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「ひぃぃぃぃぃやぁあああぁぁぁぁぁっっっ!!!

 ゆ、ゆるしてっ!ゆるしてはなしてやだやだやだやだごめんなさいぃぃぃっっ!!」


 辺境の森の中に、少女の悲鳴がけたたましく響き渡った。

 甲高く響く声は動物たちをも怯えさせ、小鳥たちが一斉に羽音を立て、木の葉を揺らめかせながら我先にと飛び去っていく。


 だがどれだけ叫んでも、少女――――ベルナデッタを救う者は現れない。

 姿を消した教師と騎士団。それと時を合わせた盗賊たちによる襲撃は、彼女と同じ学級の仲間たちにすら手に余る窮地だった。


「や、や、やだっ!ベルは、ベルは違うっ!違いますぅぅ!

 ベ、ベベベルは!ぁ、あぁぁ、こんな、こんな事はやめようって!だ、だからぁっ!」


 ましてやパニックに陥って逃走しようとしたベルナデッタは、仲間たちからしてもその所在を掴めない場所にまで入り込んでしまっている。

 そんな場所で屈強な男たちに二人がかりで抑え込まれ、あまつさえ士官学校の制服も下着もビリビリに引き裂かれてしまっていては、逃げ場も救いも皆無だった。


「…………あーあーあーあー、うるせぇガキだなぁ!」


「体も貧相、ギャーギャーうるせぇ、それに身なりも小汚ぇときた。

 こいつホントに士官学校の生徒かぁ?紛れ込んだ貧民のガキじゃねぇだろうな」


 ジタバタと両手両足を振り乱し、何とか拘束から逃れようとするベルナデッタ。

 その身体を抑え込みながら見下ろして、二人の粗暴な男が溜息を吐いた。


 ベルナデッタの体つきは、誇張なく”子供のよう”としか形容できない。乳房はほとんど膨らみがなく、その割に乳輪や乳首の色は非常に濃く黒ずんでいる。

 体つきはあばら骨が浮いていて”肉感的”とは程遠く、そして何より男たちを萎えさせるのは、その身体に存在する”体毛”の量だ。


「つーか、ちょっとぐらい手入れしろよ……。

 ンだよ、このマン毛の量。そこらの茂みの方がまだ大人しいくらいだ」


 ベルナデッタの脚首を片手で一纏めにするように押さえこみつつ、男の内の一人がもう片方の手でベルナデッタの陰毛を摘まんで引っ張った。

 整えられることもなく伸びきった陰毛。ごわごわとした感触のそれを遠慮も躊躇もなく引っ張られて、ベルナデッタの口からは「ひぎっ!」と無様な悲鳴が漏れる。


「ひぎゃ……っ!!ぁ、あ、ぁ、やめ、て……っ!

 べ、ベルは……!!ぁあ、あぁあぁぁベルは、ち、ちが、ちち違うんですぅ……っ!」


「マン毛だけじゃなくて、腋の毛もひっでぇモンだ。

 心なしか臭くて仕方ねぇしよ。ホントに生徒のフリした貧民なんじゃねぇの?」


 陰毛を強く引っ張られ、同時に腋の毛も強く引っ張られて数本を引き抜かれる。

 「ひぐっ!」と痛みに悲鳴を上げれば、抜けた縮れ毛を男は「汚ぇ」と払い落とし、ベルナデッタの顔の上に抜けた数本の毛がひらひらと舞い落ちてきた。


「うぅうぅぅ……っ!は、話……っ!話、聞いてくださいよぉ……!

