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久しぶりのキノの旅二次創作エロとなります。

今回はヤク漬け・快楽調教・性奴隷開発ナドナド‥‥‥色々盛り込んで前後編で執筆予定です。

「城壁のない国」というタイトルのお話が非常に印象に残っておりまして‥‥‥単行本3巻くらいだったかな? その話のエロパロのようなモノになっています。

pixivへの無料公開は後編が完成してからとします!


以下、本編です。


◆◇◆◇◆


 旅人のキノとモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)のエルメスは、青と緑で二分された世界を進んでいた。


「全くもう! こんなに草足が高くっちゃあモトラドの面目丸潰れだよ。丸三日もエンジンがかかっていないなんて久しぶりさ」


 タイヤに絡まる牧草を引きちぎり、エルメスは言った。

 辺り一面に広がった青々と茂る牧草は、キノの膝ほどにまで伸びきってサラサラと揺れている。

 上を見上げれば雲一つない青空が待っている。

 何処からともなく暖かい風が吹いてきて、牧草とキノを撫で付ける。

 四方八方、どこまで見ても草原と空だけが無限に続いているようだ。


「仕方がないよ。この高原を進まないと次の国には入れないみたいだからね」


 キノはエルメスから降りて、手押しで草の世界を歩いていく。

 旅人とモトラドは「旅をする国」を目指してこの牧草地帯に踏み込んでいた。


「水の流れの影響で、この辺の牧草痴態は年ごとに方策の位置が変化するんだっけ?」


 エルメスは言った。

 「そう」とキノは答える。


「だからその国は定期的に場所を移動して、最も牧草が豊かな場所の中央に国を構える。ここの牧草は家畜の餌から建築素材から、何にでも利用できて便利なんだって」


 答えたキノは、ふと空を見上げた。

 眩い太陽光がゴーグルに差し込むと、キノはゴーグルを外して目を擦った。


「それに‥‥‥嗜好品としての使い方もあるって言っていたなあ」

「ええっ! それ、どっかで聞いたことがあるね」


 嗜好品。その単語にエルメスは大袈裟に反応した。

 キノもゴーグルを嵌め直し、頷いた。

 かつて、一人と一台が踏み込んだ「国境のない国」の記憶が、ゴーグルの裏に浮かび上がる。

 国の人口を維持するため、訪れる旅人を次々罠にはめて国民としていた国の記憶。

 中毒成分がふんだんに含まれた牧草をパイプで常々吸っていた国民たち。

 旅人を強引に牧草中毒とし、無理矢理国に居着かせようとした国の政策。


 「ねえキノ、やっぱりやめておかない? この土地はモトラドが根を下ろすには合ってないよ」


 「なんて言ったってこんなに牧草がびっしり根を張っているからね」とエルメス。

 だがキノは首を横にふった。


「その心配はいらないよエルメス。牧草の中毒性は肺から吸い込んだ時にしか効果が出ないから、お茶にして飲んだって問題がないんだって。それに万が一そんなことになったとしたら‥‥‥」


