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「キジマ、お前……何度同じミスをする気だ?」

「へへへ、すんませーん」


 言葉も表情にも反省の色が見えない部下に、私はつい目頭のあたりを抑えてしまう。若いころにこんな仕草をする上司を見た時は「厭味ったらしい」「不快ですとアピールするのが楽しいのか」などと軽蔑していたものだが、認識を改める。

 怒りや情けなさが許容量を超えると、なるほど。こうして抑えつけなければ罵声か涙として溢れ出てきてしまいそうになるのか。

 

「ブチョー、どしたんスか?風邪なら無理しない方がイイッスよ?」


 誰のせいだと思っていると睨みつけたが年若い部下はへらへらと笑みを返してくる。ジムにでも通っているのか引き締まった身体に、すらりと長い背丈。顔だって美形と言えるだろう。豹人たちが持つしなやかさや天性の優美さと合わせて実に女性にもてそうな外見をしている。私のような筋肉がやたらとついた竜人とは対照的だ。

 

「キジマ、またお前の担当している取引先からクレームが来た。理由は分かるか?」

「えーっと、届けるカタログの種類間違えた事ッスか?それとも菓子折りの賞味期限切れてました?」


 だがこの男の女性社員からの評価は最悪。いや、全社員から嫌われているかもしれない。何故なら、この男はとにかく仕事ができない。ケアレスミスが多い、ビジネスマナーがなっていない程度ならばいくらでもフォローするし、取引先に頭を下げるのも苦ではない。

 キジマはそんな次元ではなく、やる気というものが欠如しているとしか思えない。今回取引先を怒らせたのも伺う約束に何時間も遅れたからだ。それも、約束を忘れたわけでも寝坊したわけでもない。パチンコで勝ちすぎた為すっぽかした、と悪びれなく言ってのけたのだ。

 

 最初はまともな社会人になって欲しい指導を続けたが、もう限界だった。異動か、クビか。少なくとも私の部下として管理する事はできない。

 

「……処分は追って伝える。今日はもう帰れ」

「へーい。ブチョーも無理しないでくださいよー」


 お前がいる限り無理だと言うのをグっと堪えてキジマを帰らせる。注意するだけでもパワハラ扱いになる今のご時勢に怒鳴りつける勇気は無いが、それ以上に部下に威圧的に接するのが苦手だった。

 部下にはできる限り対等な目線で接してやりたい、できる限りの事をしてやりたい。部下を持つようになってからはずっとそうやってきて、実際それでうまくやってこれたのだ。どれだけ言葉をかけても改善しないなんてキジマが初めてだった。全く、何故あんなにも不真面目なのだろう。

 

「大変ですね、部長。少し休憩されてはどうですか?」

「おお、柴木くん。ありがとう」


 差し出されたコーヒーカップをありがたく受け取る。いつの間にか私の前にいたコーギー犬人の部下は、私が感謝の言葉を告げるとキジマのにやけ面と違ってふんわりと花開くような微笑みを返してくれた。

 職場の為化粧は薄いが、それでも男の目を惹きつける可愛らしさとシャツの上からでも分かる肉感的な身体付き。同じ部署の男どもからは実に人気があって、シバちゃんと呼ばれて親しまれている。私も、普通の男ならば彼女に食事の一つでも誘っていたかもしれない。

 

「キジマさんのせいでお疲れでしょうけど……無理はなさらないでくださいね。私にもお手伝いできる事があれば言ってください」

「ああ、ありがとう。だが今日は大丈夫だよ。遅くなってはいけないから早めに上がりなさい」


 退社時間はとっくに過ぎていて、これ以上は女性が一人で帰るには不安な時間になる。私はキジマのやつが犯したミスをフォローしなければならないが、柴木くんを付き合わせる必要は無い。

 

