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※拙作の独自設定があります。苦手な方はご注意ください。



「…………どうやら、私が試す以外にないみたいね」


 層岩巨淵の最下層。”恐れ”を具現化する不可思議な扉の前。

 疲弊した他の者たちをベースキャンプで休ませてから、夜蘭はただ一人でその扉の前に立ち、大きく溜息を吐き出した。


 自分の仕事の関係上、この扉を開けた先に璃月港の機密が具現化されれば、この場にいる全員を始末する必要がある。

 それは半分は本心だし、しかしもう半分は誤魔化しのための言葉だった。煙緋辺りにはバレているだろうが、少なくとも彼女はそういう事を無遠慮に口外するタイプではない。


「…………はぁ」


 荒瀧一斗には”豆まき”。久岐忍には”親による強制”。煙緋には”人心の矛盾”。

 それぞれが最も恐れるもの――――というよりは、もう二度と経験したくはないと考える記憶をこそ、この扉はその内側で具現化していると見るべきだ。


「……であれば、私には…………」


 そしてそんな分析を成し得てしまっているからこそ、夜蘭にはこの扉を開いた先に待ち受けているのが何なのか理解できる。

 自分が最も恐れている記憶――――かつて経験することになったどうしようもない地獄の記憶が、どれほどまでに夜蘭という女に影を落としているか。

 彼女はそれを当然に理解していて、だからこそ誤魔化しを使ってまで調査を拒否した。


 正直なことを言えば、どんな手段を取ってでもこの扉の調査は避けたい。

 だがそれでも、現状で出来る脱出のための手段はこの扉の調査だけであり、ここで自分が怖気づいていては脱出はどんどん遠ざかっていく。


「……本当、嫌になるわね」


 だから夜蘭は覚悟を決めて扉を開いた。

 石の扉が重い音を響かせながらズレていき、やがて一人がようやく通れるほどの小さな隙間が夜蘭の前に晒される。


 その内側に広がっているのは、全てを呑みこむような真っ黒い靄だ。

 自分の恐れを具現化したそれ――――あの夜の薄ぐれを再現するような粗の中へと、彼女は僅かな躊躇いと共に足を踏み出していくしかない。


 ヒールの音が遠ざかり、足音が段々と遠くなって消えていく。

 そうして夜蘭の身体が扉の内側の闇に呑まれてから、僅かに音を立てて扉が閉まった。


 この場にいる誰にも明かされることはなく始まった夜蘭の苦闘。

 それは薄靄の中でいつの間にか意識を途切れさせた彼女が、再び意識を覚醒させたところで、どこまでも残酷な”予想通り”と共に始まった。



「さっさと起きねぇか、この売女が!!」


「――――っ、あうっ!!!」


 背中に叩きつけられる鞭。その感覚で夜蘭は意識を覚醒させた。

 記憶の連続性はしっかりと残っていて、だからこそ夜蘭は『やっぱりそうだった』という納得と共に、気分をひどく暗澹とさせた。


「くそ、くそ、くそ……っ!!まさか密偵だったとは恐れ入るよ……!!

 テメェのせいで何もかも終わりだ!!くそ、くそ、くそが、クソがぁっ!!」


 両手は手首を起点に一まとめにされて天井から吊るされ、脚は肩幅に開いた状態でつま先立ちになるよう拘束されている。

 そして何より、扉をくぐった時に纏っていたはずの衣服はいつの間にか剥ぎ取られていて、裸の身体に直接鞭を振るわれる激痛が夜蘭を苛んだ。


「っ、はぁ……っ!!く、ぅうぅっ!

 っ、や、やめっ!あぁあぁぁっ!っ、く、んぅぅぅっ!」


 何度も何度も背中に叩きつけられる鞭は、怒り任せでひどく粗雑だ。

 そして同時に夜蘭は、そんな痛みと全く同じ痛みを知っている。


 この状況は、かつての”失敗”の記憶とそのまま同じだ。


 密偵として凝光に仕え始めて一年と少しが経った頃。

 情報を持ち出すことには成功したが、脱出に失敗して捕らえられ、千岩軍が乗り込んでくるまでの数日の間、下劣かつ粗暴な男に昼夜を問わず犯され続けた記憶。


 夜蘭という女が犯した唯一の失敗であり、その結果に対する明確な恐れ。

 扉はそれを明確に彼女の記憶の中から読み取って、行われた辱しめを再現していた。


(落ち着きなさい……!これは所詮記憶の再現……!

