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 平安の都、その端の端に存在する廃寺院。

 鬼種とは違う魔の兆しによって放棄され、廃墟と化したその場所にて。


 人の気配など久しく存在しないその場所に、男の声と少女の声が響いていた。

 より正確に表すならば、嗜虐的な喜悦に歪んだ男の声と、被虐的な苦悶に歪んだ少女の声が響いていた。


「ンンン、やはり巧いものですなァ、エレナ・ブラヴァツキー殿。

 見目の幼さからは想像もつかぬ媚肉の蠢動。無聊の慰めに使い潰すには些か惜しく感じる程だ」


 男は廃寺の床に胡坐をかいて座り込み、その足の上に小柄な少女を載せ、少女の艶やかな髪の上に顎を載せて固定して、時折腰をゆさゆさと揺さぶっている。

 男の上に乗せられた小柄な少女は、一糸まとわぬ華奢な裸で男の上に乗せられて、その腰の律動に合わせて可憐かつ悲痛な嬌声を響かせていた。


 当然、そこで何が行われているのかなどその姿だけで自ずと知れるものだ。

 男は奇妙に気崩した異装の下履きだけを寛げているし、何より裸のまま揺さぶられる少女の膣には、その白い肌には不釣り合いなほどに黒く醜悪な肉の楔が深く深く埋められている。


 望まぬ交合――――男が女の身を身勝手に暴く"陵辱”という残酷な行為。

 祀られる神も眠る死者も顧みられなくなった廃寺の内側で行われているのは、まさにそうとしか形容できないおぞましくも淫靡な行為であった。


「ん、うぅっ!!ぁ、かは、ぅ、黙、って……!!あぐ、ぅぁぁっ!!」


「ンンふふふふ!いえいえ黙りませぬとも。

 人類史有数の神智学者にして高次への接触者の最奥!じっくりと味わわねば損というもの!」


 男――――蘆屋道満を名乗る怪人の腰が、小刻みに突き上げるように律動する。

 救世主の死から千年も経ぬ時代には似つかわしくない恵体の律動。それは股間にそそり立つ肉茎で抉られた少女――エレナ・ブラヴァツキーの身体には重く響くように、口から苦悶交じりの嬌声を染み出させる。


 少女特有の薄い腹には道満の魔羅の形が浮き、その蠢きを薄くではあるが視覚的に示していた。

 真の意味での"少女"であれば、その身あるいはその心を破壊されていただろう残酷な陵辱。けれど"魔術師"のサーヴァントとして現界したエレナはその程度では壊れることも出来ず、正気のままで問うしかない。


「っぎ……っ!!は、ぁ、ぅぐ、ぁ、かは……っ!!

 何、が、目的なの……!?こ、んなの、殺せば、いい、でしょうっ!?」


「ンン?それは何ともらしくない愚問にて。

 拙僧、先刻告げたはずですが。"無聊の慰め"であると」


 だが問いを投げたところで、返ってくるのは嘲りが混ぜ込まれた残酷な答えだけだ。

 道満を名乗る怪人は道化のような面相をあくまでも醜悪に歪め、"無聊の慰め"という残酷な由を建前としてエレナ・ブラヴァツキーの女の尊厳を貶め続ける。


 小刻みに腰を律動させ、小柄な肢体の最奥までを揺さぶるように抉り震わす嬲り責め。

 ただそれだけで鋭敏に反応してしまう少女の脆弱さを嘲笑いながら、怪人はあくまでも自らを優位に置くように、エレナを混乱させることだけを企図してじっとりとした言葉を続けた。


「……まァ、少しばかり別の理由があるとも言えますが。

 しかしこの状況になってしまえば理など詮無きこと。無聊の慰めとした方が後腐れもありますまい?」


 この平安京を地獄界曼荼羅の起点とするための儀式――――展覧聖杯戦争。

 生半可なサーヴァントを凌ぐほどの武力を持つ平安の猛者を"展覧武者"とし、それらに一騎ずつ"魔術師”のサーヴァントを使役させ、聖杯戦争を模した儀式によってこの場に新たな空想の根を落とす計画。


 しかし展覧聖杯戦争のために召喚された魔術師のサーヴァントの中で、唯一エレナ・ブラヴァツキーという女だけは障害となりかねないイレギュラーな相手だった。

 空想樹とは異なる高次存在――――"マハトマ"なる別種の高次存在を認識している彼女は、地獄界曼荼羅を成すのに大きな障害となる可能性がある。


「っあ゛……!こ、の、生臭坊主……っ!!

