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挿絵 Jam様


前編のあらすじ

生態系にそぐわない怪獣の生息が報告された『惑星テラナ』の調査に赴いた、アルティマソフィとアルティマシオン。

その星では古代怪獣・ダブルテールが、集団で沿岸部を跋扈していた。

個体が若いオスのみであることから、シオンは養殖の可能性を考えるも、テラナの生態系維持のために駆除を決意する。

しかし、一網打尽にすべくシオンが放ったバインドをすり抜け、1匹のダブルテールが逃げ出してしまった。

シオンに後を任せ、逃げたダブルテールを追うソフィ。

ダブルテールが逃げ込んだ洞窟で、ソフィは謎の地底怪獣・グノンと遭遇する。

ソフィを触手で捉え、グノンへの盾として差し出すことで自らの身を守るダブルテール。

グノンはひとしきり両腕の鞭でソフィを痛めつけた後、何故か狙い澄ましたようにその胸を責め立てる。

激しい責めの前に、ソフィは胸からエネルギーを放出してしまうのだった…


時は少し戻り、ソフィがダブルテールを追った少し後…

「たあああああっ!」

バインドで捕らえたダブルテールを引網の要領で引っ張り上げるシオン。

ダブルテールたちはドサドサとシオンの前に積み上げられていく。

ビクビクと蠢くダブルテールを見下ろし、シオンは足のリングを叩く。

“チャージ”