 ベルは、ベルはちがう、うっ……!違うのに、違うのにぃぃ……………っ、ひ、ぃぎっ!」


 誰に見せる予定もなく、大浴場を使うつもりもなかったから、手入れなんて思いつきもしなかった自分の恥ずかしい場所。

 その場所を無遠慮に弄られて、あまつさえ罵倒されながらその場所の毛を摘まみ上げられて、あまつさえ無遠慮に抜かれていく。


 腋も秘部も、無遠慮に毛を抜かれるたびに痺れるような痛みを叫ぶ。

 痛いのは嫌いで、怖いのも嫌いだ。だからこそ引きこもって身を守っていた筈なのに、ベルナデッタは男たちに捕らわれて、痛みと恐怖の双方を同時に味わわされてしまっていた。


「ったく……!わざわざ、ヤるのに……っ!

 こんなに、手間、かけさせてんじゃねぇよ……っ!クソガキがっ!」


「ぴぎっ!?ん゛ぅぅっ!ぁ゛っごめっ、な゛さ……っ!!

 んぐぅぅぅっ!!は、ぁがっ!ん゛、ひぎゃぅっ!あ゛っ!あ゛ぁっ!」


 ふさふさとした陰毛を、数本ずつ摘まんでは引き抜き、摘まんでは引き抜く。

 苛立ち混じりの作業は、しかしベルナデッタが上げる甲高い悲鳴によって、男の嗜虐的な欲を僅かずつ興奮へと昇華させていく。


 彼女自身の性質を示すように、ごわつく陰毛で隠されていた秘裂。

 それを掘り起こしていくようなそれは、ともすればベルナデッタという少女を強制的に日の下に暴こうとする――――彼女を火の下に引きずり出すのと似た行為でもあった。


「うぅうぅぅぅぅ……っ!も、やだ、やだやだやだやだぁぁ……っ!

 話、話、聞いてくださいよぉ……っ!!う゛ぅうぅぅ~~~~…………っ!!」


 秘部と腋。そこから反復するように与えられる痛み。

 痛いのも怖いのも恥ずかしいのも全部嫌だ。だからこそベルナデッタは全てを捨てて引きこもり続けることを選んだのだというのに。


 必死に目を閉じて恐怖に耐えようとしても、与えられる痛みに惨めな悲鳴が零れてしまって、尊厳を踏みにじられる恐怖に打ち勝てない。

 かと言って目を開き続けている事も、自分を覗き込んでくる男の苛立ちと興奮が混ざった顔を直視する事になってしまって耐えられない。


 “課題”なんかについてくるんじゃなかった。意地でも寮の自室に引きこもって、教師に怒られても見放されても知らんぷりを決め込んでいればよかった。

 エーデルガルトの言葉に怯え、ドロテアの優しい言葉に揺らがされて、”ちょっとやってみようかな”なんて思わなければよかった。


 けれど後悔は先に立たない。

 捕らえられ、弄ばれ、甚振られ、最後には襤褸雑巾のように捨てられる――――粗暴な男の毒牙に掛かった女の末路は、そういう物語で幾度も読んだ。

 そんな末路がどれほど無惨で絶望的なものなのか、ベルナデッタは知識と空想と妄想の内側で理解してしまっていた。


「……あー、クソ、だんだん面倒くさくなってきたなぁ!」


「――――ッうあっっひ、ぎぃいぃっ!!

 ぁ、ぁぐっ!あ、やめ――――っっぁああぁぁ痛い痛い痛い痛いですぅっっ!!」


 だが物語の――――空想の苦しみよりも、現実はなお残酷で鮮烈だった。

 苛立ち混じりに陰毛の束を強く握り掴まれて、勢いよくブチブチと引き抜かれる。


 目を剥き叫び、それでも激痛はまるで遠ざかりもしない。

 恥丘がひりひりと痛み、見開いた目から涙が零れ、知らぬ間に鼻腔から垂れ落ちた鼻水が、苦痛に歪んだベルナデッタの顔を一層惨めに彩った。


「鼻水垂らしてんじゃねぇよクソガキ。ただでさえ萎える不細工な顔なんだからよぉ!」


 腋の毛を弄んでいた男が、ベルナデッタの顔に向けて唾を吐く。

 鼻頭に命中した泡立つ唾。一秒だって触れたくもない汚物が、じっとりと染み渡るように鼻梁を垂れ落ちてくる感覚があって、ベルナデッタは屈辱にむせび泣くしかなかった。


「っ、う、うぐぅううぅぅぅ……っ!うぇ、うぇぇぇぇぇん……っ!

