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 料理、と呼ぶのも憚られる様な焼かれた肉の塊が運ばれてきた。

 マイィは食事を運んで来ただけですぐに立ち去る。

「くえ、子供」

 ウッラはアルドリッジに肉を促しながら真っ先に自分がつまんで口に運ぶ。塊はともかく、手づかみで食べることを躊躇したアルドリッジだったが、数時間前にサラナの食堂で食事をした似も関わらず本当に空腹を感じていたため、ウッラに習って一応ある程度の大きさには切られている肉の一片を掴んで口に入れる。

 舌で肉汁を感じた瞬間、アルドリッジは喉が酷く渇いていることに気づいた。

「ねぇもぐもぐ、水貰える?ごくん」

 ウッラは肉を噛みながら無作為に部屋の外にいる誰かに声を掛け、水を持ってこさせた。

 アルドリッジは一気にそれを飲み干す。

「ふぅ・・・ねぇ、ここはもしかして…君たちの村?」

「もぐもぐそうだぞ?お前倒れた。村までずっと寝てた」

 アルドリッジはまたもゾッとした。

「・・・ど、どのくらい寝てた?」

「ん~、3か4」

 酷い喉の渇きに気づいた時点で嫌な予感はしていたが、予想よりも遙かに長く気を失っており、空腹なのも頷けた。

「・・・それで、この村はサラナから遠い?」

「遠くないもぐもぐ、近い」

 アルドリッジは多少安心した。気を失った地点から3、4日全て馬車の中に居たとしたら、ニチェまで到達していてもおかしくない。

 空腹が気のせいでなく、疲れが残っているのはそのためだと感じたアルドリッジはひとまず無心で肉を胃に収めていく。

「食べたら元気になったか?」

 肉の塊は全てなくなった。結局半分以上はウッラが食べてしまった。

 食べ終わった直後にいきなり体力が回復するわけはないが、それにしても未だに疲労感が抜けないため、アルドリッジは少し怖くなって来た。ウポレを発ってから一度も病気にはならなかったが、マジャリに入ってとうとう体調を崩してしまったのかも知れない。

「お前、子供だけどもうセイシでるか?」

 ウッラは脈略なく、食事のために手を放していた布の中に手を差し込み、ペニスを掴む。

「ちょ!!さっきもなんか言ってたけど、意味わかんないから!!」

「イミ分からない?お前交尾しらないか?」

 ウッラは完全にアルドリッジの下半身を隠していた布をはぎ取り、腰を抱え上げた。ペニスがウッラの顔の前に位置する。

「なっ!?やめてって!」

 アルドリッジは顔を赤くして藻掻く。膝から舌は自由な為ウッラの頭を蹴ることも出来たが、介抱して貰った相手にそこまでは出来ない。

「ちょっと味みる」

「えぇっ!?」

 ウッラは何の躊躇いもなく、目の前のペニスをぱくりと口に放り込んだ。

「な・・・なにをっ…」

 リンジーとの前例もあり、アルドリッジは性的なことに興味がないわけでも経験がないわけでもないが、展開が早すぎる上に一向に疲れが取れずそんな気分になりようがない。

「いや…ちょっと…何がした…う…」

 そんな気分になりようがなかったアルドリッジも、ウッラの舌が亀頭を舐め始めると、そんな気分になってきてしまう。

 何より性行為の経験は何度かあっても、口淫の経験はなかった。

 ウッラは亀頭を舐めるだけでなく、唇をすぼめ竿をゆっぐりと扱きながら、その動きに合わせて舌が届く箇所に舌を這わせる。

 強ばっていたアルドリッジの身体から力が抜ける。始めて舌で性器に奉仕される快感を知り、何をしたいのかは分からないがこのまましばらく舐められていてもいいかと思い始める。

 ウッラは頭を動かしながらアルドリッジのペニスを舐めていく。その口の端から涎が垂れ、じゅるじゅると音が立ち始めるとウッラはペニスから口を離す。

「・・・お前なんで柔らかい?きもちよくないか?」

「あ・・・いや、それはたぶん…」

 しっかりウッラの舌で快感を覚えてはいたが、身体の疲れが勃起を許さずアルドリッジのペニスは萎えたままだった。

「ずっと寝ててメシも食ったのにまだつかれてるか?セイシ出さないと味みれない」

「そう言われても…味見の意味も分からないし」

「よし」

 ウッラは寝具の上に立ち上がり、横になっているアルドリッジの上に向きを変えて仁王立ちになった。

「お前わたしの尻嗅ぎたいか?」

「・・・は?尻?」

「オスみんな私たちの尻すき。お前もすき?」

「・・・」

 アルドリッジがどう答えればいいか迷っている間にウッラは元々あってないような物だった僅かな面積の下着を脱ぎ、そのまま腰を下ろしアルドリッジの胸の上にしゃがみ込んだ。そして今度は両モモを抱えて下半身を持ち上げた。

 アルドリッジの目の前にウッラの肛門がある。


「鼻とどくか?こうもんくんくんしろ、そしたら硬くなる」

 ウッラはアルドリッジに匂いが届きやすいようにひくひくと肛門を収縮させる。改めて嗅ぐまでもなく、押しつけられた尻の谷間に顔が埋まり、ただ呼吸をするだけでウッラの肛門の臭いが鼻に入ってくる。野性的な身なりのせいでアルドリッジは強烈な匂いを予想し覚悟をしたが、意外なほどウッラの肛門は穏やかな匂いを発していた。匂い自体は決して弱くなく、何かの発酵を思わせる酸味のある匂いが呼吸の度に鼻の奥を突くが、むせ返るような悪臭ではなく苦もなく嗅ぎ続けていられる。

「・・・くん…くんくん」

「嗅いでるか?わたしの匂いきらいじゃないか?」

「くんくん・・・うん、まぁ…」

 鼻が肛門にあるため、必然的に口は性器の下にある。アルドリッジが喋るとその声が性器にも伝わる。

「お前もわたしの味みるか?わたし、おいしいぞ」

 アルドリッジは自分だけ奉仕され一方的に受け身になるのも嫌だと思い舌を伸ばす。鼻はぴったりと肛門の窪みはまっているが、口と性器には距離があるためアルドリッジは舌先がとどく場所が何処か良く分からないままちろちろと舐め始める。時折塩気と酸味が混ざった粘性の液体の上を舌先が通過するため、ウッラが既に膣液を分泌していることが分かる。

「・・・ふふ♫みろ、舐めてないのに硬くなった。やっぱりオス私たちの尻の匂いすき♫」

 ウッラの目の前でアルドリッジのペニスは勃起していた。ウッラの言うとおりまだ舐められておらず、本当に肛門を嗅がされて勃起してしまったことにアルドリッジは尻の下で顔を赤くする。

 ウッラは改めて目の前のペニスをぱくりと頬張った。

 先ほど同様唇と舌で、竿と亀頭に丹念に奉仕していく。

 ぺろぺろと裏筋を舐める刺激がアルドリッジにはまだ強すぎると分かると、舌では表や左右を刺激し、上唇で優しく裏側を擦る。

「う・・・うぁ・・・は、はぁぁぁ…」

 ウッラの口に咥えられてしまうとアルドリッジは自分の舌を動かすことは忘れてしまい、結局一方的にウッラの奉仕を受けることになってしまっていた。

 呼吸の度に自動的に酸っぱい肛門の匂いを吸い込みながら、アルドリッジは完全に身体の力を抜いてウッラの舌舌で与えられる快感に身を任せていた。

「は、はぁ…はぁ…うくっ…あ、あの、えと…ウッラ、だっけ?その…もう、出そうなんだけど…い、いいの?」

「へーひへほうは?あひへひーほ」

 アルドリッジが射精間近だと知ると、ウッラは竿を舐めるのを止め、すぼめた唇でちゅぽちゅぽと亀頭だけを扱き始めた。その間舌先はもうじき精液が飛び出してくる予定の尿道口を刺激し続ける。

「うっ…あっ、あっ・・・っ…あぁぁぁっ!!!」

 アルドリッジは勢いよくウッラの口の中に放出した。

 口淫に関係なく射精自体がずいぶん久しぶりなので、量も多く濃度も濃い。

 1度勢いよく射精しても残りが何度かに分かれて放出されていく。

 しかしウッラはペニスから口を離さず、全て口内で受け止めていく。

「う、あ・・・はぁ、はぁ・・・はぁぁ・・・」

 射精の為に一旦力んでいたアルドリッジの身体から力が抜け、全て出し尽くしたことを伝える。

「・・・もむもむ・もむ」

 ウッラは口の中に大量に溜まったアルドリッジの精液を飲み込まず、顎と舌を動かして口の中で転がし、文字通り味を見ている。

「もむもむもむ…もむ・・・んっ、ごくんっ」

 よく味わった後、ウッラはそのまま精液を飲み込んだ。アルドリッジを振り返った顔には笑みが浮かんでいる。

「うん、よかった。お前種なしじゃない、子供作れる」

 女傑族であるバパナに男の部族民はいない。

 種馬として各自が気に入った男を攫ってくるか説得して妊娠するまで性交を繰り返しながら村に滞在させる。仮に1回の性交で妊娠したとしても、子供の性別が女だと分かるまで最低でも10ヶ月は解放されない。

 攫ってきた場合監禁されることになるが、男よりも体格がいいものの、美人揃いであるバパナ族の女と長期間快楽に耽ることが出来るため、自分の意志で留まる者も少なくない。ただし産まれた子供が男だった場合もう1度最初から子作りをすることになり、更に解放期間が延びることになる。

 バパナ族の集落はマジャリとニチェの国境付近に広がるヤクハナの森の中に何カ所か点在しており、その中に老いた女の部族民だけが暮らすメノパジャと呼ばれる集落がある。

 産まれた子供が男児だった場合その村に送られ、幼少期から戦士として育てられる。

 それでもバパナの全集落に10歳以上の男は存在せず、一定の年齢に達した男子達がどこに送られているのかは公表されていないが、ニチェの騎士団には浅黒い肌の強力な戦士が在籍するための枠が常設されている。

 バパナの女達は精液の味でそこにしっかりと子種が含まれているかどうか分かる。

 昔から何故か種を貰うなら赤毛で心優しい男が一番だと言い伝えられていたが、そうそう同じ条件を兼ね備えた男が見つかるはずもなく、大抵の女達は単に好みの容姿をしている男を選んでいた。

 しかしいくら好みでも繁殖が目的である以上、最初に味見をして種なしだと分かると直ちに放り出される。

 アルドリッジはウッラの口淫試験に合格し、既に6日間村に滞在していた。

 監禁されているわけではなく、自分の意志で。

 当初はすぐに村を出ようと考えていたアルドリッジだったが、味見以降四六時中ウッラに張り付かれ、その状況で機会を伺いながら一日、二日と経っても一向に疲れが回復せず、それならばいっそのこと徹底的に回復するまで留まろうと考えを変えていた。

 一時的な不調だと思い込もうとしていたアルドリッジだったが、目を背けずに倦怠感と向き合うと心当たりは一つしかなく、しばらくは機巧術、延いてはそれに付随する抽出封印術等もしばらく使わないことにした。

 アルドリッジの不調はその予想通り機巧術によるもので、休息を取ろうという考えは間違っていない。しかし魔力や神聖力がそれらを生成できる遺伝情報を細胞内に有し、そこから湧き出るエネルギーを使用できるのと違い、機巧術は使用者を構成している原子そのもののエネルギーを使用している。

 細胞から生成されるエネルギーなら食事で回復できるが、それ以前の根本的なエネルギーは純粋に身体の成長でしか回復しない。

 アルドリッジは数日休めば回復するものと高を括っているが、数日分のごく僅かな成長で立て続けに気功術を使用した分のエネルギーが回復するはずもなかった。

 ウッラはアルドリッジに逃げ出す様子がないため監禁の必要はないと考えていたが、まだしばらく村の中を自由に歩き回らせる気はなかった。

 アッザ達が連れ帰った赤毛の少年をウッラが気に入り、味見にも合格し子作りに入ったことは他の部族民にも既に伝わっている。

 食事なども仲間が運んで来てくれるため排泄以外で外に出る必要がなく、監視も兼ねてウッラはアルドリッジに割り当てた部屋に入り浸っていた。

「アルもう出ないか?じゃあ休ませてやる」

 膣内に放出された精液を溢してしまっては意味が無いため、ウッラは膣をギュッと締めながらゆっくりと腰を浮かせる。既に固さを失っているペニスは膣から解放されるとすぐにくにゃりと倒れる。

 アルドリッジは最初に味見のために口で奉仕されて以降は、全て膣内に射精させられていた。アルドリッジに動く気力がないため、ウッラの方が寝転んだアルドリッジのペニスの上に跨がり、自ら腰を上下させる。幸か不幸かアルドリッジの回復には射精程度の消費では何の影響もないほど時間が掛かる。

 精液がしっかりと子宮に入り込むようにウッラは自ら足を抱えて尻を上げ、性器や肛門を天井に向ける。

「アル、足もて」

 アルは起き上がり、手を放したウッラの腿ごと背中側から抱くように下半身を支え、二つの穴が下を向かないように手伝わされる。

 結果、またも肛門が目の前に位置する。

 もしもこの数日の性交で運良く妊娠していたとしてもウッラ自身がそのことに気づけるまでまだまだ日数を要するため、それまでアルドリッジを含め種馬に選ばれた男達は毎日精液の量に関わらず勃たなくなくなるまで搾り取られる。

 ウッラは肛門をひくつかせてアルドリッジを誘う。また勃起してしまうと性交が始まるため、アルドリッジはぱくぱくと開閉する肛門を無視し、代わりにその少し先にあるクリトリスをつまんだ。

 アルドリッジはウッラが自分との性交で大して快感を得ていないことは分かっていた。第一の目的が子作りであるためか気を使っているのか、或いは子供と認識している相手にに端から期待していないのか、ウッラはそれを表には出さないが、食事から性交まで全て相手任せでその上快感すら与えないというのは、望んでその状況に身を置いたわけではないにしろ多少の後ろめたさをアルドリッジに感じさせていた。

「おっ?」

 つままれたクリトリスがぴくりと跳ねる。ウッラのクリトリスはアルドリッジが肥大前の大きさを知っているパトリスやイングリッドのクリトリスに比べかなり大きく、既に人差し指の先ほどの長さがある。

「そこいじりたいか?」

「うん、ウッラがイクとこまだ見てないから見てみたいな」

「ふふ♫お前わたしイかせたいか?ふふふ♫いいぞ、そこであそんで」

 ウッラは肛門を動かしていた力を移動させ、クリトリスをピクピクと動かす。

 アルドリッジは膣液を潤滑剤代わりに指ですくい、くちくちとクリトリスをこね始める。

 ここしばらくそれどころではなかったが、バーマ内を移動中は散散ヘザーやミルドレッドを弄んできたため、クリトリスの扱い方は良く分かっている。

 自然に育っているウッラのクリトリスには張り詰めた硬さがなく、触り心地のいいほどよい柔らかさが残っている。

「お~♫お前指ちいさい、きもちいい♫」

 ウッラのクリトリスの大きさが種族の特徴なのか自慰によるものなのかは分からないが、ウッラの手に比べかなり小さいアルドリッジの指は細かい部分まで刺激を与えられることが出来、ウッラを喜ばせる。

 触った際の反応でどこがより好きな箇所か分かり、そこを中心に刺激を与えている。

「ん~♫お前の交尾は気持ち良くないけど、これはきもちいい♫」

 気をよくしたウッラはとうとうはっきり言ってしまい、アルドリッジは少しだけ傷ついた。

 一方の指で先端をくるくると撫でながら、時折根元に向かってクリトリスの背中をさする。もう一方の指は常に裏側を擦り上げ続ける。

 射精された精液が溢れないように締まっていた膣が緩みだし、収縮する度に中に溜まっている2種類が混ざった白い液体が顔を覗かせる。

「ん~♫…ん~♫…お前イクとこみたいか?わたしもうイクぞ?」

 アルドリッジ指の中も、ウッラの身体自体もビクリと跳ね、膣が締まった拍子にとぷんと精液があふれ出てしまう。

「…ふぅ~~~っ…イった♫…お前いじるのうまい、これからもクリトリスであそんでいいぞ♫」

 ウッラはイったばかりのクリトリスをぷるぷると振るわせて喜びを現す。

 アルドリッジはまだ指を放さず、ちらりと壁を見る。視線の先にはこの部屋に運ばれて以来一度も中を見ていない鞄が置かれたままになっている。

 ウッラと寝食を共にしているため、鞄、取り分け中に入っている四つの箱を確認することが未だ出来ないでいた。

 読心具の確認をしただけで馬車以降何もされていないヘザーやミルドレッド、絶頂出来ずに快感を与えられ続け苦しんでいるとは思うものの首都に戻るまでは用がないパトリス達3人はともかく、当初2、3日様子を見て1度安全を確認しようと思っていたイングリッドは、既に10日近くクリトリスを拷問され続けている。

 ただしアルドリッジがこの時気になったのは封印箱ではなく、同じく鞄にしまったままになっている性魔法薬だった。

 体調が戻るまで機巧術を使う気もなければウッラを封印する必然性もないが、封印しない状態でウッラのクリトリスにイングリッド製の鋭敏薬を使用してみたらどうなるだろうかと、アルドリッジは好奇心をかき立てられた。

 アルドリッジは目を開け、ゆっくりと寝具から降りた。

 日中絶えず外から聞こえている女達の声は消え、代わりに所々から微かにいびきが聞こえている。

 今現在集落にはアルドリッジ以外にも種馬としての滞在を強いられている男達が何人かいるが、わざわざ皆が寝静まった後に性交をするという文化はなく、どの女達も食事や洗濯、仕事の準備と同じ位置に交尾を置いているため夜は一様に眠りにつく。

 この10日ほどでウッラの眠りが深いことを知ったアルドリッジは寝ている間にウッラのクリトリスに鋭敏薬を塗ってみることにした。起きている時ではなんと切り出せばいいか思いつかない。

 音を立てないように鞄を漁る。中で唯一微かに振動を続けている箱に指が触れる。中ではイングリッドがクリトリスに激痛を与えられ泣き喚き続けているはず。

 そのイングリッドが錬金術によって作り出した3種の薬の容器はどれも形が同じで、中の薬そのものの色が違っていなければどれがどれなのか分からないところだった。

 アルドリッジは蝋燭の火で薬の色を確かめ、薄い青以外の薬瓶を鞄に戻す。

 吸引管を兼ねている蓋に薬を吸い上げ、ウッラの尻側に回る。アルドリッジの方を向きながら横になって寝ているため滴を落としにくいが、厚めの割れ目をくいと開いてしっかりと包皮から顔を出しているクリトリスにぽとり、ぽとりと薬を落とす。

「うぅ~ん・・・」

 寝返りまではしなかったが、下半身の何処かに何かを感じたウッラが眠りながら尻を搔く。鋭敏薬は浸透した箇所の神経の感度を高めるがそれ自体が刺激を与えることはない。

 アルドリッジはクリトリスに3滴薬を落とした時点でふと気づいた。

 封印箱に出会って以降クリトリスばかりと関わっていたため視野が狭くなっていたが、封印されていない相手を鋭敏化させるなら何もクリトリスにこだわる必要はない。

 アルドリッジはもう一度鋭敏薬を瓶から吸い取り、今度は膣の中に流し込んだ。

「ん~~~・・・」

 今度ははっきりと前に何かを感じたらしく、ウッラが腿の付け根を搔く。

 イングリッドが作成した薬の効果がどれほどのものなのか分からないこともあり、アルドリッジはひとまず満足し薬を鞄に戻した。

 そしてまたゆっくりとウッラの横に戻る。

 翌日、目覚めた直後からウッラの様子はおかしかった。

 用を足しに行ったり朝食を食べたり、身体を動かすと時折驚きが含まれた甘い声をあげ、不思議そうに下半身を気にする。

 元凶であるアルドリッジにはその反応だけで鋭敏薬が効果を発揮していることが分かった。

「アル~、早くしろ、もうするぞ」

 鋭敏化されたクリトリスに割れ目の肉が当たる度に、膣壁同士が擦れ合う度に何故か快感を感じて仕舞うことを不思議に思いながらもウッラはしっかりと朝食を食べ終え、休む間もなくアルドリッジに交尾を迫りだした。

