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 どこにでもいるような、平凡な見た目の高校生。田畑正明は、ある特殊能力を持っていた。それは、肉体から抜け出し、魂だけであらゆる場所へと行くことができる──いわゆる幽体離脱である。それに加え、意識が眠っている状態の人間に魂を重ねると、その肉体に憑依することもできた。

 筋肉質な男性が性の対象である彼は、たびたび夜の町を飛び回ると、好みである高校の同級生や近所で見かけた逞しい男の肉体に乗り移り、鏡にその姿を映して自慰行為を行う日々を送っていた。

 これまでに幾度となく、憑依した肉体を永遠に自分のモノにしたいと考えたこともあったが、肉体の本来の持ち主の魂が体内に存在しているために、彼の魂は異物として一時間ほどで排除されてしまう。タイプの男性に憑依する度に、どこかもどかしい感情を抱きつつも、仕方ないと彼は諦めていた。


 そんな彼の耳に、ある日届いた噂話。それは、魂を肉体から分離する道具があるというものだった。その名は【離魂棒(りこんぼう)】。幸運なことに、その道具は彼の住む町からそう遠くはない神社に奉納されている、ご神体だった。自分と同じような能力を持った道具が存在するというのは、にわかには信じがたかったが、本物であれば念願を叶えることができる。

 深夜、いつものように肉体から抜け出した正明は、乗っ取る相手をその神社の宮司に定めて、境内に降り立った。



 ある日の放課後、体育教官室へと戻った体育教師の高垣泰輔は、訝し気に思いながらソファーで横たわっている生徒の肩を揺さぶった。見覚えがある生徒だが、それほど親しい仲ではなく、この場で眠りこけている理由に見当がつかない。


「おい、起きろ田畑っ!」


 かなり強く身体を揺らしても、反応はない。何かの病気だろうか? そう考え、職員室へと人を呼びに行こうとした時だった。正明が胸元に大事そうに抱き締めている、ピンク色のこけしのようなものが目に入った。それはどこか男性の象徴にも似ていて、卑猥な造形をしている。


(なんだ、これは……?)


 初めて見る奇妙な物体になぜか興味を惹かれた高垣は、思わずそれを手に取ってしまった。見た目は簡素なものだが、不思議と禍々しい雰囲気を感じる。その時、突然高垣の肉体がビクンと痙攣するように震えると、彼は意識を失って膝から崩れ落ちた。



(う~ん、俺は気を失ってたのか? 何だったんださっきのは……)


 自身の肉体にどこか違和感を覚えながら、高垣は意識を取り戻した。クラクラとする頭を掌で撫でようとする。だが、意識があるはずの彼の体は一ミリも動かすことができなかった。


(なっ、なんだ? 体が動かない!?)


 驚き戸惑う彼をよそに、彼の肉体が勝手に動き出した。目の前で分厚く大きな両手の平を広げると、確かめるようにじっと見つめながら指先を動かす。そしておもむろにその武骨な手は、顔や体をまさぐり始めた。その手の動かし方はどこか艶めかしく、まるで自分の身体に欲情しているかのような手付きである。

 鍛え上げて谷間ができるほどに盛り上がった胸板を揉みしだくと、後ろに大きく迫り出した臀部から大木の幹のような太腿へと骨太の指先を這わせていく。低く甘い声が口から漏れ、口角が上がっていき、自分が笑っているのだと高垣は感じ取った。


 そうこうしているうちに、股間にぶら下がっている彼の大振りのイチモツは熱を帯び始め、ズボンはテントを張って盛り上がっていた。割れた腹筋に触れていた指がズボンの中に差し込まれると、そのままそれはボクサーパンツの中へと滑り込んでいき、硬く反り返る肉棒に触れる。自分の指先が触れているのにもかかわらず、他人に撫でられているような感覚に困惑してしまう。竿の部分だけではなく、亀頭までその大きな掌で包み込まれてしまうと、快感が脳天を突き抜けた。


 高垣の意思に反し、彼の手はその後も勝手に動き続ける。彼の右手が陰茎から離れ、ゆっくりと玉袋のほうへと伸びていき、二つの球体を同時に鷲掴みにして揉み始める。一方で、左手は汗に濡れ始めたシャツの下に潜り込み、厚い胸板の上で主張していた乳首を摘まむと、優しく愛撫し始めた。


(やっ、止めてくれ! 俺の体ぁっ!!)