 なん、で……!なんで、どぉしてぇっ!?ベル、ベルは……っ!べ、ベルは何もしてないじゃないですかぁあぁぁぁぁっ!!」


 恐怖と屈辱と羞恥と混乱と――――ない交ぜにされた感情の炸裂。

 ヒステリックな叫びと共に幼児のように泣き始めたベルナデッタに、男たちは一瞬呆気にとられたように、少女の恥毛を弄ぶ手を止める。


「ぅうぅぐ……っ!うぁあぁぁっ!うぁああぁあぁぁぁんっ!!

 も、もぉやだっ!やだっ!やだよぉぉっ!!帰して!帰してくださいっ!!ベル、ベルもう家に帰りたいですぅうぅぅううぅぅぅっっ!!」


 心の底から萎える。性欲も嗜虐欲も萎えきっていく。

 だから男たちは、大きく溜息を吐いてから一度目配せを交わし合い、


「――――うるせぇんだよ、クソガキが!!!」


「うぇっ、ぁ――――ひッッッぎぇっ!!

 ぁ、うぶっ、ぐぅうぅぅぶ……っぇ、げぇっ!!!!」


 地面に仰向けで転がされたベルナデッタの腹に、強く深く拳を叩きつけた。


「ぅ、ぐぶ……っ!!ご、ごぼ、ぉ、おぇ……ッッ!!!

 あ゛………………………っ!は、か、は………………ッッ!!!!」


 嘔吐こそ免れたものの、搾りだされた涎がベルナデッタの唇を汚す。

 薄い腹部に叩きつけられた激痛と、何が起こったのかまるで理解できない混乱――――そしてそんな混乱となり替わるように広がっていく恐怖。

 そして、そんな恐怖にベルナデッタが喚きだすより早く、彼女の腕を地面に押さえつけている方の男が、片手をベルナデッタの首に押し付けながら語り始める。


「俺らはさァ、アンタを悦ばせるためにこんな事してんじゃないのよ。わかる?」


 首に手を掛けられ、腹の上に拳を構えられる。

 状況を理解すればするほどに恐怖が増していき、ベルナデッタは悲鳴を漏らしそうになる喉を必死で閉ざしながら、何度もこくこくと頷き続けるしかない。


「そーそー、うるせぇ女は面倒くせぇからさぁ。

 アンタみたいなゴミ女は、そういう風にせめて大人しく肉穴になっててよッ!!」


「――――っっっぎ、ぁ、がは……ッッ!!!!」


 大人しく、必死に声を漏らさないようにしたのに、それでも腹に拳が突き立つ。

 こみあげる嘔吐感を必死で抑え込む。息が出来ない。全身が激痛ゆえか酸欠ゆえか、ぶるぶると小刻みに痙攣しながら奇妙な程に熱を持っていく。


(あ゛、だめ、だめだめだめだめだめだめ吐いちゃダメ…………!!)


 こみあげてくる嘔吐感。必死で抑え込むそれが迸ろうとする。

 けれどダメだ、絶対にダメだ。だって吐いたら今以上にひどい目に遭わされる。何も言われてないけれど、それがもう理解できてしまう


 嘲笑われ、殴られ、蹴られ、もしかしたら殺されてしまうかもしれない。

 だからベルナデッタは必死に嘔吐感に耐えて、耐えて、耐えて――――けれど、彼女にはそれを耐えきることが限界だった。


「ぅ、んぶ……っ!ふぇっ!?