 ウッラもこの10日間でアルドリッジに自ら動く気が無いことが分かっているため、さっさと押し倒して勃起させるために口に咥え、舐め始める。

 くねくねと尻を振りながら、早く勃たせようといつもより素早く舌を動かす。

 アルドリッジが勃起すると、既に膣液が腿に伝うほど焦れ始めていたウッラは唾液で濡れたペニスの上に素早く跨がり、そのまま躊躇無くストンと腰を下ろす。

「おぁぁぁぁっ!?」

「いっ、いててててっ!」

 一気にペニスを膣で銜え込んだウッラは大きく背中を仰け反らせる。完全に枕に後頭部を付けていたアルドリッジはあまりに強くペニスを締め付けられ、思わず上半身を起こした。

 起こした上半身に弓ぞりになったウッラがその反動で倒れ込み、アルドリッジはすぐにまた頭を枕に付けた。

「はうぅぅ~♫今わたしイった♫」

 ウッラは膣でペニスを咥えたままアルドリッジに体重を預ける。そのまま腰だけを小さく上下に動かし、何かを確かめようとする。

「あおん♫あおっ♫…ん~きょうすごくきもちいい♫なんでだ?」

 胸の辺りから目を覗き込まれ、アルドリッジは思わず逸らす。

「・・・さぁ?でも気持ちいいならいいんじゃない?」

「うん、いい♫お前がうごいたらもっといい♫」

「う~ん・・・」

 アルドリッジは悩みながらものしかかっているウッラを押しのけ、改めて上半身を起こした。

 まだ若く成長の途中だからからこそアルドリッジには回復の余地があるが、人間でもツワグでもある程度年を取り成長が止まった後では機巧術に使用されたエネルギーは決して回復することはなく、その状態で使い続ければやがて死に至る。

 相変わらずアルドリッジは疲れを感じ続けているが、薬が効いている今のうちならペニスででもウッラをイカせられ、受け身一方だった負い目を払拭できると考え、始めて自分から動いてみることにした。

「じゃあお尻こっち向けて。あんまり激しくは出来ないけど」

 ウッラは喜んで俯せになり、アルドリッジに向けて大きな尻を突き出した。その性器の濡れ具合を見るだけでも薬の効き具合が分かる。

 アルドリッジは揺れる尻を掴み、ゆっくりと膣内にペニスを差し込んでいった。

「おぁぁぁっ♫おあぁぁぁ~~~っ♫」

 目に見えてどころか、掴んだ手の平に隆起を感じるほどウッラの尻に鳥肌が立っていく。

「はおぉ~っ♫きょ、きょうほんとにきもちいい♫はやくうごけぇ♫」

 きゅうきゅうと膣の収縮でせがまれ、アルドリッジは腰を動かし始めた。

 集落はちょっとした騒ぎになった。

「おうぅぅっ♫おうっ♫…イクぅぅっ♫イクっ!イクぅぅぅっ♫」

 防音効果が一切無い簡素な部屋からウッラの嬌声が漏れ聞こえてくる。

 アルドリッジに割り当てられた部屋に限らず集落の家はどれも同じ造りで、交尾中の仲間の喘ぎ声など聞き慣れているバパナの女達も思わず驚いて足を止めてしまう。

「あれ、ウッラの声か?」

「族長のあいて、子供じゃなかったか?」

「大きいのかな?すごい声」

「あの子供、アタリだったか?」

 女達は仕事をしながら族長のよがり方についてクスクスと噂話を始める。

 大昔、正真正銘女傑族としての集団だった頃には国同士から個人間の争いにまで女戦士として雇われ生計を立てていたバパナ族も、長らく平和が続いている現在では自分達で採取、栽培、採掘した品々を各地に売り歩き、戦闘集団だった当時より豊かな生活を営んでいた。

 森で魔法従事者達に重宝される稀少植物や生物を採取、栽培し、集落を東西に挟んでいる山では鉄や宝石、更に金などの稀少鉱物を採掘する。

 遺伝的に屈強な性質は戦闘以外にも役に立ち、採掘はもちろん大量の荷物も少人数で積み降ろすことが出来るため、大量の売り荷を扱う小規模の商隊をいくつも組み一斉に各地に売り歩くことが出来た。そして荷物を狙われたとしても自分達で撃退できる。

 村に残っている女達は採取等に出ている仲間達の分の家事をこなしたり、女児はメノパジャに送られないためその面倒を見たりしている。

 部族の性質が変わってからは族長の選出基準も変わり、最も強い者から最も売り上げが多いものが選ばれる。そのため村で唯一の役職はころころと移り変わり、昔ほど経緯は払われない。

 族長といえど子供相手に壁を突き抜けるほどよがらされては笑われながらお喋りの話題にされてしまう。

「はぁ…はぁ…う、ウッラは疲れないの?」

 朝から性交を始め、何度も射精を終えているアルドリッジの精嚢は既に空になっていた。

「つかれてない、ずっときもちいい。もっとしろ♫」

 元々疲れているアルドリッジとウッラでは体力の容量に大きな差がある。その上ウッラは膣でならイった直後でもそれほど粘膜が敏感にならない質なのか、快感を得られている間は何度でも求めてくる。何度イっても快感を得られるようにしてしまったのはアルドリッジ自身の悪戯のせいなので、せがまれると断れない。

 膝で立ちウッラの尻に腰を押しつけていたアルドリッジはとうとう寝具の上にぺたんと腰を下ろす。

「こ、ここからは指でもいい?」

「いいぞ、指でも。もっとイキたい♫」

 ウッラは肘を曲げて上半身を寝具に突っ伏し、一層高く尻を上げアルドリッジに見せつける。

 前日まではペニスを抜かれても中身が溢れないようにしっかりと締められていた膣がだらしなく開き、子作りという名目で注がれたはずの精液がトロトロと流れ出ている。

 自分の精液に触れるのが嫌でもあり、膣ではもう十分絶頂を得ているはずなので、アルドリッジは薬を落としたもう1カ所をつまむ。

「うひぃっ♫そっちかぁ♫」

 アルドリッジにクリトリスを弄られ始めるとウッラはじっとしていられず、大きく左右に尻を振ってしまう。

「ちょっと、そんなに動かされたら触ってられないんだけど」

 アルドリッジはウッラの尻をぴしゃりとはたく。

「だってかってにうごくぅ。中よりもっときもちいい♫」

 昨夜薬を膣に流し込んだ量とクリトリスに落とした量に殆ど差はなかったはずだが、元々の感度が違う為より強く効果が現れている。

 少し強めに、ウッラの大きな尻の肉に指が沈み込むように掴みながらアルドリッジは改めて下向きに勃起しているクリトリスを刺激し始める。

「あうんっ♫んっ♫んあんっ♫ひっ♫」

 尻を高く上げて差し出しているため、最も敏感な裏筋が最も弄りやすい箇所がになっている。ウッラは寝具に敷かれている布をギュッと掴み、肛門をきゅっと締めて動かないように努めようとする。アルドリッジもクリトリスがずれないように両手を使ってこりこりと刺激を与える。

「おあんっ♫あっあっ!ん~~~っイクっっっ♫」

「おぷっ!?」

 何とか絶頂に達した瞬間ウッラは逸らしていた背を思い切り伸ばし、アルドリッジは突き出された尻で後ろに吹き飛ばされた。

「はぁぁぁ♫もっとして、アル。たりない♫」

 アルドリッジは尻で倒されたまま起き上がろうとしない。腰とペニスを使ってウッラの要求に応えるよりもクリトリスを弄った方が楽だと考えたが、当てが外れた。

「・・・動き過ぎなんだよ、ウッラ。やりづらくてしょうがない」

「だってかってにうごく♫きょうはどこもきもちい♫いっぱいイカないともったいない」

 ウッラはこの日たまたま自分の感度が奇跡的にいい日だと思っていた。

 しばらく前のアルドリッジならそこまで言うならとウッラを封印し、無抵抗なクリトリスを指なりビラチーナなりで徹底的に責めてやったはずだが、今は出来ない。

 ウッラは蕩けた性器と肛門をアルドリッジに差し出して再会を待っている。

 いきなりクリトリスと膣に使ってしまわず、1滴だけクリトリスに垂らして効果のほどを確かめればよかったとアルドリッジは後悔した。

「お前指でイかせにくいなら、こうする♫」

 ウッラは身体を起こし、アルドリッジの顔の上に跨がった。

「これなら大丈夫♫・・・吸って♫」

 ウッラは腿でアルドリッジの頭を挟み、クリトリスを唇に押しつける。

「はわっ♫あぁぁ~~っ!これいいっ♫」

 アルドリッジは言われたとおりクリトリスを咥え、ちゅうちゅうと吸いながら舌先で舐めていく。

 確かに尻は安定したが、自分が出した精液と混ざった膣液が顎から首に向けて流れていくのが気になる。

「ああっ!イクっ!すぐイクぅぅっ♫」

 安定してしまったウッラは立て続けに絶頂に達していく。

 ウッラの声や匂いでアルドリッジはいつの間にかまたペニスを屹立されていたが、ウッラは気にすることなく自分の快楽だけに集中していた。

 その後もアルドリッジはウッラが眠りにつくとこっそり起き出しクリトリスに鋭敏薬を塗っていった。

 アルドリッジは食住が確保されているこの場所に回復するまで滞在するつもりだったが、子供を作らせてやる気など更更なかった。既に何度も膣内に射精してしまっているため手遅れの可能性もあるが、ウッラをイかせ続けてやれば子作りから気を反らせることが分かったため、アルドリッジは効き目が切れないように毎夜薬を追加していった。

 初日に効き過ぎを実感したので以降は膣には使用せず、クリトリスに1滴垂らすだけに留めておいたのだが、何故か日ごとにウッラの感度は増していった。

 アルドリッジは知らなかったが、ビラチーナの鋭敏液ですら本体を外して時間をおくと効果は次第に消えていくにもかかわらず、イングリッドの鋭敏薬は1度で永続的に効果が続き、その上追加する度に効果が重複していった。

「あうぅぅぅ~っっ!!イクぅっ!イクイクぅっ♫♫っっはぁぁぁ~~~・・・♫」

 初日と、その後3日薬を追加し、4日目になってウッラがイキながら失禁を始めたため、漸くアルドリッジはイングリッドの鋭敏薬に対する自分の認識に間違いあることに気づき、使用するのを止めた。

 アルドリッジが勃起していてもウッラが膣内への挿入を求めなくなったのは思惑通りだったが、代わりに食事も忘れるほどクリトリスへの愛撫を求めてくる。

「はやくっはやくっ、わたしがイっても休むな。ずっとくりくりしろっ♫」

 ウッラはアルドリッジに絶えずクリトリスへの刺激を求めるが、決して自分で慰めようとはしない。

 子作りを目的として連れてこられた場所に子作りをしないで滞在しなければならないため、アルドリッジはウッラの要求に応えるしかなく、舌や指を使い無心で奉仕し続ける。

「おあぁぁ~~~んっ♫イクぅぅぅ~~~っ♫」

 日増しに大きくなる族長の嬌声は噂話では満足できないほど集落の他の女達の好奇心を刺激し、こっそり覗かれるようになった。

 ウッラの乱れた姿に女達は頬を染めながらも目を離すことが出来ない。

 族長云々ではなく、自分達は目の前のウッラの様に乱れてしまうほど快感を感じたことがないので、何がどうなっているのかと興味津々で覗き続けてしまう。

「交尾してない。そんなにきもちいいのか?ゼンギなのに」

「わからない、子供うまいのか?うまそうにみえないけど」

「クリトリスばっかり。あんなにイったらわたしならいやになる」

 ウッラは気づいていなさそうだったが、アルドリッジは村の女達に覗かれていることに気づいていた。

 尻に顔をうずめて性器を舐めている姿を見られるのは恥ずかしかったが、女達がちらちらとアルドリッジに興味の視線を投げかけてくるのは悪い気分ではなかった。恐らく、そんなに気持ちいいなら自分も試してみたいと思っている。

 ウッラが満足するかクリトリスが擦れて痛みを感じ出すまで愛撫を続ける事も大変だが、それ以前に一層激しく振られるようになった腰の1点に狙いを定め続ける事の方がより労力を要した。

「ウッラ、動きすぎて触りにくいから、もっとして欲しいなら・・・縛るよ?」

「そんなにわたしうごいてるか?・・・でもイかせにくいなら縛っていい♫…ヒモあるのか?」

 アルドリッジは鞄を漁り、余計なものを見られないように気を使いながら、手の平大の赤黒い球を取りだした。

「・・・何だ、縛り虫。お前もってたのか」

 毎夜ウッラに薬を塗っていたアルドリッジは、封印以外でウッラの自由を奪うことが出来るものをイングリッドの別宅から持ち出していたことを思い出した。

 アルドリッジが持って来た拘束生物・バムドハはより精密な命令を実行できるようにイングリッドに改造されていたが、そもそものバムドハはバパナ周辺の森でも採取でき、彼女たちが扱う商品の一つでもあった。売るだけでなく、逃げようとする男達を監禁する際にも使用されている。

「ちょっと色違うな、それ。お前つかいかたわかるか?」

「確か・・・」

 アルドリッジは更に鞄から凝縮魔力の残りを取り出す。イングリッドはバムドハの卵をアルドリッジの頭に乗せた上で魔力を送って孵化させていたが、命令の出し方はわからない。

「おしえてやる。・・・ぷふ♫わたしが縛られるのにわたしが教えてる、ぷふふ♫」

 バパナでは縛り虫と呼ばれ扱い慣れているバムドハの使用法をウッラはアルドリッジに教える。魔法生物ではあるバムドハは魔力を与えられて孵化した際に接触していた相手を餌だと思って巻き付く。相手が魔法使いならそのまま魔力が切れるまで巻き付き続けるが、相手が魔力を持っていない場合は外部から供給し続けてやらないと別の餌を探すため自ら拘束を解いてしまう。

「わかったか?・・・じゃあ縛れ♫どんなカタチがいい?」

 ウッラは寝具に俯せになり、アルドリッジに潤んだ視線を送る。本来バムドハで拘束される場合その体勢はバムドハ次第になる為、ウッラはアルドリッジが動けなくなった自分をイかせやすいような体勢を自ら取ろうとする。

「たぶんそのままで大丈夫だよ」

 アルドリッジはウッラの背に卵を置き、凝縮魔力を与え始める。イングリッドは拘束生物に手だけを背中で縛ったり移動できる範囲を制限する命令を送っていたため、アルドリッジも見よう見まねで縛られた後のウッラの体勢を思い浮かべながら魔力を与えてみる。

 卵が割れ、バムドハは休息に成長しながらウッラの身体に広がっていく。

「おっ・・・おおっっ!?」

 背中から上に伸びていったバムドハの細長い身体はウッラの両腕に絡みつき、生まれ出た場所に戻りながら一つにまとめる。

 下に伸びていった身体は両足に沿って移動し、足首に達すると腿を固定し膝を曲げてぐいと引き付ける。

 かかとが尻に近づくと今度は外側に向けて引っ張り、蕩けている肛門や性器を露わにする。

 最後に弄りやすいように腰をくいと持ち上げさせと、バムドハはアルドリッジの想像通りの姿勢にウッラを縛り上げた。

「どう?出来たよ。・・・動ける?」

「・・・うっ!・・・んむっっ!!」

 バムドハの締め付けが想像以上に強く、ウッラは本気で抜け出そうとしてみる。

 逃げようとする男達を拘束するために長年バムドハを使用してきたウッラ達バパナ族は自分達の力がバムドハの締め付け力より勝っていることがわかっているため、逆に男達に使われ意に反して拘束されることはないと安心していた。

 しかしイングリッドのバムドハはウッラが本気で解こうとしてもビクともしない。

「んくぅっ、やっぱりこれ、何か違う」

 ウッラが本気で身体に力を入れていることは、その度に肉がバムドハの身体に食い込む様からも伺えた。

 アルドリッジは開かれた足の間に座り、つんとクリトリスをつつく。

「あうんっ♫」

 更に、2度、3度とつついてみる。

「んあっ♫ひっ♫」

 触れられる度ににくねくねと蠢き狙いを外してきた尻は動きを封じられ、指先を動かすだけで簡単にクリトリスを刺激できる。

「ホントに動けない方がいいでしょ?・・・すごく弄りやすくなったから、どんどんイかせてあげられるよ♫」

 アルドリッジはこれまでの焦れったさから解放され、差し出されたクリトリスをぷるぷると指先で弾いていく。

「あひゃっ!はひゃひゃひゃひゃっ♫んん~~~~っ♫」

 動かなくなった身体の代わりに刺激に反応した肛門や膣が激しく収縮するが、アルドリッジの指には何の影響も与えない。

 一転して好きなだけ弄べるようになったクリトリスにアルドリッジは休むことなく刺激を与えていく。


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「イくぅっ♫んあぁぁ~~~っ!イクイクイクぅぅぅ~~~っ♫」

 尻に顔をうずめたり両手を使って常に追いながらでなければ愛撫を続ける事が出来ないほど感度を高められて仕舞っているウッラのクリトリスは、一端動きを封じられると指先をこちょこちょと動かし続けるだけで簡単にイかせれれてしまう。

「ひあぁぁぁ~~~っ♫こんなのかぁぁぁ~~~っ♫」

 漸く求めていた絶え間ない快感を与えられ、ウッラは思う存分絶頂し続ける。

 日課のようにウッラとアルドリッジを覗きに来ていた女達は、ウッラのあまりのよがり方に逆に目を背ける。

 アルドリッジはこの日も覗かれていることを承知でウッラに拘束を持ちかけていた。見られていない時に縛り上げてしまうと族長に対して危害を加えていると取られかねないが、見られていながらならウッラが自ら協力して自由を奪われた事を説明せずとも理解して貰える。

「うぅぅぅ~~~ん、もぉいいぃ~~~っ」

 ウッラへの奉仕に余裕が出て来たアルドリッジはクリトリスだけでなく膣にも指を入れ、2カ所を責めながらイかせ続けていた。

 膣内は言うまでもなく、クリトリスにもたっぷりと膣液を塗り込みながら愛撫を続けているため痛みは感じていないはずで、とうとうウッラの方がイクのに疲れて止めて欲しいと懇願を始めた。

 しかしアルドリッジは指を止めない。

「もういいの?今朝まではもっとたくさんイきたいって言ってなかった?」

「もうたくさんイったぁ♫あぁぁっ~っ、イくぅっ!もうイかせなくていぃ~っ」

「イける時にもっとイっておこうよ。ほらほら♫」

「あっ、あああぁっ!もぅくりくりしなくていぃ~っ!!」

 10滴に満たない量の鋭敏薬を塗られただけでウッラのクリトリスはビラチーナの鋭敏液以上に感度を上げられていた。その状態ではアルドリッジがヘザーやミルドレッドのクリトリスから学んだ急所を突かなくても、ただ漫然と指を動かしているだけで好きなだけイかせる事が出来た。

 繁殖目的の交尾を回避できたアルドリッジは出来ればこのままウッラが快楽目的の奉仕にもうんざりしてくれないかと考え、請われても指を止めず徹底的にイかせ続ける。

 既に半月バパナの集落に留まっており、心なしか気分もよくなってきた気がするのでもっと回復だけに専念し、頃合いを見計らって村から逃げだそうとアルドリッジは考え始めていた。

