【仕事絵ラフ・考えてた事】天空のスカイガレオン第4弾 ヘル (Pixiv Fanbox)
Published:
2018-05-10 10:42:34
Edited:
2018-05-13 00:03:56
Imported:
2021-07
Content
死者の国ニヴルヘイムの女王で、体が半分腐ってるらしいです。
■決まっていたこと
ぱっつんのボブヘアー、ヘアバンド、右半身の包帯、ゴスロリ、色白、少女、背景の頭蓋骨群、手に持っている骸骨など、あらかたの要素は既に決まっていました。
■まずは知識から
少女を描くのは初めてだったので、可愛い少女の知識を貯めて引き出しを増やそうとすることから初めています。イラストで描けない要因というのは、まず始めに知識がないという点、次いで描き慣れていないという点があります。名画を描いている著名な芸術家の人達も、習作と呼ばれる作品を何枚も作ってからメインの絵を描きます。同じように、アニメ・イラスト・ゲーム・映画・実写(海外の少女や造形物メイン)など、ジャンル問わずネットを使って可愛い少女と思われる画像をたくさん検索し知識を貯めつつ、ラフ(きちんとキャラとして判別できるレベル)で少女をたくさん描くことにしました。(データは残っておらず)
それと同時進行でキャラクターデザインを始めます。
■キャラクターデザイン
すでに大体の要素はクライアントからの指示で決まっているので、どう見栄えよくキャラクターに落とし込むかが重要だなと感じていました。
ざっくりとシルエットを描き、全体の雰囲気を決めていきます。
同時に大鎌のサイズやデザインもこの段階で決めました。
ある程度方向性が決まったら、細部のデザインに移ります。
※今だと、前と後ろの立ち絵キャラを描いて色を乗せつつ上から重ねるように描いていきデザインを決めるのですが、当時はラフで線画のみの立ち絵キャラを描きおおまかなデザインを決め、メインとなるイラストのラフ上で細部デザインを作っていました。
■ヘアバンド
ヘアバンドの形は、マンガ肉についているような骨型というクライアント側からの指示がありました。
両端の膨らんだ骨部分は見えるようにして欲しいという内容で、当時はヘアバンド=髪の乱れを整える物という固定観念に捕らわれていた為、ときめきメモリアルの藤崎詩織がつけているようなオーソドックスな使い方しか連想できず、どうやっても両端の骨の部分は髪で隠れるじゃないかと随分悩んだのを覚えています。
ですが、ある時、中古ゲームソフトを求めてお店へ行った際に、アニメ「ゾイドジェネシス」のPV(何のPVだったかは覚えておらず)が流れていて、レ・ミィという少女キャラの頭についた装飾を目にして装飾目的だけのデザインはありなんだと目から鱗が落ち、今のようなデザインになりました。
■包帯
このキャラクターは、体の半分が腐っているため包帯で隠しているという設定がクライアント側から設けられています。
当初はまるで怪我人やミイラのように髪の毛も覆うような形で巻いていたのですが、ヘアバンドにも干渉し可愛くなかったのでどうしたものかと何度もラフを描いては消しを繰り返す中、ふと、包帯に対する捉え方を変えればいいのではと考えを改め、顔の部分は「眼帯」として捉えることにし、顔半分を覆うような眼帯といえば誰かなと思いを巡らせている時にファイナルファンタジー9のベアトリクスが思い浮かんだので、彼女を参考にデザインを決めました。
この事から、1つの思考にとらわれることなく、視野を広げ色々な角度から要素を捉えることが重要なんだなと学びましたが、残念ながら、しばらくは同じ事を繰り返しています(すぐに忘れるのがよくないところ)。
■ゴスロリ
ゴスロリも初挑戦です。そもそも接点が全く無かったので知識を貯めることから始めました。
また、女王なのでドレスの要素も欲しいなと考え当初はウェディングドレスといった豪華な要素を盛り付けていたのですが、死者=腐敗の女王なのに服装が豪華できらびやかというのは雰囲気があまりに不釣合いと感じたため、シンプルでしっとりとした中に少しドレス要素を残す方向性に変えました。ラフの中にある、コルセットや二枚に重なったフリル、腰から左右に分かれているスカート部分などがその名残です。
最終的にはゴスロリ要素が強く出たデザインになりました。
※ドレス要素の強かったヘルのラフが消えてしまっていたので、当時描いてた物とは異なりますが、ドレス要素を強めたヘルの立ち絵を描いてみました。
■大鎌
腐敗の女王なので、手に持つ武器も死を連想させるような物がいいだろうと考え、持ち手を人の腕や足の骨を継ぎ合わせた物、鎌の峰部分を肉と骨が合わさったような生々しいデザインにしました。
当初、女王様ですからやはり手に持って悠々と構えた方が良いだろうと考え、何とかキャラクターに持たせ画面内に納めようと四苦八苦していたのですが、ふと、画面内に鎌を納めるという考えに執着しすぎているんじゃなかろうか。この画面での主役は女の子なんだから大鎌であるという要素さえ分かれば良いと考えを改め、思い切って画面外へ出してみると思いのほか上手くいったので、当時は自分をたいそう褒めました。
■足元に影を落とす
女の子が腰掛けているというのはクライアント側からの指示があったので、その中で女王たる優雅さをどうだせばいいかと色々試行錯誤していました。
結果、二枚目のラフに決まったので色を塗り始めたのですが、肌は色白で衣装が全体的に黒いということもあり、顔から足にかけて導線が作られそのまま画面外へと出てしまう状態に陥ってしまったので、視線を外へ出さないよう足元に影を落とすことで、女の子へ目がとどまるようにしました。結局スカートの白い部分がまだ目立っているので、もう少し影を落としてみてもよかったのではないかと今では思います。
単純に服の影でもよいですが、この場合、画面外にも骸骨がたくさん吊り下げられているように見せるため、骸骨型のシルエットをした影を落とす方向でもよかったように思います。
■感想
初めて描く要素が多く、捉え方を変えてみたり、これをきっかけにフリルをどう描けば美しく見えるのかという課題も生まれ、色んな意味でとても勉強になったキャラクターでした。
色々と悩んで描いた結果、ユーザーにも受け入れられレアリティが上がっていったキャラだったので、今でも思い入れが強いです。
(今はここまで。また思い出したら追記します。)