「部長はいつも私たちを先に帰らせますけど、あまり遅くなると大変じゃないんですか?明日だって仕事ですし、お食事だって」

「はは、私は体力には自信があるからね。それに趣味も何もない寂しい男だ。どうせ家に帰ってもシャワーを浴びて寝るぐらいだから遅くなっても構わんよ」


 半分本当で半分嘘だ。学生時代にラグビーをしていたおかげで体力には自信があるし、週末にはジムに通って体力と筋肉が衰えないように鍛えている。脂肪こそ多少付いてはいるが、逞しさやぶ厚さでは学生時代より上ではないかと思えるほどだ。残業なんて辛くもない。

 

 それに、帰りが遅くなった方が都合が良い。

 趣味が無いと言ったのは嘘だ。毎晩仕事帰りに行っている趣味は、会社勤めになってからずっと続いていてもはや生活の一部と言って良い。決して他人には明かせないライフワークだ。

 

「だから柴木くんは早めに帰りなさい。他の皆だってもう帰ってるからね。気にしなくて良いんだよ」

「うーん、分かりました。でも頑張り過ぎないでくださいね?部長が倒れたら部署のみんなが困っちゃいますから」


 ほんの少しだけおどけた顔で励まされ、黙って頷いた。柴木くんは本当に良い部下だと思う。キジマのやつに爪の垢を飲ませてやりたいぐらいだ。

 柴木くんだけではなく、私の部下は良い奴らばかりだ。今日だってキジマのフォローを手伝うと私に申し出てくれたし、部下たちの方から飲みや休日のスポーツに誘ってくれる。

 

「――なのに、何故なんだろうな」


 柴木くんが去った後、消え入りそうな声で呟いた。パソコンのキーボードを叩いていると

 部下との人間関係だけではなく、仕事もやりがいがある。給料だって申し分ない。今の私は充実している。キジマという悩みの種こそいるが、近いうちに関わる事は無くなるだろう。

 

 にも関わらず私は満たされない。

 物足りない。

 常に飢えているような心地。


「ああ、また今日も処理しなければな……」


 その飢えを満たしたいとねだるように、私は涎を垂らしていた。ただし垂れ落ちるのは口からではない。

 とろりとろりと涎が垂れる。いつもこうだ。仕事をしている時でも、ジムで鍛えている時でも、酒を嗜んでいる時も満たされないとこうして濡れてしまう。

 

 涎を滴らせている場所――それは、排泄器官であるはずの肛門だった。

 

***


「今日も、誰もいないな……」


 誰に聞かせるわけでもなく呟くと、茹った夏の空気に瞬く間に溶けていく。夜とはいえ夏の熱気は冷める事なく、冷房の効いたオフィスから出ると鱗に玉粒のような汗が浮く。

 

 身体にへばりつく不快な熱。耳をそばだてると羽虫の音がする。

 こんな場所に私以外いるはずもなく、そして誰かが聞いていたところで私がこれから行う事は止められない。

 

 私が訪れたのは寂れた公園だ。といってもちゃちな滑り台が置いてあるだけのような狭っくるしい公園ではない。かつての城跡に作られて、周囲を掘と林に囲まれたいわゆる城塞公園という場所だ。遊具だけではなくそれなりの大きさの公衆トイレやベンチも設置されている。日中は親子連れや運動に利用する市民で賑わい、定期的にバザーも開かれているらしい。

 だが夜間になれば寂れたもので、ガラの悪い青少年すら近寄らない。街の中心部から離れている上に鬱蒼とした林のせいで公園の中は非常に不気味だ。人気の無い場所でいちゃつきたいカップルでもこんな場所は選ばないだろう。

 

「もう、いいだだろう?誰も見てない、私だけなんだ」


 こんな場所を利用するのは、人目の無い場所が必要になる特別な事情を持つ者。そして、絶対に人が来ない場所ではない――誰かに見られるかもしれない背徳感を求める者。

 

 つまり、私のような変態だけなのだ。

 

