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skebで書かせていただいた作品です。

FANBOXで先行公開し、2/13に全体公開としてpixivに投稿します。


現在私のPixivリクエスト(https://www.pixiv.net/request/send?creatorUserId=2467259¤tPlanId=67530)、skeb (https://skeb.jp/@sazankahisashi)、FANBOXにて有償リクエストを募集しています。

1文字1円、5000文字から受付でき、依頼額+5000文字で執筆します。

またFANBOXにて1週間早く読むことができます!

素敵なエロネタがありましたら、僕に具現化させてください!

リクエストお待ちしています!

※僕の知らない作品の二次創作ですと支援者様のものでもお受けできない場合があります。


◆◆◆◆◆



「っし……ここなら暫くはバレないネ! アイツらがいなくなったら……このメモに書いた場所に逃げ込むんだヨ」


 フェリルは笑って、少年を暗い穴へと押し込んだ。

 少年はフェリルから離れるまいと暴れた。

 しかしまるで勝負にならない。

 まだまだ幼い少年と、女性とは言え鍛え上げられたフェリルとで、力の差は歴然だ。


「ほら、いいコいいコ❤︎」


 フェリルは少年の手を引き剥がし、荷物でも投げ込むかのように、ひょいと暗がりへと投げ込んだ。

 少年は泥だらけになりながらも立ち上がり、フェリルへと手を伸ばす。

 けれどフェリルは応えない。


「ダメだヨ。私の臭い、連中にバレちゃってるからネ……これ以上一緒にいたら、君も危ない」


 悲しそうに呟くフェリルの背後で、光の柱が揺れている。

 木々の隙間から揺れるそれは、フェリルを追ってくる一団のもの。

 光が一瞬、フェリルの頭上を掠めた。

 夜露に濡れたフェリルの髪に逆行が当たる。

 彼女の頭上にピンと伸びた、長くフサフサの兎耳が少年の目に入った。


「……たく。亜人差別なんてしょうもないコトやってるクセに、しっつこいんだもんナ〜」


 耳をぴくぴくと震わせるフェリル。

 音を立てることなく、腰に携えた小型ナイフの固定を外す。


 フェリルは亜人。

 兎のような跳躍力と大きな耳を特徴とするバニーの生まれ。

 美しい長身や凹凸の激しい肉体は、黒ずくめの武装の上からでもはっきりとわかる。

 美と武、その二つを併せ持つフェリルの身体には、どれひとつとして欠けたものなどないように見えた。


 しかし、そんな肉体美がこの社会に受け入れられることはなかった。

 少数人種ということもあり、ヒューマンを基本とするこの社会での立場は極めて低かった。

 愛想を良くすればこま使いくらいにはなれるだろうが、大半のバニーは過酷な肉体労働者止まり。

 ヒューマンからの風当たりは悪く、あれこれと理由を付けて権利の取得は永遠に先延ばしにされている。


「ダメだって……私が入ったら窮屈だし。君に臭いが付いちゃうでショ? 私と勘違いされて撃たれたら……痛いじゃ済まないヨ」


 フェリルもまた、生まれた時から汚れた仕事を押し付けられて生きてきた。

 バニーの中でも特に悲惨な道に落ちたタイプだろう。

 最初の仕事道具はナタとバケツ。

 相手をするのは冷たくなった肉の塊。

 次第にそれが、動く肉に移り変わり、やがては歩く肉を冷たくするのが仕事になった。

 他の子よりも陽気だったという理由だけで、強い肉を相手にする仕事をもらった。

 今や立派な傭兵兼殺し屋だ。


 生きるためにひたすら戦った。

 殺されないために殺した。

 楽しく殺して楽しくバラして、そのうち楽しんで殺されるのが自分という人間の生涯なんだと思っていた。


「もう一回教えるヨ? 日が昇っても、すぐには出てきちゃダメ。足音がなくなって、空の上の方でブンブンうるさい音が……聞こえなくなってももうちょっと我慢して。日の光がこっち側から入ってくるくらいまで我慢できたら出てきて良いヨ」


 けれど、フェリルの人生に赤と黒以外の色を付ける存在が現れた。

 穴の奥からぐしゃぐしゃの顔でフェリルの手を握る少年。

 彼との出会いがフェリルを変えた。

 ただの快楽殺人鬼から、一人の人間として歩き出す分岐点となった。

 分岐点にして、同伴者になった。

 フェリルと少年は今の住処を抜け出して、二人で一緒に暮らそうと誓い合った。


「ごめんネ……一緒に歩こうって約束したのに、すぐ離れ離れになっちゃうなんてネ。約束って、契約よりふわふわしてて、守るのが難しいヨ」


 けれど、それは周りが許さなかった。

 フェリルはこれまでに幾人もの暗殺業をこなしてきた闇の住人。

 どんな要人をどんな連中が、どんな理由で殺そうとしているのかを知ってしまっている。

 この世界のバランスがどうやって成り立っているのかを知ってしまっている。

 増して、人権など無いに等しい亜人種だ。

 優秀で従順で、しかも「使い勝手」の良いフェリルの店仕舞いを、闇が許すはずもなかった。


 逃げ出したフェリルの背中には、多額の懸賞金がかけられた。

 組織に属する者たちも、フリーの殺し屋たちも、一斉にフェリルを狙い出した。


「大丈夫、連中を追っ払ったらまた一緒になろ? 私は連中が死んだって思うまで潜伏してから、戻ってくるから……そしたら、もう私たちを邪魔する奴なんかいないからサ」


 そうして逃げて逃げて、今二人は追い詰められていた。

 暗い森には100を超える追手が入っている。

 逃げ出そうにも道のほとんどが塞がれている。

 後は誰がフェリルの首を刈るのかという競走になっていた。


「だから、離しテ。別れるのは一瞬だけだからサ……必ず、戻るからネ」


 絶体絶命。

 それは少年もわかっていた。

 だから、フェリルの手を離したくなかった。

 この手を離せば、彼女の笑顔が二度と見れなくなると直感していたから。

 フェリルが少年を隠したように、少年もまたフェリルが大切なのだ。

 自分より何倍も強くて勇ましいとは言っても、多勢に無勢の状況に愛する人を送り出すなどできるはずがない。


「……ま、しょうがないよネ」


 ぶるぶると震える手を離さない少年に、フェリルはもう一方の手を重ねた。

 そして、少年の薬指にはまった指輪をするりと抜き取る。

 耳に付けたリングの一つへ、指輪をパチンと押し込んだ。


「コレ、借りていくネ……必ず返しに来るからサ」


 少年はフェリルの目を見た。

 背後で輝く光よりも尚赤く輝く、バニーの瞳の奥を見た。

 二人の繋がりを形作る、一対の結婚指輪。

 一つはフェリルの薬指に。

 もう一つも今、フェリルの耳飾りに。


「信じテ。お願い」


 フェリルの言葉に、少年の手が緩む。

 するりとフェリルの腕から離れ落ち、窪みの闇へと消えていく。


「……じゃあ、またネ」


 少年は涙を拭って、深く頷いた。

 フェリルはゆっくりと後ずさる。

 少年の顔が見えなくなる。


「ごめんネ……こうでもしないと、君は聞いてくれないんだもん」


 愛する少年には聞こえないように、フェリルは小さくつぶやいた。

 空に背を向け、走り出す。

 二度とその場所を振り返ることはなかった。



『えーと、バニー種の101番入りまーす。拘束レベルはマックスで維持ね〜? あと「鳴き声」には耳を傾けないように。社内評価に影響しますし、場合によっては処罰の対象ですのでー』

「ふぐッ! うむ゛ぐッ! う゛ふーッ!  う゛ぐッ! ふぐぅう゛ッ!」


 一面白の空間に、ミイラのように拘束具を付けられたフェリルが運び込まれる。

 身体はもちろん、目も鼻も口も耳も塞がれている。

 暴れる獣にそうするように、全身を固く束縛されている。


『知っての通りだと思うけど、そいつマジに狂暴だから注意してね? 討伐に送った殺し屋、傭兵、暗殺者、多分30は返り討ちにされてっから。ったくさァ……ウサギ狩りってだけなのに出費デカすぎるんだよねぇ』


