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 草神クラクサナリデビが解放され、スメールは正しい方向に歩み始めた。

 教令院の大賢者たちによる、文化や技芸といった娯楽分野への事実上の弾圧は終わり、スメールの民たちはここにきて初めて、“自分の意思で何かを選ぶ”という壮大な自由に直面することになったと言ってもいい。


 だが“自由”とは、一口に称揚して尊ぶべきものではない。

 自由の本質とは、それ即ち“闘争”であるとも言い換えることができる。自由な市場で敗北したもの――あるいは乗り遅れたものは、ただ顧みられることもなく忘れ去られるだけだ。


「私が、なんとかしなきゃ…………!」


 そして現状のズバイルシアターの窮状も、皮肉なことにシアターの者たちが求めた“自由”に伴う必然的な衰退の形でしかなかった。

 在りし日の活気を失い、“閑古鳥が鳴く”と形容されてもなにも言い返せないだろう現状は、けれどもう大賢者たちのせいにすらできない。


 草神クラクサナリデビの解放によって、スメールは他国の文化を積極的に取り入れ、国家そのものの見聞を広める方向に舵を切った。

 アーカーシャ端末の停止によって停滞した様々な研究を、他国の文化や知識を学ぶことでもう一度見つめ直し、民の知見を広めて新たな発展を促す。

 クラクサナリデビが打ち出したその施策は、スメールの多くの民に指示を受け、何よりニィロウもそれに賛同したはずだった。


 けれど、ズバイルシアターにとってはそれこそが悪手だった。

 モンドの酒、璃月の宝飾品、稲妻の娯楽小説、フォンテーヌのからくり機構――――新施策によって流れ込んできた物珍しい娯楽は、スメール旧来の娯楽を瞬く間に駆逐した。

 

 そして何よりズバイルシアターにとって残酷だったのは、ズバイルシアターでのダンスと同質の“観劇”に類する娯楽が、立て続けにスメールに流れ込んできたことだ。

 モンドの吟遊詩人、璃月の璃月劇、稲妻の歌舞伎、フォンテーヌの映画やアニメーション。物珍しいそれらに押され、シアターの客足はみるみるうちに減っていった。


「このままでは、シアターの存続も危ういかもしれないな……」


 シェイクズバイルが、そんな弱音を溢したのをニィロウは初めて聞いた。

 恐らくは聞かせるつもりはなかったのだろう。けれど本当に無意識に溢れてしまったのだろう言葉は、けれどそうであるからこそ悲痛さに満ちていた。


 シアターやバザールに蓄えはなく、けれどその場所でしか生きられないだろう者たちはそれこそニィロウも含めて大勢存在する。

 制度的な差別が廃止されても、シアターの住人への心情的な差別は今だ残っているし、何より絶対的な知識の差がある以上、教令院に職を求めることも事実上不可能だ。


「私が……私が、なんとかしなきゃ……!」


 誰に求められたわけではなくとも、ニィロウはそう考えざるを得なかった。

 シアターの看板役者である自分が、シアターの危機になんの行動も起こさないわけにはいかない。それは彼女らしい責任感の表れで、けれど現実はどこまでも残酷だ。


「あー……すまん、ニィロウ。

 行ってやりたいのはやまやまなんだが、その日は先に璃月劇を観に行く予定が……」


「なになに、ズバイルシアターでのダンスステージ?