 高垣の心の声が響く中、彼の手付きはさらに激しさを増していく。胸を揉んでいた左手が離れ、今度は重量感のある尻を掴むと、その形を確かめるように円を描きながら撫で回していく。同時に、右の手は未だ硬くなった陰茎を握りしめたままで、ゆっくりと上下に扱き始めていた。その動作は徐々に加速し、口から出る吐息は次第に荒々しくなり、鼻腔が膨らんでいく。体が火照り、顔が熱くなる。己の表情が悦楽の虜になったかのように緩みきっているのが、見えずとも彼に伝わってくる。


(あっああ゛あぁぁっ!!!)


 勃起した竿の先からはトロトロと先走りが溢れ出し、パンツに染みが広がっていく。自分の意識ではない何かによって射精させられてしまう──。そう感じた瞬間、急に高垣の身体が動きを止めた。乱れた呼吸を整えるように肩が上下し、ドクドクと脈打っていた勃起マラが萎えていく。

 ひときわ大きなため息が漏れ出すと、彼の重い口が開いた。


「先生、どうですか? 体を乗っ取られて、チンポを弄られる気分は?」


(なっ、お前はいったい誰なんだ?! もしかして田畑なのか? お前、俺の体に何をしたっ!)


「そんなに怒らないでくださいよ~。ちょっと先生の体を借りてるだけじゃないですか」


(怒るに決まってるだろうっ! 早く俺の中から出ていけっ!!)


「酷いなあ。そんなに言わなくてもすぐに離れてあげますよ、すぐにね……」


 再び、高垣の体が彼の意思に反して動き出すと、先ほど彼が手に取ったピンク色のこけしを握り締めた。手に持ったそれは木の棒のような見た目なのにもかかわらず、まるで生き物のように熱を持ち、ピクピクと震えている。高垣の肉体を操る正明はズボンを脱ぎ捨てると、横たわっている正明の体を地面に下ろし、ソファーの上に寝転がってそのこけしを尻の穴にあてがった。


(なっ、何やってるんだお前!? そんなモノが俺のケツに入るわけが……)


 高垣の言葉など意にも介さず、彼の肉体は息を吐きながら、腰を落としていった。驚くことに、弄ったことなど一度もない硬く窄まったはずの彼の菊穴は、巨大な異物を受け入れるために広がっていき、腸内は飲み込まれた木の棒で埋め尽くされていく。

 やがて根元まで入ったことを確認すると、彼の体はゆっくりとそれを抜き差しし始めた。それと同時に高垣の身体が大きく痙攣すると、その口から野太い喘ぎ声が発せられる。まるで獣のような声で呻くと、彼の顔は徐々に紅潮し、快楽に染まっていく。こけしの先端からはまるで精液のような真っ白な樹液が溢れ出し、激しい抽送が繰り返されることによる快感で、彼の身体はビクビクと跳ね上がる。


(やめろぉおおおっ!!! 頼むから、こんなの……んお゛おぉぉっ♥♥)


 彼の懇願は聞き入れられず、さらにピストン運動の速度は上がっていく。手がこけしから離れても、それは動きを止めることなく、意思を持った生物のようにそのまま彼のアナルを攻め続ける。体内の肉が擦り上げられ、前立腺を押しつぶされる快感に、彼の口からは舌が垂れ、その先から涎が滴り落ちる。


(イグッ、イ゛ッぢまうぅっ!! ダメだ、これ以上されたら俺の体、本当におかしくなっちまうよおぉぉっ♥♥)


 ごつごつとした指がソファーを掻きむしり、丸太のように太い足がバタバタと暴れ回る。


「ンイ゛イ゛ッ!!」


 激しかった足の動きがピタリと止むと、彼は全身を大きく弓なりに仰け反らせ、声にならない悲鳴を上げた。腰が天に向かって突き出され、そそり立った肉棒がブルリと大きく震える。次の瞬間、その先端からビュルビュルと真っ白な液体が飛び出した。火山の噴火を思わせるその射精は、高垣の意思とは無関係に止まることなく続く。その間も彼の肉体は小刻みに痙攣を繰り返し、その表情は完全に蕩けたように緩みきっていた。



「先生、起きてください」


 またしても意識を失っていた高垣は、正明の声で意識を取り戻した。自分の体をようやく動かせるようになったのか──、ホッとした矢先、彼は再び奈落の底へと叩き落とされた。幽体となりフワフワと中空に浮かびながら、自身の肉体が眼下で横たわっているのを目の当たりにしたのだから。それも正明の魂と混ざり合った状態で。