 全身を清潔すぎる防護服で包み込んだ作業員たちが駆け回り、フェリルを室内の拘束装置へと輸送する。

 手足に固い枷をはめ、邪魔な衣類を剥ぎ取り、定期的に首元に薬品を注入する。

 そうしてフェリルの肉体を、大の字姿勢で固定した。


「ふッ! ふッ! ふッ! ふ……!」

『固定完了? オッケーオッケー……マジでしっかり固定した? 暴れられたら損害ヤバいよー? 暴れ出してからじゃ、遺書を書く暇はないと思ってねー? 祈る時間くらいはくれるかもだけどさ』


 室内に響く気だるげな男の声。

 声色はまるで世間話をするかのようだが、その内容は身の毛もよだつ悍ましさ。

 作業員たちは飛び上がり、我先にと逃げるように退散していく。

 室内にはフェリルだけが取り残された。

 空中で四肢を束縛され、吊り下げられるようにして「設置」されていた。


 肉感たっぷりの肢体が、白いライトに照らされる。

 汗ばむ乳房が、浅い呼吸に上下する腹筋が、隠すものが何もない尻肉が、余すことなく晒される。


『んじゃ、頭の拘束だけ外しまーす』

「うぐぁ……あがっ! は……は……は……っ! 随分、大事に扱ってくれるじゃないのネ」


 音声に従って、フェリルの顔を覆っていた拘束具だけが外れ堕ちた。

 フェリルはうっとおしいくらいの明るさに目を細め、油断なく周囲を見回した。

 痛む顎を動かして、悪態を飛ばし、相手の反応を見定める。


(やっぱり……捕まっても即、殺処分にはならないみたいだネ。拷問室じゃないのは意外だったけど……まあやることは変わんないのカナ)


 手足を動かすが、束縛の中では指一本とて動かない。

 亜人専用の拘束装置だ。

 フェリルの予想通り。

 彼女を追っていた連中は、最後までフェリルを「有効活用」するつもりだ。


 裏切った殺し屋の末路は決まっている。

 人道に含まれていない裏切り者には、非人道的行為が許されるのだ。


『あー、警戒してるトコ悪いけど、コレ拷問じゃないからリラックスして欲しいな。あんま固くなられてもね、こっちのに支障が出ますのでー』

「……ンなもん、私の知ったこっちゃないじゃんネ。リラックスさせてくれるッテ言うのなら、この邪魔なのとっぱらってくれないカナ?」

『えーこのようにね。亜人ってのは都合よく人様の言葉を利用するのでご注意を……』


 ここはきっと、闇お抱えの研究所。

 本来許されない人体実験の被験者として……モルモットとして、フェリルは「有効活用」されるのだ。


(ま……だからこそ都合が良いんだけどネ。私に夢中になっている間、あの子が逃げる時間を稼げるシ)


 しかしそれこそがフェリルの狙い。

 フェリルが研究所で「活用」されている限り、少年に追手が付くことはない。

 少年が安全な場所まで逃げ延びるまで、フェリルはその身を捧げるつもりだ。


(思ったより硬いけど……まあ壊せないレベルじゃなさそうだしネ)


 改めて拘束具の中で四肢を動かす。

 固く頑丈だ。

 けれど、本気を出せば壊せない強度じゃない。


(1週間。あの子がちゃんとメモの通りに逃げられれば、1週間後にはこの国から脱出できているはず! それまではせいぜい……私のことを「有効活用」してヨネ)


 痛みには慣れている。

 苦しいのなんか日常だ。

 これまでの人生の全てがそうだったから。

 追加で1週間増える程度、なんてことはない。


(くだらない測定とやらに付き合ってあげるヨ。せいぜい1週間、あの子が逃げるのを手伝ってよネ)


 表情には出さない。

 しかしフェリルは絶望の中に浸っている訳ではなかった。

 希望の耐久。

 最後のもうひと踏ん張り。

 少年との約束を果たすためにはあまりに低い最後の壁だった。


『んじゃ……始めますか。ああ、もう起動してたんだっけ?』


(……起動? やっぱり新しい兵器の具合でも試すつもりカナ? ま、なんだって耐えてやるヨ)


 とぼけた音声に答えるように、壁や天井からいくつもの装置が現れる。

 まるでアンテナの受信機のような、近未来の銃器のような、少なくともフェリルが見たことのない何か。

 全ての先端がフェリルへと向いている。

 出てくるのは弾丸か? 毒矢か? それとも肌を焼く炎か?

 フェリルに興味はない。

 どれが飛んでくるのであれ、フェリルは耐え抜くと誓ったから。

 少年に再び会うことを誓っているから。


(お前らがバカにする亜人の誇りを見せてやる……私に逃げられた後、どんな風に悔しがるのか楽しみにしてやるヨ!)


 どこにいるかもわからない声の主へ、フェリルは意志の輝きをもって立ち向かう。


『えーっと、改めて101番に質問します』


 彼女の意志を感じる様子もない声は、ただ淡々と音を出す。


『あなたの名前を教えてくださーい』

「……よく覚えておきなヨ……私はふぇ」


 そこまでだった。


ばじゅーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎


「ウ゛ォ゛ッ❤︎!? ぷぎおおおォ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 向けられた銃口から飛び出したのは、眩いピンク色の光線だった。

 ソレが一直線にフェリルの子宮を貫いた。

 痛みはない。

 なんなら、ただ光を当てられた程度にしか感じない。

 それなのに、


 光が腹を貫く瞬間、


 フェリルは目を見開いていた。


 見開いた目は、無様にもぐるりと反転していた。


ばしゅ❤︎ ばしゅばしゅばしゅばしゅばしゅっ❤︎❤︎❤︎


「お゛ぉぉぉッ❤︎❤︎❤︎ ん゛ぉ゛❤︎ お゛ッ❤︎ お゛ぎぁッ❤︎❤︎❤︎ い゛……ッぎぎぎぎぃい゛い゛い゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 一瞬だけ感じる温もり。

 そしてその次の瞬間から始まる壮絶な快感。

 背骨が砕け、脳が弾け、末端までの筋肉が千切れるような、快感。


(な……何されてるッ!? 今私何をッ❤︎ わからないッ❤︎ 知らないこんなのっ❤︎ 熱いッ❤︎ とにかくッ❤︎ 焼かれるみたいにあっついッ❤︎❤︎❤︎)


 ぎゅううう❤︎ と腹の底を万力で押し潰されるような感覚。

 しかし潰しているのは万力でもなければ呑気な声の主でもない。

 他ならぬフェリルの筋肉そのものだ。

 フェリル自身の狂った筋肉が、己の子宮を必死に収縮させている。


じゅじゅじゅじゅじゅッ❤︎❤︎❤︎


「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ❤︎❤︎❤︎ あ゛❤︎? あ゛❤︎? あ゛ぉ゛ッ❤︎❤︎❤︎!?!? お゛ぉおほぉおぉおぉぉおぉおーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 フェリルの腹が持ち上がる。

 四肢を束縛され、動くことなどほぼ不可能なこの状況で、フェリルは精一杯のもがきを見せる。

 あれだけ耐え切って見せると誓っていたのに。

 1週間など楽勝だと奮起していたのに。

 チンポに媚びるように、無様に腰を突き上げて、ぶるぶると締まった腹筋を震わせる。


ぶしぃい゛ッ❤︎ ぶしゅぶしょぶッじょぼぼぼぼッ❤︎❤︎❤︎


「あぎぁ゛ッ❤︎❤︎❤︎ は❤︎ はッぎぃい゛あ゛ッ❤︎❤︎❤︎ あ゛❤︎ あ゛ぉッ❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ おぎッ❤︎ おぎぎぎぎぎぎほぉおぉおぉおお゛お゛お゛ァァァーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 股間から水飛沫が迸る。

