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どれだけの時間が経ったんだろう。

目隠しされて、両腕は縛られていたが、気がついてかなり時間が経ったにもかかわらず、自分に何かの措置が取られる気配はなかった。力が回復するまでおとなしくしていたが、天使の力もちょうど回復したところだった。


(こんなもの…!)


拘束を外して監禁されていた部屋を出ると、そこはどこにもある一般家庭のようだった。


「夢原 鈴君、だったわね。」


部屋を出た鈴を迎えた初対面の男。その中年男性は脂っこい肌の太った体格、整った身なりでどこかの財力家らしい雰囲気があった。穏やかな顔で鈴を迎えているが、彼が今の状況と無関係であるはずがなかった。


「…あなたは?」

「腹減ってんじゃない?今頃には出て来ると思って午餐を用意したんだ。ふふ、そんなに警戒する必要はない。なぜかと言えばおじさんは鈴君の大ファンなんだぞ。折角用意したんだから食べて行ってくれ。」

「…用がないなら帰ります。」


男を警戒してそこから抜け出そうとするが、中年男性の口から出た言葉が鈴の足をつかまえる 。


「君の大事な人の情報、ほしくはない?」

(大事な人…?)

もしかすると先輩について何か知っているのでは?男の言いなりになるのは気まずいだったが、抜け出そうとすればいつでも抜け出せる。そう考えた鈴は、男に従って警戒しながら食卓の前に座る。


「おっしゃることってどんな…早く済ませてください。」

「鈴君の推察どおり、おじさんは彼女達を後援している。」


彼女達。きっとヘルスフレアのことだろう。


「どうしてですか。彼らが何をするつもりなのか、あなたなら知っているはずです。」

「鈴君はパンとサーカスという言葉を知っているのかい?」


知らない言葉だったので、鈴が首を横に振る。


「嘗て古代ローマ帝国は毎月1カ月分のパンとコロッセウムの観覧券で300年近くローマ人を支配した。人間とは衣食住と適当な娯楽さえあればすぐに退廃文化に陥り、世間の事などどうでもいいだと興味を失うようになる。おじさんは、この地にそのコロシアムを建てるつもりだ。」

「そのために彼女たちの支援を?でも、人々が殺人ショーなんかを受け入れるはずがないです。」

「ふふ、集団暗示と言ったっけ? そちらにもその分野の専門家みたいのがいるってね。メディアの露出が容易なプロレスが選択されたのも単なる偶然じゃない。今人気の鈴君には私のコロシアムのリングに立ってスターになって欲しい。」

「私が素直に協力するだと...?」

「鈴君は私が自分の私利私欲を満たすためこんなことをしていると思うだろう。でもそうじゃない。ここ10年美しかったこの東方の国もくさった社会のシステムのせいでその光を徐々に失おうとしている。変えようとするとその力も能力もある。しかし、人人は誰一人責任を負おうとせず、正しい仕事をしようとする誰かを引き出そうと必死になる。」

「そのために人々の目と耳を潰すということですか。難しい話は分かりません。でも、その主催者があなたであってはだめな氣がします!」

「矢張りそう簡単には聞いてくれないのか。ふふ、君は君の大切な人の情報が必要なんだろう?」


男性から渡された数枚の写真には誰かにリンチされたような凄惨な姿の莉奈が写っていた。


「莉奈ちゃんに、何をしたんですか!」

「おっと、その件はわたしとは無関係なことだ。私はただ場所を提供しただけ、位置なら写真の裏面に書いてある。かけがえのない大切な友達だろう?」


詳しい事情は分からないが、莉奈が捕まっていると知った以上、こんなところでぐずぐずしているわけにはいかなかった。


「おじさんて、頭がいいふりをするつもりかもしれませんが、ただ彼女達に利用されているだけです。絶対におじさんの思う通りになるはずないですよ。」


鈴が場所を離れると、男の携帯の音が鳴る。


「私だ。いまそちに向かっている。後は君たちに任せよう。そういう約束だったから。あぁ、半殺しにしてもいい。…好きにしろ。」

「私が利用されているだと?ふふ、その逆だよ鈴君。君も結局、私に従うことになる。」

….

..



寫眞に書かれた場所は人通りの少ない船着き場の倉庫だった。暗くてまともに見えないが、莉奈のように見える影を見つけた鈴が彼女の名前を叫ぶ。


「莉奈!」


瞬間、暗かった倉庫に明かりが点けて、床から鉄格子が上がり、鈴と莉奈の仲を引き裂く。


(罠...!)


足元から上がってきた床は瞬く間にリングを形成して、照明が暗く詳しくは見えないが、仮面をつけた大凡20人くらいの観衆が鉄窓を囲んでいた。


「おらあっ!」


鈴がふと空中から聞こえる音に反応して振り返ってみると、鉄格子の上からブラディオクのバーミルがマットの上へ飛び降りる。その100kgは軽く超えるような巨体にマットが振動し、鈴がバランスを失う。


「しまった...!」

ズドオォォン!!