 【離魂棒】──正明の手に入れたご神体は、高垣のアナルに挿入されたことでその力を発揮し、肉体から魂を排出した。ただし、肉体に宿った二つの魂を、一つと勘違いしてしまったのだ。


「き、気持ち悪いっ……。もう、耐えられん! 早く、俺の中から出ていってくれぇ!!」


 その言葉を合図に、大きな一つの塊となった魂がぐにゃぐにゃと蠢く。しばらくしてその中から吐き出された塊は、痩せぎすの正明の肉体と同じ形をした魂に。そして残った方の大きな塊は、形をゆっくりと変えながら高垣の肉体と同じ形をした魂へと変わっていった。


「いやぁ、初めてで上手くいくか不安だったが、どうやら綺麗に分離できたようだな♥」


 野太い声で呟くと、高垣は歪んだ笑みを浮かべながら、髭の生えた四角い顎を満足そうに撫でた。


「……ど、どうなってるんですか?! なんで僕が目の前に! 田畑……、今僕は田畑正明になっているんですか?! 冗談はよしてくださいっ、早く元に戻してくださいよッ!!」


 マッチョな体付きをした高垣の足元に、正明が縋りつく。その顔は青ざめ、額には脂汗が滲んでいる。


「おぉっ、頑張るじゃないか……! 姿だけじゃなく記憶や話し方、癖さえも魂から吸い取ったつもりだったが、まだ残りカスが残っていたようだな」


 高垣は大きな掌を正明の頭へと伸ばすと、ドクドクと音を立てて彼の魂から残った全ての記憶を吸収していく。魂から魂へと情報が伝わる感覚は凄まじい快感をもたらすようで、高垣の肉棒は血管を浮き上がらせながらビンビンといきり立ち、腹に触れるほどに反り返っている。


「あっ、あっ……ああ゛あ゛ッ……♥♥ い、嫌だあぁぁぁ!!」


 魂の状態であるため射精することはなかったが、正明は極限にまでペニスを勃起させている。記憶が奪われる。自分が自分でなくなる。恐怖に頭の中が支配されていく。だというのに、彼の魂は芯の奥底からそれを望み、悦びを感じている。


「僕……が高垣泰輔なんだ……。その体が僕の……!」


 高垣の手を振り払った正明は、高垣泰輔の肉体に自分の魂を重ね、その中へと戻ろうとしたがすり抜けてしまった。何度も入ろうとしたが叶わず、言い知れぬどす黒い不安感に心は塗り潰され、彼は絶望の表情を浮かべた。

 涙で目の前が滲み、皮被りのペニスからは我慢汁がとうとうと溢れ出している。


「魂と肉体の形が一緒じゃないんだ。【他人】のお前が、俺の体に入れるわけがないだろう? ほら、お前の体はこっちだ。もう二度と俺の体に入って来ようとなんてするんじゃないぞ♥」


 高垣はそう言うと、床に転がっている正明の肉体の中へ、正明の姿をした魂を押し込み始めた。


「うわあああっ! やめっ、やめろぉっ!! やめてくれえっ!! これは僕の、僕の体じゃないぃっ!!!」


 正明の姿をした魂は異様な力でグイグイと押され、徐々に正明の肉体の中へと沈んでゆく。必死に抗おうとするが、高垣の力の強さの前にはなす術もなく、ドプリと音を立てるとその全てが体の中に呑み込まれてしまった。


「ふうぅ……、これでよしっと」


 大きく息を吐くと、高垣はニタリと不敵な笑顔を浮かべた。そして、自らの魂を高垣の肉体の中へと沈めていく。


「おほぉっ♥ 肉体と魂の形が一致した状態で新しい体に入ると、こんなにも気持ちが良いのかっ♥♥ 違和感も全くないな。最初から俺が高垣泰輔だったような……、いや生まれてからこれまでの記憶がある俺こそが、もう高垣泰輔だ♥」