 眉間に皺を寄せ、ブサイクなイキ顔を曝け出し、フェリルは真っ白な天井を仰ぎ見る。

 身体中が歓喜の刺激に打ち震え、脳天で抗えない火花が弾ける。

 フェリルは渾身の雄叫びを上げて絶頂していた。

 一本の細い光に下腹部を貫かれただけで、拷問器具の一つすらも使われず、身体中を震わせてアクメしていた。


 愛撫も、薬も、感情すらも介さずに、フェリルの身体は一気に絶頂の閾値を飛び越えた。

 無慈悲なまでの強制的な慈悲の提供。

 フェリルという苦に浸かり続けた存在にほど争うことのできない極上の快楽。

 力ずくでの快楽の注入に、フェリルの牝肉は欠片ほどの抵抗もできなかった。


じゅぁぁぁぁぁ……


 光が途切れる。

 照射されていたのは1秒か、10秒か……実はほんのコンマ1秒にも満たない一瞬だったのかも知れない。

 フェリルにとっては永劫にも等しい何秒かだ。


「〜〜〜〜〜〜ォ゛❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ ォ゛ッ❤︎ ウォ゛ッ❤︎ ほ❤︎ ほぉぉぉぉ゛ぉ゛ぉ゛〜〜〜ッ❤︎❤︎❤︎」


 身体中から白い煙を立ち上らせて、フェリルはガクガクと身を揺らす。

 引き締めた腹筋をへこへこ前後させ、真っ赤に腫れたへそを震わせる。

 緊張した尻肉が雄を誘うように上下する。

 投げ出された乳房をへたくそなジャグリングのように弾ませる。

 天井を見上げるその顔は、的に噛み付く獣でもなければ、愛する少年を想う人間でもない。


「ほ❤︎ ほォ゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛ォ゛❤︎ ほ❤︎ ほッ❤︎ ほへ❤︎ へッ❤︎ へぇぇぇッ❤︎❤︎❤︎」


 快楽に蕩された牝の顔。

 強制的な絶頂に、意志も想いも全てを押し流された汚らしい顔だ。


『うーわ、顔間抜けェ! 威力強すぎたかな……ま、意識残ってんならいっか。フェなんとかさん、耳でっかいから聞こえるっしょ?』


 張り詰めた耳に、音声が響く。

 無駄に明瞭に、フェリルの脳へと流れ込む。


『質問ついでにアクメレーザーの動作確認もやってますんで。定期的にあっちこっちに照射されるけど、まあ死にはしないから気にしないでくださいな』

「ふッ❤︎ ふッ❤︎ ふゥ゛ッ❤︎ ふぐぅうぅうぅう゛ッ❤︎❤︎❤︎」


(しッ❤︎ 死なないッ❤︎ とか……ふざけッ❤︎ 今……四肢がもげたかとッ❤︎ 思っちゃったヨッ❤︎)


 ずくんずくんと心臓が跳ねる。

 乳房を押し除けて、今にも飛び出してイきそうだ。

 照射が止まってからもう1分は経つだろうに、フェリルの血液は沸騰したまま収まらない。


『ま、私としちゃあ質問の方がメインでしてね。ちゃんと答えて欲しいので……無視したらちゃんと「罰」も用意してますからねー?』

「う……うぅるさいッ❤︎ どうせッ❤︎ 拒否できないんだカラ❤︎ 好きにッ❤︎ やればいいでショッ❤︎」


(まずい……これッ❤︎ 痛いとかよりッ❤︎ ずっとクるヨ❤︎ まだ一回しか食らってないのにッ❤︎ 全身……もう限界って言ってるヨッ❤︎)


 ちゃんと喋る気があるのかわからない声。

 呼吸を整えるだけで精一杯なフェリルには、煽られているようにしか感じない。


 この状況を後1週間。

 さっきまでとはその意味合いがまるで違う。

 まるで無限にも等しい長さだ。

 フェリルがこれまで体験してきた、どんな苦難にも当てはまらない全く新しい地獄。

 だが、無限に等しいとは言っても、終わりが無いわけじゃない。


(必ず帰るからネ……っ❤︎ 約束、したからネ!)


 フェリルは再び前を向いた。

 周囲を取り囲むアクメレーザー照射装置が再びピンクの輝きを放つ。

 音声が呑気な声で言った。


『そんじゃ、改めて質問再開ってことで……名前は?』

「……フェリルだヨ」


 フェリルは敢えて、このピンチに身を任せる。

 その環境を当然のものとして受け入れるのが、拷問を耐え抜く大きなコツだ。

 痛みを飲み込み、そこにあるのが当たり前だと感じられるまでに感覚を麻痺させる。

 痛みを呼吸に等しいものとして脳に馴染ませる。


『えーと、身体情報は……185センチに、スリーサイズは125、68、105……マジ?』

「……そんなの、私は測ったことないから知らないヨ」


 さも、今の一撃に怯えるように、質問にも偽りなく返事する。


『そりゃそうか。亜人にその辺の記録習性はないらしいし……知ってたら殺し屋になんてなんないか』

「……? 言ってる意味がわかんないネ」


 けれど、痛みと快感は全く違う。


『だって……こんなバカ見てぇにデカい乳と尻なんて揺らしてんだからさ、その辺の路地で雄に媚びてた方が楽に儲けられそうじゃん! あはははははッ! 牧場で雄牛の孕み袋になってもよかったかもだけどさ』

「〜〜〜ッ! し、質問するんならとっとと……」


びずッ❤︎❤︎❤︎


「ほぎゃッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 生き物が生き物である以上、快感を拒むことはできない。


びぢぢぢぢぢぢぢゅぅうぅうぅうぅうぅうーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎


「あぎッ❤︎ いぎ❤︎ いぃいぎぎぎぎッ❤︎❤︎❤︎ いぎほぉぉおぉお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 生きるためには痛みを避け、耐える必要がある。

 けれど、


(くォ゛ーーーーーー我慢ッ❤︎ のーみそ焼けないように我慢するんだよフェリルぅう゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ あの声ッ❤︎ 私をイラつかせて油断させてッ❤︎ ワザとこのタイミングでぇえぇえぇえ゛ッ❤︎❤︎❤︎)


「ふンぅう゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎ お゛ぅ゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛ぉお゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぐふおおぉおおぉおぉお゛お゛お゛お゛お゛お゛あ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


ぶしゃッ❤︎ ぷしぷしぷしぷしッ❤︎❤︎❤︎ ぶッッッしィィィーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎


 快楽を我慢する機能は、生き物には存在しない。

 ヒューマンよりも獣としての性質が強いバニーなら特に。


『はいストップ』

「う゛〜〜〜〜〜〜ォ゛ッッッ❤︎❤︎❤︎ ほッ❤︎ ほぉおぉお゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぐほ❤︎ ほぉお゛ッ❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ お゛❤︎ お゛❤︎ お゛ぉおぉおぉぉぉぉッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


(たッ❤︎ たえッ❤︎ 耐えたッ❤︎❤︎❤︎ しきゅッ❤︎ 子宮耐えたぁあ゛ッ❤︎❤︎❤︎ くそッ❤︎ くそくそくそっ❤︎❤︎❤︎ アクメとまんな゛ぃ゛ッ❤︎❤︎❤︎ のーみそ弾けるッ❤︎❤︎❤︎ こんなッ❤︎ ビーム如きでッ❤︎ 声ッ❤︎ 出せな……息ッ❤︎ 息❤︎ いきいきいぎでぎだい゛ぃい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎)


 再びの解放。

 フェリルは肺をぺちゃんこに潰し、吐き出せるだけの息を無様な悲鳴へと変換する。

 頭がぼやけ、四肢が痺れ、ビームに晒された子宮がどくどくと暴れ出す。

 悪態を吐く暇はない。

 どころか、痙攣する筋肉が呼吸すらも許さない。


「ヒュッ❤︎ ふヒュひッ❤︎ こ、ヒィーッ❤︎ お゛ヒィーッ❤︎ く❤︎ ひッ❤︎ ひッ❤︎ ひヒュッ❤︎ ヒュぎぃぃぃぃぃぃッ❤︎❤︎❤︎」


(しぬ゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ くしょ❤︎ アクメでッ❤︎ 死ぬなんかごめんだヨッ❤︎ ビームなんかにイかされたくらいでッ❤︎ 息できなくてどうすんのフェリルぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎)


