があった。

祖父の家に遊びに行くと、そこに連れていってもらって、

お風呂から出たあとに飲むビン入りのコーラが

聡也にとって楽しみの一つだった。


「-なんか、懐かしいな」

”こんな昔ながらの銭湯、まだあるんだな”と思いながら

時計を見る聡也。


聡也の祖父は、聡也が高校生の頃に死んでいるー。

なんとなく、祖父に銭湯に連れて行ってもらったことを

思い出しながら、聡也はふらりとその銭湯の中に

足を踏み入れたー。


内部も、やはり、昔ながらー

入り口には、開業時の写真だろうか。

昭和らしき白黒の写真が飾られているー

もしかすると、もっと前からあるのかもしれないー


男風呂と女風呂の入り口が見えるー。


聡也は、”健全”な男子で、

エッチなことは、なるべく考えないようにしているー。

まだ付き合うには至っていないが、

高校時代からの女友達が

エッチなことが嫌いだからだ。

もともと、特にエッチな性格ではなかった聡也は、

その女友達と親しくなってからは、

さらに、健全ー…

エッチなことを考えない、

そんな男子になっていたー。


世の中には変態もたくさんいる。

聡也は、そんな変態を見たり、変態のニュースや話題を聞くと

”よくもまぁ、そんなことできるよな”と、

他人ながら恥ずかしく思うのだったー。


靴を下駄箱のようなところに入れて、

男風呂の方に入ると

おじいさんが声をかけてきた。


「いらっしゃい」

銭湯は、老夫婦が経営しているようだー

おじいさんの方が男風呂を、おばあさんの方が

女風呂の案内をしているー


「--あ、どうも」

聡也は周囲を見渡して、少し恥ずかしくなる。


何故ならー

昔から銭湯に通っていそうな雰囲気の

おじいさんばかりだったからだ。

周囲の目線も集まるー


「おや、珍しいね」

店主のおじいさんが言う。


「-あ、いえ…

 昔、祖父の家に遊びにいったとき、

 よく、こういう銭湯に連れてきてもらってたんで

 なんだか懐かしくて」


聡也は照れ臭そうにそのことを告げるー。


「--おやおや、そうかい。

 ゆっくりしていくといいよ」

店主のおじいさんの言葉に、聡也は

「ありがとうございます」と言いながら、

そのまま浴室前の脱衣所で、お風呂に入る準備を始めるー


周囲を見渡す聡也。

かなり昔からあるのだろう。

時代を感じさせる雰囲気だ。

ビン入りのコーラや牛乳などが

冷蔵庫に入っていて、それが売られている。


小さいころ、祖父に買ってもらった

コーラを思い出す聡也ー。


「----っと」

思い出に浸ってぼーっとしていた聡也は

我に返って、そのままお風呂の中へと入る。


利用客は、それほど多くはないがー

時間帯がちょうどそういうタイミングだからだろうか。

そこそこの人数がいたー。


「--レトロって感じだな」

聡也はそう呟きながら

大学でかいた汗を流していくー


髪を洗いー、

身体を洗うー。


身体を洗いながら、聡也は、

”経営とか、大丈夫なのかな”と

ふと思う。


一番来店客が多そうなこの時間帯でも、

それほど人数は多くないように見えるー。


料金表に書かれていた料金を考えても

儲かっているようには思えないー


だが、店主の老夫婦にも貯金が

あるのかもしれないしー

そもそも、”お金”目的ではないのかもしれないー


「なんて、悪い癖だな」

聡也は呟くー


子供の頃は、純粋に銭湯を楽しむことが

できていたのだが、

大学生にもなると、ついつい、そういう

”現実的な部分”を考えてしまうー


年を取った、ということだろうか。

それとも、大人になった、とでも言えばいいのだろうかー。


いずれにせよ、遊園地にしても動物園にしても

こういう銭湯にしても

子供の頃の時間というものは、本当に楽しかった。


余計なことを考えずに、ただ、その瞬間を

楽しむことができていたし、

世の中の汚い部分も知らなかったー

穢れのないあの時代は、今思うと、本当に

宝物のような時間だったのかもしれないー


湯に浸かる聡也ー。


「ふ~ちょうどいいお湯加減だな」

泡の噴き出している部分に向かって

そこでのんびりする聡也ー


子供の頃、お風呂に噴き出す泡を見て

楽しんでいたことを思い出すー


泡に見とれてつまづいて、溺れそうになってしまった

ことも思い出すー


「懐かしいなぁ…」

聡也は、死んだ祖父のことを思い出しながら

昔のことを振り返っていたー


「---ん?」

聡也は、ふと異変に気付いた。


甘い、変なにおいがするー

まるで、女の子のようなにおいー。


「--なんだ…?」

聡也が周囲を見回す。


当然、男湯に女の子が入って来るわけがない。

では、このニオイはいったいー?


聡也は気づいていない。

浴槽の底から、霧状の何かが噴射されたことにー


「--ん????」

ニオイがさらに強まる。


周囲の男性客数名も、「?」という

表情を浮かべているー


聡也は「入浴剤のにおいか何かかな」と

呟いて、そのまま目を閉じたー


しかしー


「---!?」

聡也は表情を歪めたー


”入浴剤のにおいか何かかな”は

聡也が言おうとした言葉だー。


だが、知らない女が、聡也が

頭の中で呟いていた言葉を

呟いたのだー


「--!?!?!?」

聡也は慌てて周囲を見渡すー


だが、周囲に女はいないー


「-!!」

女風呂の方からか?