 知っている状況で、耐えきれた状況。冷静に、ただ責めが終わるのを待てばいい……!)


 だがそれでも、夜蘭はまだ冷静に思考を回せている。

 彼女は背中や尻に叩き込まれる鞭の痛みに奥歯を噛み締め、痛みと衝撃に身を揺らしながらも、現状をそう認識して”耐えきる”覚悟を決めた。


 痛みは本物だとしても、これはただの”記録”に過ぎない。どれだけ惨い辱めを受けようと、耐えきれば終わるだけの残像だ。

 この状況でも冷静にそう考えられるだけの胆力無くして、七星筆頭に仕える密偵など務まらないし、夜蘭にはそれだけの胆力と思考力がある。


「デカい乳ぶら下げやがってよ……!

 おら、どうだよ売女!情報のために何人に身体を売ったんだ?あぁ?」


 欲情と怒りを混ざらせた声音と共に、男は鞭を床に放り捨てて背後から夜蘭の胸を掴み、そのたわわな双丘を掌に収めて揉みしだき始める。

 男の手にすら収まりきらないほどの豊かな乳房。それを捏ねまわされる感触に間違いなく憶えがあって、夜蘭はぞわりと背筋を総毛だたせた。


「っう……!!ん、ふぅ……っ!ぁ、あ……っ!!」


 夜蘭の口から僅かながらに零れ始める、彼女自身の意思とは無関係な甲高い声。

 あの失敗を経て以来、使わぬように気を張ってきた女の武器。しかし使わずにいたからこそ研ぎ澄まされてしまったそれは、夜蘭自身を傷つける諸刃の剣となってしまう。


「随分と敏感だなぁ?たかが胸を揉まれただけでこの体たらくか?

 それとも本当はこうされたかったのか?あ?どうなんだよ密偵さんよぉ!」


 聞き覚えのある言葉と同時に、憶えのある責めが続く。


 手の中で乳房を捏ねまわしながら、二本の指でくりくりと乳首を弾きまわす責め。

 肉感的な乳房の重量に反した華奢な乳首が、脂ぎった指に弄ばれつつ、段々とその内側から張り詰めてひくひくと打ち震えだしてしまう。


「っく……!は、ぁ、そんなわけ、ない、でしょう……!?