 鍛え上げた腹筋をピクピクとみっともなく震わせて、デカいばかりの乳と尻をこれでもかと弾ませて、フェリルは二度目のアクメを必死に耐える。

 正確には、耐えきれなかったアクメの余韻を吐き出そうと必死になる。


 これは耐えるか耐えないかの問題ではないのだ。

 壊れるか壊れないかという問題。

 ただ単純に、フェリルという生き物が1週間形を保っていられるのかという話。


『結構若いけど、ガキ産んだことはある? いたら何匹かも教えてくださーい』

「ふ❤︎ ほッ❤︎ ほぉぉぉーーーッ❤︎❤︎❤︎ ふほォ゛ッ❤︎ んほォ゛ッ❤︎ ぢょ、まッへ❤︎ ふ❤︎ ふぅ゛ッ❤︎ ぐふぅうぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎」


(み、見て分かんないのかヨッ❤︎ こんな❤︎ ぜーはー言ってて❤︎ 答えられる訳ないでショッ❤︎ 目ェ❤︎ チッカチカして、なんも見えないッ❤︎ 耳もキンキンうるさいッ❤︎ なんの音❤︎ 私のアクメの音ナノ!?)


 息絶え絶えのフェリルにも、声は一切容赦しない。

 声の主にとって、フェリルとは大きくて喋るだけのモルモット。

 一匹の実験動物に過ぎない。


『もしもし? 聞こえてますかー? 聞こえてたらなんかリアクションしてくれないとぉ……首振るとかさ、できるでしょ?』


(できるカッ❤︎ アクメまだッ❤︎ ずっくんずっくん暴れてンのッ❤︎❤︎❤︎ 子宮ビクビク止まってないんだヨぉッ❤︎ 首ッ❤︎ 仰反ったまま固まっちゃって戻せないんだヨ❤︎ 見て分かれッ❤︎)


 人間が実験をしようとして、マウスがイヤイヤと首を横に振っていたら?


 時間も勿体無いし、無視して進めるだろう?

 もしくは、


『もうヘバってんの? 身体の方は頑丈そうなんだけどねぇ』


 視界にすら入らないだろう?


ばずむ゛❤︎❤︎❤︎


「ぎッッッぐふぅう゛ォ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


ばじゅ❤︎ どぢゅぅうぅうぅう゛ッ❤︎❤︎❤︎


「ぎォ゛ーーーーーーあ゛❤︎ あ゛ッがひ❤︎ い゛ぎぎぎぎぎぎッぎゅひぃいぃいぃいぃいぃぃぃぃぃぃッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


(さ、さ、三発ッ❤︎❤︎❤︎ 胸ッ❤︎ 胸焼ける❤︎ おっぱいッ❤︎❤︎❤︎ おっぱい溶ける❤︎ ドロドロに゛なる゛ぅ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎)


 子宮に一本、メートル超えの爆乳にそれぞれ一本ずつ。

 眩い絶頂光線が降り注ぐ。


『フェリルさーん? ガキ産んだかどうかだけでも答えられますかーあ?』

「あぉお゛❤︎ お゛ッ❤︎ う゛ぉ❤︎ お゛ッ❤︎ お゛ッ❤︎ お゛ッ❤︎ お゛ッ❤︎❤︎❤︎ ほぉおぉおぉお゛っお゛ぉお゛お゛お゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 溶ける。

 絶頂に肉が蕩けて崩れてしまう。

 アクメ痙攣に筋肉がぶるぶると崩壊していく。

 フェリルという生き物の形を成せない。

 ただただアクメという現象を吐き出すだけの牝肉になっていく。


ばばばばっ❤︎❤︎❤︎ ばばッ❤︎ ばしばしばしばしばしッ❤︎❤︎❤︎


『フェリルさぁ~ん? まだ始まったばっかなんですけどぉ? 出力上げちゃいますよー?』


 音声が聞こえる。

 悍ましいペナルティが聞こえる。

 しかし、フェリルの口は動かない。


「う゛❤︎ う゛ぎッ❤︎ い゛ほォ゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ ゥ゛ぉッ❤︎❤︎❤︎ ふぎ❤︎ い゛ーーーお゛ぎぁ゛ッ❤︎❤︎❤︎ は❤︎ はぎッ❤︎ い゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


(ふ❤︎ ふ❤︎ ふざけッ❤︎❤︎❤︎ この状況で何をッ❤︎ しゃべれると思ってッ❤︎❤︎❤︎ くぉおぉおお゛お゛お゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎ 頭ん中までアクメがぐるッ❤︎❤︎❤︎ 考えられないッ❤︎ バカみたいにイくことしか考えられ゛な゛ぃい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎)


 無様な「お」と「い」を繰り返し、酸素を取り込んだ先から絶叫へと変換するばかり。

 ヒトらしい言葉など、発する暇は存在しない。


「う゛❤︎ う゛ぉッ❤︎ お゛❤︎ お゛ァッ❤︎ あ゛❤︎ あ゛❤︎ あ゛ッ❤︎ あ❤︎ お゛、お゛、お゛、お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎ う゛ぉ゛❤︎ う゛ッッッぐほぉお゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎」

『聞こえてらっしゃいますかァー? バニー種って何キロか先の音も聞き分けるんでしょ? 自分のぶっさいくなアヘ声越しにでも指示くらい聞き取れませんかねぇ?』


(聞こえてるッ❤︎ 聞こえてるから黙れッ❤︎❤︎❤︎ 私が吠えてたら喋れないなんてわかってるでショぉお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎ マジに聞きたかったらとっととコレ止めろッ❤︎❤︎❤︎ アクメさせんのやめろぉおぉお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎)


 ぶるぶる、ばるんばるん、乳房がアクメビームから逃げるかのように暴れまわる。

 くねる腰つきに合わせ、右へ左へと爆乳が踊り狂う。

 しかし照射装置とてバカではない。

 ビンビンに勃起させた乳首をしっかりとロックオン。

 最小限の動作で首を動かし、乳首へのアクメ投与を継続する。

 常に一定の出力で、フェリルの乳首をアクメさせ続ける。


「い゛❤︎❤︎❤︎ ぎッう゛ぉお゛お゛お゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎」

『ったくもぉ……安くないんだけどなあ』


 声はまるで、自販機でジュースを買うのをケチるくらいの気軽さで、


『じゃ、出力アップでー』


 フェリルをアクメで追い詰める。


ウ゛ンッ❤︎❤︎❤︎


「ぎヒュッ❤︎❤︎❤︎」


 ソレの音が変わった。

 フェリルにも、辛うじてそれだけはわかった。


ウウウウウウウ゛ウ゛ウ゛ーーーーーーン゛ッ❤︎❤︎❤︎


「こほァ゛ーーーーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 でもそれ以上はわからなかった。


ウ゛ーーーーーーーーー❤︎❤︎❤︎


「ッッッォ゛ーーーーーーーーーッッッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


(な……どうなッ❤︎❤︎❤︎ イってるのにッ❤︎ イった上からまたイくッ❤︎❤︎❤︎ あ、アクメが重なッ❤︎ 一度に何回イって……ッ❤︎❤︎❤︎ わからないッ❤︎ こんなのッ❤︎ わかりたくない❤︎ こんなのありえな……ああああぁああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎)


 今にも破裂しそうな子宮へと。

 一足遅れてアクメ地獄に落とされたにも関わらず、既に数百のアクメを迎えた乳首へと。

 更にもう一回り濃縮されたアクメビームが注がれる。


 逃げられない。

 腰を振っても、筋肉を引き締めても意味がない。

 フェリルの身体は光を阻む方法を持たない。


(こ……壊れッ❤︎❤︎❤︎ 身体ッ❤︎ ふっとぶ❤︎ トぶ❤︎ トぶッ❤︎ ぶちトんで壊れーーーーーー❤︎❤︎❤︎)


「く……ッぎぃいぃぃいぃいぃぃーーーーーー❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ かッ❤︎ ぁヒュ❤︎ う゛ッ❤︎ ぎゅほぉ゛ーーーーーー❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 足の先から脳天まで、子宮から乳首から背骨から、全てをアクメさせて駆けのぼってくるピンクの濁流。

