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「お前ら、今日はサッカーだ。私はここで見てるから、適当にやっとけ──」


 生徒たちにそう告げると、康介はグラウンド脇のコンクリートの段差に腰を掛けて、ため息を吐いた。彼、室伏康介は高校の体育教師である。だが、かつては別の名前、別の肉体でまったく違う人生を歩んでいた。彼はその人生を捨て、肉体を入れ替える薬を使用して、【室伏康介】の肉体と自分の肉体を入れ替えたのだった。


 肉体を入れ替えた当初は、毎日が興奮のるつぼだった。あらゆる刺激が彼に新鮮さを与え、頑強で知能も高くなった康介の肉体と脳を使用すれば、今までできなかったことも容易くできるようになっていたからだ。初めのうちは妻の目を盗み、ハッテン場へと出掛けては好みのガチムチ野郎との性行為に及んだり、鏡に自身の肉体を映してナルシストのような自慰行為に耽ることもあった。

 妻とのセックスにも始めは戸惑いがあったが、愛する妻とどうまぐわえば良いかは、肉体がしっかりと覚えていて、初めての女性との性行為でも彼女を満足させることができた。

 幸せだった。この生活がずっと続くことを心から望んだ──、はずだった。


 しかし、しばらくすると、そんな高揚感も徐々に薄らいでいった。今の肉体と彼の心は、すでに完全に馴染みきってしまい、他人の肉体を操っているという感覚ももはや薄らいでいる。新鮮だと思えていた日々は終焉を迎え、この身体は生まれたときから自分のモノだった──、そんな感覚さえするようになっていた。

 そして、今ではこうして授業中や放課後になると、一人になりたくて仕方がなくなっている。


(こんなはずじゃ、なかったんだがな……)


 妻のことも娘のことも愛している。だが、それは彼にとっては仮初の愛で、所詮は本当に自分が心の底から愛した相手ではない。そう感じた瞬間から、彼の心の中に、ぽっかりと穴の開いたような虚無感が生まれていた。


「先生ー! ボール蹴ってくれよ!」


 不意に聞こえてきた声に反応して顔を上げると、ひときわ体格の良い男子生徒がニッカリと笑顔を浮かべて、手を振っていた。

 彼は康介が監督を務めるラグビー部の主将で、康介が担任をしているクラスの生徒でもある、蔵元豪だ。高校生とは思えないほどに大人びた精悍な顔立ちで、体つきも他の生徒と比べても一回り以上大きい。康介ほどではないが胸板も分厚く、何より尻がムッチリと大きいのが特徴的だった。


「ああ、いくぞ──」


 康介は立ち上がると、足元に転がってきたボールを彼の方へと蹴り返した。

 豪にはボールを扱うセンスがあるのか、彼がボールを蹴り出すたびに面白いようにゴールネットへと吸い込まれていく。運動神経が良いだけでなく、身体能力も高いようだ。それだけではなく、周りにいる生徒たちにも目を配りながらプレーしており、チームを率いるリーダーとしての素質もあるらしい。将来有望な選手になるだろう。


「よし、そろそろ休憩するか。水分補給しっかりしろよー」


「えぇ~? まだやりたいんだけど……」


 不満そうな顔をする豪だったが、「ダメだ」と言うと渋々といった様子でボトルを手に取った。すると、それに呼応するように他の生徒たちも動き出し、それぞれ思い思いの場所へ散っていく。


「先生、こっち来て一緒に座ろうぜ」


 その仕草があまりにも自然で、康介は豪に誘われるがまま、彼の隣に腰を掛けた。


「先生、今日暇?」


「ん? まぁ特に用事はないが……」


「なら、今日先生の家に遊びに行ってもいい?」


「あ、ああ……。まあ、週末で嫁さんも子供を連れて実家に遊びに帰るから、別に構わんが……」


 康介が答えると、豪の顔がパァッと明るくなった。


「やった! じゃあ、また後でね!」


 嬉しそうに笑うと、豪は他の生徒たちのほうへと駆けていった。その様子を見送りながら、康介は不敵な笑みを浮かべた。この体にも飽きて、興奮することも少なくなった。そろそろ良い頃合いかもしれない。幸い、肉体を入れ替える薬は未だ手元にいくつか残っている。

