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(ここは?…どこ?)


織慧が気がつくと、見知らぬ天井が彼女を迎える。ベッドから体を起こそうとした瞬間、腹部で名状しがたい苦痛に、低い悲鳴を上げる。


「私なら、当分動ける考えなどしないはずです。」


声が聞こえる方向には、お茶を煎じる赤髪の女性がいた。通常の既製品に比べて面積の少ないメイド服姿だが、同年代のように見えながらも端正に見える品行から連想のように感じられる雰囲気があった。


「そんなにやられても、もう体を支えることができるとは、現代医学に感謝すべきですね。」


織慧が状況を知らずに警戒する間、メイドの女性がお茶を持ってきて自己紹介をする。


「小石川 いのり。今日からあなたのセカンドです。」

「セカンドだって?地下リングでセカンドって聞いたことないよ。そんな名前のお目付け役でしょう!」


不機嫌な様子をありありと見せながら返事をしたが、相手の反応は淡々としていた。


「地下に来る前はどこかのお嬢様だったと…。ここで過ごされる間、不自由がないように私がサポートする予定ですので、私のことを使用人のようにお使いしてください。」


いのりがお茶を織慧の前に出す。


「お茶を入れてました。鎮痛効果があって体の回復に役に立つかと。」

「ふ~ん、使用人だって…?」


織慧が受け取ったお茶をいのりの頭の上にこぼしてしまう。しかし、いのりは瞬きもせずに、その不当さを受け入れていた。


「いいよ。何のたくらみか知らないけどつきあってあげる。使用人のふりをするくせにそんな格好でいるつもりなの?」

「…衣服を整えてきます。」


イノリが洗濯のため部屋を出る直前、織慧に注意を与える。


「老婆心かもしれませんですが、施設から出る考えなど、しないほうがいいです。」


イノリが部屋を出ると織慧が少しの時間差を置いて鍵がかかっているかどうかを確認する。


(鍵はかかってない...こんな所に一刻もあるものか!)





少し時間がすぎて、もう10分以上かかったが、織慧は同じ廊下をうろつくだけで、出口を見つけられずにいた。


「ここは一体何なの? 出口どころか窓も見えないじゃない!」


そうしてさまよううちに廊下で二つの影を見つけると、そのうちの一人は織慧が克く知っている顔だった。


「お前..!私をこんな所に閉じこめて!早く私をここから出して!」

「口の使い方に気をつくんだな。未だくたばったと思ったが元気そうでよかったな。」


総括マネージャーの伊勢島が織慧を見て顔をしかめる。


「今君に構でる暇わない。問題起こさずにさっさと部屋に戻りな!」

「ふふ、あなたですね。私の元先輩というのは。」


伊勢島の隣にいた金髪ロングツインの女が織慧を見下すような生意気な態度をとって近づいてくる。


「先輩だと?悪いけど、私お前なんか聞いたこともないんですけど。」

「私にはいるんですよ?つまらないデブなんかになぐられて引っ張り出された哀れな姿、あなたなんかの後輩扱い為れる私の立場も少し考えてくれませんてことよ。」

「はぁ?いま、けんかうってるの?」

「ねえ、マネージャーさん。言うことを聞かない猫には少し教育が必要だと思いませんか?」

「そうだな。本来ならリングの外で商品同士の戦いは禁止だが…。」


伊勢島が織慧に目を向けると、織慧がびくっとして防御態勢をとる。


「何を、やるつもり?」


伊勢島が懐からリモコンを取り出しボタンを操作すると織慧の肛門につながったアナルプラグが振動し始める。


「ひーッ、ひッ!なんなのよこれ!ひいッ…!」

「反応を見るとこんなことは慣れてないようだな、お嬢さん。用がすんだら事務所に戻して。」


伊勢島がユメミリモコンを投渡すとその場を離れる。


「これはなんなの!?早く消して...!」

「あははっ!これから道具として使い捨てられる女が誰に命令するんですか?」

「私が道具だって?それはあんたも同じでしょ!」

「私が?悪い冗談ですね。私はもうすぐここから卒業するんですよ。あなたなんかと同じだと思ったんですか?」


そ、卒業だって?