 頭が真っ白になる。

 視界に何も映らなくなる。

 耳が、自らのみっともない絶叫以外聞こえなくなる。

 身体の感覚が、ただただ「気持ちイイ」というただ一つの情報に飲み込まれる。


『……もしかしてコレヤバい? いや、バイタルの方はギリセーフか……脳の方はちょと壊れそうだけど、

まあしゃーない。ちょっとくらいリミッターぶっ壊れてくれた方が都合が良いし。結果オーライで行こうか』


 いっそ完全に壊れてしまいたい。

 そう思いかけた脳を、フェリルは自らアクメに浸す。

 フェリルは帰らなければいけない。

 少年の元に、約束を果たしに行かなければいけない。


(それまではッ❤︎ 何があっても……どんな身体になってでも……ッ❤︎ 必ずッ❤︎ 戻るからネ……ッ❤︎❤︎❤︎)


 ピンクに染まる脳の中、フェリルはただ、その約束だけを大事に大事に抱え続けた。



『えーと、この5年以内に参加した暗殺任務を古い順に言ってってくれる?』


びじ……ぢぢぢぢ……ッ❤︎❤︎❤︎


「ぉ゛……う゛ぉぉぉぉぉぉぉ゛ぉ゛ぉ゛~~~~~~ッ❤︎❤︎❤︎ ぜッ❤︎ ゼット社のォお゛ッ❤︎❤︎❤︎ ほじゅはッ❤︎ 幹部の゛ぉおぉお゛ッ❤︎ ひごぉぎじごッ❤︎ どぉお゛ッ❤︎❤︎❤︎ エイきょうわごぐのッ❤︎ まえのッ❤︎ だいどぉりょッ❤︎ あんざずッ❤︎ う゛❤︎ う゛ぎぃいぃいぃい゛ぃい゛いぃ゛い゛ぉ゛~~~~~~ッ❤︎❤︎❤︎」


 4日。

 フェリルのアクメ漬けは折り返しに差し掛かっていた。

 朝から晩まで……正しくはアクメに起こされてアクメで気絶させられるまで、延々とアクメビームと質問を浴びせかけられる日々。

 鍛え上げられた筋肉は、持って生まれた身体のバネは、この4日間でみるみる萎んで消えていった。

 その代わりとばかり、フェリルの身体はアクメに適した肉体へ……淫肉ボディとでも言うべきカラダに変化していった。

 元より大きかった乳房はまた一回り肥大化した。

 ぷにっぷにの乳輪は常時ぷっくりと膨らんで、絶え間なくミルクをしみ出させている。

 その先に勃起した乳頭も、ビームを浴びる度に膨らみ、今や胸先にソーセージを揺らしているも同然だ。

 腹筋の代わりにぷにぷにの肉が現れた。

 尻肉にもだっぷりと淫肉が染みついた。

 フェリルがアクメに悶え、けいれん発作を起こす度、それらの淫肉は乳房と共にだぷだぷと弾み、食べごろだとばかりにその身体をアピールした。

 殺し、戦い、駆けまわるために作り上げたフェリルの肉が、アクメし、悶え、雄に媚び突く無様なカラダへと堕とされていた。

 これもまた生存本能がなせる業なのか。

 全くもって嬉しくない適応だ。


 何より屈辱的なのは、その変化を「連中」に気づかれていること。


ぢぢ……ぢッ❤︎ ぢぢゅぢゅ……ッ❤︎❤︎❤︎


「ふゥ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぐッ❤︎ んうぅぅうぅうお゛ぉおぉお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎」

『ん~~~? どうしましたかぁ? 今日は随分歯切れが悪いみたいだけど? 具合悪い?』


 わざとらしくフェリルを案じる言葉。

 まるで一切、心の底から心配なんかしていないのに、カタチだけ取り繕っただけの言葉だ。


「う……うぉ゛ッ❤︎ うるさ……ん゛ッ❤︎ なんでもッ❤︎ ない゛ッ❤︎❤︎❤︎ べづにッ❤︎ 平気ッ❤︎」


(くそ……わかってるくせにッ❤︎❤︎❤︎ このッ❤︎ ようっやく慣れてきたところだったノニッ❤︎)


『ま、そうですよね? 今日は頑張ってくれたフェリルさんの身を案じて』


ばぢぢ……ぢぢぢ……ぢぢぃぃぃ……❤︎


「ぐぅう゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~ッ❤︎❤︎❤︎ くッ❤︎ ふ❤︎ ふゥ゛ッ❤︎ ふぐぅう゛ッ❤︎❤︎❤︎」

『ビームの出力を弱めてあげているんですものね~』


 フェリルを貫く光線の数は10を超えていた。

 角度を変えて子宮に何本も。

 クリトリスを的確に貫くものが一本。

 肥大化乳房にそれぞれ数本。

 腹筋やアナルや心臓や、脳に直接染み込んでくるものもある。

 その全てが一秒照射するだけでフェリルを悶絶させる威力を発揮できる。


 本来なら。


じぃぃぃ……ばぢ❤︎ じじゅッ❤︎


「ぐ……う゛ッ❤︎ ぉ゛❤︎ う゛ぉ……ッ❤︎❤︎❤︎ お゛……ッ❤︎ ぉ゛~~~ッ❤︎❤︎❤︎」

『んじゃ、次の質問だけどね……』


 4日目の今日、連中はフェリルに「慈悲」を与えた。

 慈悲という名の嫌がらせ。

 アクメに漬かり3日を乗り越えた、牝として熟成されきってしまったフェリルの身体には……あまりにも弱弱しい快楽刺激しか感じられないように出力を弱めて「くれた」のだ。


「う゛ふぅぅぅ~~~ッ❤︎❤︎❤︎ ぐふッ❤︎ ぐふッ❤︎ ぐふぅ゛ッ❤︎ んぎぃい゛ぃい゛い゛い゛ぅうぅうぅうぅうぅう゛う゛う゛ぉぉぉぉぉぉぉッ❤︎❤︎❤︎」

『本当に大丈夫ですかぁ? まるで……ふふ、ほんとに動物返りしちゃったみたいですよぉ?』


(うるさいッ❤︎❤︎❤︎ どれだけ性格が悪いノッ❤︎ 足りないンだヨッ❤︎ こんな弱っちい刺激じゃッ❤︎❤︎❤︎ ぜんぜん足りないッ❤︎ くそ❤︎ なんで私の身体ッ❤︎❤︎❤︎ こんなにうずうずッ❤︎ バカみたいにイラつくの゛ォ゛ッ❤︎❤︎❤︎)


 全身から焼けるような熱が吹きあがる。

 染みだす汗が今にも沸騰しそうにぷるぷると揺れ、震える肌を伝って落ちる。

 ぞくぞくぞわぞわと、アクメを求める牝肉が悶えだす。


「ふ❤︎ ふぐい゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぐ❤︎ ふぐぅ゛ーーーーーーゥ゛ッ❤︎❤︎❤︎」


 冷たい汗粒が肌をくすぐる感覚に、フェリルの神経がゾクゾクと逆立った。

 しかし、


「…………ッ❤︎❤︎❤︎ ぐッ❤︎ ふ❤︎ ふゥ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎ ぐ❤︎ う゛ぉ゛❤︎ ほォ゛ッ❤︎ ふッッッう゛~~~~~~ッ❤︎❤︎❤︎」


 至らない。

 絶頂に至れない。

 4度目の目覚めを迎えた今日、フェリルは一度もアクメできていなかった。


 身体を撫でるように蠢く弱弱しいアクメビーム。

 ふわふわの羽根でしつこくしつこく肉をくすぐってくるような、もどかしくて苛々して、決して満足できない快感。

 フェリルの肉にうっとおしい熱だけを蓄積させて、そのままどこかに行ってしまう。


ぢぢぢぢぢ……ぢぢゅッ❤︎ ぢぢぃ……❤︎


(くそ……くそくそくそぉッ❤︎❤︎❤︎ 頭ッ❤︎ もやもやすルッ❤︎ アクメしてないのにッ❤︎ ぜんぜんバチバチしないのに❤︎ イラつくッ❤︎ アクメできないのもムカつくぅうぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎)


