【エロ文・オリジナル】ビッチレイヤーみゃー狐の性活前日譚『僕の好きだったあの娘』 (Pixiv Fanbox)
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2020-09-08 10:45:08
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2022-09
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「お……おはよ……」
「…………おはようございます」
僕が朝の挨拶をすると少しだけ微笑んで丁寧に頭を下げて挨拶を返してくれる。
それが僕の好きな人で、初恋―――ではないけれど純粋に胸をときめかせた『日下部 みやこ』という女の子だった。
高校一年二年と同じクラス。
中学は別。
別に同じ部活だとか、同じ委員会に入っている訳でもない相手。
だけど、そんな彼女に僕は恋をしていた。
彼女は本当に大人しいタイプで、誰かと喋っているのを見たことはないけれど、声をかければ返してくれる。
綺麗な黒髪のセミロングで、眼鏡をかけているその顔は地味系だけど、結構……いや、個人的にはかなり可愛いと思っている。
それは僕の恋による補正なのかも知れないけれど、いつも俯いて自分の机で何か本を読んでいる日下部さんは凄く……凄く可愛いと思っていた。
そして、よく見ると胸が凄く大きいのもかなりグッとくる。
別に……! おっぱいが大きいから好きとかじゃないけど、クラスで一番巨乳なんて言っている女子よりも大きそうに見えた。
僕は日下部さんのことが好きで、毎日ほんの少しの会話だけの会話を楽しみにしていた。
内容も別になんてことない会話だし、彼女が僕に興味あるかというとない感じではあるけれど、拒否はしないで答えてくれるのが嬉しかったんだ。
そんな彼女が……あんな目に遭うなんて想像もしていなかった。
妄想の中ではいつかはゆっくりと進展していって、僕と彼女は結ばれる―――そんな気持ち悪いことを考えていたのに。
日下部さんが”あんな奴ら”に酷い目に遭わされるなんて想像はこれっぽっちもしていなかった。
妄想はしていても、想像力は足りなかった僕のそんな青春の話を少し、語らせて欲しい。
―――。
――――――。
「………………ふあ……」
高校に通いだしてしばらくした頃。
なんというか、最初の緊張感や目新しさも消えだした時期。
眠い事業を聞き流しながら僕は視線を隣に向けた。
「………………」
そこにいるのはクラスメイトの女子。日下部みやこ、という生徒。
眼鏡をかけた地味めな黒髪の女の子で、非常に真面目にノートをとっている。
ここはそこそこの進学校というカテゴリ。
各中学から『そこそこ頭の良い生徒』が集まる学校だけれども、その中でも直ぐに篩にかけられることになる。
ガチガチの進学校ではないまでも、定期的な小テストなどで自分のレベルを教えられていき、勉強しないと置いていかれるという事実を突きつけてくる。
その中で、しっかりと先を見据えて勉強する奴が上にいき、中学時代『大して勉強しなくてもテストで良い点を取れていた』僕のようなやつは昔の栄光と習慣にしがみ付いてズルズルと置いていかれる。
現に、となりで日下部みやこ―――日下部さんが細かくノートを取っているのに対して僕は広げたノートに汚い字で2~3行書いただけでもう諦めている。
後はもう先生に刺されないように、眠いことをバレないようにやり過ごすだけなんだけど―――。
「じゃあ、次のとこ、木村、読んでくれ」
「っぇ……?」
―――完全に上の空でいるところを指名された。
教科書すら適当に開いていたので、何ページの何行かもわからない。
慌てて教科書に視線を落とすけれど、そこに指示が書いてあるわけでもない。
一気に汗が出て来て心臓が高鳴っていく中で、横から小さく―――。
「…………22P、13行目です……」
「え?」
―――可愛らしい声をかけられた。
その声の主、隣に座っていた日下部さんにチラリと視線を向けるけれど、彼女はこっちを見てもいない。
だけど、その指示というか助け船に感謝しつつ、僕は教科書を読み上げていく。
ここで、悪ふざけをするタイプならばまったく違う場所を教えるんだろうけれど、日下部さんはそんなタイプではなかったようで、無事に僕は朗読を終えた。
「ふぅ…………」
読み終えて一息ついたら、改めて彼女をチラリと見る。
何を言うでもなく、何を求めるでもなく真剣に授業に臨む彼女。
その横顔をまじまじと見つめて「結構……可愛い?」なんてドキドキした気持ちにもなったけれど、それより何よりも―――。
「……日下部さん、日下部さん…………ありがとう」
―――小さな声で彼女に声をかけて感謝をしっかりと伝える。
みんなの前で恥をかくことも、先生に怒られることもなく済んだのは彼女のおかげ。
それは間違いなく、その感謝をしておく。
「…………いえ、気にしないでください」
そんな僕の感謝に、こっちを見ると彼女はほんの少し、ほんの少しだけど優しく微笑んでくれた。
笑顔。非常に可愛く可憐に感じたその笑顔に僕は正直赤面した。
「……っ!」
日下部さんはかなり地味なタイプだと思う。。
誰かと話しているところも見たことないし、虐められている訳でもないようだけど、誰かと一緒に何かをしているところも見たことはない。
大きな声で喋ることもなく『ただそこにいる』ような女子だった。
男子の中には彼女の名前も覚えていないような生徒もいる。