「ごほぉおぉぉッ!?」


鈴の腹部にまともに刺さった巨大な拳。バーミルが鈴の腹に打ち込んだ拳をさらに押し上げ、内臓を圧迫すると、居場所を失った胃液が押し出されてマットの上にこぼれる。


「コロシアムのリハーサルに来たのを歓迎するぜ天使ちゃん。こないだはよくも一発食わせてあげたよな?これはそのお礼よ!」

(コ、コロシアム...?あの男が言ってた...。)

「かはッ...!!おえぇぇッ...!!」


バーミルが拳を回収すると、一握り胃液を吐き出した鈴が殴られた腹を抱えてたじたじと後ろへ下がる。


「ちょっと挨拶したことで、もうくたばっては困るんだぞ?」

「く...!あなたたちが莉奈を…!」

「あぁ、そうだ。気に障るから俺様がサンドバッグにしてくれたぜ。5分ぐらい耐えたけど、おまえはどれくらい耐えられるかな?ようすを見てんじゃこりゃ7から8でおわるようだな!」

「...これで全力なんですか。」


まともに入った一撃。相当なダメージだったが、彼女たちの卑劣さに怒りが込み上げていた鈴も挑発で応酬し、バーミルの険しい顔をさらに歪める。


「あーん?」

「私を倒せるには、この程度じゃだめです!」

「ふん、大きいつらをするのも今の内なんだぜ!よおっし、特別に俺様の取って置きでおまえをあの世に送ってやろぉ!こりゃ5分もかからないな。バーミル…!ギャラクティカ…!」


フィニッシュムーブを披露するためか、姿勢を整えて力をこめるバーミル。しかし、鈴は待ってくれずにバーミルに襲いかかってみぞおちにエルボを刺す。


ドボォ!


「うぐッ…!!ごほおぉぉおえッ…!!」

「悪いけど、あなたに構う余裕なんてないです!」

「や、野郎…!正義のヒロイン分際で…こんな…!」


目が充血して苦しそうに腹を抱えているバーミルの巨体が唾液をだらだら流しながらマットにドーンと倒れる。


「次は誰ですか?もう引っ張らないでさっさとかかってきなさいよ!」


リングの外からヘルスフレアのレスラー数人が待機していたが、あのバーミルが一撃で倒れると、誰一人気軽に前に出られない。


「その必要はない。おまえをぶちのめすのは私一人で十分だからな!」


リングに上がったのは、前にも見覚えのある顔だった。


「大きさだけでかくて、役に立たない奴…!」

レッドウィップがマットにたおれているバーミルを蹴ってリングの外へ押し出す。



「久しぶりだね、ファイターエンジェル。いや、本当の名前は夢原 鈴。可愛い名前ね。」

「あなたって、たしか…!」

「ヘルスフレア隷下組織、サイドアームズ大将、レッドウィップ。もう忘れたの? 私は忘れないのよ。おまえに踏みつけられたあの恥辱の記憶。それ以来、私はもちろん、マリア様の立場まで危うくなったのよ。おまえのせいでな!」

「雪辱という事ですか、でも、あなたの実力では、私に勝てないはずです!」

「ふん、マットに突っ込んだ後にもそんな生意気なことをいえるかな?前とは違ってここは私たちのホームグラウンド。ここに足を踏み入れた瞬間からお前に勝ち目はないのよ!」


カーン!

ゴングが鳴るやいなや飛びついたレッドウィップと鈴がお互いの手をつかみ合って力比べを始める。


「くっ...!」

「私はね、おまえに負けた以来、ずっと待っていたのよ。おまえのその可愛い顔を、ギッタギタにするこの瞬間をな!!」




Note : 新年から退屈で長いバックストーリーで申し訳ありません。6-2話で、残りの6枚のイラストで伺います。ですが、昨年12月30日に引っ越しました。そういうわけで現在インターネットがない状態で、1月5日に設置される予定ですが、6-2話とダウンロードコンテンツのアップロードが遅くなる可能性があります。たぶんネットカフェを利用するつもりですが、一応お知らせします。


The upload of Episode 6-2 may be delayed because the Internet has not been installed since we moved in on December 30 last year. The Internet will be installed on January 5. I'm sorry.


작년 12월30일에 이사해서 인터넷 개통이 안된 상태로 6-2업로드와 번역판이 약간 늦어집니다. 죄송합니다.


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[ DOWNLOAD ]


- Other Language

Suzudrop_Ep06-1(ENG)

스즈짱드롭킥_6-1화(KOR)


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Comments

Haju

과연 이번엔 어떻게 될지...! 2편 기대합니다..!

TK-X

鈴ちゃん格好良い! 続きを楽しみにしてます!

purplet

鈴ちゃんを応援してくださって ありがとうございます 準備が整い次第アップロードします!

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新年更新お疲れ様です! ストーリー構成も最高で目が離せないです!! 鈴ちゃんvsレッドウィップどうなるのか楽しみに次回更新お待ちしてます!

purplet

ご了承ありがとうございます できるだけ短く書こうとしていますが簡単ではないですね(´∀`;A