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女性たちの戦い 2nd Day 女性たちの手元からマイ水筒が消え去った、その翌日のある学校。 そこで見られる光景は、今のこの国の現状を如実に物語っていた。 「……はっ……!ふ、ふ……っ、ぐぅ……!」 制服を纏う生徒たちが集う教室で行われる、午後のカリキュラム。 しかし授業を受ける生徒のうち、実に半数以上がその内容に耳を傾けてなどいなかった。 クラスの半分を占める女子生徒。その全てが俯き、机の下で何かをきつく押さえつけている。 静寂の教室に、教師の声と椅子の軋むぎしぎしという音が響く五限目の授業。机の下にひた隠される、少女たちの見えざる戦いの相手。それは昨今この国を悩ませる、一つの怪奇現象が関わっていた。 女子トイレ消滅現象。それにより少女たちはその生理現象を済ませる場所を失い、行き場を失くした排泄欲がその体内で暴れ狂っていたのだ。 男子の目があろうと関係がない。スカートの上からきつくきつく股間を両手で押さえつけ、家でも学校でも済ませることの叶わないそれを押し止めなければすぐにでも悲惨な事態を引き起こしてしまうだろう。 下腹部の水風船をかくも痛ましく圧迫し、ぎりぎりと痛み苦しみのシグナルを上げ続けるそれ。黄色く荒れ狂う少女たちの切なる叫びが、今か今かとその解放の時を待ちわびている。 少しでも気を抜けば、抑えつけただけ大きくなったそれが瞬く間に下着を侵し、椅子の天板からも溢れて教室の床を広く広くその薄黄色い熱水で埋め尽くしてしまうだろう。 そして少女は野外失禁、および放尿の禁止条例により裁かれる。我慢できなければそのような事態を起こしてしまう状況下、少女たちは肉体の限界を超えても耐えなければならないのだ。 自宅にあるトイレですら、少女たちが使えば消滅のリスクがあるため使えない。水筒がまだ存在していた昨晩以後済ませられていないそれは、少女たちの誰にとっても未知の領域だ。 誰もが半日を優に超える我慢を繰り広げるこの教室で、誰が限界を迎えてもおかしくはなかった。 (でちゃう……!でちゃう、でちゃう、でちゃうぅ……!) (おしっこ……っ、おしっこっ、でるっ……!も、ほんとに……!) 「ああ……あ……」 つい先日定められた国のルール。女子トイレが消滅し、できる場所を失くした女性たちがやむなく行った野外排泄。 当然本人たちもしたくてしたのではない。だがそれによる街や施設の汚損は著しく、それを改善する仕組み作りは急務だった。 だが国がそれに対して行った施策は極めて乱暴なもので、ただ単に女性たちが外でするのを厳密に禁ずるだけ。罰を厳しくしただけで、女子トイレが無くなったことに対する代替案はなにひとつ用意していなかった。 国を擁護するのなら、女性たちが「おトイレ」と認識したもの全てが消滅の対象となる以上、仮に対策しようとその端から消滅していくため不可能だという言い分はもちろんある。国として大々的に「これにならしてもいい」と知らしめたその瞬間からそれが消滅の対象となってしまうから。 だが当の女性たち自身からしてみれば、これは責任放棄もいいところ。いくら我慢しろと言われたところでこれは生理現象である。 どれだけ必死に耐えたところで、どれだけ失禁の罰則を厳しくしたところで、必ずいつか限界はやってくるのだから。 「あ、あっ…………!」 そして 今。 教室のちょうど中心。横から見ても縦から見てもちょうど真ん中に位置する机で学ぶ女生徒が、その瞬間を迎えようとしていた。 青ざめた顔。焦点の定まらない瞳。額に滲む玉の汗。震える体。どれひとつとっても限界の様相を呈するその少女は、短い呻きを発した後…… 堰を切ったように、大量の小便を教室に撒き散らした。 「あ………………」 ぶじゅじゅじょじょっっ!!!!じゅじゅじゅぅいいいいいいいいいいーーーーーーー!!!! 『うわあっ!?』 『な なんだあっ!』 やってしまった。