 やめ、なさ……っ!っ、痛い、ってば……!この……っ、ぅぐ……っぅぅ!」


 そして故にこそ蘆屋道満――――その外形を纏った"リンボ"を名乗る怪人は、真っ先に彼女を展覧聖杯戦争の表舞台から引きずりおろすことを決めた。

 幸運あるいは不運にも、彼女のマスターは頼光四天王の一角である碓井貞光――――都の守護を任じられた正義漢であり、だからこそ彼女を前線に引きずり出すことそれ自体は難しくはなかった。


 平安京の端に存在する廃寺へと悪鬼化生を放ち、碓井を呼び寄せてエレナと分断する。

 おおよそ策謀とも呼べないそれは、しかしリンボが望んだとおりに薄いとエレナを分断する結果を生み、碓井は今頃廃寺から遠く引き剥がされて化生と戦い続けている頃だ。

 そしてそうであるからこそ、エレナは現状として助けを得られるだけの見込みもなく、悪辣な毒牙にその尊厳を食い荒らされるまでに至ってしまった。


「ンンン、生臭坊主などと。拙僧の如き法師になんたる非道なお言葉か!」


 仰々しく言いながら、リンボはゆっくりと膣奥に擦りつけるように胡坐のまま腰を蠢かせる。

 獣欲をぶつけるために"犯す"のではなく、言葉通りに無聊を慰めるため"弄ぶ"という意図が透けているその腰の蠢かし方は、しかしエレナからすれば苦痛を長引かせる外道の責めに他ならない。


「ふ、ぅぁ……っ、く、んぁ、ぁ、あぅ……あぁあっ!!

 やめ、なさい……っ!こ、んな、事……っ!!っぐ、ぎ、ぅ、あぁっ!」


 小柄で華奢な肢体を下方向から突き上げるように、黒々とした肉楔が微かに震えた。

 裂けてしまいかねない程に太いペニスが膣口を強く拉いで割り開き、その状態で最奥だけを小刻みに震わせる責めは、エレナの身体に強い苦痛と性感を同時に意識させてしまう。


 恵体に誂えたような太く長いペニスと、それを受け入れるには未成熟すぎる小さな身体。

 隆々たる巨躯と華奢な細身は見目からして明らかに不釣り合いで、それこそエレナの表情に滲む苦悶の脂汗が、どうしようもなく彼女に与えられる苦痛を感じさせる。


 けれどそんな状況下にあっても、エレナの"身体"はあくまでも"女"のものでしかなかった。

 膣奥を深々と抉られたまま引かれることも押し込まれることもないペニスをゆっくりと受け入れるように、エレナの膣は段々と彼女の意思とは無関係に変えられていってしまう。


「そう言いながらも、肉孔は拙僧のモノを受け入れんばかりのご様子ですが。

 先刻から膣肉の潤みも膣壁の蠢動も、随分と分かりやすく拙僧にまで伝わってきておりますぞ?」


 拳のように硬く張り詰めた亀頭や、のたうつ子蛇のように節くれだった血管を浮かべた茎部。

 グロテスクの極みのようなそれらへと吸い付くように、蹂躙を受け入れてしまったかのような従順さで蠢き、悪辣な獣の欲へと"無聊の慰め"を供してしまうエレナの細膣。


 膣奥を小刻みに震わすように責められて、そんな責めに身体が反応してしまうのは当然のことだ。

 だが理屈としてはわかっていても、それを納得したうえで開き直れるほどにエレナは冷静にはなりきれず、何より現状に対する嫌悪の感情がどうしようもなく勝ってしまっている。


「っ、や……ッッ!!く、ぅぅぅ、ん、ぁ、あぁ……っ!

 本、当に……っ!何が、目的なの……!?あたしが、邪魔なら……っっ!!殺せば、いいでしょう!?」


「……ンンン、拙僧もしや、貴殿をいささか買い被っておりましょうか?

 先刻から常々、貴殿への陵虐は"無聊の慰め"であると言い含めてきたものと」


「それを、信じるとでも、思ってるの゛っ!?

