アルティマミレーヌ「宇宙竜、ソフィを襲う!」 (Pixiv Fanbox)
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挿絵 kirihalla様
ミレーヌがキングジェイに蹂躙される少し前…
光の星では、ゴブリューDに巻き込まれたミレーヌのバイタルが危険域にあることが、彼女の母・アルティマソフィへと告げられる。
外交の使者として外遊の任についていたソフィは、帰国するなり娘の窮地を知らされることとなってしまう。
「そんな…ミレーヌが…すみません、報告を頼みます!」
同行していた別の皇族に外遊の後処理を頼むと、ソフィはそのまま光の星を飛び出していった。
ここまでの長距離移動でソフィのエネルギーはだいぶ消耗していたが、彼女はそれでも娘のために飛ぶのだった。
「ふぅ…後一回といったところかしら。」
地球へ向かうための亜空間ジャンプ…
それを繰り返したソフィは、だいぶ地球の近くまで迫っていた。
しかし、テレポートを乱発する移動方法は、消耗したソフィからさらにエネルギーを奪っていく。
「ミレーヌを回復させるエネルギーだけは取っておかないと…」
エナジータイマーはかろうじて青く光っていたが、ソフィは体感として自らのエネルギーが枯渇していくことを実感していた。
そんな時、ソフィの耳に僅かに音が響く。
「これは…救難信号?」
銀河連邦規格の救難信号が足元に広がる青い星から発せられていることに気づき、ソフィは一瞬逡巡する。
ミレーヌを優先し、周りの銀河守備隊の基地にアルティマサインを出して救難信号の対応を任せることもできる…
しかし、発信者が深刻な状況に陥っている可能性を考慮し、ソフィは母ではなく聖十字隊の一員として動くことを決意していた。
「ミレーヌごめんね…少しの間待っていて!」
そう言ってソフィは、救難信号の元へと飛ぶのだった…
その星は地球とよく似た星で、まだ知的生命体の確認がされていない天体であった。
ソフィが救難信号の発信源へ向かって飛ぶと、山間に不時着した宇宙船が目に入る。
「なんだか不思議な形ね…」
円形の宇宙船であったが、その中心には龍の顔の様な意匠が見て取れる。
大きさはソフィと同じくらい…ということは中の宇宙人は地球人と変わらないくらいの大きさか…
状況を分析しながらソフィは宇宙船へと近づく。
「こちらは銀河連邦・聖十字隊所属のアルティマソフィです…応答できますか?」
救難信号を知っていることから銀河連邦所属の星の舟とは想定していたが、宇宙船からの応答はなかった。
「どうしたものかしら…」
ソフィはこのまま、宇宙船を安全な銀河守備隊基地まで運んで対応を依頼すべきかと思案する。
次の瞬間、宇宙船の中心に鎮座した龍の顔の瞳がまばゆく光った。
バチバチッ!
考え事をしながら不用意に近づいてしまっていたソフィは、その光に目を焼かれて悶絶した。
「きゃああああっ!」
目を押さえて後ずさるソフィの前で、宇宙船はとぐろを巻いた蛇がその鎌首をもたげるかのように、龍の姿へとその形を変えていく。
「かかったな!アルティマソフィ!」
宇宙船からは謎の男の声が響いた。
機械仕掛けの宇宙竜・ナーガへと姿を変えた宇宙船は、素早くソフィにまとわりついて一気にその身体を締め上げていく。
「くぅ!な…何者です?!」
突如ナーガから発せられた男の声に驚くソフィ。
しかしその締め付けにより、一気に彼女は苦境に立たされる。
「俺のことなど気にしている場合かな…そのままでは体がバラバラになってしまうぞ!」
声の主の言う通り、すさまじい締め付けがソフィを襲う。
「かはっ…い…息が…」
肺の中の空気が押し出され、ソフィはえさを求める金魚のように口をパクパクとさせてしまっていた。
ピコンピコンピコン…
身体を襲う絞めつけのダメージで、エナジータイマーも悲鳴を上げるように赤く点滅しはじめた。
もともと無理な地球への急行で、ソフィのエネルギーは残り少なくなっていたのである。
「くくく…娘の窮地に駆け付けるはずが、このままでは共倒れだな!」
男の挑発にソフィは苦悶の表情で答える。
「それを知っているということは…あなたが今回の黒幕ね!」
ソフィの推理に、我が意を得たりと男は喜ぶ。
「話が早くて助かるよ、ソフィ…前にあった時もお前にはいい思いをさせてもらったことだし、今回も性奴隷としてかわいがってやるぞ、娘共々な!」
前にあったことがある…そのセリフに引っかかるものを感じたソフィであったが、もはやそれを考える余裕はなかった。
ナーガの巧みな絞め付けで胸部を圧迫されたソフィには、別の危機が迫っていたのである。
「だ…だめ…このままじゃあ…」
胸にはエネルギーの排出口として乳首が浮き出てしまい、彼女の限界が近いことを知らせていた。
「貴様たちの弱点などお見通しだ!ナーガ、絞めつけを強めろ!」
キロロロロ!
命令を受けて宇宙竜の更なる絞めつけがソフィを襲う。
「ああああっ!だめぇっ!」
ブシュウウウ!
圧迫に耐えられなかったソフィの胸から、エネルギーが母乳状に噴出して足元の大地を濡らしていった。
ピピピピピ…
エネルギーの更なる喪失に、エナジータイマーが点滅を速めていく。
「ぅ…あぁ…」
か細く喘ぐソフィ…
彼女にはもう反撃の力は残されていなかった。
「トドメだ!やれ!ナーガ!」
バチチチチッ!
ナーガが発光すると、そのボディから放たれた電撃がソフィを焼いていく。
「やあああっ!うぁああっ!」
切れかけた意識を強引に呼び戻され、ソフィの絶叫が山並みにこだまする。
プス…プス…
電撃がおさまったその後には、タイマーと目から光の消えたソフィがぐったりとナーガにもたれていた。
「ソフィもこの程度か…他愛もない…ミレーヌももうこちらに落ちたも同然だな。」
ゴブリューDの自爆攻撃に巻き込まれたミレーヌは虫の息のはず。
地球に向かうキングジェイの中で、謎の男・DDXは不敵に笑う。
親娘を手中に収めたならば、計画は次の段階へ…
彼の復讐はまだ始まったばかりであった…
続く