もう止められない。 絶望と羞恥、そして悦びにくらくらとする頭の中で少女が思ったのは、たったひとつのことだった。 もう我慢しなくてもいい 諦めと共にもたらされた解放の愉悦に浸りながら、少女は涙を浮かべつつもどこか呆けた顔で溜まり溜まった排泄物を解き放つ。 むわりとしたアンモニア臭、いたいけな排泄孔を震わせて放たれる切ない切ない少女の排泄音、びちゃびちゃと水流が教室の床を叩く音。 目の前で起こる盛大な「おもらし」の情報は、この少女以外に耐え続ける20人近い少女たちの膀胱を切なく震わせ、そして…… 「う、あ……!ああっ……!」 さながら箱に詰められたいくつもの爆弾が、一つの爆発をきっかけに連鎖するように。 少女たちの抱える黄色のオシッコ爆弾が、いっせいに大誘爆を始めた。 ぶしゅしゅじゅじゅううううううううぅううーーーー!!!! じゅじゅじゅおおおおおおおぉおおおおおーーーーーーー!!!!! 盛大に、盛大に。教室中で始まった少女たちの限界おもらし。 狭い教室のいたるところで解放されたリットル級のおもらしは、みるみるうちにその版図を拡大。一人目の決壊から1分と経たないうちに、教室のおよそ半分は少女たちのオシッコで埋め尽くされてしまう。 だがこれだけ出したにもかかわらず未だ少女たちのおもらしは留まることなく溢れ続け…… 2~3分かけて全員の膀胱が空になるまでには、教室の前から後ろまでオシッコに濡れていないところを探すほうが困難な状態になってしまうのだった。 ______________ その後、漏らしてしまった少女たちは教室外に退避していた男子や教師から口々に非難をうけ、濡れた下着もスカートもそのままに教室の清掃をさせられていた。 見ると他クラスでも同様の事態が起きているようで、廊下で泣きじゃくる女生徒たちと非難した男子生徒たちとの喧嘩までもクラスによっては勃発。学校中が地獄の有様だった。 幸いこのクラスでは喧嘩にまで至ってはいないものの、しかし少女たちの胸に去来するのは絶望と悲しみ。ただそれだけだった。 (ひどいよ……!おかしいよ……!こんなの……こんなのってないよ……!) 自分たちの出した異臭漂う水溜まりに、その手が汚れるのも構わず雑巾を突っ込む。 オシッコを吸い取り薄黄色く染まる白い布を引き上げ、バケツに絞る。地道な作業を延々と繰り返し、繰り返し。 ずしりと重くなったバケツの中身を捨てたら、またそれがいっぱいになるまでオシッコを吸わせる。屈辱極まる後始末。 目に涙を浮かべながら、少女たちは心の中で理不尽に対して憤っていた。 トイレがなければ、その生理現象を済ませる術などない。 生理現象を済ませることができなければ、いずれ我慢の限界が来ることなど子どもですら理解できる。 なのになぜ何の対策もしていないのか。なのになぜ自分たちだけ悪く言われなければならないのか。 頭がくらくらするほどそこに力を入れ続けて、痛みのシグナルを上げる体をも裏切って耐え続けたのに。これ以上もなく頑張ってきたのに。 そんな怒りを抱えていても、しかし現状が上向くことはなく。 野外排泄禁止法成立から2日。この日、全国の学校がいっせいにひとつの校則を追加した。 学校敷地内での無断失禁および無断排泄を行なった者は、理由のいかんに関わらず強制的に退学とする。 それだけではない。全く同じタイミングで国中の企業が社内ルールを整備。学校と同様に会社でも、許可なく社内で排泄行為を行なえば即時退職を迫るようになり、国も異例のスピードでそれを承認した。 学校でも、会社でも、若い女性が排泄をしたら厳しく罰せられる。もちろん街中は相変わらず。 家も、学校も、会社も。女性たちがたとえリスクを承知であっても排泄できる場所は、この国のどこにも無くなった。 怪奇現象に見舞われるこの国で暮らす女性たちの戦いは、また一段と厳しくなるのであった。

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