「脱ぐぞ、今日もいっぱい私をいじめてくれぇ❤」


 ああ、私が変態以外の何だというのか。

 巨木を思わせる太ももに張り付いたスラックスは、股間のあたりに小さなシミを作っている。藍色の鱗に映えるからと選んだスラックスを、正確には布地の下で汗に塗れた身体を撫でまわしていると、股間に浮かぶシミも徐々に大きくなる。

 がに股になって腰を突き出すと、卑猥なシミが強調される。誰も見ていずとも、こんな下品な姿をしているのだという背徳感が背中を駆け巡る。


「はぁっ❤ああぁ❤❤オ、オマンコうずくぅ❤ごりごりされたいってクパクパしてるぅ❤」


 部下には決して聞かせられない淫語を吐きこぼしながら、私の手がゆっくりと股間部分のシワをなぞる。スラックスと下着の上から、ほんの少しの圧力を加える程度の力で。

 だが、それでも私のオマンコは。男性器を保護する為の器官であるスリットは開閉を繰り返し、凌辱をねだるようにひくつくのだ。私は服の上からスリットマンコを突くように指を何度も押し込んだ。決して絶頂には向かわないような刺激だが、今の私にはそれが一番心地良かった。

 

「ふぅうぅ❤あっ❤❤あついぃ❤ぬ、脱ぐぞ❤❤こんな所で、また脱いでしまう❤」


 何故なら、絶頂しない程度の快感で収まるからだ。スリットをぐっと押し込むと尻尾がびくりとのたうってしまうのに、これ以上刺激を強めたら服を着たままイくに決まっている。

 

 まだ本番はこれからなのに、そんな真似はできない。もっと楽しもうと腕を上げて腋の匂いを堪能する。制汗剤を使っていても誤魔化しきれないほどに湿った腋は、つんと鼻腔を突き刺す芳香を放つ。

 汗腺の詰まった腋は特に湿っているが、上半身はどこもかしこも汗シミが酷い。鱗や白い肌にべったりと張り付いて、私の雄臭い身体の線を浮きだたせている。股間を湿らせるだけじゃなく、全身を雄の匂いで濡らす筋肉野郎。股間をぐりぐりいじくりながら発情している変態がここにいる。

 

「んぅぅん❤ほら、脱ぐぞ❤❤ドスケベ雄っぱいご開帳ぅぅ❤」


 一つ一つ、わざとらしく時間をかけながらワイシャツのボタンを外していった。パツパツのシャツに詰め込まれていた大胸筋が、ようやく解放されたとばかりに弾み出た。

 翡翠の鱗と真っ白な白い肌の境目が街灯に照らされ曖昧に照らし出される。筋肉で膨らんだ肌は少しも弛んでおらず、皮膚を抓むのすら困難だ。食生活にも配慮しているおかげか肌も荒れずに、汗に塗れて艶めかしく照っていた。丸々とした雄胸と、その下で並ぶ掘り込んだような腹筋。

 

 なんて男らしいのだろう、と自分でも実感する。

 同時に男らしさを台無しにする雌臭さに自分を軽蔑する。

 

「おー❤んひぃ❤い、いじってぇ❤❤私のオマンコも乳首もこんなにドスケベなんだぁ❤」


 肌を舐める夜風が変態行為をしていると実感させてくれる。肌を露出して熱を逃がしているはずなに、興奮が高まって火照るばかりだ。でかい胸の頂点、いじって欲しいとそそり勃つ乳首が火傷しそうなぐらいに熱い。

 我慢できない。男のものとは思えないデカ乳首に手を伸ばすと、たまらない快感に全身の筋肉が震えた。

 

「おおほおっ❤あぁ❤❤駄目だ❤今日も変態露出オナニーしちゃうぅ❤」


 鱗で覆われた指で乳肉ごと引っ張り、捏ねて、グリグリ転がして乳首弄りに没頭する。そのままスラックスのファソナーを降ろすとエロ汁でぐっしょり濡れたビキニが顔を出した。生地では吸収しきれない汁は太ももまで伝い幾本の川を作り出している。