 康介は次のターゲットである男の、若さ溢れる逞しい背中と、肉付きの良い下半身を見つめながら舌なめずりをした。


 しばらくして、授業の終了を告げるチャイムが鳴ると、康介の合図をきっかけに生徒たちはそれぞれ教室へと戻り始めた。



「おじゃましまーす」


 放課後、部活の指導を終えて雑用を手早く済ませると、すぐに帰宅した康介。その後、すぐやって来た豪を家の中へと招き入れる。彼は嬉々として室内に上がると、キョロキョロと見回しながら歩き回り、やがて窓際に設置されたソファーの上に腰を掛けた。


「先生の家って、綺麗にしてるんだね」


「まぁな。嫁さんが掃除が好きでな」


 康介は、テーブルの上に冷たい麦茶の入ったコップを二つ置くと、豪の対面にあるソファーに腰を下ろした。


「ふぅん……なんかエロ本とか置いてないの?」


「お前は何をしに来たんだよ……。教師をからかうんじゃない」


 苦笑いをしながら返すと突然、豪の表情が曇った。


「俺さ……実は、ずっと前から先生のこと好きだったんだよね」


「なんだ、藪から棒に……? 私もお前のことは好きだぞ──」


「そういう意味じゃなくてさ……! 俺は恋愛の対象として、先生のことが好きなんだ!」


 康介の言葉を遮るように言うと、豪は立ち上がり康介の元へ歩み寄る。そして、そのまま勢いよく抱きついてきた。汗ばんだ肌が密着して熱が伝わり、土の香りが混じったような少年特有の汗臭い匂いが、康介の鼻腔をくすぐる。


「ちょっ、おま……何を!?」


 突然のことに驚きながらも、康介は豪を引き離そうとした。しかし、ガッチリとした腕が体に巻き付いていて、思うように力が入らない。


「大丈夫だよ。優しくしてあげるから……ほら、先生のここだって元気になってるじゃん」


 康介の股間を撫でながら、豪が耳元で囁く。その声色からは、普段の彼とは異なる妖艶さが滲んでいる。


「な、何言ってんだ……離れろ……!」


「……嫌だ。なあ先生、キスしようよ」


 そう言いながら、豪は強引に唇を重ねてきた。


「んぐ……やめ……!」


 必死に抵抗するが、彼は想像よりも遙かに力が強かった。口の中に舌が捻じ込まれ、歯をこじ開けた豪の舌が康介の舌に絡みついてくる。そのヌルリと生暖かい感触と、真剣な豪の眼差しに、康介は背筋にゾクリとしたものを感じた。

 次の瞬間、彼の口の中に唾液ではない別の液体が入り込んできた。濃厚な果実の飲み物のような味わいと、爽やかな喉越し。それは康介には覚えのあるモノだった。


「お、お前、これは……?!」


 先ほどまで強気な表情だった豪が、どこか申し訳なさそうな顔で康介を見つめる。


「ごめん、先生……。俺、ずっと先生のことが好きだった。先生みたいに──、いや、先生になりたかった! 今、先生に飲ませたのは、身体を交換する入れ替わり薬なんだ。これを飲んだ後、セックスしたら俺たちの身体は入れ替わっちまう……。だから……!」


 泣き出しそうなほどにクシャクシャになった、豪の顔を目の当たりにした康介は、顔をほころばせて笑い声を上げた。


「ハハハ、すごい偶然だな。お前も同じことを考えてたのか」


 康介は弱まった豪の腕を振りほどくと、今度は逆に彼の体を抱き締めた。


「え? それってどういう……」


「私も、お前と身体を入れ替えるつもりだったんだよ」


「な、なんで……」


「簡単な話だ。私はもうこの身体には飽きた。だから、新しい身体に乗り換えようと思ってな。私と違ってお前はまだ若くて、良い身体じゃないか。どうして私になりたいかはわからんが、好きでいてくれて嬉しいぞ。こんな身体で良ければ、お前にくれてやるよ」


