アルティマミレーヌ 中編 第1話「悪意の胎動」 (Pixiv Fanbox)
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挿絵 セロリー様 ※回想CO様
アルティマミレーヌが地球防衛任務について暫くの時が流れた…
そのころ、ミレーヌの故郷『光の星』では女王『アルティマユウリ』が定期的に行われる行事『祈りの時』に臨むことが発表されていた。
『祈りの時』…それは光の星の中心に鎮座する、ミレーヌ達アルティマの戦士たちを支える力の源『スパークルフラッシュ』の出力を調整する為、唯一接触することのできるユウリが一定期間、王宮内の隔絶された空間で祈りをささげる、というものであった。
光の星が建国されて以来、幾度となく実施されてきた行事であったが、その詳細は秘匿され、女王とその側近以外に内情を知る者はいなかった。
スパークルフラッシュからの啓示を受けたユウリが開催を告げると、粛々とその準備が進められていく。
光の星の住人にとってはそれが当たり前の事であり、そのことに疑問をさしはさむ者はいないのであった…
そして今回も開催が翌日に迫り、王宮内では女王不在時の対応が詰められていた。
そんな中、ユウリは『祈りの時』の真実を知る数少ない側近・アルティマネグルを呼び出す。
「準備で忙しい中ごめんなさい、あなただけに話しておきたいことがあって…」
アルティマネグルは光の星が建国されたころからユウリに仕える重鎮である。
ここしばらくは第三皇女であったアルティマソフィの後見人を務めていたが、『ガルデン大王事件』でソフィが皇位を剥奪されたのち、王宮の顧問としてユウリを助ける存在となっていた。
「いえいえ、最近はミレーヌさまも独り立ちされて、暇を持て余しておりました。なんなりとお申し付けください。」
ソフィの後見人を外れた後も、素性を隠してミレーヌやリオナを育てる役目を負っていたネグル。
その二人も晴れて銀河守備隊に入り、お役御免となったと思われたネグルであったが、生涯現役とばかりに王宮内での仕事に復帰していた。
長命な光の星の住人の中でもかなりの年齢の筈であったが、変わらず壮健な様子のネグルにユウリの顔もほころぶ。
「ふふっ…頼りにしていますよ。それで今回の『祈りの時』なのですが…」
それを聞いたネグルの顔が真剣な物へと変わる。
「やはり何か特殊な事情があるのですかな…」
かくいうネグルは『祈りの時』の正体を知っていた。
正確には、表立って発表されているスパークルフラッシュの調整ではない、ということを知らされている数少ない者であった。
『祈りの時』の本当の目的…
それはかつて光の星が上位存在『アンチスパークル』に侵略された際、その結果としてユウリに科せられた『罰』である。
本来なら星ごと消滅させられる事態であったが、上位存在の恩情により光の星は存在を許されることとなった。
その代償として、ユウリは上位存在の要求に応じ、『祈りの時』に応じなければならない…
何をさせられているかまでは知ることが出来なかったが、ネグルにはそれが良い事でないことぐらいは察しがついていた。
事情を察して聞きに徹してくれている側近の存在を嬉しく思い、ユウリは言葉を続ける。
「はい…今回の呼び出し自体はいつもの事なのですが…私の不在の間に、大きな危機がこの星に迫る可能性があります。」
いままでも『祈りの時』自体は一定間隔で行われていたが、その際は平穏な日々が続くことが常であった。
ユウリからそれを覆す発言が飛び出したことに、ネグルは驚いた様子を見せる。
「なんと…ユウリ様不在でなんとかできる事案ならよいのですが…」
ユウリはそんなネグルへ一つの指示を託し、微笑んだ。
「私の予想が正しければ、『彼女』が危機を救うカギとなるはずです。もしもの時はあなたが先導し、事態の対応にあたってください。」