 羽虫のように落ち着きなく動き回るアクメビーム。

 決して一か所に留まらず、常にフェリルの身体を移動する。

 弱弱しい刺激だって、数秒同じ場所に照射すればアクメできるのに。

 それほどにフェリルの身体はアクメに漬けられてしまっているのに。


『おっと、もうちょっとスピードを上げた方が良さそうですね? このままじゃアクメ「してしまいます」からね』

「~~~~~~ッ❤︎❤︎❤︎」


 レーザーに焼かれ、肌が泡立ち、淫肉の底から快楽のマグマが込み上げる。

 しかし今にも噴火せんとなったその瞬間、レーザー光線はするりとその場所から逃げ出してしまう。

 そして今度は別の場所を焦らしだす。

 湧きかけたマグマはぐつぐつと欲求を濃縮させながら、ひたすらにフェリルの淫肉へと沈着していく。

 それが数時間。

 身体中ありとあらゆる場所にアクメが溜まっていた。

 一つのダイナマイトのように、全身がばくばくとアクメ寸前に熱を放っていた。

 脳みその奥の奥までアクメを押し込めて、その瞬間をひたすらに待ちわびていた。


 けれど、


ぢぢぢぢ……ぢ……


「うぅうぅう゛ぁッ❤︎❤︎❤︎ あ゛❤︎ ぐぁお゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛~~~ッ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎ ぐッ❤︎ んッぐふぅうぅう゛う゛う゛~~~ッ❤︎❤︎❤︎」


 その瞬間だけが訪れない。

 牛歩で少しずつ少しずつ、身体は噴火の瞬間に近付いていく。

 けれど、その瞬間は一向にフェリルに振ってこない。

 沸騰寸前の淫肉には沸騰だけは訪れない。


「ぉぁ゛~~~ッ❤︎ う゛ぁッ❤︎ は❤︎ は❤︎ は❤︎ はぁあ゛あ゛あ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

『ほら、さっきより「楽」になったでしょう? これでまだ人様のコミュニケーションができますねぇ』


 音声にあざ笑うような色が混じる。

 レーザーたちもフェリルをバカにするようにゆらゆらと不可思議な動きを見せる。


(こ……こんな……頭でッ❤︎ 何を……しゃべれって、言うノ……ッ❤︎ つくづく……ッ❤︎ 亜人差別主義者ガぁ……ッ❤︎❤︎❤︎)


 思考がボヤける。

 アクメのように、身体が千切れてしまいそうな衝撃はない。

 アクメのように、痛いくらいに五感が弾ける感覚はない。

 アクメのように、プライドも何もが一瞬の間に零れ落ちていく絶望はない。

 しかし、それすらも恋しく感じるほどの欲求が脳みそを満たす。


(う゛~~~イ゛ぎだいッ❤︎❤︎❤︎ イぎだいッ❤︎ アクメじだいアクメしたいアクメしたいアクメしたいぃいぃいぃぃいぃいぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛ッッッ❤︎❤︎❤︎)


 抑えられない。

 口から飛び出さないように抑え込むだけでいっぱいいっぱいだ。

 喉元寸前まで、その屈辱的な感情は飛び出さんとこみ上げていた。


(くそ❤︎ こんな連中のいいようになっちゃいけないってのニッ❤︎ アクメじだいッ❤︎ この❤︎ このいらいらッ❤︎ イッパツぶットべばすっきり爽快なのに゛ッ❤︎❤︎❤︎ あとちょっとッ❤︎ ビームがもうちょっと同じ場所に止まってくれればぁッ❤︎❤︎❤︎)


 少年との約束を忘れた訳じゃない。

 あと数日、耐え続けなければいけないことはわかっている。

 しかし、それでも。

 今にも狂ってしまいそうなのだ。

 あんなに忌避していた絶頂がなければおかしくなってしまいそうなのだ。

 己の身体がどれだけ無様な牝に成り果てているのか、受け入れてしまいたくなってしまうのだ。

 フェリルという一人のバニーが、今にも一匹の発情ウサギに成り下がってしまいそうになるのだ。


ぢぢ……


「……ッ❤︎」


 ふと、下腹部のレーザーに意識が向く。

 もはや見ずともわかる。

 びくびくと震える腹筋と、その上にたぷんとのっかる淫肉が感じるのだ。

 数本の光線が、今ゆっくりと子宮に向かって集まろうとしていた。


「……ッ❤︎ ふ❤︎ ふッ❤︎ ふッ❤︎ ふッ❤︎ ふッ❤︎」


 一本一本は苛立つくらいに弱弱しい快感しか生み出さない光線たち。

 しかしそれらが一瞬でも交差すれば、その威力は数倍以上に膨れ上がる。

 この貧弱な快感すら、今のフェリルのスイッチを入れるに十分な威力に成長する。


ぢ……ぢぢぢぢ……❤︎


「~~~ッ❤︎ ふ❤︎ ふッ❤︎ う゛ふーーーッ❤︎❤︎❤︎」


 ぐるりと、ピンクの線がへその周りをまわっている。

 ふらふらと頼りなさげに揺れながら、少しずつ子宮の上に集まろうとしている。

 あと、もう数秒待てば、光線たちは交わろうとしていた。


「ふ❤︎ ふ❤︎ ふ❤︎ ふ❤︎ ふ❤︎ ふ❤︎ ふ…………!」


 フェリルは息を止めた。

 全身の毛穴から汗が噴き上がる。

 蓄積された熱が、一周回って冷たいまでに濃縮される。


 全身の感覚を子宮一点に寄せ集め、迫る瞬間に備える。

 無様な技術だ。

 身体中でアクメを体感したことで、どうすればどの箇所の感覚を途切れさせ、また集中させるかがわかってしまった。

 こんな風に、微弱なアクメを最大限に堪能するために使うなど、己がはしたなく欲を貪るケダモノだと認めるようなもの。

 だが、


「~~~~~~ッ❤︎」


 フェリルには。

 血の一滴に至るまでもをアクメの毒に侵されたバニーには。

 その欲求に抗う方法がなかった。


 円を描いた光線が、瞬きの先で交差する。

 弱りきった腹筋を、フェリルはぎゅ❤︎ と引き締めて、


『お……っと! 危ない危ない』

「ッ❤︎ ふ❤︎ ぐぅう゛ッ❤︎ あ゛❤︎ な゛ッ❤ ぎひッ❤︎ イ゛ッ❤︎ イひぎッ❤︎ あ゛❤︎ なんでッ❤︎ なんッ❤︎ ぐ❤︎ う゛ッお゛❤︎ ぉ゛❤︎ お゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎」︎

 数センチ先を通り過ぎる光線に「おあずけ」を食らった。


 ゾクゾクと、今日何度も感じた「もうちょっと」が全身を廻る。


「ぐ❤︎ あ゛❤︎ あぎッ❤︎ い゛❤︎ いぃおぉおぉおぉおぉおぉぉおぉぉ゛ぉ゛ぉ゛~~~ッ❤︎❤︎❤︎ ぉ゛ゥ❤︎ ぐッ❤︎ ぅぁ゛ッ❤︎ が❤︎ ぁ゛~~~ッ❤︎ あ゛❤︎ はッ❤︎ ぁ゛~~~~~~ッ❤︎❤︎❤︎」


 フェリルは腹筋をぶるぶると震わせた。

 がむしゃらに腰をへこつかせ、ピンクの光線に「戻ってきて」と思わずおねだりする。

 しかし、


『く……くくく……ダメなケダモノですねぇ~?』

「ッ!」


 音声が。


 今にも笑い出しそうになっている音声が。


 フェリルを辛うじて人間側へと引き戻した。


 引き戻したものの、一度踏み出したという事実をなかったことにはできない。


『あれだけイきたくないって吠えていた癖に、止めてやったら今度は勝手にイこうとして……こんなモノが人様と同じ社会を生きようなどとは……つくづく腹立たしいもんだねぇ』

