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「もしもグレンが生きてたら、この状況を見て何を言うだろうな」


「…………怒るんじゃないかしらね。

 貴方に対しても、私に対しても平等に。そういう人だもの」


 ガルグ・マク大修道院—―――数日前まではアドラステア帝国軍が使用し、現在はファーガス神聖王国軍に占領されたその場所の地下牢獄にて。

 感情を押し殺した低い声での問いかけに、同じく感情を押し殺した凛とした女の声音が、どこか過去を懐かしむような調子で続けられた。


 シルヴァンとイングリット――――幼馴染として過ごし、国王ディミトリの騎士として並び立つはずだった二人の道は、”尋問官”と”虜囚”という歪な形で折れ曲がった。

 国王ディミトリが復讐に憑りつかれた事か、あるいはイングリットが黒鷲の学級に学び舎を移した事か。折れ曲がった関係性の契機を分析したところで、そこに意味は一つもない。


 重要なのはただ、現在の二人の関係性がそうであるという事だけ。

 鎧を剥がれ、天井から伸びる鎖によって爪先立ちに吊るされた”虜囚”を、シルヴァンという”尋問官”が職責通りに尋問しに現れたというだけだった。


「はは、そりゃ違いない。情に厚くて平等な”理想の騎士”だったもんな」


 たとえ”弟を殺した裏切り者”が相手でも、騎士として対応しただろうよ。

 シルヴァンが低い声でそう言うと、イングリットはその表情を一瞬弱々しく揺らがせて、それでもまた騎士としての凛とした表情で正面に立つシルヴァンを真っすぐに見据える。


 フォドラの未来を左右する戦禍は、消耗戦の様相を呈し始めていた。

 ファーガス側は有能な将であるアッシュやドゥドゥー、フェリクスを失いつつ、それでもセイロス聖教会の援助を受けて未だ帝国の侵攻への対抗姿勢を崩していない。

 逆にアドラステア側もフェルディナントやカスパル、ペトラやドロテアといった優秀な戦力を損ないつつも、士官学校時代に黒鷲の学級を導いたベレスを筆頭に、ファーガスから離反したイングリット、メルセデス、アネットといった面々を前線に投入する事で未だ侵攻の姿勢を崩すことはなかった。


 泥沼の戦闘は、まだ止めようもなく続くだろう。

 屍の山は積み重なり、平和な頃に存在していた関係性は憎悪と悲嘆に覆い尽くされて、”国”などという不確かな軛で隔てられては殺し合う。

 目の前の”幼馴染”の槍によって命脈を断たれた、もう一人の”幼馴染”のように。


「……フェリクスの事については、謝罪するつもりはないわ。

 戦場に出た時点で――――貴方たちと敵対すると決めた時点で、覚悟していた事だもの」


「勿論、俺だって謝ってもらうつもりなんかないよ。

 …………そして、これからする事について謝るつもりだってない」


 揺らめく蠟燭の明かりだけが光源となる地下牢で、シルヴァンはどこか諦めたように掠れた笑いを響かせてから、イングリットの纏う装束に手を掛ける。

 あくまでも凛とした言葉は、シルヴァンがよく知るイングリットの言葉そのもので、けれどその程度で揺らがされるほどの人心はとっくにシルヴァンの中には残っていない。


 鎧を剥がれた天馬騎士の装束は、防御力など欠片もない程には軽く薄手だ。

 シルヴァンの腕力ならば容易く引き裂けるだろうに、彼はあくまでも装束のボタンを一つずつ一つずつ、偏執的なほど丁寧に外していく。


「…………私を尋問したところで、何の情報も引き出せないわよ」


「それはこっちが決める事だ、”アドラステア帝国天馬騎士隊長”さん?