 ぇ、あ、ぁ、あ、ぁ、あぁぁぁぁ……っ!!」


「ッ!!――――おいおい、テメェ何漏らしてんだ?あぁ?」


 嘔吐だけは堪えられたが、腹部を強く拳で穿たれたベルナデッタの身体が示してしまう反応は、強くこみあげる嘔吐感だけではなかった。


 拳がじりじりと引かれていくごとに、ベルナデッタの秘部近くの孔――――尿道の内側から、黄色く濁った液体が高く高く噴きあがっていく。

 ベルナデッタの身体や男たちの事を濡らすその飛沫は、ベルナデッタの尊厳を傷つけるだけでなく男たちの怒りも煽って、結果的に”最悪の惨状”を彼女にもたらしてしまう。


「ご、ご、ごご、ごめ、ごめ、なさ……っ!

 で、でもっ!でで、でもっ!でもぉっ!べ、ベルは……っ!ベル、はッッ!!」


「何言い訳してんだテメェ。小便くせぇんだよカスが。

 不細工で汚い上に漏らし癖まであるとか、まさに最悪じゃねぇかクソガキ」


 無言のままに絞められる首。段々と遠ざかっていく意識。

 本能的にジタバタと振り乱される細い脚を大きく開かせる形で抑え込み、男の一人が華奢な脚の間に座り込みつつ、陰毛の束を乱雑に掴んでまずは雑に引き抜いた。


「―――――~~~~~ッッ!!!!!」


 激痛に身を捩り、悲鳴を上げたくとも声を上げることすらできない。

 段々と意識そのものが霞んでいく中で、自分の股の間に座り込んだ男がごそごそと何かを――――ベルナデッタの背嚢を漁っているのがぼんやりと見える。


「こういうガキがまず躾けなきゃなんねぇよなぁ

 …………おい、クソガキ。これが見えるか?それとももう気が触れやがったか?」


 と、そこで男が苛立ちと怒りを滲ませた声音でそう問いかけてきた。

 同時に絞められていた首が解放され、ベルナデッタは噎せ返って無様にひゅぅひゅぅと音を立てながら、必死になって空気を肺に迎え入れる。


「っ、ぁ、ぇ、げほ……っ!ぇ、あ、矢……!矢です……っ!」


 剣も斧も格闘も嫌いだ。最前線で敵と肉迫するなんて絶対に嫌だ。

 さりとてドロテアやリシテアのような魔法の才能や、メルセデスのような信仰心だってなかったから、必然的にベルナデッタは弓を武器とするしかなかった。


 そんな自分の唯一の武器――――自分で削りだした不格好な矢。

 それを目の前にかざされて、ベルナデッタはその意味も理解できずに、ただ問われた言葉に対して反射的に答えてしまう。


「そうだなぁ、”矢”だなぁ?これを使ってテメェは俺たちを殺そうとしたわけだ」


 自分たちが散々に働いてきた蛮行を棚上げして、男はベルナデッタを煽る。

 罪悪感――――あるいは殺人という行為への忌避感。男の言葉にそれを煽られて、ベルナデッタは何も言えずに、ただ首を横に振り続けることしかできない。


「ひひっ、それならよぉ、イイ”罰”の方法があるよなぁ?」


 言いながらの男の行為に、ベルナデッタは全てを察して青ざめる。

 わざわざ”矢”を探して、それをベルナデッタの前に突き付けて、最終的に何を望んで何を求めていたのかを、彼女はどうしようもなく察してしまう。


「ぇ、あ、や、や、やだっ!や、やですっ!ぁああぁうそうそうそやめてっ!!