そんな女子だし、僕も彼女に注意を払うこともなかった。
友達と「クラスの女子で誰が良いよ」なんて下らない話をするときに、一度も彼女を話題に上げたことはない。
そんな女子だったはずなのに、僕は強く強く心を揺さぶられた。
優しく、可憐な笑顔。
頭の中に刻み込むようにして記憶したその日、他のことは考えられないくらいになってしまっていた。
ただ、その日したことは日下部さんの下の名前、正直覚えていなかったその名前をしっかりと記憶に刻み込んだことだった。
「日下部……みやこ、さん…………みやこ、さん」
何度も何度もその名前を繰り返し呼んでいった。
呼んだからどうなるものでもないことを知りながら、それを胸に刻み込んでいった。
―――。
――――――。
「………………」
一度意識すると全てが気になって仕方がない。
あの日から数週間。
僕は暇さえあれば日下部さんのことを見ていた。
隣の席だということもあって、本当に暇さえあれば、だ。
授業中、真面目にノートをとる日下部さん。
先生に指名されれば慌てることもなくしっかりと答える日下部さん。
わからないところを指名されると、少し顔を赤らめて「ごめんなさい、わからないです」と素直に頭を下げる日下部さん。
そんな彼女の姿を、チラチラと見ていた。
我ながらストーカーのような気持ち悪さはあるけれど、彼女はこっちの視線に気づいている風もなく、アレ以来僕らの間に会話はない。
ただ席が隣というだけで、かつ女子慣れしていない僕。
声をかけようもなく、なんて会話をしたら良いかもわからない。
そんなことを考えながら「ああ、僕は日下部さんとお喋りしたいんだ」という自分でも正式には認識していなかった感情を自覚してまた顔を赤くしてしまっていた。
「…………っ……」
好き。なのかも知れないし、違うのかも知れない。
ただ、『気になる』というのが凄く近い。
日下部さんが少し何か動くたびにそれが気になって仕方がない。
飾りっ気のない筆箱から取り出したシャーペンで綺麗な文字を書く。
その動作をずっと見て居られる。そんな気持ちだった。
―――。
――――――。
「はぁ…………」
昼休み。
クラスメイトの友人らと机を囲んで昼飯を食べていく。
ゲームの話をしたり、最近見た面白動画の話をしたりと話題は色々だ。
そんな話題をしながらもチラッと教室を見回せばそこに日下部さんはいない。
昼になるといつも一人で何処かに行く。
「もしかして便所飯?」なんて考えはしたけれど、後をつけてそれを明らかにしようとは思わない。
ただただ、日下部さんのことを考えるだけで漏れる溜息。
「木村、溜息多くね? なんかあった?」
「ん……あ~、別に……」
そんな溜息をもらす僕に友人が声をかけてきた。
スマホでソシャゲをしながらだけれど、気にかけてくれているようだった。
それに反応して他の友人たちも「何々? なんかあった?」「何の話?」と新しい話題の予感に食いついてくるけれど、僕はそこで日下部さんの話はしない。する訳もない。
地味で目立たない彼女が笑うと結構可愛いってことは自分だけの秘密にしたい。そんな気持ちから適当に話をはぐらかしていく。
はぐらかしていくのだけれど―――。
「溜息ついてっから、あれ、恋でもしてんのかと思ったわ」
「!」
―――友人は妙に的確に指摘をしてきた。
その言葉に「そんなんじゃないって」と答えつつも、この感情の行先はやっぱり『恋』なのかなぁ、などと考えていた。
友人らはクラスの中で誰が良いか、という話で盛り上がりだし、そこに名前が挙がってくるのは目立つ女子ばかり。
「…………(日下部さんだって……)」
誰が可愛い。誰がエロい、なんてそんな話の中に彼女の名前は出てこない。
日下部さんの魅力を分かるのは僕だけで良い、なんて思ってはいるけれど、名前がまったく上がらないのはそれはそれで何ともモヤモヤしてしまう。
「一番は間違いなく山木だろ? あいつめっちゃ可愛いよなぁ」
「いや、倉本は? 俺、ちっちゃい系好きなんだよなぁ」
「俺はー、あれだ、あれ、陸上の田村、あいつかなり美人だろ?」
「………………」
山木さんも、倉本さんも、田村さんも確かに可愛いし、美人だと思う。
だけど、それよりも日下部さんの方が気になって仕方がない。
みんなの会話に相槌を打ちながら、視線を教室に入り口に向けると日下部さんが入ってきた。
視線を誰にも合わせないで自分の机へと戻るその姿。
ただそれだけなのに僕は見てしまう。
ただただ、目で追ってしまう。
ただただ、彼女の動きを見つめてしまう。
この感情はやっぱり『恋』なのかな。
―――。
――――――。
日下部さんのことを目で追っていく日々。
連絡先も知らない声もかけてない。
ただただ隣の席の彼女を目で追っていく。
自分でも気持ち悪いことは理解しているけれど、気持ちだけは日々強くなる。
そんな日々の中、雨が降る学校帰り、傘を忘れた僕は小走りで公園の東屋に駆け込んだ。
「はぁ……はぁあ……冷たくはないのが……はぁ、きもちわるっ……」
気温が高いのもあったのか雨が妙に生ぬるい。
蒸し暑さも感じる気持ち悪さ、濡れたシャツが張り付く感覚。
走ってきたことで上がった体温と、生暖かい雨で濡れたシャツ。
直ぐにでも脱いでしまいたいけれど、公園で服を脱ぐ訳もいかず、未だに降る雨を見続ける。
「……ぁ…………え?」
そんなに強い雨じゃないしこのまま家まで走って帰ろうかと思っていると、こちらに走ってくる人影を見た。
誰かが来る。僕と同じように雨宿りする為なんだろうと思っていたけれど、その人影、相手が―――。