 意地を張ってくれても構わないが、その分だけこっちの心証は悪くなると理解してくれ」


 薄手のブラウスのボタンを外し、その下の騎士としてはあまりに華奢な身体と、形の良い胸を包む若草色の清楚なブラジャーを露わにさせる。

 イングリットの表情が当然ながら羞恥に染まり、けれど彼女はあくまでも毅然とした強気な態度を崩すこともなく、シルヴァンの行為を挑発のように糾弾した。


「……王家に仕える騎士として、心底最低の行為ね。

 慣れているようだけど、こういう経験は随分多く積んだみたいね」


「ご想像にお任せするよ。否定したって信じてはくれないだろ?」


 けれどそんな糾弾を乾いた笑いで切り捨てて、シルヴァンは当然のように短いスカートにも手を掛けて、一息にそれを湿った石の床に落とした。

 足を保護するための白いニーハイソックスをスカートの布地が滑り落ち、ブラジャーと揃いの若草色のショーツと透き通るような太ももが露わになる。


 幼馴染という関係性ではあっても、性別が違う以上は知り合うべきでない場所もある。

 その極致とも言える下着姿を何のためらいもなく晒されて、イングリットは美しく凛とした顔立ちを羞恥に染め、細い身体を震わせながら嫌悪の目でシルヴァンを睨んだ。


「…………最低ね、貴方」


 万感の嫌悪は、それでもどこか情に期待するように震えていた。

 捕らえられ、尋問される段に至ってから、イングリットは一度たりとも”シルヴァン”という名前を口にせず、他人行儀な”貴方”という呼び方で全てを済ませている。


「それ、陛下にも同じことを言ってやってくれよ”イングリット”。

 あの人を裏切ってフェリクスを殺したお前に、それを言う資格があると思うならな」


 そしてそうであるからこそ、シルヴァンはあえて目の前の”虜囚”を、”イングリット”という慣れた名前で――――よく見知った幼馴染として扱い続ける。

 彼女の望むままに関係性を変化させるなど許さない――――それこそが何よりの拷問である事を理解しながら、シルヴァンはあくまで”シルヴァン”として振る舞い続ける。


「それにしても、随分綺麗になったじゃねぇか。

 黒鷲に移ってから、気になる男でも出来たのか?化粧まで学んじゃってさ」


「っ……!それも、尋問のつもり…………っ!?

 そんな事、訊いて……っ、王国に、何の利益が……っ、ぁ、ふぁっ!」


 そうして会話の主導権を握りつつ、シルヴァンはイングリットを前から抱きしめるように背中に手を回し、ブラジャーのホックを外しながらショーツの内側に手を挿し入れる。

 恋人に愛を囁くような体勢とは裏腹な、女という性を拙速に嬲り者にするための行為に、イングリットは言葉を詰まらせつつも意味のない問いを返すしかない。


「幼馴染として心配してるんだよ。悪い男に騙されてないかさ。

 お前は昔から、案外そそっかしい所があったからな。それくらい心配させてほしいね」


「だっ、たら……っ!一番悪いのは、貴方でしょう……っ!?

 ふ、ぁ、や、やめてっ!そこ…………っ!ふ、ぁうっ!や……っ!やめっ……!」


 ブラジャーが外され、豊満でこそないが形の良い美乳が曝け出される。

 透き通るように白い乳房と、薄桃色の小さな乳首と乳輪。凛とした騎士の清廉をうかがわせるそれは、けれど視線一つも寄こされずシルヴァンの胸板に擦り付けられるだけだ。


 ショーツの内側に挿し込まれた手は、誰にも触れられたことのない貞淑なクレバスをゆっくりと解すようにじわじわと嬲っていく。

 恐らくはペガサスへの騎乗に響かないためだろう。生真面目に陰毛が剃られてつるりとした恥丘を骨ばった指先が撫でる度、イングリットの身体がビクビクと跳ね震えた。


「陰毛は剃ってるのか?随分とつるつるしてて子供みたいな感触だが。

 生えてない奴もいるってのは聞くが、お前もそういう体質だったりすんの?」


 そしてその理由を理解しながらも、あえてイングリットの羞恥を煽って追い詰めるためだけに、シルヴァンは察しの悪い馬鹿のふりをしながら問いかけた。

 すりすりと指の腹で無毛の恥丘を撫で、『お前の恥ずかしい場所を俺は知っているんだぞ』と言外に理解させるような責めは、聡明なイングリッドには何より効果的だ。


「っ、ひぅっ……!関係、ない、でしょっ…………!?