 およそ一月前。シャンニ。

「イングリッド?・・・なぁなぁ、あいつ等どう思う?」

 ダナは同じテーブルで酒を飲んでいた仲間2人に小声でささやく。

「どうって何が?・・・マジャリの奴らっぽいな、でかい2人は」

「あの子供をイングリッドって呼んでたぞ?本物だと思うか?」

「・・・お前もしかして、あのイングリッドのこと言ってんのか?こんな所で酒飲んでる分けないだろ」

「でもな、イングリッドってだいぶ前から子供のままって噂あるだろ?気になるんだよ」

「またご自慢の勘か?イングリッドって名前の小娘なんか世の中にいくらでもいるだろ。小娘が酒あおってるのは珍しいけど」

「・・・ここんとこ町の動物の様子もおかしいんだよ。絶対なんかあると思ってた所にイングリッドだぜ?偶然じゃないって」

「あのなぁ、もし本物だとしたら何だってんだよ。逃げようって言ってんのか?」

 ヘザー達賞金稼ぎの間で共有されている危険人物名簿にイングリッドの名が記載されているように、ダナ達盗族の間でも手を出してはならない人物の上位に大魔法使いイングリッドの名が挙げられていた。

「オレたちが知らないだけでシャンニにイングリッドの隠れ家があるのかも知れないだろ?…ちょっと様子を見てみないか?」

「何年ここに出入りしてると思ってるんだ。そんなもんがあったらとっくに気づいてるよ。…もっとも気づいたところで手は出せないけどな。お前も分かってんだろ?」

「・・・でも、もしアイツが本物で屋敷を見つけられたら、絶対お宝隠してるぜ?欲しくないか?」

「だから本物だったら、俺たち死ぬだろ。過去に何人も同業者が消されてるから手を出すなって言われてるんだよ」

「臆病だなぁお前等、男のくせに。いい加減オヤジの所から独り立ちしたいと思わないのか?イングリッドのお宝なんて手に入れられたらすぐにでも出来るぞ」

「・・・そりゃぁ…まぁなぁ…。でも何もイングリッドを狙わなくても…」

 テーブルの3人の話をしている内に、カウンターの3人は急に席を立ち、店を飛び出していった。

「お、おい!追うぞ、なんかあったんだ」

 ダナも立ち上がりすぐに話題にしていた3人を追う。

「こらこら!・・・くそ、しょうがない。俺たちも行くぞ」

 出遅れた2人の盗賊、ヒューバートとバーナビーは、伝説の大魔法使いイングリッドと偶々酒場で出くわしたなどと言うダナの戯言をまるで相手にしていなかったが、酔って暴走しそうな頭領の娘を放っておく訳にもいかず、やむなく急いで後を追った。

 3人は距離を取りながら3人を追う。

 やがて3人は1人の少年を取り囲んでなにやら揉めだした。

 離れて物陰に隠れているダナ達に声は聞こえない。

 マジャリ人らしき女は少年に縄を掛け、一行は東門からシャンニを出ようとする。

「おいダナ、もういいだろ。なんか揉めてただけだ。戻って飲み直そうぜ」

「ちょっと待てって。なんかありそうなんだよ。もうちょっとだけ様子見ようぜ」

 ダナが物陰から出て引き続き後を追い始めてしまったため、2人は渋々付いていく。

「!?…み、見ろよっ!!やっぱり本物だったじゃないか!」

 門を出てしばらく進んだ地点で突然2人の裸の女が現れると、ダナはそれ見たことかとヒューバートとバーナビーを振り返る。

 実際は2人の女は封印を解かれただけで別段イングリッドが本物であるを証明にはならないが、事情を知らず同じ光景を目にした2人はダナが言うとおり少女をイングリッドと認めた。

「おいおい、本物だったらなおさら戻ろうぜ。危ないって」

「バカ!こんなチャンス滅多にないんだぞ。上手いこと向こうは揉めてるから俺たちには気づかないって。

 ・・・よし、上から追うぞ」

 ダナ達はクハンジャカ山の南側を根城に活動する言わば山賊で、彼女たちにとって上とは山道を意味する。

 馬車が近づいていることに気づいたダナは隠れる場所のない街道での追跡から、使い慣れた山道での追跡に切り替えることにした。

 シャンニ、ムラドハナ間の街道はクハンジャカ山沿いに敷かれており、そもそもダナ達は山の中腹からその街道を監視し、商隊などを襲って生計を立てていた。

 裸の女が縛られ追いついた馬車に乗せられる頃にはダナ達3人は山を駆け上がっていた。

「早く、オレとヒューは追っかけてるから馬取ってこい」

 ダナはバーナビーに命じる。ダナ達山賊は山岳の移動に特化するように交配、調教した小柄な馬を移動手段として使っていた。

 根城から町まで降りてくる際にもその馬を利用しており、人数分の3頭がシャンニ北部の山の中腹に繋いであった。

 止まった馬車から少年が1人だけ飛び出し、南に向かって走り去っていくのをダナ達はしばらく見ていた。

 国境を越え、夜を徹して一行は一行を追い続けていた。既にシャンニでイングリッドの隠れ家を見つけられるかも知れないという期待は当てが外れていたが、盗族の習性として得がないまま引き下がれない。

 揉め事の内容が分からないダナにとっては少年の存在はどうでもよく、あくまで狙いはイングリッドだった。

 一時間経ち、二時間経っても馬車が動く気配どころか、客車に入っていった2人の女が出てくる様子もない。

 相手がイングリッドである以上下手に近づくことは出来ないが、3時間待ったところでダナはしびれを切らし、2人を伴って斜面を下っていった。

 離れた場所で馬を下り、通行人を装って馬車に近づく。

「オレが通りがかった親切な人間の振りして様子見てくるから、何かあったら助けろよ?」

 イングリッドから誰かを助ける術など持っていないと思いながら、ヒューバートとバーナビーは頷く。

「ちょっとぉ~?中の人ぉ~?さっきから止まってるけど何かあったぁ~?」

 ダナは外から声を掛けながら近づいていく。

「何かあったんなら手を貸そうかぁ~?」

「よ、よかった。こっちだ!手を貸してくれ!」

 馬車の中から女の声が聞こえてきた。

「はいは~い、今行くからぁ~。何かあったぁ?」

 客車の扉を開いたダナの目に床に倒れている2人の女が飛び込んでくる。検問所で鎧に着替えた2人が騎士であることは既に承知していた。

 その鎧が接着、というより元々その形状だったかのように変形し2人の動きを封じていた。

「なんだこれ?・・・なんでこんな事になってんだ?」

「すまないが君、馬は扱えるか?扱えるならこのままニラマーヤまで連れて行って欲しい。無理なら誰か人を…」

 客車内で倒れている2人、キトリーとギャエルはアルドリッジに封印されてから数時間、何度か自力で鎧を脱ぐことが出来ないかと試行錯誤していたが、最終的に鍛冶屋に頼るしかないという結論に達していた。

 幸か不幸か馬車内にいるため、このまま運んで貰える。シャンニに戻った方が近いが、マジャリ内の町に連れて行って貰った方が何かと都合がいい。

「馬は扱えるけど…それ脱げないの?」

「脱げないんだ。扱えるんだな?じゃあ頼む、礼はするから」

「ふ~ん、脱げないんだ。・・・ところで、おかしな事にはなってるけどその鎧って、もしかして聖女騎士?」

「!?・・・そ、そうだ…恥を忍んで頼む」

 助けを待っていた二人の元に漸く現れた男子のような女の子がマジャリの人間なら白い鎧が聖女騎士のものだと気づいても不思議はない。それよりも醜態を晒しているのが聖女騎士だと気づかれてしまったことに二人は恥じ入る。

「ふ~ん、聖女騎士・・・。お~い、あんた達!こっち来て大丈夫だよ!」

 ダナは待機していたニューバートとバーナビーを呼び寄せる。

 怪訝そうに近寄ってきた二人も車内の様子を見て眉をひそめる。

「なんだこりゃ?どうなってんだこの鎧。・・・いや、それより他の3人はどこ行った?」

「!?」

 キトリーとギャエルは顔を見合わせる。偶然通りかかった人間が元々馬車内に他に3人がいたことを知るはずがない。

「お前達…何者だ!?」

「盗族よ。パサパシって言う。・・・騎士は騎士でも聖女騎士様じゃ盗族団の名前なんて知らないだろうけど」

「えっ?…おいおい、聖女騎士なのか?この二人。・・・そういえばむちゃくちゃになってるけど聖女騎士の鎧っぽいな、これ」

「そうなんだよ、儲けもんだろ?…それよりお二人さん、こいつの言うとおり他の3人はどこ?それとその内一人はイングリッドで間違い無い?」

 盗族という身分を明かされたことにより、二人は一気に緊張した。

「…そこまで分かってるという事は、私たちを監視していたのか?・・・いつからだ?」

「今のってイングリッドが混ざってたって認めたのと同じだよな?」ダナは口を上向きに歪めてヒューバートとバーナビーを見る「な?わかった?オレの勘当たるだろ?」

「・・・いないけどな。で、どうするつもりだ?」

 キトリーとギャエルが聞きたいことを代わりに小娘の仲間が尋ねる。

「そりゃもちろん、これはこれで頂いとくだろ?上手いこと動けない上に馬車まであるんだし」

「・・・鎧をって事じゃないよな?聖女騎士の鎧ならかなり高くさばけるだろうけど、こんなになってたんじゃな」

「鎧の中身に決まってるだろ。高く売れるぞ~♫」

 盗賊達の会話を聞いていたキトリーとギャエルの顔は蒼白になっている。

「お、お前達、まさか私たちを…」

「売るよ♫あんたら美人だし聖女騎士だし。運が悪かったねぇ・・・といってもそもそもは俺たちの仕業じゃないけど。で、誰の仕業こんな事になってんの?」

 二人は口をつぐむ。この状況を打開する策はないが、自分達を売り飛ばそうとしている相手が知りたがっていることを教えてやる理由もない。

「・・・教えてくれた方はここに残してやっていってもいいけど?オレが追ってるのはあくまでイングリッドだし」

 二人は一瞬顔を見合わせ、やがて目をそらす。

「売られた方はどうなるかなぁ?ま、どう考えても性奴隷だろうなぁ。マジャリ嫌いの魔法使いなんかに買われたら何をされるか・・・」

 キトリーはゴクリとツバを飲み込む。しかし口を開いたのはギャエルだった。

「何があったか教えれば置いていってくれるのか?」

「お、おい!ギャエル、何を…」

「・・・すまない」

 経験があるキトリーと違い、完全な処女であるギャエルは性奴隷にされる可能性に絶えられなかった。制止するキトリーを振り切りダナ達が見ていないところで何が起こったのかを説明してしまう。

「・・・ふ~ん、じゃ結局あんた達もイングリッドと裸の女2人がどこに消えたのか知らないって事か。でもあんな子供があんたらをこんな風にしたなんて信じらんないなぁ。嘘ついてない?」

「嘘じゃない!私たちを監視してたならあいつが1人で立ち去ったところを見てるはずだ!」

 ギャエルの言うとおり、その時点ではダナは気にも留めていなかったが、馬車から立ち去ったのは赤毛の少年1人だった。

「あの赤毛がなぁ・・・。そもそもあの裸の女2人は何なんだ?どこから出て来た?」

 ギャエルは更に封印についても口を開く。

「箱から?・・・意味が分からないなぁ・・・ま、いいや。あの赤毛を捕まえれば分かるだろ」

 ダナは馬車から降りる。

「そういうことだから、オレはこのままあの赤毛を追っかけるよ。あんた達はこの2人を運んで」

「!?お、おい!約束が違うぞ!」

「はぁ・・・ホント名前通り純粋なんだなぁ聖女騎士って。そんな約束守るわけないだろ。ちゃんと仲良く売り飛ばしてやるよ」

「ぐっ・・・ぐぅ・・・」

 ギャエルは目に涙を溜めてうつむく。一方キトリーはギャエルに対する怒りを静め、身を寄せて慰めようとする。

「1人で追う気か?そりゃまずいって。どっちかが付いてかないと」

「それに、どこに売るんだ?この2人。オヤジには…」

「バーカ!オヤジになんか報告するわけないだろ。この2人は西に売るんだよ。西にあんたらのどっちかが1人で向かうのと、オレ1人でガキ追っかけるのとどっちが危ないんだ?」

「西ってお前…まさかバロ…」

 そこまで口にしてバーナビーはヒューバートに頭をはたかれる。

「う…すまん。・・・と、とにかく俺たちに西に連れてけってのか?この2人を」

「そう。というか聖女騎士なんか西にしか売れないだろ。その辺の女を売るんじゃないんだぞ」

「行きたくねぇなぁ…。オヤジの伝手無しに話付けられるのか?」

「オレが手紙書いてやるよ。代理人にも何回かあったことがあるし」

 盗賊達の話を聞いていたキトリーとギャエルは心底青ざめていた。マジャリ以外のことには疎い聖女騎士だが、盗賊達の言う西が何を意味するのかは分かった。

「ギャエル…さっきのことはもういい。こいつ等二手に分かれるみたいだから、どっちかが馬を操ってどっちかが私たちを監視するはずだ。検問所に着いたら大声で助けを呼ぶぞ?この際恥は捨てよう」

 裏切ってしまったキトリーに声を掛けて貰い、ギャエルは力強く頷く。西に向かうと言うことは来た道を引き返すことになる。

「・・・じゃ、頼んだぜ。一応アニチャヤで5日くらい待っててくれよ。追いつかなかったら先に行っていいけど、たぶん2日もあれば赤毛捕まえてイングリッドの居場所吐かせられるだろ。隠れ家が分かりそうだったらそのまま探すけど、無理そうだったらお前等と一緒に西に行くから。いいもの拾ったからそこまでイングリッドを深追いする必要もないし」

 ダナは馬車から馬を一頭外した。ここから先は平地を移動するため、自分の山岳馬では都合が悪い。

 馬に跨がったダナはそのまま赤毛の少年が向かった南へ馬を走らせ始めた。

「・・・大丈夫かよホントに。はぁ、俺たちも行くか」

 ヒューバートはキトリーとギャエルを運ぶため御者台に座った。

 キトリーの予想は外れ、バーナビーは自分達の山岳馬三頭を連れて馬車の後に付いていく。

 ただしキトリーとギャエルの口にみっちりと布を詰め込んで縛り、更に目隠しもした後で。

助けを呼ぶ術も視界も奪われた純粋な2人の聖女騎士は、盗族がバカ正直に検問所を通ってバーマに戻るはずがないことも考慮していなかった。

 アルドリッジがバパナの集落に留まって丸1ヶ月が経過した。

 体調は確実によくなっており、少なくとも何もする気が起きないような倦怠感はなくなった。結局ウッラの発情は治まらず毎日満足するまで絶頂を求めてくるが、気怠さがなくなったおかげでそれほど苦ではなくなった。

 クリトリスだけでない生身の女の味や匂いを楽しむ余裕も出て来て、今ではウッラの肛門や膣を弄りながらでも食事を取ることが出来た。

 バムドハで縛り上げてしまえば感度が上がっているウッラのクリトリスをイかせる事は至極簡単で、早ければ午前集には満足行く回数の絶頂を与えられる。その後嫌がるウッラを更にイかせ続けていじめるかどうかは気分次第だった。

 しかし問題も二つある。

 バムドハに魔力を与え続けた結果シャンニで購入した凝縮魔力が底を突きかけている事と、感度が上がった状態の自分の身体に慣れ始めたウッラが本来の目的である交尾を思い出してきたこと。

 凝縮魔力は集落にも蓄えがあるので分けて貰えるかも知れないが、拒否されて拘束できずに力尽くで交尾を再開されると屈強なバパナの女には抗えない。

 アルドリッジはいよいよ集落を出る事を決めた。

 逃げるそぶりを全く見せなかったことにより、アルドリッジはある程度自由に集落内を歩き回ることを許されていた。ただしウッラと共になら。

 やはり集落内は浅黒い女達ばかりだが、時折アルドリッジのように女と共に外を歩いている他の種馬も見かけた。

 外を出歩いているだけあって集落の生活を気に入っているらしく、人目がある場所でも女のほぼむき出しの尻を撫でたり揉んだりと、恋人の様に振る舞っている。そんな彼らでも女児が誕生すれば問答無用で村から放り出される。

 村は森の木を故意には切り開かず、自然に空白地帯になっている場所に作られていたため住居が点在しており全体像が把握しにくい。

 アルドリッジは散歩をしたり山から水を引き入れている洗濯場兼浴場で身体を洗う。

 既にウッラの痴態は村中に知れ渡っている為、仕事をしている女達はちらちらとアルドリッジに向けている。

 それほど厳しい掟には縛られていないバパナにも”雄を共有しない”という最も古くから守り続けられている不変の掟があるため、たとえ興味を持っても他の女達はアルドリッジを味見してみようとはしない。

 どの建物もアルドリッジに割り当てられているような枠組みと藁だけの簡素なもので、族長であるウッラの家ですら大きさが違うだけで同じ造りだった。簡単に作れるため部屋が複数必要な場合、建物自体を増やすらしい。言わば村自体が一つの家で、その中に個別の部屋が設けられているようなものだった。

 その中に一つ、気になる場所があった。

「あそこは何なの?」

 アルドリッジが指さした方向には唯一、小さいが藁ではなく石造りの、どことなく違和感を感じる建物があった。

「あれは宝物をしまっておくところだ」

「宝物?…ってどんな?」

 山で掘り出された宝石の原石や稀少金属は全て売り物にしてしまうため、バパナの女には飾りっ気がない。

「いろいろ入ってる。困ったときにつかうものとか」

「困った時?・・・気になるな、見ていい?」

「バカいうな。わたしたちも用がないと入らないのに」

「ふ~ん・・・外からならいい?」

 アルドリッジは別段その建物にも中身にも興味はなかったが、暇はつぶしたい。近づくこと自体はウッラに止められなかったため、2人はその建物に向かって散歩を続ける。

「・・・ん?・・・・・!?」

 建物に近づくと、アルドリッジはその不自然さに気づいて言葉を失った。遠くから見ている時にも違和感を感じていたが、それは単に藁の建物の中に一つだけある石造りの建物対してだと思っていた。

 その建物が石で作られているのは間違い無かったが、どこにも継ぎ目がなかった。切り出された石を積み上げられたのでも、煉瓦でもなく、一つの巨大な岩から掘り出された彫刻のような建物だった。にもかかわらず真四角ではなく少し高い位置作られている入り口に上るための階段や、屋根のひさしまで作られている。

 アルドリッジはウッラの許可を得ることなく無意識にその壁に触れてみる。

「!!??」

 その宝物庫を見た誰もが一枚岩から削り出された建物として驚きを感じるはずだったが、アルドリッジは違った。

 その予感を確かめるべく壁に触れたアルドリッジは、その建物が機巧術によって作られている事を理解した。

 天然の鉱石や木材を解析した時のような乱雑さが配列になく、整然とした何者かの意志を感じる。織物を解析した時に近い。

 アルドリッジの驚きをウッラは建物自体への驚きだと思っている。

「・・・こ、これっていつからあるの?」

「ずーっと昔からある。びっくりしたか?すごいだろ?」

「だ、誰がつくったの?これ」

「ええと…ずっと昔の種馬?よく分からない。これつくった雄だけは、しぬまで村にのこった」

「・・・やっぱり中見たいなぁ…ダメ?」

「中はダメだ」

「・・・中見せてくれたらまたここ弄ってあげるんだけどなぁ」

 アルドリッジはウッラの尻の割れ目に手を滑り込ませ、狭い下着の上から肛門をつつく。

「う♫・・・そこをか?・・・う~ん・・・」

 クリトリスばかりを愛撫するのに飽きたアルドリッジは数日前、例によってウッラが眠っている間、その肛門にも鋭敏薬を注入していた。

 クリトリスや膣とは違い元々の感度が低い箇所なので最初から5滴ほど使ってみたところ、ウッラの肛門は並の性器ほどに感度を上げられていた。

 アルドリッジは下着をずらし、直接その入り口に指を押しつけ撫でてやる。

「うぅん♫…見せたらまたこうもんで交尾してくれるか?」

「うん、してあげる。…ちっと見るだけでいいから」

 アルドリッジは身体がある程度回復したこともあり、1度ウッラの肛門で性交を試していた。感度が上がり直腸の摩擦で十分絶頂に達せられるほどの快楽を得られるだけでなく、膣以上に自分の意志で収縮を操り刺激を調整出来るため、ウッラはたった一度で肛門での性交を気に入っていた。