 く、ぅ、ぁ、あぁぁ、落ち着きなさい、私……っ!これは、ただの、きお――ッ!?」


 自分を納得させるために認識は自らの内で確定させた。

 そして事実として夜蘭の認識は正しい。この場で起こっている陵辱は、あくまでも夜蘭にとっての恥辱を再現しているだけに過ぎない。


 けれど認識がどれだけ正しくとも、それはあくまで正しいだけだ。

 どれだけこの場を正しく認識していようとも、認識とは無関係な身体の反応と、本能的な羞恥や屈辱を感じてしまう事はまるで別の話だ。


「っん!ぁ、はぁ……っ!んっ!ぁ、あぅっ!あぁっ!」


 ひどく丁寧に――――夜蘭が最も嫌だった責め方を再現する形で、すりすりと乳首を二本の指の腹で挟み込むように扱き上げられる。


 脂ぎった指の感触。指を沈み込ませてしまう乳房の感覚。響いてしまう浅ましい喘ぎ声。

 それら全てが屈辱と羞恥を叫び、均整の取れた肢体が拘束の中で揺れて、ひどく扇情的に鎖の音が響いて、その事実すらもが夜蘭という女を責めていく。


「どうした?随分と敏感じゃねぇか。

 “あの時”とまるで変わらない乱れぶりだなぁ?いやらしい乳ぶら下げているくせに」


 乳首を執拗に扱き上げられながら、”あの時”とは違う言葉――――”あの時”を経ているからこそ意味を成す言葉をぶつけられる。


 夜蘭はその事実にわずかに動揺したが、しかしその言葉自体に意味はない。

 その言葉はただの記憶の発露だ。扉が夜蘭の記憶を読み取って、それを前提とした”それらしい言葉”を恐れの中から導き出してぶつけてきているだけ。


「っ、はぅっ!く……!黙、れ……っ!や、ぁ、あ、あぁっ!」


 だから意味はない。そんな事は言われるまでもなく分かり切っている筈なのに。

 なのに、身体の奥底に刻み込まれた恐怖が声と身体を跳ねさせて、この異様な陵辱の場に現実感を付け加えてしまう。


 胸先を嬲るように何度も何度も擦り上げてくる責めの感覚。

 それは夜蘭の身体を跳ねさせてしまうし、それはどれだけ現状に対する認識を強固にしようとも、何一つとして変わらない。


 “あの時”以来、どうしようもなく怖くなって、自分で慰めることもできずに生理的な欲求を抑え込み溜め込み続けてきた肢体。

 それが”あの時”を再現するような陵辱によって、反転するように淫らな感覚を迸らせて、夜蘭という女の本能を耐えがたいほどに擽ってしまう。


「っんぅぅぅっ!は、ぁ、ぁんっ!や、や、ぁ、だめ……っ!!」


 嫌なのに身体が跳ねてしまう。嫌なのに喘ぎが止められない。

 胸先から全身を駆け巡る感覚が酷く不快で、不快である筈なのに抗いようもなく自分の身体が歪んだ悦を感じ取ってしまっている。


 身の奥から湧いてくる感電めいた痺れ。高まってくる感覚が熱を呼ぶ。

 執拗に扱き上げられて、疼くほどに屹立させられてしまった胸先。そしてその場所をどう嬲られることで自分の身体が屈したのか。

 夜蘭はかつて与えられたその責めを憶えてしまっていて、だからこそ彼女はそれを思考の片隅に浮かべてしまった。


「――――へぇ、そんな風にされるのがいいのか」


「っ、くぁっ!?ぁ、や、や、ぁ、あぁぁっ!」


 そして”記憶を読む”この扉の中で、鮮明にトラウマを想起してしまう事は、絶対にあり得てはならない失策だった。

 だがそんな失策を後悔したところで、既に想起してしまったトラウマを読み取られてしまった後では遅きに失する。


 張りつめるように弾力を帯びた乳首。その根元に爪を立てられ、カリカリと小刻みに引っ掻くように震わせられる責め。

 身体の奥底から性感を絞り出すようなその責めは、ひどく小刻みでありながら夜蘭の全身を快楽で埋め尽くすほどに支配してしまう。


「ぁ、あ、ぁ、や、やめっ!

 あ、んぅっ!ふ、んぁ、やっ!やっ!やっ!あ、ぁあんっ!」


 豊かな乳房を跳ねまわらせるように身を揺さぶり、鎖を鳴らしながら跳ねまわる。

 けれど当然、逃れることも抗う事も不可能だ。身の奥底に至るまで刻まれたトラウマによって、彼女はただその身を絶頂へ至らしめられる。


「や、や、だめっ!ぁ、や、ぁあぁっ!!

 やぁっ!あ、だめだめだめっ!ふぁっ!ぁ、ふぁぁあぅぅううぅぅっ!」


 夜蘭の身体が弓なりに反り上がり、鎖が何度か哀れましい音を立てた。

 それと同時に、白く長い脚の先端に至るまで、彼女の長い脚を秘部から噴出した愛液の雫が幾重にも伝い落ちていく。


 陰毛の一つもない、成熟した印象とは裏腹な幼さすら感じさせる恥丘と、その中心に据えられた貞淑なクレバス。

 ひくひくと蠢動するクレバスの内側から滴り落ちていく淫らな液の感覚と、腹の奥がやけに疼くような感覚は、忘れてしまいたかった過去を痛烈に彼女へと突き付ける。


「随分派手にイったもんだなぁ?やっぱり期待してただろ?」


 抵抗もできずに身を震わせる目の前の女。豊かな胸もスレンダーな肢体も抵抗しようとする心根も、全てが嗜虐的な欲を煽る極上の雌。

 それの尻を手慰みのように一度叩きつつ、男は天井に吊り下げていた鎖を緩め、夜蘭の足をつま先立ちではなく床につけさせた。


「っ、く、ふぁ、ぁ、黙、れ……!」


「そんな顔で睨んだところで、説得力なんざ一つもねぇぞ?