リングから機械的な音声と共に淡い光が足元に走り、足首の部分で滞留する。

シオン(以下シ)「手早く済ませるわよ!タァッ!」

そのまま垂直に飛び上がり、空中で飛び蹴りのモーションに入るシオン。

足首に溜まった光が照準のように円形に展開し、その先に積み上がったダブルテール達を捉える。

シ「シューティングスター・ドライブ!」

掛け声と共にシオンの肩には光のマントが翻り、その体をダブルテールの方向へ押し出す。

次の瞬間、足先にオーラを宿したシオンの体がその名の通り、流星となってダブルテールの山を貫く。

ダブルテールの死骸が貫通エネルギーの余波で大爆発を起こし、シオンは満足そうにそれを振り返った。

シ「いっちょあがり!ええと…ソフィの反応は…」

シオンは意識を集中し、ソフィのエネルギー反応を探る。

シ「…いけないっ…エネルギーが弱まってるじゃない!」

ダブルテール1匹にソフィが苦戦するとは考えられない。

不測の事態の発生を感知したシオンは、反応に向かって一足飛びに飛び出していった…


「グアアアア!」

グノンは咆哮を上げながらソフィの胸から漏れ出たエネルギーを舐めていく。

ソフィ(以下ソ)「あぁ…やめなさい…はぁ…」

グノンがソフィに熱を上げた始めたことで、背後で拘束を続けるダブルテールは逃げ道を模索し始める。

拘束が徐々に緩んでいたが、ソフィには反撃の手立てがなかった。

ソ「(くっ…どうしたら…)」

苦悶の表情で耐えるソフィ。

パラ…パラ…

その時、ソフィは頭上から細かい岩の破片が落ちてきたことに気がつき顔を上げる。

何事かと窺った瞬間、洞窟の天井を突き破ってシオンが飛び込んできた。

シ「ソフィ!」

そのままの勢いでグノンの胸板へキックを放つシオン。

シオンが突き破った天井からの落石でダブルテールは潰され、ソフィは拘束を解かれた。

シ「随分とゴツい敵がいたものね…ソフィ、大丈夫?」

シオンはソフィを気遣うが、ソフィは慣れない射乳でエネルギーを失い、立ち上がることもできない状態であった。

ソ「だ…大丈夫。それより気をつけて…はぁ…そいつ、すごい攻撃力よ。」

ソフィの視線の先には、シオンのキックなど意にも介していない様子で立ち上がるグノンの姿があった。

シ「へぇ…岩盤を貫いた分、威力は落ちてたとはいえ、必殺のキックを安易と耐えられちゃうとはね…傷つくわぁ…」

とても傷ついた表情には見えないシオンの様子に、安堵のため息をつくソフィ。

ソ「相変わらず強敵を見ると燃えるのね…ガントみたい…」

チームαの単細胞No. 1と比較され、シオンは心外といった表情を浮かべる。

シ「あれと一緒にされるとちょっとショックなんですけど…まぁでも、燃えるのは事実!いっちょ、揉んでや…へ?」

と言いながらもグノンに向かって気合を入れようとしたシオンの目に、頭上から一際大きな岩が落ちてくるのが映っていた。

先程ソフィの位置を確認したシオンは、彼女のエネルギーの反響から、地下の洞窟にいることを把握していた。

海からのルートを探すよりも地上から突っ込んだほうが早いと踏んだシオンは、今日二発目のシューティングスター・ドライブで地上から洞窟の天井を撃ち抜いたのである。

結果としてソフィの元へと直ぐに駆け付けられたものの、天井が瓦解したことで洞窟自体の崩落が始まっていた。

シ「やばい!」

シオンは背中に発生させていたマントを腕で広げ、ソフィを庇う。

シオンは戦闘時、足に装着したアルティマリングに貯蔵させているエネルギーと、自らのエネルギーを掛け合わせて一撃の出力を上げて戦いに臨んでいる。

エネルギーの消耗は激しくなるものの一撃のパワーは増すため、格闘主体で戦うシオンには相性の良い戦法であった。

この時発動させたリング内の余剰エネルギーをマントの形状にして纏い、防御や必殺技の推進力として活用していく。

今、シオンはその力を全て防御に回し、ソフィを庇ったのである。

結果として岩は2人を逸れた位置に落ちたものの、その隙を逃すグノンではなかった。

ヒュンッ!

空気を切り裂く音が響き、シオンの胴ほどの太さも有ろうかというグノンの鞭が唸る。

ビシィ!

