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挿絵 らすP様


前話のあらすじ

光の星の近く…アルティマレディ達に倒された怪獣や宇宙人達の魂が怨念と共に封印された場所…それが『怪獣墓地』である。

日頃は浄化の力によって張られたフィールドによって外部との接触が遮断されているのだが、ある日そのバリアに小さな綻びが生まれる。

時間にして数分のことであったが、その短い間にも黒幕の陰謀は進んでいた…

ルクリアの元にフィールドの修繕依頼が届き、ルクリアはしばしの間地球を離れることになる。

代理の戦士としてきたアルティマレディ・メリムに地球を任せ、光の星へと帰っていくルクリア。

ルクリアとアンナはしばしの別れを惜しむのであった…

一方その頃、怪獣墓地の近くで新しいガジェットのテストを行っていたアルティマレディ・レイの元に、怪獣たちの怨念の集合体・タイラントデスボーンが襲来する。

レイの試験していたアルティマメダルを奪い、体内に吸収してしまうタイラント。

圧倒的な力でレイを蹂躙すると、タイラントと事の黒幕・ゴーデスは次の獲物を求めて別の次元へと向かうのであった…


地球…

しかしそこはルクリアやアンナが暮らす地球とは別の次元に存在するもう一つの地球であった。

この世界には光の星はなく、アルティママンも空想科学ドラマの一つでしかない…そんな地球にもアルティマレディが存在していた。

彼女の名前は『アルティマレディ・ティオ』

太古から地球を守る戦士であり、必要に応じて地球人のパートナーを決めて戦いに臨んでいた。

現代も地球に眠る怪獣や、宇宙からに侵略者から平和を守るため、1人の女性と一体化していた。

その女性の名は「北川ヒトミ」

一世を風靡する女優であり、アクションもこなす身体能力でティオの活躍にも一役買っていた。

一時期エッチなビデオに出ていた…なんて噂も流れていたが、今や推しも押されぬ清純派である。

そんな二人の戦いの日々も数年前には決着し、ティオと戦った日々の思い出を胸に、ヒトミは今日も女優業に邁進するのであった…


「北川ヒトミさん、これにてオールアップです!」

セット中にADの大きな声が響く。

「ありがとうございました〜!」

花束を受け取り、笑顔でセットを退出していく女優…それこそアルティマレディ・ティオと一体化し、地球を守り抜いた『北川ヒトミ』の姿である。

今は平和になった地球で本業である女優として活躍。

充実した日々を過ごすヒトミであったが、地球の守護者としての使命を忘れた訳ではなく、ティオへの変身に使うスパークルレイが懐に忍ばせてあった。

「ふぅ…マネージャーの話だと、今日はこの後オフなのよね…いい天気だし少し歩こうかしら。」

売れっ子女優であることを隠すための変装に身を包み、ゆっくりと街をあるくヒトミ。

澄み渡った青空が広がり平和を実感するヒトミの時間。

しかしそれは、急遽打ち壊されることになる。

ピシピシッ…

空に不可解な亀裂が入り、中から謎の怪獣が現れた。

「…!!あれは…」

ヒトミの嫌な予感を裏付けるように、その怪獣は地上ヘと降り立った。

「グァアアアアア!」

大きな咆哮を上げながら街へと向かうタイラント。

「あの時の話…本当になるなんて!」

この地球が平和になってしばらくしたのち、ヒトミの元に一人の女性が訪ねてきたことがあった。

ヒトミがティオの正体であることを看破したその女性は、自らをレイと名乗り、違う次元におけるティオと同種の存在であると話した。

激しい戦いの続く別の次元のために力を貸してほしいと頼まれたヒトミは、その力の一部を込めることのできるメダルに、ティオの力を分け与えたのである。

その時、別れ際に次元を超えて暗躍する悪の存在をヒトミに語ったレイ。

いつかこの地球が再び襲われることがあれば、また戦いへと臨む…

その決意を秘めて生きてきたヒトミは、躊躇なくカバンの中のスパークルレイを引き抜いた。

「せっかく平和を手にしたこの星を好きにはさせないわ!ティオォ!」

その名を叫び、掲げたスパークルレイを解放する。

眩い輝きと共にヒトミの姿は巨大な女神へと姿を変えていった…


「セヤァッ!」

街を破壊しようとする怪獣・タイラントデスボーンの前に立ち塞がるティオ。

「この怪獣…強い!」

しかしその体から放たれる禍々しいオーラに気圧され、後退りする。

「タァッ!」

いきなり近づくのはまずい…そう考えたティオは小手調とばかりに、ハンドスラッシュを放っていく。

バシュッ…ズガッ…

「グェアアアッ…」

カッター状の光線が命中すると、タイラントはジリジリと後退していく。

「(思ったほどの防御力ではなさそうね…)シェアッ!」

高く飛び上がり、ジャンプキックを放つティオ。

見事に胸に命中しよろけるタイラント。

しかしティオがその懐に入った瞬間、怪獣の目が不敵に光った。

「ガァッ!」

手についた鉄球を振り下ろし、ティオの背中を殴打するタイラント。

「うぁああっ!」

鉄球の棘がティオの背中に食い込み、ダメージを与えていく。

強烈な一撃にティオの視界が歪み、肺の中の空気が押し出される。

「くはぁ…なんて威力なの…このまま接近戦は不利だわ…」

飛びそうになる意識をなんとか保ちながら、ティオは腕をクロスさせる。

「はぁあああ!」

次の瞬間、ティオの体が眩く輝くと、光の中から真っ赤なスーツに身を包んだ戦士が現れた。

これこそティオの得意とする、相手に合わせたタイプチェンジ…今回は力に特化したパワータイプであった。