 そう言いながら、康介は自分の股間を豪に押し付ける。ジャージ越しの彼のイチモツはすでに熱を帯び始めていた。


「ほ、本当に良いの、先生?」


 豪が目を白黒させて、戸惑った様子で訊ねる。


「ああ、勿論だ。早くヤるぞ」


 康介が答えると、豪の顔つきが変わった。まるで獲物を狙う獣のような鋭い眼差しに、康介の心臓が激しく脈打つ。


「先生、好きだ……」


 豪は再び康介に抱き付くと、ベッドの上へ押し倒した。そして、そのまま覆い被さると再び唇を重ねる。


「んっ……ちゅぷ……レロォ♥」


 舌同士が絡み合い、ピチャピチャと淫猥な水音が響く。その音に興奮したのか、豪の腰の動きが徐々に激しくなっていく。


「はぁ……はぁ……先生……!」


 豪はズボンを脱ぎ捨て、怒張したペニスを取り出した。


「お、おい、ちょっと待ってくれ。まだ準備が……」


「大丈夫だよ。先生のお尻の穴だってちゃんと慣らすからさ」


 豪はポケットから小瓶を取り出すと、中に入っていたローションを自分の手に垂らし、それを康介のアナルへと塗りつけた。


「ひっ……冷てぇ……!」


「ああっ、驚いてる先生の顔も可愛いなぁ……。俺、そんな先生の顔になりたいんだ」


 豪は康介の反応を楽しむように呟きながら、ゆっくりと指を沈めていく。

 ハッテン場でのセックスではタチばかりだったため、最初は異物感しか感じなかったが、何度か出し入れを繰り返すうちに、康介のアナルも以前入れ替わったときのことを思い出したように、解れ始めた。


「よし、そろそろいけるかな……? 先生、入れるよ」


「待て、その前にお前のチンポ味わわせてくれ。自分のモノになる前に、一度くらい味見してもいいだろ?」


 康介はしゃがみ込むと、豪のペニスを優しく握りしめた。顔を近付けると、部活終わりで蒸れに蒸れた雄マラの匂いが、鼻腔をツンと刺激する。康介は焦らすように裏筋から亀頭へと舌を這わせると、豪の大きな亀頭をぱくりと口に含んだ。汗の塩辛さと、溢れ出した先走りの苦味が口内で混ざり合い、多幸感で脳内が満たされていく。

 この若く逞しい肉体が自分のモノになるのだ。そう考えると、康介の股間は疼いて仕方がない。


「んぐ……じゅぽっ♥ ちゅばっ、じゅぷ♥」


 康介が夢中で豪の肉棒を頬張り続けると、彼の呼吸も次第に荒くなっていく。


「せ、せんせい……もうダメだ、出るッ!」


 豪の叫びとともに、康介の口の中に熱く煮え滾るような、若い雄の体液が流れ込んできた。勢いよく発射された精液が喉奥まで流れ込み、むせ返りそうになる。だが、康介はなんとかそれを飲み干すと、豪のペニスから口を離して、その唇を彼の唇に重ね合わせた。


「んっ、ちゅぷ……ごく……んふぅ♥」


 康介と豪は互いの唾液を交換しながら青臭い精液を分かち合うと、舌同士を絡め合わせながら濃厚なキスを交わした。

 やがて、二人の顔が離れると、康介の口から伸びた粘り気のある糸が切れた。


「先生、俺もう我慢できない!!」


 発情しきった顔で、豪が再び覆い被さってくる。康介もまた、顔を紅潮させながら自ら足を開くと、尻を向けて彼を迎え入れる体勢を取った。


「ああ、良いぞ。私もそのつもりだったからな。ほら、来い!」



 彼の言葉に、豪は嬉しそうな笑みを浮かべながら、自らのペニスをゆっくりと味わうように挿入していく。


「うおぉっ……、これが先生の──、男のケツマン……。すげえ締め付けだ……♥」


 豪が思わず唸り声を上げる。康介のアナルはまるで生き物のように彼の剛直に吸い付き、ギュウギュウと強く締め上げていく。二人は汗臭い体を密着させると、再び熱い接吻を交わしながら互いに快楽を求め合った。


「ああ、先生! 好きだ!! 好きだ好きだ好きだ好きだ!!!」


 先生の厳つくて男らしい顔! 低くてエロい喘ぎ声! 熊みたいなごつごつムッチリしたでかい体! 汗っかきで親父くさい匂い! 何もかもが全部、全部好きだ、先生っ!!


