髪の描き方ざっくりまとめ 1 (Pixiv Fanbox)
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質問コーナーに複数頂いていた「髪の描き方」についてのざっくりまとめです!
2次元の髪とは一体何なのかがよくわからんという状態になり、更新が遅くなりました……
デザイン、流れやなびき方、彩色&ハイライトで記事を3回ぐらいに分けたいと思います。今回は髪型やパーツ形状など、主に素体デザインに関するまとめです。
前置き:二次元の髪とは一体何なのか
現実の髪の毛は、1本1本がすごく細い円柱です。
実写に近い絵では本当に1本1本描かれていることもありますが、絵は描きたいものを表現できれば何でもOKなので、画風は本当に様々です。
ペンで線をたくさん描く絵もありますし、輪郭線だけはっきり描いたり、逆に輪郭線がない絵もあります。1本あたりが太くて毛糸みたいな絵、フィギュア寄りで立体的な塊を強調している絵などなど……
今回はあくまで私の画風の解説ですので、アニメっぽい描き方をメインで紹介します!すべての解説の最後に「(好みや画風によります)」という一文が入る前提でお読みください。
さて下の画像は、アニメやイラストによくある「線画&塗り」のデフォルメ方法です。
形状の特徴を拾って、線と塗り(面)で表現されています。
アニメやゲームイベントCGの場合は特に、沢山の絵を色んなスタッフさんが協力して描くので、できれば引く線の本数が少なく、特徴の再現性が高いデザインの方が良いんですよね。大量に彩色する必要もありますので、バケツツールで簡単に色を流し込めるよう、切れ目のない輪郭線で完全に囲まれていることも多いです。
でも1人で時間をかけて1枚だけ絵を描く場合は、ルールは設けなくて良いと思います。色々好きな描き方を試してみてくださいね!
さて、デフォルメされた状態では毛の1本1本は描かれないことが多いですが、時々細い毛が1本だけ飛び出しているような作画もあります。
アニメキャラが動いている途中だけ、束の分かれ目が随時変わることも。
デフォルメ後の物質がそのままの形で揺れたりはしていないんですよね。
2次元イラストの髪は、フィギュアやぬいぐるみのようにその形で物質として存在しているわけではなく……本当はそこに仮想髪が10万本ぐらいあるけど、目立つ線だけ拾って整形・再構成された状態だと個人的には考えています。
作画順としてはラフも含めて最初に線画を引く場合が多いですが、目的は逆で、塗りが入る部分の形状を掘り起こすために輪郭線があるのだと思います。
塗ってから線で囲むのもアリです!
私は髪を描く際、先に塗りで範囲や形を決めることも結構あります。
それにしても、線で囲むだけでその範囲に髪がいっぱい生えたと見なされるってちょっと凄いですね。簡単な図でも頭にくっついていると髪に見えるのは、見たことがある物に対する経験とか目の錯覚に委ねられているんですよね。他の範囲を線で囲んでも、必ずしも毛に見えるわけではないですし。
デフォルメの度合いについて
外輪郭線だけを抽出して絵を描くと、かなり平面的な絵になります。
デフォルメ度があまりない絵で髪のデザインを極限まで省略すると、ヘルメットと化してしまいます。
線で囲むだけで10万本髪が生えたことになるんじゃなかったの!?と思われるかもしれませんが……他のパーツの線が細かいと、何も線がない部分は相対的に平滑な面にしか見えなくなってしまうのです。
逆に、全体がシンプルな画風であれば外輪郭だけでも違和感がありません。むしろ一部分だけ異様に細かいと、激しく浮きます。上の図は極端な例ですが……。
絵全体のデフォルメレベルを統一することは結構重要かもしれません。
あまり細かい線を増やしたくないけど、ぺったんこになるのは避けたい!という場合は「ここに流れや段の変化があるよ」という「見どころ」に絞って線を入れてみてください。束が交差している箇所をしっかり描いたり、束同士のスキマなどに線や濃い影の筋を入れたりすると情報量がアップします。
キャラクターの髪型デザイン
髪に関するデザイン要素を挙げてみます!
同じ髪型でも髪質が異なると、見た目が全然違います。そして同じ髪質でも髪型が異なると以下同文。色々な要素を組み合わせて、好きな髪型を作ってみてください。
(1)長さとウェーブの強さ
個人的にこの2点は、髪型に与える影響が強い基本要素だと思っています。
大雑把に長さと全体のウェーブ度合いだけで組み合わせ例を表にしてみました。
他にも長さが左右非対称だったり、段がついている髪型もよくありますね。
「毛先だけウェーブ」「外ハネだけ」「内巻きだけ」など、「どこにどういう癖があるか」でも髪型を変化させることができます。
(2)ブロック分け
髪の分け目や、パーツ幅を決めておきましょう!
同じ長さと癖の髪型でも、分ける位置ですごく印象が変わります。
前髪の有無や流す方向、サイドに違う長さの束があるかどうか、前髪を浅く取る・後ろの方から取る、サイドの幅を太くとる・細くとる・一切とらない……などなど。
前髪・サイド・後ろ髪のブロック境界を少し意識しておくと、作画する時に位置関係の把握もしやすいです。素立ちの時にここにあるから、揺れたらここに来る……という風に、動きの基準点として考えることもできます。
ただ、風や動きが激しいと髪もバサバサになって、ブロックの境界は曖昧になることもあります。きっちり髪をセットしているキャラばかりではないですし、あまりホームポジションを守りすぎなくても良いと思います。多分その日の寝癖もある……!
