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挿絵 らすP様


前編あらすじ


ルクリアとゴーデスの戦いの中で邂逅することとなったアンナとタケシ。


病気による死を待つしかなかったタケシはゴーデスの力を取り込むことによって延命し、それを止めることは彼の死を意味することを知ったアンナには迷いが生まれてしまう。


ルクリアの浄化の力をもってしてもタケシを救えない現実に悩むアンナの思いをよそに、ゴーデスによる力の支配を選んだタケシが立ちふさがる。


自身も思い入れのある怪獣であるゴモラのフィギュアと一体化して暴れるタケシを止めるため、ルクリアに変身するアンナ。


しかし、パワーアップしたタケシの力の前に、追い詰められてしまうのであった…




ゴモラの猛攻の前に圧倒されてしまうルクリア。


力なく倒れた正義の女神の頭をつかみ、捕えた獲物を誇示するかのように掲げるゴモラ。


ルクリアの頭部を守るヘッドギアが握りつぶすように力を入れられ、軋むような音を上げて危機を知らせる。


想像を絶する痛みに遠のきそうな意識を何とか保ちながら、ルクリアは一体化しているアンナへと声をかけた…


「アンナ…このままではやられてしまいます…」


ルクリアからの問いかけに、アンナは沈痛な表情でかぶりを振った。


「わかってる…でも、浄化にせよ倒すにせよ、今のタケシ君にどんな影響をもたらしてしまうのか…」


いまだタケシへの対応に答えを見いだせていないアンナの姿に、ルクリアは優しく語り掛ける。


「アンナ…今回のことはこの星にゴーデスを追い込むことになってしまった私の責任です。あなたやタケシが背負う咎はありません…でも、いま止めなければ、彼に破壊者としての罪を背負わせてしまうことになる…まずはそれを防ぐことを優先しましょう。」


互いに負い目を感じていることは、アンナもルクリアも同じ認識であった。


そのなかでも最善の選択肢を選ぶことを提案する…


それしか今のルクリアに出来ることは無かったのである。


「そう…だよね…タケシ君がもし道を間違えてしまうのなら…それを正して導くことが、先輩としての私の役目…」


アンナの脳裏には小学生の頃の縦割り学級の記憶がよみがえる。


最上級生として一番年下だったタケシを担当したアンナは、いろいろなことを一緒に経験してきた。


今では道を違ってしまったけれど、先輩としてきちんとタケシと向き合うことこそ、自分に課せられた使命であるとアンナは理解する。


「ごめんね、ルクリア…もうウジウジ悩むのはやめるわ。タケシ君が理解して納得してくれるまで、一緒に話して解決策を模索し続ける…私にできることはそれだけだもの!」


いまもカウンセラーの仕事で同じようにいろいろな子供たちの悩みを救ってきたアンナだからこそ、対話による解決を探していく…


タケシが暴力による力の行使を計るなら、それを止めるために力をふるうことに、今のアンナには迷いがなくなっていた。


「なめられたままじゃこっちの話なんて聞いてくれないよね…まずは大人しくしてもらうわ!」


力強い言葉に、アンナの心の整理がついたことを理解したルクリアは、改めて自らの力をアンナへと託す。


ゴモラに頭をつかまれて弛緩していたルクリアの目には、再び光が戻るのだった…




「もうおしまいですか?他愛もない…結局僕を救うなんて言ってもその程度なんですね…」


目の前で動かなくなったルクリアを見下ろし、少しでもアンナに何かを期待した自分の想いの甘さに舌打ちしたくなるタケシ。


「それはどうかしら!」


しかし、掴んだ頭の下からルクリアの生きた声が返ってきたことに、タケシは一瞬戸惑う。


「なにっ!?」


ルクリアの状態を凝視しようと自らの眼前までその身体を持ち上げたゴモラであったが、それこそルクリアのねらいであった。


「タイマーフラッシュ!」


強烈な光が当たりを照らし、その輝きにゴモラはとっさに手を放してしまう。


「ぐあああ!目がぁっ…」


目を抑えて悶絶するゴモラから解放されたルクリアも、ダメージで膝をつく。


「はぁ…はぁ…その怪獣は地中を縄張りにしているって、私に教えてくれたのタケシ君だったでしょう?暗い地底暮らしなら光には弱そうかなって…当たっていたみたいで何よりだったわ…」