 言い淀んだキノに、エルメスは「したら?」と言葉を促す。


「エルメスは即座にスクラップ。バラバラの部品になって他の国に売られちゃうダロウから、駆け回れない心配はしなくていいはずさ」

「ひえっ、そりゃあ確かに心配無用だね」


 怯えているのかよくわからないエルメスの返事。


 草原を一直線に進む旅人たちの行先に、白いドーム状のテント群が見え始めていた。



「おお、よくおいでなさりましたな旅の方。キノさん、とお呼びしてよろしいですかな? ささどうぞこちらへ入って来なさい」

「はい、キノです。よろしくお願いします」


 キノは国の中央に据えられたテントへと通された。

 テント内装は広く家具までしっかり揃えられており、これが定期的に解体・建築されているとは到底思えない立派な作りだった。

 床には一面御座が敷かれ、天井には煙を排出するための穴が開いている。

 喫煙者ばかりの国民に適した、完成度の高いテントだった。


 中でキノを出迎えたのは髭の長い老人だった。

 笑顔でキノを手招きする好々爺。

 手には煙が立ち昇るパイプが握られており、しわくちゃの口からも紫色の煙が吐き出される。

 この国を回す長だそうだ。


 因みにエルメスは大きくて邪魔なので、と国の入り口で待機させられている。

 別れ際のエルメスは「つまんない」とぶーたれていたが、すぐに国の中は地面が綺麗に整備されていることに夢中になっていた。


「これならこの国に居着いても大丈夫だね、安心したよ」


 そんな冗談とも本気とも取れない言葉でキノは見送られた。


 長老はキノを座敷に通すと、正面にどかりと腰を下ろした。

 パイプから灰を捨て、新たな干し草を詰め、火種を落とす。

 吸い口を加えると、大きく息を吸い込んだ。


「さて‥‥‥申し訳ないがお茶をお出しするのはやめたんじゃ。水でよければ出しましょう」


 一言そう言うと、歯の隙間から煙が空気に流れ出る。


「数年前かな、おかしな国の噂が流れて来ましてな。強引に旅人を国に引き摺り込むとかなんとか‥…‥わしらも同じことをしているんじゃないかと誤解が生まれてしまったらかなわんということになりまして。わしらの事情で申し訳ない」

「‥‥‥はい、ぼくも耳にしたことがあります。少し似たような風習の国だったそうなので、誤解があるのも仕方がないでしょう」


 噂とは勿論、キノたちも訪れていた「国境のない国」のことだろう。

 これだけ似通っていれば必然、彼らの耳にも届いていたようだ。

 長老は「ご存知でしたか!」と快活に笑った。

 シワでいっぱいの顔が、くちゃりと丸めた紙のような笑顔になる。

 またパイプを吸って、吐いた。

「まあわしらもそうじゃが、少数民族と言うのは確かに後継者不足が何処も問題と聞きますからな。多少乱暴な手をとる心理も分からんでもないのですが‥‥‥まあ、わしらはそんな野蛮な手段で旅人さんを襲おうとは思っておりませんから! 安心して滞在されると良いでしょう!」

「はい、そうさせてもらいます。三日間ですが、どうぞ、よ、よろし‥‥‥?」


 ぐらり、とキノの世界が90度傾く。

 平行な地面が水平に。

 踏み締められた冷たい牧草が頬にふれ、掌に広がる。

 ぱちぱち瞬きをすると、あの眩しい日光が瞳を照らしていた。


「あ、え‥‥‥なん‥‥‥?」


 なんで牧草が?

 なんで空が?

 キノはゆるゆると揺らぐ視界を不思議そうに見る。

 起き上がろうと手足を動かそうとして、動かせなかった。

 投げ出された四肢は指先までぴりぴりと深い痺れが充満し、そこに「ある」とは認識できても持ち上げる事はできなかった。


 危険信号はとっくに赤を鳴らしている。

 本能が逃げろと叫んでいる。

 だが、身体は命令に答えられないほどに凍りついていた。


 肉体の痺れはやがて精神までもをむしばみ始める。

 「野蛮な手段では‥‥‥」なんて長老の笑い顔が目の裏に浮かび上がっていた。



「ぁうッ❤︎ うッあ‥‥‥ぁぁ‥‥‥ぁえ‥‥‥ッ❤︎」


 キノは地面に倒れていた。

 国に一歩踏み込んだその瞬間。

 絶叫を上げ、細身をえび反りにのけぞらせ、放り出されたおもちゃのように草のクッションに抱き留められた。

 その瞳は既に空で、意識は夢の彼方へと飛び立った後だった。


「すげえな今回の。今までの旅人さんは一発で完璧にトんでいたのに」

「ああ、相当腕が立つんだろうなあ。ま、今頃意識は夢の中よ。きっと長老に挨拶しに行く夢でも見ているんじゃないのかな」


 うつ伏せに倒れたキノを見下ろし、国の男たちがひそひそと話し合う。


「どっちにしろ、一度完全に気絶してもらわなきゃ「支度」の邪魔になる。ちょいとキツめにイってもらうとするかな」


 蛇のように地面を這いずるキノの元へ、男が器のようなものを持って近付いていく。

 キノはぼんやりとその姿を目で追うが、「誰が」「何を」しようとしているのか、到底認識できてはいないようだ。

 男が差し出す器の中には、炎の灯った蝋燭のようなものが揺れている。

 炎から立ち上がる桃色の煙がキノの顔へと揺らぎ行き、鼻腔、口腔から吸い込まれていく。


「は‥‥‥か‥‥‥ぁ‥‥‥ッ❤︎❤︎❤︎ あぎッ❤︎❤︎❤︎ ひん゛ッ❤︎ ふぐッほおぉおぉッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 一呼吸、煙を肺に迎え入れた瞬間だった。