 それにほら、アンタのマンコはもう期待しすぎてひくひくしてるんだよなぁ」


 夜蘭の腰を掴んで、彼女を前かがみの体勢にしながら、男はいつの間にか晒していた自身のペニスを濡れそぼった秘部へと押し付ける。

 それは、いっそ残酷なほどに憶えのある感触だった。硬く太く残酷な嗜虐欲に満たされた怒張の感触は、それこそ何よりも忘れたいものの筈なのに。


「っ、く……!落ち着け、落ち着きなさい……!

 わた、私は……!これは、もう、終わった事、なのだから……!」


 あえて言葉にして自分を鼓舞する――――それは転じて、夜蘭という女が既にこの状況に折れかけている事を示す証左でもあった。

 だからこそ”記憶”はどこまでも残酷に、夜蘭が最も望まない言葉と行動によって、彼女の中から現実と記憶の境界を取り払おうとしてしまう。


「本当にそうか?これはもう全部終わった事か?」


「――――ひっ!ぁ、んぅぅっ!」


 男が夜蘭を背後から抱きすくめるように、亀頭を濡れそぼった膣口に擦り付けつつ、片手でそそり立った乳首を再び扱くように嬲り出した。

 夜蘭には憶えのない責め方。彼女が動揺に男の方を向けば、それすらも想定通りとでも言わんばかりに即座に唇を奪われ、ぬめりを帯びた舌によって口内を蹂躙される。


 舌を舌で絡めとられ、乳首を刺激されながら、”今から犯される”という実感ばかりをどうしようもなく高められていく。

 肉体は確かに女の武器だけれど、それでもこの状況には恐怖が勝り、夜蘭はとうとう唇を奪われたままでくぐもった悲鳴を上げてしまった。


「んっ!んぅぅぅっ!――――っ、ぁ、あ、やめ――――っ!」


 唾液の糸が夜蘭の薄い唇と、男の舌先を繋ぐ。

 しかしそれが途切れるよりも早く、男は腰を勢いよく押し進め、処女同然の夜蘭の膣を無遠慮に最奥まで突き抉った。


「あっ!や、やめ――――あぁぁあぁぁぁっ!!

 ……っ、ぃ、あ、ぁうっ……!!く、う、うぁ、あぁ……っ!」


「へぇ、”あの時”からほとんど変わらねぇ締まりだなぁ?」


 喪失感と虚脱感に、夜蘭は言葉を詰まらせる。

 しかし”夜蘭の記憶”はどこまでも残酷に、さも今ここで行われている陵辱が現実であるかのような言葉を彼女の記憶から導き出して、その羞恥を煽ってしまう。


 憶えのあるペニスの感触。欲望に滾っている太く長く硬いそれ。

 かつてのトラウマを膣内一杯に咥え込まされて、夜蘭はせめて無様に泣き叫ぶことだけはするまいと、羞恥と屈辱で真っ赤に染まった顔で唇を噛み締めた。


「わかるぜ?怖くなったんだろ?

 自分が”女”である事が。自分が”女”として見られるのが」


 だが黙ったところで意味はない。そもそも耐えることにすら意味はない。

 夜蘭の記憶を追想するように、記憶の中から引きずり出された男は夜蘭の腰を掴みながら緩慢なピストンを始め、同時に彼女の精神の脆い場所を痛烈に抉っていく。


「密偵である以上、女の武器は捨てられない。

 だがそれでも、女として見られるのは怖くて仕方なかったんだよなぁ?」


「っ、ふぁっ!ぁ、ぐぅっ!――――んっ!ぁ、あ、ひんぅぅっ!」


 胸先への責めで絶頂させられたせいで、既にペニスを受け入れられるだけ濡れそぼってしまっていた膣内が、嫌味なほど的確なピストンで穿たれる。

 乱雑に膣奥を突くのではなく、膣の半ばほどに幾度かペニスを擦り付け、カリの段差で最も敏感かつ不快な場所を擦る責めが、夜蘭の身体を瞬く間に快楽で埋めていく。


「向いてねぇよ、アンタ。

 密偵なんざやめちまえばよかったのに、意地張っちまってよ」


「く、ふぁっ!ぁ、や、ちが、違うっ!

