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ジム生徒の皆さん、こんにちは。


第二ラウンドに入り狼の猛攻を受けた朝陽はとうとうダウンしてしまいました!

喰らったボディブローの痛みに意識が朦朧とする朝陽。

大どんでん返しが続く試合の続きを、どうぞご覧ください!


1.クロスカウンター(cross counter)

強烈なボディブローを受け、口からよだれを流しながらキャンバスに倒れ、うめき声をあげる朝陽。

無情にもカウントが数えられるが、朝陽はすぐに立ち上がることができなかった。


しかし、朦朧とした意識のなか、9カウント目で朝陽はゆっくりと立ち上がる。

そして、狼を見据えて静かにファイティングポーズをとった。

そのため、第2ラウンドの残り時間はあとわずかな中、試合は再開される。


再び、手加減のない狼の猛烈な攻めが繰り出される。

狼は得意のステップで左右に機敏に移動しながら死角からの痛烈なパンチを繰り出していった。

そんな中朝陽は、少しずつ後退しながらも、冷静に狼の攻撃を適度にさばききり、第2ラウンドは終了となる。


インターバルに入り、脱力するように椅子に座る朝陽。

3ラウンド目に明確な打撃を決められなければ、そこで試合は終了となる。

そうなると、明らかに有効打の多い狼の勝利が確定するだろう。


攻めなければならないところで、後ろに下がり続けた自分のマインドを朝陽は後悔する。

そして、今度は絶対に弱気になって後ろに下がらないとグローブを握りながら固く決心する。


第3ラウンドが開始されると、第2ラウンドと変わらない狼の激しい猛攻が始まる。

本来は適当に朝陽をあしらっていれば勝てる有利な状況にもかかわらず、狼は戦意をむき出しに、ステップを踏みながら機敏なパンチを繰り出す。


このままじゃ負ける。

朝陽は失意の念を抱きながらも普段の狼の闘い方と違うことに違和感を覚える。


そして、試合開始時に狼が「本気で相手をぶっ倒すつもりでやろうぜ」と言ったセリフを、朝陽は思い出す。

「あれって、有効打を稼ぎながら勝つための闘いをするのではなく、本気の力を出し合った闘いをしたいという意味だったのか?狼」


本来高校生ボクシングでは、打撃の威力やKOにこだわるのではなく、有効打で勝敗を決めるのが一般的だ。


しかし、狼は朝陽との闘いに対し、有効打を稼ぐための闘いではなく「お互いの本気をぶつけ合うような」闘いを望んでいることが狼の鋭く冷静な瞳から見て取れた。


そう思った瞬間、朝陽の弱気になっていた心に灯がともる。


インターバル中にダメージを回復しきれなかった朝陽だったが、ふるえる足に力を込めて、狼を倒すために姿勢を低くしガードからの反撃を狙う。


そして狼のパンチ主体の攻めに対しても、後ろに下がらず、避けることもせず、冷静にガード、そのままフックで殴り返す。


けれど朝陽は足に力が入らず、狼に当たったパンチの弱さで、自分がもう闘う力があとわずかであることを自覚する。


「だからって、このまま負けるつもりなんてないぜ」と朝陽はつぶやく。

試合を投げ出すことはせず、狼の攻めに対し、後ろに下がることはしないと決めた朝陽は、再びどっしりと構えて、狼のパンチをカウンターで迎え撃つ。


「行くぜ、朝陽!」

「来いよ、狼!」




勢いよく踏込み、落ち着いた面持ちで朝陽の頬を狙う狼。

それに対して「うおおおお!」と渾身の力で声を振り絞る朝陽。

狼のパンチの隙間を縫うように、朝陽の拳は狼の頬を捉えた。



ドガッ!「ぐあっ!」


ゴガッ!「ぐおっ!」


お互いのパンチが激しく頬を打つ音が、会場内に響き渡る。


なんと、クロスカウンターでお互いが頬を打たれ、バランスを崩しのけぞる朝陽。

それに対し狼は、すぐに姿勢を立て直し、拳を振り上げる。




続く…



2.文字なしバージョン(no text version)



◆傷なしバージョン◆


3.あとがき(Postscript)

お互い力を出し合った後に、クロスカウンターが決まるという展開は、べったべたなベタ展開ですが、僕はベタが好きなので遠慮せずこの展開にさせてもらいました。


ちなみに2人の間には、本気で闘うことで生まれる信頼のようなものがこの闘いで芽生えています。


狼に勝てない朝陽は、狼が自分のことを格下だと思っているのではないかと内心思っていいたところがあって、けれどこの闘いで対戦相手である狼の妥協のない攻めから、朝陽は自分が敬意を払われていることに気付きます。


そして、自分を格下だと軽くあしらうような闘い方をしない狼に対し、その信頼に答えたいと、負けを認めない朝陽の気持ちが生まれました。


ってなことを今回の展開で描きたかった事でした。


あと、回を増すごとに、物語の言葉が増えてしまいました。


なので、この闘いの話全体に統一感を出すために、「狼と朝陽の対決」の1話から前回までの文章を軽く書き直してみました。


さてさて、次回は完結編となります。

狼と朝陽のどちらかが勝ち、どちらかがKO負けとなるでしょう。

激しい闘いの結末をどうぞご覧ください!


それではまた続きは、試合会場で会いましょう。

バイバイ!

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Comments

ミケ空

クロスカウンター!いいですよねえ、試合がますます熱く!続きを楽しみにしてます!

seaside

ありがとうございます! 次回で最終回、頑張りますね!

Kaze

この状況によると、朝陽は狼にK.O.されそうです。👊 朝陽君、良く頑張りましたね! 😭(最後まであきらめない覚悟に感動しました 👏 狼はクロスカウンターの後、攻撃態勢を再開している。 バランスを崩し、狼の最後の一撃に備える朝陽君。 すげえ 楽しみです。 😁👍(アッパーカットで終わるのでしょうか? それとも強烈なボディブローとなるのか。) ❤️

daipin

個人的に狼に勝ってほしいです。 すぐに体勢を立て直せたあたり、やっぱり狼の方が技量は僅かに上って感じですね。

seaside

確かに狼のほうが対応できる能力の差が出てきています!次回がラスト、どちらが勝利するのかをぜひ見に来てください!!

seaside

Kazeさん、多謝! 私は日本語でこの物語を書いています。それにも関わらず、あなたは細かい状況まで物語の展開を把握できています。 私の望む楽しみ方をあなたはしていてくれるので本当に嬉しいです。 彼らのカッコ良い戦いの終わり方を私は描けるように頑張ります!!

Kaze

本当に楽しみです。 🥰 頑張るときも健康に気をつけよう ❤️