【SS】古の邪神の視座 ~【Short story】The old evil god's perspective~ (Pixiv Fanbox)
Content
???「オォッ! キミ可愛いネ~♪ 体も鍛えてるでしょ? 良い筋肉と骨格してる♪ そりゃわかるよ、オジサンこの業界長いモン(推定一億年)♪ もしよかったらコッチの世界に来ない? キミならきっと楽しく暮らせるヨ!(≧▽≦)」
STORY
桃口 リオは明るい性格で友達も多いどこにでもいる普通の高校生だ。
しかし、彼女には秘密があった。
先月、彼女は急逝した考古学者の祖父の遺品を整理した際に、醜悪な像に掲げられた、不気味に赤黒く輝く水晶玉を見つけた。それを覗き見るのが密かな楽しみとなっていたのだ。
普段はただの水晶玉にしか見えないが、家族が寝静まった深夜に暗闇の中で覗き見ると、謎の古代文明の情景が映し出されるのだった。
その古代文明はメソポタミア文明やエジプト文明に似ていたが、各所から感じられるなんともいえない不穏さと歪な気持ち悪さから、彼女が歴史の授業で習ったそれらとは何ら関係は無く、歴史の闇に消えた文明だとわかった。
おまけにその文明の風俗は、自由と平和を尊重する現代社会の価値観を持っていた彼女が思わず目を背けたくなるような原始的な暴力と野蛮に満ちたものだった。
文明都市と蛮族の不毛な戦争、略奪と虐殺、冒涜的な姦淫、奴隷市場、残虐な拷問と処刑、戯れで命を奪う道徳心の無さ、遺跡や迷宮に仕掛けられた卑劣な罠とその犠牲者、そして世にも恐ろしい古の邪神。
これらの呪われた古代文明の情景は、彼女が淫らな欲求を満たすのに大いに役立った。
学校では女子レスリング部に所属する彼女が特に気に入っていたのは、闘技場で繰り広げられるルール無用の命懸けの拳闘試合と、自分と同い年くらいの女が裸に剥かれて値踏みされる奴隷市場の情景だった。そんな彼女の欲望に呼応するように、水晶玉は彼女が望む情景を映し出し続けた。
レスリング部の彼女と同じような卓越した肉体を持つ犠牲者達に自らを投影するという妄想を存分に楽しみ尽くし、彼女の淫靡な習慣はとても充実したものになっていた。
しかし彼女はまだ気づいていなかった。深淵を覗き込む時、あちら側もまた、こちらを覗いているということを。
既に彼女の魂と精神は、潜在意識下の集合的無意識(超意識)を通じてあちら側の虜となっている。肉体が捕らわれるのも、最早時間の問題だろう。
次に水晶玉に映し出される物語の主人公は彼女かもしれない。