状況を確認しようと顔を近づけたのが仇になったのか、想定以上のダメージを負ってゴモラはのたうち回っていた。


「子供のころを少しは覚えていてくれたみたいで何よりだよ…ならこいつの一番の武器も知っているだろう!」


目が見えなくなっていたゴモラは、そのまま自らの乱暴に尾を振り回してルクリアを渦中へと巻き込んでいく。


鞭のようにしなる尾は、鞭打の嵐となって獲物を捕らえようと暴れまわった。


「ぐっ…あっ…うああっ…」


激しい尾の連続攻撃に、ルクリアはなす術なく後退を余儀なくされてしまった。


「もう少し…あの攻撃に耐えられるパワーが私にあれば…」


猛攻の中でもルクリアとアンナの瞳には強い光が宿る。


そしてそれは、新たな力を彼女たちから引き出すこととなった。


アンナの腕のリングがまばゆく輝き、それは『彼女たち』の力が宿ったことを二人に理解させる。


「今ならこの力を使いこなせるはず…ミックスアップ!アルティマレディ・ティオ!」


以前、タイラントが様々な次元を超えてアルティマレディたちを蹂躙し、この星を攻めてきたことがあった。


その時に倒されたアルティマレディたちの攻撃が力としてタイラントの中に蓄積され、それを利用することでルクリアは何とか勝利をつかむことができたのである。


そしてその時、アンナに装着されていたアルティマリングへと、アルティマレディたちの力は吸収されていた。


しかし、アンナとルクリアはそのことに気づいていなかったため、まだ彼女たちの力が使えることには気づいていなかった。


力が花開くきっかけになったのは先日のクインモネラ戦…


あの時、アンナたちの世界ではフィクションであったはずの『アルティマレディ・ティオ』と実際にタイラントと戦った別の次元の『アルティマレディ・ティオ』の力がリンクし、アンナの中で目覚めていたのだった。


「このアルティマレディには力に特化したタイプがあるはず…チェンジ!パワータイプ!」


アンナが高らかに叫んだ瞬間と、ゴモラの渾身の一撃が尻尾から放たれたのはほぼ同時…

バチィ!

「手ごたえあり!やったか!?」


タケシが勝利を確信したその瞬間、ルクリアを叩いたはずの尻尾がびくともしなくなる。


「な、なにっ!?」


次の瞬間、尻尾の鞭撃が起こした土煙が晴れた中から現れたのは、深紅のビキニスーツに包まれた新たなルクリアの姿であった。


「でやぁっ!」


掴んだ尻尾を引き寄せて打撃を加えるルクリアの前に、ゴモラの動きが目に見えて鈍っていく。


「ゲハッ…」


ズゥウウン…


ダメージに耐えきれず、大地に倒れ伏したゴモラをリフトアップするルクリア。


「さぁ…ゆっくり話しましょう!タケシ君…」


今回もルクリアの逆転勝利で終わるのか…


このまま負けて終わってなるものか…


なんとか態勢を整えようとするタケシの耳に、ゴーデスの声が聞こえてきたのはその時だった。


「遊びはそこまでじゃ!すぐに逃げろ!」


今までで一番焦ったような声を出すゴーデスに、タケシは驚いた。


「今それどころじゃ…別に今野先輩だって僕をすぐに殺しはしない…」


なにを取り乱しているのか…そう考えたタケシの返答に、ゴーデスはさらに重ねてまくしたてる。


「ばかもん!今だけはわしの言うことを聞け!むぅう…今回ばかりは賭けが最悪の方向に転んでしまったわい…」


タケシがゴーデスと言い争っている最中、ルクリアは別の反応に一瞬気を取られていた。


「これは…アルティマレディ?」


月の裏側…特異点を抜けて地球へ向かう光球を視認したルクリア。


一気にアルティマフィールド内に侵入したそれは美しい女性へと姿を変える。


「遅かったか…タケシ!そ奴はわしの…そしてお前の天敵…アルティマレディ・グレイスじゃ!」


グレイス…そう呼ばれたアルティマレディは静かにその視線をルクリアへと向けるのだった…


続く



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Comments

syonnai_hito

タケシ&ゴーデスコンビ風前の灯?に見えますが、ルクリア(アンナ)とグレイスのタケシに対する意見がどうかでまだ一波乱ありそう。 タケシ(ゴモラ)は正統派の攻めでしたが、エッチ方面に攻めなかったのと超振動波を使えばまた違う戦い方だった可能性も・・・。

ガチピン@ご支援感謝

タケシくんは正々堂々捩じ伏せたかったんでしょうね…きっと本当はエッチなのも好きなはずです! グレイスさんがどんなキャラなのかで運命が決まりそうです… 次回をお楽しみに!