 ぁ、や、やめ……っ!指、挿れるな……っ!ふぁ、や、ぁう……っああぁぁっ!」


 シルヴァンの想定通りに羞恥を煽られ、けれど羞恥に意識を裂くような余裕もないままに、イングリットは貞淑なクレバスを骨ばった指で割り開かれる。

 誰のものを受け入れたこともなく、それどころか自慰すら数回しか経験した事のないクレバスは、初めて咥えこむ他人の指に吸い付くように纏わりついてしまう。


「はは、スゲー締まり。指だけでこんなにキツイとかスゲーわ。

 こりゃ相手する奴は苦労する――――と思ったけど、案外そうでもないかもなぁ」


 行為そのものに慣れたシルヴァンの指は、きつく締まったイングリットの膣の浅い場所を的確に解す形で蠢いていく。

 ゆっくりと、痛みもなく、けれど間違いなく女の本能を刺激する指遣いは、性感をほとんど知らないイングリットの内側から、どうしようもない本能の熱を引きずり出す。


「ふ、ぁ、や……っ!やめ、やめなさ――――っ、ぁ、やめて……っ!!」


 指の蠢きに合わせるように、”くちゅ”、”くちゅ”と響き出す水音。

 女としての身体が性感に屈しかかっている音をどうしようもなく自覚させられて、けれどイングリットに出来るのはせめて表情を気丈に保とうとする程度。


 しかし当然、シルヴァンの容赦ない指遣いは生娘に耐えられるほど生易しくはない。

 解れてきた膣内を縦横無尽に嬲るように、彼はイングリットがギリギリで耐えきる事が出来ない程度の責めを、じわじわと染み渡らせるように与えていく。


「ふ、ぅ、ぁぐ……っ!ぅ、ぁ、あ、ぁ、あぁぁ……っ!

 やめ、て……っ!ぁ、うぅぅっ!ふ、やぅっ!ぁ、あぁ……っ!あぁあぁ……っ!」


 どこか多弁に”イングリット”を嬲っていた”シルヴァン”の言葉は、彼女が性感に浸され始めた時点で一言も与えられる事はない。

 シルヴァンはただ冷酷に凍り付いた表情でイングリットを抱き締めながら嬲り、イングリットは無機質なまでの快楽によって女としての身体を自覚させられる。


 清廉なまま保たれてきた身体が、気付かれぬまま内包していた弱点。

 快楽に対する敏感さ――――清廉であるが故にイングリットが気付けなかったその弱点は、幼馴染である筈の男の指によって最悪の凶器へと変えられてしまった。


「やめ、やめなさ――――っ、シル、ヴァンっっ!!

 ぁ、う、ぅうぅっ!やめ、や、いやだ……っ!あぁぁだめっ、だめ、だってばぁっ!」


 くちゅくちゅくちゅ、ぐちゅぐちゅぐちゅ、こちゅこちゅこちゅこちゅ。

 淫らに粘ついた水音が狭い地下牢の一室に反響し、若草色のショーツが濡れそぼって色を変え、布地と肌の隙間からは淫らな液が絶え間なく床を汚していく。


 無意識に幼馴染の名前を呼び、けれど責め苦が止むわけもなく。

 どうしようもない淫らな指遣いに敏感な身体を蕩かされて、イングリットはとうとう華奢な身体をビクビクと跳ねさせて、最悪の絶頂に身を震わせた。


「っあ――――ふぁ、ぁ、や、やだっ、だめ……っっ!!