 今更そんなのやっても流行らないよ。時代はフォンテーヌの映画さ」


 ビラ配りも地道な宣伝も、意味をなすことはなかった。

 シアターへの客足は遠退くばかり。バザールの業者は続々と休業や廃業に追い込まれ、グランドバザールはだんだんと閑散と荒れ果てていく。


 バザールの者たちに、蓄えらしい蓄えは作りようがない。

 不合理な差別は終わったはずなのに、むしろバザールに暮らす者たちの経済状況は冷えきっていくばかりで、生活は貧窮していく一方だ。


「…………私、に、できること…………」


 追い込まれていく仲間たちの有様に、ニィロウは追い詰められていく。

 シアターの看板として皆に支えてもらったというのに、こんな状況で自分はなにも出来ずに、ただまばらになった客席に向けて舞を披露するしかない。


 そうして幾日も幾日も無力感が焦燥を積み上がらせていく中で。

 積み上がる焦燥の内でニィロウは“自分に出来ること”を考えた末に、ある短絡的で残酷な結論へと発想を至らせてしまった。


 ただ静かなのではなく、閑散とした薄ら寂しい深夜のバザール。

 その場所から人知れずニィロウが抜け出すようになったのは、ズバイルシアターの財政がいよいよ逼迫し、講演の縮小が現実味を帯び始めた日のことだった。



 スメールシティの郊外に存在する、とある貴族の邸宅。

 その広大な屋敷の主の寝室にて、いかにも不釣り合いとしか言い様のない男女が、薄暗いその部屋に似つかわしい裸身を晒して向かい合っていた。


「あのような寂れたシアターのためにこうまでするとは、随分と殊勝なことだ」


 巨大なベッドに仰向けに横たわるのは、屋敷の主である醜い老人だ。

 好色に細まった目、下卑た形に歪んだ唇、締まりなく突き出した腹肉は仰向けに横たわることで横方向に流れ、見目の醜悪さをいっそう引き立てる。


「んっ…………!ふ、ぅぅ……っ!

 んく、ふ、ん、く、んぅ…………っ!」


 そしてそんな老人の股間に顔を埋めているのは、それこそ老人の醜さとは正反対の清廉な印象の美少女だった。

 鮮やかな緋色の髪、可憐と美麗を同居させた清楚な顔立ち、体つきは均整が取れつつも柔そうな曲線を描き、肌は透き通りそうな程に白い。

 ズバイルシアターの舞姫――――ニィロウは、夜話に語られる姫君のような可愛らしい顔立ちを必死さに染めて、咥え込んだ老人の男根に慣れない奉仕を行っている。


「最初の頃に比べれば上手くなったが、やはりまだ足りんな。

 裏筋を舐めるばかりでは慣れてしまう。奉仕に緩急をつけろと何度言えばわかるのだ?」


 ひどく居丈高に男が言い、ニィロウの表情にわずかな嫌悪が滲む。

 けれど現状のニィロウにできるのは、滲んだ感情を隠すように老人の股間により深く顔を埋め、言われるがままに緩急をつけた奉仕を行うことだけだ。


「ふ、んぅ……っ、く、んん゛っ…………!

 く、ぅぁ、ふ、ぅぅ……、んぁ、ぁ、かはっ…………!」


 裏筋やカリ首の敏感な部分に舌を這わせながら、老いた醜体には不釣り合いなほどに硬く張りつめた男根を喉奥へと迎え入れる。

 息が詰まり、口内に満ちる悪臭に吐き気が込み上げて、それでもニィロウは自分を納得させて、ただ望まれるままの淫靡に自らを貶める以外になかった。


 知識もなく、知恵もなく、あるのは自らの身体だけ。

 ニィロウという少女は、自らの価値をそのように認識していて、そして同時に自らが持つ唯一の価値――“身体の価値”をも正確に認識してしまっていた。


「ふん、最初からそうすればいいのだ。

 ほれ、恵みをくれてやる。しっかりと飲み干すがいい」


「んむ゛…………ッッ!ん、ぐ、かぁはッッ!

 っ……!っ、っっ~~~~!!!!ふ、んく、ぅ、んぐっ……!」


 些か早すぎるほどのペースで、ニィロウの喉奥に精液が吐き出される。

 どろりと絡み付く、雨季の湿度を帯びた泥土のような濃い精液は、ニィロウの苦手とする生臭い苦味で少女の味覚と嗅覚を犯す。


 後頭部を掴まれて股間に顔を押し付けられ、伸びきったまばらな陰毛の不気味な感触を顔全体で味わわされながら、ニィロウは必死に喉を鳴らした。

 一滴たりとて飲み込みたくはない穢れも、けれど一滴とてこぼしてしまえば、この場で味わう屈辱も羞恥も全てが無駄になってしまうことはわかっていた。


「んぐ、ふ、く――――っぁ、は、かはッッ!!