「・・・みんなには言っちゃダメだぞ?」

 ウッラは短い階段を上り、入り口の窪みに指を掛ける。

 何者かに因る機巧術製の宝物庫には入り口が1カ所あるのみで、扉も石製だった。

 ウッラが拘束生物を解いてみようと試みた時のように力を入れると、寝具の上で性器を蕩けさせて喘いでいる姿からは想像できない、隆々とした筋肉が全身に浮かび上がってくる。

「うぐぐっ」

 扉に鍵はない。しかしアルドリッジのような華奢な子供は言うまでもなく、並、或いは並以上の力を持つも者でも1人では動かせない分厚い石の扉を、ウッラはゆっくりと1人で開いていく。

「・・・ふぅ、お前ならこれでとおれるだろ。わたし外見てるから、お前早く見て早く出てこい」

 アルドリッジはウッラが開けてくれた人1人分ほどの扉の隙間から素早く中に入る。中は暗く、機巧術で作られている以上灯りは入り口から差し込む日の光しかない。

 外から想像した以上に中が狭く感じるのは、それだけ壁が分厚いことを意味する。

 目をこらして安置されている品々を見る。

 外からの光りを反射してまず目に付くのは多くの武具類だった。身体に纏う防具はあまりなく、剣や槍、盾など手に持って使う物が多い。困った時と言うのは誰かに責めてこられた時のことかとアルドリッジは納得しながらも、どの武具も新品同様なのが気になる。

 他に何か、宝物庫を作った人物に関する手がかりがないかと室内を見回りながら、何気なく立てかけられていた槍に触れたアルドリッジはまたしても驚き目を見開く。

 触れた槍も機巧術で作られていた。

 しかもただの金属ではなく、抵抗石で。

 アルドリッジは他の武具にも片っ端から触れ、確認していく。いずれも抵抗石で作られていた。

 武具類は新品なのではなく、何年何十年、或いは何百年前に作られていたとしても新品同様に劣化していないだけだった。

 発見されたところで相応の設備がなければ加工出来ないため、少なくともマジャリ内で抵抗石が発見された場合は発見者が直接か、覚えをよくしたい地方の権力者や商人が一旦購入した後王室に献上される。他国で見つかった場合はより純粋に商取引として売り買いされ、最終的にマジャリ王室に集まってくる。

 各地で極希に極僅か発見されマジャリ王室に集めらている抵抗石は主に聖女関連の神具として使用、保管されているが、もしも大量所有し、それらを簡単に加工出来る技術を持つ者がいるとしたら、この宝物庫にあるように武具に加工してしまうのが最も効果的な使い方だった。盾は剣や弓どころか魔法も通さず、剣や槍は逆にどんな防具も魔法での防御も貫く。

 かつて機巧術者がバパナ族と関わった際に何らかの理由で力を貸してやり、その礼に特例として定住を許されたのか、定住を許された礼に術者が力を貸したのかは分からなが、仮にこれだけの抵抗石製武具を提供し、部族全体の強化に貢献したのなら、男でありながら唯一特例を認められても不思議ではなかった。

 アルドリッジは既にこの宝物庫が大事に守られていることに納得していた。同時に頻度は分からないが、ツワグとやらが滅びた後でも機巧術を使える者が時折歴史の中に現れていたことも知った。

 短時間で十分に驚かせて貰ったアルドリッジは外に出ようとして足を止めた。

 ウッラは中に保管されている物を宝と称していたが、財宝の類いは見当たらず、武具類の他にも一見するとただの農具や楽器、延いては機織り機らしき物など、普通に考えれば厳重に保管する必要のない物ばかりだった。

 しかし、確認すると必ずしも抵抗石で作られた物ではなかったが、いずれにも機巧術の痕跡が残っており、アルドリッジは要するにこの保管庫はかつて村で暮らしていた機巧術者がその能力で作り出した品々を保管してある場所だと結論づけた。

 その箱はそれら武具以外の品がまとめられている一角にあった。

 手の平に乗るほどの大きさの箱が目に飛び込んで来た瞬間、アルドリッジの心臓がどくんと脈打った。

 アルドリッジは瞬間的に浮かび上がってきた想像に言いしれぬ恐怖を感じ、手にとって確かめてみるのを躊躇った。

 ウッラにも小屋がいつからあるか分からないらしかったが、300年以上生きているイングリッドがあれほど珍しがった機巧術の使い手が、数十年程度の周期で現れるとは思えない。

「まさか・・・ね」

 アルドリッジは恐る恐るその小箱を手に取る。施錠術の類いは掛けられておらず、蓋は簡単に開いた。

「・・・・・ふぅ、そりゃそうか・・・」

 箱の中にアルドリッジが想像した物は生えておらず、空だった。安心しながら他の保管物同様念のため解析する。

 その瞬間、頭の中に大量の何かが流れ込み、アルドリッジは気を失った。

 昔。まだ母も健在で、熱い工房で溶けた鉄を様々な形に加工していく父の背中も見える。

 自分もあんな風に何か作ってみたいと見よう見まねで粘土を捏ねていた頃。

 アルドリッジはある日玩具を貰った。相手の顔はよく覚えていない。幼いアルドリッジから見ても背の低い赤毛の男。

 立体的な嵌め絵の玩具はどうなれば正解なのか分からなかったが、その動き自体が面白く長い間気に入って遊んでいた。

 その玩具をなくした頃、アルドリッジは金属を捏ねて遊ぶようになっていた。

 忘れていた出来事を思い出させ、夢はそこで変わった。

 遙か昔。戦場で傷ついていたバパナの戦士を赤毛の男は小箱を使って助けた。

 傷が癒えやがて族長となった戦士は行く当てのない男を村に留めた。

 雄を置くことに反対していた仲間達も男が作る様々な道具の恩恵を受け、いつしか受け入れていた。

 老いた戦士が息を引き取った頃、赤毛の男も姿を消し、小さな箱が残されていた。

 知らない出来事を伝え、夢はそこで終わった。

「あ、起きた」

 目が覚めるといつもの寝具の上に寝かされていた。ウッラが顔を覗き込んでいる。

「お前、よくたおれる。・・・びょうきなのか?」

 普段基本的に朗らかなウッラが眉をひそめている。精液の味見で子種の有無は確認できても、病気は発見できない。アルドリッジを心配すると言うより、子種にも病気が及んでいるのではと心配している。

「・・・いや、病気って訳じゃないよ・・・それより、どのくらい気を失ってた?」

 最初にバパナ族に拾われた際には4日ほど眠ったままらしかったので、まずはそれが気になった。しかし今回はウッラが中で倒れているアルドリッジに気づき部屋に運ぶまでの時間しか気を失っておらず、胸をなで下ろす。

「…ウッラはあの建物の中にある物のこと全部知ってるの?」

「う~ん、だいたいはしってる」

「俺が倒れてた所に箱が落ちてなかった?」

「?…お前なにか落としてきたのか?めんどうだぞ、それ」

「いや、落としてない落としてない。気を失った時に何か倒しちゃってないかなって思っただけ」

 間違い無く落としたはずの箱をウッラが見つけていないと言うことから、アルドリッジは自分が意識を失う間際見たものが幻でなかったと確信した。

 あの箱は機巧術で作られていてもただの箱でしかなく、今となっては本来何が収められていたのか知る術はないが、少なくともアルドリッジに取っては宝物庫の中で最も、更に鞄の中の4つの箱よりも重要なものだった。

 左右に拡げた尻の中心に顔を近づけ、アルドリッジはすんすんと鼻を鳴らす。そんな効果まではないはずだが、感度を上げられた肛門は心なしか匂いも強くなっているように感じる。

 拘束生物に拡げられた尻の肉の間の穴を両手の親指で更に拡げられると、ウッラは協力するかのように肛門から力を抜き、桃色の壁面までアルドリッジに見て貰う。

 機巧術の後遺症から完全に回復しているアルドリッジのペニスは既に硬直しており、その先端を肛門に充てがう。

 もういつでも村を出て行けるが、これ以上揉め事を起こし追っ手を増やしたくないため、できる限り穏便に立ち去る方法を思いつくまで、ウッラで楽しむことにした。

 僅かな愛撫で十分に潤滑剤になり得るだけの腸液を分泌しだした肛門に、アルドリッジはゆっくりとペニスを挿入していく。柔らかく大きいウッラの肛門を気遣ってではなく、一気に突き入れると強すぎる刺激に反応してギュッと締まり、挿入した方が痛みを感じることを既に経験している。

「おぁぁぁ~~~~ん♫」

 肛門への刺激でもやはりウッラの尻は鳥肌を立てる。力みさえしなければ特にほぐされてもいないにも関わらず容易くペニスを飲み込んでいく。

「ウッラ、おしりの穴に入れられるのそんなに気に入った?」

「気にいったぁ♫こうもんきもちいぃ~♫」

 深く考えて肛門に鋭敏薬を使った訳ではなかったが、結果的にアルドリッジに取ってもウッラが肛門での性交を気に入ってくれたことは好ましかった。

 肛門でならいくら射精しても子供が出来ることはない。

 アルドリッジは挿入時とは裏腹に、激しく腰を動かし始める。

「あいぃぃっ!?あひゃっ♫んにっ♫…っあっ!ひぃぃぃ~~~っ♫」

 ペニスで直腸を擦られ始めるとウッラはアルドリッジのために肛門を緩めておくことが出来ず、ぎゅうぎゅうと締め付け始める。アルドリッジもそれが分かっており、締まりで動きが阻まれないよう最初から激しく腰を動かす。

「んんっ♫んーっ♫あうっ、あうっ、あうぅぅぅ~~~っ♫」

 摩擦だけでなく締める行為自体からも快感を得られ、クリトリスや膣を同時に刺激せずともウッラは肛門だけで絶頂に達することが出来た。

 ウッラが幾度か肛門でイっている間もアルドリッジは腰を振り続けるだけで中々射精に至らないが、我慢しているわけではなく単に締まりが強すぎる。

「ウッラ、子供かしてくれ」

 入り口が開かれ、アッザが顔を覗かせる。ウッラが大きな嬌声を上げ始めた当初は入れ替わり村の女達に覗かれていたが、それが半月も続くと皆慣れてしまい、耳には届いてもわざわざ覗こうとする者はいなくなっていた。

 バパナの女達は用があると毎回無遠慮に入り口から顔を覗かせて声を掛けてくるが、各部屋の扉は全て藁で作られているためノックの習慣が生まれなくても無理はなかった。

 もしも性行為の最中だったとして女達に取ってはお互い様で、見慣れているので気にも留めない。

 しかし今回、ウッラは縛られてよがりながら、肛門でペニスを受け止めているところを見られてしまった。

「あうっ!!」

 拘束されている姿はともかく、肛門で感じている姿を見られてしまったのはウッラも流石に恥ずかしいのか、慌てたように強く引き締まった肛門に搾り取られる形で、アルドリッジは腸内に精液を放出した。

「な、なんだ?あ、後でいいか?」

 ウッラは浅黒い顔を赤く染めながらアッザの目の前で腸に熱を感じている。その間もきゅうきゅうと肛門を締めているのはペニスを抜かれるとアッザの前で更に肛門から精液を吹き出すところまで見られてしまうため、今は抜くなというウッラなりの合図だった。

「あ、後でもいいけど、すぐ済む」

 思いがけず族長の肛門性交を見てしまったアッザの方も頬を染めている。

「子供、カジヤだろ?あとでかしてくれ」

「・・・なにかあったか?」

 ウッラは肛門にペニスを入れられたまま、立ち去らないアッザと会話を続ける。

「トロッコちぎれた。早くなおさないとこまる」

「えっ!?あれちぎれたか??それまずい」

 ウッラは急に族長の顔になり、縛られていることを忘れ思わず起き上がろうとした。その拍子に肛門からペニスが抜けてしまう。

「あうっ!?」

 一瞬族長に戻ってしまったウッラは思わぬ刺激に反応して腹に力を込め、ぶぴゅりと腸液と混じって色が付いた精液を拭きだしてしまう。

「あ・・・」

 仲間達と共に一時期はウッラの痴態を覗いていたアッザも、族長が肛門から精液を吹き出す姿には思わず目を逸らす。

「あわわ…わ、わかった。後でいくから外でまってろ!」

 ウッラはアッザを追い出し、アルドリッジに拘束を解くように頼んだ。これを機会にバパナにノックの習慣が生まれるかも知れない。

 拘束生物から解放されたウッラはアルドリッジの前で肛門から注がれた精液を出し切り、服を着る。

「・・・お前、カジできるか?」

 アッザ達はアルドリッジが折れた車軸を直す場面に遭遇しているが、族長であるウッラが行商に出る事はなくそこにはいなかったため、気を失っているアルドリッジをお土産として渡される際に話を聞いただけだった。

「鍛冶…出来なくはないけど…」

 回復はしたものの、機巧術の特性を理解したアルドリッジは今後不用意に力を使うのは止めておこうと心に誓っていた。

 村から出る際ウッラを封印して持ち去ることは決めているので、その前に体力を消費してしまうような協力は出来るだけしたくない。

「バパナには鍛冶職人いないの?」

「・・・研ぎ師ならいる。でもトロッコは直せない。お前は出来るだろ?」

「いや、道具がないなら俺にも…」

「お前何も使わなくても馬車なおせた。ゼンニンだろ?」

「いや、善人と思ってくれるのはありがたいけど、あれは別に道具を使うほどの壊れ方じゃなかったから直せただけで…」

「お前ゼンニンじゃなかったのか?・・・なんだ。がっかり」

 ウッラが目に見えて落胆したため、機巧術を使いたくないが為に嘘をついたことをアルドリッジは心苦しく感じた。

「トロッコゼンニンじゃないと直せない。・・・子供もゼンニンの子じゃない」

 腹を撫でながらウッラがつぶやき、アルドリッジの背に冷たい物が流れる。村を出る際ウッラを封印しようと決めた理由がそれだった。もうしばらく様子を見なければ妊娠しているか否か確証は持てないが、自分が立ち去った後自分が知らないところで自分の子供が生まれ育てられる可能性を残したまま村を出ることは、自分自身がまだ子供だと自覚しているアルドリッジにはとうてい出来なかった。

 封印してしまえばその間中の人間が年を取らないことは分かっているので、ウッラには悪いが自分が大人になるまで箱の中に居て貰おうとアルドリッジは考えていた。

 それとは別にアルドリッジはもう一つ引っかかる事があった。

「善人しかトロッコを直せないってどういう意味?ちょっとくらい意地の悪い鍛冶屋でも直せると思うんだけど?」

「?…何言ってるお前?私たちのトロッコとくべつ。ゼンニンのカジヤしかなおせない」

「・・・ウッラ達の言う善人って何?いい人って意味じゃないの?」

「ゼンニンはゼンニンだ。手だけでいろいろ作ったり直したりするヤツ」

「!?」

 アルドリッジは漸く食い違いに気づき驚いた。宝物庫の中を見る前ならもっと驚いていたはずだが、かつて分裂戦争の頃この集落で機巧術者が暮らしていたことが分かっているので、閉塞的な集団の中でその頃の逸話が薄れながらも300年伝え続けられてきていたとしても不思議ではない。

「そういうことか・・・」

 アルドリッジは驚きよりも腑に落ちることの方が多かった。村の中で見かける他の種馬たちは皆かなり年上で、自分のような子供の種馬は全く見かけないにも関わらず、バパナの女達が”赤毛のゼンニンを好む”という理由だけで族長の相手に選ばれたことを滞在中ずっと不思議に思っていたが、ウッラ達が自分をかつて村に恩恵をもたらした赤毛の機巧術士と同じ種類の人間だと思っていたのなら納得出来る。

 納得すると同時にゼンニン、機巧術者でなければ直せないというそのトロッコの壊れた箇所には恐らく抵抗石が使われているのだろうと言うことも推測できた。

 機巧術で消費されるエネルギーは一様ではなく、物質の密度によって異なる。石と鉄なら鉄、鉄と金なら金、そして圧倒的に密度の高い抵抗石ともなるとエネルギーの消費も当然激しく、アルドリッジが道で倒れるまで憔悴してしまったのはイングリッドを封印する際何度となく抵抗石に機巧術を使用したことが最大の要因だった。

 今のアルドリッジはそれらを理解しているためただの鉄ならともかく、抵抗石の修理など行いたくはなかったが、この後族長を奪ってしまうことになる為、最後に自分も一つくらいいいことをして村を去ってもいいかも知れないと思い始めた。

「・・・いいよ、分かった。とりあえずそのトロッコの所に連れて行ってよ。直せそうだったら直してあげる」

「おぉ!ホントか?じゃあやっぱりお前ゼンニンなのか?」

「まぁ・・・そうだね。両方の意味でゼンニンだよ」

 この先アルドリッジが知る機会はないが、かつて族長と村を助けてくれた赤毛の男は善人、善き人としてバパナ族の間で伝えられているわけではなかった。

 繕人、繕う人としてかつての機巧術士は今もウッラ達の中に残っていた。

 それから数時間後にはアルドリッジはアパタタに向かう馬車の中に居た。

 アルドリッジの予想に反し、トロッコは抵抗石製でも機巧術製でもなく、ただの金属と木材で作られていた。ただし軌条は抵抗石で作られており、壊れているのもその軌条だった。トロッコは山の中腹にある採掘坑の入り口から平地の集積場まで長く引かれているが、考えてみればいくら丈夫で長く使えるとは言え、掘り出した重い鉱石を運ぶのにその鉱石以上に重い金属でトロッコを作るより、軌条を抵抗石で作った方が理にかなっている。

 案内された箇所の軌条はそこだけ掴んで引きちぎられたかのように一部分だけが抜け落ちていた。

 抜け落ちた部分がなくなっていたら面倒な事になっていたが、バパナの女達も抵抗石の希少性は知っているらしくしっかりと破損した破片も取り置かれていた。

 アルドリッジはその破片を調べてみる。

 山から平地まで何キロも続く軌条の他の部分は長年使い続けられ汚れてこそいるものの、まだ殆ど劣化をしていないにもかかわらず、一部分だけが極端に破損してしまったことをアルドリッジは不思議に思っていたが、解析してみるとすぐに理由が分かった。

 抵抗石はほぼ完全な鉱石ではあるが、中に僅かに含まれる不純物を触媒にして加熱し続けることで人間でも加工出来る程度には不完全でもある。

 破損箇所は不運にもその不純物の含有量が多かった。

 軌条が敷かれたのは機巧術士が村に滞在していた分裂戦争の頃のはずで、そこから現在までの何処かの時点で抜け落ちた破片の一方に亀裂が入ったが、超硬度と延性のなさののおかげで気づかれることなくそのまま何十年、何百年と使い続けられ、とうとう今日もう一方が限界に達し抜け落ちてしまった様だった。

 思ったほどの損傷ではなかった為アルドリッジは軌条を直してやることにしたが、この状況を村を出る口実にも使えないかと考えを巡らせ始めた。

「どうだ?なおせるか?」

「・・・直せるけど…これ直したら俺またしばらく動けなくなるかも知れないよ?」

 アルドリッジは機巧術の副作用についてウッラに伝え、疲れている間は子種が作られないと大嘘を付け加える。

「なに!?それこまる。せっかく久しぶりにゼンニンみつけた。お前の子供ほしい」

「ちゃんと子種が出来るまでキコ…ええと、ゼンニンの…特別な場所で休ませてくれたら回復するんだけど」

「そんなところがあるのか?」

 アルドリッジは首都ムラドハナに近い、記憶にある村の名前を適当に告げる。

「とおいぞ、そこ。そこでどのくらい休めばいいんだ?」

 あまり長く言うと村を出して貰えないのでは考え、アルドリッジは1ヶ月と伝える。

「1ヶ月か…そのくらいなら・・・」

 ウッラは破損箇所に集まっていたアッザやマィィ、他の女達となにやら相談を始めた。

 途中アッザがウッラに肩を叩かれ驚いたように見えた。

「よし、アル、そこ行くぞ。アッザが族長になったからわたし村でれる」

 ウッラ、アッザ、マイィの3人は数期前の行商で最も多くの売り上げを計上した同じ班に所属しており、その中で一番年上のウッラがそれだけの理由で族長に選ばれていた。

 族長は村から出ることが出来ない為ウッラはアッザに地位を譲り、自分でアルドリッジを存在しないゼンニンにとっての特別な場所とやらに連れて行くことにした。

「お前なおったら、馬車の中で子作りしながら帰る♫」

 アルドリッジは願い通り穏便に村を出ることが出来、ウッラと2人で一旦アパタタを目指していた。

 赤毛の小僧など2日ほどで見つけられると豪語して仕舞ったダナは引くに引けなくなり、未だマジャリ内を探し歩いていた。深追いはしないと仲間に告げてはいたものの、深く追う以前に追いつくことすら出来ず、予定を一日、二日と過ぎていく内にバーマでの待ち合わせ期日も越えてしまい、既に改めて西に向かい始めてしまっているはずの仲間に手ぶらで追いつくのは誇りが許さなかった。直接は言われなくとも、影で間違い無く1人では何も出来ない小娘扱いされる。

