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「1か月以内に返せなかったら

 ”身体”で払ってもらうからね」


「”この女”みたいになりたくなかったらー…

 頑張ることね」


女子大生の香帆は、戸惑っていたー


事故死した父親に、”借金”があったという事実ー。

しかも、”暗夜金融”なる怪しげな金融会社から

父はお金を借りていたー。


その、暗夜金融の女・愛に

香帆は脅されていたー


愛は、とても可愛らしい雰囲気の女性なのだがー

まるで”外見”と”中身”が違うかのようにー

”外見”と”中身”がずれてしまっているかのようにー

”狂暴”だー。


その愛から、1か月以内に5000万円を返済

するように迫られている香帆ー。


しかし、5000万円なんて大金、

香帆に用意できるはずもなく、

3週間が経過した今、

なんとかかき集めた100万円しか

手元にはない。


「-ーー少しずつ、少しずつお返ししていきますから」

香帆は、やってきた愛に対して

”分割”での返済を申し出た。


とてもじゃないが、5000万円を

あと2週間で用意することは不可能だ。


鎖のようなアクセサリーをジャラジャラさせながら

サングラスをかけた愛が笑うー


「あのさ。

 そんな選択肢はあんたにはないの」

愛がたばこの煙を吹かしながら笑うー


笑ってはいるが、威圧している感じだー。


今日の愛は一段と化粧が濃くて

サングラスをしているせいもあってか、

香帆は、いつも以上に恐怖を感じていたー


「--…で、、でも…わたし」


「だからさぁ」

愛が、乱暴な口調で言う。


「お金ないなら、身体で払えばいいって、言ってるだろ?」

口紅で赤く染まった口元を歪ませながら

愛が、香帆の肩に手を触れる。


「-わたしみたいにさぁ、

 こうやって、暗夜金融のために身も心も捧げれば

 それで済むんだから」

愛がクスクスと笑うー


以前、愛が見せてくれた高校時代の写真を思い出すー


高校時代の愛は、

家族と一緒にとても楽しそうに

ほほ笑んでいたー


そんな子がー

たった2年でここまで変わってしまうのだろうかー。


歩くたびに、アクセサリー類が

じゃらじゃらと音を立てる愛ー。


「--……」

香帆は言い返せずに黙り込んでしまう。


「--あと2週間。 

 金で返すか。身体で返すか。

 ちゃんと、決めておきな」

愛はそれだけ言うと、

笑みを浮かべて、そのまま立ち去ってしまったー。


・・・・・・・・・


”どうしよう”

”どうしよう”


そう思いながらも、時間だけが過ぎていく。

彼氏の省吾にも相談することができないままー


「相談したら、お父様やお母さまみたいな人が

 増えるけど、いいの?

 くく…

 わたしの弟もね、

 わたしが相談したから、”事故”で死んじゃったの

 バカなやつでしょぉ??」


愛の言葉を思い出すー


”脅し”だと思いたいー

両親が事故死したのはーーー

”暗夜金融”の仕業なのではないかと

どうしても頭によぎってしまうー


愛とかいう人の弟が死んだのも

暗夜金融のーー


「それはないよね…」

香帆は戸惑いながら呟くー


”自分の弟を殺した会社に”

あんな喜んで勤めるはずがないー


でもー。


時間だけが過ぎていくこの状況ー


返済期限まで1週間となった日ー

愛が再びやってきた。


まるで、夜の街で働く女のような姿をした

愛が、香帆の方を見つめる。


「-お金、全然用意できてないみたいね?」

とー。


香帆は「すみません」と頭を下げるー


身体で払うとはどういう意味なのかー。

でもーー


「ち、ちゃんと、お返しできない分は

 どうにかして…」


「--身体で、返すのよね?」

愛が笑いながら、腕を組んで香帆を見つめるー


「あ、、あの…

 わ、、わたし…わたし、眞城さんのように

 働ける自信はないですけど…」

愛の方を見て言うー。


愛は鼻で笑った。


「--わたしみたいに?

 ふふ、大丈夫よ。

 ”身を任せれば”ね」


愛はクスクスと笑いながら

香帆の方を見つめて、ニヤニヤしているー


「--だって、この女より、いい身体だもん」

愛はそう言いながら、

香帆の頬をイヤらしい手つきで触るー


香帆は震えながら愛の方を見たー


「--ふふふふ…♡

 次はお前の身体だ」

愛が舌を出しながら香帆の手を舐め始めるー


「ーーや、、やめてください!」

香帆が舐められていた手を離すと、

愛は舌打ちをしたー


「---…次はお前の身体って…どういう意味ですか?」

香帆が震えながら言う。


「え~???ふふふ」

愛がニヤニヤしながら答えたー


「”わたしみたいに”なるってことだよ」

とー。


愛の言葉の意味が分からないー。

香帆は戸惑いながら

”で、、でも、わたしは本当に眞城さんみたいにはなれませんから”と

愛に向かって言うー。


この眞城 愛という人は、

どうしてこんなに嬉々として金融会社の

取り立てをしているのだろうかー。


”外見”と

”中身”が

まるで、

”別人”のように感じるー


「--1週間後に、分かるぜェ」

愛はそう言うと、笑いながらそのまま

家の外に出て行ってしまったー


まるで、ケモノを狙う雌豹のような

目つきだったー


”こわい”