 っっ、ッ、っ――――"別の理由がある"と、言ったのも、貴方でしょう!?」


 そしてそんな嫌悪の感情とこみ上げてくる本能を誤魔化すように、エレナは蕩かされかかっている理性を寄せ集めながら"目的"へと意識を逸らそうとする。

 冷静さを損なっていたとしても、エレナ・ブラヴァツキーの本質は求道者だ。自分を襲う毒牙の"目的"を知ろうとしてしまうのは、それこそ本能的な振る舞いですらある。


 だがそんなエレナの本質を、リンボという怪人もまた理解してしまっていた。

 そしてそうであれば、襲い来る毒牙の真相を求めるエレナの振る舞いは、より深く彼女の心身を苛むための要素として消費される以外にない。


「さて、何のことやら分かりませぬが――――そうまで仰るのならば。

 今少し此方としても譲歩させていただきましょう。エエ、僅かばかりではございますが」


「――――ッッ!!ぅ、うぁ、か、は……っっ!!」


 さも慈悲深いような口調で言って、リンボはゆっくりと膣奥を押し上げる。

 深々と抉っておきながら、そのままじっくりと焦らすように緩く振るわされ続けていた膣奥が押しひしがれて、エレナは華奢な身体を弓なりに反らしながら喉奥から空気を絞り出されて目を剥いた。


「貴殿の望むであろう御答えを、今から語らせていただきましょう。

 とはいえそれは一度切り、聞き逃せばそれまでという事で――――エエ、では早速始めましょうか」


 そしてそのまま、リンボは弓なりに体を反らしたエレナの細腰を両手で掴む。

 "譲歩"とは名ばかりの残酷さを深める振る舞い。エレナは膣奥を深々と抉られる圧迫感に目を剥きながら何度も何度も首を横に振るけれど、それでもリンボは表情に浮かべた歪んだ笑みを揺らがすことすらない。


「拙僧の目的は、この平安京を地獄と変ずることです」


「――――っぎ、ぅ、ぁがッッ!!は、ぁ、う、ん、ぐぅ、あ゛ぁ…………!!」


 膣奥に叩きつけられる肉楔の衝撃が重く響き、濁音交じりの呻きがエレナの喉から搾り出される。

 張り詰めた亀頭は拳のように硬く、膣奥に伝わった衝撃は子宮までもを激痛と共に揺さぶって、エレナは慎ましい胸を突き出すように身体を反らしながら、ビクビクと幾度かその身を痙攣させた。


 膣奥を焦らされた末に、暴力的な一撃によってまずは子宮を圧し拉ぐ。

 敬虔な仏法の徒である蘆屋道満とは違い、悪意に満ちた"リンボ"は"女"と呼ばれる属性の弱点を完全に理解してしまっていて、だからこそ彼はエレナを悪意の中でより長く嬲るために、あえてゆっくりと事を運ぶ。


「”展覧聖杯戦争”はその為の祭儀。そも勝敗など関係はないのです。

 都の守護を生業とする清和源氏の内から多くの展覧武者を選出したのは……まァ、拙僧の遊び心、あるいは皮肉の一環とお受け取りいただければありがたく」


「んぎ……ッッ!!ふ、ぅぁ、がっ!ぅぁ、あ、あ、あ、あ゛ぁっっ!!

 やめ……ッッ、く、ぇあ、いだ……ッッ!!は、ぁぁぁ、かは……っ!ぅ、ぐ、く、ぅぅ……っ!!」


 朗々と語りながら、リンボはエレナの小柄な体を弾ませるように幾度か腰を揺さぶった。

 廃寺の床板がギシギシと軋み、夜鳴きする蟲の音すらどこか不気味に響く中、しかしそんな自然な音の全てを覆い潰すように、朗々とした語りと悲痛な途切れ途切れの喘ぎが夜気を揺さぶる。


 エレナの耳にリンボの声は確かに届いていて、けれど彼女は語る怪人に反駁すら返せない。

 自らの体重も含めて深々と膣奥を抉られ、腹にペニスの外形をうっすらと浮かばせている状況ではエレナは息を吸うことも出来ずに、顔を真っ赤にしながら無様に口を開閉することしか出来ていない。


「そして貴殿らサーヴァントが召喚された。偽誕たる聖杯の寄る辺に従ってね。

 稀代の詐欺師カリオストロ伯、蒸気王チャールズ・バベッジ、若き裏切りの魔女メディア、天才錬金術師ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス、童の集合知ナーサリー・ライム」


 そして貴殿でございます。神智学者エレナ・ブラヴァツキー殿。

 糸を引きそうなほどに醜悪な粘つく笑みを浮かべながら、リンボはエレナの膣奥をより深く抉るように圧し拉ぎつつ、彼女の名を呼んで潰えかかった意識を覚醒させた。


 子宮を圧し拉がれる圧迫感によって、虚ろに染まり始めていたエレナの表情。

 しかしねっとりとした声音で名を呼ばれ、細腰を掴んだ手を僅かに上下に蠢かされるだけで、脆く潰えかけていたエレナの意識は残酷な現実へ引き戻されてしまう。


「っ、は、ぁ、ぅぐ……っっ!!っっ、っ、くは、ぁ、あぁぁっ!!