 ビンビンになった乳首をひねりつつ、片方の手でシュルシュルとベルトを抜き取る。解放されたスラックスは私が腰をくねらせると徐々に私の下半身が全容を表し始める。両手を使っても掴み切れない太もも。幼児の胴体はあるかもしれないふくらはぎ、豊かに肉が肥えたデカ尻。

 

「見てくれぇ❤ああっ❤❤変態なんだ、私はぁ❤こんな所で露出オナニーしてる変態部長を見てくれよぉ❤❤❤」


 ビキニをぎりぎり引っ張るとスリットに布地が食い込んだ。指でほじくり回すのよりずっと快感が弱いが、粘膜に下着を食い込ませる下品な姿をしている事が興奮を加速させる。同じように尻の谷間にも食い込ませると肛門が擦れて愛液の量が多大に増えた。

 

 雄の欲望をしまう為のスリットは、いまや性器として出来上がっている。凌辱され、穢され、壊されたいとねだっている。

 だから私はいつものように鞄からある物を取り出した。男性器を模したフォルムに細かなイボを付けた樹脂製のオモチャ。それは、女性が自慰に使う為のバイブと呼ばれる代物だった。

 

「はあぁ❤当たるぅ❤スリットマンコに当たる❤❤オマンコぐりぐりされてるぅ❤」


 全ては私の意思なのだが、まるで他人に犯されているような言葉を吐きながらスリットとバイブを擦れ合わせる。自分の部屋で一人寂しくバイブを突っ込むだけでは物足りない。誰に見つかるかも分からない野外で、粗野な男に犯されようとしている。そんなシチュエーションを演じるとマンコが昂るのだ。

 偽物の男性器はすぐにスリットに潜り込んで来るような真似はせず、入り口をくにくにと擦りながら私を焦らす。溢れ出るスリット汁で自分をぬらつかせながら、いつ私を犯すか機を伺っている。

 

「いやだ❤焦らさないでくれよぉ❤❤❤んあぁ❤入り口だけズボズボしないでへぇ❤」

 

 私はバイブの先端を浅く入れるのを繰り返しつつ腰をへこへこ動かした。こんな姿もしも柴木くんや部下に見られたらどんな罵倒を受けるのだろう。半裸で腰振りオナニーをする雄くっせぇ中年親父だなんて知られたら、私は会社にだっていられなくなる。そう考えると更にスリットが緩んでバイブを少しずつ受け入れ始める。

 

「だ、だめえぇ❤❤んんっ❤入る❤おちんぽに来る❤❤おっおぉおぉ❤」


 汚らしく粗野な雄に組み伏せられる、そんな妄想をしながらバイブを突っ込んでスリットの内壁をぐりぐりとかき回す。愛液で潤んでいるスリットマンコはローション無しでもバイブに馴染み、動かすたびにグチョグチョと下品な音がする。

 入れて、引き抜く。収まったままのちんぽとバイブを擦らせて、時に入り口のあたりを突く。本当なら一気に奥までぶちこんでメスイキをキメたいが、こんなに楽しい時間をあっけなく終わらせてはもったいない。

 

 まだ始まったばかりなのだ。乳首だってもっとつねりたいし、お気に入りのおもちゃはまだたくさんある。メスイキをしてしまったらよわよわマンコの私は潮を噴いて倒れてしまうから、スリットだけでイくなんて駄目だ。

 

「ケ、ケツオマンコもズボズボしないとぉ❤ヤリマン部長は満足できないからぁ❤❤❤ぶっといのでオマンコにハメてぇ❤」


 だから私はがに股になるとでかすぎる尻を大きく突き出してみせた。汗とマンコ汁で濡れテカるデカ尻を右に左にたぷんと弾ませて、太い腰を回して下品なケツ振り踊りを繰り広げる。