「日下部さん……?」
「はぁはぁ……は、あ、はぁ、木村くん……はぁ、はぁ……」
―――日下部さんだった。
綺麗な黒髪を雨で濡らして、制服を身体に張り付けた彼女は息を切らせて屋根の下に入ってきた。
「…………っ」
息を切らせた彼女は自分の膝に手をつくようにして身体を前屈させていた。
その姿を見ながら、何と声かけようか迷っていくけれど、何よりも「木村くん」と名前を呼んでくれたことが嬉しくて何も言葉を発することが出来なかった。
「はぁ……はぁ……」
「…………」
日下部さんが息を整える音と雨の音。
遠くから聞こえる車の音にどこかの店のBGM。
事故でもあったのかパトカーのサイレンが遠くで鳴り響いていたのが届いてきた。
それらの音を余さず受け止めていき数分、日下部さんが顔をあげた。
鞄の中から取り出したハンカチで自分の濡れた顔を拭き、一息つくと小さく―――優しく微笑んでくれた。
「屋根、一緒に借りても良いですか?」
「っ……? ぁ……」
優しい微笑みと共に投げかけられた言葉に一瞬理解が出来なかった。
「屋根を借りる? 貸す?」と2秒ほど混乱した末に「一緒に雨宿りしても良いか?」という質問だと理解した。
「ぁ……ぁあ、ああ、あっ……っ!!」
上手く言葉を作れない発声できない。
ありえないほどの緊張に喉を絞められたような声を漏らした末に出したのは―――。
「ぃ、いいんじゃ、ない……僕のじゃ、ないし」
―――と、それだけだった。
公園の東屋。ここは僕の持ち物ではない。そんなことは日下部さんも分かっているだろけれど、しっかりと断りを入れてくれた。
そんな彼女に対して気の利いた言葉も返せずに出せたのはそれだけだ。
顔が赤くなり、体温があがるのも感じていると彼女は「ありがとうございます」と頭を下げてからベンチに座った。
「…………」
僕も一緒にベンチに座ろうかと一瞬思ったけれど、真似しているようで何か嫌がられないか、気持ち悪がられないか考えてしまう。
相手はそんなこと気にしていない、日下部さんは僕に興味なんてないかも知れないけれど、そんなことをいちいち考えてしまう。
現に彼女は鞄の中を確認して、ノートや教科書などが濡れていないのかをチェックしている。
僕の方には特に気を配っている風もない。
それが少し悲しい―――いや、かなり、悲しい。
僕はこんなにも彼女のことを考えているのにち思うと腹の下がモヤモヤしてきてしまう。
そんな感情を抱えるくらいなら、僕のことを意識して貰う為に今ここで何か会話をして盛り上げて、連絡先の交換でもするべきなんだろうけれど―――。
「ぁ…………っ……」
「? どうかしましたか?」
―――できない。
僕の小さく漏らした声に反応してくれたというのに、それに対して「何でもない」なんてつまらない一言で返事を終わらせてしまう。
そんな僕を不審に思うこともなく、それほどの興味もないのか日下部さんは「そうですか」と告げると、走ってきた疲れを癒す様に目を閉じた。
その姿を少し離れた位置で見ながら僕は、彼女の胸が大きいことに気が付いた。
「……!」
雨で張り付いた制服。
透けてはいないけれど、ずっしりとしたサイズの胸―――おっぱいがその下にあるのを教えてくれる膨らみだ。
前々から結構大きそう、なんて思っていたけれど、結構どころじゃないサイズに見えた。
「…………(クラスっていうか、学年でも一番のサイズなんじゃ?)」
そのサイズは巨乳と有名な女子よりも大きく見えた。
地味な見た目しながら、何とも派手な胸のサイズ。
それに生唾を飲んでジッと見てしまう。
日下部さんが目を閉じているのを良いことにジロジロ見て、震える手でスマホを取り出してこっそり撮影でもしてしまおうかと魔が差した頃に彼女が目を開いた。
「!!」
盗撮まがいのことをする寸前だったので慌ててスマホを隠しつつ、安心とガッカリの狭間で感情を揺らしていく。
その間も雨はシトシト降り続いて、東屋の屋根を叩く。
「…………」
「…………」
その間に僕も、日下部さんも無言だ。
クラスでも自分から会話をするところをほとんど見たことがない彼女が、急に僕に話しかけるなんてこともないだろう。
それは分かっている、彼女をチラチラ見続けた僕だからこそ分かっている。
だとしたら、僕らの関係を発展させるためにはここで会話の一つでもするべき。
そう判断した。
「…………」
心臓を高鳴らせて胸の緊張に口の中をカラカラにさせながら、ベンチに座る。
日下部さんとの距離は離れているけれど、同じベンチに座るということだけでドキドキは高まっていく。
必死に頭の中で何を話すか、どうすべきかと悩んで悩んで、悩んだ結果―――。
「っ、ひ、昼休みって、どこ、言ってるの? っ……ぁ……」
―――僕がひねり出したのは非常に気持ち悪い質問だったと思う。
自分でも言ってしまってからその失敗に気が付いた。
ろくに会話もしたこともない隣の席の男子から、いきなり昼休みの話を振られる。これ以上ない気持ち悪さだと思う。
言ってしまって、発射してしまってからそれに気が付いて身体が―――意識が暗い穴の奥に投げ込まれるような感覚を味わっていくのだった。
「ぅ……あ…………」
「…………」
雨の中。公園の東屋で雨宿りをしている最中。
ずっと気になっていた女子でありながらロクに会話もしていない日下部さんに僕がした質問は「昼休み何してるの?」なんていう質問だった。
彼女はどう感じたろうか? 繰り返すがロクに会話したこともない男子が、自分の昼休みの行動を把握しているという事実。
気持ち悪いを通り越して恐怖じゃないか?