「そうですよ。まあ、これから2連勝という条件がありますが、私はデビューしてから一度も負けたことない、本物のスーパールーキーですから、あなたのような偽物と違って。 私の卒業はもう決まってるんですことよ。」


その時、ユメミの元にリングの選手に見えるギャル女二人が近づいてくる。


「ユメミちゃんここにあったのね~もうすぐ卒業だって私たちにおろそかにしすぎじゃない?」

「ふふ、あんたたち、いいタイミングに来たよ。ちょっと手貸してくれる? 特技じゃない?ゴミ掃除。」

「これがそのゴミ?ケッ、弱そう。」


「くッ...!おまえ等...!」

「どこに口をしゃべってんだ!あん!」


織慧が何か言い返そうとすると、ロングヘアの女がいきなり織慧の顔面にパンチを食らわす。


バシン!

「ぐへッ!」





施設の奥まった所。周囲に散らばったゴミ箱やたまっているごみ袋の山から見てごみを処理する場所のようだ。


メギィッ!!ズドォォンッ!!ドズゥン!!

「ぐッ!!ぐふぅッ!!ぶげッ!!」


強烈なバイブレーターの刺激に抵抗もできず、ユメミ達に集団リンチされた織慧がゴミ箱に押し込まれる。


どかん!



「ぐぶッ!!うえぇぇ!!」


ユメミがゴミ箱に飛び出したアヒルのおしりを踏み付ける。


「これからは相手を選んでから喧嘩を売るんですことね、パイセンさん。あははっ!」





織慧がゴミ箱から引き出されてまた部屋に戻ったのはそれから三時間たった後だった。前よりもっと凄惨になったかっこうに、いのりは言葉を失ったようだった。


「…なあによ?」

「まさかと思ったんですが…私があなたのことを少し甘く見たんですね。」


織慧は別に返す言葉がなかったので、いのりの視線から背を向ける。


「この施設。聞いたところでは、海洋事故で運行が中断された大型貨物船を買い入れて改修したそうです。 各階をつなぐ梯子カンは普段は隔壁で塞がれているので、見えないのが当然です。」

「それを先に言えよ!」


貨物船だって?重要な情報だったが、今重要なのはそれではなかった。


「あいつ...!絶対ゆるせない!」

「姫川さんですか?」

「どう知ってるの!?」

「連絡があったからです。捨てたゴミを回収しなさいと。」

(彼のあま...!)


「公式記録5戦全勝、実力だけでなく元アキバアイドルとして、外見とパフォーマンス総て優秀。今、リングでもバックアップしている新人です。」

「知ったことかよ!あんた、あのマネージャーばばあと繋がっているんでしょ?どうせリングに立つもの、彼の女をぶちのめせるように試合を組んでくれと伝えて!」

「かまいませんが、よろしいでしょうか?彼女は戦勝を条件にもうすぐ卒業を控えています。商品が卒業するのを望まない伊勢島さんとしては、もし負けたらとんでもないものを要求してくるかもしれません。」

「ふん、100%体調の私があんなヤツなんかに負ける筈ないだろ… 問題はこれよ!」


織慧が自分に挿入されたアナルフラグの尻尾を引っ張る。


「こんな機能があったって聞いたことないよ! 試合中にそんなことされたらおしまいじゃない!」

「多分、そんなことは起こらないでしょう。」


断言するいのりに織慧が問い返す。


「私はこれの所為で大変だったのよ!どうして断言するの?」

「簡単な話です。その機能は長い間使用されなかったから、柚花さんみたいにその機能の存在を知らない選手も多いです。」

「でも、あんたの言う通りだったら、最初からこういう機能作らなかったでしょ?」

「確かに、その機能は出来レースのため作られた物ですが、地下ボクシングが予想以上の興行を記録している今は、平凡にチケットを発行する方が事業的にもっと得になる、それが理由です。」


余計な八百長でリングの信頼を落とすより、その方がましだと言うお話か。

『然し、この話何か引っかかるんだが…。』


「今後、宜しいでしょうか。今日の夕方、彼女の試合がある予定です。」




※何故か長文になってしまったので下手くそな日本語に注意を(・ω・)b

今週中に5-2も改題される予定です

(Episode 5-2 will be posted within this week.)


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