 はぁ、はぁ、ふ…………ぜん、ぶ、のみま、したぁ……!」


 老人が射精を終え、後頭部を掴む力が弱まれば、ニィロウはすぐさま起き上がって老人に覆い被さりながら舌を突き出した。

 舌の上にわずかに残った精液の残滓。それを眺めてから老人が無言で頷くと、ニィロウは今度はまた別の方法で、言われるよりも先に自ら奉仕へと乗り出す。


「し、失礼を、致します……!」


 上擦る声と共に、ニィロウは自らの乳房の谷間へと、射精を終えてなお力強く屹立するぺニスを挟み込んで扱きあげ始める。

 小さな手によって寄せ集められた、蕩けるように柔い乳房。それによってそそり立ったぺニスが挟み扱かれる感覚に、老人の口からも愉悦に歪んだ吐息が溢れた。


「ふ…………!こちらでの奉仕は、上手くなったものだなぁ……!」


「っ、あ、ありがとう、ございます……!

 どうか、私のご奉仕を、お楽しみください……!え、えへへ……」


 豊満な胸の谷間から覗く、赤黒く張りつめたままの亀頭。

 その先端から粘つく先走りが迸る様に嫌悪感を煽られながら、それでもニィロウは感情とは裏腹な笑顔を表情に張り付けて、柔い乳房で男根を刺激し続けるしかない。


 ニィロウは男の夜伽を行い、男は対価としてグランドバザールに多額の金銭を出資する。

 この場で行われているのはそういう“取引”であり、だからこそニィロウは自らの身体や信念を貶められていると理解していながら、この陵辱から逃れられない。


「ふ、“シアターの舞姫”が聞いて呆れる浅ましさよ。

 まぁ、所詮は下劣な踊り子風情。こうした下卑た行為も慣れたものか」


「あ、あはは、えへへへ…………」


 泣き出したい気持ちを抑え込み、必死で奉仕を続けるニィロウ。

 “踊り子”という自らの誇りを下世話な妄想で穢されて、叶うのならば言い返してやりたいという衝動に駆られてしまうのは当然のことだ。

 けれどニィロウの聡明さは、それが不可能であることを理解しているし、残酷なことにその理解は正しかった。


 ニィロウに出来ることは身体を差し出すことだけで、老人の下種な欲望に少しでも抗ってしまえば、ただそれだけでか細い希望は途切れてしまう。

 今の彼女に出来るのは、身体と引き換えに多額の金銭をシアターに還元する事だけだ。


「貴様に懸想していた者たちも、この有様を見ればさぞ落胆するだろうなぁ。

 ……それとも、そういった者たちもその身体で釣っただけか?乳での奉仕の手慣れた有様を見るに、そうであっても不思議ではないが」


 気分よさげに老人がせせら笑うと、乳房の間で太いペニスが脈打つように跳ねた。

 鈴口から染み出す穢れた先走りと、酷く残酷に“踊り子”という職掌を嘲り穢す妄想の言葉が、笑顔の仮面で覆われたニィロウの心を残酷に傷つけていく。


 この場で老人に身体を差し出すまで、ニィロウは異性と手を繋いだ事すらなかった。

 異性の前で裸身を晒すことも、キスも、ペッティングも、絶頂も、処女も。全て老人の醜い欲に捧げる以外になかったのに、そこに返されるのは一層残酷な嘲りだけだ。


「ちがい、ます……っ!私、私は、そんな事…………!」


「手を止めるな。それとももう出資は必要ないか?」


「――――っっ!!ご、ごめんなさい…………っ!!」


 言い返すことすら許されずに、ニィロウは一心不乱に自らの乳房で老人のペニスを挟み込み、懸命に扱きあげることでグランドバザールを守ろうとする。

 差し出せる唯一の――けれどどうしようもなく大切な身体を穢してまでバザールを守ろうとするその姿と行動は、確かに気高い行動だとは言えた。


 だがそれでも、ニィロウの行為は根本的に無意味で愚かな行為でしかない。

 既にスメール旧来の娯楽は、他国から持ち込まれた新たな娯楽によってほとんど駆逐され尽くし、誰からも見向きもされないものに成り果てている。

 老人がどれだけ出資しようとも、きっとグランドバザールはあと一年も経たないうちに閉ざされるだろう事は、冷静に見れば誰でもわかる。


「っ、ぅ、んぁ、き、気持ちいい、ですか……!?

 だ、出してください……っ!精液、私の顔に、びゅーびゅーって……!」


 だがそんな現実を否むように、ニィロウは無意味な苦闘を続ける。

 屈辱を飲み下し、泣きだしたいほどの恥を笑顔の下に押し殺し、教え込まれた淫らな言葉と共に老人に射精を促す。


 バザールの命脈が尽きている事など、本当はニィロウにも分かっていた。

 だがそれでも、認められないし認めたくない。そんな愚かしく子供じみた感情論だけを先走らせた結果が、現状のニィロウを苛む心身への陵辱の正体だった。


「ふ、ふははは、随分と淫乱になったものだなぁ?