完全にストーカー、犯罪者、気持ち悪い、虫けら、ゴミ。
どう思われるか、なんて言われるのか、それを考えるだけで一秒一秒が長い。
まるで走馬灯でも味わっているかのように時間がゆっくり流れていく。
「………………」
日下部さんがゆっくりと、濡れた黒髪を揺らして僕の方を振り向く動き。
その際に、雨で張り付いた制服の胸元、大きすぎるおっぱいが”ゆさっ❤”と動くその様に僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕はぼくはボクハ―――。
「昼休みは……自習室を利用させて頂いてます……」
「ぇ…………」
―――今にも倒れそう、死にそう、むしろ死にたい緊張感と後悔を味わっていると、日下部さんは何でもないようにそう答えた。
「自習室に言っていると」そこに僕に対しての嫌悪感だとか疑う心とかはないように見えた。
普通なら気持ち悪さに逃げられるような質問だったと思う。
会話もしていない男子からの初会話がそれなんだから。
しかし、彼女はそんな素振りはなく丁寧に、同い年の僕に敬語で話してくれた。
その事実に強く感動して泣きそうになりながらも、必死に脳内を立て直す。
東屋の屋根を叩く雨の音も聞こえないくらいに脳内をフル回転させる。
日下部さんが会話をしてくれた、自分でも理解できる気持ち悪い質問に返事をくれた。
その嬉しさにに心臓をドキドキさせながら必死に、必死になって頭の中の会話能力を総動員させていった―――。
「へ、へぇ、自習して、るんだ……って、ぁ、じ、しゅ、自習室、なんて、あっぁたんだ、だ…………」
―――結果。死にたくなった。
スマートに会話をしようとして出てきたのがこれだ。
噛んでいるとかそんなレベルじゃないほどに挙動不審でしどろもどろになっている。
しかも、半笑いで、だ。
気になる女子との会話がここまで出来ないものかと本当に死にたくなっている僕だが、そんな状況を知る訳もない日下部さんは優しくまた口を開いてくれた。
「自習……と、お昼御飯です。自習室はいつでも利用可能なので、使わせて頂いてます」
「……!」
僕のどう考えでも不審な言葉と態度をすんなりと受け止めてくれる。
日下部さんは少し思い出す様にして「自習室は二階の端の方にあります」と場所まで答えてくれた。
答えてくれる、会話が出来る! その事実に僕の頭はどんどん熱くなっていく。
正直、暴走しているとも言える状況だった。
何か、会話を少しでも会話を、話さないと、会話しないと、何かを何かを何かを!
「結構、その、つ、次のテストとか、順位、ぅっぇ。うえの、上の、あれっていうか、上の方を狙って、たり?」
「そう、ですね……。親はそんなに嬉しくはないんですけれど、順位は上げておきたいなって思ってます」
「そぉ、なんだ、あ、あーっと、得意な、その、科目って~、な、に?」
「得意……現国と化学は好き、ですね」
「僕、も、化学、結構、その、す、っ! あ、得意かも……!」
会話を会話をとりあえず会話を。
頭の中で次々に会話の弾丸を詰め込んでは撃っていく。
だけど、それはターゲットに当たっているのかもわからない。
混乱して暴走している僕は的に当たっているかどうかも確認しないでただただ撃ち続ける。
だけど、それでも楽しかった。
時間を忘れるくらいに僕は、日下部さんに対して一方的な質問とも言える会話を続けていった。
「日下部さんって、あ、あの、普段、普段ていうか、そのいつもは何を……ぁ……っ、雨、やんだ……?」
何回。どれだけの質問をしたかもわからない。
自分でもロクに覚えていない会話の果てに、気づけば雨はやんでいた。
まだ空は曇っていたけれど、東屋の屋根を叩く雨の音が消えていた。
水たまりに雨の波紋もない。
「やんだみたいですね……」
僕の言葉に日下部さんもそれを確認した。
綺麗な髪、離している間に乾いたその黒髪を彼女は軽くかき上げた。
ふわっと香る良い匂いにドキドキしていると、彼女が荷物をまとめだした。
そして、大きな胸を揺らして立ち上がると小さく頭を下げてきた。
「屋根、貸していただきありがとうございました。また降る前に失礼しますね」
「ぁ…………」
優しく、丁寧な言葉。
だけど、そこに名残惜しさなんて感じられない。
僕はもう少し話したかった。
いや、もっとずっと話したかった。
もっと聞きたいことはあった、連絡先も聞きたかった。
だけど、彼女は鞄を持つとスタスタと歩いていく。
雨上がりの公園を。
その背中をただただ見ていた僕は立ち上がって―――。
「日下部さんっ……!」
「? はい?」
―――彼女に声をかけた。
精一杯の声を。
僕の声に彼女は振り返ってくれた、
その彼女に僕は僕は僕は―――。
「また……明日……」
―――精一杯の、今の僕の精一杯言葉を投げかけた。
それを受けた彼女は少しだけ驚いて、優しく微笑むと―――。
「はい、また明日、ですね」
―――そう告げて小さく手を振ってくれた。
その動きが、その笑顔が雨雲をどかしたように雲の切れ目から光が降り注ぐ。
それはまるで、日下部さんを照らすスポットライトか何かの様に彼女の道を示していた。
あまりにも綺麗で、あまりにも美しいその光景に僕は完全に言葉を失ってしまった。
「………………日下部さ、ん……」
改めて歩き出した日下部さん。
光のスポットライトを浴びる彼女の背中を僕は咄嗟に写真に撮ってしまった。