 やめてくださ、ぁあぁぁうそうそだめだめだめだめそんなのだめですぅぅっ!!!」


 半狂乱になって身を捩る。駄々をこねる子供のように四肢を振り乱そうとする。

 けれど何もかも無駄だった。屈強な男たち――――山賊として生きてきた男たちの腕力は、ベルナデッタの細い四肢では決して振りほどけない。


「おいおい、何言ってんだ?甘ったれてんじゃねぇよ。

 アンタはこれを俺らに刺して殺そうとしたんだ。ならアンタがこれに刺されちまうのも当たり前の報いってやつだろ?」


 陰毛を引き毟られて、僅かに姿を晒すようになったベルナデッタの秘部。

 度重なる自慰によって僅かに形は崩れていて、それでもなお男を受け入れたことがないとわかるようなその場所に、鋭利な矢じりが軽く押しあてられる。


「だ、ぁ、や、や、や、や、やだっ!

 や、やですっ!やめ、やぇ、やめてくださいっっ!!」


「ひひひっ、何当たり前の事言ってんだ?

 さっき見せただろうが、アンタの作った”矢だ”ってよ!」


 拒否の言葉を馬鹿のフリで受け流し、男は鉄の矢じりでベルナデッタの秘裂を撫でる。

 硬質な鉄の感触。それが自分の中で最も柔らかく脆く、それでいて重要な場所を撫でていく感覚に、ベルナデッタは顔を蒼白に染めて何度も首を横に振るしかない。


「や、や、や、やだやだやだやだやだやめて…………!

 お、おねが、おねがいします……っ!べ、ベルは……っ!ぁ、あぁぁやだやだやだぁぁっ!」


 だがどれだけ泣いて喚いて抵抗しようとも、それらは何の意味も成し得ない。


 ゆっくりと嬲るように、矢じりの先端が秘裂の内側へと侵入する。

 細い指以外に何も加え込んだことのない場所を、甚振るように奥へ奥へと進んでいく。


「ひ……っ!ぁ、あ、ぁ、ぁ、あぁぁうそ、うそです……っ!!

 も、ぁ、やめて……っ!やだ、も、もぉやだ、やだよぉぉ……っ!!」


 蒼白な顔。目を見開いて涙を流し、鼻水を垂らして泣くベルナデッタ。

 本能的な抵抗感にひくひくと蠢く脚は、けれど抑え込まれているからではなく、ベルナデッタ自身の意思によってその抵抗を抑え込まれるしかない。


「もっと暴れるかと思ったが、そうしないだけの頭はあるんだなぁ?

 そのまま大人しくしとけよ?マンコの中、ズタズタにされたくはねぇだろ?なぁ?」


 ゆっくりと、ゆっくりと、硬い矢じりが膣奥まで進んでいく。

 自慰によって多少の快感に慣れて緩まっている膣内は、収縮こそすれど細い矢を締め付けるまでには至らず、だからこそベルナデッタは命拾いしているようなものだ。


「は……っ!はぁ、はぁ……っ!は、ぅ、んぅぅぐ……っ!

 く、ひぃ……ッ!ひ、ひぅ、ぁ゛……っっ!!も、抜い、て……ッ!!」


 膣内に存在する異物感は、ベルナデッタの恐怖を煽り続ける。

 ほんの少し身じろぎをするだけ――――ほんの僅かに身を跳ねさせるだけでも、矢じりによって膣肉が引き裂かれてしまうかもしれない。

 だからベルナデッタは身動きも身じろぎもできないし、膣内に存在する異物感から意識を逸らすことすらも許されない。


「とか言いつつ、随分すんなり咥えこんだじゃねぇか。

 マンコの形もよく見りゃ汚ぇし、普段からどんだけオナニーしてんだ?」


 そして更に、男たちはベルナデッタの尊厳を言葉と行動でへし折ろうとする。

 矢を握った男はじっくりとそれを膣奥まで進めながら言葉で羞恥を煽り、腕を抑え込んでいた男は腋の毛を引っ張っては抜く行為を再開してしまう。


 答えないという選択肢は、もうないも同然だった。

 殴られたくない。壊されたくない。ひどい事をされたくない。そんな思いだけに突き動かされて、ベルナデッタは自らの尊厳を自らの言葉で貶めていく。


「ふ、ぁ、ぅうぅぅうぅ…………っ!

