【SS】海洋都市の波止場～【Short story】Wharf in a maritime city～ (Pixiv Fanbox)

STORY

呪われた古代文明を統べる六大国。

中でもより強大な国力を持つと言われる交易都市グリドリア、聖都オルフェノス、太陽王国グロンギヌス。この３か国を繋ぐ海上交易の拠点となる都市の港。

その港の波止場には、奴隷商人ギルドが所有する商船、つまり奴隷船が停泊していた。この忌まわしき海上輸送の手段は、彼らが世界中で邪悪な利益を貪るための要であり、同型の船が、世界中で数百隻以上、航行している。

今も、停泊中の商船への積み荷の積載作業が慌ただしく行われていた。そのせわしなさから、積み荷となる女達も、恐怖や絶望の感傷に浸る余裕も無さそうである。

ちなみに手前の二人の女は、この船の漕ぎ手である奴隷だ。積み荷の積載作業中は休憩時間なのだが、彼女らの話題といえば、晩御飯のおかず予想と、互いの筋肉を比べる事と、体の何処を撫でれば気持ちよくなれるかぐらいしかないようだ。

その鍛えられた肉体は、遠目からでも洗練された逞しさが際立ち、水夫相手の物売りの娘の視線を釘付けにしていた。