「赤毛の?あぁ~あの兄ちゃんか。泊まってたよ、ここに2、3日。知り合いかい?お嬢ちゃん。礼も受け取らずに消えちまって皆残念がってたんだ。会ったらまた寄るように伝えてくれよ」

 赤毛の小僧が立ち寄ったらしき小さな農村まではたどり着けたが、そこから先はどこに向かったのか全く分からなかった。

 すぐに追いつけると思っていたダナは馬車で捕獲した2人の聖女騎士に小僧の行き先の心当たりまでは聞いておらず、農村からそのまま南に向かったのか、首都方向の東へ向かったのかも分からない。

 馬車を発見した地点から南下し最初に見つけた村には何の痕跡もなく、ダナはその次にダムタに移動し小僧を探してしまっため、それだけで十日ほど無駄な時間を使ってしまった。

 実はその時点であきらめてヒューバートとバーナビーに合流しようと考えていたダナだったが、西へ戻る途中で小さな農村を発見し、そこで下手に赤毛の小僧の痕跡を見つけてしまったため一層断念しきれなくなってしまった。

 しかし半ば意地になりつつ追跡の継続を決めたところで次にどこを探せばいいか見当もつかないダナは、南ににしろ東にしろその中間にあるアパタタに向かってみることにした。

 アパタタに到着して早々、ダナはいつものようにほどほどに金を持っていそうな相手から滞在費を調達した。

 ダナ達盗族にとって金は稼ぐ物ではなく、直接盗むか、盗品を換金して得る物だった。

 しかし今回は運がなかった。

 手頃な婦人の手提げ鞄から硬貨袋を擦ったが、直後に防犯術が作動しダナは魔力錠によって手足を捕らえられ思い切り前に倒れた。


 きーきーと喚く婦人によってすぐさま治安兵が駆けつけ、ダナはそのまま逮捕されてしまった。

 勘の良さが自慢のダナだったが、今回の追跡行脚は最初から少年の立ち寄り先を外しており、ここに来てとうとう盗族として活動をするようになって以来始めて官憲に拘束されるに至った。

 更に勘は外れ数日分の滞在費は持っているだろうと手の伸ばした婦人の硬貨袋には夕食の準備分のお金しか入っておらず、運にはこれ以上見放されずそのおかげで微罪で済んだ。

 ダナは主にバーマとマジャリを行き来する盗族団パサパシの首領の娘で正式な国籍はなく、手形も持っていなかったため本人が申告した通りバーマ人として扱われ、聴取と簡易裁判が即日行われた結果15日間の無料奉仕を言い渡された。他国の人間を微罪で禁固刑に処し税金を使って食事を与え続けるよりも、無料奉仕で一応の罰を与えつつ食事代も自分で稼がせた方がいいと判断された。

 ダナは就寝時だけ牢獄に入れられ、それ以外は町の清掃やアパタタ周辺の農村から運ばれてくる農作物集荷場での運搬作業などの力仕事を割り当てられ、しくじった自分に腹を立てながら奉仕期間をやり過ごした。

 10日間の刑期が終わり無一文のまま放り出されたダナはうんざりし、赤毛の小僧の事も大魔法使いの事も忘れてパサパシの隠れ家に戻ることにした。今からヒューバートとバーナビーを追っても到底追いつけない。

 南門から出て川沿いの厩舎に預けておいた馬を引き取りに向かう途中、馬車に追い抜かれた。

 町に滞在する用があり、且つその間馬を世話する御者がいない場合は当然誰しもが町の厩舎に馬を預け世話して貰う事になる。

 抜いていった馬車もダナの視線の先で速度を落とし、ゆっくりと厩舎内に消えていった。

 厩舎に着くとダナは入り口に向けていた軸足をきゅっと反転させ通り過ぎる。小走りで入り口から距離を取ると、しゃがんで地面近くに設けられている換気窓から中を伺う。

 浅黒い大女と赤毛の少年が馬番に馬車を預ける手続きをしている。

 ダナは撤退を撤回し、2人の後を付けていくことにした。

「あ~きもちわるい」

 長らく行商に出ることなく、馬車に乗るのも久しぶりで且つアルドリッジの言うゼンニンの保養所とやらに早く到着するためにどこの村にも町にも寄らず馬車を走らせ続けていたウッラは馬車の振動に酔ってしまい、一日だけアパタタで休息を取ることにした。

 身なりからは中々想像できないがバパナ族は裕福なので、ウッラは町で一番広く奇麗な宿に部屋を取った。

 部屋に入ると服を全て脱ぎ去り全裸で寝台に寝転がる。空腹でもあったが、自分が馬車に酔っていることが分かっているウッラはこのまましばらく休み、気分がよくなってから町に繰り出そうと考えていた。

 アルドリッジは違った。

 ウポレのとある村を発って以来徒歩での旅を続けていたアルドリッジは今回初めて自由な状態で馬車に乗り、その疾走感を大いに楽しんでいたため馬車に酔うという発想自体がなく、浅い知識を元にウッラの不調を妊娠によるものだと思い込んでいた。

 そのためムラドハナまでまだ距離はあるが、馬車を使っての旅はここまでと決めた。

 裸でうとうとし始めたウッラを部屋に残し、アルドリッジは必要な素材を探すために外に出た。

 鞄の中にまだ抵抗石のインゴットは残っているが魔法使いでないウッラを封印するのには必要なく、何かの時のために取って置いたがらくたも既に使い切っていた。

 何より自分の子供を妊娠しているかも知れない相手をがらくたで作った箱に封印するのは気が咎めた。

 ウッラの硬貨袋から金貨を何枚か抜いてきたため十分に予算のあるアルドリッジは町の雑貨店から手頃な金か銀製の何かを購入し、それを加工した箱にウッラを封印するつもりだった。

 警備まで雇っている高級宿にはダナも忍び込むことは出来ず、しばらくして1人で出て来た赤毛の小僧の後をありがたく追わせて貰う。

 小僧は街中をうろつき、雑貨屋を見つけると中に入っていった。

 離れた山道から見ただけなので漸く見つけたこの少年が自分が探している小僧と同一人物なのかまだ確証はない。いつの間にかとにかく赤毛の小僧を見つけるという事に固執し本来の目的を見失いかけていたが、ダナが本当に探しているのは大魔法使いイングリッドであって少年はその情報を持っている可能性があるだけに過ぎない。

 なぜか聖女騎士から聞いた話には出てこなかったバパナの女と一緒にいたため、迂闊に行動を起こしてこれ以上アパタタで面倒を起こしたくない。

 少年は雑貨店で何かを購入したらしく、袋を抱えてまた宿に戻っていく。

「よぉ、お前。お前もあそこに泊まってんのか?」

「?・・・そうだけど?」

「俺もなんだよ。高いよなぁあそこ。1人で泊まってんのか?」

「…いや…まぁ…1人かな」

「・・・へぇ、じゃあ1人旅でもしてんのか?俺もなんだよ。どこに向かってんだ?」

 アルドリッジは馴れ馴れしく喋りかけてきた少年のような少女と話しながら宿に戻る。部屋にウッラがいるため鍵は預けておらず、そのまま2階へ向かう。

「・・・シグロイだけど、君は?」

 ダナはシグロイという地名に聞き覚えがなく、答えに窮する。聞き覚えがないという時点で大きな町ではないため自分の目的地もそこだと合わせるのは無理がある。

「…俺はムラドハナに…」

「!…へぇ、何しに?」

 面倒そうに対応していた少年が足を止め、目を見て聞き返してきたためダナの方も驚いてしまう。無難に首都の名を上げただけだが、シグロイとやらも首都方面なのかも知れない。

「え~と、ちょっと人を訪ねに…」

「そっか・・・君も1人旅って言ってたよね?歩き?」

「いや、馬でだけど?」

「!…馬に乗れるんだ。じゃあ馬車も扱えたりする?」

「?…まぁ、あんまりでかいのじゃなければ…」

「ふ~ん…まだしばらくここに泊まってるの?」

「…後何日かは」

 連れを装って堂々と宿に入りつつ探りを入れるために喋りかけた自分の方がいつの間にか尋ねられる側になっており、ダナは少年を警戒する。

「じゃ、俺こっちだから」

 2階の廊下でダナは一旦少年と別れることにした。曲がり角に隠れて少年の部屋を確認すると。その両隣の部屋をノックする。

 幸いどちらの部屋にも宿泊客はいないらしく、ダナは常に肛門の中に忍ばせている細い筒を取り出し、その中に入っている金属の串を使って客室の鍵を開ける。

 壁に耳を当てると、隣の部屋の音がかすかに聞こえてきた。

「どこ行ってたアル。腹へったから飯くいにいきたいのに」

「ごめんごめん、ちょっと待ってて」

 ただ馬車に酔っていただけのウッラは既に殆ど回復していたが、アルドリッジの考えは変わらず購入したばかりの銀製の宝石箱に抽出封印術と送心術を施す。ありがたいことに雑貨屋に他の四つの箱とほぼ同じ大きさの手頃な箱が売っていたため、形状の加工で消費される分の労力を浮かすことが出来た。

「ウッラ、ちょっとこれ見てみて」

 アルドリッジは箱を手渡す。術を施したばかりの銀製の箱ではなく、長らく鞄の中に入れたままになっていた箱の内の一つ。元々同じ形だった上、1ヶ月手つかずだったので読心術で話してみないとヘザーとミルドレッド、どちらの箱なのか最早判別はつかない。

 ウッラはためらいなく箱を受け取り、蓋を開く。

「・・・なんだこれ?」

 ウッラは更にためらいなく箱の中に生えている赤い珊瑚をつつき、思ったような感触でなかったことに戸惑う。

「なんだこれ?…かたくない・・・ん?…ん?…ん?・・・これクリトリスじゃないのか???どうなってる???」

「さっき外出たら売ってたんだよ。面白いと思わない?」

「うってた?これをか?・・・これどうなってる?カラダはどこだ?」

 ウッラは突然見せられた意味不明の物体に疑問を抱きながらもつつくのを止めない。更につまんで揉んだり引っ張ったりし、本物のクリトリスなのか確かめようとする。

 ウッラを封印するのに罠は必要なく、既にどちらかを封印している箱を渡す代わりに銀の箱を渡してもよかったが、封印された後自分がどのような状態になっているのか理解しやすいように、アルドリッジは先にクリトリスが既に生えている箱を見せた。

「中に女がいるのか?何でこれかった?出してやりたいのか?」

「そうじゃなくて、ウッラもこういう風になってみない?たぶん面白いよ」

「わたしがか?いやだ、おもしろそうじゃない」

「そう?…こうやって・・・」

 アルドリッジはウッラがつまんだままのクリトリスに指を伸ばし、さすり始める。

 ヘザーにせよミルドレッドにせよ、1ヶ月以上何の刺激もないまま放置されていたため、久しぶりに感じる指の感触にすぐにふるふると震え出す。

「ほらほら、女同士だからこのクリトリスが気持ち良くなってるの分かるでしょ?」

「う、うん・・・」

 クリトリスは大きく育てられてはいるが、それが旧ビラチーナを20数年被せられていたヘザーの物だったとしても既に鋭敏効果は無くなっている。

 アルドリッジはウッラにクリトリスの左右をつまませたまま、自分では前後をゆっくりと擦ってイかせようとする。

「ほら、イこうとしてビクビクしてきてる。ウッラも手伝ってイかせてあげてよ」

 大きなクリトリスは前後に加え左右からも刺激され、ビクビクと4本の指の間でのたうち始める。

 クリトリスがぎゅっと引き攣り、2人に絶頂を知らせる。しかしアルドリッジが指を放さないので、ウッラも放さずつまみ続ける。

「移動中は何もしなかったから、久々にウッラも気持ち良くなりたいんじゃない?縛られる代わりにこの箱に入ってクリトリスだけ出して」

「…ごくっ・・・」

 ウッラはツバを飲み込む。早く子作りを再開させたいためアルドリッジの言うとおりバパナの集落からアパタタまでの数日間、それまで毎日与えられていた絶頂を我慢していた。イングリッド製の鋭敏薬は永続的な効果を与えるため、酔ってしまうほどの馬車の振動はクリトリスにまで響き、宿泊ついでにアルドリッジに満足させて貰おうとはウッラも考えていた。

「これ…入ったら出れるのか?こんなのはじめてみたぞ」

「オモチャだから大丈夫だよ。時間が来たら勝手に出てくるらしいよ」

「ふ~ん・・・じゃあかわった娼婦みたいなもか?このクリトリスの女もその内でてきてかってに帰っていくのか?」

「そうそう、時間内はこうやって・・・ほら、またイった。こんな風にクリトリスだけ好き放題遊ばれちゃうの、ウッラもされたくない?」

「…ごくっ・・・さ、されたい♫」

 ウッラは降参した。鋭敏化されているクリトリスを数日間疼かせたまま、無抵抗にイカされている他人のクリトリスに触れている内に我慢できなくなってしまった。

「でしょ?じゃあこれ、ウッラの分の箱」

 アルドリッジは銀の箱をウッラに手渡す。

「お、わたしのキレイだ♫・・・これどうやってはい・・・」

 箱を受け取った瞬間、ウッラの視界が目眩の如く歪む。

 次の瞬間、ウッラは真っ暗な闇の中にいた。

 所々ではあるが聞き取れていた男女の会話が突然聞き取れなくなった。

「くそ~、こんな無駄に高い宿になんか泊まりやがって…」

 ダナは更に壁に耳を押しつける。部屋が広いため女だけが遠ざかったのかと思ったが、男、赤毛の少年の声だけは変わらず聞こえている。

「ウッラ、もう箱に入ってるよ、分かる?」

 アルドリッジは耳に受心器を掛けて話しかける。

「まっくらでへんなかんじだぞ。さわってるのにさわれない」

 アルドリッジもある程度中の様子については4人の女達との断片的なやり取りで想像がついている。中に封じられている部分は手で胸を触ってもかかとで尻を触っても、ヒジやヒザを曲げている感覚はあるが接触部の感覚は無い。

「ここはしっかり外にで出るから、ほらほら、触られてるの分かるでしょ?」

「ほあっ♫…う~、わかるぅ♫」

 ウッラはアルドリッジに触られているクリトリスをピクピクと動かす。予め別の封印箱を見せられた上で時間が来れば外に出られると思い込んでいるため、きわめて特殊な状況に置かれているにも関わらずウッラに戸惑いはなく、最初から送心術で会話が出来ているため、本来の封印では中の声は外に聞こえないと言うことも分かっていない。

 単純にこれからアルドリッジに無抵抗なクリトリスで遊んで貰い、嫌になるほどイかされると想像し既に膣を濡らしている。

「縛ってる時よりクリトリスのピクピクががはっきりわかるよ。気持ちいいんだね?ウッラ」

「き、きもちいい♫わたしもうイク♫・・・・・あっ!なんだ?」

 久しぶりにイけそうだったクリトリスから指を放され、ウッラのクリトリスは不満を現すようにぴきりと張り詰める。

「せっかくだからもっと気持ち良くしてあげる。ちょっと待って・・・」

 アルドリッジは鞄から鋭敏薬ともう一つ、黄色い薬液が入った瓶を取り出す。

「なんだ?もっと気持ちいいって?」

 アルドリッジは吸引管を兼ねる蓋で鋭敏薬を吸い取り、期待で犬の尻尾のように揺れているウッラのクリトリスにぽとぽとと垂らす。

「んっ?」

 クリトリスに湿り気を感じたが、ウッラにはそれがなんなのかは分からない。アルドリッジも1ヶ月前から急に性器や肛門の感度がよくなってきたことが自分のせいだとバレたくないため、性魔法薬の滴を落としたことをわざわざ伝えはしない。

 アルドリッジは箱を手に取り、絶頂阻害術をそこに組み込む。そしてそのままクリトリスをつまみ、薬を浸透させるように揉み込んでいく。

「あっっ!!あひっ♫んはっ♫ほ、ほんとにきもちよくなったぞぉぉ♫」

 毎回ウッラが寝ている間に薬を垂らし翌朝まで放置していたため、薬が即効性だと言うことをアルドリッジは知らない。

 ウッラの反応を確認しながらアルドリッジは更に数滴薬を追加しする。

「ん~~~っ♫イくぅ♫イクイクイクぅっっ♫・・・イくぅ?ん?・・・んん~~~っ???イってるか?あぁぁ~~~っ♫イってないぃぃぃ~~~っ!!アルぅぅぅ~っ!わたしイってないぞぉぉ~~~っ!!」

 普段なら既に5、6回はイっているような快感を与えられているにも関わらずイくことが出来ていない自分のクリトリスをさすがのウッラもおかしく思い始める。

 アルドリッジの指はにゅりにゅりとクリトリスの表面を滑り気持ちよさを与え続けてくれているため、アルドリッジに原因があるとは疑っていないが、クリトリスだけになっているウッラは外のアルドリッジを頼るしかない。

「ん?ウッラまだイケない?じゃあもうちょっと気持ち良くしてみるね」

 アルドリッジはこの際ウッラのクリトリスを使ってイングリッド製の鋭敏薬の効力を確かめて置こうと考えていた。

 既に集落内で使用した分も加味し、一滴、二滴と少しずつ足していきながらどこまで感度が上がるのか、或いはどこまで感度を上げていいのか確かめる。

「おあぁぁぁ~~~~っっ♫きもちいいのにぃぃぃぃ♫イケないぞぉぉぉアルぅぅぅっ♫」

 アルドリッジは更に薬を追加する。ウッラは既にイケないことを自覚しつらそうな喘ぎ声を上げ始めているが、まだそのことを言葉にし自分に伝えるているため、封印中はどのような種類の、どのような強度の刺激を与えられてもそのことによって意識は崩壊しないという事を知らないアルドリッジは、もう少し上げても問題無いと判断してしまう。

「んぃぃぃ~~~~っっ!!アルぅぅっ!!イ、イケないからもぅやめてくれぇぇっっ!!つらぃぃぃぃっ!!」

「え~?イきたがってたのに?そんなこと言わずに頑張ってイってみようよ、ほらほら♫」

 アルドリッジは最後に三滴鋭敏薬を追加し、蓋を閉じる。そして集落の部屋でウッラをイかせるために何度となく繰り返していた指の動きを、絶頂が封じられた今のクリトリスに対しても与える。

「あにゃにゃにゃにゃぁぁぁっ!!や、やめっ、イ、イケないからやめてってぇぇぇっ!!」

 そのまましばらくイケないウッラをイかせるつもりでいじめる。1ヶ月毎日何度も絶頂を求められてきたアルドリッジは、封印した後はウッラから快感の蓄積からの解放を奪ってしまおうと最初から決めていた。

「ゆ、ゆびとめろぉぉぉ~~~っ!!ばか~~~~~っ!!!」

 抵抗出来ないクリトリスをアルドリッジに差し出し、好き勝手に弄ばれる事は最初から分かっており、むしろそれを期待していたウッラだったが、弄ばれてもイくことが出来ないとは考えておらず、その原因も分からない。