(3)根元の生え癖・立ち上がりの強さ
前髪だけ立ち上がっているアニメキャラを時々見かけます。現実の髪型でも、生え癖で勝手にそうなる人もいますし、巻いてセットしている人もいます。
A:セットして大きく立ち上げた髪
まとめて大きく立ち上げると、ゴージャスに見えたりワイルドに見えたり、派手な雰囲気になることが多いです。華やかさからフォーマルな印象に繋がることも。
ロングだと毛先は重力に従って落ちていきますが、短いと全体がツンツン立った状態になります。
B:生え癖で立ち上がりが強い髪
コシが強くてかたい髪質だと、ある程度毛が自立します。特に極端に浮いた束が、いわゆる「アホ毛」と呼ばれるものですね。
短くて軽い束は重力の影響をあまり受けないので、根本から立ち上がった前髪はおでこから少し浮いた状態になります。しかし後ろ髪は長くて重量があるので浮きにくいです。後ろ側もショート(B')だと、全体がフワフワバサバサと浮いた感じになります。長くても短くても、元気な印象を与えやすいです。
元の髪質がこうでなくても、パーマやヘアセットで少しだけ巻いて浮かせたりすることもあります。
C:超ボリュームのブロック同士がぶつかり合っている髪
癖が強くて量がめちゃめちゃ多いため、狭い範囲で髪が押しのけ合って盛り上がり段ができているようなイメージ。現実ではここまでオーバーな状態はあまりなく、二次元の超ボリュームならではの表現です。
フィギュアの髪の立体感を派手に見せるため、こういう見た目になっていることも多いです。
D:立ち上がりがなくぺたんこな髪
細くてやわらかい髪質です。生えたところからすぐ、ぺたんと寝ています。重力に逆らえません。
髪のブロック境界に目立つ段差を描くと、絵のアクセントになります。活発で派手な印象だったり、アニメキャラっぽさの強調に繋がります。エアインテークと呼ばれる、猫耳みたいな髪型もありますね。
一方、ぺたんこな髪はすごく繊細な雰囲気に見せることができます。キャラクターや描きたい画風に合わせて使い分けてみてください!
(4)毛先の形
毛先の切り揃え度合いでも、髪型の印象が変わります。
前髪・サイド・後ろ髪の切り揃え方が同じではない髪型も多いですね。
前髪だけぱっつんにして後ろは梳いたりと、色々な組み合わせができます。
ちなみに髪を整えていないキャラ設定の場合、あまりにも綺麗にカットされていると違和感が出ることも。
カールしている髪は、リボンを曲げたような形状で折り返して描かれることがあります。はっきり裏表を描くと、曲げの立体感が分かりやすいからなのかな……?
縦ロールやセットされたウェーブなどの髪型は特に、平たい束を曲げたように描かれることが多いです。これは実は微リアル。カーラーやヘアアイロンで巻く時に薄い束にするので、本当にある程度平らになります。(リンク先はヘアアイロンの使い方)
途中で分かれて再合流する毛、層の段差を入れると、平坦な帯を曲げている感が軽減され、髪のランダム感を出すことができます。
合流しない離れた遅れ毛を描くと、セットが乱れて崩れたような表現になります。
(4)ヘアアレンジ
髪を結んでいるときは、結び目に向かって毛流れが発生します。
前髪&サイドと後頭部は、ブロックを分けて描きます。
ひっつめている後頭部に比べて、前髪は若干立ち上がりがあるとアクセントになります。後頭部もおでこの延長となる地肌そのままのサイズではなく、髪の厚み分、少しだけ大きく描きます。髪束のボリュームが現実の人間よりも大きい画風の場合は、若干オーバーに厚くした方がバランスを取りやすいかも。
角度やサイドの髪の幅によっては、耳の上にも髪の生え際が見えます。
高い位置のポニーテールは、かなり強めに引っ張って固定しますので、結び目に向かう毛流れもぴんと張った感じに描かれることが多いです。
(ひっつめ方がゆるいとポニテが自重で下がりやすいのですが、二次元だとあまりリアリティは重視しなくても良いかも)
ゆるくまとめる場合、結び目に向かう毛流れも手櫛で適当にまとめたようなランダム感があるとかわいいかも。後れ毛や浮いている束があると、さらにゆるく見えます。
ヘアアレンジは髪型が多岐にわたりすぎるので、一旦このぐらいで……!
三つ編みはよく描くので、別途まとめたいところ。
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そんなわけで、初回はデフォルメやデザインに関するまとめでした。
次回はまた少々お時間を頂きそうですが、気長にお待ちいただけたら幸いです。
追加でご質問や、ここ何言ってるのか全然わからん などございましたら、質問コーナー用のフォームやコメント欄に是非お送りください!
でもパンダもよく分かってない点が沢山あると思います………髪って一体………
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