 キノの身体はピンと反り返り、辺りに響く絶叫が飛び上がる。

 硬直した身体は関節が固まったようにぎこちなく痙攣する。

 深緑色のパンツがじわりと股間から濡れていく。

 引き絞られた膀胱が、溜まっていた尿をうっかり漏らしてしまったようだった。


「すごい効き目だろうお嬢ちゃん。コイツをはじめから二回も吸い込まされるなんて、あんたの身体の頑丈さを呪うんだな」

「か‥‥‥ッ❤︎ う゛ぁッ❤︎ あ゛ッ❤︎ はヒぁ゛あぁッ❤︎❤︎❤︎ はひッ‥‥‥くぅうぅんッ❤︎❤︎❤︎」


 手足が不規則に、生き物でないかのように暴れ出す。

 何か、キノにしか見えないものを振り払うように。

 だがその先には何もない。

 キノが見えているものは何処にもない。


 屈強な男たちがキノの体を押さえつけ、麻袋に放り込んだ。

 いよいよ芋虫のような姿に変わり果てた旅人は、軽々と男の一人に担ぎ上げられる。


「さあ旅人さん、こっから地獄の時間だよ。無事に出てこれたら‥‥‥その時はよろしくやりましょうや」


 麻袋を叩き、男は国の奥へと向かう。


 待ち受けるのは他のものより二回りほど小さなテント。

 外見はほとんど同じだが、煙を逃すための窓が一つもない。

 中で起こる全てを抑え付け、隠し通すかのように厳重に封された特別なテントだ。


 「野蛮ではない国民を増やす手段」を施すための特別な場所だ。



 家畜処理と聞けば、多くは食肉動物の屠殺・解体の場として認識している人が大半だろう。

 この国にもそれらと同盟の施設があるのだが、含まれている意味はそれとは全くの逆となる。

 一部の「慣れた」人間にしか入ることを許されない家畜処理場。

 ヒトを家畜に相応しい形に「処理」するための場所だ。


 頑丈なテントを潜り、小さな老婆が中へと入っていく。

 重く分厚い垂れ幕をめくればその瞬間、サウナも顔負けの濃密な湿気と熱気が外へと吹き上がる。

 老婆は慣れた動きで内部へと滑り込み、空気が漏れないようしっかりと入り口を封じ込めた。

 振り返ればその内装は、窓も排煙口もない密室空間。

 必要最低限の明かりで照らされた室内は薄暗く、よく知るものでなければそこら中に手足をぶつけてしまうだろう。


 見覚えのある蝋燭が壁際一面に並び立ち、あの薄桃色の煙を吐き上げて室内を循環している。

 円形になった室内の中には、夏だと言うのに光線のような熱をはなつ囲炉裏が設置され、隣に並んだ水桶から液体を蒸発させていた。

 広がる煙、熱気、そして蒸気、全てが混ざり合う室内は、確かに慣れたものでなければ酸欠で卒倒してしまいかねない。

 地上に持ち上がって来た地獄のような風景だった。


「おーおー、今日も元気にしちょったかい? たっぷり汗かいて、元気な雌肉になるんだよい」


 老婆は囲炉裏側に歩み寄る。

 水桶の中身を確認しつつ、目の前にぶらさがっているキノの尻をすぱん、と軽快に叩いた。


「ん゛も゛ぉお゛ッ❤︎❤︎❤︎ おぼッ❤︎ も゛ッ❤︎❤︎❤︎ ふンもッほおぉおぉおおお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 返って来たのはヒトとは到底思えない、家畜にも劣るメスの鳴き声。

