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挿絵 CO様


※今作はアルティマソフィの若い時代を描いた作品になります。

世界観やキャラクターの紹介で導入が長めになっていますが、ご容赦ください。

また、キャラクターが複数で会話するシーンが多いため、吹き出しの前に頭文字を入れています。

試行錯誤ではありますが、今後はこういった過去編も少しずつ入れていく予定です。

おたのしみください!



アルティマミレーヌが地球で活躍する時代から一万年前…

宇宙は未だ混沌の時代であった。

様々な悪の組織が暗躍し、人々が虐げられる日々が続いていたが、ある時それに抗う者たちが現れた。

『光の星』を中心に数々の星が連系し、『銀河連邦』を結成したのである。

一つ一つでは悪に勝てない星々も、協力し合うことでその支配から脱却し『銀河連邦』は力を強めていく。

特に『光の星』に住むアルティマ族を中心とした『銀河守備隊』の活躍はめざましく、様々な銀河で悪の組織を駆逐していった。

宇宙のあちこちで戦争が行われ、平和は未だ遠い…そんな中で彼らは希望の象徴であった。

これはそんな混沌の時代を生きた、ひとりの少女の物語である…


宇宙に平和をもたらすことを目的に、銀河を駆ける『銀河守備隊』。

その中でも一際戦果をあげているのが、『チームα』であった。

アルティマ族きっての戦士『アルティマケイン』が指揮を取り、脇を歴戦の勇士『アルティマガント』が固める。

作戦の立案やガジェットの開発に長けた『アルティマライオ』が加わる事で、向かうところ敵なしのチームα。

そこに治療専門の部隊・『聖十字隊』から1人の女性隊員が加わることになる。


彼女の名前は『アルティマソフィ』。

首席で養成学校を卒業し、鳴り物入りでチームαに加わったソフィは、戦いの中にその身を投じてゆく。

銀河守備隊にチームα有り…そんな噂が悪の組織に流れ出した頃…彼らはとある武器商人を追いかけていた…


ガント(以下ガ)「今日の武器商人の摘発…抵抗されたらボコボコにしていいんだよなぁ!」

作戦宙域に向かう宇宙船の中で、アルティマガントの大声がこだまする。

ライオ(以下ラ)「ガント君…僕の説明聞いてましたか?」

せっかくの作戦も単細胞には意味がないのか…半ば呆れ気味にアルティマライオがため息をつく。

ケイン(以下ケ)「まぁまぁ…いつも通りガントには前衛で暴れてもらって、俺とライオで作戦目標を奪取。これが確実だろう。目標までのルートはライオの作戦通りに行こう。」

慣れたものとばかりにリーダーのケインは笑う。

なんだかんだと言いながら、きちんと作戦をまとめるケインを横目で見ながら、アルティマソフィは口を開いた。

ソフィ(以下ソ)「それで私はどうすれば?」

作戦の頭数に自分が入っていないことの不満を顔に出しながら、ソフィが確認する。

ケ「君は奴らの母船の外から、センサーや武装を潰してくれ。もし敵が釣れた場合は近くの小惑星群に誘導して、中と外を分断してくれると助かるよ。」

ケインの指示が自らの能力に見合ったものであることは納得しつつも、安全な任務しか与えられないことに、ソフィは憮然としていた。

ガ「ま、後方で大人しくしてな、お嬢ちゃん!」

ガントのデリカシーのない物言いが、さらにソフィをイラつかせる。

ケ「お前…言い方があるだろ…ソフィ、今回はライオに改修させたそのティアラの性能試験も兼ねているんだ。バックアップだと思わずに積極的に戦ってくれ。そうすれば中の俺たちも助かる。」

