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「健ちゃん、学校行こー」

「うん」

玄関のドアを開けると、真理奈が立っていた。


僕は学ランで、真理奈はセーラー服。

どちらも、今日から通う高校指定の制服。


「制服、間に合ったんだ?」

真理奈が着ているのは、オーソドックスなセーラー服にスカート。

公立高校ということもあり、特別なデザインとかは無い。


「うん。色々と大変だったけど・・・」

だけど、真理奈は何処かぎこちない感じ。


それも、その筈。


卸し立て最初の、制服着用。

にも関わらず、何処かダボッとした印象を受ける。


「サイズ、あったんだ」

“有った”と“合った”、の両方の意味。


「うん、まあ」

どうやら、最終的には特注になったらしい。


ボディビルダーとか、競輪選手とか。

毎回、例えがアレだけど、そういう人たちって服に苦労するらしく。


色々な部位が立体的になるせいで、普通の縫製だと着られない。

真理奈も今回、その点において完全に同じ状況になってしまった。


セーラー服の上着も、体操着の上も。

どちらも胸周りありきだと、余裕を見て『5XL』。


この『5XL』サイズですら高校一年女子で考えれば、大きいんだけど。

真理奈は袖部分だけ『10XL』用という、訳のわからない事になっていて。


更に、ジャージのズボンに至っては、その『10XL』ですら足りず。

サイズ表すら存在しない一点物としての、立体縫製らしかった。


大きい人用のサイズって、意外とマチマチらしくて。

ウチの高校は、このサイズだった。


    身長  胸周り  腕周り 脚周り

真理奈:177cm 115cm  55cm 74cm

5XL :190cm 129cm 46cm  59cm

10XL :215cm 168cm 57cm  67cm


上着に関してだけ言えば、袖周りを特注するなら『4XL』で足りたそう。

ただ、そこは結果論。大き目を買ったってことで、三年間保たせたいらしい。


「下は、スカートだから気にならないけど・・・」

そう言って、真理奈は僕の目の前で軽やかに回る。

膝下まであるロングスカートが少しだけ、フワッと浮いた。


「もう、まともにズボン穿けない・・・」

真理奈は、スカートの端を持って少し抑え付けると。

直ぐに、極太の大腿四頭筋がアリアリとその形を浮かび上がらせる。


パッと見、ちょっと大柄な可愛い女子高生にしか見えないのに。

制服の下には、逞し過ぎる超絶筋肉ボディが秘められているのだ。


「でも、真理奈ってズボン穿かないじゃん」

「・・・う。まあ、そうだけど」

実際、今までパンツルックな真理奈は見た事が無い。

部屋着は短パンを多用するのに、外ではスカートを好む。


「上が着れてるなら、大丈夫じゃない?」

「健ちゃんがカッコ良いって言ってくれるなら、良いけど・・・」

真理奈は、肩の高さで腕を曲げ伸ばし。

特段、袖はキツそうに見えなくて、まだ余裕ありそう。


「うん、まあ・・・」

真理奈の、今の制服姿はだダボダボなせいか正直、ちょっと野暮ったく見える。


「ちょっとぉ、健ちゃん。脱いだら凄いんだからぁ」

「はは、わかってる」

制服の下の“中身”の凄さは、僕もアリアリとわかっている。


「二の腕は、これ以上凄くなっちゃうと困るけど」

「まあ、流石にそれ以上は・・・ね」

僕は、その先を言おうとして、止めた。

何か、言葉にしてしまうと、『フラグ』になっちゃいそうで・・・。


身長も止まったようだし、流石にこれ以上は無い・・・筈。

もし、まだ何かあるようなら、それはやっぱり・・・。


「まあ、良いや。健ちゃん、もう行かないと」

「あ、うん」

僕たちの団地から高校までは大体、5kmぐらいの距離がある。

自転車通学だと、通学時間が20分ぐらいになる計算。


・・・だったんだけど、真理奈が“自転車に乗れない”ことが判明して。

徒歩通学でも行けなくはないので、僕もそれに付き合うことにしたのだ。


ただ、徒歩通学だと、一時間ぐらい掛かるので早めに出ないといけなくて。


「健ちゃんは、自転車乗って良いのに」

「そうも行かないよ」

一緒に通学する幼馴染の女の子が、徒歩なのに。

男の僕だけ自転車に乗る、なんてのは流石に出来ない。


「多分、私の方が自転車より速いよ?」

「・・・え」

自転車だと普通に漕いで『15km/h』、かなり飛ばせば『20km/h』。


「この前、走ったら10分ぐらいだった」

買い替える前の自転車で予行演習がてら出掛けて、途中で乗り潰し。

その自転車を抱えたまま、走って帰って来たらしい。


「それって・・・」

パンクとかで壊れた自転車を牽いて歩くのは、実際にはかなりの重労働。

真理奈は、その自転車を荷物として抱えながら『30km/h』で疾走した計算になる。


「・・・あ」

僕は、花火大会の時の一件を思い出していた。


原付バイクを片手で持ち上げる、腕力。

原付バイクに追い付く、脚力。


その二つが揃っていれば、朝飯前・・・なんだろうか。


「あ、そうだ♪」

「ん?」

真理奈は何かを思い付いたのか、妖しい笑みを浮かべている。


「健ちゃん、運んだげよっか?」

「え、何を言っ・・・うぉあっ」

疑問形で訊いたにも関わらず、回答を待たずに僕は真理奈に捕獲され。

軽々と持ち上げられたかと思うと、真理奈の肩に強制的に座らされた。


「ちょ、下ろし・・・」

「えー、肩車はダメ? じゃあ・・・」

またしても、僕が言い終わる前に、今度は胸元で抱き抱えられる形に。

まさかの、逆お姫様抱っこ。


「ちょ、恥ずかし・・・」

「えー、これもダメなの? じゃあ、“出前持ち”で」

そう言うや否や、僕を片手で持ち換え、お尻を支えるように持ち上げた。


「ちょ、高い、高いっ」

いわゆる、『岡持ち』を持つような持ち方、とでも言うんだろうか。

高く上げられた真理奈の右掌に、お尻ごと僕の身体が乗っている。


肩車から逆お姫様抱っこ、そこから更に、『岡持ち』持ち。

文字通り、僕の身体は真理奈の掌で転がされ捲っていた。


勿論、決して無抵抗だった訳じゃない。

むしろ、全力で抵抗していた。


だけど、真理奈は全く、意に介していないのだ。

多分、僕が抵抗していることすら、気付いていない。


きっと、新しい高校生活への期待とかで、テンションが上がっているんだろう。

そう思えば可愛いもんなんだけど、やってることは只の怪力ショー。


「真理奈、ホントに勘弁して・・・」

「ダ~メ♪」

結局、真理奈に弄ばれつつ、僕は真理奈に運ばれる形で高校生活初日を迎えた。



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