「も、もういぃ~~~っ!!もうでるぅぅぅ~~~っ!!」

「まだそこに入って30分も経ってないよ。もうしばらくしないと出られないんじゃない?」

 いくら弄ってもウッラはイくことが出来ず、イングリッドの薬で鋭敏化されたクリトリスにもしっかりと阻害術が機能することを確認すると、アルドリッジは黄色い瓶の薬液を蓋で吸い取る。

 作られて以来始めて使用するので、鋭敏薬同様3滴ほど垂らして様子を見る。

 ビラチーナはミルドレッドの設計により、基本となる鋭敏薬の3倍ほどの効果の鋭敏液を分泌するように作られている。その基本となった死んだ性魔法士考案の鋭敏薬も浸透した箇所の感度を元の約3倍に引き上げる。イングリッドは鋭敏化の効果には手を加えなかったため、かつてのヘザーや現在のパトリスは通常時の9倍の感度になったクリトリスを責められていることになる。

 一方イングリッド製の鋭敏薬は1度の塗布で引き上げられる感度はビラチーナに及ばないものの塗る度に効果が加算されていくため、つい先ほどと村での使用を含め、ウッラのクリトリスの感度は通常時の20倍近くまで高められていた。

 そのクリトリスは落とされた水滴が3粒であることまでしっかりと感じ取る。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・は・・・はぁぁぁっ!?んなっ!?…なんだぁぁぁ~~~~っ!?」

 様子見のために3滴薬を落とされただけのクリトリスがアルドリッジの目の前で見る間に真っ赤に染まっていく。

「んぎゃぁぁぁ~~~っ!!かっ!かゆいぃぃぃぃ~~~っ!!!んぎっ!んにっ!なにしたぁぁぁアルぅぅぅ~~~っ!!!」

 黄色い薬液はイングリッド製の掻痒薬だった。

 鋭敏薬の塗布は湿り気としか認識出来なかったウッラも、今回ははっきりと液体の粒がクリトリスに落ちてきたのを感じたため、アルドリッジが何かしたと察した。

「かゆぃぃぃぃっ!!!な、なんかしたぁぁぁ!アルぅぅぅ!!ふけぇぇぇっっ!かけぇぇぇっ!!」

 聞こえて来るウッラの反応と、あまりに急速に赤く充血したクリトリスを見てアルドリッジはそれ以上追加せず3滴だけに留めておいた。

「俺がやったってばれちゃった?痒くなる薬を使って見たんだけど、そんなに痒い?」

「かゆぃぃぃっ!!な、なんでそんなことしたぁぁっ!?もうでるぅぅぅっっっ!!」

「でもウッラ、箱に入ってクリトリスだけ出したからって、気持ちいいことだけして貰えるとは限らないでしょ?こんな風にして欲しくないことされてもどうにも出来ないんだよ?」

「うぅぅぅ~~っ!!だ、だからもうでるぅぅぅっ!!だせぇぇ~~~っ!!!」

「ダメダメ、ウッラにはもうしばらくこのままでいて貰うよ。箱から出られるまでね」

 時間が来れば勝手に外に出られると考えているウッラの思い込みを利用し、アルドリッジは少なくともこの先4、5年は封印されたままになる事は伝えずにおく。

「んいぃぃぃっ!!じゃ、じゃあかいてぇぇっ!!でるまでかいててぇぇぇっ!!」

 中のウッラはイケないのとはまた違った苦しみで藻掻く。股間を搔こうと手を伸ばすが、手を伸ばしている実感はあるのにどこにも触れない。

 ミルドレッド製の掻痒薬のようにクリトリスの外から物理的に痒みを与えるのではなく、イングリッド製の掻痒薬は表面下に浸透し、薬効として直接神経に刺激を与える。

 アルドリッジが掻痒薬を3滴に留めておいたのは正解だった。イングリッド製の鋭敏薬は使うごとに効果が高まり、脳が処理できる限界まで感度を上げることが出来るが、掻痒薬には上限が設けられていた。

 痒みとは突き詰めれば神経への極々微細な刺激の集合なので、上限を設けず刺激を増やしていくとある時点で最早痒みではなくただの刺激になってしまう。

 何の処理もされていないクリトリスにならもう少し使用しても痒みを与えられる余地があるが、20倍に高まった感度のクリトリスに対しては一滴でも十分だった。

「搔いて欲しい?う~ん…どうしよっかな」

 アルドリッジはしばらく考える。搔いてやるか否かではなく、この状態のクリトリスに更に何を加えるかを。

 機巧術の節約の重要性を身にしみて学び、今までのように行き当たりばったりで気楽に術を使う事を自戒したため、一度変更を加えたら当分はそのままにしておくことになる。

 転写よりも造形の方がよりエネルギーを消費することが分かったため出来合の箱を購入した。

「かゆいぃぃぃ~~~~っ!!何でかいてくれないんだぁぁぁアルぅぅぅ~~~っ!!」

 強烈な痒みを与えられているクリトリスに対して何を行えば更に効果的か考え、アルドリッジは思いついた付属品を、ウッラの箱自体から作り出す。

 銀の箱の表面に掘られていた装飾模様が徐々に薄くなり、代わりに中央にクリトリスが生えている箱内部の表面に円形の台座が浮かび上がってくる。

 更にその台座に6本、同心円状に細く小さい柱が作られていく。各柱の先端には鑷子が付いており、それぞれが一様にクリトリスの方向を向いている。

 付属品を作り終えると機巧術恐怖症気味のアルドリッジは一旦深呼吸をし、体調に変化がないことを確かめる。

 問題無いことを確認するとアルドリッジは自分の髪の毛を数本掴み、抜き取った。

 10本ほどまとめて抜けてしまったが、必要なのは6本。アルドリッジは抜いた髪の毛を柱の鑷子に一本ずつ挟んでいく。

 取り付けられた髪の毛は重力に従い下向きにしなっている。

 アルドリッジは鑷子の角度を変え、髪の毛の先端だけが辛うじてクリトリスに触れるように調整する。

「んんん~~~~~っあるぅぅ!!…んっ?・・・んいぃぃぃ~~~そこにいるのかぁぁぁ?…んんっ?」

 先端の極僅かな面積の接触でも、鋭敏化済みのウッラのクリトリスは髪の毛を追加される度にはっきりと気づく。

「ま、またなにかっ!してるなぁぁアルぅぅぅ!!やっ、やめろぉぉぉむずむずするぅぅぅぅっっっ!!!」

 僅か6本の髪はすぐに取り付け終わった。前後の2本、箱の手前側の髪の毛の先端はクリトリスの裏筋の根元に当たり、蝶番側の髪はクリトリスの先端に触れる。

 その他の4本はそれぞれ左右に2本ずつ、僅かに箱の外に出ている包皮とクリトリスの隙間にその先端を潜り込ませている。

 僅か6本の髪の毛にぐるりと包囲されただけで、ウッラのクリトリスは更にのたうち回ることになる。

「アルぅぅぅっ!!かいてっていったのにぃぃぃっ!!なにしたぁぁぁっ~~~っ!!」

 中のウッラはグルグルと腰を回しているが、残念ながら外のクリトリスには一切影響はない。

 そのクリトリスは強烈な痒みに苛まれ痙攣しているかのように小刻みに震え、周囲を取り囲んでいる髪の毛には影響を与えていた。


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 鑷子につままれ角度を合わせられているだけの髪の毛はクリトリスの痙攣だけでも押し返され数ミリ位置をずらし、すぐに元に戻る。

 クリトリス全体が痒みでのたくっている中にあっても、つんつんとつつかれる、或いはすすすと擦られるような髪の毛からの刺激は掻痒薬による痒みとは別種のむず痒さとして認識されてしまう。

 ただでさえ痒がらされているクリトリスは新たな痒みから逃げようとするが、全方位で極狭い先端が待ち構えているため逃げ場がない。

 クリトリスにそんなつもりはなくても痙攣が伝わった髪の毛もまた同じ速さで細かく動き、欲しくもないむず痒さを自分自身で与える事になってしまう。

「あるぅぅぅ~~~っ!!こっ、このっ、このムズムズするのとってぇぇぇ~~~っっっ!!」

 ウッラもクリトリスに触れているのがアルドリッジの髪の毛とは思わない。

 クリトリスはウッラの意志とは無関係に痙攣を続けているが、力を込めてその動きを止めることが出来ている間は髪の毛の刺激から逃れることが出来る。しかし止めていても掻痒薬による痒みは続いており、少しでも気を抜くと力んでいた反動でよりいっそうクリトリスが痙攣し、力を込める前以上に髪の毛の洗礼を受けることになる。

「ウッラ、しばらくそのまま痒がっててね。俺、子作りより先にしないといけないことがあるから」

「な、なにいってるぅぅぅ???かゆいぃぃぃっ!!かいてぇぇぇっ!!・・・あっ、アルぅ!?どこいったぁぁっ!?きこえなくなったぁぁぁ!!」

 アルはウッラの箱を閉じてしまった。まだ声は聞こえている。

「いやだぁぁぁ~~~っ!!このままにするなぁぁぁ~~~っっ!!アルぅぅっ!!戻って来てぇぇぇ~~~っ!!!」

 アルドリッジはウッラに対して何の恨みも、イングリッドへの様な恐怖心もないが、箱の表面からクリトリスだけを無抵抗に差し出されるとただ保管するより責めながら保管したくなってしまう。

 それは1ヶ月以上ただ保管されているだけのヘザーとミルドレッドにも当てはまった。

 久しぶりに1人になり、周囲の目を警戒する必要のなくなったアルドリッジは、2人のクリトリスへの責めも再会することにした。

 とうとう少年の声も聞こえなくなった。

 ダナは聖女騎士から聞いた少年の情報を思い出していた。

 部屋の中を確認し、バパナの女が眠ったり風呂に入っているのでもなければ少年が封印とやらを使った可能性が高い。そうであれば隣の部屋の少年が自分が探していた少年でほぼ間違い無い。

 ダナは壁から耳を離し、部屋から廊下へ出る。テラスを伝って隣に移った方が中が見やすいのは分かっているが、まだ日が高い上に通りに面しているため危険は犯せない。

 当日分の宿泊料金は払っているので、アルドリッジは予定通り一泊することにした。

 鞄を漁ってリングを探す。殆ど整理されていない雑多な中に放り込んだ小さなものが中々見つからず、次々に荷物を寝台に並べていく。

 念のためと思い未だに持っているイングリッドの服が鞄の大半を占領しており、これにウッラが着ていた服が加わることになると更に鞄が狭くなる。

 リングはその服の中から出て来た。

 アルドリッジはウッラに封印された後の状態を教えるために使用した箱から生えているクリトリスに、そのリングを填める。

「聞こえてる?え~と・・・悪いけど、どっち?」

 クリトリスの持ち主がヘザーだと分かると、アルドリッジは僅かだけ機巧術を使って蓋に記号を浮き上がらせ、外からでも区別が付くように変更を加えた。

 リングには解析用にイングリッドに使って貰った送心術が組み込まれている。これを使ってヘザーやミルドレッド、パトリスの箱で正しく中の声が聞こえるか実験していたが、箱に直接送心術を組み込んだ場合、蓋を閉じた状態でも一つしかない耳の受心器に全ての箱から声が聞こえてきてしまう。

 単に会話をするだけならそれでも問題無いが、ヘザーとミルドレッドと喋っている中にパトリスの悶え苦しむ嬌声が紛れ込んでくると訳が分からなくなる。

 現に今もリングを填めたヘザーの声以上の音量で、痒みに苛まれアルに助けを求めるウッラの声が聞こえ続けている。

 罠式封印術をミルドレッドに考案して貰わなければならなかったように、アルドリッジは抽出と転写は自在に出来ても抽出した特性の改造は出来ないため、その内イングリッドに任意の相手の声だけを聞き取れるように送心術を改造して貰うまではリングを使うか、無駄な消費になるものの必要に応じてその都度箱に対して直接抽出転写を行うしかない。

 アルドリッジは銀の箱から送心の効果を取り出す。途端にウッラの鳴き声は聞こえなくなった。

「かなり放置しててごめんね。心配になってた?」

「・・・」

 アルドリッジの言うとおり、農村の小屋から今日まで1ヶ月以上放置されていたヘザーは、それ以前に20年以上放置されていた期間を思い出し、自分の運命を握っている相手にまた何かあり、再び長い間封印されたままになるのではと不安になっていた。

 もしまた10年、20年と放置されることになった場合、一切何の刺激もない状態とビラチーナによってイかされ続けている状態、どちらがましなのか想像も出来ない。

「さっき何回かイったでしょ?もうちょっとイきたい?」

「う・・・」

 1ヶ月ぶりに指でイカされた感覚を思い出し、ヘザーは思わずイきたいと即答してしまいそうになる。しかしどういう方法でイかせるつもりなのか分からないため軽はずみに返答できない。

「とりあえずはいこれ」

 クリトリスに何かが落とされたのを感じた。直後に指に捏ねられ始める。

「はぅっ・・・なに…あっ・・・ああっっ!!」

 即効性の鋭敏薬はすぐにヘザーのクリトリスの感度を上げていく。指の動きは一様なのに快感が増していくため、説明されずとも何を塗られたのかが分かる。

「あっ・・・あんっ♫・・・ああっっ!!」

 ヘザーのクリトリスが絶頂の反応を示す度にアルドリッジは一滴ずつ鋭敏薬を追加していく。追加する度に指で感じる絶頂の間隔が短くなっていくため、漸くアルドリッジはイングリッド製の性魔法薬が即効性であることを理解した。

「いぃぃぃっイクぅっっ!!イクイクイクぅぅぅっ!!!」

 薬を10滴ほど垂らすとヘザーのクリトリスは集落でのウッラとほぼ同じ簡単さで絶頂を繰り返すようになった。

「どう?ヘザー。もうちょっと感度高くして欲しい?」

「うぅぅ~~~っ!!も、もうぃぃ~っ!!じゅ、十分イってるぅぅぅっ!!」

「この後ビラチーナ被せるから、もうちょっと上げておこうよ」

「え・・・えぇぇっ!?や、や、やめてくれぇぇっ!!あれはもういやぁぁぁぁっ!!」

 自分の運命を告げられたヘザーが泣き叫んでいる間にアルドリッジは更に数滴追加し、問答無用に感度を上げながら指を動かし続ける。ヘザーは依然イかされ続けているが、ビラチーナを被せるという宣告のせいで喘ぐどころではなくなってしまった。

「んはぁぁっ!!お、お願いだからあれはもう被せないでぇぇ!!あれ以外なら好きにしていいからぁぁぁっ!!」

「でもヘザー、20年くらいあれ被せられたままだったけど、イングリッドが改造したビラチーナは未経験でしょ?どう変わったのか確かめたくない?」

「いぃぃ~~~っ!!そんなのいいぃぃ~~っ!!もうイかされ続けるのイヤぁぁぁ~~~っ!!」

「・・・なるほど、じゃあそうしよう。イカされるのが嫌なんだね?だったら阻害術組み込んであげる。・・・知ってるかな?前の持ち主はどうか知らないけど、俺は使ったことないよねヘザーには」

「んあっ!あっ、んはぁっ!そ、阻害?あ、あれよりはそっちの…ほうがぁぁぁっ!!」

「あ、勘違いしてる。ビラチーナは被せるよ。その上でどんなに責められてもイケなくなるのが阻害術」

「んなっ!?そっ…どっちもやめてぇぇっ!!お願いぃぃ~~~っ!!」

「この後ミルドレッドにもビラチーナを被せるから、2人に同じ事をするより別々の方がいいよね。うん、決定」

 アルドリッジはヘザーのクリトリスから指を放し、間違い無く生まれているはずのビラチーナの卵を取り出すべくパトリスの箱を手に取る。

 廊下でバタバタと騒ぐ音とわめき声が聞こえ、アルドリッジは手を止めた。扉のすぐ向こうから聞こえたような気がして振り向く。

 一瞬元の静けさが戻ったが、直後にその扉がノックされる。

 アルドリッジの頭には客室係が何かの用でやって来た可能性よりも先に、先ほど言葉を交わした少年の様な少女がよぎった。

 寝具に並べている鞄の中身の上にシーツを掛け、アルドリッジは扉に向かう。開く前に声だけを掛ける。

「はい?」

「お休みの所失礼します。警備のものですが…こちらの部屋を覗いていた女を捕まえまして、お手数ですがご確認願えますでしょうか?」

 予想に反して男の声が返ってきたが、アルドリッジはやはりその捕まった女は先ほどの少女だろうと推測した。しかし覗いていた理由は分からない。僅かな会話で1人旅と馬が扱えるという情報は聞いていたため、もしまた喋る機会があればムラドハナ方面へ同行して貰えないかと切り出してみようとは漠然と考えていたが、その機会が面倒事と共にやって来たのなら話は変わってくる。

 確認を断り捕まった女の処遇を警備に一任することも出来たが、アルドリッジは扉を開けた。

 予想通り少年の様な少女がばつの悪そうな表情を浮かべ、警備係の大男に腕を掴まれている。

「この女なんですが、お知り合いではないですね?こちらには・・・」

 警備係は開かれた扉から室内を見渡す。少年が出て来たので他に同行者いるのではないかと思ったが、見たところ部屋には他に誰もいない。

「お一人でお泊まりですか?」

「いや、二人だよ」アルドリッジは頭を回転させる。宿泊手続きの際にウッラと自分の名前を記入しているので、確認すれば1人でないことはすぐに分かる。「この子と一緒に泊まってるけど?」

「・・・えっ??このおん…娘さんと?・・・しかし…鍵穴から中を伺っていましたよ?」

「それは俺に聞かれても分からないけど…何でそんなことしてたの?」

 アルドリッジは少女に問いかける。助け船は出してやったので、もし騒ぎを治めたければ自分で上手い話を考えろと目で訴える。

「それは・・・こいつが1人になりたいって俺を追い出すから、オナニーでも始めるんじゃないかと思って覗いてたんだよ」

「ぐっっ…」

 警備係とアルドリッジは同時に呻き声を上げた。

「う、ウッラ、俺がそんなことするわけないだろ」

「・・・ご、ゴホン。本当にお知り合いでしたら謝罪いたしますが・・・もう少々お時間を頂けますか」

 廊下側の鍵穴から室内を覗いている少女、ダナを最初に見つけたのは警備係ではなく階段を上り終えたばかりの客室係だった。客室係はそのまま静かに階段を引き返し、1階にいた警備係を呼んできた。

 やがて受付に宿帳を取りに行っていたその客室係が戻ってきた。

「そこに書いてあるだろ?203号室、ウッラと…こいつの名前。ウッラってのが俺だよ」

 客室係は宿帳を確認し、警備係に頷く。警備係は漸くダナの腕を放した。

「大変失礼致しました。お客様に多大なご迷惑を…」

「いいよいいよ。もういいからさっさと仕事に戻りなよ。別に大事にする気もないし、じゃ、そういうことで」

 ダナは垂れている2人の頭が元の位置に戻る前にさっさとアルドリッジを押しのけて部屋に入り、扉を閉めた。

「・・・ふぅぅぅ~~~っ。助かったぜ、悪かったな」

 アルドリッジは扉に鍵を掛ける。

「・・・で、本当は何で覗いてたの?」

 ウッラのお金が残っているため御者だけを雇うことも出来たが、ただで済むならそれに越したことはないと思い、後に同行を頼みやすいように助け船は出したが、不信感は残っている。

「…というかさ、あとちょっとしたら自分からノックしてお前呼び出そうと思ってたんだよ。ちょっとの差で面倒な奴らに見つかっちまったけど・・・」

 ダナは何の気なしにベッドの方へ歩いて行き、いきなりシーツの端を掴む。アルドリッジが気づいた時にはもう遅かった。

「あ…」

「お前魔法使いなんだろ?一緒に商売しないか?」

 アルドリッジの宿泊部屋の中を確認するため廊下に出たダナはドアの下の隙間から覗こうとしたが上手く行かず、やむなくまた肛門から筒を取りだし、その中から歪曲硬性鏡を選ぶ。本来は串や針金だけでの単純な操作では開けられないような大型金庫などに挿入し内部の状態を確認しながら解錠するための道具だが、それを鍵穴に差し込み、部屋の中にまで通過させる。