一瞬なにかの冗談かと思ったネグルであったが、ユウリのこういった予言が外れることが少ない事も、共に過ごした時間の中で彼が感じる確信であった。
「承知致しました。ユウリ様もお気をつけて…」
「ええ…あとはよしなに…」
ネグルに後顧の憂いへの対応を託し、ユウリは『祈りの時』へと臨むのであった…
『祈りの時』のために用意された部屋へと入るユウリ。
しかしこれは形式的な事でしかなく、部屋の中には別の空間に通じる異空間のゲートが発生していた。
もはや感情を無にした状態でゲートへと入っていくユウリ。
異空間を抜けた先には、一面見渡す限りの砂漠がひろがっていた。
「ここは…」
辺りを見回すユウリの前に、黒いガス溜まりが表れる。
「…アンチスパークル…」
苦々しい表情でガスを見上げるユウリの下腹部に、淡く淫紋が浮き出てしまう。
「あぅ…いきなり…ん…」
頬を赤らめて目を伏せるユウリの頭上から、この空間を支配する存在の声が響く。
「随分と不遜な目つきではないか…立場はわかっているのか、アルティマユウリ…」
この声の主こそ、かつてユウリを完膚なきまでに敗北させた上位存在『アンチスパークル』であった。
『祈りの時』とは、このアンチスパークルにユウリがその身を捧げることで、光の星の存続をお目溢ししてもらうための隷属行為であった。
せめてもの情けとして儀式の体をとり、光の星の住民にはこの事実が隠匿されていたのである。
「…っ…申し訳ありません…」
叱責に望まぬ頭を垂れるユウリ。
「キシャアッ!」
次の瞬間、周りの砂中から数匹の爬虫人類が飛び出す。
いきなり周りを囲まれたユウリは困惑の表情をアンチスパークルに向ける。
「これは…バンデル人?そんなはずは…」
「私たちが滅ぼしたはず…か?」
先回りする様なアンチスパークルの言葉に、ユウリは表情を曇らせる。
バンデル人と光の星はその昔ぶつかり合い、結果として光の星が勝利する。
その時の軍司令官により後腐れがない様、バンデル人は滅ぼされた…とユウリは後に報告を受けていた。
それを聞いた際はやりすぎでは…と思ったユウリであったが、バンデル人が他星に行った蛮行を耳にし、致し方ないと納得していたのである。
「こやつらは、その時奇跡的に生き残った最後のバンデル人。お前たちに復讐したいと懇願されてな…」
今回の呼び出しの趣旨を理解したユウリは、ため息をつきながら持っていた杖をトス…と砂に立てた。
「あの時の軍の暴走を諌められなかった私にも、責を負う理由があります。抵抗はしません…気のすむ様になさい。」
伏し目がちに告げるユウリを、バンデル人達はよだれを垂らしながら取り囲む。
ガブゥ!
「ああっ…くぁ…うぅ…」
背後に回った一匹がユウリの肩口に噛みつき、女王は苦悶の声を上げる。
「高貴な女王様直々のお許しだ…せいぜい楽しませてもらえ…時にユウリ…これはまだ余興に過ぎぬのだぞ。」
アンチスパークルの思いがけない言葉に痛みに耐えながらも顔を上げるユウリ。
「はぁん…ぁ…どういう…意味です?」
「貴様…余に隠し事があるな…」
いきなりの問いかけに、目を見開くユウリ。
「なんの…ことです…」
息も絶え絶えに聞き返すユウリの目の前に、ホログラムの記録映像が展開される。
そこには先日の戦いで『エンプレスモード』に変身を遂げた、アルティマミレーヌの姿があった。
「これは…待ってください!」
焦るユウリとは裏腹に、アンチスパークルの声が淡々と続く。
「つれないではないか…今までお前をこの戒めから解いてやろうと、様々な種族と交配させてやったというのに…まさか自らの直系から種が芽吹いたことを余に隠すとは…」
光の星の命の源『スパークルフラッシュ』は現在ユウリ以外には制御ができない状態にある。
その後継者を産ませるため、多数の可能性に賭けて交配をさせる…という名目で悪趣味な怪獣とユウリとのセックスを愉しむ。
それがアンチスパークルの科したユウリへの罰であった。
