公衆トイレオナニー -個室編- (Pixiv Fanbox)

寒くなってきたと思ったが、少々厚着が過ぎたようだ

冬に差し掛かったとはいえ、昼間のランニングは夜に比べて随分と暑く、私の発汗は著しかった

ピッチリとまとったコンプレッションウェアの中は、ぐっしょりと汗まみれだ

私は足を止め、大きく鼻から息を吸い込んだ

ンンッ……！

思わず喉が唸った

僅かな隙間から立ち昇った汗は、私の逞しい筋肉成分をたっぷり吸い込んでキツイ臭いを発していた

これまでに何度が人とすれ違ったが、この臭いをこすり付けてしまってはいないだろうか

そのような迷惑行為、爽やかにランニングに興じたい私の主義に反してしまう

私は再び脚を動かし、急ぎ目的地を変更した

私は手近な公園を見つけると、一目散にトイレへと駆け込んだ

空いていた中央の個室を選び、狭く湿っぽい空間に閉じこもる

鍵を締めたのを確認し、私は纏っていた衣服を体から引き剥がした

胸板が迫り出し、下半身が自由になり、そして、ガチガチになった一物が露出した

この勃起は、きっと疲労のせいだろう、もしくは禁欲のためだろう、

走っている最中に、極稀にこうなってしまう

臭いだけでも困りものだが、このままでは誰かの目にはっきりと勃起を見られてしまう

日本製のトレーニングウェアでは私の肉体をゆったり覆うことなどできないため、私の股ぐらは少々主張する形になってしまっている

勃起などしては、遠間からでも丸わかりに違いない

つまり、ここで処理していくしかない、ということだ

こんなところでオナニーなど、性欲の有り余った若者のようだ

情けないことだ

しかし仕方がないことだ

こんな姿で表を歩くわけには行かない

ハァ……あぁ……

私は少し股を開くと、声を押し殺しながら竿を揉み始めた

気持ちよさがじわじわと下半身に広がっていく

処理していかなければ

勃起を収めなければ

これは使命なのだ

外はまだ子どもも遊ぶような時間帯で、私の煽情的な姿が悪影響を及ぼさないとも限らない

………

そうかまだ子どもたちが遊んでいるような時間なのか……

私は改めて、隣の個室のことを思い出した

扉は締まっていた

つまり、人が入っているということだ

私は竿を上下に擦っていた手を止め、息を殺した

まさか、私が隣でオナニーをしていようとは思わないだろうが、もしも、もし仮に、息を潜めて耳を澄ませたらどうだろうか

私は恐ろしい想像をしてしまったが、それでも股間のいち持つは萎えなかった

胸が高鳴っていた、顔が熱くなってきた

ああ、バレてしまったらどうしよう

いや、バレていたらどうしよう

全裸でオナニーをしているのは、やむやまれぬ事情があるのだ

などと説明を聞いてもらえるわけがない

公園の便所で全裸でチンポシコシコセンズリしている筋肉男は

傍から見ればどうあっても変態だ

私はなるべく音がでないよう、我慢しながらオナニーを再開した

「ん……ふぅ、んん～……はぁ、ハァハァ、フゥー……！」

わざとではないんだ、つい、ああ、でも手が激しく動いてしまう

気持ちよさが堪えられない

声が大きくなってしまう

先走り汁でクチュっとたまに音が出てしまう

臭いが……臭いもマズイ

この男性的なムスクは、トイレの悪臭とはまた別の濃さだ

私は、私自身が空気中に拡散される錯覚すら覚えはじめた

汗と一緒に私が細かい粒子となり、広がっていき、誰かの鼻腔な口腔へと入っていくのだ

股間からでた雄汁が、腋からこみ上げた汗が、足から登る臭いが

雄臭さの塊たる私が、便所中……いや、公園中に

「ん、オッ！　おうぅ……！！」

街中に、日本中に、世界中に私が散っていく

すべてを見られ、感じ取られ、嗅がれてしまう

ある人は眉を潜め、またある人は目を瞬かせる

世界に私が交じるような感覚と共に、最大の快感が私の脳を貫いた

ああ、射精――出る、出る、出る

「オッォオオ……！」

私はうめき、ガクガクと脚を震わせた

床をステップするように、べたんべたんと踏み抜いて

便器の中に重たい精液をべたりべたりとうちつけた

射精しながらも手が止まらずぐちょぐちょと粘っこい音がチンポから鳴った

ああやってしまった

すごい音だ

ひどいニオイだ

だが便所オナニーを開始してから結構立っている気がする

隣の人も……もういないんじゃあないだろうか

『うわっ……マジかよ』

小さい声が隣から聞こえ

扉が引き、遠ざかる足音が聞こえた

「あぁあ……」

私は射精をしながらも、もう一度金玉の奥の奥から精液を噴き出した