 ま、毎日……っ!ま、毎日、してます…………っ!よ、夜中に、部屋で……!」


 はしたない行為であるとわかっているし、屋敷で父に見つかった時はひどく殴られ罵倒され、地下牢の一室に監視付きで閉じ込められた。

 だがそんな風に”興味を持つな”と遠ざけられるほど、ベルナデッタの内側の欲求は、留まることなくその身の奥で熱を増していくだけだった。


「へーぇ?どういう風にヤってんだ?

 乳首か?マンコか?おかずは何使ってんだ?暇つぶしに教えろよ」


 『暇つぶし』という残酷な目的を隠そうともせずに、男たちはベルナデッタの身体と心を弄んで、玩具のように使い潰し続ける。

 帝国貴族の娘である筈なのに、そんな価値すら見出されぬまま、暇つぶしとして全てを暴かれて辱しめられ続ける惨めさに、それでもベルナデッタは順応を試みるしかない。


「ぁ、あ、アソコ……っ!アソコ、に……っ、指を、挿れて……っ!」


「あ?”アソコ”なんざ言われても何処だかわかんねぇだろうが。

 ちゃんとした言葉を使えよ学生さんよぉ。勉強せずにオナってばっかか?あ?」


 羞恥と恐怖の板挟みの中で、濁した言葉を殊更に責め立てられる。

 膣内でぐりぐりと蠢かされる細い矢。太いモノで貫かれるのもきっと痛くて怖いだろうけれど、こんな風に異物で膣内を抉られるのも怖くて怖くて仕方ない。


「ぁ、ぁ、ぁ、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃ……っ!

 お、お、おマ、おマンコに……っ!ゆ、指を挿れて……っ!な、なんどもっ!ぁ、あぁぁ、掻き混ぜるようにして……っ!ひぅ、んぅぅぅぅあぁぁぁぁいやぁあぁっっ!!」


 だが男たちの暇つぶしに付き合っても、責めから解放されるわけではない。

 必死になって羞恥を飲み下そうと、媚びへつらうように淫らな言葉を並べ立てても、与えられるのは一層深い責め苦だけだ。


 数年前に自慰の中で破れてしまった処女膜を通り過ぎ、長い矢が膣内の深い場所をゆっくりとゆっくりと、甚振り尽くすように潜っていく。

 怖くて怖くて体が震える。けれど身体を震わせては膣内が切り裂かれてしまうかもしれないから、ベルナデッタは必死になって体の震えを抑え込むしかない。


「ぅ、うぅぅぅ~~~~っっ!!は、ぁ、んぐっ、ひ、ぎぅううぅ~~~~っ!」


 恐怖が全身を痺れさせてしまう。気が狂ってしまいそうで仕方がない。

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。今すぐにでもここから逃げ出したい。家も級友も地位も名誉もささやかな矜持も何もかも放り出して、落ち着く場所で一息を吐きたい。


 けれど文字通りに、ベルナデッタはもう”一息”すら吐けなかった。

 身じろぎも、抵抗も、声を上げることも、それどころか生理的な反応すらも許されず、ベルナデッタは男たちの玩具としてその身と心を玩弄され続ける。


「ふ、ふぅぅ……っん、んぎぃっ!!