 黙れ、落ち着け……っ!こんな、こんなの、耐え、ればぁっ!」


 もはや自分を鼓舞することでしか、夜蘭は現状を否み切れない。

 自分の中に存在する、見て見ぬふりをし続けてきた恐怖や欺瞞。それらを容赦なく叩きつけられると同時に、身体までも女として蕩かされてしまう。


 最も不快で敏感な場所を幾度か擦られてから、ゆっくりと押しこむように膣奥を拉がれるという、夜蘭が最も敏感に性感を得てしまう責め。

 最も恐ろしい記憶をベースとして、様々な要素を現状の夜蘭に合わせるようにチューニングされた悪夢は、あまりに的確に本能を刺激してしまっていた。


「っっ……!ぁ、んぅぅ……っ!ふ、ぁ、あぁぁっ……っ!

 く、ひ、ぃぃぃ……っ!!ん、んぅっ!ぁ、あぁぁっ、や、やめなさ――――っ!」


 “あの時”のように乱雑に、貪るように犯されるような状況であったなら、もしかしたら耐えきることが出来たかもしれなかった。

 けれどこれは違う。知っているはずの状況、知っているはずのペニスによって、全く知らない責め方に晒されては、それこそ耐え方など分かるはずもない。


 ゆっくりと焦らすように、痛みもなく快楽だけが与えられる。

 緩慢な抽挿は濡れそぼった膣内を肉ひだの一本一本に至るまでゆっくりと掻き分けて、執拗に脆い場所を擦っていく。


「くぁ……っ!ん、ふ、ぅぅぅう~~~~…………っ!!

 か、ぁ、ぁぐ……っ!や、やめなさ、ぁ、やめて……っ!や、やめぇ……っ!」


 膣内から愛液が滴り落ちていく鮮明な感覚。汗ばんだ太ももを垂れていく淫らな滴。

 床に落ちた愛液が白く華奢な脚を冷えさせ、ペディキュアで妖艶に彩られた爪をより一層妖しく、けれど夜蘭自身が望まぬまま濡らす。


 カリの段差に擦られるGスポット。それは掻痒感にも似た耐えがたい疼きを夜蘭にもたらし、絶頂と呼ぶには微かな性感をしかし異様に長引かせる。

 ピチャピチャと音を立てて、太いペニスでこじ開けられた膣口から愛液が零れる。そんな淫らな音は、どうしようもなく夜蘭の羞恥と屈辱を煽っていく。


「マンコびちゃびちゃに濡らしやがって。嫌がってるくせになぁ?

 わかってんだろ?自分がもう雌になってるって。後はもう膣奥突かれて、喘ぎながらイき狂う以外にないってこともよぉ」


 下種な言葉が鼓膜を揺らす。他ならぬ自分自身の内側から湧いて出ている筈の言葉が、最も望まない形で夜蘭の心を抉る。

 執拗にカリの段差で擦られて、Gスポットはぞわぞわと疼き続ける。子宮口がきゅっと収縮して、子宮そのものが降りてきている事が感覚で理解できてしまう。


「っ、ふ、ぅうぅぅぅ……っ!く、ひ、ぃぃぃっ!