大人なケインの説得に、結局反論できないソフィ。

横ではライオがティアラの改修ポイントを矢継ぎ早に喋っていたが、ソフィは上の空であった。


作戦ポイントの宙域一歩手前で船を置き、出発するチームα。

武器商人の母船に取り付くと、元々ライオが位置を解析していたハッチのロックを解除する。

あっさりとロックを破ると、予定通りケイン・ガント・ライオは船内へと入っていった。

それを遠目に確認したソフィは、役割を果たすべく身構える。

ソ「それじゃ、やりますか…ティアラッガー!」

本来後方にいるはずの回復・治療に長けたソフィが最前線で戦える理由…それが頭に輝くアルティマティアラであった。

ソフィの家系に代々伝わる伝説の装具。

それを駆使することで、ソフィは聖十字隊員でありながら並の銀河守備隊員よりも高い戦闘力を誇る。

思念派で操られる刃と化したティアラが、次々と敵船の砲台を破壊していった。

ソフィはティアラッガーを操りながら、驚きに包まれていた。

ソ「へぇ…思念が前よりダイレクトに伝わっているみたい…ライオってすごいのね。」

ライオの申し出によりティアラをチューンしてもらっていたが、実戦使用は今回が初めてであった。

家宝としての性質もあるため、武装部分のみの改装に絞ってもらっていたが、その使い勝手は格段に良くなっている。

軽快に敵の戦力を削ぐソフィ。

すると母船のカタパルトが展開し、戦闘艇が無数に射出される。

戦闘艇が無人タイプなのを確認したソフィは、人知れずため息をついた。

たとえ相手が悪人でも、命を奪う行為に対し、ソフィは抵抗感を持っていたからである。

ソ「さ、あとはあれを連れて小惑星帯へ…」

そう呟いたソフィは踵を返し、自らの役割を全うするのだった。


ソ「ふぅ…こんなところかしら。」

小惑星帯で無人戦闘艇を全滅させ、一息つくソフィ。

すると雑音混じりの通信が入った。

ケ「ソフ…ザザ…は…だった…ザッ…」

明らかに異常事態が起きていることを感知したソフィは敵母船へと急行する。

母船へ近づくにつれて通信は明瞭になり、ケインの声がはっきりと聞こえるようになった。

ソ「こちらソフィ。陽動に乗った戦闘艇は全滅させました。そちらへ向かいます!」

ソフィの通信にケインの声が応える。

ケ「すまない、こちらは武器商人を取り逃がしてしまった!最後に母戦を自爆させるつもりのようだ…君は距離を置いて様子を見てくれ!」

ケインの指示に、一度飛行スピードを落とすソフィ。

ソ「了解!」

歯切れ良く返事はしたものの、また仲間はずれか…という気分が落胆としてソフィの表情に表れていた。


ケ「ソフィは待機させた。爆発を抑え込むぞ!」

ケインの掛け声で、母船を挟むようにライオ・ガントが距離を取る。

ケ・ラ・ガ「「「アルティマプロテクト!!!」」」

3人は母船を包むようにバリアを張りめぐらせる。

ライオの作戦通りに武器商人を追い詰めたまでは良かったが、最後の悪あがきに自爆を選択されたのは予想外だった。

母船の眼下には惑星『バランディ』が有り、もしこのまま船が落下でもしようものなら、生態系への被害は必須であった。

ケインの下した判断は、バリアで母船の爆発を抑え込み、バランディへの落着を防ぐ、というものだった。

ライオの計算でもある程度の爆発なら抑え込めるという結果がでていたため、3人は散開し、バリアで母船を包み込んだ。

ガ「こういうの苦手なんだよなぁ…」

ラ「いつも突っ込んでばっかりで防御を疎かにしているからですよ!これに懲りたら…」

窮地にも軽口を叩き合うメンバーに、ケインは肩をすくめながらも止めることはしなかった。

ケ「2人とも気合を入れろ、そろそろ来るぞ!」

バリアで包まれた母船の各所から火の手が上がり、船体に亀裂が入る。

3人はバリアの出力を上げ、爆発を内部に押しとどめていった。

順調にいっているかのように見えたが、分析を続けていたライオから声が上がる。

ラ「ケイン君!何かおかしい…爆発の威力が大きすぎる!」