 高垣の姿をした魂の足が、腕が、イチモツが【高垣泰輔】の肉体と重なっていく。最後に頭が重なり合うと、同じ姿をした魂と肉体は完全に同化してしまった。


「先生の……、いや、【俺の体】。チンポもマンコも感じやすくて、最高のエロボディだぜ♥」


 新たに【高垣泰輔】の肉体を操作することとなった男は、上体を起こして全身をまさぐると、頬を紅潮させて熱い吐息を漏らした。



「おい、起きろ田畑っ!」


「あ、あれ、ここは? なんで僕こんなところで……?」


 体を揺すられた正明は、目を覚ました。なぜ自分が体育教官室のソファーで眠っていたのか、記憶が曖昧で思い出せない。ぼんやりとしていると、体育教師の高垣が顔を覗き込んできた。彼の精悍な顔はほんのりと赤らみ、シャツは汗ばんで肌が透け、股間がモッコリと膨らんでいる。それに加えて漂ってくる、雄臭い精液のような香り。まさか、この部屋でオナニーでもしていたのだろうか。


「大丈夫か? なんだか、ぼーっとしてるみたいだが……。体調が悪いなら親御さん呼んで、迎えに来てもらうか?」


「いや、大丈夫です! たぶん寝不足なだけですから……」


 正明は慌てて立ち上がり、家に帰ろうとした。だが扉に手をかけたところで、突然後ろから高垣に抱きすくめられた。勃起して硬くなったイチモツが、ズボン越しに尻に擦り付けられ、分厚い掌が正明の股間を優しく撫で回してくる。むせ返るような男の匂いが鼻腔をくすぐり、正明の心臓が激しく鼓動し始める。


「ちょ、ちょっと先生ッ!? いきなり何するんですか……!!」


「何って……、お前俺のことが好きなんだろ? せっかく二人きりになれたんだ。さっき一発出したところで、まだヌキ足りないと思ってたところなんだ。田畑、相手してくれるよな?」


 荒い鼻息が首筋に吹きかかり、ゾクゾクとした感覚が背筋を駆け抜ける。尻に押し付けられている肉棒がビクビクと脈打っているのが伝わってきて、正明の皮被りのチンポもムクムクと太さを増していく。彼は返事をする間もなく、ソファーの上へと押し倒された。ベルトを外され、スラックスを脱がされると、高垣もまたジャージのズボンとパンツをずり下ろして、怒張したズル剥けの肉棒を取り出した。

 どこか恍惚とした表情でそそり立つチンポを弄っている高垣を見ていると、既視感のようなものを覚えてしまう。夢にまで見た好きな相手のイチモツなのに、見たことがあるような。それどころか毎日触っていたような──。


「ほら、お前の大好きな俺のちんこだぞ? 嬉しいだろう? もっと近くで見たいよなぁ? 舐めてもいいんだぞぉ♥」


「は、はい……」


 言われるがままに、高垣の立派なイチモツに顔を近付けると、ほんのりと漂っていただけの精液の匂いが混じった雄臭さが強くなる。どこか懐かしさを感じさせるその香りに、胸の奥が疼いてくる。自分の体が、魂が目の前の男の体を、チンポを求めている。気付けば、正明は硬くなった高垣の竿を手に取り、舌を伸ばしていた。


「んふぅ……♥ はむっ、ちゅぷ……、はぁ、ああっ……♥」


 亀頭をチロチロと刺激すると塩気を含んだ先走り汁が溢れ出し、それを一滴たりとも逃さないようにと、正明は舌先を使って舐め回す。生暖かい口内の粘膜に包まれたことで、高垣のモノはさらに膨張し、今にも破裂してしまいそうなほどパンパンになっている。そしてそれは、正明も同じだった。高垣は正明の口内からペニスを抜き出すと、大きな掌で二人のイチモツを包み込み、上下に扱き始めた。


「フンッフンッ……オラッ! どうだ田畑、俺のチンポは? お前が大好きな体育教師の、高垣先生のおチンポはよぉっ!」


「うぐぅっ! 好きっ……、大好きですっ……先生のチンポ! 先生の体っ!! ああ、気持ち良いぃぃ……っ!!!」


 男らしく太い指が絡みつき、絶妙な力加減で扱かれる。憧れの体育教師の肉棒の熱が、兜合わせで伝わってくる。カリ首同士が擦れ合い、裏筋を刺激し合って、あまりの快感に脳髄が痺れるような錯覚すら覚える。そして高垣は親指で鈴口を割り開きながら刺激を加え、勢いよく手淫を繰り返す。絶頂の予感に腰が小刻みに動き、玉袋が持ち上がると、二人の肉棒は同時に大きく震えた。


