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最近山城態度がそっけない。 いや、そっけないのはいつものことなのだが、そっけないというより避けられているといったほうがいいのか… 秘書艦担当の時も必要最低限の会話しかしないし目もあわせない。だからといってムッとしているわけでもない。さらに姉の扶桑と会話をしていても邪魔しに来ない。 なぜだ? 何か彼女を怒らせるようなことをしたのだろうか…… 不安になり扶桑に相談したところ、その日の昼頃に「今夜お部屋に来てください」と文をもらった。 何か原因が判ったのだろうか、その日はさっさと仕事を終わらせて約束の時間に彼女たちの部屋へ向かった。 コンコン! 「どうぞ」 「失礼する」 部屋は各自自由に改装して良い決まりになっており、彼女達の部屋は純和風仕様になっていた。 「ではこちらへどうぞ」 そこには部屋には夕食の用意がされていた。 「せっかくですから一緒にお夕食でもと思いまして」 「それはありがたいのだが…いいのか?」 「はい、そうしてもらえると嬉しいですから…」 席に座ると扶桑が微笑みながらグラスを渡す 「本日もお仕事お疲れ様でした。どうぞ♡」 扶桑さんがビールを注いでくれる。 仕事終わりの一杯、しかも美人の扶桑のお酌。 コップの中のビールがあっという間に喉の奥へ消えてゆく… 「あぁ…今夜のお酒は美味しいなぁ……」 「ふふふ、さぁお料理もどうぞ」 目の前の料理は私の大好物ばかりだ。 「いただきます……うん、美味い!」 「そうですか、それはよかった♡」 扶桑が喜んでいる。扶桑は料理も上手なんだなぁ… 「毎日食べれたら幸せだろうなぁ…」 「えっ?」 「あっ、いや…つい…本音が…」 「あらあら♡」 扶桑は嬉しいようなちょっぴり切ないような表情を見せた……。 ……………………………………………………………… 久しぶりに彼女と二人でゆっくりとした食事の後、扶桑に尋ねた 「ところで山城ことなんだけど…」 「少し用意する事がありますのでその間にお風呂でもいかがですか?」 「え?風呂?」 艦娘たちは普段大きな浴場を使うのだが、それ以外にも各部屋にはトイレと浴室(シャワーのみ)が備え付けられている。 艦娘といえど女性の部屋で(あれ?同部屋の山城はどこにいったのかな)風呂に入って良いものだろうか。 「私がお風呂に入ることは必要なことなのか?」 「そうですね、お風呂かられられたらすべてわかります」 そう言われたら入らざるをえない。 私はシャワーを浴びることにした。 シャワーから出るとわざわざ用意してくれたのであろう真新しい男性ものの浴衣が用意されていた。 浴衣に袖を通し浴室を出ると部屋の明かりが薄暗い。 (明るいシャワー室から急に薄暗くなったので前がよく見えないなぁ…) 「扶桑さん、お風呂ありがとう」 「浴衣の丈は大丈夫でしたか?」 「あぁ、ピッタリだよ」 「それは良かったです♡ね、山城」 ん?今扶桑さんはなんと言った? 「山城は提督さんのことよく知ってますからね」 「ねっ、姉様!そんなこと今は言わなくていいんです」 ん、ん?扶桑さん以外に聞き覚えのある声が…… だんだん目も慣れて来たけど…やっぱり二人いる。 「扶桑さん、すまない少し明かりを…」 部屋の中がほんのり明るくなる………あっ、うん? 目の前に敷かれた布団の上に美女が二人。 「山城、お前…」 扶桑さんと二人でいる時には必ず邪魔しに来ていた彼女が今日はいないなぁと思っていたらまさかこの場に!! 「姉様と変なことしないように見に来たんです!」 「いや、変なことって……ねぇ。」 「ねぇ!じゃないわよ!……ったくなんで姉様はこんな男に…ブツブツ」 え〜っ、そんなこと言われてもなぁ…扶桑の方をちらっと見る。 扶桑は微笑みながら 「実は提督が今日召し上がられた料理、全部山城が作ったんですよ♡」 えっ!そうだったのか!