鈴ちゃんドロップキック!第1話 (Pixiv Fanbox)
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「出た!ローリングソバットから 続いたこの技!必殺のコンビネーションキック!ファイターエンジェルの猛ラッシュだ!」
強烈なスポットライトが照りつけるリング上。そこで2人の女性プロレスラーが激烈な戦いを繰り広げていた。
相手は速い蹴り技でレッドウィップというリングネームを持つヘルズフレアのエースレスラー、しかし、エンジェルの華麗なキックコムビネイションの前で手も足も出せずリングで踊るだけだった。
もはやグロッギー状態のレッドウィップを置いて、鈴がターンバックルを踏んで飛び上がり空中を回る。
「おっと!この態勢は!」
「この技で最後です!」
ムーンサルトから鈴がレッドウィップの頭を抱え、体に反動を起こしてマットの上に落下する。
「がはッッッ!」
マットを叩く轟音と共に沸き上る断末魔の叫び。後頭部からの衝撃がレッドウィップの全身を打撃する。
「リバース・DDT!レッドウィップ!衝撃を抑えられずそのままマットにダウン!立ち上がれない!」
鈴がマットに失神したレッドウィップを置いてリングを抜けようとすると、レフリーが制止する。
「君、試合はまだ・・・!」
「カウントしてください!」
レフリーがリングから離れる鈴の後ろ姿を見て舌打ちをした後カウントを数える。
「・・・8、9、10!」
リング上を離れた主役の空席が観衆の歓声で埋め尽くされる。ルール通りなら、鈴の場外負け。しかし、すでに観客にとってそのカウントアウトは場外カウントではなくマットの上に伸びているヘルズフレアのレスラーに対するダウンカウントだった。
ヘルズフレア、それは半年前に突然現れ活動を始めた謎のプロレス団体。
メンバー全員悪役女性のみで構成されたこの団体は、これまでの戦績を見ると、一人一人が多数の男子レスラーを一人で相手できる実力者達だ。
彼女たちは殺人レスリングを自任し、試合に乱入して数多くのレスラーを再起不能にしており、その動画をネットに流布していた。理由は不明。
スナッフフィルムに近い彼女たちのサディスティック行為はだんだん度を越えてるが、その被害がプロレスリングというショーで局所的に限られていたので、一般大衆にとってはそれは単なるショーにすぎなかった。
そのようにヘルズフレアの圧政でレスラーたちの生態が脅かされている時に現れたのがまさに謎の少女レスラーファイターエンジェル。
その小さい体の少女は、ヘルズフレアのレスラーたちだけをターゲットに乱入し、次々と打ちのめして大きな話題になっていた。
最初は線域浮かべることで作られた ヒーローだと思ったが、新人とは思えない競技力と高い熟練度の空中技は観衆を一気に魅了し、短期間に多くのファンを保有しながら、議論を早く蚕食させた。デビュー以来、連戦連勝だが、カウントが終わる前、いつも姿を消すため、公式記録は無勝。その正体はまだ明らかになっていないままだ。
「こら!マネージャー!」
「は、はい!」
「何をぼうっとしてる?さっさとリングに上がりな! 」
音森女学院プロレス部。数多くのプロ選手を輩出した日本女子プロレス界の名門だった。しかし、名門であれ、陰はどこにも存在するもの。
先輩たちの命令に従ってリングに上がると、先輩の一人が後ろから鈴の両腕をつかむ。
「担当レスラーがピンチのときに盾になってくれるのもマネージャーの仕事って、よくわかってるだろうな?だから俺たちがお前の根性を鍛えてあげるってことよ。」
「は、はい・・・。」
当然いじめのための口実に過ぎなかった。どんな技にやられても鈴がダメージを受けることはないだろうが、そのためにどう痛いふりをしたらいいか悩んでいた。
「私のマネージャーに何の用件ですか?先輩たち。人が見る試合では一人も倒せないくせに、後ろではマネージャーをいじめて恥ずかしくないですか?」
「チッ、高瀬じゃないか。」
高瀬 莉奈。音森女学院プロレス部のエースレスラー。その実力は全国水準にあたり、同年輩はもちろん、大人レベルでも最早かなわないと言われる天才レスラーだった。
「練習相手が必要なら、わたしが代わりになってもいいですが。何なら3方とも一度に相手になってもいいですよ。」
高瀬の挑発に3人の先輩たちが互いの顔色をうかがう。
「チッ、いまわれわれが引き下がるのは、あなたが学園の看板だからだよ。覚えてなさい!」
鈴をいじめていた先輩たちがリングから降りてきて、逃げるように退く。
「覚えてなさいて・・・完全に雑魚のセリフじゃない。あの人たち、やることないのかな。」
「ありがとう莉奈ちゃん。本当助かったよ。」
然し、その言葉が高瀬の神経を気に障ったのか、莉奈が鈴を黙ってにらみつける。
「助かるだって?実はあんた一人で何とかなるんじゃ無いの?」
「そ、そんな事ないよ。莉奈ちゃんが何を言っているのか私には分からないな...。」
「あんたって本当ずうずうしいわね。マネージャー身分に隠れてないで出て来たらどう?」
莉奈の追及に、鈴は言うべき言葉が見つからず、莉奈の顔色をうかがっていた。
もしかして何か気づいてるのかな?言葉を選んでいる間、リナの方から先に話題を変える。
「あんたって、有里先輩と仲良かったんだよね。それ以来連絡はあった?」
「なかった...かも。」
「本来、そのベルトは正当な勝負から取るべきだった。しかし、その人は突然消えた。私との勝負も押っ放しながら。その人も結局卑怯者に過ぎなかったのよ。」
莉奈が心にもないことを言っていることは鈴もよく知っていた。莉奈も有里先輩のことを尊敬してたから。そのとげとげしい口調が向いているのは、鈴自身だということをすぐ知ることができた。