「「イクッ、イッぐう゛ぅぅぅッ!!!!」」


 二本の竿から、ドプドプと大量のザーメンが吐き出される。二人の精液は混ざり合い、ドロリとした塊となって互いの顔や体を汚していく。あまりの快感に目の前がチカチカと明滅し、頭の中が痺れる感覚に襲われる。多幸感で満たされ始めた、その時だった。正明は強烈な刺激によって、記憶を取り戻した。目の前でニヤニヤと笑みを浮かべている厳つい顔の体育教師が、ついさっきまでの自分だったこと。自分の肉体が彼によって奪われてしまったことを。


「田畑、貴様ぁっ!!」


 激情のままに立ち上がろうとしたが、足元をふらつかせてしまい、倒れそうになったところを高垣に支えられる。かつての自分の腕の中は心地よく、このまま身を委ねてしまいたいという誘惑を振り払い、なんとか自力で体勢を立て直した。


「おいおい大丈夫か、田畑? どうしたんだ急に、俺のことを自分の名前でなんて呼んで」


「くそっ! やめろ、俺の振りなんかしやがって! 元に戻せ、田畑っ!!」


 高垣は驚いたような態度を見せていたが、次第にその表情は崩れ、とうとう声を上げて笑い始めた。


「くっくっく……。先生が記憶を取り戻すなんて、予想外ですよ。チンポなんて弄らずに、さっさと帰しておけば良かったかな?」


 教師とは思えないような下卑た表情を見せる高垣は、正明の顔を掴んで無理やり唇を重ねてきた。記憶の戻った彼にとっては、自分とのキスだ。気味が悪い。そう思いたかった。だが、その思いとは裏腹に魂はかつての自分の体と一つになりたいと、その肉体を求めてしまう。彼の意思に反して、萎え始めていたイチモツが再び勃起する。

 それを見た高垣は口角を上げると、歯をこじ開けて舌を差し込んできた。強引に舌を絡められ、唾液を流し込まれる度に、魂が歓喜に震える。もっと、もっと本来の自分のDNAを摂取したいと、肉体が叫んでいる。


「あぁ……先生♥」


 気付けば正明は、自分の肉体を奪い取り、操っている憎い相手のことを、【先生】と呼んでいた。唾液だけでは我慢できず、肌に滴る汗を舌で舐め取り、肉棒にしゃぶりつく。元の自分に戻りたい。体育教師だった自分が愛おしい。愛する高垣泰輔のチンポが欲しい──。

 かつての自分の遺伝子を摂取する度に、【高垣泰輔】であった頃の記憶が、【田畑正明】の記憶に汚染されていく。高垣のイチモツから溢れるしょっぱ苦い先走りを舐めれば舐めるほど、正明のモノも上下しながら透明の汁を垂れ流す。


「いいぞ先生、そのまま【俺】のチンポを味わって、【田畑正明】になってくれ♥」


 高垣は肉体を入れ替えてから、最も興奮していた。今しがたまでの自分の姿をした男──【田畑正明】が【高垣泰輔】のズル剥けのチンポをしゃぶっている。それだけでも気分が高揚するというのに、目の前の男は【高垣泰輔】であった頃の記憶を取り戻した状態だというのに、先ほどまでの自分のチンポをうっとりとした顔で頬張っているのだ。このあまりにも倒錯的な状況に、頭の中はおかしくなりそうなほどの多幸感に包まれ、脳が蕩けてしまいそうになる。

 正明の手の動きが早くなるのとともに、顔を前後させるスピードが上がっていく。精液を喉奥で受け止めようとしているのだろう。もう一方の手では、自分のペニスを握り締めて扱き上げている。そんな様子を見せられては、もう限界だった。


「うお゛お゛ぉぉっ!! 田畑ぁ!でる、出るぞぉ……っ♥♥♥」


 ビュルルルーー!! ドピュドピュッ、ドプッ、ドクンドクンッ!!