同時にガントからも通信が入る。

ガ「すまん!…バリアがもたねえ…」

珍しく余裕のないガントの声。

実際バリアの表面でガントの受け持ち部分に亀裂が入る。

このままではバリアを維持できなくなる…ケインの頭に最悪の結果がよぎった瞬間、ガントのバリアが持ち直した。

ラ「ガント君、やるじゃないか!これなら相殺までは持っていけるよ!」

ライオの声のトーンが高くなり、状況の好転を喜んでいた。

ガ「いや…俺は何も…」

目の前のバリアの亀裂が塞がる様子に、呆気に取られるガント。

ソ「ハァ…ハァ…間に合いましたね…」

後方からソフィが現れ、ガントの脇につく。

その手からはバリアにエネルギーが送られており、ガントの不足分を補っていた。

ガ「おまえ…」

ソフィに目をやったガントは、すぐにバリアに向き合うと、その維持に集中した。

ラ「よし、後5秒でバリアを解除!破片が飛び散るから各自ガードするんだ。」

バリア内の爆発は収束を見せ、敵の母戦だったものは細かい破片が残るのみであった。

これならバランディに落ちたとしても大気圏で燃え尽きる。

そう判断したライオの指示で、4人はバリアを解いた。

一瞬の閃光の後、大小の破片が四方に飛び散る。

ソ「くっ…バリアが…」

慣れないバリアを解除した際の反動で、立ちくらみを起こすソフィ。

破片が命中するかと思われたその時、ガントがソフィを抱き抱える。

背中で破片を受け切ると、ガントはソフィの無事を確認した。

ガ「嬢ちゃん!怪我は!?」

ガントのおかげで無傷だったソフィ。

ソ「おかげさまで無事です。そのお嬢ちゃんっていうのやめてもらえます?」

礼を言いながらもガントに文句をつけるソフィ。

ガ「悪かったよ…助太刀ありがとうな、ソフィ!」

ソ「ふふっ…こちらこそ庇ってもらって助かりました。ガント、お怪我は?」

ガントの素直な謝意に驚きながらも、ソフィも仲間を気遣う。

ガ「こんなの唾つけときゃ治るぜ!」

ソ「まったく…ちゃんと見せて!」

ソフィは少しでも感心したことを後悔しながら、ガントの傷ついた背中を治療し始めた。

そこへケインとライオが駆けつける。

ケ「怪我はないか?!ガント!ソフィ!」

仲間を心配するケインにガントは手を振りながら応える。

ガ「おう!かすり傷よ!」

ソ「動かないでってば!」

妙に打ち解けた様子のガントとソフィの様子に、ケインは嬉しそうな笑顔を向ける。

しかし次の瞬間、ケイン・ライオ・ガントのエナジータイマーが点滅を始めた。

ラ「やっぱりバリアーはエネルギーの消耗が激しいね。早く母船に戻ろう…ん?」

その時、ライオが視界に青い輝きを捉えた。

ラ「あれは…ブルーリフレクターか!それならあの爆発も納得できる!」

目にかけたバイザーの望遠機能で光の正体を確認したライオが目を輝かせる。

ガ「なに一人で納得してんだ、俺にもわかるように説明しろ!」

ガントの疑問に待ってましたと解説を始めるライオ。

ラ「あの石はわかりやすくいうところのエネルギー増幅装置さ。特に光線系のエネルギーを透過することで数倍の威力に引き上げるんだ。あの大きさのものは希少で…」

ソ「つまりあれは回収した方がいいってこと?」

話が長くなりそうだったので割って入るソフィ。

ケ「悪に渡らなければいいんだが…あの様子では宇宙空間での確保は無理だな…」

惑星バランディに落下していく石を眺めながら、苦心するケイン。

消耗している状態で未知の惑星に降りるリスクを冒すべきか…

そんなリーダーの迷いを読んだソフィが口を開いた。

ソ「私が行きます。実物を目視で視認できている今なら、確保もできるはず…この中でエネルギーに余裕があるのは私だけです!」

ソフィの志願にケインは一瞬考えた後、ソフィに向き直る。

ケ「わかった…目的はあの石の確保。大気圏を脱出できないと判断したら地上にとどまって救助を待つこと。無理は絶対にするな!」

