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前回 >https://x-model888.fanbox.cc/posts/2146416

王国のラデルフル小屋での風景がこれである。

彼女達は下卑た男達の慰み者となっていた。

薄暗く獣の臭い漂う小屋で各々が欲望に塗れながら目合(まぐわ)い刹那の快楽を貪っている。


しかし彼女達はこの災禍の中にあれど生きていた。

明日俗人達に害される命であったとしても生きているのだ。

欲望と奸計と本能の狭間で……脈打つ鼓動を迸らせ。

優先的にここへ連れてこられたのは例え死体が無くても騒がれない者達である。

左の長耳は名を「ケレリル」と言う……彼女は長耳の落ちこぼれであった。

俗に言う真っ当な道を歩むこともできたであろう。

しかし彼女はその選択をしなかった。

ここに辿り着くまでに他者視点から見ていかに軌道修正の余地があったとしても彼女はここへ流れ着いたのだ。

その美しく蠱惑的な顔や体を駆使し日銭を稼ぎ一時の快感に溺れ生きてきた。

しかし・彼女はそれでも幸せだったのだろう・仲間を募り冒険に出て危険に付き纏われることや・剣術やヴァーズや薬学で他者と比べられ続けることや・一族の面汚しと身内から罵られるよりも・ヴァナルッドの地で性産業に身を投じながら男達から甘い言葉を囁かれる方が余程に心地よく彼女の美しい容姿と言う生まれ持っての長所をふんだんに活用できていたのだから。

長耳族は老いない。

それはしばし他種族から羨望の的で見られ・嫉妬の眼差しで見られる。

いつの世もどこの次元でも生じることではあるが・女は女を敵視する。

敵視は些細なものから大きなことまで様々である。

「私よりブスなのにあんな服着て」

「女をウリにするだなんて」

「あんな無駄にデカい乳をして下品でデブ」

「許せない」

「殺してやる」

「奪ってやる」

このように様々な理由をつけ他の同性に攻撃的な感情や視線を向けるが・一番下品で満たされていないのは大概それらを思っている張本人なのである。

そして「ケレリル」もそんな女の嫉妬によりここに堕とされた。

「ケレリル」は売春婦としては高名であった。

容姿が美しくその豊満な体は男達を悦ばせるのに十分すぎるほどであったから。

更に付け加え・彼女は非常にもてなしが上手かったのである。

「ケレリル」に夢中になった男達は非常に多かった。

農夫・兵士・冒険者・傭兵・貴族・大臣……

男達と言うのは些か間違いでもある。

「ケレリル」は女性からの指名も多かったのである。

鍛冶屋のガデイルは「ケレリル」の上客であった。

週一で「ケレリル」の元へ通うほどである。

しかしその行動はガデイルの妻マシエの逆鱗に触れた。

マシエは自分に対して飽きを見せていた夫のガデイルを憎悪していたが・それよりも更に憎悪し嫌悪したのは売春婦の「ケレリル」であった。

なぜ自分の男を奪うのか……

なぜあんな金髪を……

いやらしい体で誘惑して……

私よりもかわいくないのに……

しかし事実は残酷なこともある。

マシエは中央国の美意識的にはあまり美人とは言えない容姿であり・その器量では日々の夫の仕事や疲れを優しく包み込んでやる余裕すらなかったのである。

彼女は「ケレリル」を僻み妬んだ。

自身の器量の無さや容姿を是正する努力を放棄し。

マシエは区画長である・べデンに賄賂を渡し「ケレリル」を拘束させた。

そして様々な取り調べを受け「ケレリル」はここへ流れ着いたのだ。

マシエもいずれは「ケレリル」の様子を見にくるのかもしれない。

しかし・それが必ずしも一傍観者として見に来られるわけではない……と言うのも彼女は肝に銘じなければならないのである。

To be continued 🔷

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Comments

虚炉 -うつろ-

わーい牧場だー(*>∇<)ノ 嫉妬とは恐ろしいものですね。老いないのは羨ましいですが。

x-model888

コメントありがとうございます😊 嫉妬は怖いですね!人を害するだけではなく、自身も蝕むのですから。 愛先生の世界観は、深くてアシスタントとしていつも驚かせます! 老いない理由をお聞かせいただいたら、脳機構や副腎についての機能をいろいろとおっしゃっていました。 まるでお医者さんみたいですね!🥳