 やや暗く視界も狭いが、廊下側から任意の角度でドアの向こう側を覗くことが出来る。

「・・・ちっ…」

 中は覗けたものの、少年は扉に背を向けて寝具の上に胡座をかいているため手元が見えづらい。しかし肩や肘が動いているため何かに何かをしていることは分かった。

 中が見えるようになった代わりに声は聞こえなくなった。隣の部屋で聞こえていた声が完全な独り言だとしたら気味が悪すぎるのでダナは早々に退散していたはずだが、少年が人を封印出来るという情報を持っている上に何かに話しかけているように見えるため、消えたバパナの女か、或いは本来の目的であるイングリッドすら何かに封印し、それに話しかけているのではと推測できた。

 もしも大魔法使いまで封印出来てしまうのなら、少年自身の方が価値がある。

 もっとはっきり手元が見えないかと歪曲硬性鏡の角度をあれこれ変えているところを客室係に見られ、警備係に取り押さえられてしまった。

 シーツの下に隠されていた荷物の中で最初にダナの目に付いたのはイングリッドの服だった。それがイングリッドのものであるとは知る由もないが、女物であることとバパナの女の物ではないことは分かる。

「お前バパナ族と一緒だったろ?アイツも封印したのか?」

「!?」

 相手がただ厚かましいだけの少女でないことが分かった。雑貨店を出た後に偶然出会ったのではなく、その前からウッラと一緒にいるところを見ていたことになる。しかも何故か封印のことまで知っている。

「何なの君?もしかして俺を追ってた?」

 自分を追っている相手には心当たりがあるが、とてもパトリス達の仲間には見えない。もっと後になればバパナ族達も自分を探し始めるかも知れないが、まだまだ猶予がある上少女がバパナの女であるはずもない。

「オレはダナ。お前は?」

「・・・アレクシス」

「オレはイングリッドからお宝をいた…買い取ろうと思ってお前を探してたんだ。・・・イングリッドもこの何処かにいるのか?」

 ダナはベッドの上のいくつかの箱を見ながら言う。

「イングリッド?・・・イングリッドと俺がどう繋がったわけ?」

 ダナは多少逡巡したが、1ヶ月ほど前の出来事をかいつまんで話した。

 父親が束ねているパサパシから出て独り立ちするには先立つものが必要で、偶然見かけた伝説の魔法使いならかなり貯め込んでいるはずだとの思惑から突発的に追い始めたが、危険を冒してイングリッドの隠し財産を狙うより、この少年と組んだ方が安全に金を稼げるような気がしてきた。ただしそれにはまだ諸々確認しなければならないことが残っている。

「あの2人…ただの騎士じゃなくて聖女騎士だったんだ」

 アルドリッジは漸くギャエルとキトリー、そしてパトリスが聖女騎士であることを知った。そして同時に自分のような名も無い子供を聖女のためとは言え聖女騎士が直接追ってきていたと言うことは、公表されている病気以上にシャンタルに何か良からぬことが起こっているのではないかと推測する。首都に戻る前に一度パトリスからビラチーナを外し洗いざらい事情を聞いた方が良さそうだとアルドリッジは考えた。改造以前を含めて2ヶ月近くビラチーナの責めを受け続けているため、更なる継続を脅しに使えば何でも喋りそうな気がする。

「その2人からお前のことを聞いたんだよ、封印のことも。…それに関してはあの2人も良く分かってなかったけど、お前魔法で人を封印出来るんだろ?イングリッドまで封印しちまったのか?」

 アルドリッジはその件に関してははぐらかすかどうか悩む。馬車でムラドハナに向かうためにダナに同行して欲しいとは思うが、それ以上に関わり合いになる気はない。

「そんなに警戒するなよ。オレは敵じゃないって。お前と組んだら儲けられそうな気がするんだよ」

 ダナは聖女騎士2人を売り飛ばしたことも自分が盗族であることも省いて伝えていた。自分は商人の娘で、アルドリッジがシャンニで捕らえられた晩、偶然そのの様子を目撃しその中にいたイングリッドと商取引をするために追いかけたという話を作って聞かせている。

 アルドリッジも今偶々ウッラのお金があるだけで金に困っていないわけではないが、殆ど見ず知らずの、知り合って間もない相手と組む気になれるはずもなく、少女の話を鵜呑みにしているわけでもない。

 しかし、エネルギーの消費は極力控えたいのであまり気は進まないが、いざとなればどうにでもなる為、少女の真意を探るためにもしばらく話に付き合ってみることにした。

「分かったよ。商売云々は置いといて、イングリッドならそこにいるよ」

 アルドリッジはベッドに歩み寄り、いくつかある箱のうち一際目を引く赤と黒の模様入りの箱を指さす。

「!?…こ、これか?…うっ、重っ!・・・これにイングリッドが入ってんのか?」

 ダナは箱を開けようとする。しかし、他の箱は施錠術も掛かっていないので簡単に開くことが出来るが、イングリッドの箱だけは念を入れて仕掛け箱にしてあるため、模様の中に隠してある二つのボタンを同時に押さなければ開くことはない。

「開かないし、開けようとしないで。探してたぐらいだからイングリッドがどのくらい凄い魔法使いなのか知ってるでしょ。危ないよ」

 封印とやらが具体的にどうなっているのか分からないダナは確かに下手にいじって中身を出してしまうと危ないとは思いつつも、中に居るのが本当にイングリッドなのかどうかを確認しないことにはアルドリッジの方の凄さが分からない。

「じゃあ危なくないヤツ見せてくれよ。他にも2人いるって聞いてるぞ。…あとバパナの女もだろ?」

 拷問中のイングリッドは言うに及ばす、ウッラ、パトリス共にいきなり見せるには刺激が強い状態になってる。

 アルドリッジはベッドの上から現状では最も衝撃が少ないであろうミルドレッドの箱を手に取り、蓋を開けてダナに手渡す。

「これに封印…良く分からないな、なんで珊瑚に・・・」

 アルドリッジが人間を封印出来るという話は聞いていても、具体的にはまるで分からないダナは箱ではなく、箱に収められている磨かれた珊瑚に封印されていると思い込む。

 そして珊瑚だと思いながらそれをつまんだ者達が皆予想外の感触に驚くように、ダナも例に漏れず声を上げた。

「な、なんだこれ???珊瑚じゃない?まさか・・・」

 ダナは更に勘違いし、人間が珊瑚の様な赤くぷにぷにとしたモノに変えられていると思い気味悪がる。

「よく見てよ。見覚えない?・・・気づく前に断っておくけど、俺がそうしたくてそうなってるわけじゃないからね」

「?・・・何言ってんだ?・・・見覚え?

 ・・・・・あ、え?これってもしかして・・・・・く、クリトリスか?」

 何が描かれているのかすぐには分からない騙し絵も一旦気づくと最早それにしか見えなくなるように、珊瑚と思って見ていたものがクリトリスだと気づくと、それ以外に見えようがない。

「な、なんだこれ???封印って、こういうことなのか?何でここだけ外に出てるんだ?」

「それは俺にも分からないよ。誰かが考えた方法を使ってるだけだから」

「・・・てことは…」

 ダナはイングリッドの箱以外を次々に開けていく。見た目にはミルドレッドと変わらないヘザーのクリトリスだけでなく、6本の柱に囲まれ痙攣し続けているウッラのクリトリスも、ビラチーナに飲み込まれているパトリスのクリトリスも立て続けに目にする。

「うわわっ!?な、なんだなんだ?」

 パトリスの蓋を開けると、小さな球体がいくつも溢れ出した。ダナだけでなくアルドリッジも驚く。パッと見ただけでも五つは確認できる。

「うわっ、こんなに産んでたんだ」

「なんだよぉもぉっ!!わかんないことだらけだよ!!」

 アルドリッジはやむなく一から説明してやることにした。機巧術に関する事は話せないため、ダナには魔法使いだと思ったままでいて貰う。

「・・・じゃあその偶然手に入れた封印の魔法を使うと、女は全部クリトリスだけ出したままこんな風になるのか?」

「うん。男には試したことないからどうなるのかは知らない」

「それでこの動き続けてる気味の悪いのはイングリッドが作って、この落ちてる丸いのはこいつの卵?」

「うん。いつの間にかこんなに生んでて俺も驚いてるけど」

「・・・・・す、凄いぜ!!絶対に商売になるぞこれ!」

「…え?なんで?」

「だってこれ…こっちのビラ…何とかを被せられてるヤツとか、こっちの髪の毛に囲まれてるヤツとか、こんなことされても何にも抵抗出来ないんだろ?絶対売れるって!」

「う、売る?」

「そうだよ!こんなの喜んで買う客なんていくらでもいるぜ?オレならいろいろ伝手もあるし、やっぱり一緒に商売しようぜ!なぁ!」

 ダナはアルドリッジがイングリッドを封印出来るほどの魔法使いならその力を使うか、封印されているイングリッド自身から財産の場所を聞き出して儲けることが出来るのではないかと朧気ながら考えていたが、封印された相手がクリトリスだけを出した無抵抗な状態を強いられることを知り、考えが変わった。

 盗族であるダナには女の売り買いに関する伝手があるため、性奴隷の一種として、しかも珍しさも加わって生身の女より高く売る事が出来るのではと皮算用を始めた。

「女なんてその辺にいくらでもいるから捕まえ放題だし、こんなに小さくなるなら簡単に持ち運べる上に攫うところを見られる危険も減るだろ?絶対儲かるって!」

「・・・君の言ってることって人さらいなんだけど…そんなこと出来るわけないでしょ?」

「う・・・」

 利益に目が眩んでアルドリッジに商人だと伝えていることを忘れてしまっていた。いきなり一緒に商売しようと持ちかけた上にその内容が人身売買では乗り気になってくれるはずもない。

「いや、まぁ…それは極端な話だけどさ・・・あれだったらいいだろ?悪い女を捕まえて世の中を良くして、ついでに売っちゃうとか」

 そもそもアルドリッジにはダナと商売する気などまるでないが、アパタタからムラドハナまで馬車でなら5日前後で移動できるはずなのでその間だけならダナの話に乗ったふりをすることも出来る。

「とりあえず商売の話は追い追いするとして、実は馬車を扱える人も封印しちゃったからさ、出来れば代わりに君に首都まで同行して貰いたいんだけど」

「何言ってんだ。そんなの一緒に行くに決まってんだろ。

 ・・・でも何で一緒に来たバパナの女まで封印しちゃったんだ?」

「・・・」

 自分の子供を妊娠している可能性があるからとは言えず、アルドリッジは適当にはぐらかす。

「…ふ~ん、ま、いいけど。ところでさ、分かってると思うけどオレホントはこの宿に泊まってないから、この部屋に泊めてくれよな。オレがウッラって事になってるし。

 ・・・それから、オレのことは絶対に封印しないでくれよ?嫌だからな、クリトリスオモチャにされるのなんて。たのむぜ?相棒」

「これ被せていいのか?」

「いいよ、こっちのクリトリスにね。敏感にしてあるから」

「どのくらい敏感になるんだ?これ」

「どのくらいって言われても・・・簡単にイっちゃうくらいには感度上がってるよ」

「これだけしかないのか?もっとあったらこれも売れるのに。イングリッドに作らせたんだろ?

 ・・・イングリッドってお前の言うこと聞くのか?そんでクリトリスだけでも魔法使えんのか?」

「たぶん聞いてくれるんじゃない?魔法も…ある程度は箱の中からでも使えるみたいだよ」

「すげぇな。じゃあもうお前がイングリッド自身みたいなもんじゃないか。必要な魔法命令したらいいだけだもんな」

「・・・なるほど…そう言われれば。そういう使い方も出来るのか…」

「お前欲がないな、オレならすぐ金儲けに使うけどな。中に入ってるのがイングリッドだって証明できたらこの箱自体もバカ高く売れるぜ?・・・中のヤツと話できないのか?」

「・・・蓋開けたらこっちからの声は聞こえてるみたいだよ」

「じゃあ今もこの…これ誰?」

「ヘザー。結構凄い剣士だったらしいよ」

「ああ、これはお前が封印したんじゃなくて見つけたヤツか。ホント、これ作ったヤツは何考えてクリトリスだけ外に出すようにしたんだろうな。

 ま、いいや。おーい、ヘザー、今からこのビラちゃん被せてやるからな・・・凄いんだろ?これ」

「うん、かなり凄いと思うよ。経験したことはないけど」

「くふふっ♫凄いんだってよ、ヘザー。…お?お、お、お!すげーぷるぷるしてる!被せて欲しくないのか?ヘザーはこれ経験したことあるのか?クリトリスってでかくなるとこんなに動くんだな。

 ほ~らほら、逃げないと被さっちゃうぞぉ?あ~逃げられないか、可哀想~♫こいつの内側かなり気持ち悪いからな。こんなので責められたらどうなっちゃうだろうな、ヘザー。・・・ほれ、被さった♫

 ・・・うぉ!?こ、こいつ自身もこんなに動くのか・・・す、凄いな」

「なんか楽しそうだね、ダナ」


「楽しいだろこんなの。他のでも遊ばせてくれよ」

「…じゃあこっちに鋭敏薬塗っていいよ。君が廊下で騒ぎ起こす前にやろうとしてたから」

「これは誰なんだ?」

「ミルドレッド。この人も結構凄い魔法使いだったらしいよ。…悪い方の」

「へぇ、2人も凄い魔法使い封印してるなら安心だな。魔法使いでもここからは逃げ出せないってことだろ?」

「…まぁ、そういうことかな」

「しかも悪い奴なら遠慮なく責められるな♫…こういうヤツなら捕まえた後売っちゃてもいいだろ?世の中のために」

「…ホントにどうしようもなく悪い奴ならまぁ・・・ミルドレッドは売らないけど」

「こいつはまだ感度上げてないのか?オレの好きなだけ上げていいか?」

「いいけど、その薬どこまで敏感になるのかまだ良く分かってないから、あんまり無茶はしないでよ」

「分かった分かった。お~いミルドレッド、これからお前のでっかいクリトリスめちゃくちゃ敏感にしてやるからな♫

 ほら、この薬塗ったらどんどん感度上がるんだってよ。・・・どうだ?上がって来たか?

 ・・・お?今イったか?すぐ効くんだなこの薬。ほれほれ♫もっとイけ♫めちゃくちゃイくようになったらお前にもビラちゃん被せてやるからな。

 …ん?何だよ、そんなに暴れて。被せて欲しくないのか?ダメダメ、絶対被せる♫

 お~、ホントに敏感になってんだな、これ。どんどんイクの早くなってくる!指でもこんなにすぐイくようになってるのにあれ被せたらどうなっちゃうんだろうな?中が見えたらもっとおもしろいのに」

「もうそのくらいにしといたら?その薬増やせるかどうかわかんないし」

「え?だってイングリッドが作れるんじゃないのか?なくなったらまた作らせればいいだろ?」

「それ作った時イングリッド外に出てたから、クリトリスだけでも作れるのかどうか分からない」

「えっ!?外に出てた???お前が出したのか?…でも無事なんだよな?どういうことだ?」

「それは…箱を作り替えるために1回出す必要があったんだよ」

「にしたってなんで無事で済んでるんだよ。仕返しされなかったのか?」

「まぁ…何とかなったよ」

「お前・・・お前ももしかして結構凄い魔法使いなのか?あのイングリッド相手によく何とかなったよな」

「油断してたからね、イングリッドが。とにかく薬の無駄遣いは止めて」

「分かったよ、もう十分すぐイくようになったし。ビラちゃんもう一匹孵してくれよ、被せるから。

 ・・・・・よし。ミルドレッドぉ今からお前、この感度上がりまくってるクリトリスにビラちゃん被せられちゃうんだぞぉ♫どんな気分?…おー暴れてる暴れてる♫やっぱ嫌なんだな。でもどうしようもないよなぁ、外に出てるのがクリトリスだけじゃ。

 はらほらぁ♫先っちょちょっと当たってるぞ~、もうすぐ被さっちゃうぞぉ♫もっとクリトリス振ってイヤイヤしなくていいのかぁ?喰われちまったらお前おしまいだぞぉ?あ~半分入った!もうイっちゃってるか?

 ・・・はい、終了~♫全部被されちゃったなぁ、ミルドレッド。これでもうお前はオレがこれ取ってやるまでイきっぱなしだからな?くふふっ、可哀想~♫」

「・・・君、子供の頃人形遊び好きだったでしょ?」

「う・・・う、うるせぇなぁ、やったことねぇよそんなの」

「人形壊して楽しんでそうなんだけど・・・ところでもういい加減寝ない?明日には出発したいし」

「なんだ、一泊だけの予定だったのか?だったらもうちょっと遊ばせてくれよ、移動始めたらオレが馬車操縦するんだから遊べなくなるだろ」

「でももうないよ。他のはもう何かしちゃってるし」

「薬とビラちゃん以外の玩具ないのか?・・・これは何なんだよ、気になってたんだ。色黒いし、これがバパナの女だろ?」

「うん、これが本物のウッラ。これは・・・クリトリスに痒くなる薬塗ってるんだよ」

「えっ?なんだよ、他にも薬あるんじゃねぇか。・・・そういえば3つあるな。もう一つは何?」

「クリトリスを大きくする薬らしいけど、まだ使ったことはないな」

「使ってないのにこいつらのクリトリスこんな大きくなってるのか?…オレのの7倍くらいあるな…」

「それは勝手に使わないでね。どのくらい大きくなるか分からないから、もし育ちすぎて蓋が閉まらなくなったら困るし」

「…十分でかいしな。

 お~い、ウッラ、聞こえるかぁ?誰か分からないだろうけど、お前の代わりに泊めて貰うことになったんだよ。

 クリトリス痒いらしいな。すっげぇピクピク痙攣してるから見ただけでどのくらい痒いか想像つくよ。

 酷いよなぁ、アルとここまで一緒に来たんだろ?なのに封印されちゃってしかもクリトリスこんなに真っ赤になるほど痒がらされて。でも安心しろよ、他にもっと酷い目に遭ってるクリトリスだけの女がいるから、お前はまだましな方だよ…たぶん。

 搔いて欲しいだろ?今搔いて貰えたら気持ちいいぞぉ♫搔いて欲しかったクリトリスでお願いしてみろ、出来るか?