シ「くあっ!はぁん!」


マントで防御しているはずの背中を激痛が走り、シオンの肺からは空気が全て押し出されていく。

シ「(今ここで動いたら…ソフィに当たっちゃう…)」

自らの身体の下で倒れているソフィを守るため、その場に踏み止まるシオン。

グノンの鞭は的確にシオンの胸を打ち、ダメージからかその表面には乳首が現れていた。

ピコンピコン…

シオンのエナジータイマーも点滅を始め、背中のマントもエネルギーを失ったかのように千切れていく。

シ「このままじゃ…ぁん…まずいかも…」

苦悶の表情を浮かべるシオンに、ソフィ身体を起こしながら声をかける。

ソ「今から…私が一瞬だけ隙を作るわ…そしたらなんとかできる?」

ソフィからの意外な提案に、シオンの顔に笑顔が戻る。

シ「一発鞭を逸らしてくれれば十分よ。お願いできる?」

その問いにソフィは頷く。

ソ「あれだけ景気よく引っ叩いてればリズムも掴めるわ…いくわよ!ティアラッガー!」

ソフィの頭を離れたティアラは刃に姿を変えて二手に分かれる、。

ソフィの操る刃が、それぞれがグノンの左右の鞭へと向かっていった。

シオンを打とうと振りかぶったその根本へ、ティアラッガーが命中する。

並の怪獣であれば真っ二つになるところだが、皮膚の硬度が硬いグノンの前では、打ち下ろす鞭の軌道を逸らすのが精一杯であった。

ここまで的確にシオンの背と胸を打ち据えていた鞭が、本来の目標から逸れて地面を叩く。

その瞬間にはシオンの体は反転し、グノンの懐へと入り込んでいた。

シ「(今から撃つのが最後の一撃…果たしてあの怪獣を倒せるのか…)」

まざまざと見せつけられたグノンの硬度に、一瞬の不安が心をよぎるシオン。

しかしその胸中には同時に、格闘の師でもあった今は亡き父王の言葉が去来する。

シ「臆して敵に届く牙無し!この一撃に全てを乗せるわ!」

そのまま正拳突きの構えで腰を落とすシオン。

わずかに残っていたマントのエネルギーも全て、右拳へと集中させる。

シ「貫け!必殺!スペリオルナックル!!」


グノンの胸元へ、シオンの渾身の一撃が走る。

「グアッ??」

何が起きたか理解できず、少し後ずさるグノン。

シ「獲った…!」

次の瞬間、グノンの胸から背中へ強烈な衝撃波が突き抜ける。

グノンの胸の中心にはちょうど拳大の穴が背中へと貫通していた。

ズゥウン…

赤黒く光っていた目が閉じられ、その場に崩れ落ちるグノン。

シオンはゆっくりとグノンの死体の側に立った。

シ「あんた、強かったわよ。せめて安らかに…ん?」

シオンはあるものに気づくが、同時に今の衝撃で洞窟が本格的に崩落し始める。

シ「いけない!ソフィ、行くわよ!」

そういってソフィを抱え込み、足のリングをタップするシオン。

リングにはチームαの頭脳・アルティマライオの改造により、母船への緊急脱出装置が仕込んであった。

次の瞬間、2人の体は光球に包まれ、宇宙に停泊させていた母船へと飛び出していった…


ソ「ん…ここは?」

ソフィが意識を取り戻すと、そこは見慣れた母船のベッドの上であった。

シ「おっ、気が付いた?」

ベッドの横ではシオンが治療機器を操作している。

すでに回復が済んでいるのか、ソフィに微笑みかけるシオン。

ソ「そっちはもう大丈夫なの?」

ソフィの問いに、シオンは力こぶを作って笑う。

シ「鍛え方が違うからね〜…っ!あたた…」

明らかに無理をしている様子に、苦笑するソフィ。

ソ「まってて、回復したら治してあげるから…」

それと同時に回復役の自分が倒れていたら世話がない、とソフィは少し落ち込んだ気分になってしまう。

そんなソフィの表情の陰りを感じ取り、シオンは話題を切り替えた。

シ「しっかし強敵だったわねぇ…結構ギリギリの勝負だったんじゃないかしら。」

グノンの鞭を思い出すと背中が痛む思いだったが、シオンは笑って話を切り出した。

ソ「私の推論だけど…多分あれは私たち、アルティマ族への対応に特化したタイプだと思うわ。的確に弱点の胸を責められたのは初めてだし…」

ソフィが所見を述べると、シオンも真面目な表情で頷く。

シ「ソフィ、これを見て。」

シオンの手には謎の識別タグのようなものが握られていた。

シ「あの怪獣の首についていたものよ…おそらくあれは、何者かが意図的に造った怪獣。ダブルテールはあいつの餌として飼育されていたと考えれば、養殖に近い状況なのも納得できるし…」

話を聞きながら、ソフィは口に出さなかったがシオンの観察眼に感心していた。

シ「あいつはおそらく何らかの理由で捨てられていただけで、完成体がすでに出荷されている可能性は高いわ…そう考えると今後の戦いは厳しいものになりそうね。」

今度はシオンが神妙な表情になってしまい、ソフィは苦笑する。

ソ「体も痛いことだし、報告書はシオンさんにお任せしようかな。大事な内容だから詳細をきっちり隊長に報告してね!」

茶化すようなソフィの言葉に、シオンの顔が青ざめる。

シ「ええ〜、私がそういうの苦手なの知ってるくせに!」

そう言ってポカポカ叩く仕草をするシオンと笑い合うソフィ。

今回の経験は、シオンとソフィの間を縮める良い機会になったようであった…


結果として、この事件の報告書が書かれることはなかった。

ニ人が回復したタイミングで、光の星にいるチームαの隊長・アルティマケインから緊急の通信が入る。

その内容を聞いたニ人は、帰りたくなかった光の星へ、超特急で向かうことになってしまう。

“光の国、ガルデン大王に強襲される”

期せずして、悪の軍団との決戦の時が迫ろうとしていた…


「ガルデン大王の復讐 過去編」へと続く…

※順調にいけば11月頃更新予定です!


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