差し込んだ光の道を歩く様なその姿は神々しささえ感じるほどだった。
降り注ぐ光を眩しそうに手で受ける彼女はそのまま二度と振り返ることはなく公園を出ていった。
僕はそのまま、しばらくただただ何も出来ずにその場に立ち尽くした。
本当に魂が抜かれてしまったような感覚のままフラフラと、さっきまで彼女が座っていた位置の隣に腰を下ろした。
「………………日下部さん……」
そこにいた―――今はもういない彼女を思って僕はそのまま20分以上その場にいた。
そこで強く、強く、何よりも強く、実感して理解をしたんだ。
「僕は…………日下部さんが、好き……」
気になっているなんて言葉で誤魔化すことはない。
本気の本気で彼女のことが好きでたまらない。
それを強く深く理解してしまい、その日、家に帰った僕は食事も喉を通らずに、シャワーだけ浴びてベッドに潜り込んだ。
人生。なんて言えるほど長くも生きていないけれど、人生の中でこれほどまでに人を、いや何かを好きになったのは初めてだった。
初めての、あまりにも強い感情に僕は揺さぶられる一夜を過ごしたのだった。
―――。
――――――。
「お、女子は外でマラソンかよ、きっちーなぁ」
「つーことは俺らも次の体育マラソンじゃね? だっる」
「………………」
雨の日。恋心を自覚してから数日後。
僕らの学校では体育は男女に分かれて2クラス合同でやる。
今は女子の体育の時間であり、僕らは保健体育ってやつをやっているけれど、半ば自習状態。
プリントだけ渡されて後は好きにしろって感じだった。
僕は目の前のプリントに何か書くのも面倒で放置しながらただただ日下部さんのことばかり考えていた。
あれから、あの日以来、僕は毎朝彼女に挨拶をしている。
「おはよう」と声をかけて、日下部さんが「おはようございます」と丁寧に返してくれる、それだけだ。
だけど、そんな挨拶を彼女とするのはクラスで僕だけでもある。
他の男子たちよりも一歩二歩進んでいる自信に少し口元を緩める。
「…………(まぁ、日下部さんのこと好きなのは僕くらいだろうけど)」
彼女に対する思いを秘めたまま、日下部さんの魅力を知っているのは自分だけという特別感を覚えていると―――。
「お、日下部じゃん、胸でっかくね?」
「マジで? お~、すっげ、あれ何カップだ?」
「え、なになに? 日下部? 胸デカいって……うぉ、すげー!」
「!!!」
―――窓際に集まっていて、グラウンドの女子を見ていた男子たちの会話の中に彼女の名前が出てきた。
今まで男子の会話の中に、日下部さんの名前が出てきたことなんて一回もなかったというのに、急に話題にあがり激しく動揺してしまう。
いや、動揺だけじゃない―――。
「日下部っておっぱいスゲーのな」
「地味で根暗だと思ってたけど、あれは飛び道具だわ」
「あいつ、ぶっちゃけ結構可愛い顔してね? あの乳であの顔なら余裕でやれるわ」
「俺も俺も、余裕余裕! 彼女は考えるけどセフレにぴったり」
「お、走るとホントやべーな、あれ」
―――嫌悪感も、だ。
別に日下部さんと僕は恋人でもなんでもない。
何でもないのに、彼女に対してエロい目で見るクラスメイトたち。
好き勝手な話をしていく彼らに強い嫌悪感を覚えてる。
叫びたい、彼女のナニを知っているんだ? と。
ただただ胸だけ見てはしゃいでいる奴らが何を言っているんだ?と。
自分のものもでない相手に対する強い独占欲が渦巻いていく。
吐き気すら感じる様な独占欲。
「…………!!」
自分でも感情を抑えきれないほどの激情は初めての経験だった。
暴れ出したいような気持を必死に、必死に押し止め居ていると窓際のクラスメイトたちの興味はまた次の女子へと移っていく。
それにホッとする反面、そこにも怒りを覚える。
日下部さんのことを独占したい気持ちと、彼女の魅力をもっと知って欲しいというか、「知れよ!」という感覚。
相反する感情を必死に僕は抑え込んでいった。
―――。
――――――。
「…………」
危機感を覚えたのかも知れない。
日下部さんの魅力が他の男子へと伝わってしまったことに対する危機感。
昼休みに僕は、いつもの友達との昼飯を断ると弁当片手に自習室を目指す。
いつも昼休みに日下部さんが利用しているというそこだ。
自習なんてものとは縁もない僕からしたら初めて訪れるそこは、非常に静かだった。
利用者も数名要るだけで、みんな机で食事や自習をしている。
「…………ぁ……」
その教室の隅の机て黙々と自習をする日下部さんがいた。
男子たちが騒ぐのも無理ないほどの巨乳を大胆に机に乗せるようにして、問題集を解いていく。
僕は少しだけ迷って―――躊躇いながら彼女の隣の席の椅子を引いた。
「っ……こ、ここ、ぃ、い?」
緊張して、かつ静かな自習室でどれほどの声を出して良いのか迷いながら漏らした声は裏返ってロクでもないものだった。
そんな声に反応した日下部さんは少しだけ驚いたような顔をしてから優しい笑顔で―――。
「どうぞ……私の自習室ではありませんので」
―――と、あの雨宿りの日の僕の言葉を真似たような返事をくれた。
それが非常に嬉しくて、どこまでも嬉しくて僕は口元が緩むのを抑えきれなかった。
―――。
――――――。
「日下部さんって……その、将来ってなにするか、とか決めてあるの?」
自習室に通うようになって数週間。