ラ「我々もエネルギーを回復次第、再度この宙域まで救助に来ます。自らの力で帰投できない場合はあの小惑星群に隠れていてくださいね。」

ガ「くれぐれも無理をすんじゃねぇぞ!」

ケインたちは三者三様の励ましをソフィに送る。

ソ「了解!行ってきます!」

ソフィは敬礼もそこそこに、目標の石に向けて飛び立っていった。


大気圏を落ちていく蒼い石。

ソフィはなんとか追いつくと、水晶玉程度の大きさほどの石を脇に抱え込んだ。

ソ「確保…!もう重力圏に入っちゃった…一旦地表まで降りないと!」

空気の摩擦がきつくなり、体が熱を帯びてくる。

ソ「このままじゃ黒こげね…ライオが設定してくれたあれを…アルティマディフェンダー!」

ティアラに手をかざすと、掛け声をかけるソフィ。

するとティアラは盾の形状に変形する。

サーフボードのように体の前面にディフェンダーを構えると、そのままバランディの大気圏へと落ちていくソフィ。

摩擦熱や空気抵抗はディフェンダーが弾いてくれるため、ソフィはエネルギーを消耗せずに地表へと向かうことができた。


ソ「もうすぐ地上が見えるはず…ん?あれは…」

大気の層を抜けたソフィの目線の先、地表かと思われる部分に巨大な砂嵐が発生していた。

ソ「この広さじゃ回避は無理ね…このまま突っ込むしかない!」

見渡す限り切れ目のない砂嵐に、ソフィは覚悟を決める。

ディフェンダーを解除すると、自らの体をバリアで包み、砂嵐へと侵入していくソフィ。

同時にティアラの中に、ブルーリフレクターを縮小して収納する。

ライオがつけてくれたティアラの新機能だったが、早速役に立ったことにソフィは感謝していた。

次の瞬間、強烈な嵐がソフィを包んでいく。

ソ「くぅうう…」

ソフィはエネルギーの消耗を避けるため、流れに逆らわず砂嵐の中を進んでいった。

どれくらいの時が過ぎただろうか…

砂嵐が晴れ、ソフィは砂漠の真ん中に投げ出される。

ソ「あいたたた…すごい嵐だったわね。まずは現状を把握しなくちゃ…」

通信機を操作するも反応はなく、おそらく圏外であることを確認するソフィ。

大気圏を脱出するエネルギーが残っているのかも怪しく、助けを待つのが最善策と判断したソフィは、近づいた仲間に気付いてもらえるよう、ガイドビーコンを出して周りをうかがった。

ソ「ん…あれは?」

視界の端に緑地を発見するソフィ。

広大な砂漠の中でオアシスを発見し、ソフィの表情も少し緩んでいた。

ソ「あそこで救助を待つのが得策ね。」

バランディの重力もそんなに大きくないため、飛行してオアシスへ向かうソフィ。

途中でエネルギーの消耗を抑えるため、体のサイズを縮小させる。

オアシスの中心にある泉のそばに着地すると、水の成分を確認した。

ソ「うん…この数値なら特に問題ないわね…」

無害なことを確認し、泉の水で砂に塗れた顔を洗うソフィ。

ソ「ふぅ…生き返る…」

ガサッ…

笑顔を浮かべるソフィの背後で、茂みが音を立てた。

ソ「…っ!」

ソフィが振り返ると、そこには一人の女性が佇んでいた。

ちょうどエネルギーをセーブするために縮めた体のサイズと女性の背丈が同じだったため、ソフィはそのまま対応する。

女性(以下女)「あなたは…旅の方?」

ソフィたちの耳には小さなインカムが装備されており、大抵の言語は自動で翻訳できる。

現地の女性の言葉もそこまで複雑ではなかったので、ソフィはすぐに理解することができた。

ソ「(話を合わせた方がいいわね)…ええ。さっきの砂嵐でここに辿り着いたの…ここは?」

女「ここはバランディ…私たちの街はこの地下にあります。もっとも私はもう帰れませんが…」

沈んだ表情の女性にソフィは尋ねる。

ソ「どういう意味です?」

女性は意を決したように話し始めた。

女「あの嵐がすぎるとこの泉には怪獣が現れるのです。その名はアントリーオ。放っておくとアントリーオはこの泉に巣を作ってしまうの。大事な水源を守るため、アントリーオに捧げる生贄として、若い女性が街から一人選ばれる…それが今回は私というわけ…」