「~~~ッ❤︎ く❤︎ きッ❤︎ さま……ッ❤︎ ぎざま゛ッ❤︎」


 遊ばれていたのだと、今ようやく理解する。

 子宮に集まっていた光線は、偶然ではなく仕組まれたもの。

 部屋の外にいる連中が、フェリルの獣性を晒す瞬間を見て笑うために仕掛けたもの。


「ッ❤︎ ぐッ❤︎ う゛❤︎ ちが……ぢがぁッ❤︎」

『あーあーみっともない。今更言い訳なんてガキじゃないんだからさ……ま、ケダモノにしちゃ賢い方って言えるのかもしれないけどね』


 フェリルはまんまとハマったのだ。

 頭から馬鹿正直に、罠の中へと突っ込んだ。

 かッ! と顔が熱くなる。

 この4日間で何度も感じた熱ではない。

 屈辱の熱。

 己の誇りを、自ら踏みにじってしまったことへの、怒りの熱。


 ほんの一瞬とは言え、フェリルは快楽に身を落としたのだ。

 己の手で、無様な絶頂を感じようと動いてしまったのだ。


『いやぁ~あの瞬間のフェリルさんの顔ったらなかったね! ありゃマジで二足歩行する動物ですわ……あはッ! あはははははッ! いや失敬失敬……人間のフリしたフェリルさんの前で、ふふ、ははははッ! 嘲笑するなんて礼儀知らずですみませんねぇ……あははははッ!』

「ぅ゛……ぁ゛……ッ❤︎ ぢがっ❤︎ わ、私は……!」


 フェリルは言い返そうとするが、言葉が出てこない。

 蓄積された快感の熱すらも冷え下がるほどに身体が凍り付く。

 今自分がしてしまった事実に言葉が出ない。

 フェリルというヒトのアイデンティティにひびが入ってしまう。

 今にも割れそうなソレを必死にささえるだけで精一杯。

 他に何も、言葉が浮かばない。


『はぁ~~~この何日かで一番笑いましたわ……ねえフェリルさん?』


 ひとしきり笑った音声は、ふとトーンを落として、言った。


『あの少年にもそうやって本性を隠して近付いたんですか?』

「ッ!」


 フェリルは壁を見上げた。

 天井を見た。

 床を、背後を、向けられるだけの場所を見回すが、声の主はどこにもいない。


「ど……どうし……ッ!」

『そう慌てないで。獣姦趣味のガキなど元よりこの国には不要ですから……自ら国外に飛んでくれるのならばこっちとしても助かります』


 フェリルは一言だって口にしていない。

 フェリルの仲間もバラすような連中じゃない。

 捜索が始まった時点で、若しくはフェリルが裏切るずっと前から、連中は少年の存在に気付いていたのだ。


『こんな……婚姻ごっこってやつ? おままごとにしちゃ、随分金がかかっているみたいですけれど……?』


ぱちッ!


「あ……ッ!」


 マシンアームがフェリルの耳をかすめる。

 リングに繋がっていた小さな指輪を奪っていく。

 少年との約束の証。

 彼の薬指から「借りて」来た、大事な大事な結婚指輪。


「か……かえ……ッ!」

『返してあげますとも……ウサギのオモチャになんて、なんの価値もありませんから』


 マシンアームが、指輪を差し出してくる。

 まさか「あーげた」なんていたずらをするつもりではないだろう。

 しかし、フェリルには受け取る手がない。

 四肢を繋がれたフェリルにできることと言えば、せいぜい腰をへこへこ揺らすだとか頭を振るうだとかだろう。


「……!」


 いや、受け取る場所が一つだけあった。

 マシンアームが目の前にある時点で気付くべきだった。


「あ……あぅむ……!」

『口の中に入れちゃ駄目ですよ? まだ、咥えるだけにしてくださいねー』


 フェリルは唇に小さな指輪を挟み込んだ。

 次は決して離さないよう、優しくもしっかりと押さえつける。


『さて、さっき笑わせてくれた時点でフェリルさんの役目は終わった訳ですが』


 声はまた、笑いをこらえるような色を出す。


『ただ「お疲れ様、じゃあねバイバイ」ってのはね……ほら、飼いならした動物は野生に戻しちゃ駄目って言うでしょ?』

「……!」


(ああ……そう。なるほどネ。わかったヨ……)


 フェリルは何も言わない。

 口に指輪があるせいもあるが、もう何も言う必要はなくなったからだ。

 連中の意図はわかった。

 これが正真正銘、最後の壁だ。


『フェリルさんが飼い主が責任もって「処分」しなくちゃいけないケダモノなのか、ケジメを付けて愛するお人の元に帰る人間なのか……くく、その指輪で証明してくださいよ』


ぢぢぢ……ばぢッ❤︎ ばちばちばちばちッ❤︎❤︎❤︎


 周囲のレーザーが動き出す。

 一日ぶりに聞く悍ましいエネルギーチャージの音。

 それも、これまでに聞いたことのないような荒々しい音色。


『今から出す出力は……理論上「全部なくなる」とされているレベルでしてね。ま、あくまで理論値の話で動物実験もやってない出力なんですわ』


 全部とは。

 なくなるとは。

 今日までおびただしい数のアクメ光線を受けてきたフェリルにはなんとなく分かった。

 本当に全てだ。

 フェリルの身体からフェリルだった全てが「消去」されてしまう。

 この肉体が真の意味で、ただ生きているだけの淫肉同然になってしまう。

 今日まで生きてきたフェリルも、少年を愛したフェリルも、少年との約束を守るフェリルもいなくなる。

 絶頂によってフェリルという存在が消滅する。


(……でも、理論は理論だからネ。最後にお前らの落胆した顔が拝めそうでよかったヨ)


 フェリルはしかし、安心すらしていた。

 このまま後半をアクメ我慢で過ごすより、狂いそうになる絶頂の嵐を耐える方がずっと短く済むからだ。

 苛々で叫びたくなる現状よりも、昨日までの快楽拷問の方がまだマシだったからだ。


『んじゃ……アナログですが砂時計を置いときましょうね』


 マシンアームが砂時計をフェリルの目の前に設置した。

 大きい。

 しかし確実に「終わり」のある装置だ。


『何か最期に言うことはありますか?』


 音声はどこまでもフェリルをバカにする。

 しかしフェリルも、もう迷うことはない。

 咥えた指輪を離さぬよう、震える唇を引き締める。


『……それでは……さようなら~』



ぶぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅう゛う゛う゛う゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎


「う゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ う゛ッッッッッッ❤︎❤︎❤︎ ぐ❤︎ ぐぃ゛う゛❤︎❤︎❤︎ ぎゥ゛ッ❤︎ い゛ぎう゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぶぎぅ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 脳が弾ける。

 否、砕けていく。

 肉の底から気色の悪い絶頂が沸き上がる。

 骨の髄から終わりのない絶頂が込み上げる。

 止められない。

 内と外から絶頂でプレスされ、肉体のアクメが止まらない。


(う゛ぉ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎ なにッ❤︎ なにこのアクメッ❤︎ 両方からクるッ❤︎ 身体の内側から蓄積アクメクるッ❤︎❤︎❤︎ ビームで身体ッ❤︎ 勝手にアクメする゛ッ❤︎❤︎❤︎ これッ❤︎ これッ❤︎ ど、どぉやって耐えッ❤︎❤︎❤︎)


ぶじッ❤︎❤︎❤︎ ぶししししッ❤︎ ぶじゃばッ❤︎ ぶば❤︎ ぶじッッッ❤︎❤︎❤︎ ぶッばァーーーッ❤︎❤︎❤︎


「ぎッッッ❤︎❤︎❤︎ い゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ ぎゅッ❤︎ ッぎゅ❤︎❤︎❤︎ う゛ぎぃいぃいぃぃいぃいぃい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 乳房にフェリルの腕より太いレーザーが降り注ぐ。