 私の周囲には誰もいないと分かっているのに、まるで何人もの雄に視姦されているような羞恥快楽で尻肉がびくびくと震える。両手のひらでけつたぶを鷲掴みにしてそのまま開くと、宵の空気でマンコが撫でられてそれだけでもメスイキしそうだ。

 

「早くおちんぽぉおぉ❤私のエロオマンコにデカチンポブチこんでくれっ❤❤❤ほ、ほらぁ❤おちんぽ欲しいってびくびくしてるの見えるだろぉ❤❤」


 いつもいつも、妄想の中で私を犯す雄に向かって必死に媚びを売る。顔も種族も決めてはいないけど、でかいちんぽと下卑た顔で私を見下ろしてくれる理想のちんぽ。

 雄が昂ってくれるように、自分を辱める為に、私は娼婦のように身体をくねらせる。ラグビーで鍛え上げた、筋肉の詰まった尻をゆさゆさとさせ、その豊満さを見せつけるのだ。尻の谷間をぱっくりと割り、ちんぽをハメて貰うように煽る。

 

「も、もう無理いぃ❤❤おねがいじまずぅ❤その❤ぶっどいのでおがじでぇ……❤❤❤」


 星空と街灯をスポットライトに、四肢をくねらせて。下品なオナニーに耽る私の身体には汗粒が浮かび、娼婦を飾るアクセサリのように私を煌めかせる。逞しく隆々とした肉体に反した痴態とのギャップはどんな雄でも欲情させる自信があった。

 もしも目の前に本物の雄がいれば。叶わぬ願いを抱きながら、私は代用品の恋人を手に取った。スリットを抉るおちんぽよりも長く、太ましい胴回りをしたオモチャを。

 

「んっ❤❤ちゅ❤んふぅ❤好き❤このおちんぽすきぃ❤❤きょ、今日も淫乱オマンコを慰めてくれ❤❤❤」


 ちゅ❤ちゅ❤と何度もキスを落として唾液まみれにするのは子どもの腕ほどはあろうかという化物じみたサイズのディルドだ。バイブと違うのは私のオマンコを傷つけないように柔らかく弾力のあるサイズをしている事と、スリットオマンコでは到底受け止めきれない体積だ。

 スリットで咥えこむバイブは女性用と言っても通じるサイズだが、化物ディルドは一目でケツオマンコの奥の奥まで嬲る為のサイズだと分かってしまう。

 

 私はディルドをしっかりと地面に固定すると、どっしりした腰を降ろしてマンコとディルドをゆっくりと近づける。もちろん尻たぶは割り開いたまま、腰をはしたなく回したまま、いないはずの観客へアピールしたまま。

 

「はぁん❤おかされてしまうぅ❤❤私のオマンコが❤嫌だ❤見ないでくれぇ~~❤❤」

 なんと浅ましい一人芝居だろう。アナルを囲む火山口のような盛り上がりはディルドへせがむようにキスをし、絶えず暖めた愛液を垂らしてせってと挿入の準備を整えている。本物のオスですらない玩具相手に私はおねだりしているのだ。

 胸をときめかせながら腰を落としていくとくちゅり、という音と一緒に入り口が割り開かれる。

 

「んぐっ❤おおん❤❤んほおぉおおぉ~~~❤」


 めきめきと骨盤が軋むような音を感じながらも、私は躊躇わずにディルドを飲み込んでいった。痛みなんて感じずにただ圧倒的な快楽だけを受け止めながらバイブよりもずっと膨大な質量が直腸の中に潜り込む。

 ディルドの竿部分に手を添えてがむしゃらに尻を降ろした。凶悪な亀頭部分がニュポン!と音を立ててマンコに隠れると、後は早かった。

 マンコ壁をずるずる擦りながらディルドは潜り込み、石でも詰め込まれたかのような異物感と腹の中が重たくなる感覚。

 

「あ❤んああぁあぁああぁぁ❤❤❤」

 