壁の向こうから、聡也が言おうとした

台詞を、誰かが言ったー。


「---誰が、俺の真似を…」


そう呟こうとした聡也は驚くー


”また”だー。

聡也が言おうとしたー

言ったつもりの言葉を

別の女が呟くー


聡也は、”気味悪いな”と思いながら、

髪の毛を、鬱陶しそうにかきわけるー


なんだか、さっきから髪の毛が邪魔だー

確かに、最近少し伸びてきていたから

来週の土曜日頃には、理髪店に行こうと

思ってはいたのだがー


「---!?!?」

聡也は、唖然としたー


「ん????」

自分の手を見る聡也ー


自分の手が、自分の手じゃないように見えるー


手が白くて、綺麗だー。

大きさも、ちょっと小ぶりな感じに見えるー


「んんん?」

聡也は戸惑いながら、お風呂の中に入れていた

腕をお湯の上にあげるー


すると、腕も色白の、綺麗な腕になっていたー


”すげぇ”

聡也はそう思ったー


このお風呂…

こんなに健康に効果があるのかー。


そんな風に聡也は思いながら

自分の腕を見つめるー


汚れが取れたというか、

かなり美的効果がある感じだー

目に見えて肌が変化したのが分かるー


そんな聡也の方を周囲の男性客たちが

見つめているー


聡也は苦笑いしながら、目があった男性客に

会釈をするー。


若い男がこういうところに来るのは

物珍しいのだろうし、

一人でお風呂に驚いているから

余計に奇妙に見えるのだろうー。


「ーーそれにしても…」


ーー!?


聡也は、”さっきから女の声がする”と思っていたのが

”自分の声なのではないか?”と思い始めるー


さっきから、”自分が言ったはずの言葉”が

女の声で聞こえて来るためー

隣の女風呂にいる”誰かが”茶化しているのかと

そう思っていたー


だが、自分が女声になっている気がするー


そう思った聡也は「あ、、あ~~!」と声を出してみるー


間違いないー

誰かが聡也の言おうとしている言葉を

真似しているのではなくー

聡也の声が女の声になっているー?


「---え…」

戸惑う聡也ー

何が起きているのか、さっぱり分からない。


そういえばーさっきからー


聡也は、さっきから邪魔に思っていた髪を

触ってみるー


髪はいつの間にか、女のように伸びていたー


まさかーー!?!?


聡也は「な、、なんだぁ!?」と

叫びながら、お風呂から立ち上がったー


するとー

そこには、膨らんだ胸がー


「--えっ!?!?!?えええええええええええええ!?!?!?」

聡也が大声で叫ぶー

可愛い声でー


慌てて、股間のあたりを触る聡也ー


「ね、、、ねぇっ!?!?!?」

聡也が叫ぶー


男の象徴が無くなっているー

そして、女としての象徴が、輝いているー


「---ちょ…」

聡也はそこまで言いかけて、周囲を見たー


周囲の男性客たちが、唖然とした

表情で聡也の方を見ているー


”女体化した聡也”をーー


「---え…」

聡也はふと、さっきから男性客の一部が

聡也の方を変な顔で見ていたことを思い出すー


あれはー

”若い男性”がいることを気にして、見ていたのではなく

もしかするとー

”女”が”男風呂”に入っていたからー??


男性客の一人が叫ぶ。


「お、、、お姉ちゃん…ここ、男風呂だぞ!?」

とー。


「--ちょ、、ちょ…その身体、隠してくれ!」

他の男性客が赤くなりながら目を逸らす。


「--え!?!?ちがっ、、お、、俺は男だ!」

聡也が叫ぶー


「--男!?そんな、でかいもん、胸にあるのにか!?」

男性客の一人が叫ぶ。


「--ち、、ち、ちがいますって!」

聡也は慌てて叫ぶー


どう言い訳をすればいいのだろうかー

自分の口から出て来る女の声ー

身体も女らしい体つきにー


これじゃあ、誰がどう見ても男だ


「こいつ、痴女か?」

二人組の男性客の一人が言う。


「--ち、、違いますって!勘弁してくださいよ!」

聡也が必死に叫ぶー。


そして、どうにか信じてもらう方法を考える


「あ、ほら!俺が入ってきたとき、

 俺、男でしたよね!?

 このお風呂に入ったら、急に女になってしまって!」


叫ぶ聡也ー。


だがー


「--どうだった?」

「さぁ?」

「--そんなこと言ったって、騙されねぇぞ」

利用客たちが話し合う。


だがー

他の利用客たちは、聡也が入ってきたことを

はっきり覚えていなかった。


確かに、聡也は入ってきていたのだが、

自分たちのことに集中していて、

運悪く、誰も聡也のことを認識していなかったー


「--おい!そのでかいおっぱい隠してくれよ!」

赤い顔をしながら男性客が言うー


そこそこのサイズの胸と

スタイルの良い身体をさらしたまま、

聡也は戸惑うー


「か、、隠してって言われても」

聡也は、自分の胸を見て真っ赤になっている。


一体、どうすればー?

どうしたらいいのかー。

それすらも、分からない。


当たり前だー

こんな経験、初めてなのだから。


こんな場所でー

こんな場所で、急に女になってしまうなんて、

いったいどうすればー


「--源さん呼ぶしかねぇ!」

利用客の一人が叫ぶ。


”源さん”とは、店主のおじいさんのことだ。


「--あ、、ま、、まって!」

聡也は叫ぶー


これってもしかしてー

男風呂に忍び込んだ痴女として、逮捕されるやつー?


青ざめる聡也。


「源さん!痴女だ!」

お風呂から出て脱衣所に入ると

利用客の一人は、そう叫んだー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・


コメント


銭湯に実際に行ったことがないので、

写真や聞いた話からの想像で書きました!


違和感を感じる部分があったらごめんなさい!


今日もありがとうございました~!

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