僕は彼女とそれなりに会話できるようになっていた。
今は放課後。日下部さんと昼と放課後、ここで過ごすのが僕の日課であり癒しであり、人生の全てになっていた。
「将来ですか……なりたい職業、夢、のようなものはありますけれど、まだ決まってはいませんね」
隣同士に座って、一応自習をしながら時折会話をしていく。
いつも僕からの質問ありきだけど、打てば響くように聞けば答えてくれる。それが、嬉しい。
差し込む夕日に少し目を細めながら、隣の彼女をチラッと見る。
「………………(可愛い……)」
クラスの男子が『地味カワイイ』だとか言っている日下部さんだけど、僕からしたらクラス、いや、学校で一番可愛いのが彼女だ。
そんな日下部さんと隣り合って会話をしながら自習できるこの時間にどこまでも感謝をしていく。
ありがたくて泣けてくるほどの幸せを積み重ねていく。
ただ、それだけ、でもある。
クラスで一番会話をする相手が僕なのは間違いないけれど、未だに連絡先も知らない。
今が幸せであるけれど、僕はこれ以上踏み出すのを恐れていた。
もし、連絡先を聞いて断られたら、もうここには来られないだろう。
今の幸せを失うのが怖くて僕は、ただ足踏みをしてしまっていた。
「それでは……」
「ぇ……? ぁ……うん」
断続的な会話を繰り返す時間の先で、彼女は立ち上がった。
帰る時間だ。
自習室にはもう僕らしかいない。
差し込む夕日に目がくらみ、それにより落とされた影がどこか幻想的だった。
その幻想的な風景の中で尚、一番綺麗に見える日下部さんは手早く荷物を片付けていく。
「それでは……また、明日、です……」
荷物を片付け終われば、丁寧に頭を下げて彼女が教室を後にしようとする。
いつものことだ。
僕らはここで自習と会話をするだけ。
連絡先も知らない、一緒に帰ることもしない。
ただただ一時間ほど一緒に過ごすだけでそれ以上の展望は存在していない。
「…………」
夕焼けの赤で髪を染めた彼女が教室から出ていく背中に追いすがる様に手を伸ばす、けれども触れることはない。
本当は聞きたい―――連絡先。
本当は言いたい―――一緒に帰ろう。
そんな気持ちと言葉を押し殺して僕はただただ、「また明日」と返事するのが精いっぱいだった。
「………………はぁ……」
日下部さんが出ていった自習室で大きく溜息をついて椅子に座る。
気持ち悪い自覚は持ちながら、さっきまで彼女が座っていた椅子に手を振れる。
まだ残る温もりを感じながら、気持ち悪い興奮を覚えていく。
「こんなこと……してても……」
わかっている。
彼女のお尻の温もりを感じていても何も始まらないことに。
連絡先を聞き、一緒に帰って、信頼を積み重ねて告白でもしない限り何も始まらないんだ。
「………………」
もちろん分かっている。
そんなことは分かっている、ずっと分かっていたことだった。
「…………っし!」
数秒間沈黙の後に、僕は”ばちん!”と自分の頬を左右から挟み込むように叩いた。
音を響かせるようにして誰もいない教室で立ち上がった。
自分で自分に気合を入れたのだ。
「…………」
夕焼けの眩しい窓際に足を進めた。
二階の教室なのでグラウンドが見下ろせる位置にある。
まだ部活をしている生徒たち―――ではなく、校門に向かって歩く日下部さんを見つけた。
その姿を―――もうここ最近日課のようにしてりう長距離隠し撮りの為にスマホに収めようとした。
けれど―――。
「これは…………要らない…………っ」
―――その手を止めて、今まで撮ったものも削除していく。
今日まで撮った日下部さんの隠し撮りを削除。
最後に残ったのはあの日、雨宿りの日の天使の様に美しかった彼女の後姿。
それを削除しようか迷って、一枚だけのコスト改めて頬を引っぱたいた。
「明日……明日、絶対連絡先聞いて……一緒に帰ろう……絶対……!」
覚悟を決めるように言葉にすると鞄に荷物を詰め込んで無意味に走ってその日は帰宅した。
―――。
――――――。
「…………っ……!」
次の日の放課後。
心臓が高鳴っていく。
気持ち悪いほどの緊張感の中で、頭の中でいくつもいくつも会話のパターンを予測していく。
日下部さんに連絡先を聞いて、一緒に帰る。
決して悪くは思われていないはず、そう信じながら僕は自習室に向かって―――。
「あれ…………」
―――いつもの席。隅っこの机には誰もいなかった。
いつも、今日も昼休みもそこに座っていた彼女、今日までいない日はなかったのに、今日に限っていない。
「珍しい……まだ来てないのかな……?」
今まで僕が先に来ることなんてなかったのにと驚きながらも、定位置に座る。
そして教科書などを出して自習をしている形を整えながら日下部さんを待った。
「…………」
だけど、こない。
いくら待っても日下部さんは自習室に現れなかった。
「……?」
もしかして今日はもう何か用があって帰ったのか? そう思った僕は荷物をまとめて玄関に向かった。
人のいない廊下を小走りでかけていって、自分たちのクラスの下駄箱を覗き込んでいく。
そして、日下部の名前のそこを見ると靴は収められていた。
「…………?」
そうなるとますます疑問だ。
日下部さんは部活には所属していない。
委員会には入っているけれど、放課後に何かの集まりがあるなんて聞いたことはない。
となると具合が悪くて保健室で寝ている?