 ぁ、あぁぁっ!や、や、ぁ、っ、そこ、ダメ……っ!ぁ、や、ふ、んぅぅっ!」


 ゆっくりと深く押しひしがれる子宮口。子宮までもを間接的に押し潰すようなペニスによる責めは、夜蘭の身体をゆっくりと反り上がらせる。

 弓なりに身体が反り、豊かな乳房がぶるりと勢いよく震え、男の指で摘ままれた乳首が痛みと性感をない交ぜにした感覚で一層強く疼きを高める。


 ぐじゅ、と膣奥で愛液が泡立つ音がして、そのままゆっくりとペニスが引かれる。

 焦らされに焦らされた身体は、絶頂の間際で留められたに等しい状態に至っている。そして夜蘭がそれを自覚してしまったことこそが、最悪の始まりだった。


「ふ、ぅ、うぁ……っ――――ぁ、かふっ!あぁあぁぁぁっ!」


 膣の半ばほどまでペニスが引かれ、そこから不意打ちのように勢いよく最奥が穿たれる。

 息を詰まらせるほどの一突き。しかしそんな感覚に浸ることすらも許さないように、そこから更に乱雑なピストンが連続する。


「んっ!あ、ぁ、あぁっ!や、やめっ!は、ぁうっ!んんぅっ!」


 肉と肉がぶつかり合う音。鎖が哀れましく鳴る音。

 慣れた調子の貪るようなピストンは、夜蘭という女が必死で思い出さないようにしていた肉の快楽を容易くこじ開け、その身と心を慰み者へと貶めていく。


 ペニスが膣奥を勢い強く穿つたびに、愛液や潮の飛沫が少量ずつ噴出して、汗ばみつつ僅かに痙攣する太ももを伝い落ちていく。

 床に点々と散った愛液は段々と水溜りのように量を増し、脚に纏わりつくぬるりとした感触すらもが、夜蘭を陵辱という夢うつつの中に縛り付けてしまっていた。


「どうした?耐えるんじゃなかったのか?

 随分と乱れるじゃないか?ええ?ほら、頑張れよ密偵さんよぉ!」


「んぅぅっ!ぁ、や、だめっ!そ、そこだめっ!あぁぁいやっ!

 や、や、や、ぁ、だめだめだめっっ、あぁぁっ!お、奥、や、いやっ!いやぁっ!」


 完全に降り切ってしまった子宮を跳ねさせるように、男のピストンはどこまでも乱雑かつ拙速に夜蘭の子宮口を突き穿つ。

 こじ開けるように何度も何度も脆い場所を突かれ、口から零れる声は淫らに染まり切って、常の冷静さは既に残されてもいない。


 両胸を強く掴まれ、屹立しきった乳首を扱き上げられて、背後から貫き穿つようなピストンに晒されて、夜蘭は喘ぎ続けるしかない。

 今この場が夢であるのか現実であるのかなど、もうすでに関係はない。襲い掛かる性感は、夜蘭の中からあるべき判断力すら既に喪失させている。


「や、や、ぁ、ぁぐっ!は、ぁあぁぁっ!んぁっ!は、あぁんっ!

 や、や、だめっ!だめっ!ぁ、あぁぁだめ、イくっ!や、や、あぁぁっ!」


「”あの時”と同じだなぁ?子宮口突かれるだけで馬鹿みてぇにヨがってよ!

 ほら、ここ好きなんだろ?おら、おら、イけよ密偵さんよ!無様に潮噴いてイっちまえ!」


 記憶をなぞりつつ、下劣な言葉が背後から浴びせかけられる。

 忘れたい感覚。拒否したい感覚。けれど本能を揺さぶるその感覚にこの状況で抗う事など、いくら夜蘭であろうとも出来るわけもなかった。


「っあ、ぁ、あ、ひ……っっ!!」


 子宮口に強く強く、折り切ってしまった子宮を穿ち抜くような強さで滾り狂った亀頭が押し付けられ、同時に乳首の根元に軽く爪が立てられる。

 そしてそのまま、乳首の根元と子宮口が微弱に数度震わせられ、そこから更に勢いよく子宮口が刺激されたのが、最後の引き金だった。


「っひ、ぁ、あ、あぁぁっ!やっ!やっ―――――!!

 う、うぁっ!ぁ、あぁぁだめだめだめや、や、やぁあぁああぁぁぁっっ!!!」


 心臓が跳ね、身体が痙攣し、膣肉がきゅっと収縮してペニスを締め付ける。

 憶えたくもないのに覚え込まされてしまった女としての限界。そしてそれに付随するように、刻み込まれた屈服の証が夜蘭の口から迸る。


「あ、あ、ぁ、あぁぁイくっ!!や、や、だめっ!イ、イくっ!イきますっっ!!