「んむ゛っ! んぶぅぅッ♥♥」


 勢いよく飛び出した熱いザーメンはあまりにも量が多く、正明の口から溢れ出し、胸元を伝ってボタボタと地面に垂れ落ちていく。一滴でも多く嚥下しようと、ゴクゴクと喉を鳴らしていた彼も自分のモノを扱いていた手の動きを止めると、全身を震わせて粗末なチンポからビュルビュルと精子を撒き散らした。


(うああ゛ぁ、出ちゃうぅっ!!【僕】の短小包茎チンポから、ガキ臭い精子が……♥♥)


 正明の肉体へと閉じ込められた【高垣泰輔】の魂は、もはやかつての自分の肉体の虜だった。ヘコヘコと腰を動かし、丸太のような高垣の太腿に粗末な自分のチンポを擦り付け、ザーメンを塗りたくっていく。まるで犬のように無様なその姿を見て、高垣は満足気に微笑んだ。


「それじゃあ、田畑~。お待ちかねの先生のおチンポミルクを、お前のケツの穴に注ぐ時間だぞぉ~♥」


「は、はいっ、高垣先生ぇ♥ お願いしますっ! 先生の濃い大人のおチンポミルク、僕に恵んでくださいぃっ!」


 高垣が勃起した竿をブラブラと見せつけるように突き出すと、正明は両手で自分の尻を掴み、餌を欲しがる犬のような顔付きでアナルを広げた。普段からディルドで拡張されているそこは、ヒクつきながら雄を求める雌穴と化している。高垣はニヤリと笑うと、その剛直を穴の周りに擦り付けるが、焦らすように挿入はしない。


「うぅ……先生っ! 早く、先生の大人チンポ、僕の中に挿れてくださいよぉ……♥」


「おいおい、田畑。さっきまでの威勢の良さはどうした? 先生は悲しいぞ。せっかくお前は【高垣泰輔】の記憶を取り戻したっていうのに、また忘れちまったのか? お前は本当に、自分のチンポで犯されてもいいのかぁ?」


「う、うわああ゛あ゛ぁ!! 言われなくてもわかってる!わかってるんだ……でも、やめてくれぇ! 俺はもう、田畑でいい……。楽になりたい、気持ち良くなりたい。欲しいんだチンポが……、大好きな【俺】のチンポが欲しいんだぁ!!」


 苦痛に顔を歪ませた正明は、高垣の硬くなった肉棒を手で掴むと、ゾブリと音を立てて自身の穴の中へと誘っていく。


「はああぁっ、入ってくるぅ♥ 先生のチンポぉ、僕のケツマンコに入ってくるぅぅう♥♥」


「くっくっく、やっと素直になったか、田畑。良いマンコだぞぉ、お前のケツは♥ ほら、もっと力を抜けよ、田畑ぁ……♥」


 頭の中には蘇った記憶は未だにありありと残っていて、自分のチンポに犯されていることに対しての嫌悪感は湧いてくる。だが、そんな感情を彼は無視するしかなかった。すでに【田畑正明】に侵食された魂は、逞しい男に──かつての自分に抱かれ、ケツ穴の中を蹂躙されたいという欲望に屈してしまっていたのだ。

 かつての教え子が自分の肉体を奪い、体育教師の【高垣泰輔】となって自分を犯し、肛門の中に硬くなったチンポを出し入れしている。その有り得ない状況に、今の自分の肉体は興奮している。もっと、もっと欲しい、自分のチンポが。大好きな体育教師である【高垣泰輔】のチンポが──。


 正明は高垣に抱き付くと、激しく腰を上下し始めた。彼の割れた腹筋の前で、見慣れているのに見慣れない自分のチンポが、ブルンブルンと跳ねている。自ら根元まで太いチンポを咥え込み、カリ首ギリギリのところまで引き抜くと、再び奥深くへ飲み込んでいく。その度に腸壁がズリズリと擦られていき、あまりの快感に意識を持っていかれそうになる。


「おおっ、イイッ♥ 田畑ぁ、最高だぞ……!! ケツの締め具合もバッチリだ♥ この日のために、毎晩練習してきたんだもんなぁ」


「あひぃっ♥ はいっ、そうですっ♥ 先生に満足してもらうために、毎晩ディルドでケツ穴開発してきたんですぅっ♥♥」


 実際に夜な夜なディルドでアナニーを繰り返してきたのは、本来の【田畑正明】だ。だが、肉体を入れ替えて正明となった彼の脳にも、その日々の記憶が焼き付いている。彼は練習通りに高垣のイチモツを下の口で奉仕しながら、上の口は高垣の唇に吸い付き、舌を絡めていく。