そこに考え至ると今度は保健室。
どこかですれ違ったり行き違いにならないようにと急いで歩いていくが、保健室は無人だった。
「あとは…………どこ……?」
こうなるともうその先の考えはない。
日下部さんがどこに行ったのか、それすらわからないし考え付かない。
改めてで彼女のことを何も知らないままにただただ会話をしていた事実に悲しくなっていく。
一歩踏み出さなかった結果がこれだ。
彼女がどこにいるかもわからない、見つけることが出来ない。
「…………っ!」
学校中を探し回っても行先もわからない。
それほどまでに僕と日下部さんの関係性は薄いことをまじまじと突きつけられるようだった。
合わせての―――。
「毎日毎日、僕が自習室に行くのが嫌だったのでは?」
―――という最悪の考え。
優しい彼女は何も言わなかったけれど、本当は強いストレスを感じていたのかも知れない。
それが嫌で、自分一人で自習できる場所を探してどこかに行ってしまったのかも知れない。
「………………」
その考えに至ると、もう足は動かなかった。
探したところで気持ち悪がられるだけかも知れない。
何も言わずにいなくなったのは彼女なりの優しで「気付いてください」というアピールなのかも知れない。
もし、仮に彼女を見つけたとしても迷惑そうに「いつも気持ち悪いと思っていました」なんて言われたら立ち直れない。
「…………っ……」
完全に足を止めてしまった僕。
今日、一歩踏み出そうなんて意気込んでいたその全てが鎮火した。
「帰ろ…………ぁ……?」
どこか訳わからない場所まで来てしまったけれど大人しく帰ろうと決めた時、微かに何かの声が聞こえた。
耳を澄ましてもわずかにしか聞こえない音。
むしろ、外で練習している野球部の掛け声の方が大きく聞こえるレベルだった。
だけど、何か気になってその音の―――声の出所を探っていく。
結構広い校舎の実習系の教室が集まった区画。
用がないと誰も来ない、ほとんどの教室に鍵がかかっているそこまでフラフラと誘われるように歩いていて、ある教室の前まで来たとき、僕は聞き覚えのある声を聞いた。
それに重ねて品のない、最低な声と、何かの音を聞いたんだ。
その音が、声が、なんなのか理解しながら、震える手で扉をほんの少しだけ開いた。
音もたてずにかすかに開いた扉の隙間から見た、教室の中では―――。
「イクっ❤ イクっ❤ 許してくださ、ぃくううぅうう❤❤」
「お、またイった❤ マジかよこいつ❤」
「初体験でイク女とか本当にいんのかよ❤」
「はっぁあ❤ はぁあああ……❤ も、もう、終わりにしてくださ、ぃっ❤ だめっ❤ そこダメっ❤ イクっ❤ ダメぇええええええ❤❤」
―――複数の男たちに日下部さんが犯されていた。
良くは知らないけれど、タチが悪いなんて言われている男子のグループ。
半裸のそいつらが、日下部さんを、押さえつけて犯していく。
何度も何度も犯したのか、床には使用済みのコンドームが散らばっていた。
男たちが腰を振るたびに、理性を失ったように彼女は声をあげていく。
「…………っ……っ……」
これは、レイプ、何だと思う、間違いなく。
日下部さんを押さえつけて無理矢理犯している。
彼女は必死に「許して」「終わりにして」と懇願している、しているけれど―――。
「うっせぇよっ❤ 簡単にイってるくせにっ、生意気言うなってーのっ❤ この淫乱っ❤」
”ずぷっ❤”
「ひぃいぃいいい❤❤❤ ゆるしへっ❤ イク❤ も、嫌なんです、イクっぅう❤」
―――日下部さんは気持ち良さそうに顔を緩めていた。
そして何度も「イク」と繰り返す。
今まで見たこともない表情で叫ぶ彼女。
僕は助けなきゃいけないと思いながらも一歩も動けずにただただ覗き込んでいた。
日下部さんの大きな胸、初めて見て予想以上に大きなおっぱいが雑に揉まれて、彼女の口に男たちのチンコが押し込まれていき、あそこを―――まんこを犯される姿をただただ見つめていた。
不良まがいの男子たちにビビったのもあるけれど、今日まで数か月で僕が引き出せなかった表情を見せる彼女から目を離せなかった。
「よっし、おら、もっかいイクぞ❤」
「やっぁ❤ だめ、本当にダメなんですぅっ❤ セックスやだぁああ❤」
嫌だ。なんて言いながらも、ロクに抵抗も出来ずに犯されていく日下部さん。
男たちは「本気で嫌がってたのは最初だけだな」と笑っていた。
既に何度も何度も犯された彼女はもう、ただただされるがままに全てを受け入れているようだった。
大きなおっぱいを犯される度に揺らして、喘ぎ声を漏らしていく。
「イクっ❤ そこだめぇええ❤ そこ、コリコリ、だめっ❤ あぁああおお゛❤ おかしく、おかしくなりますっ❤ ひぃいいいぃい❤」
普段の彼女ではありえない大声。
僕では引き出せなかった彼女がそこにいた。
聞こえてくる男たちの声、日下部さんをこれっぽっちも大切にしていないような聞くに堪えない言葉の数々。
肉と肉がぶつかる音、そして彼女の喘ぎ声と水音。
「っ……! ……っ……!!」
気づけば僕はオナニーしていた。
廊下で、好きな女の子が犯されている姿を見ながらズボンの中に手を入れてチンコを扱いていく。
助けに行くこともしないでただただ、彼女が犯されるを見ていた。
「だめっ❤ イクっ❤ も、イクっ❤ おまんこっ❤ イクっ❤ だめぇええ❤ イクっ❤」
日下部さんの何度目かの絶頂。
そして、男たちの笑い声。
それを僕はずっと、ずっと見ていた。
―――。
――――――。
「なぁ、知ってる? 日下部、あいつ金払えばやらせてくれるって」
「聞いた聞いた、2組のやつ自慢してたし、童貞捨てたって」
「てか、あいつのエロ動画ネットにアップされてたんだけど、やばくね?」
あれから数か月。
日下部さんは例の男子たちに良い様に使われているようだった。
学校に来る回数も減り、来ても直ぐにいなくなる。
授業中も居眠りをしていることが多く、最初は注意していた先生たちもいつしか注意しなくなった。
それは諦めたのではなく、何か、何か取引があったような顔で、ゲスい目で日下部さんを見ていた。
もちろん、自習室にも来なくなった。
朝の会話もなくなった。
それでも僕は、1人で昼休みと放課後には自習室に来ていた。
クラスにいても話題は日下部さんのことばかり、「援交してる」「やらせて貰った」「エロ動画送られてきた」そんな話題を誰もかれもがしている。
それを聞きたくなかったからだ。
今でも僕は後悔している。
もし、僕が先に告白していれば、あんなことにはならなかったかも知れない。
せめて連絡先位聞いておけば、一緒に自習室に行く仲になっていれば違ったかも知れない。
「…………っ」
だけど、全てが後の祭りだ。
もう、いまさら何を思っても、どれだけ後悔しても元には戻らない。
「…………ぁ……」
気づけば自習室には僕一人になっていた。
溜息をついて荷物をまとめていく。
日下部さんの来ない自習室に意味はない、でも、もしかしたらと思って―――。
”ガラっ!”
