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挿絵 らすP様


アルティマレディ・シルフィー』が地球で鮮烈な(?)デビューを飾ってから数週間…

世の中は宇宙人との接触により、その支持派と反対派、そもそも信じていない陰謀論者たちの論争により、混乱の一途を辿っていた。

この人類が対立する状況こそが『ゴーデス』の狙いの一つであったが、彼のもう一つの予想通り、地球人による知的好奇心が正の感情も多く発生させており、今のところ効果は五分五分といったところであった。

ゴーデスに協力する『タケシ』は、宇宙人とに接触を先取りしていた優越感が無くなったことに一抹の寂しさを感じていたが、相方のゴーデスはそんな気持ちを知ってか知らずか、月の裏側の『特異点』の観測に夢中になっていた。

「おおっ…新しい『来訪者』が来るようじゃ…今度はどんな奴かのう!」

新しいおもちゃで遊ぶ子供のように生き生きとしたゴーデスに、タケシは苦笑しながら付き合うのだった…


特異点から抜け出てきた謎の結晶体。

それは地球側の観測網にかかることなく、春野市の隣町に落着する。

ゴーデス以外が気付くこともなかったソレは、静かに街の中へと消えていった…


数日後…

隣町で春桜学園の生徒が暴力事件に巻き込まれた、という情報が、スクールカウンセラーを努める『今野アンナ』の元へともたらされる。

それも一件や二件ではではなく、多数の生徒が被害に遭ったと聞かされ、アンナはすぐに調査へと向かった。

今回の事件を受けて、生徒たちにはあらかじめ隣町へ近づかない様に通達がされていたが、通いの生徒も多くいる現状では様子を見ないと危険という判断をルクリアとアンナはしていたのである。

実際に駅から隣町に降り立ったアンナは、異様な邪気を感じてたじろいでしまう。

「こ、これは…」

街全体を、ゴーデスのマイナスエネルギーとはまた違う、重苦しい空気が包みこんでいた。

アンナは腕のブレスレットに力を込め、澱んだ空気を中和しながら街へ入っていく。

街の人々はその空気に当てられたように、生気のない顔で歩いていく。

「何かが起こっているのは間違いないわね…」

すぐに調査に取り掛かろうとするアンナの視線に、学生の集団が飛び込んできた。

数名の不良風の男子に、か弱そうな三つ編みの女の子が一人。

よからぬ展開を想起したアンナは、彼らが消えた路地裏へと入っていった…


嫌な予感は的中し、路地裏では壁を背にした女の子に男たちが迫っていく。


「あなたたち!何をしているの!」

少しでも怯ませられれば…と慣れない大声をあげて向かっていくアンナ。

不良たちは無言でアンナを振り返ったが、その顔は一切の生気を感じさせなかった。

「これは…いったい…」

たじろぎ後ずさるアンナであったが、次の瞬間、男たちは糸が切れたように崩れ落ちた。

「気をひいてくれてありがとうございます。今野アンナさん…」

男たちの背後から、三つ編みを揺らし、可憐な少女が姿を現す。

「はじめまして、私の名前は小池ユイ…別名、『アルティマレディ・エイミィ』です。」

驚くアンナに、スマホの中のルクリアから念話が飛ぶ。

「アンナ、エイミィさんもアルティマ姉妹の一員で、お若く見えますが宇宙警備隊の歴戦の戦士なのですよ。」

ルクリアが自分のことを紹介してくれたことを察し、エイミィは笑顔を浮かべる。

「ありがとうございます、ルクリアさん。お察しの通り、この町にはなんらかの存在が干渉している可能性が高い状況です。私もシルフィー隊長の指示で、捜査に来たのですが…この禍々しい空気は宇宙生物『デヴィロン』のものでしょう…」

宙を見上げながら、現状を説明するエイミィ。

ルクリアの感覚を共有するアンナも同じ感覚でおり、真剣な表情で頷いた。

「やつは『スノウアート』という鉱物に身を隠し、隕石としてこの町へ潜入したようです…私はしばらく調査を続けます。アンナさんたちはこの星の人々を守ってあげてください。では!」

快活な笑顔を浮かべ、路地裏から駆け出していくエイミィ。

「ああみると年頃の可愛らしい女の子ね。ルクリア、私たちも…」

自分達もできることを…

そう思って歩き出したアンナの背後に黒い霧が迫る。

「アンナ!あぶな…」

いち早く気づいたルクリアの念話が飛びかけたところで霧がアンナを包み、手に持っていたスマホを落としてまう。

「しまった…」


物理的に分断されて焦るアンナを霧が一気に包み込む。

「うぁあ…いやぁ…」

黒い霧はゆっくりと地面に落ちたスマホを拾い上げ、それをアンナの手に握らせる。

霧を大量に吸い込んだアンナの目は、先ほどの不良たちと同じように焦点の合わない様子であらぬ方向を見つめていた。

「ル…ク…リッ…ァ…」

熱に浮かされたようなか細い声でパートナーの名を呟き、スマホを掲げるアンナ。

いつもの眩い輝きとは違い、アンナは黒い瘴気に包まれていく。

黒い霧が晴れると、ルクリアがその姿を現した。


しかし、いつものブルーを基調とした清廉とした佇まいはどこにもなく、黒と赤に染まった闇の女神の姿がそこにはあった。

「人間どもでは強度不足だったからな…この女の体を使わせてもらうとしよう…」

声こそいつもと同じであったが、その口調は明らかに別の『何か』に変貌してしまったルクリア。

果たして彼女に何があったのか…

謎を孕んだまま、街は夕闇に包まれていった…


後編へ続く…

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Comments

syonnai_hito

今回はエイミィ(ユイ)やちゃっかりパンチラしたアンナ とか人間体の活躍が多かったですが、この後闇落ちしたルクリアとエイミィか他のアルティマレディが絡んでいくか楽しみです。闇落ちルクリアは黒ビキニでまた違った魅力があります。