 続いてぶしゅんとキノの股間が唸り、絶頂のアクメ汁を暖炉に向けて吹き付けた。

 ぶらりぶらりと陽気に空中を揺らめくキノの姿は、桃色の煙と吹き出す汗で艶かしく彩られ、「美味しそう」に輝いていた。


 宙にぶらさがって、とは言っても猿のように自力でしがみついているわけではない。

 キノの身体は小さく折り畳まれ、M字開脚の姿勢で縛りつけられ、天井から降りたフックで吊るされていた。

 着ていた服はとっくに破り捨てられて、細身ながらも引き締まった身体にしっかりと食い込んだ縄だけがキノの洋服だった。

 手も足も硬く封じられ、目隠しと猿轡で顔の殆どが隠されていた。

 髪の毛はぐっしょりと水を含んでキノの額に張り付いており、一見しただけでは同じ人間とは思えない。

 ヒトとも思えない嬌声に乗せた声色だけが、辛うじてコレがキノであるという証であった。


 むき出しとなったささやかな胸には、その厚さには不釣り合いなぷっくりパフィーニップルが乗せられている。

 カチカチに勃起した乳首を根元から縛りつける牧草のリボン。

 ついでに小さな鈴が結え付けられ、キノの震えに呼応してチリンチリンと鳴っていた。

 重みで乳首に刺激を与えつつ、音で羞恥を植え付ける二重構造だ。

 開け広げられた股間の麓、ピンと赤く膨れたクリトリスにも、同じようにリボンと鈴が添えられている。

 モゾモゾともがき、鈴の音を奏で続けるその様は、ヒトより家畜より悲惨な有り様だ。


 縄も目隠しも猿轡も、どれも全てが草原から取れた草で編んである。

 中毒成分をふんだんに含んだ縄がキノの身体に、太ももに、股間にまでしっかりと食い込み、じくじくと毒のように犯していく。

 十分すぎる湿気を吸い込んで硬くなった縄は、自由を奪われたキノの力で引きちぎれるものではない。

 空気中の媚薬に身体を内から焼き焦され、呼吸すらも快感となってしまった今となれば尚の事。

 吹き出る汗が肢体を流れるだけでもう、キノはむき出しの歯茎の底から悲鳴をあげる。

 もがく振動で縄が揺れる。

 あらゆる体液が足先に流れ着き、囲炉裏に落ちてじゅうと鳴る。

 拘束されたキノの身体がぶらりぶらりと左右にスライドする様は悲惨なくらいに滑稽だ。


 キノは(本人に自覚はなかったが)三日三晩、休まずこの場所に吊り下げられ、牧草の瘴気と種子油の煙に犯され続けていた。

 空気中に漂う媚薬はキノのありとあらゆる穴から体内へ侵入し、細胞を蝕み同化し、その身を国の都合の良い形に作り替えていく。


「草原を進んでいる間には気付かんかったろう? 牧草で中毒を起こすのはパイプで吸った場合だけ‥‥‥っちゅう通説にカラクリがあっての。コレ、実はワシが考えついたんじゃけどなあ」


 老婆は揺れるキノを放置して喋りだす。

 喋っている間にも蝋燭の減り具合を確認し、囲炉裏の火力を調節し、と仕事はてきぱき進めていく。


「この草が出す花粉やら草を煮出した汁やらにも似たような成分は入っとるんじゃ。じゃが、そいつはパイプで吸うものより数段弱くてな、どれだけ飲もうと効果がなかったんじゃ」


 「コイツが煮出汁なんじゃが」と囲炉裏の隣の桶を揺らす。

 暗く底の見えない桶の中、深緑のどろりとした液体がたぷんとたゆたった。


「そんな役に立たん成分かと思ったが‥‥‥一つだけ手を加えてやれば爆発的に効果が高まることが分かってな! それが‥‥‥種から取れる油だったんじゃ! 煮汁や花粉を吸い込んだ者がうっかりこの煙を嗅げば効果てき面! ほれお主もたっぷり吸い込むが良い」


 老婆は蝋燭を一つとり、キノの鼻先へと近づける。

 キノは顔を振って逃れるが、広がる煙を全て避けることなどできるはずもない。


「ん゛ぉッ❤︎❤︎❤︎ おぶッ❤︎❤︎❤︎ ぶぐぅおおぉおおおぉお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ お゛ーッ❤︎❤︎❤︎ ごッへぉッ❤︎❤︎❤︎ ほぼぉおおぉおおおぉお゛お゛ぉ゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