 よかろう、その顔で、精液を受け止めろ…………ッ!!」


「っ、んぁ、うぅ……っ!く、ぅぅ~~…………っ!!」


 促されるままに、老人はニィロウの顔に精液をぶちまける。

 多くのものの目を引くだろう清楚可憐な顔立ち。そこに黄ばんだ精液がぶちまけられるだけで、"清楚"と"可憐"の全てが惨めさによって塗り替えられていく。


 粘性を帯びた精液が、糸を引くように頬を伝って顎さきから滴り落ちる。

 柔肌の上を撫でていく気味の悪い感触に涙が出てしまいそうで、けれどニィロウはシアターの皆の笑顔を思って、込み上げ掛けた感情を仮面の下に引き戻した。


 乳房の間でビクビクと打ち震えるペニス。点々と顔や胸に吐き出される精液。

 それでもニィロウに出来る事は、ただその場でじっと老人の射精を受け止めて、この場で行われる"取引"に身と心を殉じさせることだけだ。


「――――さて、では次だ」


「は、はい……っ!失礼、いたします…………!」


 射精を終えた老人が、やはり居丈高に命令を下す。

 "次"という言葉に具体性はなく、けれどすでに何度も老人に身を暴かれてきたニィロウは、彼が"次"という言葉に何を求めているのかを理解してしまっていた。


「あっ…………!」


「ふん、いつまでも残るその初々しさは悪くないな。

 既に膣は儂のいいように緩まってはいるが、未だそんな顔ができるとは」


 仰向けに横たわった老人の上に、蹲踞のような体勢で跨る。

 そしてそのまま無毛の秘所――――これまでの奉仕の中で勝手に濡れてしまった場所を、天を衝くように屹立するペニスへ宛がえば、ニィロウの口から怯えの呻きが漏れた。


 すでに何度も何度も、このペニスによって膣奥までを穿たれている。

 体位は決まっていつも同じ騎乗位で、ニィロウは純潔を奪われた時も同じように、自らの意思で腰を押し進めてペニスを膣奥まで招き入れる事を強要された。


 痛かった。辛かった。恥ずかしかった。死にたいほどに惨めだった。

 幾度の夜を越えても、幾度ステージに立っても、幾度大好きなタフチーンを口にしても、幾度ドニアザードやディシアと笑いあっても、その感覚は薄らいですらくれなかった。

 刻み込まれたトラウマは、未だにニィロウの心を恐怖と屈辱で染め上げている。


「は…………っ!ぁ、うぁ、ぁぁ……っ!!」


 精液で汚された顔が恐怖で染まり、薄い唇がわなわなと慄く。

 潤んだ膣口には亀頭が宛がわれたままで、けれど焦らすように幾度か腰が上下される中でも、老人はあくまで自らニィロウの膣を貪ろうとはしない。


 老人は仰向けに横たわったまま、ニィロウの有様を愉快そうに眺めるだけ。

 既に老人は"欲の解消"のためにニィロウを使っているわけではなく、ただ"愉快な玩具"としてニィロウで遊んでいるだけだ。