その話が終わるや否や、オアシスの外れで砂漠の砂が盛り上がる。

「キシャアアアアア!」

咆哮を上げながら現れるアントリーオ。

大きなハサミを顎に携えた昆虫のような怪獣がオアシスへ迫る。

後退りながら女性は、ソフィに声をかけた。

女「アントリーオは私が引きつけます!あなたは逃げて!」

怯えながらもソフィを気遣い、逃がそうとする女性。

しかし、ソフィはそんな女性とアントリーオの間に立つ。

ソ「大丈夫です!ここは私に任せて!」

そう言ってエネルギーを解放するソフィ。

ソフィの体が元の大きさに戻り、アントリーオと対峙する。

本来の任務を考えれば、ここで危険を冒すべきではないのかもしれない…

しかし、目の前で苦しんでいる人々を見過ごせない。

銀河守備隊の一員となった矜持が、ソフィを動かしていた。

女「あなたはいったい…」

問いかける女性に一瞬目線を送り、ソフィはアントリーオへと向かっていった。


ソ「てやぁっ!」

アントリーオに組みつくソフィ。

重力下で自らと同サイズの怪獣と戦う…ソフィには初めての経験であったが、訓練通りに敵と対峙する。

押し込もうとしてくるアントリーオの力を利用して、そのまま投げ飛ばすソフィ。

砂に叩きつけられたアントリーオは、そのまま体を砂に沈めていく。

ソ「まさかあの程度で倒せるはずは…」

警戒するソフィの後方で砂が盛り上がる。

スッと顔を出したアントリーオのハサミの中心から虹色の光線が走り、ソフィの背中を捕らえる。

ソ「きゃあっ…引き寄せられているの?…」

徐々にアントリーオに吸い寄せられるソフィ。

アントリーオは顎のハサミを広げ、ソフィの体を狙う。

ハサミを閉じようとしたその瞬間、ソフィは腰を落として回避する。

ソ「せやぁああ!」

そのまま顎の下からアントリーオを掌底で打ち上げるソフィ。

アントリーオは砂漠を転がっていく。

ソ「いける!ティアラッガー!」

ソフィはティアラを走らせ、アントリーオを狙い撃つ。

今まで多くの怪獣を切り裂いてきた刃がアントリーオを襲うが、硬い皮膚に弾かれてしまう。

ソ「なんて硬い皮膚なの…」

今までティアラッガーが全く効かなかったという経験のなかったソフィは、焦りの色を隠せない。

逆に勢いに乗ったアントリーオは、ソフィに対しチャージをかける。

ソ「…しまった!」

正面から受けてしまったソフィはそのまま砂漠に叩きつけられてしまう。


ソ「なんて力なの…ぐぅう…」

ギリギリ…

少しずつ体に迫るハサミに、ソフィの顔にも焦りの色が浮かぶ。

ピコンピコン…

さらに追い討ちをかけるように、ソフィのエナジータイマーが点滅し始める。

ソ「そんな…エネルギーが…」

タイマーの変化に興味を示したのか、アントリーオの口から舌のような触手が伸び、ソフィの体を這いずり回る。


ソ「いやぁ!やめなさい!」

ぬらぬらと液体を纏いながらソフィの体を這い回る触手。

胸や腹、太股の間に触手がまとわりつき、その度にソフィの体がびくついてしまう。

ソ「あぁん、そんなとこ…だめぇ…」

アントリーオに押し込まれながら赤面するソフィの体に、新たな変化が訪れる。

胸の表面がピンクに染まり、乳首が露出してしまうソフィ。

まだ誰にも見せたことのない恥部を晒してしまったことに、ソフィはショックを隠せなかった。

ソ「こんな屈辱…許さないわよ!」

怒りによって一時的にパワーが上がるソフィ。


火事場の馬鹿力でソフィはアントリーオを投げ飛ばした。

ソ「ハァ…ハァ…どうすれば…」

体勢を立て直したものの、ティアラッガーの効かない相手にどうすればいいのか…

アントリーオもすぐに体勢を立て直し、再びソフィに襲い掛かる。

ソフィはジリジリと後退りながら、思考を巡らせた。

その時、ライオのセリフが彼女の頭をよぎる。

ラ「(エネルギーを透過することで…)」