 そして、私を満たす幸福感。まがい物のちんぽに中を蹂躙される被虐的な悦び。圧倒的な快感に私は鼻水を垂らして雌のような声を上げるしかできなかった。直腸の中をディルドで埋め尽くされるとみじろぎ一つできない。中腰の体勢で硬直し、淫乱マンコが立ち直るのを待った。

 

「ぉおおぉ❤ぶっといぃ❤❤でっかいおちんぽが私の中にぃ❤おおぉん❤」


 熱も脈動も感じさせないちんぽだが、私のマンコが火照り脳みそまでも茹るようだ。結腸のすぼまりをディルドで小突くとスリットから溢れる汁が白く濁りだした。犯しているのは私なのに、犯されている錯覚に溺れた。

 

「へぉおおぉお❤❤入ってるぅ❤オマンコの奥までこんなぶっといおちんぽがっ❤❤」


 私が発するのは艶やかな雌の声。でかい尻をくねらせるたびに喉が震えてしまう。直腸は切れる事なく快楽だけを享受する。通販で買っただけの安っぽいオモチャが理想の恋人のように私の空白を埋めてくれる。不完全な私を、偽物のちんぽが埋めてくれた。

 結腸まで侵入しようとディルドが進むと間の抜けたらだらしない顔になり、顔面から流れた体液が顎を伝って垂れ落ちる。そしてディルドを引き抜くとカリ首がヒダをかきむしる。

 

「んぐぅう゛お゛おぉ❤ぐひっ❤❤ひぎぃ❤お゛ほおおぉっ❤❤❤」


 ディルドが抜け出てできた空白は快楽を求めて弛緩したまま。私は自分の中に空いた穴に耐えられずにすぐさまディルトを突き入れてしまう。

 何度も。何度も。何度も。結腸をディルドでノックしては肛門のギリギリまで引き抜き、最低なアクメ顔へと堕ちる。スリットからは愛液と先走り、そしてザーメンが混じったものが溢れて小便のように地面を濡らしていた。ちんぽをいじりもせず、こんな所でオナニーをして射精したのだ。

 私は立派な大人の雄であり、何人も部下がいる。身体だって能力だってそこらの男には負けないとプライドがある。

 

「なんでへええぇええぇ❤❤おおん❤ぎもぢいいぃいいぃ❤❤❤」


 何故、こんなにも気持ちいいのか。何故、こんな男になってしまったのか。愚かにも叫びながら私はケツマンコアクメに酔いしれた。グボォと結合部から下品な交尾音が破裂する。ディルドに肛門を追いすがらせて、抉って、欲望のまま快感を貪る。

 こんな男――雌になってしまったのはいつからだったか。

 学生時代から善良な雄であろうとした。勉学もスポーツも手を抜かなかった。その甲斐あってか望んでいた会社に就職できた。何の不満も無い人生で、このまま父母のように伴侶を見つけて、子を作って順風満帆な人生を送るのだと信じていた。

 

「へおっ❤お゛ほおおぉおぉ❤❤❤んおおぉおぉ❤❤」


 それが狂ったのは、ネットで見つけた卑猥な動画だったと思う。

 蜥蜴人の筋骨隆々とした男が、汚らしい小男にレイプされるというだけの動画。最初にそれを見た時、私を襲ったのは嫌悪感――そして今まで感じた事の無いときめきだった。

 小男のちんぽを舌で掃除するトカゲを見ていると涎が溢れ、乳首を抓まれてよがるのを見て自分でも乳首をいじってしまった。そして、尻にちんぽをハメられるトカゲを見た瞬間に鮮烈な欲望が脳を焼いた。

 

 トカゲを犯したいのではなく、トカゲのようになりたいと願ってしまった。醜い小男に自分の全てを台無しにされたいと欲望が生まれた。いや、自分の中の欲望に気付いてしまった。

 満たされたはずの自分は、本当に欲しい物を手に入れられていない。あの動画を見た時に、私の中の空白が生まれたのだ。

 