 彼女が恐怖すればするほど、老人にとっては付け入る隙と愉楽が増す。

 苛立ち混じりに少し呻いてやるだけで、ニィロウと言う少女は絶望的に表情を歪めて、恐怖を抱いたまま膣奥へとペニスを咥えこもうとするしかない。


「っぎ……!!ぅぅぅ、ぁ、ぁ、あ、あぁぁっ!!」


 そしてそのまま、ニィロウの膣奥へと硬く滾ったペニスが滑り込んだ。

 既に"処女の締まり"ではなくなった膣。けれどそれは幾分か緩くなったことによって、むしろ柔らかく吸い付くように老人のペニスを最奥にまで迎え入れてしまう。


「っぁ、ぁ、ぅうぅ……っ!

 は、ぁぁぁ、く、んぁっ……!や、や、や、あぁ……っ!!」


 既に挿入に際しての痛みはなく、ニィロウにあるのは途方もない屈辱と絶望だけ。

 けれどニィロウはそれに浸れるだけの僅かな休息すら与えられずに、咥えこんだペニスを刺激するために淫らに腰をくねらせるしかない。


「ふ、んぁ、ぁ、く、ぅぅ…………っ!!

 んゃっ、ぁ、んぅ、ぁ、あんっ!は、ぁぁ、あぁぁうぅ……っ!!」


 老人に跨ったまま、ニィロウの身体は途方もなく淫らに跳ねていた。

 均整の取れた豊かな乳房が根元からふるふると震え、その中心に存在する可憐な肉蕾が浅ましく屹立する有様をどうしようもなく明らかにする。

 踊り子として鍛えられつつも柔らかな肢体が波打つように震え、とりわけ腰の蠢きは何処までも淫靡に、膣肉の蠢きと合わせて老人の興奮を助長した。


「やはりと言うべきか、慣れた娼婦のような腰の振り方だな。

 さすがは踊り子と誉めてやろう。男を誘う手管で言えば相当に上手い部類だろう」


「ん、ぅぁ、や、ぁりが、と、ございます……っ!!

 く、ぅぁ、ぁ、ふ、ぅうぅっっくぅぅ~~~~…………!!」


 笑顔の仮面の奥底から、ひびわれた絶望が滲みだす。

 無理矢理に持ち上げた口角がヒクヒクと痙攣し、無理矢理に笑むように細めた目尻から涙が滲みだし、けれどニィロウはそれに気づくことも出来ない。


 ニタニタと醜悪な笑みを浮かべながら、老人はニィロウの痴態を眺めつづける。

 誰もが一度は目を奪われるだろう、清楚可憐なシアターの舞姫。それが自らの上で腰を振っている有様は、老人の嗜虐的な支配欲を満たす。


 肉と肉が打ち付けられる音。淫らに粘ついた愛液の音。

 純潔を奪われたばかりの頃は恐る恐るであった筈の腰の蠢きは、今ではもうこの行為を早く終わらせるための、貪るような深いピストンに変わっていた。


「だが、随分と雑なピストンになったものだなぁ?

 これでは奉仕ではなく、ただ貴様が快楽を貪っているだけではないか?」


「んぁ、やっ、違い、ます……っ、ん、んっ、んぁ、ふぅ……っ!!