 ぁ、ぁ、かは……っ!ふーっ、ふーっ、ふぅぅぅ……っ!」


 乱雑に腋の毛が抜かれ、その痛みに身を跳ねさせたくとも跳ねさせられない。

 ゆっくりと膣奥まで進んでいく矢じりの感覚に、それでもベルナデッタは抵抗できない。


 痛いのは嫌だ。怖いのは嫌だ。辛いのも嫌だし苦しいのも嫌だ。

 ベルナデッタという少女は、根本的に保守的な人間だった。今の苦しみを甘受し続ければ、それ以上の苦しみを味わうことはない。

 そんな考えが染み付くほどに、彼女はどうしようもなく無力な”引き籠り”でしかなかった。


「――――お、そろそろ”終点”かな?」


 だがそれでも、現実はどこまでもベルナデッタに残酷と無体を強いる。


 どれだけ現状に安住したいと願っても、安定にはいつだって唐突な終わりが与えられるものだと、ベルナデッタは理解できていた筈なのに。

 そしてそれは、より良い方向への発展ではなく、転げ落ちるような転落—―――これまで以上の艱難辛苦となることが殆どだということも分かっていた筈なのに。


「ぁ……っ!ぁ、あ、あ゛、あぁぁぁぁやだやだやだやだやだやめて……!!」


 “終点”という言葉の意味を理解して、ベルナデッタは避けられない終わりを思い知る。

 だがそれでも、彼女はそんな残酷な終わりを受け入れることが出来ずに、何度も何度も拒否の言葉を並べ立てる。


 暴れることもできず、抵抗に移れるだけの要素はもう何一つない。

 ベルナデッタはもう、残酷な終わりを待ち続ける以外の何もかもを失ってしまった。


「ぅ、ぁ、ぁあぁやだやだやめてっ!!やめてくださいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃっっ!!!

 や、や、ヤダヤダヤダヤダそこダメ壊さないでおねがいしますおねがいしますおねがいしますからもぉやめてくださいよぉぉおおぉぉっっ!!!!」


 拒否、懇願—―――けれどそれらは終ぞ男たちの心を揺らがすことはなく。

 膣奥の間際にまで至った矢じりが、ゆっくりと――――けれど確実に、知らしめるような激痛と共にベルナデッタの中心を突き抉った。


「ひッッッ―――――ぃいいぃいぃいぃいいいぃぃぃぎぅうぅうぅうぅぅぅっっっ!!!

 あ゛!あ゛っ!あ゛っ!あ゛ッッ!ぅ――――んぅぅうぐぅううぅうっぁああぁああああああぁぁああああああ――――――――――――――――ッッッッ!!!!!!」


 深さにして僅か数ミリ。膣奥に穿たれた矢じりは、その程度の深さしか刺さっていない。

 けれど、神経の集中する場所をゆっくりと抉り突かれた事――――そして、それに伴った恐怖と絶望は、ベルナデッタの心をへし折るには十分すぎた。


 絶頂は当然なく、屈辱と羞恥と恐怖だけがベルナデッタを支配する。

 ビクビクと跳ねる身体。堰を切ったように尿道から小便が滴り落ち、勢いよく地面に落ちて土の色を濃く染めていく。


 男たちはもう、ベルナデッタの身体を抑え込んですらいない。

 けれどベルナデッタはもう、絶望で放心した無様な顔も、責めの中で屹立してしまった色の濃い乳首も、乱雑に陰毛を毟られた秘部も隠せずに、ただ惨めに転がるだけだ。


「ぁ゛…………っ!ぁ、あ、ぁ、あぁぁあ、あぅ………………」


 膣口に深々と矢を咥えこみ、絶望に光を失った目で空を見上げる。

 天蓋のように生い茂る葉は、ベルナデッタの痴態をそのまま日の下に晒すことはない。


 けれど、そんな事は何も関係がなかった。


 どこかから吹いてくる生温い風が、ベルナデッタの絶望を煽る。

 もう二度と帰れないと意識の奥底にまで悟らされながら、ベルナデッタは二人の男に担がれて、ただこれ以上の地獄へ向けて運ばれていくだけだった。


≪了≫



お読みいただきありがとうございました!

同日に『忠節は蕩かせずとも(クロニエ×モニカ(レズレイプ))』も更新していますので、よろしければそちらもご一読いただけると嬉しいです!


次回更新は9月17日予定。

内容は『FGO』より、異聞帯女子たちの短編オムニバスもの。

現在はアナスタシア、オフェリア、秦良玉の三人で予定してます。


それでは次回も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!

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