 ぁ、あ、ぁ、やっ、ぁう――――っっ、ぁ、や、やぁあぁああぁぁぁっっ!!!」


 悲鳴のような無様な嬌声が、地下牢の湿った空気を揺らす。

 同時にきつく指を咥えこんだ膣口から勢いよく愛液と潮の飛沫が湧き出して、まだ一応は穿かされたままのショーツやニーハイソックスを伝って、かび臭い床へと落ちた。


「……随分と可愛い声でイったもんだ。

 幼馴染の貞淑さを喜ぶべきか、それとも簡単に屈したことを蔑むべきかな」


 初めて与えられた絶頂に打ち震え、羞恥と屈辱に表情を染めるイングリット。

 けれどそんな彼女に同情する様子を見せる事もなく、シルヴァンはあくまでも感情を押し殺した口調のまま、イングリットの秘部から三本の指を引き抜いた。


「はは、スゲー濡れてら。それに敏感すぎるだろ。

 この程度で愛液に糸引かせてるようじゃ、これからの尋問に耐えられねぇぞ?」


 言いながらイングリットの眼前で指と指の間に愛液の糸を引かせ、それからシルヴァンは躊躇う様子もなくベルトを外して下着とズボンを脱ぎ去る。

 身体と身体が密着している関係上、イングリットの目にシルヴァンのペニスは見えない。けれどショーツを引きずりおろされ、秘部に押し当てられる太く硬い感触はあまりにも凶悪で、イングリットは騎士としての矜持も忘れて「ひゅっ」と喉を引きつらせた。


「や、やめ……っ、やめて、シルヴァン…………っ!」


「やめられる事だったら、お互いに楽だったろうけどな。

 ……謝る気はないぜ、イングリット。戦場で敵対した者同士の末路としちゃ、これがきっとお似合いの終わり方だってもんだろうさ」


 右手を背中に回され、左手で太ももを抱えあげられる。

 足を閉じることも出来ず、身を捩って抵抗を試みることも出来ず――――そのままイングリットの無垢な膣へ向けて、凶悪な肉槍が深々と抉るように挿し込まれた。


「ぐ…………ッッ!!ふ、ぅぁ、ぁ、ぁぐ……っっ!!

 ぁ、あぁぁっっ……!!やめ、てっ、やめ……っ、ぁ、うぅぅ……っ!」


 膣奥までを深々と抉られ、イングリットは痛みと失意にむせび泣く。

 容赦のない破瓜と、それを与えてきたのがよく見知った幼馴染による、けれど一欠片とて愛情の存在しない尋問のためのペニスであるという事実。

 既に決めていたはずの覚悟がどれほど脆いものだったのかを突き付けられるように、イングリットはただ全身を震わせる痛みと圧迫感に、華奢な身体を跳ねさせるしかない。


 シルヴァンの胸に顔を埋めるように、イングリットはむせび泣く。

 シルヴァンの目にイングリットの表情が映らないのと同様に、イングリットの目にシルヴァンの表情が映る事もない。


「…………動くぞ、イングリット」


「やっ、待っ――――いやっ!やめてっ!!

 ふ、ぁぐ……っ!ぁ、あぁぁっ!いやっ!いやぁぁっ!!」


 低く平板な声音と共に、シルヴァンは腰を蠢かす。

 たん、たん、たん、と肉と肉がぶつかり合う音が響き、膣奥が抉られるたびにきつく締まった膣口の隙間から、ぽたぽたと愛液の雫が散っていく。


 両手は一纏めに天井から鎖で吊り下げられ、片足を抱えるように持ち上げられてしまえば、イングリットは膣奥を抉るペニスに体重を預ける以外にない。

 純潔を奪われたばかりの膣奥を自重も含めて痛烈に抉られ、イングリットは絶望に叫びながら本能を刺激する淫虐を受け止めるしかなくなってしまっていた。


「シルヴァン……っ!やめてっ……あぁぁ、やめてったらぁっ!

 こんな、こんなの、絶対、ダメ……っ!こんなの、尋問じゃない、でしょうっ!?」


 何も問われず、何も求められず、ただその身と心を犯される。

 幼い日を共に過ごし、夢を語り合い、失意の日を支え合い、敵味方で別れてからもその日々だけは変わらないと思っていたのに、その思い出すらもが穢されていく。


「ふ、ぁうっ!ぁ、や、あぁぁっ!んぅ、ふ、やぁぁっ!

 だめ、だめ、だめ……っ!なんで!?シルヴァン、シルヴァンっっ!!」


 呼び掛けても呼び掛けても、シルヴァンは何も言わずに腰を振り続ける。

 肉と肉がぶつかり合う音と、淫らな水音と、縛めの鎖が鳴る音。そしてそれに合わせて響く自分の声が淫らに歪んでいっている事実が、イングリットを追い込んでいく。


 シルヴァンの腰遣いは、それこそ愛する女を抱くような細やさで弱い場所を突く。

 いっそ獣のように貪るピストンであれば諦めだってついたかもしれないのに、中途半端な労りが感じられるピストンは、イングリットに在りし日の思い出を手放させてくれない。


「ふぁ、や、ぁうっ!ぁ、あぁぁっ!!