「んっ、ちゅぱぁ……♥ むふぅ、先生……」


「んむぅ♥ ぷはぁ、田畑。先生のキスは美味いか? お前の大好きな大人の味だろう?」


「はい、大好きなおチンポミルクと同じぐらい、先生とのベロチューは最高です♥ もし良かったら、先生の腋の匂いも嗅ぎたいです♥」


 高垣は笑みを浮かべながら首肯すると、筋肉のみっちりと詰まった腕を上げて毛が鬱蒼と生えた腋を正明の目に晒した。汗ばんだその腋の毛は艶々と輝き、雄臭い体臭が漂ってくる。正明はその蒸れた空間に顔を埋めると、大きく息を吸って肺いっぱいに高垣の香りを取り込んだ。ツンとした酸っぱいような刺激的な匂い。だが懐かしさを感じさせるその匂いが正明の鼻腔をくすぐり、脳髄を痺れさせる。


「ああぁっ、先生の匂い、凄すぎますよぉ……♥」


「おいおい、俺の体は加齢臭でもするのかぁ? これからずっとこの肉体で過ごすってのに、恥ずかしいじゃないか♥」


 そう愚痴る高垣だが、その顔からは気恥ずかしさなど感じられず、むしろ紅潮したその表情は悦びに満ち溢れている。大好きな男の肉体になれたのだ。匂いの強い体臭ですら愛おしい。彼はもう一方の腋も露わにすると、鼻腔を膨らませて自分の腋臭を嗅ぎ始めた。


(ハァァ、臭い♥♥ 高垣先生の──俺の腋、臭過ぎて興奮しちまうよぉ♥)


 自分の体から発せられる強烈な体臭。それは紛れもなく自分のものなのだが、それが高垣のものだと考えると、途端に淫靡なものへと変わってしまう。これからこの匂いを生徒達に嗅がれ、臭いと噂されるのではないかと想像すると、ゾクゾクとしてくる。そんな変態的思考すら、今の彼にとっては立派な興奮材料だ。


(俺、顔も体もチンポも、頭の中身や匂いまで全部、先生のものになっちまった……最高に幸せだっ♥♥)


 頭のてっぺんから足の爪先まで【高垣泰輔】に染まりきった悦びに浸ると、目の前のかつての自分の肉体を押し倒し、その両足を肩に乗せて激しく腰を振り始めた。

 夕日で染まり始めた体育教官室の中に、肌がぶつかり合う音だけが響いている。かつての自分の肉体の中に肉棒を出し入れしているという背徳感。かつての自分が今、こうして教師となった自分──【高垣泰輔】に犯されているという現実。全てが快感に繋がっていき、肉体を激しく動かしていく。


 正明もまた、先ほどまでの自分の姿をした人間に肉体を弄ばれることに、言いようのない悦びを感じ続けていた。あまりの気持ち良さから、ペニスをビクビクと震わせながら我慢汁を垂れ流し、彼の上半身はすでに透明の汁でビショビショになっている。目の前に居るのはさっきまでの自分だというのに、夕日を浴びたその精悍な顔があまりにも魅力的で、見惚れてしまう。


「先生っ♥ ケツ穴、イイですぅッ!! 先生の太いので、もっと突いてくださいぃっ♥」


「いいぞ、その調子だ田畑♥ お前が俺のことを好きな【田畑正明】になっていくところ、めちゃくちゃ興奮するぞぉ!! そろそろ一発目を出してやるからな、力いっぱい締め付けてくれ!!」


「わかりました、先生っ♥ 先生の精子♥♥ 【俺】のモノだったチンポで! 僕にたっぷり種付けしてくださいぃっ♥♥」


 高垣はゴツゴツとした両手で正明の尻を掴むと、勢いよく腰を突き出し、彼の肛門の奥深くまでその太竿をぶち込んだ。ブヂュウという大きく淫猥な水音を立てて、最大限にまで膨張した勃起マラが根元まで突き刺さる。それと同時に、高垣はその大きな掌の中で臀部を握りつぶすかのように思い切り力を込めた。


「キツキツマンコ最高だぞ、田畑っ♥♥ 出すぞッ!! とびっきりに濃いやつを♥♥♥」


 ドビュウッ!! ビュルルルビュルルゥーーーーッ!!!!!!


 高垣は野太い絶叫とともに、その張り詰めたイチモツを震わせると、正明の腸内へと思い切り発射した。大量のザーメンが正明の腹を満たし、熱い奔流が腸壁の中を駆け上がっていく。そのあまりの熱量に応えるように、彼の全身も打ち震え、勃起しても皮を被ったままのペニスから雄汁を放出させる。二人は蕩けたような表情で過去の自分を強く抱き締めると、何度も何度も濃い精液を吐き出し続けた。


(了)



以下、衣服無し、文字無しの差分イラストです




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