「あ……」
「ぁ…………」
―――出ようとドアに手を伸ばした瞬間、先に外から開けられた、
そこにいたのは日下部さんだった。
目がった彼女が、少しだけ驚いたようにして視線を逸らした。
もしかして……僕に会いに来てくれた……?
あの日以来、数か月会話もしていない僕に、日下部さんも僕のことを―――。
「日下部さ 「おい便女ぉ、誰かいんのかぁ?」 ぁ…………ぇ……」
―――なんて考えが妄想でしかないと思い知らされた。
例の、あの日彼女を犯していたタチの悪い男子と、クラスメイト数人が後からぞろぞろやってきた。
中には僕の友達もいて「ぉ、木村もやる?」なんて最低の笑みを浮かべていた。
日下部さんは僕に視線を合わせることなく教室の中に進んでいく。
そして、彼女は男の一人を「ご主人様」などと呼んで付き従っていく。
その姿を呆然と見つめていた。
「んじゃ、1人10000円なぁ? とりあえずここは3時間抑えてあっから、その間は好きにしろよ、おら、さっさと脱げよ便女❤」
「っ……はい……ご主人様❤」
「な…………」
男の―――ご主人様の命令で日下部さんは制服を脱いでいく。
下着姿になり、その胸の大きさを知ると他の男子たちは興奮の声をあげていく。
「すげぇ、マジででっけぇ……」
「こんなんJKの胸じゃないだろ、やばくね?」
「うっわ、俺、日下部のこと好きになりそう❤」
「いくら巨乳でもヤリマンは無理だわ❤」
最低の言葉の数々。
その中には僕の友人もいある。
誰も僕に気に払わずに興奮し、日下部さんに夢中になっていく。
そして、彼女が全裸になり、手で恥ずかしそうに胸とあそこを隠していると例の男が全員から金を受け取っていく。
どうやら、日下部さんに売春をさせているようだった。
全員から受け取ると男は満足そうにその札を仕舞っていき、日下部さんの背中を雑に叩いて「んじゃ、後任せるわ」と言ってそのまま教室から出ていこうとした。
したのだが、思い出したように僕を見ると―――。
「お前は? 10000あるなら参加していーぞ?」
「ぇ……?」
―――僕にも参加しないかと声をかけてきた。
それに戸惑い、固まり、チラッと日下部さんを見た。
彼女がどんな表情をしているのか気になったんだ。
悲しんでいるのか、それとも気持ち悪がっているのか、どんな目で僕を見ているのか気になった。
「ぁ………………」
「どすんだ?」
視線を戻し、やりたいなら金出せと手を差し出す男を見た。
僕は「僕は……いいや」と言ってその横を通り過ぎる。
後ろから、男子たちの興奮の声と日下部さんの小さな喘ぎ声が聞こえてきた。
それを振り切るように僕は放課後の廊下を走った。
誰もいないそこを走りに走って、下駄箱を抜けて、走って、校門を潜り走って、端って走って―――。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
―――あの公園の東屋に来ていた。
2人で雨宿りをしたあそこへ。
僕はフラフラとベンチに座ると、夕焼けの空を見上げた。
あの日と違って綺麗に晴れた空を見つめる。
「はぁ……はぁ…………」
さっき、僕は日下部さんを見た。
僕をどう思っているのか気になったからだ。
『木村君にはこんな姿を見せたくない』なんて悲しんでいるのか。
『木村君に抱かれるなんて嫌』と気持ち悪そうにしているのか。
どんな感情で僕を見ているのかと気になったのだけど、彼女は―――。
「………………っ」
―――僕を見てもいなかった。
好きとか嫌いとかそんな感情でもなく、僕のことを気にも留めていないようだった。
男が「一人くらい飛び入りいーよな?」と声をかけて初めて僕を見て、媚びた笑顔をご主人様と呼ぶ男の向けて頷いていた。
僕は、日下部さんに固体認識されていなかった。
積み重ねてきたと思っていた数か月。
彼女と一緒に時間を過ごしてきたと思っていたけれど、彼女は僕のことを『自分を犯そうと金を払った男たち』と同列に見ていた。
好かれても嫌われてもいなかった事実に僕は打ちのめさせた。
彼女のことを思った激情に何の意味もなかったことをしかと思い知らされて、ただただ、絶望していった。
―――。
――――――。
「…………ぁ……」
気づけば周囲は暗くなっていた。
夕焼けも過ぎ去った夜。
何時間も公園の東屋にお座っていた僕のスマホが震えた。
何かと思い見ると、友人―――さっき日下部さんを犯そうと金を払ったやつからのLINEだった。
そこには『マジ最高だった』というメッセージと―――。
「………………」
―――裸の男たちに囲まれて、がに股であそこから精液を垂らしてピースする日下部さんの写真があった。
僕はその画像を保存して、かつてここで撮った、天使の様に美しかった彼女の後ろ姿の写真を消した。
思い出も、僕の思いも何もかも―――。
[削除しました]
―――。
――――――。
それから更に少しして、日下部さんは学校を退学していった。
なんでも、妊娠したんだと聞く。
僕は、その噂を聞いて、嘔吐した。
これが僕の初恋と青春の話。
この数年後、僕は意外な場所で彼女を見つけることになったのは、また別の話。
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_(:3 」∠ )_〈宣伝用のBSS系の文を先にこちらで公開です!
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