48-5.対決 狼VS朝陽(Showdown Rou VS Asahi) (Pixiv Fanbox)
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ジム生徒の皆さん、こんにちは。
狼と朝陽の闘いもとうとう最終回となりました。
ダメージの蓄積で、ダウン寸前ながらも闘うことを選び続ける朝陽。
それに対し、容赦のない追撃を行う狼。
本気でぶつかり合う二人は、クロスカウンターを浴びせあう…と、ここまでが前回までの流れです。
それでは、2人の闘いの結末を括目してご覧ください!
どうぞ!
1.容赦のない攻撃!(Relentless attack!)
クロスカウンターが決まり、お互いが強烈なパンチを浴びる。
力みながらパンチを打ったせいで体勢を崩した朝陽に対し、狼はすぐにバランスを立て直す。
狼は朝陽との距離を詰め、重心を低くし、強烈なパンチの連打を朝陽に向かって打ち込み、ガードの姿勢が取れない朝陽は、やばい!と頭で思っていながらも、狼の的確なパンチを何度ももろに浴びてしまい「うっ、ごっ、ああっ!」と、悲痛な声を上げ、そして耐え切れずにダウンする。
だが、朝陽は再び立ち上がり、ファイティングポーズを構える。
足の震えを隠しきれず、腕を上げるのがやっとの朝陽。
そんな朝陽に狼は一切手を抜かず、圧倒的な攻撃の手数で責め続ける。朝陽は、必死で狼の攻撃をガードしながらも、リングサイドまで押し切られる。
そして、そのままボディに連打を浴び「あっ、ぐあっ、ああっ、あああっ!」と先ほどよりも苦しさを隠しきれない声を上げる朝陽は、力を失うように膝から崩れ落ち、再びダウンする。
口からよだれをたらしながらもロープにつかまり立ちあがる朝陽に、涼しげな表情の狼の眉間に、皺がよる。
そして「まだ立ち上がるのか、朝陽」とつぶやく。
再びゴングが鳴ると、狼は容赦ない連打を朝陽に浴びせ続け、朝陽はガードしながら懸命に耐える。
すでに死に体の状態なのに、朝陽の瞳が死んでいないことに気が付いた狼。
もう朝陽に勝ち目はないと勝利を確信した狼は、得意のコンビネーションで朝陽にとどめを刺すことに決める。
ミドルキックの体勢、と見せかけるフェイントから、姿勢を変えず朝陽の顔面めがけてフックを打ち込む狼。
「待っていたぞ、狼!」
朝陽は、狼の“キックのフェイントからのフック”のパターンは、後半にとどめを刺そうとする狼の出だしのパターンだと分析済みだったため、狼のフックをガードし、続けて強烈なストレートパンチを狼の顔面ど真ん中に打ち込んだ。
しかし朝陽のストレートを余裕でかわした狼は、前傾姿勢の朝陽のがら空きのみぞおちめがけて、ボディアッパーを打ち込む。
「ぐおっ…!」
目を見開き悲痛な声を漏らしながら、朝陽は体を丸め、そして狼を見上げると、余裕の表情で自分を見下ろしている事に気が付く。
「俺がピンチの時の行動パターンも、朝陽はちゃんと把握してるんだもんな」と狼は言った。
「くそっ、だからさっきのフックが軽かったのか!」
朝陽は狼の動きを読んでいたことで、逆に狼に読まれボディアッパーを喰らったことに気がつく。
朝陽はボディの痛みを庇うように体を丸めながら、必死で狼への次の攻撃を考える。
「そろそろとどめを刺してやるぜ、朝陽!」
「まだ、まだだ!」
朝陽は渾身の力を振り絞り、狼に向かってパンチの連打を浴びせる。
しかし、朝陽のパンチはすべて交わされ、右手が伸びきったタイミングで、がら空きになった右わき腹に向かって、渾身のレバーブローを打ち込む。
「ぐおっ!!」
朝陽の足が止まる。
「がっ…あっ、ああっ、ぐああっ…」
痛すぎて、息が、吸えない…!
やばい、意識が、飛ぶ…。
まだオレ、負けたくないのに…!
そう思いながらも、痛みをこらえ、朝陽の腕は静かに下がる。
「これで終わりだ、喰らえ!」
ふらついてノーガードの朝陽の顎へ、狼は素早いフックを打ち込む。
「ごっ…!」
続けて強烈なアッパーを朝陽の顎をぶち込んだ。
「がっ…はっ!」
朝陽の足は地面から浮きあがり、体の力を弛緩させながらゆっくりと頭をのけぞらせると、まるで人形のように、そのまま地面にバウンドしながら激しい音を立ててダウンする。
レバーブローを打ち込まれた脇腹を縮めながらうめき声を漏らし失神しかける朝陽。
3ダウンした朝陽はそのままKO負けが確定した。
ゴングが鳴り、狼の勝利が確定する。
はあ、はあ、はあ…。
荒い呼吸で気絶している朝陽を見下ろす狼。
そして今回の闘いが、決して楽なものではなかったことを実感する。
「いい試合をありがとう、朝陽」
そして、救護班によって介助され、意識を取り戻した朝陽は、狼と抱き合う。
悔しさに涙が出そうだったが、狼のまっすぐな瞳を見て、朝陽は悔しさをこらえ、狼を強く抱きしめる。
2.文字なしバージョン(no text version)
●怪我なしバージョン
3.あとがき(Postscript)
ジムメンバーの皆さん、二人の闘いはいかがでしたでしょうか。
ジムの中では圧倒的に強い狼、けれど朝陽はかなりいいところまで闘うことができました。
いつもは難でも無難にこなせる余裕顔の多い朝陽の、珍しく必死な様子を見ていただくこととなりました。
この闘いのために、朝陽は狼のことをめちゃくちゃ研究し、狼は自分のペースで淡々と練習をこなしてきました。
2人は同じジムの仲間同士ですが、仲間同士で拳をぶつけ合う葛藤を乗り越えて、また強さを備えることができたのではないかなと思います。
それにしても今回は、小説っぽくすると細かい描写が入ってしまい話が長くなるため、簡単な展開を書くことにしようとしたのです。が!結局。半端に文章が長くなってしまったようにも思いました。だったら、きちんと小説として書けばよかったかな、っていう後悔というか、反省をしました。
とはいえ、年内中にジムメンバー同士の対決が描きたかったので、それが実行できてよかったです。
さあ、今回で今年最後の更新となります。
来年はよりジムメンバーの皆さんにとって楽しめるようなジムにしていけるよう頑張りたいです。
それでは皆さん、来年もシーサイドジムは年中通常営業をしておりますので、良かったらまた遊びに来てくださいね!
良いお年をお過ごしください。
それじゃあ、バイバイ!