 豪の告白が何度も繰り返され、彼のピストン運動が激しくなる。若く体力のある豪の動きはとてつもなく、康介の柔らかくなったケツ襞がめくれ上がるが、その動きに合わせて彼の腰もまた自然と動き出した。そして、まるでパズルのピースがかちりと合ったように、豪と康介の敏感な部分がぶつかり合う。


「あぁ……、良いぞッ! 私も! お前のことが、お前の全部が好きだッ、豪……ああっ、イ゛クッ♥」


「んおっ……、で、出てるっ♥ 俺のチンポで感じて、先生が精子出してる♥ 俺もぉ! アッア゛ッア゛~ッ♥♥」


 二人は同時に限界を迎え、大量の白濁液を放出した。康介のアナルの奥深くへ、豪のドロリとした濃厚な欲望の塊が流し込まれる。その熱さに康介もまた身震いし、絶頂を迎えた。


 そして、二人は口端から涎を垂らしながら抱き合い、舌を絡めながら、深い眠りについた。



 先に目を覚ましたのは康介だった。覆い被さっていた豪を見て、薄く笑みを浮かべると、立ち上がって姿見に自分の全身を映す。体格の良い豪よりもさらに一回り近く大きく、肉厚なボディーライン。血管の浮いた太い首に、分厚い胸板。腹筋は多少脂肪に覆われているものの綺麗に割れており、ヘビー級の上半身を支える太腿はかなり太く、巨木のようにどっしりとしている。

 そんな自分の体にうっとりとすると、彼は股間に手を伸ばして自慰を始めた。豪はズル剥けチンポだが、康介のイチモツは勃起してもカリ首まで皮を被っている。しかし、それがまた彼には可愛らしくも感じられる。


「んふっ……♥ んぁっ♥ はっ♥」


 鏡の前で、自身の巨大な肉棒を扱き上げる。子種をたっぷりと蓄えた玉袋は上下に揺れ、次第に亀頭の先端からはぷっくりと透明な汁が滲み出る。それを手に馴染ませるようにして、さらに激しく上下させていく。


「ああ……気持ち良い……。これが先生のチンポなんだ……♥ すっげぇエロいよ♥ それに、さっき出したばっかなのに、もう金玉パンパンだ……」


 ずっと憧れだった【室伏康介】の肉体を、自分が自由に動かしている。その興奮によって、ゴルフボールほどもある二つの玉は、すでに精子で満たされ、ただでさえ太い彼の肉棒はさらにその迫力を増していく。亀頭は一気に血液が集まって真っ赤に染まり、血管を浮かび上がらせながら脈動している。


「んっ、んっ、んんっ……♥ もうダメだ、イ゛クッ……先生のチンポで、俺っ──♥♥ んおほお゛お゛ぉっ♥♥」


 獣じみた唸り声を上げながら康介は──、先ほどまで蔵元豪として生きてきた男は、産声を上げるように新しい男根から精液を噴射させた。それはドクドクと勢いよく飛び散り、壁や床にぶつかっては白い水溜まりを作っていく。逞しい肉体は快感に震え、まるで全身が性器になったような感覚に、脳内が多幸感で溢れかえる。射精を終えた康介は、その余韻に浸りながら荒い息を吐いた。


「はぁ……はぁ……。マジで俺──、いや私は先生になれたんだな……」


 そう呟くと、康介は満足気に微笑んだ。脳内では自分のモノではない記憶が、濁流のように流れ込んでくる。今までこの肉体が経験してきたこと、感じたこと、それら全てが自分のものとして蘇ってくる。脳の中身が、魂が犯されるような感覚に、背筋が粟立つ。康介が快感に身を打ち震わせていると、不意に背後から抱きつかれた。


「どうだ、私になった感想は?」


 目を覚ました豪が、康介の太腿から尻へと艶めかしい手付きで撫でつけ、首筋に舌を這わせる。その刺激に、康介は「あんっ……」と鼻にかかった低く甘い声で喘ぎ声を上げてしまった。