ギチギチギチッ❤︎❤︎❤︎

ぶしゅッしゅわわわわッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎

ちりぃん♪ りんりんっ♪


 絶叫がテントを埋め尽くす。

 縄が痙攣する身体を押し込めてうめき、続いて股間から夥しい量のイキ汁が噴き出した。

 最後の仕上げに三つの鈴がリズムを刻み、局部を追い討ちとばかりに刺激する。

 突起を弾かれる快感がまた新たな絶頂を生み出し、キノは繰り返し、アクメに身体を揺さ振らされる。

 ばちゃばちゃ音を立てて落ちていくイキ汁の音はそうそうすぐには収まらない。


「おーおー素晴らしい! 三日目で気絶もせんようになったとはのう‥‥‥こりゃあ良い孕み雌に育ちそうでワシも腕が成る!」


 中で踊りイき狂うキノを見て、老婆は手を叩いて喜んだ。

 猿轡を食いちぎらんばかりに歯を突き立て、キノは内から湧き上がる絶頂に唸りをあげる。

 イけばイくだけ、身体の芯から絶頂の熱が吹き上がり、全身の神経をピンク色に染め上げる。



 最初の1日は、身体が本当に宙へと飛び上がったかのようだった。

 絶え間なく襲いくる絶頂の嵐に身体も心も大忙し。

 呼吸するだけでアクメの素材が身体の中へと流れ込み、キノの身体に雌の快楽を刻み付けていった。

 喘ぎ、アクメし、汁をぶちまける。

 それがキノのできる全てだった。


 2日目になると、呼吸だけでイき狂うことはなくなった。

 代わりに肌に食い込んでくる愛撫のごとき瘴気が全身をくまなく甘イきさせ続ける。

 イって戻って、イって戻っての前日とは違い、今度は無限大に弱々しいアクメが起き続ける。

 ぷっくり乳首もピン勃ちクリトリスも、キノの身体全体がじりじりずきずきとイきっぱなし。

 喉を焼き切るような悲鳴は止んだが、今度は震えるような呻き声が止まらなかった。

 ヒトの言語を忘れ(猿轡でそもそも喋ることはできないが)、猿より惨めに喘ぎ吠える。

 キノの身体は雌とはなんたるかを理解し始めていた。


 3日目、遂に毒が全身に周りきり、絶頂の疼きが身体の内部から湧き上がる。

 外部から染み込むアクメだけでも手一杯出会ったのに、今や身体の底から燃える絶頂と共鳴し、未体験の絶頂を生んでいた。

 より効率的に、より大量の快楽を得るためにどうすれば良いか、キノの心など置いてけぼりで身体が勝手に学び出す。

 乳首をもっと張り詰めさせれば、クリトリスをもっと勃起させれば、アクメの時に吹き出す汁の快感はどれほどだったか‥‥‥雌としてアクメする肉として、相応しい反応を定着させ始める。

 キノの肉体は無限に溢れ続ける快楽を捌きイくために、己の力で己を変質させ出していた。


「お゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛ぉッ❤︎❤︎❤︎ お゛ぁッあ゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 ぎゅちぎゅちと縄を鳴らし、キノは絶頂に身を落とす。