そう思った香帆は、

彼氏の省吾に相談することを決意したー。


ここ最近、香帆の元気がないことに

気付いていた省吾は、”相談にいつでも乗るからな”と

繰り返し香帆に伝えていた。


だが、香帆は”巻き込みたくない”という思いから

省吾にもずっと黙っていた。


けれどー

もう限界だったー。


「そっか…」

全てを打ち明けられた省吾は

戸惑いながらも、夕日を見つめながらそう呟いたー


「ごめんね…ごめんね…」

香帆は泣きながら謝り続けているー


「泣くなよ。香帆が悪いんじゃない。

 それに、香帆のお父さんだって

 何か理由があったのかもしれない」

省吾は優しくそう言葉をかけると、

香帆の方を見て笑ったー。


「ちゃんと、警察にも相談しよう」

省吾が言うと、

香帆は泣きながら言う。


”でも、危ないよ…”

とー。


警察に相談するなと言われていることー、

そして、脅しのようなことを言われていることも

省吾に伝えるー。


省吾は苦笑いしながら

「脅しの常とう手段だな」と呟いたー。


「--大丈夫だよ。

 そう言えば、香帆は警察に相談しないって、

 その愛って女は思ってるんだよ。

 それがそいつらの狙いさ」


省吾はそこまで言うと

「4週間、よく頑張ったな」と

香帆の頭を優しく撫でたー


「ーーー俺は、香帆を守るって決めたんだ」

省吾が呟く。


香帆が涙ぐみながら省吾の方を見つめるー


「香帆と付き合い始めたとき、

 勝手にそう決めたんだー」


省吾は、小さいころに妹を事故で

無くしているー

そのせいか、香帆のことを

人一倍大事にしていたー。


「--香帆。俺が必ず守るよ。」


「---うん」


夕日が差し込む中、香帆は、

”省吾に相談してよかった”

と、心からそう思ったー。


帰宅した香帆は、省吾に言われた通り

暗夜金融から今まで受け取った書類や

暗夜金融に関係するものを全て集めたー


悪質な業者と対決する以上、必要になるから、

と、省吾はそう言っていたー。


と、言っても、愛が直接訪ねてきて

色々言われるだけだから、

大したものはないー


香帆は、スマホで、”暗夜金融”という会社を調べる。


だが、やはりー

まともな会社とは思えないー


そしてー


ネット上に

”暗夜金融って会社に親友が乗っ取られた”と

書かれている書き込みを見つけたー


「--なにこれ…」

香帆が戸惑いながらその書き込みを見るとー

そこにはー愛の写真が載っていたー


”わたしの親友、暗夜金融って会社に

 乗っ取られて、悪事に使われてるの!助けて”と

ネット上に書かれているー


だがー

当然”釣り”とか言われて

相手にされていないー


「……」

香帆は、不安に思うー


”身体で払う”

”愛って人の外見と中身が違うような違和感”

”親友が悪事に使われているという書き込み”


もしかしてーーー


香帆は、戸惑う。


”自分の身体を、奪われるー?”


そこまで考えて、香帆は考えるのをやめた。


「そんなこと、あるわけないよねー」

愛の姿を思い出す香帆。

愛は、きっと、

最初は嫌々”身体”で払わされて

暗夜金融で働かされるようになったー


そうしているうちに

ああいう仕事に快感を覚えてしまったに

違いないー


「…わたしは、あの人みたいにはならない」

香帆は思う。


愛って人も、暗夜金融の被害者なのだろう。

被害者が、いつの間にか加害者に

なってしまう、という話は

時々ある話だ。


愛も、そういうことなのだろう。


「--わたしには、省吾がいる…

 それに…」

香帆は、暗夜金融と戦う決意をするー


父の借金が、そもそも本当に

5000万もあるのかは、分からない。


このまま、暗夜金融になんて屈するわけにはいかないー


・・・・・・・・・・・・・・


「---あ…あ…もう、、、もうやめて…」

暗夜金融の本社ー


手錠を繋がれて逃げられないようにされている

愛が泣き叫んでいたー。


「---お嬢ちゃん」

サングラスの、たばこを持った男が近づいてくる。

右の頬に傷のある危険な風貌の男ー


暗夜金融社長ー

五十嵐 達平(いがらし たっぺい)-。


「--お嬢ちゃんは”身体”で返済したんだ。

 その身体、まだまだ使わせてもらうよ」


五十嵐社長がそう呟くと、


「戻ったか」

と誰もいない方向に向かって呟いたー


五十嵐社長のサングラスには特殊な加工が

されていてー

”霊体”が見えるー


「--うっ!」

愛がビクンと震えるー


「---」

そして、笑みを浮かべたー


「ふふふふふ…玉木(たまき)ただいま戻りました」

愛がそう言うと、

周囲の社員が、愛の手錠を外したー


愛はーー

憑依されている。

2年前に”身体で返済”した際にー。


「---うまくいったのか?」

五十嵐社長が尋ねると、

愛は頷いた。


「ええ。それはもちろん」

愛は満足そうにそう言うと、

ソファーに座って煙草を吸い始めたー。


愛に憑依している男は、”別件”で愛の身体から

一時離れていたー

そのため、愛は手錠で繋がれていたのだー。


「例の女は?」

五十嵐社長の言葉に、

愛は頷く-


「くく…まぁ、返済は無理でしょうねぇ。

 あと1週間ー

 そしたら、俺があの身体を貰いますよ」

愛は、香帆の姿を想像しながら笑う。


周囲にいた社員が、「じゃあ、俺がその身体を貰うとしますか」と笑うー。

そう呟いた社員も、眼鏡をかけた理知的な雰囲気の女性だー。


「--ふふふふふふふ」

愛は、”香帆の身体を奪う日”を楽しみにしながらー

不気味な笑みを浮かべた…


③へ続く


・・・・・・・・・・・


コメント


第2話でした~!

憑依好きの皆様なら、第1話の時点で

愛が乗っ取られていることは

分かりましたよ…ネ?


今日もありがとうございました~!

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