 やめ、いやっ!いやだ……っ!こんな、知らない……っ!こんなのぉ……っ!」


 痛みが性感に塗り替えられ、イングリットの身体が書き換えられていく。

 膣奥を突かれるたびに零れてしまう嬌声。正面から抱きしめられるような体勢で、耳元に吹きかけられる熱い吐息。

 硬く閉ざされていたはずの膣は解きほぐされてひどく淫らにペニスに吸い付き、浅ましく涎を垂らすように幼馴染の男のペニスを受け入れてしまっていた。


「はは、大丈夫さ。そのまま受け入れるだけで気持ちよくなれる。

 今のうちに――――俺を相手に堕ちておいた方がきっと楽だぜ?お前ならわかるだろ」


 ゆっくりと蕩かすように、シルヴァンは腰を振りながら囁きかける。

 捕虜と化した女騎士の末路など、どのみち”慰み者”でしかない。そしてそうなれば、イングリットを襲うのは現状などとは比較にならないほどの”蹂躙”だ。


 “ファーガスの騎士”とて一皮むけば”けだもの”に過ぎない。

 見目麗しい裏切り者の女騎士が、そんな者たちによってどんな目に遭わされるかなど、それこそどんな阿呆であろうとも理解できるというものだ。


「っぁ、嫌……っ!嫌、いや、いやだ……っぁあぁぁ!!

 屈しない……っ!私、私は、最期まで……っ!誇り高き、騎士としてぇ……っ!」


 けれどイングリットは、シルヴァンからすれば無駄でしかない意地を張り続ける。

 “騎士”などと――――祖国を捨て、幼馴染をその槍で貫き、主君に刃を向けた時点で名乗れようはずもないのに、それはどうしようもない程に愚かな妄執だった。


「…………っは、はははは…………っ!そうか、そうかよ…………!

 なら――――それならもう、こうする以外に仕方ないよな?イングリット」


 けれどシルヴァンは、その妄執を嘲笑う事は出来なかった。

 二歳年下の、妹のような幼馴染。生真面目で努力家で、強気でありながらどこか抜けていて、けれどその真っすぐさが眩しかった幼馴染。

 その妄執を砕く役目がせめて自分でよかった――――シルヴァンはどこか情けない笑みをイングリットに晒さないように、その身体を強く抱きしめて力強く腰を振る。


「っ――――ぁぐっ!うぁあぁぁっ!や、や、いやっ!いやぁぁっ!

 やめ、やめてっ!うぁ、ぁ、いやっ!いやぁぁっ!シルヴァン――――シルヴァンっっ!!」


 何度も何度も強く膣奥を抉られて、イングリットは悲痛な嬌声と共に必死で自分を犯す男の名前を呼び、糾弾するように語気を荒げる。

 女遊びを咎める時のようなその声音は、けれどもう二度と親愛の情が宿らないことを悲痛な響きだけでありありとシルヴァンに理解させていた。


 けれどそうであるからこそ、シルヴァンの中にあった最後の躊躇が焼き切れる。

 強く強く腰を打ち付け、きゅうきゅうと纏わりついてくる膣肉を掻き分け、抱き締める形で身体の自由を奪いながら、彼は自らの”欲”を高めていく。


「もうお前は”騎士”じゃない――――ただの捕虜なんでな。

 容赦なく”使わせて”もらうぜ?情報源としての価値も失った”慰み者”としてな」


 ぱちゅ、ぐちゅ、どちゅ、と肉と水の淫らな音が木霊する。

 抱きしめられ、片足を抱えあげられ、それでもイングリットは抵抗を示そうと、ゆらゆらと爪先立ちの片足を藻掻くように彷徨わせる。


「や、や、いやっ!いやだ、やめて……っ!やめてってば!!