「ああっ❤もっとぉおぉお❤❤❤もっど、私をめぢゃくちゃにじでええぇん❤オマンコも、口もぉ❤使っていいからぁ❤❤」


 こうしてケツマンコをかき回している時だけ、私の空白は埋まるのだ。自分が何を求めていたのかも忘れ、脳みそをドロドロに溶かして終わりない快感に浸る。

 妄想の中の雄に汚され、何処にもいない観客に向かって痴態を見せつける。飢えのような満たされなさを膨れ上がった欲望が塞ぐ。

 

「あ゛あっ❤❤も、もういぎぞううぅうぅう❤❤❤」


 びくり、と腸壁が蠕動するのは絶頂の兆候。私は望む瞬間を勝ち取ろうと乳首をひねり潰し、スリットに突っ込んだバイブを乱暴に動かした。スリットから飛び散る汁は火傷しそうなほどに滾り、私の昂りを熱で示していた。


 喉が詰り、視界が明滅する。唾液をすする事すら忘れて、私の口周りは酷い有様だ。ディルドが結腸をノックする事に差し迫る絶頂。私は精巣で作り上げられたザーメンを尿道へと流し込む。熱い。夏の空気すら怯えて逃げ出すほどに身体が沸騰していた。

 

「いぐぅ❤いぐぞっ❤❤露出大好き変態部長がケツマンアクメきめるぞおぉおぉぉ❤❤❤❤」


 瞳がグルリとひっくり返って何も見えないが、構う事なく咆哮する。マンコをごりごりされるのが幸せ過ぎて他の事はどうでも良かった。マンコと脳みそが直結して、快楽を貪る事のみに脳がフル稼働している。

 そして、ひときわ強く尻を振り降ろすと私は限界を迎えた。ドチュン!と最奥を叩かれると、スリットマンコから汁が濁流となって溢れ出した。

 

「んぉおおぉ❤お゛お゛ほぉ❤おおぉおぉおぉん❤❤❤ん゛ひいぃいぃいぃ❤❤❤❤」


 びゅるびゅる。びちゃびちゃ。絶頂によって射精と潮噴きの両方が巻き起こる。

 この上なく下品な音を奏でながら私は絶頂した。ケツマンコからも愛液が、裂けた口からはイキ声が。なんていやらしい四重奏だろう。

 私の足元には鼻が曲がりそうなぐらいに雄臭い水たまりができて、夏の空気と合わせて不快極まりない空間を作り上げる。絶頂の途中でもまた絶頂して、水たまりに波紋を広げた。

 

「おおおぉおぉぉ……❤」


 全身から力が抜けると、スリットマンコに入っていたバイブも水たまりへと落ちた。不自然な体勢で絶頂し続けた筋肉は疲弊し、動く事もできないまま絶頂の余韻に浸っていた。

 快楽が徐々に収まると代わりに私を満たすのは幸福感。鱗を伝う汗も、きつい雄の匂いも心地良いと感じてしまう。

 

 私は、酔っていたのだ。

 酒よりももっと性質の悪い快楽という代物は私から思考力を奪ってしまった。昨日まで大丈夫だから、今日も大丈夫――そんな保証有りはしないのに。

 

「いやー、良いイキっぷりでしたよブチョー」


 その声を聞いた時、驚きも恐怖も感じなかった。

 人間というものは許容できない衝撃を覚えると何も感じなくなるものなのかもしれない。

 だから私は緩慢に振り向いた。いつも会社で部下に呼ばれたのと同じような気分で。だからだろうか、背後に彼がいても当たり前のように思えた。


 私の脳が動き出したのは、彼の持つスマホがフラッシュを焚いた時だ。

 その時になってようやく気が付いた。

 私が取返しの付かない事をしてしまったのだと。

 私の日常は終わったのだと。

 

「終わったみたいだし、おれとお話してくれますか?家でじーっくりと、ね?」


 そこにいたのは毎日のように見る不快なにやけ面。

 キジマが、にやつきながら見下ろしていた。

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