 …お、おぉ!?ホントに中に声聞こえてるんだな。いまクリトリスぐいって動いたよな?痒くてもちゃんとこっちが言ってることが分かるくらいには頭働いてるんだな…もっかいお願いしてみて・・・く、くふふ♫なんか可愛いな♫

 でもダメ~♫お前はどんなに頑張って可愛くお願いしても搔いて貰えないんだよ。ずっと痒がってろ♫

 お前が真っ赤なクリトリス痙攣させて辛がってるところ見て楽しんでやるから、オレのために中でひいひい言ってろ♫」


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「なんか…もう全部君のモノになったみたいな言い方だけど」

「う…い、いいだろ別に。これから一緒に商売するんだから、俺たちのモノって事でいいだろ?」

「商売商売って…伝手があるって言ってたけど、こんなの買うのってどんな人なの?」

「そりゃぁ…普通の奴隷に飽きた金持ち連中だよ。あいつ等それこそバパナ族や大森林の連中まで性奴隷にしたがるんだぜ?抵抗出来ないクリトリスだけになった女なんかめちゃくちゃ欲しがるに決まってるだろ」

「そ、そういうもんなのか・・・そんな人たちに伝手があるんだ、ダナ。オレと歳あんまり変わらないのに」

「…ま、まぁ、結構でかい商店の娘だからな。儲かるような気がしてきただろ?お前が片っ端…じゃなくてお尋ね者の女とかを封印して、オレが売りに行くんだ。

 ・・・考えてみたらホント便利だな。遊ぶ時は中が見えないのはつまらないけど、売るとなると封印した女が不細工でも相手にはわかりゃしないもんな。美人詐欺師とか美人放火魔とかって事にして売っちゃえばいいんだ」

「無茶苦茶言うなぁ・・・そういえば何でそんなに1人で…というか俺と商売したいの?実家が商家なら家を手伝えばいいのに」

「それは…オヤジと反りが合わないんだよ。家を出るって言っても支援してくれるはずがないから独り立ちするなら自分で稼ぐしかないんだ。

 そんなことよりこの際だから全部中身教えてくれよ。あの開かない箱がイングリッドだろ?卵がいっぱい入ってたのは誰なんだ?」

「あれはパトリス…あ、そういえば君が助けた2人、聖女騎士の。あの2人俺を追うって言ってなかった?そもそも助けたって言ってもどうやって?簡単には外せなかったでしょ?」

「あ…あぁ、確かに外せなかったな。あれも魔法なんだろ?無理だったから近くの村に運んで鍛冶屋に任せたんだよ。

 ・・・追うとは言ってなかったけど、そういやお前なんであいつ等とイングリッドに捕まったんだ?」

「う~ん、俺も良く分からないけど、その箱、そこに入ってるパトリスがあの2人の仲間だからじゃない?」

「あー、そりゃ捕まっても無理ないな。で、そのパトリスは何で封印したんだ?」

「俺を追ってきたから」

「・・・ん?・・・ん?ん?ん?なんかおかしいぞ、話が輪っかになってないか?」

「だから俺も良く分からないんだよ。君に聞くまでパトリスが聖女騎士だって事も知らなかったし。その内どういうことなのか問いただそうとは思ってるけど」

「なんだよ、じゃあ今聞こうぜ。結局あるのか?中の声聞く方法」

 アルドリッジは懐から受心器を取りだし、ダナに耳に掛けるように教える。

 封印されている女達と会話する術があることを早々に教えてもいいものかという不安はあったが、ダナがかなりよく喋る少女であることが分かり、自分では規範が枷を掛け思いつかないようなことも簡単に思いつくので尋問を任せてみてもいいかもしれないと思い至った。

 アルドリッジには面倒事が起きた際最終的には封印術という防波堤が控えているため、どう転ぶか分からないことでもとりあえず試してみることが出来た。

 送心輪を激しく動き回っているビラチーナの上からパトリスの上に被せる。ビラチーナに知能はあっても思考はないため、パトリスの声を聞くのに影響を与えないことは農村の小屋での実験で確認してある。

「やっぱあるんじゃねぇか、喋る方法・・・・・うぉっ!?な、なんだもう聞こえて来た!」

『おひょっ!んおっ!ほぉぉ~~~~っっっ!!!んひぃぃぃ~~~っ!!』

「な・・・あ、喘ぎ声なのかこれ?」

 突然聞こえて来た予想以上に哀れなパトリスの嬌声を耳にし、流石にダナも頬を染める。

「ここまで凄いのか、ビラちゃん。・・・ってこれ、壊れちゃってるんじゃないか?こんなの道具があっても会話できないだろ」

「それが何故か壊れないんだよ。もちろんそのままじゃ会話できないけど、取ってしばらくすると喋れるようになる」

「ふ~ん…」

 ダナはパトリスのクリトリスに覆い被さり激しく動き続けているビラチーナに手を伸ばす。が、外しはせずにそのままぎゅっと握りしめる。

「え、ちょ、ちょっと!何してんの?」

「要はイかされ続けてるからまともに喋れないんだろ?いちいち外さなくてもこれでいいんじゃないか?」

 ダナはパトリス、そして先ほど自分がビラチーナを被せたヘザーのクリトリスに絶頂阻害処置が施されていることを知らない。しかしどちらにせよ過剰な刺激に因る苦悶のせいで言葉が紡げない状態である事に変わりはないため、刺激さえ止めればいいという考えに間違いはない。

 この世に誕生して以来始めての外部からの圧力によって動きを阻まれたビラチーナはダナの手の中でビクビクと小さく蠢いている。伸縮や振動など胴体の動きや、その内側に生えている繊毛もクリトリスに押しつけられ本来の目的を果たせなくなっている。根元を責めている触手も辛うじて先端をちろちろと動かすことしか出来ない。

 取り外された場合と違い全体的には僅かに刺激され続けているものの、ダナが聞き耳を立てている側から少しずつパトリスの声が安定していく。

『んひぁぁっ!!ひっ、ひきっ!くぉぉぉ~~~っ!!ほっ!…んほっ!・・・んあっ…あっ…んやぁぁぁっ!』

「お、なんかちょっとましになってきた」

『んいぃぃぃ~~~っ!!あひっ、あっ!もぉぉぉ~っイかせてぇぇぇっ!!イキたいぃぃ~~~っ!!』

「イキたいって言ってるぞ?やっぱ壊れてるんじゃないのか?散散イカされてるくせに」

「あ…そうか。パトリスはイケないようにしてるんだった。もう2ヶ月くらい責められっぱなしなのにイケてないからイきたがって当然だよ」

「はぁ?そんなことも出来るのか?そこまで女を苦しめたいのかお前、酷いヤツだな。くふふ♫」

「だから俺が作ったわけじゃ…」

「お~い、パトリス、そろそろ聞こえるか?刺激少なくなっただろ?俺のおかげだぞ。」

『んあっ、ひっ、だ、だれ??いひひひぃぃっ!』

 全体的な刺激が減った分根元をくちゅくちゅと細かく刺激される感覚が浮き立つが、外からの音を言語として認識出来るまでには回復してきた。

「お前に聞きたいことがあるんだってさ。ちゃんと答えたらこれ取ってやる・・・ん?こいつの場合は取らずにイかせてやった方がいいのか?とにかく素直に質問に答えたら辛い状態から解放してやるぞ」

『ンひっ、ンひっっ、イきたいぃぃぃぃっ!!おしっこもしたぃぃ!させてぇぇっ!』

「おい、小便したいって言ってるぞ?中では勝手に出来ないのか?」

「そういえば…イングリッドもそんなこと言ってたぁ。もしかしたら改造された時におしっこできなくなるような何かが追加されたのかも。でもなんにせよ外からはどうにも出来ないから我慢して貰うほかないね」

 新ビラチーナは尿道を塞いで尿を自身のエネルギーにしているため、被せられた相手は常に膀胱が満杯の状態で責めを受け続けることになる。もしもダナがビラチーナを外していたとしても、よほどゆっくりと慎重に抜かない限り細い繊毛は千切れて中に残り、栓をし続ける。

 千切れた繊毛は完全に中に収まっていれば封印空間の効果を受け本体から切り離されても死滅しないが、その際少しでも外に出ている部分があればそこからエネルギーが流出し、いずれは死滅する。そうなれば元通り封印空間内で自由に失禁、放尿することが出来るようなるが、死滅しなかった場合ビラチーナ本体を二度と被されなかったとしても延々栓をされたまま強烈な尿意だけは残ることになる。

「小便はどうにもならないから我慢しろってさ。・・・で、何を聞きたいんだ?こいつに」

「俺を追ってきた理由というか、シャンタル様に何かあってそのために俺を追ってきたらしいけど、俺をどうするつもりだったのか聞いてみて」

「シャンタル?そういえば子供の頃はその名前結構聞いてたな。最近じゃ殆ど聞かなくなったけど。病気で死んだんじゃなかったか?」

「死んでないよ。病気で長く伏せってるって事にはなってるけど・・・たぶんそれも嘘じゃないかって気がしてる」

「じゃあそれも聞いてみるか。おい、パトリス、お前アル、アレクシスを追ってただろ?なんでた?」

『あぁぁ~~~イきたいぃぃぃ!おしっこしたいぃぃっ~~~っ!!』

「だから素直に答えたらイかせてやるって言ってるだろ。イきたかったらちゃんと協力しろ。このまま放っといてもいいんだぞ?」

 ダナは更に拳に力を入れてやる。ビラチーナが握りしめられると言うことは同時に中のクリトリスも圧迫されていると言うことだが、今のパトリスに取っては痛みの方がありがたかった。

『いやぁぁぁ!言うぅぅ!あ、アレクシス?お、追ってたぁぁぁ!』

「そうそう、その調子。で、一応見つけたよな?アルを。結局封印されちゃってるけど。もし封印されなかったらどうするつもりだったんだ?こいつに何の用があった?」

『はっ…はぁはぁはぁ…んっ!つ、連れて行こうと…王宮へ…あんっ…そこで…じ、んっ!尋問を…』

「そこで何を聞き出そうとしてた?」

『しょ、少年の、ち、ちちちちあぁぁっ!父親にっ…ついてっ…』

「父親?こいつの父親が何かしたのか?」

『か、彼の、作った・・・うっ!器に…』

「なんだ器って?その器がどうしたんだ?」

「うっ…はぁっはぁはぁ・・・・・・」

「ん?なんだ?・・・も、もしかして喋りたくないのか?精神力すごいなお前。じゃあしょうがない、ほれ♫」

『いひょぉぉぉっ!?こあぁぁぁ~~~っ!!やっ!やめでぇぇ~~~っ!!!』

 ダナは拳の力を緩めた。途端にビラチーナは本能に従い自分の体内にある肉の芽に強烈な刺激を与え始める。

「俺が手の力抜いただけでお前はまた辛いつら~い状態に逆戻りなんだぞ?素直に聞かれたことに答えろよ。こんな目に遭ってまで守らなきゃいけないような秘密なのか?」

『くほぉぉぉ~~~っ!い!言うぅぅぅぅ~~~~っ!!とめてぇぇぇ~~~~~っ!!』

 ダナはまたビラチーナを握りしめる。

「次喋らなかったらもう終わりだからな?こっちにはクリトリス敏感にする薬だってあるんだから、今以上にお前を苦しめることだって簡単にできるんだぞ?」

『は、はぁ、はぁ、はぁ、い、いうからそんなことしないでぇ…』

「それで、こいつのオヤジが作った器がどうしたって?」

『はぁはぁ、そ、それに…シャンタル様が・・・ふ、封印されてしまって…』

「???・・・おい、アル。なんかおかしなこと言ってるぞ?お前のオヤジも魔法使いで、人を封印出来たりしたのか?」

 パトリスの声は直接聞こえないが、ダナの返答でどのような会話が成されているかアルドリッジにはおおよそ察しがついていた。

 器という単語が出て来た時点ですぐにかつて父と一緒に作った聖別式用に依頼された五つの抵抗石製の器が思い浮かんだ。

「いや、父さんは魔法使いじゃないし、当然封印術も使えないよ」

「でもシャンタルがお前のオヤジが作った器に封印されたって言ってるぞ?

 おい、封印ってお前みたいにか?シャンタルもクリトリスだけ外に出して箱に閉じ込められたって事か?」

『ち、違う…いろんなところを…バラバラに…』

 パトリスの言うことを2人が理解出来るまでは時間が掛かった。アルドリッジは言うに及ばず、数時間前にアルドリッジの封印法を知ったばかりのダナにとっても封印と言えば箱に閉じ込められクリトリスを外に出した状態のことなので、身体は残ったまま口、陰核、尿道、膣、肛門をそれぞれバラバラに切り離されて奪い去られた状態を想像するのが難しかった。

「そんなとんでもないことになってたんだな、シャンタルって。じゃあお前等は器を作ったアルの親父が犯人だと思って息子を追っかけてたんだな?」

『そ、そうじゃない…犯人は死んで、手がかりがなくなったから、器の作成者を・・・でも少年の父親も死んでたから、その息子を…』

「う…お前の親父死んでたのかよ。早く言えよ。

 犯人は死んだって、そいつはそのバラバラになったシャンタル持ってなかったのか?」

「え?ちょ、ちょっとまって!犯人が死んだ?犯人分かってたの?誰なのか聞いて!」

「お、おぅ…。そのシャンタルをバラバラにした犯人って誰なんだ?」

「それは・・・さ、宰相だ。当時の」

「宰相って言ってるぞ?俺はマジャリの王室連中の名前なんか全然知らないけど、お前分かるか?」

「宰相…?」

 アルドリッジにも名前は分からなかったが、それはパトリスに聞けば済む。アルドリッジを動揺させたのはその犯人が既に死亡しているという点だった。

 母親を亡くして以降もウポレの村で得意の細工仕事によってある程度安定した生活を送っていたアルドリッジがマジャリに戻る決心をしたのは父の遺骨を回収し母の隣に眠らせるためと、その死に責任がある者を見つけ、父の汚名をそそぐと共に報復をするためだった。

 アルドリッジは何とか当時の記憶をひっくり返したが、思い出せるのは器制作の依頼が王室からという所までで、個人名までは出てこなかった。

 ダナは何故その宰相が犯人だと分かり、更に何故死んだのかも問い詰める。

「じゃあその殺されたヨドークスの部屋から盗まれた抵抗石が見つかって、その抵抗石で作られた式典用の器が消えてたからその器を作ったアルの親父も怪しいと思ったけど既に死んでたから、息子も何か知ってるんじゃないかと思って追ってたって事か、ややこしいな。

 ・・・でもおかしいな。その話だとヨドークスが殺されて犯人って分かる前にアルの親父さんは獄中で死んでたって事だろ?そもそもなんでこいつの親父さんは捕まったんだよ?」

『そ、それはわたしにも良く分からない…ほ、本当だ!と、当時、シャンタル様の欠片が奪われた直後、ヴィレメイン様によって少しでも事態に関係ありそうな人物は悉く連行されたらしいから、その関連だと思う…」

「誰だ?ヴィレメインって』

 聖女候補が現れた時にだけ置かれる大家令と言う特殊な役職などダナもアルドリッジも聞いたことがなかった。しかしアルドリッジに取ってはそのヴィレメインが父が死ぬきっかけを作った2番目の原因とも考えられる。

「要するに誰が犯人か分からないから手当たり次第捕まえた中にアルの親父さんも混ざってた訳か。で、死因は何なんだよ」

『た、確か…心臓発作だと聞いている』

「怪しいなぁ…どうせそのヨドークスってヤツが口を封じるために殺・・・」

 ダナはハッとしてゆっくりと顔を上げる。4人もの女を封印し、そのクリトリスを責めながら持ち歩いているという事実を知った時でさえ感じなかった恐怖を、アルドリッジに対して始めて感じる。

 人の生き死にに近いダナと違い、たった今気づかされるまでアルドリッジの頭には父親が殺されたかも知れないという考えが全く無かった。確かにその宰相が始めからシャンタルの身体を封印するつもりで五つの器を作らせたのだとしたら、自分とは別の王室関係者の命により逮捕された事知った後、取り調べが進む前に口を封じることにした可能性は大いにある。

 自分では気づいていないが、アルドリッジは激しい怒りの表情を浮かべていた。

「お、怒るなよそんなに…、何となくそんな気がしただけで、こいつもたぶんそこまでは知らないし…」

「分かってるよ。別に怒ってない。でもそういうことも考えられるなって思って…」

 ダナやパトリスに怒りを向けても意味が無いことは分かっていた。更に最も憎むべき張本人が既に何者かに暗殺されているとなると、報復を諦めるか、矛先を変えるしかない。

 アルドリッジは矛先を変えることを選んだ。

「じゃ、じゃあそろそろ寝るか?明日出発するんだろ?話ももうだいたい聞けたし・・・で、こいつどうする?外してやるか?」

「・・・いや、外さなくていいよ。でもちゃんと知りたいことは教えてくれたから、約束通りイかせてあげる」

 アルドリッジはダナがビラチーナを握ったままの箱に触れ、絶頂阻害術を取り除いてやる。眠れるかどうかは別にして、ダナの言うとおり今日はここまでにしたかった。

「ん?何したんだ?」

「イケなくする術を取ってあげたんだよ。そいつ、元々ヘザーに被さってたヤツだから20年以上生きてるんだよ。もう他に被せておくクリトリスがないから、外して殺しちゃうのは可哀想でしょ」

「…イカされまくるパトリスはいいのか・・・まあいいや、パトリスぅ~、もうイケるようになったってよ♫

 え?…外してくれって?だってお前、あぁん♫イきたいぃぃぃ~~~っ♫って言ってたよな?だから約束通りイかせてやるんだよ。」

 ダナは握りしめていた拳をいきなり開く。

『はっ!!??・・・あぁぁぁ~~~~っっっ!!!』

 圧力から解放されたビラチーナが動き始めた直後は2ヶ月続いた悪夢の再開でしかなかった。しかしその悪夢の元凶は今や取り払われている。

 胴体、繊毛、触手がクリトリスを悶えさせるという目的を果たすべく一斉に動き始める。一時間ほどの中断では鋭敏液による感度は下がっておらずすぐに弛緩液が分泌され、パトリスのクリトリスから一切の抵抗を奪う。

『ほぁぁぁ~~~っ!へっ、えへっ!はっ!?えっ!?あっあっあっ!イっ、イクっ!?イクぅぅぅっ???・・・イっイイイっ…イクぅぅぅぅぅ~~~~っっっ!!!』

 パトリスは2ヶ月ぶり、しかも直前状態を維持したまま休む間もなく高められ続けていた上での絶頂に達した。真っ暗な視界にバチバチと星が弾ける。

『イっ、イケたぁぁぁぁ~~~~っ♫♫♫んひぃぃぃ~っもっ、もっとぉぉぉ~~~~♫はぁぁ~~~っイクイクイクぅぅぅ~~~っ♫」

 責めを再開したビラチーナは立て続けにパトリスをイかせていく。焦らしに焦らされ続けていたパトリスは容赦のない無数の刺激を喜んでクリトリスで受け止めイカせて貰う。喜んでいるのはパトリスだけではなかった。何度、如何様に責めても走査で絶頂の神経発火を感知出来ずにいたビラチーナも漸くどの部分が多く快楽を感じ、どの部分に刺激が足りないのかを判別できるようになり、本領を発揮し始める。

『ひぃぃぃ~~~っイクイクイクぅぅぅ~~~~♫ずっとイかされるぅぅぅぅ~~~っ♫♫』

 ただし連続絶頂をパトリスが喜んでいられるのも今のうちだけだった。新ビラチーナの責めを絶頂を阻害された状態でしか経験していないパトリスは、この先1日に少なくとも1500回以上、最早回数で数えるに及ばない強制常時絶頂責めが待ち構えていることを知らない。

 パトリスの喘ぎ声を聞きながら、ダナは箱の蓋を閉じた。それでもまだ声が聞こえているため、耳から受心器も外す。

「ふぁ~あ…あ~おもしろかった。じゃ、もう寝ようぜ。明日は出発だし」

 寝台は2人分あり、ダナは当然の様にキレイなままの方に移動した。

 アルドリッジ散らかった寝具の上を片付けはランプの明かりを落としたが、まだ怒りが冷め切らず、結局明け方まで今後の方針について考えを巡らせ続けた。

「・・・おいアル、寝てる間に俺を封印したりするなよ?」

 目的地に早く着くことだけを考え選ばれた馬車はバパナの集落の中で最も小さく、繋げられる馬2頭は既に埋まっていた。

「この馬買ってくれないか?連れてけないんだよ」

 ギャエル達の馬車から盗んできた馬が必要ないと分かったダナは、厩舎番に売りつけようとする。盗んだモノなので放置していっても損はないが、盗族であるダナにとって盗んだモノを金に換えるのは当然の行為だった。

「買えなくはないけど…結構いい馬だぞ、こいつ。そんな急に大金は払えないよ」

「う~ん・・・じゃあ安くてもいいから。いくらなら買い取れる?」

 厩舎番の言い値で盗んだ馬を手放し、ダナは御者台に上がる。あと数日でムラドハナに到着するはずなので、アルドリッジはその間可能な限り町や村に立ち寄らずに済むように食料と、殆ど無くなりかけていた凝縮魔力をを買い込み、荷台に積む。

「買い忘れはないな?じゃあ出発するぞ!」

「うん、頼むよ」

 ダナは手綱を操り、馬を走らせ始める。

 予定より大幅に遅れているものの、アルドリッジは漸く念願の故郷に向かって進み始めた。

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