 やめ……ッッ!!ぁ、あぁぁ、やめて、それ……っ!ぁ、っぁ、くぅぅ……っ!」


 弱々しく掠れた言葉で残酷な責めを否もうとしても、エレナには抵抗の余地は残されていない。

 下から圧し拉がれた子宮をくすぐるように、エレナの薄い腹の上――――形の良い臍の周辺をリンボの骨ばった指が這い廻れば、ただそれだけでエレナの表情が苦痛でない色に染まっていく。


 腹の上から子宮を刺激され、ただそれだけで搾りだされてしまう女としての本能。

 望んでなどいなくとも、痛み混じりに昂らされてしまった身体が内側から疼くように跳ね、重く長く硬いペニスを咥えこまされた細膣が縋るようにきゅうきゅうと収縮してしまう。


「ンンンふふふはははは!いえいえ、随分と辛そうだったもので。

 これでは話も聴けておらぬかと思ったのですが、いやはやそれは杞憂でしたなぁ?」


「――――っっっぎ、ぃぁあ!!

 っ、ぐ、ぁぐ、お゛……ッ!!やめ、ぁ、だめ、だめ、だめ゛……ッッ!!!」


 そしてそのまま、優しく腹部を撫でまわされながら膣奥を強く押し上げられると、甘い響きが滲んでいた声音が急速に濁音の混ざる切実な響きへと変貌した。

 潤んだ目を見開き、小さな口を半開きのままにして唇を戦慄かせ、全身に脂汗を滲ませながらビクビクと痙攣する有様は、"淫靡"と表現するにはあまりにも悲痛さが勝ちすぎている。


「っ、はー、は、はぁぁ…………っっ!!

 っぐ、ぎ……ッッ!!う、ぁ、ぁ、あ、ぁ、ああぁ、ゆさ、ぶるなぁ……!!」


 膣奥を押し上げられながら、腰を掴んで細かく身体を揺さぶられる。

 子宮口が震え、張り裂けそうなほどに割り開かれた膣口から愛液の飛沫が散って、ギシギシと床板が軋む感覚と共に、エレナの理性が本能によって浸食されていく。


 エレナの耳にリンボの声は届いていて、しかし既にエレナの思考はそれを言葉として解せない。

 ただ鼓膜を震わせる音の連なり。ただ"嘲られている"という漠然とした感覚だけを与えられながら、エレナの意識は膣奥を拉ぐ肉楔と、腹部を撫でまわす骨ばった指に囚われるしかない。


「ンンンふふ、さて、どこまで語り終えましたでしょうか。

 ……失敬、忘れてしまいましたので、ここはまた初めから語らせていただきましょう」


 だがそんな悲惨な責めに囚われたエレナを、リンボは当然の顔で更に嘲弄し玩弄する。

 骨ばった指を蠢かし、小刻みに腰を律動させ、死ぬことどころか意識を手放すことすら許さずに、徹底的に華奢な身体と聡明な性根を穢していく。


 エレナが望む"陵辱の理由"――――"手慰み"という言葉に隠されていると思いたい何かの目的。

 それがいよいよ語られるという期待を僅かに抱かせてから、"時そば"のようにわざとらしく誤魔化して、リンボはエレナの肉体と精神を徹底的に焦らし続けていく。


「――――拙僧の目的は、この平安京を地獄と変ずることです」


 朗々と語られる先刻と寸分違わぬ言葉は、それこそリンボが得意とする呪いのようだ。

 凄まじい圧迫感と、痛みが混ざった性感と。それらによって意識をゆっくりと侵食されて、エレナは苦悶を浮かべていたはずの表情を段々と虚ろに染め上げていく。


「っ、ぐ、ぅあ、う、くぅぅぅ……ッッ!!