ソ「そうよ…これなら!」

そういうとソフィはティアラの収納機能を解放し、ブルーリフレクターを取り出す。

ソ「たぁっ!」

そのままブルーリフレクターを自らとアントリーオの間に投げこんだ。

ソ「ここよっ!ティアリウム光線!」

ティアラから発射された光線がブルーリフレクターを貫通し、アントリーオへ殺到する。

光線のエネルギーがブルーリフレクターを通じて威力を上げ、アントリーオの硬い外皮ごと貫通した。

「ギャアアアアアア!」

断末魔をあげて砂の中へ沈んでいくアントリーオ。

同時にブルーリフレクターが割れ落ち、アントリーオと共に砂の中へと落ちていった。

ソ「ハァ…ハァ…やったわ。」

その場にへたり込むソフィ。

勝利の余韻に浸る間もなく、足元の砂が流砂のように動き出し、ソフィは足を取られてしまう。

ソ「いけない!このままじゃ…」

流砂に飲まれそうになったその時、ソフィの背後の空間が湾曲する。

次の瞬間、ソフィと同じアルティマ族の女性がテレポートアウトして現れた。

ソ「シオン!」

ソフィが見上げた先に現れたのは、金髪を靡かせたアルティマの戦士『アルティマシオン』だった。

ソフィとは訓練学校の同期であり、銀河守備隊へと進んだ親友。

ソフィは聖十字隊へ進んだため、しばらく連絡を取っていなかったが、久しぶりに対峙する旧知の顔に、自然とソフィの顔も綻ぶ。

シオン(以下シ)「チームαの救援に来たら、ソフィだけこの星に降りたって聞いてね。ガイドビーコンを追って助けに来たってわけ。感謝しなさいよね!」

笑顔を見せてソフィを流砂から引き上げるシオン。

ソ「ふふっ、ありがとう。でもどうしてここに?」

シ「私もチームαに配属になることになったの。ソフィも男ばっかじゃ嫌だったでしょ。」

親友の参加は嬉しい誤算だったが、ソフィには心強いばかりであった。

シ「さっ、テレポートで帰るわよ!つかまってなさい!」

シオンはいうが早いかすぐにテレポートに入る。

ブルーリフレクターは消失してしまったが、悪の手に渡ることは防げた。

ガントには嫌味の一つでも言われるかな…

それすらも悪くない…そんな心境の変化がソフィに訪れていた。


ソフィとアントリーオの戦いを見届けた女性。

その足元には、砕けたブルーリフレクターのかけらが落ちていた。

女「彼女はきっと、私たちを救うために遣わされた神の使いだったんだわ…」

ブルーリフレクターのかけらを胸に、地下都市へと帰っていく女性。

この戦いをきっかけに、バランディは発展を遂げていくことになる。

そして時は流れ…


バランディの蒼い石 現代編へ続く


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Comments

syonnai_hito

若いころのソフィの優秀さと勇ましさ、それに触手攻めされた後の腰砕け状態と逆転、実にいいです。アントリーオ、実にうらやまけしからんwガントも昔はまともだったみたいだし、シオンの活躍共々過去編も楽しみです。

ガチピン@ご支援感謝

syonnai_hito様 いつもご支援・コメントありがとうございます😊 ソフィはこの頃はツンツンした優等生、ガントもまだやさぐれる前なので、まともな時期です。 アントリーオ君は次回、時を超えてまたいい思いができるので(笑)羨ましい限りです。 お楽しみに〜

RS

アントラー、ではなくアントリーオの舐め回しいいなぁ。 若い頃のソフィ超可愛いですね、後にガントが狙うわけですなw いつかはシオンとセットのヒロピンシーンが見たいです!

ガチピン@ご支援感謝

R様 いつもご支援、コメントありがとうございます。 若ソフィもかわいく描いていただいたので、今後も活躍してもらおうと思います。 シオンはただいま別の絵師様にデザインの描き起こしをお願いしておりますので、そちらもご期待くださいませ。