「先輩は...卑怯者なんかじゃないよ。」
「ふん,どうだろう。それにあんた、此の前にも言ったよね。私にちゃん付けで呼ぶなって!」
「でも...。」
「私、あんたみたいな臆病者と友達になった記憶ないから。その事ちゃんと訂正して。」
もう向き合いたくないというように、離れながら莉奈が一言投げ付ける。
「いつかリングに上がらせてあんたの正体を暴いてやるから。絶対に覚えておいて。」
本当にこれでいいのか。友達を騙して心の片隅に罪悪感が染み込む鈴だった。
やみ深い場所。現ヘルズフレアのNo.2、エレクトロマリアが、巨大なスクリーンを通じて、以前のエンジェルとレッドウィップの試合を見守っていた。不機嫌なためなのか、機械仕掛けの体から鋸歯が何度もきしんでいた。
「や,最後のあのムーンサルトから高角からのリバース・DDT、その完成度とか男性競技でもめったに見ることができない技だったと考えですが、眞日本プロレスの名島解説、今回の試合をどう思いますか。」
「確かエンジェルさんはすごい新人なのかもしれませんが、もしかしたらヘルズフレアという謎の団体自体が実はたいしたことではなかったかもしれませんね。」
「いや、しかし、その古畑選手を含め、多くの眞日本の選手が実際に敗戦を記録してはいませんでしたか。それなのにそうおっしゃるのですか。」
「そうです。当時の古畑選手は体が悪かった。ヘルズフレアは結局、闇の技術に頼るヒールレスラー団体。女だと油断さえしていなかったら今のような結果は出なかったでしょう。彼女たちにとっては今まで運が良かったと。」
「あら、ずいぶんなめてますね。」
「高みの見物ですか?シスターエビル。」
ついさっきまで湯船に浸かっていた赤い裸の女性が水気を地面にぽたぽた流しながらマリアに近づいてくる。
「まさか。ヘルズフレアの幹部として、私は団体のことを自分のことのように思っているんですよ。」
空っぽの瞳は心中を読み取ることができないが、あざ笑うように上がった口元を通して、それが口先だけのものであることが誰もがわかった。
「あなたをそんなふうに思うのはあなた自身だけです。役に立つ気がないのならどうぞこの場から消えてください。」
「ふふ。性格悪いマリアさんのきげんを損なったので、今回のファイターエンジェルさんも長生きはできませんね。」
シスターエビルはものともせず、マリアを置いて闇の中に消える。
(ふん、不気味な女、何を考えるのか...。)
「ねえねえ、その小娘、私が引き受けてもいいかしら?」
視線を向けると、ピンク色のぬるぬるむちむちした女がソファーに横になって、皿の上のブドウをかじっていた。クィンスライム·ネロミだった。
「あら、あなたが?どういう吹き回しですか?」
「ただの暇つぶしさ。その小娘をボッコボコにして、私の恨みを晴らすつもりよ。」
「強い相手に駄目だからやりやすい相手に八つ当たりですか。自分しか考えない土イソギンチャクがやりそうな考えですね。」
「は?今何て言った?」
憤慨したネロミが、その巨体で威嚇するようにマリアに近づく。
「今私に豚だと言ったよね?豚だって。」
「あら、そっちのほうが好み?あなたの性別まで考慮してめすぶたと呼ぶこともできますが。いかが?」
「く・・・!ムカつく女!天使だけ片ついたら次はあんたの番だからね!」
「私ですか?次に延ばすことなくこの場から掛って来るのはどうですか?ちょうど夕食に使うケチャップが必要なところでしたから。」
二人の幹部が神経戦を繰り広げている時、その隙を縫って入ってきたのは、幼い幼女の声だった。
「ねえ、マリア。この前買った私のプリン。見えないよ。」
獣耳の幼女が眠い目をこすってマリアをむずかる。
「・・・あら、それは大変。かわいそうに・・・私と一緒に探してみましょうか。」
見た目は普段のような冷たい話し方だが、かなり和らいでいて、その幼女がマリアに特別な存在であることをだれもがわかった。
「うん。マリアちゃんって優しい。」
マリアがネロミのことをいつ気にしてたのように幼女の手を取ってその場を離れる。
「糞人形がいつかぶっ殺す!・・・うん?」
ふとネロミの視線がスクリーンに映し出された鈴に固定される。
「このあま、どこかで・・・。」
ネロミが何かを考えると、すぐ卑劣な顔を浮かべる。
「ふふふ、何か面白くなったわ・・・。」
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Note : まだプロローグの話なので流れに乗りたいし、猫の穴のストーリーがまだ整備が必要なので、5月にもドロップキック2話が掲示される予定です。ボクシングを待っている方には申し訳ありません。
代わりにドロップキック2話では1枚追加して4枚ともプロレスシーンになる予定です。
2話ではヒロインとネロミの戦いが描かれる予定で試合の行方を決める後援者投票が導入されます。
詳しいのは別途にお知らせいたします。
第1話に限定して以降に全体公開に転換されることもできます。
Pro wrestling will be submitted in May because the story of boxing needs to be overhauled. Please don't be mistaken.
There will be a vote on the winner and the loser in Pro Wrestling Episode 2.
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