 乳首を飲み込み、乳輪を食らい、乳房中の乳腺すらも一飲みにしてアクメを浸透させていく。


 子宮もすっぽり、極太レーザーに食らわれた。

 クリトリスも膣口も、アナルまでも、逃げられたものはいなかった。


 天井から、一直線にレーザーが下りてくる。

 フェリルの耳を、脳を、脊髄を飲み込んで床にまで到達している。

 フェリルを構成している大事な神経は、一本残らずアクメシグナルで埋め尽くされてしまた。


 アクメしている。

 フェリルは絶頂している。

 もっている性感帯を全て費やして最後の絶頂に飲み込まれている。

 しかし、


(お、お❤︎ 終わらない゛ッ❤︎ これッ❤︎ 永遠につよくなる゛ッ❤︎❤︎❤︎ アクメが身体の中で反発してッ❤︎ アクメどうし身体の中で増幅し合って……ッ❤︎❤︎❤︎ 身体ッ❤︎ 破裂ずる゛❤︎ のーみぞッ❤︎❤︎❤︎ こんなのッ❤︎ もたないッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎)


 際限がない。

 外側から注がれる絶頂と、内側から膨れ上がる絶頂が、まるで津波のように合体して、フェリルのナカで暴れまわる。


「う゛ぎぃいぃいぃいぃぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ い゛ッ❤︎❤︎❤︎ い゛ぅぎッ❤︎❤︎❤︎ ぎ❤︎ ぎゃぎッ❤︎ い゛ぎぎゅぃいぃいいぃいぃ゛ぃ゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 唇をかッ開き、むき出しの歯で指輪をかみしめる。

 その固さに、歯に当たる鉄の味に、必死に縋り付いて心を維持する。

 じくじくと崩れ落ちていく理性を押さえつけ、流れ出ていく心を必死に圧しとどめる。

 けれど、


ぶじッ❤︎❤︎❤︎


「ぎひーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 心以外が止まらない。


ぶびゅるぶッ❤︎❤︎❤︎ びゅるるるるるッ❤︎ ぶじッ❤︎ ぶじゃばぁぁぁぁッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎


「いぎぅ゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ う゛ッ❤︎ ぎゅぐ❤︎ う゛ーーーぅ゛ッ❤︎ ぅ゛ッ❤︎ ぅ゛ッ❤︎ ぅ゛んぐッ❤︎❤︎❤︎ う゛ーッ❤︎ う゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ うぅぅうぅうぅうぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


(とまらないッ❤︎❤︎❤︎ とまらないとまらないとまらなぃいぃいぃい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎ ミルクッ❤︎ おっぱい壊れたッ❤︎❤︎❤︎ バカミルクとまんなくなっだぁああ゛あ゛あ゛ッ❤︎❤︎❤︎ くしょッ❤︎ 乳首アクメッ❤︎ おわんなくされだぁああッ❤︎❤︎❤︎)


 豊満な爆乳が決壊する。

 ビンビンの勃起乳首から、アクメビームを押し返さんばかりの勢いで白濁ミルクが噴射される。

 びゅるびゅると音を立てて床に撒き散らされていく。


ぶじッ❤︎❤︎❤︎ ぶッしぃぃぃぃぃぃぃッ❤︎❤︎❤︎ じゅばッ❤︎ ぶばばばばッ❤︎❤︎❤︎


「ぎ❤︎❤︎❤︎ いッ❤︎ ぅ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎ ふんぐぅ゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎ う゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ うぎ❤︎ ぎッ❤︎❤︎❤︎ い゛ぃいぃい゛ッ❤︎❤︎❤︎ い゛ッ❤︎ い゛ッ❤︎ い゛ッ❤︎ い゛ーーーーーー❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


(くそッ❤︎❤︎❤︎ 潮吹きもバカになってる

❤︎❤︎❤ クリ擦れる❤︎ 今アクメで忙しいのにッ❤︎❤︎❤︎ アクメ重なる❤︎ あのわけわかんないアクメでまた狂わされるぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎)


 ピン❤︎ と勃起させたクリトリス。

 そこに放水車さながらの絶頂潮がぶちまけられる。

 ただでさえため込んだアクメを吐き出すのに忙しいというのに。

 自らのアクメによって再びアクメを誘発される。


(こ……壊れるッ︎❤︎︎❤︎︎❤︎ これッ︎❤︎︎❤︎︎❤︎ 確実にどっか終わってるッ︎❤︎ やばイ゛︎❤︎ このままじゃ……ほんとに終わっちゃうッ︎❤︎︎❤︎︎❤︎ 身体ッ︎❤︎ 心ッ︎❤︎︎ どっちかぶっ壊れて……終わ……ッ︎❤︎︎❤︎︎❤︎)


 汁という汁を撒き散らし、フェリルは雨のように降り注ぐアクメビームに耐え続ける。

 荒々しく駆け回る絶頂に、四肢の神経が焼けていく。

 脳みそがドロリと蕩け、今にも鼻や耳からあふれてきそう。

 ぶるぶると揺れる乳や尻が、フェリルの目の前で破裂しようと暴れている。


 けれどフェリルは大丈夫だ。

 彼女には、彼女が噛み締めるそこには、約束がある。

 フェリルがまだ人として生きていける証を、固い歯で噛み締めている。

 約束を果たすこと。

 それは何より、理性を持った人間である証だろう。

 少年の愛が、フェリルを人間たらしめてくれていた。


(あ……あと……どれ、くらいッ︎❤︎︎❤︎︎❤︎ 絶対︎❤︎ 絶対に……!)


 フェリルは白抜けしそうな目を見開いて、ひっくり返された砂時計を見た。


 そして、︎

(ーーーーーーやられたッ❤︎ やられたやられたやられたッ❤︎❤︎❤︎ 最後の最後でッ❤︎ この……この屑共ッ❤︎ 何が人間だ! 何がッ! なにが約束︎❤︎︎ 結局……結局ッ︎❤︎ 全部全部ッ! 私の……全てを……!)


ばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばッ︎❤︎︎❤︎︎❤︎︎


「う゛︎❤︎︎❤︎︎❤︎ うぐいぃいぃいいぃいぃいぃいぃいぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛ッ︎❤︎︎❤︎︎❤︎︎❤︎︎❤︎︎❤︎」



『はいストップ。あ、まだ中には入んないでね? 狸寝入り……じゃないや、なんだろ、ウサギ寝入りしてるとも限らないのでね』


 じっとりと牝の蒸気が充満した白い部屋。

 その中央の拘束具にフェリルが「ひっかかって」いた。

 動かない。

 ぼたぼたと身体中からあらゆる汁を垂れ流しているが、それだけだ。

 全身から薄ピンク色の煙を噴き上げているが、それだけだ。

 うなだれた頭も、震える腹筋も、ミルクを流す乳房もデカいばかりのヒップも、アクメビームから解放されたそれらの淫肉は一切が動かない。


『く……くくく……あははははははッ! まったく……「自分の方」には気付かないとか、やっぱり所詮おままごとって感じですかねぇ……』


 フェリルの目の前に設置された砂時計。

 それは、1割ほどが落ちたところで止まっていた。

 サラサラの砂に紛れた異物によって……フェリルの薬指から没収したフェリルの結婚指輪によって、狭い口が目詰まりを起こしていた。

 フェリルへのアクメビーム照射が止まる条件は「砂が全て落ちた時」又はフェリルの全てが消去されたと確認された時。


『さてさて……』


 マシンアームがフェリルの耳をふん掴む。

 乱暴にその顔貌が上を向く。


「ぎゅ……ぇ゛……❤︎❤︎❤︎」


 それは間違いなく、フェリルというバニー種の女性の顔だ。

 しかし、フェリルという人間の存在は、きれいさっぱり洗い流されていた。

 ただ顔があるだけ。

 白目を向いて、ひきつったアクメ顔のままに固まった顔があるだけ。

 顔の形をした肉が、マシンアームに支えられて揺れているだけだ。


 キラリと、何かが光を反射する。

 唇の隙間から、小さなリングが滑り落ちる。

 歯も、唇も、フェリルの淫肉は何一つそれに反応しない。

 フェリルの指にははめられない、小さな小さな結婚指輪は、受け取る者を探すように落下していき、


ぽちゃん


 と足元に広がる牝汁溜まりの中へと沈んでいった。

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