 ――――ッッ、お゛……ご、ぐぅぅッッ!!はぁ゛っ!ぁ、あ、ぁ、あぁあっ!!」


 揺さぶられ、跳ね震え、エレナ・ブラヴァツキーの身体は淫らな反応を示すだけに落ちぶれた。

 幼さすら感じさせる華奢な肢体。慎ましやかな乳房が小刻みに震え、その先端の小さな乳首が帯びてしまった弾力を示すように跳ね、黒々とした肉茎を咥えた膣口から小刻みに飛沫が散る。

 "明朗にして聡明な神智学者"の面影はもうそこにはなく、男の上に座らされた少女の姿は、それこそ哀れましい肉欲の贄としての姿しか窺えない。


 そして一方、エレナを嬲るリンボの態度は何一つとして変わっていない。

 醜悪な悪意に表情を歪ませ、律動するように腰を震わせ、華奢な身体の最奥にそそり立った肉の楔を打ち立てるように押し付け続ける。


 エレナの膣に埋まっている巨怪とも呼ぶべき肉楔は、しかしリンボの肉欲に滾っているわけではない。

 法術によって体組織を作り替え、内側に魔力を充填させることで太く硬く長く変貌させたペニス。そしてそれは、肉欲による滾りを宿していないが故に、エレナへの責めに"終わり"と呼べるものを与えない。


「――――と、これが限界ですか。なんとも無様、無様ですなァ、エレナ・ブラヴァツキー。

 所詮は惰弱な"魔術師"のサーヴァント。女としての責めたてられるだけで、こうも容易く堕ち果てるか」


 そしてとうとう、リンボは語る言葉すら嘲弄に変貌させてクツクツと身体を揺さぶった。

 お為ごかしの"物語り"ですらない、ただただ悪意だけを滲ませた言葉を吐かれて、それでもエレナは可憐な顔立ちを屈辱と苦悶に染めながら、向けられる言葉に反駁の一つすら返せなくなっている。


「ぅぁ、ぎ……っ!!か、かは…………っっ!!

 ぅ、ぁ、あ゛ぁぁ……っっ!!は、ぁ、ぅ、ぐぅうぅぅ……ッッ!!」


 悪意の内側に取り込まれ、エレナ・ブラヴァツキーは"手慰み"の陵辱に浸される。

 呼び出されてしまった平安の都。悪意だけが積み重なるその場所に召喚されてしまったことこそが、エレナ・ブラヴァツキーにとっての不運であった。


 肉欲すらない陵辱は、長い夜の無聊が霞むまで永劫のように続く。

 魔性と切り結びながら廃寺から引き離された展覧武者は術者の少女の窮状を救うことも出来ず、彼女が認識する高次存在は現状を覆す力とはならない。

 エレナ・ブラヴァツキーはただ、宿した智の全てを快楽によって埋め尽くされ、地獄が始まるその時を見ることもなく――――それどころか朝日を拝むことも出来ずに慰み者として潰え果てていくだけだ。


「っ……ぁ、う、く、ぅぅぅぁあぁぁぁぁ……ッッ!!

 ぁ、だめ、だめ、だめ、っっ、早く……っっ、抜いて、抜い゛、てぇ……っ!!」


 膣奥を深々と押し上げられ、薄い腹の奥で子宮を拉がれ続ける感覚。

 表情を苦痛に染め、羞恥と性感で紅潮していた顔を蒼白に染め上げて――――いつ内側に注がれてもいい筈の精液を、エレナの身体は心待ちにするように熱を帯びてしまう。


 だがそれでも、いつまで待っても"その時"は訪れない。

 肉欲ではなく硬くそそり立ったペニスは、小柄で華奢な身体の奥底を深々と抉る"楔"となるばかりで、その先端から欲望の熱を放つことはなく、故にエレナの身体は陵辱の内からいつまでも解放されることはない。


 平安の夜に明かりはなく、月明かりは廃寺の内側までを照らすことはない。

 かつては仏像の安置された堂であった場所――――信仰の場であった筈のその場所で、エレナ・ブラヴァツキーは残酷な蕃神によってその身と心を陵辱され続け、地獄の淵で喘ぎ続けるだけだった。


≪了≫



お読みいただきありがとうございました!


次回は3月31日に更新予定。

内容はまだ未定ですが、『FE』よりパオラかシトリニカになるんじゃないかなーと思ってます。


それでは次回も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!

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