 こ、れは、ちが、ぁ、だって、気持ちいい、でしょ……っ!?ぁ、ふぁ、あぁっ!」


 皆の居場所を守るために、ニィロウは老人に身体を差し出している。

 その行為に愛はなく、そうであるならば快楽はなく、この行為はただ早く終わってほしいと願うだけの気持ち悪い行為――――である筈だった。


 だが既にニィロウは、この行為がそれだけではなくなってしまった事に気付いている。

 腰を振る度に膣奥から込み上げては滴り落ちる、浅ましく白濁して粘り気を帯びた愛液。喉を裂くように搾りだされる甲高く浅ましい嬌声。

 弄られずとも屹立してしまった乳首も、淫靡に熱を帯びてしまった全身も、その全てが自身の屈服を示していることに、ニィロウは当然に気付いてしまっていた。


「ふん、随分と体のいい言い訳を見つけたものだ。

 ……だがまぁ、確かによい具合であることには変わりないか……!」


 語尾を僅かに揺らがせながら、老人は射精が程近い事を匂わせる。

 ニィロウは当然ながらそのことを理解していて、それでも彼女は自らの尊厳が穢されることを理解していながら、浅ましい腰の蠢きを止めることも出来ない。


「んっ、ぁ、ふ、ぅぅぅ……っ!や、や、ぁ、うぁっ!!

 ぁ、あ、ぁ、あぐ……っ!!ふ、ぅぅぅっ!ん゛――――ぁあぁぁっ!!」


 この陵辱を早く終わらせるため――そんな言い訳すら通じないだろう、快楽を貪るためとしか思えない激しいピストン。

 ばちゅ、ぐちゅ、と淫らな肉と粘液の音が響き、そしてニィロウの膣奥に老人のペニスの先端がめり込むように食い込んだとき、その声音が明らかな狂乱を乗せて迸った。


「ッッッ゛うぅうぅぅぅうぅくぅうぅぅぅぅああぁぁぁあぁぁぁぁっっ!!!

 ぁ、あ、ぁ、あぅ、や、ぁ、あ゛ぁあぁうぅううぅぅぅうぅッッッ!!!あ゛あぁぁ――――――――~~~~~~――――――ッッッッ!!!!!!」


 大きくのけ反り、細い身体を痙攣させながらニィロウは果てた。

 膣奥に注ぎ込まれる穢れた熱。少女らしい夢も希望も、踊り子としての清廉も、何もかもを失わされる最悪の熱を胎の奥に注ぎ込まれて、それでも彼女は何も動けない。


 全ては仲間のため。居場所のため。恩を返すため。

 けれどそう思っている筈の彼女の表情は――――本能に支配され切ったその顔は、どうしようもない程の淫蕩のみに染まり尽くしていた。


 白肌を紅潮させ、乱れた髪を汗と精液で頬に貼り付け、焦点の合わない目から涙を零し、口は半開きで荒い呼吸を吐くばかり。

 華が綻ぶようだったその顔はもう、二度と清楚と可憐も宿すことはない。その事実を悟らせるには十分すぎる無様さが、可憐な筈の顔立ちを埋め尽くしていた。


「あ゛…………っ!ぅ、く、んぅぅぅ……っ!!」


 痙攣する体でゆっくりと腰を持ち上げ、ニィロウは膣奥からペニスを抜く。

 焦がれた筈の自由の果て、ニィロウが得たものは残酷極まる零落だけで、それでも彼女は残酷な零落の果てに何かを掴もうと、無意味な苦闘をいつまでも繰り返す。


 だがそれでも、進んでいく文化的侵略が止まる事は最早ない。

 僅かな蓄えすらも失い、足掻く手段すら失ったズバイルシアターの閉鎖が決まるのは、それから二か月が経った頃の事だった。


≪了≫



お読みいただきありがとうございました!


次回は4月28日に更新予定。

内容はまだ未定ですが、たぶん『ブルーアーカイブ』よりサクラコ様になるんじゃないかなーと思います。


次回も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!

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