「トォアアア!」

再度振り下ろされようとしていた鉄球を腕で弾き返し、タイラントの鳩尾に一撃を入れるティオ。

「ゲアッ!」

咆哮しながら後ずさるタイラントに、さらなる一撃を…そう考えたティオが前がかりになるのを、タイラントは見逃さなかった。

バシュッ…

鉄球についた棘を鞭状に伸ばして、自らの身体とティオの体を密着させて縛り上げるタイラント。

「一体何を…きゃあああ!」

これではタイラントも動けないはず…そう考えたティオの考えはタイラントの狙いとは別であった。

自らの腹にあるベムスターのエネルギー吸収口をティオの体に押し当て、そのままエネルギーを吸い上げていくタイラント。

タイラントの狙いは、体に取り込んだアルティマメダルと同じエネルギーを持つティオから、その力を奪うことにあった。

体内のメダルと同じ力を吸収し、さらなるパワーアップを図るタイラント。

一方のティオは強力なエナジードレインの前に、一気にエネルギーを失っていく。


ピコンピコンピコン…

胸のカラータイマーも点滅を早めて危機を告げていたが、エネルギーを奪われつつあるティオには対抗する術が無かった。

そのまま締め上げ、さらにエネルギーを奪おうとするタイラント。

「かはっ…このままじゃやられちゃう…いちかばちか…フルパワーで!」

ティオは持てる力の全てを込めて、タイラントの拘束を解こうとする。

しかし次の瞬間、鈍い音があたりに響いた。

ボギッ…

「え…ああああああ!」

一瞬何が起きたか分からなかったティオであったが、腕に走る激痛が強制的に事実を突きつける。

ティオの抵抗に本気を出したタイラントの、さらなる締め付けの前に、ティオの左腕は無惨にも折られてしまっていた。

勝負あった…そう判断したタイラントがティオの拘束を解き、その体を地面へと投げ捨てる。

「あああああっ!うでがぁ…」

痛みにのたうち回るティオ。


ピコ…ピコ…

パワータイプへのチェンジも解かれてしまい、エネルギーを奪われたためにカラータイマーも弱々しく点滅する。

「くぅうう…」

闘志までは折られまいと、なんとかタイラントを睨みつけるティオ。

しかし、求めていたエネルギーを吸収したタイラントは既にティオへの興味を失っていた。

「グアッ!」

その鎌を大きく振るうと、次元を切り裂くタイラント。

そのまま、開いた空間へと消えていく。

ティオにできることは、折られ腕を抱えながらそれを見送ることだけであった。

「ごめんなさい…レイさん…」

忠告をくれたレイに応えることができなかったことを謝りながら、ティオの姿が光の粒子となって消えていく。

その後には、無惨に腕の骨を折られ、意識を失ったヒトミが倒れていた…


一方その頃、怪獣墓地に到着したルクリアはフィールドの修繕にかかっていた。

フィールドに空いたという穴の付近でゴーデスの力の残滓を感じ、嫌な予感を募らせるルクリア。

その予感は、近くの小惑星でアルティマレディ・レイが無惨な姿で発見されたことで確信に変わる。

地球が危ない…そう考えたルクリアはフィールドの修繕を済ませ、すぐに地球へと戻っていくのであった。


ルクリアが発った後の地球では、メリムがパトロールを続け、アンナは普通の生活に戻っていた。

しかし、アンナにはルクリアと離れたこの時に確かめたいことがあったのである。

アンナにはゴーデスの協力者…その人物に心当たりがあった。

その人物が本当に協力者だった場合、まずは個人的に説得したい…そんな願望がアンナにはあったのである。

ルクリアと一時的に別れたこのタイミングは、まさに千載一遇のチャンスであった。

まずは事実確認を…そう思ったアンナは、協力者候補の家へと向かう。

家の前までついたアンナがインターホンを押そうとしたその時、アンナのスマホがなった。

スマホには謎のアドレスからのメールが届いており、内容を確認したアンナは、自らの予感が当たってしまったことにショックを受ける。

そのメールには密会の場所が指定されており、アンナは足取りも重くそこへ向かうのであった。


指定された場所…

それは以前ルクリアと訪れた、電車の試験場であった。

ゴーデスに人質を取られ、ルクリアの姿のまま犯された記憶も新しい忌まわしい場所。

その車内で会おうというゴーデスの協力者の申し出を受け、再び車内へと入るルクリア。

そこには何人かの操られた男性、そして本命の『彼』がいた。

そこまで強くないゴーデスの反応に、少し安心しながらも身構えるアンナ。

アンナは腕につけたブレスレットを構えると、光の衣を身に纏う。

瞬時に変身を遂げ、『彼』に相対するアンナ。

「信じたくはなかったわ…でも、やっぱり君だったのね…『タケシ』君…」

あんなの見据える先には、ルクリアと出会ったその日に再会した『青年』の姿があった。

「ふふふ…ルクリアに変身した時よりも、今の姿の方が素敵ですよ…『今野先生』」

アンナの周りの男性たちが、少しずつ距離を詰めていく。

「話だけなら二人でもいいでしょう…あなたと二人で話がしたいの…」

アンナは後退りながらもなんとか対話しようと試みる。

しかし青年…タケシの反応は冷酷だった。

「そういうわけにはいかない…コイツらは保険だからね。」

そういいながらアンナを見据えるタケシ。

タイラントとの戦いとはまた別の戦いが、地球でも始まろうとしていた…


続く


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