「……ああ、最高だ。こんな体に飽きるなんて、私なら絶対にありえんよ。もっと──、もっと先生のように、【室伏康介】そのものになりたくて仕方がない!」


 康介は素早く振り返ると、豪をソファーへと押し倒し、そのまま彼の分厚い唇に吸い付く。互いの唾液を交換し合いながら、二人は再び激しい接吻を交わした。


「んっ……♥ ちゅぱっ……♥ ぷはぁっ! なら、【俺】のことも早く、【蔵元豪】らしくしてくれよ、先生♥」


 豪は己のデカ尻を両手で鷲掴みにすると、左右に割り開いて康介に見せつけた。ヒクつくピンク色の肛門は、この瞬間のためにしっかりと豪自身が準備を整えていたようで、丸い穴が雄の肉棒を受け入れようとパクパクと口を動かしている。その光景に、康介の股間は痛いくらいに張り詰め、剛直したペニスがビクンッと跳ね上がるように勃起する。


「もちろんだとも、先生。……いや、豪♥ すぐに、お前のモノだったチンポ、挿れてやるからな……♥」


 康介は豪の太い両足を両手で支えると、腰を持ち上げて、己の巨根を豪のアナルにあてがった。そして、ゆっくりと体重をかけて挿入していく。ヌルリとした熱い肉に、硬くなった康介の竿が包まれていく。カリ首まで飲み込まれてしまうと、そこから先はすんなりと奥まで入っていった。


「ああっ……♥ はぁっ……すごっ……♥ 【私】のチンポが入ってくる……♥」


「んん゛ぅ゛っ……♥ お゛前のケツマンコ、すごく……良い具合だぞ……♥」


 豪の顔を見つめながら、康介はピストンを開始した。肉同士がぶつかり合う音が、部屋に響き渡る。ヌルヌルとした腸内を、太く長い自身のイチモツを激しく出入りさせるたびに康介の脳髄が痺れ、鈴口からは止め処なく我慢汁が漏れ出し続ける。


「ん゛っ♥ ああ゛……すごいっ♥ これがっ……、新しい私のチンポなんだな……♥ それに【俺】のマンコも……。ああ゛ぁっ♥ 気持ち良い゛ぃっ♥」


「ああ……そうだ。仮性チンポだが、なかなか悪くないだろう? 【お前】のケツマンコもな゛っ……! ん゛っ♥ 奥さんも孕ませたノンケ親父の子持ちチンポ、すごく……気持ち良いよ、先生♥」


 先ほどまでマンネリを感じていた自分の肉体。だが入れ替わった瞬間から、猛烈にその肉体に興奮してしまっていることに豪は気付いた。髭面の厳つい顔つき、筋肉質で毛深く、そして全てを包み込むような包容力のあるむっちりとしたボディー。加齢臭混じりの雄くさい匂いすら、愛おしいと思える。無意識にかつての自分の肉厚な体を、全身が求めてしまう。

 性欲旺盛な高校生となった豪の玉の中では、精子が次から次へと産み出され、ズル剥けのピンク色の亀頭からは、悦びの涙のように我慢汁がトロトロと零れ落ちていく。そうして豪もまた【蔵元豪】らしく変わり始めた。

 どこか大人びた表情だった彼の顔付きが、年相応の高校生らしい幼さを帯びたものに変貌を遂げる。新たに十数年の記憶が頭の中に流れ込み、肉体を交換したいと思えるほどに心焦がれる康介への愛情が、狂おしいほどにドンドンと深まっていく。豪はトロンとした表情になると、汗ばんだ体を康介に擦り付け、彼の分厚い唇を貪った。


「ちゅばっ……♥ じゅぶっ♥ 俺、先生のことがっ♥ ドンドン好きになってく♥ 大好きでたまらないよぉ……♥♥」


「んちゅ♥ はぁ……♥ 豪、私もだ……♥ 私もお前を愛してるぞ……♥」


 康介は、豪を優しく抱き締めた。互いの体温を確かめ合い、その温もりを感じあう。二人の腰つきは、より一層激しさを増し続ける。豪の体内では、康介の亀頭がゴリゴリと前立腺を刺激し、豪の腸の襞も逃すまいと康介のカリ首に絡みつく。二人の野太く荒い息遣いだけが聞こえる静かな部屋の中で、淫らな水音が激しくなっていく。


「イクぞッ! お前のモノだったザーメン受け取れ、豪ッ!!」


「ハァッ♥ 来て、先生っ! せんせぇ゛……♥♥」


 ドクン、ドプドプドブゥ、ビュクビュルルーー!!!