しかし、同じ種族の中から、女王の力を行使するためのテストモード『エンプレスモード』を取得するものが出たのである。
ユウリはミレーヌにわずかな希望をかけていた。
それゆえにアンチスパークルにはその存在を告げていなかったのである。
「お願いです!彼女はまだ若い…酷なことはしないで!」
ユウリの哀願に対し、アンチスパークルの口をついて出た言葉は、非常に冷徹なものであった。
「そうはいかぬ…隠していたお前にも相応の罰を与えねば…これよりバンデル人の長・巨獣酋長フェザニモンに我が力の一端を授け、光の星を攻めさせる。この女…アルティマミレーヌにも苦難を与えてやろう。貴様はここからその一部始終を見守ることしか許さん!」
自分抜きで光の星を守り抜けるとは思えない…
それを感じ取ったユウリの顔が絶望に染まる。
もはや肩の痛み以上のショックを受け、ユウリは背後のバンデル人へと身体を預けてしまった。
「そ、そんな…」
するとアンチスパークルの真横の空間にヒビが入り、次元の切れ目から一体の怪獣が姿を現す。
他のバンデル人とは一線を画す巨躯を誇り、頭と尾の先はカラフルな羽で彩られたその姿は、明らかに他の個体とは違う様相であった。
「来たな、フェザニモン…そこで呆けているのが貴様の仇敵、アルティマユウリだ。好きにしても良いのだぞ…」
フンと一瞥をくれた後、興味ないとばかりに踵を返すフェザニモン。
「グゥアアアア!」
残ったバンデル人たちに「お前たちの好きにしろ」と咆哮する。
舌舐めずりをする部下たちの様子を満足そうに眺め、ガス状のアンチスパークルと共に、フェザニモンは再度開いた次元の切れ目へと入っていった。
「良いな、ユウリ…お前はここで一部始終を見守るのだ!そのバンデル人たちに犯されながら、自らの星が蹂躙されるのを指を咥えて見ているが良い!」
アンチスパークルの声が空間に響き、ユウリはショックで動けずにいた。
ピコンピコンピコン…
有利の心情を反映したかのように、胸のエナジータイマーが点滅を始める。
「グォオオ!」
背後のバンデル人は再びユウリの肩口に噛みつき、その手で胸を弄り出した。
「ぁあっ…おやめなさい…っん…やぁ…」
発動している淫紋のせいで、すぐに身体が熱くなるユウリ。
薄ピンクの乳首が現れ、すぐにその先端を固くしてしまう。
伸ばした舌で乳首を刺激し、大きく屹立した肉棒を太股へと擦り付ける。
本来なら厭悪すべきオスの香りを身体に刻まれるたびに、ユウリの身体はいやらしく震えるのだった。
「あぅ…やっ…そんなとこ…なめては…ぁ…だめっ…!」
軽く絶頂に達してしまったユウリを地面へと放り出し、距離を詰めるバンデル人。
犯される…と思った次の瞬間、予想外の衝撃がユウリの身体を襲った。
バチィ!ビシィ!
周りをとりかこんだバンデル人たちの尻尾が、何発もユウリの肢体を打ち据える。
「ああっ!ぐぁっ…はぐぅ…へぁあ!」
身体の芯を打ち抜くような衝撃の嵐に、ユウリの口からも激しい悲鳴が上がった。
バンデル人たちにとって、ユウリは民族を滅ぼした敵対勢力の長である。
家族を殺され恨み骨髄なものも多く、その復讐相手を目の前に置かれた彼らにとって、犯し、嬲り、骨肉を喰らってもその恨みは晴れるものではなかった。
その怒りをひしひしと感じ、ユウリの目には絶望の帷が降りていく。
「オマエ…カラモ…スベテ…ウバッテヤルゾ…」
かつては言葉も通じず、意思の疎通も出来なかったものから発せられる、恨みの言葉…
これから訪れる陵辱の宴と、愛するものたちの危機を前に、ユウリの心は折れかけていた。
「みんな…ごめんなさい…何が女王よ…無力な私を許して…」
弱りきった極上の獲物を前にして、バンデル人たちは雄叫びを上げる。
死ぬことも許されない異空間の中で、ユウリの試練はまだ始まったばかりであった…
第2話「ミレーヌを倒せ!悪夢の波状攻撃」へ続く…