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【蟹の楽園について】

いまや町のどこでも見られる蟹達が最初に始めたとされる原初の派遣業務は「印刷物を刷る事」であったと言われている。人の言葉を理解しクジラの数百倍の知能を持った彼らの歴史は古く、地底火山で発見されるまで夜が明けることを知らない彼らは常日頃にロックフェスティバルを行っていた。そこに参加した人間こそが、かの修行僧█████████であった。

蟹はみるみるうちに意思疎通の方法を覚えていった。

蟹は、しゃべる口こそ存在しないが、知能指数は他の生き物を逸脱しており――

猿よりも人に近い優れた生き物として、地底火山の蟹は認知されていった。


一匹の蟹が、床に散らばっている文字の書かれたカードを並べて、提示し、片方の大きな腕をあげて訴えた。

「な」「か」「よ」「く」「し」「た」「い」

そこから蟹と人間の共同生活が始まったのだ。


道行く蟹は、ドレスを着て、おしゃれをして、犬の散歩なんかをしている者もいた。

人間は、それをさせるための手段を一つ提示していた。


その一つが謄写印刷業である。編集長に一匹の蟹を推薦した█████████の意見は通らなかったものの、無事に月刊誌「蟹の楽園」が誕生したのである。

当時、印刷業はあまりの重労働で人間が音を上げては逃げ出していく職業であった。

当時は冊子ブーム、あらゆる月刊誌が刊行され、娯楽の足りない人間に飛ぶように売れていった。

ブーム当初、印刷業の給与の最少額が少なすぎたため、そのまま給与が上がらず需要が膨れ上がり、このようになったのだ。

しかし、今や蟹という救世主が現れた。

人間は、蟹に人間のするべき仕事を任せる事にした。

蟹は、仕事があればどんな待遇でも喜んだ。それしか仕事がないと思っていたからだ。

道端には、墨まみれとなり呼吸器がふさがって行き倒れた蟹が多数落ちていた。彼らは夜な夜な人間の作る鍋に放り込まれては隠蔽されていた。


「蟹の楽園」刊行から半年の事である。

人間が私利私欲のために蟹を利用していたことが蟹のプログラマが開設した蟹専用ネットワーク「泡銭」でリークされた。

人間と蟹の対立は溝を深め、果ては蟹によるクーデターが勃発する。

その時まで人間は気づいていなかったのだ。

口はなくとも、蟹の方が人間よりも優れた脳を持っていた事を。

█████████があの時推薦を望んだのも、蟹と人間が末永く手を結ぶためのものであったが、結果パーはチョキに勝てなかったのだ。


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以下「蟹の楽園」3月号おまけ《チープな塗りを回避するためのおまじない~円と角~》


1. 今回は、影の塗り方について説明します。

影の塗り方について、大事な事は「印象を与えること」と私は認識しています。

2. 線画と下地を取り外した際に現れるのはこのような影です。

今回は、それが円に近いシンボルで共通化されている事が分かります。

3.「円」という情報を残しながら、細かい部分を足し引きしましょう。

4. パターン2の説明︙こちらは三角形という印象をテーマに塗った影です。

円で構成された場合の「柔らかな印象」とは真逆の「尖った印象」になる事がわかります。



5.大事なことは、その絵を見た時に何がどのような形で印象に残るかと我々は考えています。

6.せっかく大事に塗っても、記号化が乏しい塗り方の場合、下記のようなぼやけた印象を残します。アニメ塗り、水彩塗り、厚塗り、どれも共通です。現実に近い塗り方にしたいなら円を、デザイン画に近い塗り方にしたいなら三角を意識するといいでしょう。

- デザインワークス:泡田副編集長


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