ウルトラミレーヌ「奇跡!ウルトラソフィ」挿絵増量版 (Pixiv Fanbox)
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「奇跡!ウルトラソフィ」 挿絵 CO様
※本作は公開済みの「全滅!ウルトラ姉妹 前後編」の続編になります。
ミレーヌ・リオナのウルトラ姉妹がヒッポリト星人に敗北し、一晩が過ぎた。
さらなる破壊を予告したヒッポリト星人を止めるため、TACは総攻撃をかける計画を立てる。
ウルトラ姉妹が敗れた今、素直に降伏するべきという世論が台頭する中、最後の大勝負に出るTAC。
しかし、ヒッポリト星人には敵わず、少しずつ追い詰められていく。
TAC危うし!
誰もが地球の最後を予感したその時、上空から1つの光球が降りてくる。
ヒッポリト星人の足元に着地した光球が眩く輝くと、光の中から女神が現れた。
その衝撃で、岩肌に叩きつけられたヒッポリト星人が呟く。
「きたな!ウルトラソフィ!」
その美しい女神こそ、ウルトラ姉妹の母親・ソフィであった。
現在は銀十字軍の顧問を務め一線を退いているものの、愛する娘たちの危機に馳せ参じたのである。
しかし、これこそヒッポリト星人の計画通りであった。
ソフィはその美貌から様々な宇宙人に目をつけられており、彼女を捕らえることこそ今回のヒッポリト星人最大の目的だったのだ。
新たな光の女神の登場にTACの士気も上がり、再度ヒッポリト星人へと攻撃を開始する。
ソフィに気を取られていたヒッポリト星人は、その攻撃をまともに浴びてしまい、もんどりうってしまう。
それを見たソフィはスッと踵を返すと、ブロンズ像に姿を変えたミレーヌへと近づいた。
「ウルトラシャワー!」
手を合わせたソフィの指先から霧状の洗浄液が散布され、みるみるミレーヌの体からタールが流されていく。
しかしエネルギーを失ったミレーヌは、眉ひとつ動かすことはなかった。
「ミレーヌ…もう少し待っていてね。少しの間、ティアラを借りるわ。」
そういうとソフィはミレーヌの頭に輝くティアラを外し、自らに装備した。
元々このティアラはソフィの武器であり、ミレーヌが宇宙警備隊に入る際に譲ったものである。
強敵に対するにあたり、ソフィなりに万全の装備を整えようという策であった。
現役時代の面影を纏い、ヒッポリト星人へと向かっていくソフィ。
ヒッポリト星人もTACを蹴散らし、本命のソフィを迎え撃とうとしていた。
「いきます!ティアラッガー!」
ソフィは距離のある状態から、ティアラを半月状のカッターにしてヒッポリト星人へと投げつける。
「そんなものが当たるか!」
直線的に飛んでくるティアラッガーを器用に躱すヒッポリト星人。
しかし、脇を抜けていったティアラッガーは即座に分裂し、それぞれ違う軌道でヒッポリト星人へ襲い掛かった。
ミレーヌは未だ戦士としては駆け出しのため、ティアラの本当の力は引き出せておらず、ソフィにはそれを凌駕する熟練の技があった。
「ぐあああ!なんだ、この動きは?!」
様々な角度から飛んでくる攻撃に、ヒッポリト星人は全身を刻まれていく。
「…そこっ!」
ソフィは狙いを定めると、ヒッポリト星人の触角のうち、リオナに破壊されたものの逆側をティアラッガーで切り落とした。
「ぎゃああ!」
頭から生えていた触角のうち、左右二本を切り落とされ、のたうちまわるヒッポリト星人。
ミレーヌからのウルトラサインで情報を得ていたソフィは、まず厄介な触角を処理することに成功したのである。
「これでカプセルや小細工はできないはずよ。観念なさい!」
地に伏せ動かなくなるヒッポリト星人。
ソフィも油断せず様子を伺うが、次の瞬間ヒッポリト星人は手からミサイルを発射した。
「どこを狙って…!!いけない!」
明後日の方向に発射されたと思われたミサイルは、まだブロンズ化したままのリオナを狙ったものだった。
ブロンズに固められたリオナにミサイルが当たってしまったら…
冷静であったならティアラッガーで打ち落としていただろうソフィも、義娘の危機に体が先に反応してしまっていた。
ミサイルの射線に入りリオナを庇うソフィ。
その背中にミサイルが命中する。
「くぅっ……?」
命中の衝撃はあったものの、予想していた爆発等のダメージがなく、困惑するソフィ。
ミサイルは先端がすこしソフィの肌に刺さった後、地面へと落下していた。
「これは一体…!!あああっ!」
少しの間をおいて強烈な痺れがソフィの全身を駆け巡る。
地面に倒れ込み、荒く息をしながら悶えるソフィ。
その背後には、むくりと起き上がったヒッポリト星人が迫っていた。
「ふふふ…特製麻酔弾のお味はいかがかな。お前なら娘をかばって食らうと信じていたぞ!」
ヒッポリト星人は形勢逆転とばかりにソフィに近づくと、強烈なストンピングを背中へと叩き込む。