 何度繰り返しても何度乗り越えても、肉体の節々にまで響き渡る絶頂電流に慣れることはできなかった。

 それどころか2日を過ぎた時点から、燻らせた煙に肌を撫でられる感覚だけでも潮を吹いてアクメする始末。

 こうやって直に嗅いでしまおうものならば、長い間硬直痙攣する身体が元に戻らない程だった。


「そうら、待ちに待った飯じゃぞ。桶いっぱい、全部飲み干しなされな」

「ふぐッ❤︎ ンぁ゛ッ❤︎❤︎❤︎ うあ゛ッ❤︎ はッ❤︎ はッ❤︎ はぁッ❤︎ ふッほ‥‥‥ひゅぅう゛ッ❤︎❤︎❤︎」


 口縄が外れ、キノは熱い煙を肺一杯に吸い込んだ。

 イき通しの身体にはとにかく酸素が足りなかった。

 吸い込む淫気でまた、身体がぼっと熱くなるが、それに恥じる暇もない。

 初日はまだ、老婆に歯を突き立てようとする意思が残っていた。

 だが今となってはアクメに体力が消費され、汚らしく喘ぎながら酸素を取り込むのが精一杯だ。


「む゛ッ❤︎ むら゛(むだ)でずッ❤︎ よ゛ぉッ❤︎❤︎❤︎ こん゛ッ❤︎ ら゛ッ❤︎ はひゅッ❤︎ こッひょぉ‥‥‥ッ❤︎❤︎❤︎」


 それでも、キノは反抗を露わにする。

 媚薬毒が回りきり、言葉を紡ぐだけで脳汁が吹き出るようになった舌を引きずり、老婆へと抵抗の意思を示す。

 1日のほんの一瞬、食事の為に口を開けられるこの一瞬が、キノに残された脱出の鍵だった。


「ィッ❤︎ あッぉ‥‥‥ッ❤︎❤︎❤︎ ボッ❤︎ ボクにぁッ❤︎ こ、こッ❤︎ このくぃに、と、とどまるッ❤︎ ことはありまへぅッ❤︎ あ、きらえへ(きらめて)くらひぁッ❤︎ はッ❤︎ はぁッ❤︎ あ‥‥‥ッくはぁ、ンッ❤︎❤︎❤︎」


 一言発するだけでも、全身が破裂するような疼きで満ち溢れる。

 肌に食い込む縄が擦れて熱い快感が染みてくる。

 鈴が揺れ、快楽の音色に合わせてアクメ突起がちくちく痺れる。

 ぶらりぶらりと宙吊りで喘ぎながらでは、争いの言葉も意味を成さない。

 滑稽な赤ん坊あやしのガラガラと相違ない有様なのだから。


「あいよ、あんたにゃあヒトの言葉は勿体ない。あんたの仕事はイって飲んでイって、そんで産むだけさ」


 老婆はキノの言葉をにべもなく切り捨てた。

 煮出汁をたっぷり入れた桶を、キノの頭にほど近い位置へと設置する。

 程よく暖められたその汁は、キノへと芳しい湯気を上らせる。

 顔面に広がる、避けられない毒湯気を吸い込み、キノは言葉を詰まらせて咳込んだ。

 身体を捻って桶から遠のこうともがくものの、動ける範囲はたかが知れている。

 キチキチと縄を軋ませ、涎を垂らして顔をうねらせ、それでも湯気から逃れられず喉を震わせる。

 側から見れば、間抜けなピエロのダンスそのものだ。


 老婆はうめくキノを放置して、キノ釣り上げている縄を弄る。

 すると次第に、キノの身体が前へと倒れていく。

 少しずつ少しずつ、煮出汁が揺蕩う桶へ向かって、倒れていく。


「はッ❤︎ はあ゛ー❤︎ あ゛ッ❤︎ あぼごッ❤︎ ご、ぶごッ❤︎ ふぼッほおぼぉお゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎」