 やがて限界を迎えたのか、ひときわ強く腰を打ち付けたかと思うと、康介の玉が竿の根元まで迫り上がり、そのまま豪の最奥に向けて精液をぶち撒ける。それと同時に、豪のペニスからも勢いよく白濁色の液体が噴き出した。豪の腸内は収縮を繰り返し、愛する雄の精子を一滴残らず搾り取ろうとうねっている。


「んぐぅうっ♥ はぁ……先生の精子、俺の中にいっぱい出てるよぉ♥」


「ん゛はぁ゛っ……♥ 豪のおマンコ、最高に良いぞぉ……♥」


 康介が豪にその巨体を預けると、二人はしばらく抱き合ったまま余韻に浸っていた。しばらくして呼吸が整ってくると、どちらからともなく口を近付けて舌を絡ませた。


「はあ……♥ 先生の体、さっきまで俺のだったのに、マジでエロ過ぎるよ……」


「それはお互い様だ。お前の体も相当エロいぞ。……っと、こんなことを言い合っていると、まるで私たちはナルシストみたいだな」


 何も知らない人間からすれば、互いの肉体を褒め合っているような会話だが、彼らは入れ替わった状態で過去の自分の肉体を褒め合っているのだ。客観的に見ると実に奇妙なことではあるが、当事者たちからするとそれが素直な感想であった。


「……なあ、先生」


「どうした、豪?」


「俺たち今はまだ、今の自分の体にも、前の体にも興奮しちゃってるけど、時間が経てばその感情も薄れるはずなんだ。その時、どうしたらいいと思う?」


 それは今の豪が、【室伏康介】の肉体を得て経験したことなので、再び彼ら二人が同じ状態に陥る可能性は高く思えた。だからこそ、彼は康介に相談することを決めたのだが──。


「そうだな。そうしたら、また私たちで入れ替わればいいんじゃないか?」


「……えっ!?」


 あっさりと答えられた予想外の返答に、豪は目を丸くして驚いた。確かにそれは一理あるかもしれない。肉体が入れ替わったことで、あれほどマンネリを感じていた【室伏康介】の肉体に、再び欲情するようになったのだ。飽きてしまえば、また肉体を入れ替えることでその感情もリセットされる可能性は大いに有り得る。幸い肉体を交換する薬は、まだ十分に持ち合わせている。だが、どうせなら──。


「先生の身体に戻るのもいいけど、どうせならお互いに新しい身体に乗り換えるのもアリかも。だって、その方が刺激的じゃねえ?」


 悪戯っぽく笑いながら言った豪の言葉を聞いて、一瞬きょとんとした表情を浮かべた康介だったが、すぐに口元をほころばせた。


「それも悪くはないな……。当然一番に好きだったのは【室伏先生】だが、他にも何人かエロい体つきの先生や生徒たちも候補に入ってたんだよなぁ……♥」


 そんなことを考えていただけで勃起してしまったのか、康介の股間はムクムクと膨らみを増していく。それを目敏く見つけるなり、豪はその肉棒に手を伸ばし、焦らすように撫で擦った。三度射精したにもかかわらず、熱い吐息を漏らす彼の人並外れた剛直はすぐに硬さを取り戻し、亀頭の先からは透明の先走りがなみなみと溢れ出し始めた。


(了)



以下、差分イラストです





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Comments

フジトモ

おお、続編。ありがとうございます。 いつもイラストと小説で二度美味しいムチユキさんの作品、大好きです。

ムチユキ

フジトモさん、こちらこそ支援ありがとうございます! イラストも小説も褒めていただけて嬉しいです!! 小説のほうは、最近頭打ちでマンネリ感が漂い始めてるので、なんとか脱却したいです 笑