「ガハァッ!!」
強烈な一撃で呼吸困難になってしまうソフィ。
ピコンピコンピコン…
危機を知らせるようにカラータイマーが激しく明滅する。
「大人しくやられていればいいものを…計画変更だ!たっぷりいたぶってから奴隷市場に売ってやる!」
姉妹やソフィによって予想以上にダメージを負ったヒッポリト星人が激昂する。
ストンピングのラッシュがソフィを襲い、麻酔弾を受けて動けない身体を痛めつけた。
「ヒュー…かはっ…ヒュー…」
ダメージで意識が遠のいていく中、ソフィは最後の手段を講じようとしていた。
ソフィとヒッポリト星人の戦いの横で態勢を整えていたTACの竜隊長に、テレパシーで語りかけるソフィ。
「(地球の皆さん…これから私は最後に賭けに出ます…一瞬でいいので星人の注意を引いて下さい…)」
いきなり脳内に語りかけられ、困惑する竜隊長。
しかし、ここが正念場と踏んだ竜隊長は隊員たちに発破をかける。
「このままでは彼女が危ない!我々で救うんだ!」
そういうと先陣を切りTACガンでヒッポリト星人を攻撃する。
もはや地上戦の装備しか残っていなかったが、それでも一気加勢の攻撃をかけるTACの面々。
「死に損ないめが!邪魔をするな!」
ヒッポリト星人が意識をTACへと向けた瞬間を、ソフィは見逃さなかった。
「(ありがとう…地球の皆さん…)」
ソフィは体内に残った全てのエネルギーをティアラへと集中させる。
「私のエネルギーを全て授けます。生き返って!ミレーヌ!」
そしてティアラを念動力でミレーヌの頭上へと飛ばすソフィ。
体の自由を奪われたソフィが取れる唯一の策であった。
ミレーヌの頭に寸分の違いなく収まるティアラ。
次の瞬間ミレーヌの目に光が灯り、消えていたカラータイマーが点滅を始める。
逆に娘に全てを託したソフィは、カラータイマーも消灯し、完全に力尽きていた。
「…?私はいったい…」
意識を取り戻したミレーヌは目の前の状況に困惑したものの、倒すべき敵と変わり果てた義姉と母の姿ですべてを察する。
「タァッ!」
悲しみを堪え、戦いへ向かうミレーヌ。
「しまった!」
TACに気を取られていたヒッポリト星人はミレーヌの復活に動揺してしまう。
大きく跳躍し、スワローキックを放つミレーヌ。
ヒッポリト星人の胸元に華麗に一撃を加え、大地に立つ姿にTACの隊員たちも喝采を送る。
「ミレーヌの復活だ!」
その声援に後押しされるように、ヒッポリト星人に打撃を入れていくミレーヌ。
「ぐあああ!」
ミレーヌ・リオナ・ソフィを相手にし、消耗したヒッポリト星人にはその攻撃を捌くことはできなかった。
「(残りエネルギーも少ない…ここは一気に!)止めです!」
ふらふらと後ずさるヒッポリト星人めがけ、十字に腕をクロスさせるミレーヌ。
数多の怪獣や宇宙人を葬ってきた必殺の光線が発射される。
「ミレニウム光線!」
ミレーヌから発射された光の渦がヒッポリト星人を飲み込んでいく。
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
その場でヒッポリト星人の体は爆発四散し、後には何も残らなかった。
「やったぁ!ミレーヌの勝利だ!」
TACの隊員たちが歓喜の声を上げる中、ミレーヌは義姉のもとへと駆け寄った。
「はぁ…はぁ…!お姉様!」
ミレーヌがリオナに目を向けると、リオナを包んでいたタールが消失し、元の体へと戻っていた。
すぐにそばに駆け寄り、エネルギーを分け与えるミレーヌ。
するとリオナのカラータイマーも点滅を始め、瞳に光が戻った。
「ミレーヌ・・・あなたがヒッポリト星人を・・・よくやりましたね。」
義妹に優しい言葉をかけるリオナ。
しかし、ミレーヌは瞳に涙を浮かべ俯いた。
「でも…お母様が…」
すぐにソフィの亡骸へと近づく姉妹。
銀十字軍の隊員でもあるリオナがソフィの容体を確認し、ミレーヌの肩を叩いた。
「大丈夫。麻酔弾で体の自由を奪われているけれど、光に国で治療すればきっと助かるわ。」
ミレーヌはそれを聞いて安堵した表情を浮かべた。
「じゃあすぐに光の国へ…」
言葉を続けようとするミレーヌをリオナが制する。
「ええ、それは私が責任を持ってお連れします。あなたにはこの星を守る任務があるでしょう?」
それを聞いたミレーヌは少し名残惜しそうにし、すぐに宇宙警備隊員の顔に戻った。
「はい!お姉様、お母様のこと、お願いします!」
リオナも頷き、義妹を励ました。
「あなたの活躍がソフィ様の1番の薬になるわ。頑張ってね!」
そう言葉を残し、ソフィを連れて飛び立っていくリオナ。
ミレーヌも変身を解き、卯月メイ隊員の姿となりTACの面々と合流する。
厳しい戦いの末、勝利をつかんだウルトラミレーヌ。
しかし、戦いはこれからも続いて行く。
いつか平和が訪れるその日まで、闘え!ウルトラミレーヌ!
終