SEXBOX③ (Pixiv Fanbox)
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「・・・やっぱり・・・
元プロは伊達じゃ・・・ないですね」
耳元で彼が囁く。肌に密着した蒸気機関のように熱く蒸れた身体。
その逞しい筋肉の下で血液が轟音を立て身体中を巡っている。
心臓の鼓動が肌一枚で共有できる距離。
クリンチのこの時間が好きだった。試合中、血を流して殴り合う相手なのに、なぜかセックスの様な愛情を感じる不思議な時間。
いやでも本能が相手の体を意識し、性的興奮が脳を支配する。彼も同じなのだろう、お腹に当たる陰茎が充血し脈打ち始める。それにあてられ、私の股間も熱く濡れる。認めたくないが、彼の硬く勃起したそれを受け入れる準備はもう出来ていた。
「・・・ばか。・・・早まらないでよ。」
優秀な男の遺伝子を求める本能。それを振り払うかのように、強がりを言い放つ。
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試合はもう既に8ラウンドを回っているだろう。若く体力がある青年でもここまで動きっぱなしではいられない。・・・もちろん彼女も。
体力は限界を迎え、腕を上げるのもやっとの状況だ。
元プロボクサーの意地。それが彼女をリングに繋ぎ止めるただ一つの力。
青年の槌のような右拳に幾度も打たれた左頬は痛々しく熱を帯び、熟れた果実のように腫れあがっている。
「・・・そろそろ・・・終わりにしましょう。」
優しく微笑み、そっとお互いの身体を放す。
お互いに勝負の結果は分かっていた。だからこそ、ボクサーとしてきっちり最後まで殴り合う。どちらかが倒れるまで。
赤いスポンジで包まれた拳が互いの顔を激しく打つ。
鼻が潰れ、唇が切れ、瞼が腫れ上がる。意識が飛びそうな拳の嵐。
それにももかかわらず互いに一歩も引かない。ガードもしない。純粋な殴り合いがそこにあった。
手数では間違いなく彼女が上回っているが、青年の丁寧な打撃が彼女の意識を確実に摘んでいく。
バグッッッ
「・・・ん゛ぁ・・・」
決定的な一打にとうとう彼女の手が止まった。
足ががくがくと震え、世界が揺れる。
視線が定まらない虚な瞳に、青年の渾身の追撃は映っていなかった。
バキィッッッ‼︎‼︎‼︎
「・・・・・・・・・‼︎!」
ねじ込むようなブローが顔面を吹き飛ばした。
首がねじれ、重い肉塊と化した彼女の身体宙を舞う。
狭いリングを端から端まで吹き飛ばされた彼女は、そのままロープの隙間に頭から突っ込んだ。
激しくリング全体が揺れる。
「んあ…あぁ…」
上半身をだらりとリングの外に放り出し、よだれがだらしなく糸を引いて垂れ落ちる。
白目を剥いたその顔には、もう微塵も闘志が感じることはできなかった。
「もう、終わりですね。」
息遣いだけが残る部屋に、彼は呟いた。
つづく
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差分
たくさんのアンケート、どうもありがとうございました!
どれも読み応えのあるアイデアでとても嬉しいです。
どれも描きたいものばかりですが、いかんせん時間がない身になってしまいまして・・・😭
遅筆で大変申し訳ないですが、細々とでも続けれたらと考えています。