 う、や、ぁうっ!ぁ、あぁんっ!なんで、どう、して……っ!?シルヴァン……っ!」


 動揺と絶望の中で、イングリットはもう常の気丈など保ててはいなかった。

 グレンを喪ったばかりの時のような――――今にも崩れ落ちてしまいそうな脆さと繊細さ。けれどそれを間近に据えられても、シルヴァンは謝罪を口にする事はない。


 肉と水と鎖の音、そして吐息と嬌声。

 湿った地下牢の内側に全てが混然一体と響き、シルヴァンとイングリットは淫らに絡み合いながら、肉欲に引き摺られるようにともに地獄へと堕ちていく。


「ぁ、やっ、いやっ!やめて……っ!も、いやだ、だめ、だめなのっ!!

 ぁ、あ、ぁ、あぁぁっ!やだ、や、ね、やめて、もぉ、抜いて、抜いてったらぁっ!!」


 膣内で太く硬く熱を帯びていくペニスの感覚に、イングリットは必死に叫んだ。

 硬く分厚い胸板に顔を埋めさせられ、膣奥を穿つペニスに体重を預けさせられ、不気味に蠢動するペニスから逃れる事など出来ないと悟りながら、彼女は叫ぶしかなかった。


 けれど聡明なイングリットの悟りは、当然のように現実となる。

 シルヴァンの口から零れた、答えどころか言葉にもならない呻き。咳払いと呼ぶには熱っぽく、獣のようと呼ぶにはあまりに湿った呻き声。


「――――ひ、ぐぅ……っっ――――ぁ、あ、ぁ、あぁぁいやっっ!!

 やだ、やだ、ねぇ、待ってっ!!いやだ、いやっ!いやぁあぁぁあぁぁっっっ!!!」


 けれどその呻きが、どうしようもなく残酷な引き金だった。

 蠢く膣口にぐりぐりと押し拉がれる亀頭。ビクビクと蠢動するペニスは硬く硬く熱を帯びて――――そしてそのまま、先端から残酷な”熱”を迸らせる。


「――――あ、あ、ぁあぁいやっ!いやだっ!!やだ、やだやだやだやめてっ!!

 だめ、だめなのっ!出て――――っ止めて!とめてってばっっ!!やだ、やだ、や、や、や、ぁああぁぁいやぁああぁぁ――――――――ッッ!!!!」


 絶叫と共に、イングリットの膣奥を不気味な熱が埋め尽くす。

 粘り気を帯びて絡みつくようなそれは、膣奥から更に奥深くにまでゆっくりと潜り込み、何者の侵入も受けた事のない子宮の奥深くに向けて乱雑に駆け上がっていく。


 抱きしめられ、身じろぎも出来ず、イングリットは穢された自分を突き付けられる。

 自分を穢した男の胸に顔を押し付けて泣きじゃくり、顔を上げて男を睨むことも出来ず、イングリットは子供のように糾弾の言葉を吐くしかない。


「うぁ、ぅうぅぅ、さいてい、さいていよ…………!

 こんな、こんなひとだとは思わなかった……っ!うぅぅ、うぁあぁぁ…………っ!」


「…………そんな事を言えるって事は、まだ少しは余裕がありそうだな?」


 けれど子供のような糾弾の言葉は、何も成すことなく露と消える。

 一度程度の射精では萎える事のない百戦錬磨のペニス――――シルヴァンはそれをイングリットの膣から抜くこともなく、再び残酷なピストンを再開してしまう。


「え、ぁ、や、待って!うそ、うそ、うそ、冗談でしょう!?

 や、やぁ、だっ!うぁ、や、やめてっ……!も、やだ、いやぁあぁぁぁっっ!!」


 ぐちゅ、にちゅ、とピストンの度に愛液と精液が膣奥で掻き混ぜられる。

 どれだけ叫んでも、拒んでも、イングリットが解放される事はない。そしてシルヴァンもまた、イングリットを解放する事はない。


 薄暗い地下牢の中で、互いをよく知る一組の男女が絡み合っていた。

 地下牢の唯一の光源である蠟燭の明かり――――それが消えてもなお嬌声は響き続け、残酷な幼年期の終わりはどこまでも淫らかつ無惨に、二人を地獄へと誘っていった。


≪了≫



お読みいただきありがとうございました!

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今週は2本更新していますので、よろしければもう一つの作品もご一読いただけると嬉しいです!


次回は1月27日に更新予定。

内容は未定ですが、決まり次第Twitterで告知させていただきます。


それでは次回も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!

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