 ぁ、うぁぁだめだめだめいやっ!ぁあぁぁいや、イくぅぅううううぅぅぅうぅぅぅっ!!」


 絶頂の自己申告。自分の身体が快楽に屈したことを自分の口で明らかにする行為。

 かつての陵辱の中で精神に深く刻み込まれてしまった行為と共に、夜蘭は大きく身体を反り上がらせて、深い絶頂へと心身を押しやられた。


 勢いよく噴出する潮。細かく痙攣する身体。凛とした目は涙で蕩け、白い肌は羞恥と屈辱で汗ばみながら紅潮する。

 膣奥に流れ込む精液――――錯覚でしかないその感覚すら今の夜蘭にはどこか遠く、彼女はただ屈辱の追想の中で、せめて意識を保つことしかできない。


「ぁ、う、うぁぁ…………!ぁ、ぁ、うぅ………!」


 だがそれでも――――どれだけ屈辱的だろうと、数日を耐えきれば終わるはずだ。

 だからこそ夜蘭は快楽に蝕まれた意識を奮い立たせて、ここからさらに続くだろう陵辱に耐えきらんと覚悟を決める。


 だが、それはそもそも致命的な失策だった。

 いつもの彼女であれば現状から気づくことも容易かっただろう、どうしようもない陥穽に、今の彼女は気づくこともできない。


 そしてそのまま、かつての記憶をなぞるように二度目のピストンが始まる。

 絶頂したばかりで敏感になっている子宮口を執拗に突き抉られて、夜蘭はこみ上げてくる喘ぎを責めて必死に押し隠そうと、痙攣する身体に力を込めた。


「は、ぁ、はぁ……っ、うぐっ!!

 ふ、んんぅっ!ぁ、あ、ぁ、あぁっ!っっ、く、うぅ~~~~っ!!」


 だがこの場で行われる陵辱は、夜蘭が最も嫌がる方法で行われる。

 つまり転じて言うならば、”夜蘭が望むことは、この場では絶対に起こり得ない”。


「んぁっ!う、んぅぅっ!は、ぁうっ!あぁぁっ!

 た、耐え……っ!んぅっ!は、ぁうっ!ぁ、あ、ぁ、や、やぁあぁぁっ!!」


 一日を耐え、二日を耐え、三日を耐える。

 その間に何度も何度も絶頂させられて、抵抗するだけの力を失えば拘束すらも解かれて、貪るように身体の全てを弄ばれ、犯され続ける。


 数日。数週間。数か月。感覚としてわかるほどに異様な時間が陵辱の中で過ぎていく。

 そうして段々と異常事態に気づいても、しかし夜蘭は”解放”という希望に縋ることをやめられず、だからこそ彼女はいつまで耐え続けようとも”解放”はされない。


 求めるからこそ与えられず、夜蘭はただ自らの過去によって嬲られ続ける。

 幾日も、幾日も、幾日も、幾日も。どれだけ耐えようと試みても、夜蘭は死ぬことも壊れることもできぬまま、ただ絶望に塞がれた希望に縋り続けてしまう。


「んぅっ!ぁ、はぁ……っあ、まだ、ぁ、まだ、なの……!?

 も、もう、終わって、終わって……っ!っ、く、ひぃっ!?ぁ、あぁぁっ!」


 騎乗位で下から膣奥を穿たれて、夜蘭は汗にまみれた身体を跳ねさせる。

 既に意識は朦朧として、心に刻み込まれた希望すら形骸化していて、けれど僅かな希望を捨てきれていないから解放は与えられない。


 光のない巨淵の奥底。そこに鎮座する扉の奥に、夜蘭は永久に留め置かれ続ける。

 彼女の末路を知るものは無く、永久に開くことのない扉は内側の地獄を晒すこともなく、ただその場にあり続けるだけだった。


≪了≫



お読みいただきありがとうございました!


次回は6月26日に更新予定。

内容は『FGO』より、「クリームヒルトの生前if。ジークフリートの仇の一人に側女として犯される話」を予定しています。

ちょっとだけ今まであまり書いてこなかった感じの作品になってるので、楽しみにお待ちいただければ幸いです!


それでは次回もよろしくお願い致します!

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