 鼻息荒く湯気から争っていたキノの顔。

 深緑色の水面へゆっくりと浸かり、慌ただしい泡を立ち上げて沈んでいく。

 当然だが、水中に頭を突っ込まれては呼吸ができない。

 数日にわたるアクメ通しで、ただでさえ酸素の足りないキノは必死だ。

 ギリギリまで頭を高く上げ、呼吸穴を確保する。

 だがそれも、老婆が縄を弄れば無駄となる。

 キノの頭はすっかりそのまま桶の水面へと飲み込まれた。


「ごッ❤︎ ごぶッ❤︎ おぼッぼほぉうぅッ❤︎❤︎❤︎ ぐぶッ❤︎ ぐぶぅぶぶッ❤︎❤︎❤︎」

「急いで飲みなされ、気を失ったらまた仕置きするで、なぁっ!」


 大粒の泡で苦しみを訴えるキノの尻を、老婆はまた勢いよく叩いた。

 折り畳まれた身体が更に一回り収縮し、キノは酸欠でアクメする。

 これが、まともな家畜にすら劣る強制的な摂取が、キノの食事だった。

 立ち登る湯気だけでも絶頂してしまう高濃度の汁を、喉を鳴らして飲み干さなければならない。

 五感の全てが絶頂とリンクさせられた汁を己の意思を持って、体内に取り込むのだ。


「ごぼぼぼッ❤︎❤︎❤︎ おぼッ❤︎ おぼッ❤︎ おぼッ❤︎ ぼごッ‥‥‥ん゛ぉぼッ❤︎❤︎❤︎ ご、ぼぼぼ‥‥‥ッ❤︎❤︎❤︎」


 喉を震わせ、キノは煮出汁を食道へと流し込む。

 口腔、食道、胃と、汁が触れた場所から燃えるような熱が湧き上がり、筋肉を震わせた。

 飲み込む所作すら脳を蕩し、胃が蠢く感覚が心臓を飛び上がらせる。

 だが、死を忌避する本能が止まらない。

 キノの口を動かさせ、諸悪の根源を口へと吸い上げろと命令する。

 額の上がパチンパチンと弾けるように痺れる。

 どくんどくんと心臓が引き絞られ、血液が慌ただしく身体を駆け抜ける。

 警報を鳴らすように、突起を弾く鈴がりんりんとがなる。

 全身に熱が篭りきり、手足の先が臨界点を突破して冷たく痺れ始めた頃、老婆はようやくキノの身体を持ち上げた。


「ほれいったん息でも吸いなされ」

「ごぼぁッ❤︎❤︎❤︎ あぶッ❤︎ あ゛ッ❤︎ くぁッ❤︎ ごほッ❤︎ え゛ぁッ❤︎ あ゛ッ❤︎ あ゛ッ❤︎ あ゛ーッ❤︎❤︎❤︎ ひぁ゛ッ❤︎❤︎❤︎ あ゛ッ❤︎ はッ❤︎ か‥‥‥はぁあ゛あ゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 口に冷たい空気が入り込むと同時、キノはむせ込むのも気にせず肺をいっぱいに膨らませた。

 真っ赤な顔でぱかりと大口を明け、歯と舌を剥き出しにして息を吸う。

 反抗的に老婆を挑発する余裕などない。

 パチパチ痺れる脳の隅々にまで、新鮮な酸素を供給する。

 同時に、膨れ上がった絶頂が呼吸に乗せて飛び出していく。


「お゛ッ❤︎ おはッ❤︎ はぁ゛ッ❤︎❤︎❤︎ へッ❤︎ げぉッ❤︎ お゛ぅ゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛ぇお゛ぉおッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」


 呼吸し、アクメし、むせこんでからまたアクメする。

 足りない酸素は嬌声をあげるために消費され、息を吸おうと口を開ければ、先にイき声が飛び出してくる。

 酸欠も相まってアクメの度に身体がふわりと飛び上がるようだった。


 イってイってイって、叫んで叫んで、そしてようやく一呼吸。

 それを繰り返すものだから、いつまで経っても脳の痺れが収まらない。

 酸欠の痺れなのか、アクメの痺れなのか、それすらキノには理解できていなかった。


「ほぉーッ❤︎❤︎❤︎ おほぉーッ❤︎❤︎❤︎ おほぉーッ❤︎❤︎❤︎ ほッ‥‥‥こひゅッ❤︎ けほッ❤︎ ひぃ゛ぉおーッ❤︎❤︎❤︎」


 ようやくアクメが切れた頃、キノは奇怪な獣のようにうめきイくだけになっていた。

 唇をアヒルのように尖らせて震える鳴き声を吐き続ける。

 小さな鼻にはぷくぅとちょうちんが膨らみ、実に無様だ。

 目隠しの奥ではくりんとひっくり返った眼球が、血走った白目を揺らしていた。

 数日前までのキノという旅人の姿はカケラも残っていない。

 麻薬の如き牧草のアクメ効果に浸かりきった雌の野獣だった。


「さ、もういっちょ飲みなされ」

「お゛ぅッ❤︎ う゛ぉッへ‥‥‥へぶぉぼぼッ❤︎ おぼッ❤︎ ぼぶぅごごごッ❤︎❤︎❤︎」


 小便を垂らして痙攣するキノの頭を、老婆は再び桶の中へと突っ込んだ。

 脱力しきっていた身体は、頭が桶に消えた途端、元気に跳ね飛びアクメする。

 20本の指がそれぞれメチャクチャに暴れ回り、小便を吹いていた穴からは鉄砲水の如きイき潮が飛び出した。

 再び鈴が元気に飛び回りだす。

 だがその音色は、キノの立てる水音にかき消されて堪能することはできなかった。


 桶に残る煮出汁はもう半分。

 キノはもう一周、今のイき地獄を巡ることとなる。