アルティマミレーヌ 「大蟹凶獣の呪い」 (Pixiv Fanbox)
Content
挿絵 鬼レモン様
瀬戸内海で海難事故が相次ぎ、防衛隊はその調査に赴いていた。
地上で捜査に当たっていたアルティマミレーヌの地球での姿・卯月メイ隊員は、一人の少年の噂を聞く。
その少年は父親を海難事故で失い、身寄りをなくしていた。
いつも海岸を眺めては耳に巻貝を当て、父親の声がすると周りに訴える少年。
父親を喪ったショックでおかしくなってしまったのだろう…
周りの大人たちは少年と距離を取り始め、少年はやがて孤立を深めていく。
今となっては腫れ物のように扱われているということだった。
そのうわさが気になったメイ隊員は、浜で貝を耳に項垂れる少年・フトシを発見し、近づいていった…
「ね、何が聞こえるの?」
優しくフトシに話しかけるメイ隊員。
フトシはいきなり現れた美女にドギマギしながらも、ゆっくりと話を切り出した。
「誰も信じてくれないけど…これを聞いてると死んだお父ちゃんの声が聞こえるんだ…フトシ、逃げろ…カニが襲ってくるって…街のみんなにも話したけど…父ちゃんが死んでおかしくなったんだろうって聞いてくれなくて…グスッ…」
話を聞いてもらえて安堵したのか泣き出すフトシ。
メイ隊員はその頭を優しく撫でながら、フトシを元気づけた。
「そのお話、私が防衛隊とアルティマミレーヌに教えてあげる。きっとフトシくんの街を守って見せるわ!」
そんな時、2人の目の前の海が俄に泡立ち、大蟹凶獣・グランドクラブが姿を表した。
「うわぁっ!カニの怪獣だ!父ちゃんが言ってた事は本当だったんだ!」
フトシはあわてふためいて腰を抜かしてしまう。
メイ隊員は腰からスーパーガンを抜くと、避難しようとする周りの男たちに声をかけた。
「この子のことをお願いします!フトシくん、お父さんの仇、取ってくるわね!」
そう言って駆け出すメイ隊員を、男たちに手を引かれたフトシは心配そうに見送るのだった…
浜へと迫るグランドクラブの前で、眩い光が明滅する。
次の瞬間、グランドクラブの眼前に正義の女神・アルティマミレーヌが立ち塞がった。
「近海の海難事故の原因はあなたね…悪さも今日ここまでにしてもらいます!」
グランドクラブは目の前の邪魔者へ敵意を剥き出しにする。
「キシャアアアアアッ!」
長い尾を揺らしながらミレーヌへ突っ込んでくるグランドクラブ。
「素直な動き…そんな攻撃はくらわないわ!」
ミレーヌはすっと身体の向きをずらすと、一直線に向かってくるグランドクラブの勢いを利用して投げ飛ばす。
自らの突進力を利用され、グランドクラブは砂浜へその首を突っ込んでしまう。
「グアア…」
身動きできないグランドクラブの背に馬乗りになったミレーヌは、その後頭部へ打撃を加えていく。
「セヤッ!タァアッ!」
ミレーヌの打撃が入る度に浮き上がっていたグランドクラブの尾が、その反動を利用して跳ね上がる。
次の瞬間、ミレーヌの身体にその尾が巻き付き、凄まじい力で締め上げていった。
ギリギリギリギリ…
「あぅ…かはっ…く、くる…しい…」
身体中を強烈に圧迫され、肺から息が押し出されていく。
窒息したミレーヌの視界が歪んでいった。
ピコンピコンピコン…
エナジータイマーも点滅を始め、ミレーヌの消耗を知らせていた。
「あぁ…意識が…もう…」
巻きつく尾を外そうともがいていたミレーヌの腕が力無く下がる。
対象が弱ったことを確認したグランドクラブが尾の戒めを解くと、ミレーヌはそのまま砂浜に倒れ込んだ。
「はぁ…はぁ…何のつもり?」
トドメを刺さず解放されたことに、ミレーヌは疑問を抱く。
しかし次の瞬間、グランドクラブの口から毒液がミレーヌへ向けて放たれた。
ブシャアアア…
「あんっ!やっ…なにこれ…身体が痺れる…」
身体中に浴びせかけられた毒液が肌からミレーヌの皮膚へ浸透する。
毒液の付着した部分が痺れ、いうことを聞かなくなってしまい、焦りの色を隠せなくなってしまうミレーヌ。
「あぅ…くっ…はぁん…」
エネルギーの消耗でミレーヌの胸には乳首が浮かび、呼吸が荒くなる。
ヒュン…ヒュン…
グランドクラブは尻尾を振り、ミレーヌの股間へその先端の照準を合わせていく。
「いや…まさか…」
ズブゥッ…
次の瞬間、尻尾の先端がミレーヌの秘所に差し込まれた。
「あああっ!」
ブシュッ…ブシュッ…
卵管の役割を持つ先端を前後に動かし、ミレーヌを陵辱するグランドクラブ。
「あっ…うぅ…はあん…ぁん…へぁ…」
ミレーヌの口からは甘い声が漏れ出し、動かない身体でグランドクラブの尾を受け入れてしまう。
ドクッ…ドクッ…
卵管から大量の卵が排出され、ミレーヌに流し込まれていく。
「い、いやぁ…」
エナジータイマーは消えかかり、虚な目のミレーヌ。
グランドクラブは満足そうに尾を引き抜いていく。
「キシャアアアアアッ!」
凶獣が勝利を確信したその時、その眼前を一瞬の閃光が駆け抜けていった。
「グア?」
次の瞬間、グランドクラブの首が胴体から離れ地上へと落ちる。
「はぁ…はぁ…ティア…ラッガー…」
身体の自由を奪われていたミレーヌは、念導力で使用できる唯一の技・ティアラッガーでグランドクラブの隙をついたのだった。
しかし、ミレーヌもすでに限界を迎えていた。
タイマーは光を失い、ミレーヌの身体は光の粒子となって消えていく。
「はぁ…はぁ…フトシくん…仇はとったわ…」
ミレーヌの消えた砂浜にはグランドクラブの死体だけが残されるのであった…
避難警報が解除され、人々が街に戻っていく。
フトシは残された凶獣の死体を目にし、喜びに目を輝かせる。
「やった!きっとあのお姉ちゃんがあいつをやっつけてくれたんだ!」
父の仇を討ってくれた美女に思いを馳せるフトシの顔を、綺麗な夕焼けが照らし続けていた…
終