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「・・・やっぱり・・・

元プロは伊達じゃ・・・ないですね」


耳元で彼が囁く。肌に密着した蒸気機関のように熱く蒸れた身体。

その逞しい筋肉の下で血液が轟音を立て身体中を巡っている。

心臓の鼓動が肌一枚で共有できる距離。


クリンチのこの時間が好きだった。試合中、血を流して殴り合う相手なのに、なぜかセックスの様な愛情を感じる不思議な時間。

いやでも本能が相手の体を意識し、性的興奮が脳を支配する。彼も同じなのだろう、お腹に当たる陰茎が充血し脈打ち始める。それにあてられ、私の股間も熱く濡れる。認めたくないが、彼の硬く勃起したそれを受け入れる準備はもう出来ていた。


「・・・ばか。・・・早まらないでよ。」

優秀な男の遺伝子を求める本能。それを振り払うかのように、強がりを言い放つ。


~~~~~~~~~~~~~~


試合はもう既に8ラウンドを回っているだろう。若く体力がある青年でもここまで動きっぱなしではいられない。・・・もちろん彼女も。

体力は限界を迎え、腕を上げるのもやっとの状況だ。

元プロボクサーの意地。それが彼女をリングに繋ぎ止めるただ一つの力。

青年の槌のような右拳に幾度も打たれた左頬は痛々しく熱を帯び、熟れた果実のように腫れあがっている。


「・・・そろそろ・・・終わりにしましょう。」


優しく微笑み、そっとお互いの身体を放す。

お互いに勝負の結果は分かっていた。だからこそ、ボクサーとしてきっちり最後まで殴り合う。どちらかが倒れるまで。


赤いスポンジで包まれた拳が互いの顔を激しく打つ。

鼻が潰れ、唇が切れ、瞼が腫れ上がる。意識が飛びそうな拳の嵐。

それにももかかわらず互いに一歩も引かない。ガードもしない。純粋な殴り合いがそこにあった。


手数では間違いなく彼女が上回っているが、青年の丁寧な打撃が彼女の意識を確実に摘んでいく。


バグッッッ


「・・・ん゛ぁ・・・」


決定的な一打にとうとう彼女の手が止まった。

足ががくがくと震え、世界が揺れる。


視線が定まらない虚な瞳に、青年の渾身の追撃は映っていなかった。


バキィッッッ‼︎‼︎‼︎


「・・・・・・・・・‼︎!」


ねじ込むようなブローが顔面を吹き飛ばした。

首がねじれ、重い肉塊と化した彼女の身体宙を舞う。


狭いリングを端から端まで吹き飛ばされた彼女は、そのままロープの隙間に頭から突っ込んだ。

激しくリング全体が揺れる。



「んあ…あぁ…」



上半身をだらりとリングの外に放り出し、よだれがだらしなく糸を引いて垂れ落ちる。



白目を剥いたその顔には、もう微塵も闘志が感じることはできなかった。





「もう、終わりですね。」




息遣いだけが残る部屋に、彼は呟いた。




つづく






差分













たくさんのアンケート、どうもありがとうございました!

どれも読み応えのあるアイデアでとても嬉しいです。


どれも描きたいものばかりですが、いかんせん時間がない身になってしまいまして・・・😭


遅筆で大変申し訳ないですが、細々とでも続けれたらと考えています。




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Comments

オテモト3

頬を潰される女性の顔に、なぜこんなにドキドキしてしまうのか……この後は受け身一辺倒の予感。

つんこ

シチュエーションが最高です! 強い女性が殴り合いの末に負けるシーンはゾクゾクします!

カス

いつも最高です。

tarupo789

丸いグローブ🥊で頬が潰れる、、、良いですよねーー

tarupo789

ありがとうございます! 力を物理的に思い知らされるのが最高ですね

natsulucy

loved the way she got blown and seeing her hang on the ropes with her breast, amazing work as always!