てっきり扶桑が作ったものだと思ってた… 「山城、ごちそうさま。とても美味しかったよ」 しかしよく私の好みを知っていたなぁ… 「山城、提督は毎日あなたの料理を食べたいそうですよ」 「あぁ〜っ!もう!聞こえてたわよ」 顔をプイッっと横に組める山城。顔が真っ赤なのは今言うと怒りそうだから言わないでおこう。 「ほら拗ねてないで、今日は提督にちゃんとお話しするんでしょ。」 「……………うん。」 「なんの話かな?」 「実は……」 場の雰囲気が変わる…… 「ちらっと聞いたのだけど…提督、配置替えの話は本当?」 「えっ?」 確かにこの季節になると各地の提督の任期やこれまでの戦果によって配置転換が行われる。最近は戦果だけでなく艦娘および地域との相性等も考慮され任期満了ではあるが延長と言う形で残る提督もいる。 私もここに来て7年。任期が切れるのである。 「本当なのですね…」 「うん、……でもそのことは…」 「あなたは姉様のお気持ち考えたことがありますか!」 「えっ?」 「山城、それは言わなくても」 「だめです!姉様がお慕いしている方がいなくなるんですよ!」 「いや、だからちょっと聞いて…」 「うるさいです!あなたはちょっとだまって!」 「あ…はい…」 「姉様は彼が着任されてから表情が明るくなられた。いざ戦いの時も凛とした姿に…素敵です。まぁ、私たちの不幸体質のせいで被弾することも多いのですけど、大破した時でもあの人に苦しい顔は見せられないと常に笑顔でいたじゃないですか!」 そうだったのか…扶桑、そこまで俺のことを。 「今回の件だって、あの方のことを考えたら黙っていようってしてたじゃなですか」 「それは…山城、あなただって提督をお慕いしているのでしょ。」 「えっ、私は……なんでこんな男のこと……」 「普段二人で話している時によく提督のことが出てくるじゃないの」 「あれは姉様が喜ぶから色々と…」 「今日の料理も提督好みの料理だったようですし」 「それは…秘書艦の時に色々話位を聞いて…うぅぅ……」 「ほら、今日はふたりで提督に……」 あ、何かやばい感じになってきてるぞ…これはそろそろ… 「あの、ちょっと話聞いてもらっていいかな?」 「はい」 「うん」 「それじゃあ、配置転換の件なんだけど、噂は本当です」 「あっ……」 「やっぱり…」 二人の顔が曇る…… 「本当です。が、まだこの地域は休戦状態になっているがいつ再開するかわからない状況で今指揮官を変えるのはよろしくないということになってね」 「ということは」 「うん、今回は任期延長という形になりました。」 「え!」 「うそ!」 「ははは!当分はここにいるよ」 言い終わる前に二人が抱きついてきた。 「よかったぁ……」 「ばか、ばか、ばかぁ………」 ………………………………………………………… 「さて、提督もまだいるということなのだけど、姉様このあとどうしましょう?」 「そうねぇ…これだけ悲しい思いを私達にさせたのですからそれなりのことしていただかないと…」 えっ!今回の件は俺のせいなの? 「悲しんだ分だけいっぱい愛してもらいましょうね山城♡」 お世話になっております うらともみです。 いつもご支援ありがとうございます 1月は行く、2月は逃げる、3月は去るといいますが、 ついこの前お正月だったのにあっという間に3月になりました。 年度末、色々と大変な時期(コロナの影響がまだあるので)ですが 今月もよろしくお願いいたします。 以前より描いては止まってとしていた扶桑型姉妹ようやく完成しました。 色々あって完成まで時間がかかりましたが完成できてホッとしてます。

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Comments

dc282466

意味深な続きを見たくなりました…

うらともみ

ありがとうございます! 時間ができたら続きを書いてみたいと思います